説明

固形化粧料及び化粧料容器

【課題】有用成分の被塗布部への浸透効果を高めることができる固形化粧料及び化粧料容器を提供すること。
【解決手段】リップクリーム50は、導電性化粧料51と非導電性化粧料52とから構成されるとともに、導電性化粧料51には、化粧料容器10に内蔵の電池26に電気的に接続される電気接続部51aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体の被塗布部に塗布される固形化粧料、及び化粧料容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚表面を保護するなどの目的で、所定の有用成分を含有した固形化粧料が広く使用されている。このような固形化粧料の一例としては、例えば、特許文献1に記載されるリップクリームが挙げられる。そして、この種のリップクリームは、例えば、特許文献2に記載される容器などに収容されることにより、使用者の利便性が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−231628号公報
【特許文献2】特開2010−149901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、固形化粧料は、保護作用などを高めるために含有する有用成分について様々な工夫が施されている。しかしながら、このような工夫が施されているとしても、皮膚への浸透が不十分であれば、期待される効果を得ることはできない。このため、固形化粧料や収容する容器に対し、固形化粧料の浸透効果を高めるためのさらなる工夫が必要とされている。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、その目的は、有用成分の被塗布部への浸透効果を高めることができる固形化粧料及び化粧料容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の固形化粧料は、生体の被塗布部に塗布される固形化粧料であって、導電性化粧料と非導電性化粧料とから構成されているとともに、前記導電性化粧料を電源部に電気的に接続する電気接続部を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成において、前記導電性化粧料は、前記電源部に接続される基端から前記被塗布部への接触部をなす先端へ延びる通路状に形成されることにより、通電路を構成していることが望ましい。
【0008】
上記構成において、前記通電路を二組形成することが望ましい。
上記構成において、前記導電性化粧料はアスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体を含有することが望ましい。
【0009】
上記構成において前記導電性化粧料は、通電により物理化学的特性変化が生じることが望ましい。
上記課題を解決するため、本発明の化粧料容器は、固形化粧料を収容する収容体と、電源部と、前記収容体に収容された前記固形化粧料の電気接続部を前記電源部に電気的に接続する接続部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成において、前記電源部により印加される電圧を昇圧する昇圧回路を備えることが望ましい。
上記構成において、前記電源部により供給される所定値以上の電流を制御する制御回路を備えることが望ましい。
【0011】
前記電源部と前記電気接続部を電気的に接続した状態で、前記固形化粧料を前記収容体から繰り出し、及び前記収容体へ繰り入れする繰出・繰入機構を備えることが望ましい。
上記構成において、通電状態を報知する報知部を備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、有用成分の被塗布部への浸透効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は第1の実施形態におけるリップクリーム及び化粧料容器を示す縦断面図、(b)は図1(a)の1a−1a線断面図。
【図2】化粧料容器の電気的構成を示すブロック図。
【図3】リップクリームを唇に塗布するときの作用図。
【図4】第2の実施形態におけるリップクリーム及び化粧料容器を示す縦断面図。
【図5】リップクリームを唇に塗布するときの作用図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について、図1〜図3に従って説明する。
図1(a)に示すように、化粧料容器10の操作部20は、有蓋円筒状に形成されるとともに、操作部20の底側には底蓋22が螺着されている。そして、操作部20と底蓋22とによって囲まれる空間に収納空間Sが形成されている。
【0015】
操作部20において、蓋側の中央には、導電性樹脂よりなる歯車軸33が固定具21を介して固定されるとともに、歯車軸33は操作部20と一体回転する。また、歯車軸33において、軸部33aには歯車部33bが一体形成されている。
【0016】
化粧料容器10において、操作部20には有底円筒状の第1ケース30が連結されている。第1ケース30の底部中央には歯車軸33の軸部33aが貫通しているとともに、第1ケース30内には歯車部33bが配設されている。また、第1ケース30内には、有底円筒状をなす収容体としての第2ケース40が配設されるとともに、この第2ケース40の底部中央には導電性樹脂製の歯車受け34が嵌合されている。歯車受け34において、第1ケース30の底部側に歯車部33bが噛合されるとともに、歯車受け34には螺旋軸44が第2ケース40内で軸方向に延びるように一体形成されている。さらに、歯車受け34の周面には、フランジ部34cが延設されるとともに、このフランジ部34cは第2ケース40の内底面に当接した状態で支持されている。また、第2ケース40の内周面において、互いに対向する位置には、一対の溝部40bが第2ケース40の軸方向に延びるように形成されている。
【0017】
第2ケース40内には、導電性樹脂より円筒状に形成された基台42が収納されている。この基台42の内周面には螺子部42aが形成されるとともに、この螺子部42aを螺旋軸44に螺合することにより、基台42が螺旋軸44に沿って移動可能に支持されている。また、基台42の外周面には、一対の係止部42cが基台42の径方向に対向する位置から突設されるとともに、各係止部42cは、第2ケース40の溝部40bに挿入されている。
【0018】
そして、第2ケース40は、第1ケース30の開口に固定された円環状の押さえ部材31により第1ケース30からの抜け出しが規制されている。なお、押さえ部材31の内側には、後述のリップクリーム50の出入口31aが形成されている。また、第1ケース30の開口側には、有蓋円筒状のキャップ32が着脱可能に設けられるとともに、出入口31aはキャップ32により開閉可能になっている。
【0019】
基台42において、円環状をなす内底面42d上には、固形化粧料としての円筒状のリップクリーム50の底面が支持されるとともに、リップクリーム50の内側には螺旋軸44が挿入されている。リップクリーム50は、導電性化粧料51と非導電性化粧料52とから構成されている。導電性化粧料51は、ゲル化又は増粘化された水溶性高分子であって、例えば、キサンタンガム、グアーガム、メチルセルロース等の母剤に、目的のイオン成分を溶解させた水を保持させることで調整されるものである。また、導電性化粧料51は、アスコルビン酸及び通電に伴い色が変化する色素を含有している。非導電性化粧料52は、ワセリン、モノステアリン酸硬化ヒマシ油等の一般的な固形化粧料から適宜選択される。
【0020】
リップクリーム50において、導電性化粧料51は、基台42の内底面42dに支持される円環状をなす電気接続部51aと、この電気接続部51aに立設された円筒状の導電層51bとから構成されている。そして、導電性化粧料51の電気接続部51aと、基台42の内底面42dとは通電可能になっている。
【0021】
また、非導電性化粧料52は、導電層51bの内周面及び外周面に一体化されるとともに、電気接続部51aに支持されている。そして、導電層51bは、非導電性化粧料52の基端から先端に達するまで非導電性化粧料52を貫通しているとともに、被塗布部としての唇Kへの接触部としてのリップクリーム50の先端50bに露出している。
【0022】
そして、本実施形態の化粧料容器10において、操作部20を回転させると、歯車軸33が回転する。歯車軸33の回転に伴い、歯車受け34及び螺旋軸44が回転する。螺旋軸44の回転に伴い、基台42も回転しようとするが、係止部42cが溝部40bに係止しているため、螺旋軸44の回転運動が基台42の直線運動に変換され、基台42、及び基台42に支持されたリップクリーム50は第2ケース40の軸方向に移動する。その結果、リップクリーム50の先端50bは、出入口31aを介して第1ケース30から繰り出し、又は繰り入れされる。よって、本実施形態では、操作部20、歯車軸33、歯車受け34(螺旋軸44)、及び基台42が繰出・繰入機構を構成する。
【0023】
次に、化粧料容器10の電気的構成を説明する。
図1及び図2に示すように、操作部20の収納空間Sには、電源部としての電池26が収納されるとともに、電池26に電気的に接続された電気回路部27が収納されている。また、操作部20の側面には、報知部としてのLED23が配設されるとともに、このLED23は電気回路部27に電気的に接続されている。
【0024】
また、操作部20の側面には、スイッチ24が操作部20を貫通して配設されている。このスイッチ24は、収納空間S内で電気回路部27に電気的に接続されるとともに、操作部20からの突出端は、導電性シリコンからなる電極25によって覆われている。そして、電極25をスイッチ24に向けて押し付けると電極25とスイッチ24とを電気的に接続することができるようになっている。電気回路部27は、電池26から印加される電圧を昇圧する昇圧回路62、及び電池26から供給される所定値以上の電流を制御する制御回路63から構成されている。
【0025】
収納空間Sにおいて、歯車軸33の軸部33aは、電気回路部27に電気的に接続されている。そして、導電性樹脂製の歯車軸33と、歯車受け34と、基台42とは電気的に接続可能になっている。さらに、基台42は、導電性化粧料51の電気接続部51aに電気的に接続可能になっている。したがって、本実施形態において、基台42と、歯車受け34と、歯車軸33と、電気回路部27は、導電性化粧料51を電池26に電気的に接続する接続部として機能する。また、導電性化粧料51は、上記接続部を介して電池26に対し電気的に接続される電気接続部51a(基端)から導電層51bの先端へ延びる通路上に形成され、リップクリーム50に通電路を形成している。また、本実施形態において、電池26のプラス極は電極25に電気的に接続されるとともに、マイナス極は電気回路部27に電気的に接続されている。
【0026】
次に、上記構成のリップクリーム50及び化粧料容器10の作用について図3に従って説明する。
使用者が、キャップ32を第1ケース30から取り外し、操作部20を回転させると、リップクリーム50の先端50bが、出入口31aを介して第1ケース30から繰り出される。そして、使用者が電極25をスイッチ24に押し付けると、スイッチ24がON操作されるとともに、電池26から電気回路部27に電力が供給される。電気回路部27に電力が供給されると、LED23が点灯する。この状態で使用者が被塗布部としての唇Kにリップクリーム50の先端50bを接触させると、導電層51bと電極25が使用者(生体)を介して電気的に接続される。
【0027】
すると、電池26から電気回路部27に印加された電圧は、昇圧回路62を介して昇圧される。また、制御回路63は、供給される電流が一定値未満であるかを確認し、一定値以上であれば、一定値未満に電流を下げる。そして、ルートR1に示すように、使用者(腕U、胸部M及び唇K)、導電層51b、基台42、螺旋軸44及び歯車受け34、歯車軸33、電気回路部27、及び電池26に電流が流れる。唇Kに電流が流れた状態でリップクリーム50を塗布すると、イオン導入の原理により、リップクリーム50の有用成分が唇Kに浸透する。さらに、導電性化粧料51に含まれるアスコルビン酸も唇に浸透する。また、通電することにより、導電性化粧料51に含まれる色素の色が変化する。なお、イオン導入とは、被塗布部(唇K)に微弱な電流を流すことにより、被塗布部の障壁の働きを弱め、浸透させたいイオン性の有用成分に対する電気的な反発力によって被塗布部の内部へ有用成分を浸透させるものである。
【0028】
使用者は、リップクリーム50の塗布終了後は、操作部20を逆回転させることにより、リップクリーム50を出入口31aを介して第1ケース30に収納することができる。
上記第1の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0029】
(1)リップクリーム50は、導電性化粧料51を含み、その電気接続部51aを介して導電性化粧料51に通電させることにより、化粧料に含まれるイオン性の有用成分がイオン導入の原理により生体の被塗布部へ浸透しやすくなる。具体的には、電気接続部51aが接続部を介して電池26と電気的に接続されることにより、リップクリーム50が通電されることにより、イオン導入の原理により、唇Kへの有効成分の浸透効果を高めることができる。
【0030】
(2)通路状に形成した導電性化粧料51によってリップクリーム50の先端50b(接触部)へ向かう通電路が構成されるので、イオン導入効果を確実に得ることができる。具体的には、導電性化粧料51によりリップクリーム50に通電路が形成されることにより、電流は導電性化粧料51を介して唇Kに流れる。このため、リップクリーム50を塗布しながら唇Kに確実に電流を流すことができ、イオン導入により、有用成分が唇Kに浸透しやすくなる。
【0031】
(3)導電性化粧料51において、基台42と電気的に接続される導電層51bはフランジ状に形成されている。このため、基台42と導電層51bとを面接触させて互いの接触面積を確保することができ、電気的な接続を確実にすることができる。
【0032】
(4)導電性化粧料51は、アスコルビン酸を含んでいる。このため、非導電性化粧料52の有用成分が唇に浸透するのと同時に、アスコルビン酸も唇に浸透する。アスコルビン酸は、皮膚の透明感の向上、唇のあれ軽減などの効果がある。
【0033】
(5)導電性化粧料51は、通電することにより色が変化する色素を含んでいる。このため、使用者は、通電に伴う導電性化粧料51の色の変化(物理化学的特性変化)を楽しむことができる。
【0034】
(6)化粧料容器10における操作部20に電池26及び接続部を収納し、接続部を介して導電性化粧料51の電気接続部51aと電池26を電気的に接続できる。このため、リップクリーム50に電流を流すための特別な装置と必要とせず、化粧料容器10を用いてリップクリーム50に電流を流すことができる。
【0035】
(7)昇圧回路62により、電池26から印加される電圧を昇圧する。このため、印加できる電圧の低い電池26を電源部として用いることができ、この電池26を収納する操作部20の小型化も図れる。
【0036】
(8)制御回路63により、電圧又は電流が一定値以上にならないように制御する。このため、リップクリーム50の消耗に伴いリップクリーム50の抵抗値が低下したとしても、使用者に過剰な電流が流れたり、過剰な電圧が加わることがない。すなわち、使用者に不快な刺激を与えることがない。
【0037】
(9)操作部20を正回転させることによりリップクリーム50が化粧料容器10から繰り出され、逆回転させることにより、リップクリーム50が化粧料容器10に繰り入れられる。このため、リップクリーム50を使用しない場合は、化粧料容器10内に収納することができ、汚れの防止、収納性の向上を図れる。
【0038】
(10)押さえ部材31を外すことにより、第2ケース40を取り外すことができる。これによれば、リップクリーム50が消耗されたときに、新しいリップクリームと交換することができる。
【0039】
(11)電極25と導電性化粧料51が電気的に接続され、かつスイッチ24がON状態の場合に唇Kに電流が流れる。すなわち、電極25と導電性化粧料51が電気的に接続されただけでは、唇Kに電流が流れない。このため、何らかの原因で電極25と導電性化粧料51が電気的に接続されたとしても、スイッチ24がOFF状態であれば電流が流れず、無駄な電力を消費することがない。
(第2の実施形態)
以下、本発明を具体化した第2の実施形態について、図4〜図5に従って説明する。なお、以下に説明する実施形態において、第1の実施形態と同一構成については、その重複する説明を省略又は簡略する。
【0040】
図4に示すように、化粧料容器70における操作部20は、電極25が取り付けられていない点が第1の実施形態と相違する。また、操作部20における蓋側の中央には、導電性樹脂よりなる第1歯車軸82が固定具21を介して固定されるとともに、第1歯車軸82は操作部20と一体回転する。また、第1歯車軸82において、軸部82aには歯車部82bが一体形成されている。この第1歯車軸82内には、絶縁樹脂から成る絶縁体83を介して導電性樹脂製の第2歯車軸84の軸部84aが挿入固定されている。第1歯車軸82の歯車部82b及び第2歯車軸84の歯車部84bは、第1ケース30内に配設されている。
【0041】
第2ケース40の底部中央には導電性樹脂製の歯車受け81が嵌合されている。この歯車受け81には、第1歯車軸82の歯車部82b及び第2歯車軸84の歯車部84bが噛合されている。また、歯車受け81には、第2ケース40内の軸方向に延びる螺旋軸85が一体形成されているとともに、歯車受け81のフランジ部には歯車80が形成されている。歯車受け81において、螺旋軸85側の周面と歯車80との間には絶縁部材85aが介装されている。そして、螺旋軸85は第2歯車軸84の回転に伴い、回転するようになっている。
【0042】
第2ケース40内には、導電性樹脂より有底円筒状に形成された基台86が収納されるとともに、この基台86の円環状をなす内底面86g上に円筒状のリップクリーム90が支持されている。この基台86の内周面には螺子部86aが形成されるとともに、この螺子部86aを螺旋軸85に螺合することにより、基台86が螺旋軸85に沿って移動可能に支持されている。また、基台86は、絶縁樹脂からなる円筒状の絶縁部材86cの内周側に導電性樹脂製の円筒状の第1導電性部材86dを設けるとともに、絶縁部材86cの外周側に導電性樹脂製の第2導電性部材86eを設けることで形成されている。また、絶縁部材86cは、基台86の内底面86g及び底面から突出している。第2導電性部材86eには、一対の係止部86fが形成されるとともに、係止部86fは、溝部40bに挿入されている。
【0043】
第2ケース40の内底面には、弧状に曲げ形成された一対の弾性板87が収納されるとともに、各弾性板87は歯車80の歯部間に係止されている。各弾性板87は、導線88を介して第2導電性部材86eと電気的に接続されている。
【0044】
基台86の内底面86gに支持されるリップクリーム90は、導電性化粧料91と非導電性化粧料92とから構成されている。導電性化粧料91は、基台86の内底面86gに支持される円環状の電気接続部91aと、この電気接続部91aの内周縁から立設された円筒状の第1導電層91bと、電気接続部91aの外周寄りから立設された円筒状の第2導電層91cとから形成されている。また、非導電性化粧料92は、第1導電層91bと第2導電層91cの間、及び第2導電層91cの外周面に設けられている。そして、第1及び第2導電層91b,91cは、非導電性化粧料92の基端から先端に達するまで非導電性化粧料92を貫通しているとともに、唇Kへの接触部としてのリップクリーム90の先端90bに露出している。
【0045】
また、導電性化粧料91の電気接続部91aには、基台86の内底面86gから突出した絶縁部材86cを挿入するための挿入孔91dが形成されている。挿入孔91dに絶縁部材86cが挿入されることにより、第1導電層91bと第2導電層91cは絶縁されている。そして、第1導電層91bは、電気接続部91a、第1導電性部材86d、歯車受け81(螺旋軸85)、及び第2歯車軸84を介して電気回路部27に電気的に接続され、第1導電性部材86d、歯車受け81(螺旋軸85)、第2歯車軸84、及び電気回路部27は、電気接続部91aと電池26を電気的に接続する接続部として機能する。また、第2導電層91cは、電気接続部91a、第2導電性部材86e、導線88、弾性板87、歯車受け81(歯車80)、及び第1歯車軸82を介して電気回路部27に電気的に接続されている。よって、第2導電性部材86e、導線88、弾性板87、歯車受け81(歯車80)、第1歯車軸82、及び電気回路部27は、電気接続部91aと電池26を電気的に接続する接続部として機能する。
【0046】
本実施形態において、電池26のプラス極は、上記接続部を介して第1導電層91bに電気的に接続され、マイナス極は、上記接続部を介して第2導電層91cに電気的に接続されている。すなわち、本実施形態において、第1導電層91bがプラス電極、第2導電層91cがマイナス電極として機能する。
【0047】
そして、導電性化粧料91の第1導電層91bと第2導電層91cは、接続部を介して電池26に接続される電気接続部91a(基端)からリップクリーム90の先端90bへ延びる通路上に形成され、リップクリーム90内に通電路を形成している。すなわち、第1導電層91bと第2導電層91cとから、リップクリーム90内には二組の通電路が形成されている。
【0048】
次に、上記構成のリップクリーム90及び化粧料容器70の作用について図5に従って説明する。
使用者が、操作部20を回転させると、第1及び第2歯車軸82,84が回転する。第1及び第2歯車軸82,84の回転に伴い、歯車80、歯車受け81、螺旋軸85が一体となって回転する。螺旋軸85の回転に伴い、基台86は第2ケース40の開口部に向かって移動する。基台が第2ケース40の開口部に向かって移動すると、リップクリーム90の先端90bが出入口31aを介して、第1ケース30から繰り出される。よって、本実施形態において、操作部20、第1及び第2歯車軸82,84、歯車受け81(歯車80と螺旋軸85)、及び基台86が繰出・繰入手段として機能する。
【0049】
そして、使用者がスイッチ24を押圧すると、電池26から電気回路部27に電力が供給され、この状態で使用者が唇Kにリップクリーム90の先端90bを接触させると、ルートR2に示すように、第1導電層91bと第2導電層91cが唇Kを介して電気的に接続される。
【0050】
そして、唇K、第1及び第2導電層91b,91c、第1及び第2導電性部材86d,86e、螺旋軸85、第1歯車軸82、導線88、弾性板87、歯車80、歯車受け81に電流が流れる。唇Kに電流が流れた状態でリップクリーム90を塗布すると、イオン導入の原理により、リップクリーム90の有用成分が唇に浸透する。
【0051】
本実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(10)に加えて、以下の効果を得ることができる。
(12)導電性化粧料91により、リップクリーム90には二組の通電路が形成され、生体抵抗の影響を受け難い構成とすることができる。具体的には、唇Kを介して第1導電層91bと第2導電層91cが電気的に接続される。電流は、第1導電層91bから唇K、唇Kから第2導電層91cに流れる。このため、電流が生体を通る距離が短く(唇Kのみ)、生体抵抗の影響を受けにくい。
【0052】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・第1及び第2の実施形態において、固形化粧料は口紅、ファンデーション、コンシーラー、頬紅、日焼け止めなどのスキンケア製品、頭髪製品など、他の固形化粧料であってもよい。
【0053】
・第1及び第2の実施形態において、電源部として、電池26以外を用いてもよい。
・第1及び第2の実施形態において、底蓋22にパッキンを装着し、防水構造としてもよい。
【0054】
・第1の実施形態において、導電層51bは2層以上形成してもよい。
・第1及び第2の実施形態において、電気回路部27にパルス波発生回路を設け、パルス電流によって生体に電流を流してもよい。また、この場合、制御回路63は所定時間以上のパルス通電が行われた場合に、パルス通電を停止する機能を備えてもよい。
【0055】
・第1及び第2の実施形態において、導電性化粧料51,91はアスコルビン酸誘導体を含有するようにしてもよい。
・第1及び第2の実施形態において、導電性化粧料51,91は、通電することにより粘度が変化するようにしてもよい。
【0056】
・第1及び第2の実施形態において、電池26のプラス極とマイナス極を逆に接続してもよい。
・第1及び第2の実施形態において、導電性化粧料51,91を、寒天、ゼラチンなどの固化剤を用いて固化させてもよい。
【0057】
・第1の実施形態において、歯車軸33、歯車受け34、螺旋軸44及び基台42は導電性樹脂以外の導電性材料から形成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
K…被塗布部としての唇、10,70…化粧料容器、20…繰出・繰入機構を構成する操作部、23…LED(報知手段)、25…電極、26…電源部としての電池、27…接続部を構成する電気回路部、33…接続部及び繰出・繰入機構を構成する歯車軸、34…接続部及び繰出・繰入機構を構成する歯車受け、40…収容体としての第2ケース、42…接続部及び繰出・繰入機構を構成する基台、50,90…固形化粧料としてのリップクリーム、51,91…導電性化粧料、51a,91a…電気接続部、52,92…非導電性化粧料、62…昇圧回路、63…制御回路、81…接続部及び繰出・繰入機構を構成する歯車受け、82…接続部及び繰出・繰入機構を構成する第1歯車軸、84…接続部及び繰出・繰入機構を構成する第2歯車軸、86…接続部及び繰出・繰入機構を構成する基台、87…接続部を構成する弾性板、88…接続部を構成する導線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の被塗布部に塗布される固形化粧料であって、
導電性化粧料と非導電性化粧料とから構成されているとともに、前記導電性化粧料を電源部に電気的に接続する電気接続部を備えたことを特徴とする固形化粧料。
【請求項2】
前記導電性化粧料は、前記電源部に接続される基端から前記被塗布部への接触部をなす先端へ延びる通路状に形成されることにより、通電路を構成していることを特徴とする請求項1に記載の固形化粧料。
【請求項3】
前記通電路を二組形成したことを特徴とする請求項2に記載の固形化粧料。
【請求項4】
前記導電性化粧料はアスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体を含有することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の固形化粧料。
【請求項5】
前記導電性化粧料は、通電により物理化学的特性変化が生じることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の固形化粧料。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の固形化粧料を収容する収容体と、電源部と、前記収容体に収容された前記固形化粧料の電気接続部を前記電源部に電気的に接続する接続部と、を備えた化粧料容器。
【請求項7】
前記電源部により印加される電圧を昇圧する昇圧回路を備えたことを特徴とする請求項6に記載の化粧料容器。
【請求項8】
前記電源部により供給される所定値以上の電流を制御する制御回路を備えたことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の化粧料容器。
【請求項9】
前記電源部と前記電気接続部を電気的に接続した状態で、前記固形化粧料を前記収容体から繰り出し、及び前記収容体へ繰り入れする繰出・繰入機構を備えたことを特徴とする請求項6〜8のうちいずれか一項に記載の化粧料容器。
【請求項10】
通電状態を報知する報知部を備えたことを特徴とする請求項6〜9のうちいずれか一項に記載の化粧料容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−131723(P2012−131723A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284059(P2010−284059)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】