説明

固形描画材及びその製造方法

【課題】 香料を含有した固形描画材の芳香を長期にわたり持続させる。
【解決手段】 表面に香料成分と、これを被覆する樹脂成分とを少なくとも有する固形描画材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレヨン、パステル、鉛筆芯、色鉛筆芯などの固形描画材に、芳香を発する香料を使用した固形描画材と、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、クレヨン、パステル、鉛筆芯、色鉛筆芯などの固形描画材は、有機系顔料、無機系顔料などの着色材と、粘土、ベントナイト、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、塩ビ−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の結合材と、タルク、マイカ、黒鉛、炭酸カルシウム等の体質材と、ステアリン酸、カルナバワックス、ポリエチレンワックスなどの摩耗性付与材とを混練し、必要に応じて水、メチルエチルケトン(MEK)等の溶剤を加えたものを成形して得られる非焼成タイプの固形描画材や、上記で得られた成形体を高温で焼成することで有機成分の結合材を焼結により炭素化させたりセラミック化させた骨格を形成させ、焼成で有機物が蒸散した際に骨格内に形成した微細な気孔中に流動パラフィンやオレイン酸などの潤滑性を有する油脂類や染料などの着色剤を滲み込ませた鉛筆芯などの焼成タイプの固形描画材が知られている。
【0003】
そして、上記固形描画材の材料の一つに香料を加えたり、鉛筆芯の気孔中に香料を滲み込ませたりして、固形描画材としての書き味や発色性といった特性とは別に、使用者に香料による快い使用感を与える嗅覚効果を付与する商品が提供されている。
【0004】
しかし従来香料をそのまま固形描画材に使用しただけでは、製造過程で使用する各種ロールやミキサーなどの混練、分散機による材料同士の摩擦による発熱で香料成分が揮散して、長期間にわたって芳香性を維持した固形描画材が得られていないのが実情である。そこで香料成分を平均粒径1〜3μmのマイクロカプセル内に封止してから使用することで、製造過程で発生する発熱による香料の揮散を抑制し、長期間にわたって芳香力を持続させることが可能な香料入り色鉛筆芯が知られている(特許文献1)。そして更にメソポーラス材料としてメソポーラスシリカを用い、香料と共に混合して成形することでメソポーラスシリカの細孔内に香料成分が固定化し香りが失われ難いとする固形描画材も知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平3−39300号公報
【特許文献2】特開2005−350623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている平均粒径1〜3μmの香料入りマイクロカプセルは、筆圧300〜1000g/mmで潰れてしまう程度の、膜強度が低いカプセル粒子であるので当該発明者も混練の最終時に香料入りマイクロカプセルを添加して分散するなどとの注意を促す記載もあるが、一般的な製造過程で使用する混練機や押出し成形機では数十kg/mm〜数トン/mmの圧力が掛かるので、含有されているカプセルは容易に潰れて香料成分が漏れ出してしまい、香料の芳香性を長期にわたって持続させることは困難である。
また、特許文献2に開示されている香料成分を固定化しているメソポーラスシリカは比表面積が低く吸着力が低いので、香料成分を固定化しても徐々に香料の揮発が進み、香料の芳香性を長期にわたって持続することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち、本発明は、表面に香料成分と、これを被覆する樹脂成分とを少なくとも有する固形描画材を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
芯体表面の香料成分を樹脂成分で被覆することで、香料成分を外気から遮蔽することができる。よって、芳香を持続させることが出来る。
描画時には、紙面との擦過で樹脂成分の層が破れて香料成分が外部に飛散して芳香を発する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用する香料は、特に限定されることなく従来公知の香料を任意に使用することができる。具体的にはアンバー、ムスク、ムスクラット、シベット、カストリウム等の動物性香料、ヒノキオイル、スギオイル、リモネン、メントール、イランイラン、ラベンダー、ジャスミン、ローズ、ミモザ、アイリス、チュベローズ、バイオレット等の植物性香料などを例示できる。これら香料成分の使用量は固形描画材の曲げ強さや発色性を低下させない範囲であれば特に制限することなく使用することが出来、成形後の固形描画材に焼成処理を施さない非焼成タイプの固形描画材である場合、揮発性の溶剤成分を除く全量に対して0.01〜2重量%程用いれば良い。使用量が0.01重量%より少ない使用量である場合、香料の芳香が不十分であり、2重量%より多い使用量であると固形描画材の曲げ強さが低下する場合がある。そして固形描画材で焼成処理を施し芯体中に気孔を有している多孔質体である鉛筆芯や色鉛筆芯である場合、着色剤である染料や書き味を付与する油脂成分の効果を低下させないことを考慮に入れ、気孔率に対して概ね70%も含浸させることが出来れば十分である。
そして上記香料を含有した固形描画材表面に香料成分を配する手段としては、香料原液若しくは、香料を固形描画材本体が溶けない揮発性溶剤中に投入後、取り出して乾燥するティップコーティング方式が一般的であるが、要は香料成分を固形描画材表面に均一に付着させることが出来れば香料の使用量を制限することなく、吹き付けによるスプレードライヤ方式など従来公知の被覆方法を用いても良い。また本発明で固形描画材表面に配する香料成分として、前述した各種香料成分を予めゼラチンやメラミン樹脂等でカプセル化したものや、ホルマリン樹脂縮合体などの中空樹脂粒子中に香料成分を内封させた平均粒子径0.5〜5μmの各種カプセル粒子との使用も可能である。
【0009】
そしてこの固形描画材表面を被覆する樹脂成分としては、特に制限なく従来公知の各種合成樹脂などを使用することが出来るもので、例えばポリスチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、マレイン酸重合物、ポリエステルポリオール樹脂、ポリエステルポリエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体等が挙げられる。そして特に本発明をより奏することが出来る樹脂成分としては、常温固体で透明性が高く、更に香料と相溶しにくく気体透過性の低い合成樹脂の使用が好ましく、ナイロン、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルピロリドンなどを挙げることが出来る。これら樹脂成分の使用量は、特に制限なく使用されるものであるが固形描画材表面への被覆処理後に、樹脂成分の接着効果で固形描画材同士が接合しない程度の使用量とすれば良い。
そして表面に香料成分を配した状態で樹脂成分を被覆する方法としては、樹脂成分が溶解した分散液中へのディップコーティング方式や、分散液を吹き付けるスプレードライ方式なども有効であるが、固形描画材表面の香料成分の多少の剥がれが考えられるので、樹脂成分が溶解した分散液中に香料成分も一緒に分散させた混合溶液を作り、この混合溶液で前述した方法で被覆処理を行えば、香料成分を固形描画材表面に固着させる工程が最小限にすることが出来る。又、得られた被覆層内の香料成分の揮発が懸念される場合は、樹脂成分のみを溶解した溶液で被覆処理を数度行うことは何ら差し支えない。
固形描画材表面へのこれら樹脂成分による被覆層の最適な膜厚は0.05〜2μm程度の膜厚が好ましい。得られた膜厚が0.05μmより薄い場合、香料の芳香を遮蔽するには不十分であると同時に、被覆層が剥がれやすく、膜厚が2μmよりも厚い場合、固形描画材の外皮部と内部の軟硬度の差が顕著になるので摩耗量が不均一になり書き味の低下を招いてしまう場合がある。
【0010】
上述の必須成分の他に、固形描画材を賦形させるための樹脂などの結合剤、各種無機、有機系の染料や顔料などの着色剤、タルクやマイカなどの体質材などと紙面に塗布させて定着を促すための各種ワックス、ステアリン酸や流動パラフィン、α−オレフィンオリゴマーなどの油脂類を配合し使用することができる。
【0011】
結合材の使用は、固形描画材に賦形性と強度を付与するために用いるもので従来公知の各種樹脂類を使用することが出来る。例えばポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレンブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル−スチレン樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、マレイン酸重合物、ポリエステルポリオール樹脂、ポリエステルポリエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用しても構わない。
【0012】
着色材の使用は、固形描画材に各種染料や顔料の染着力を用いて描画材に各種無彩色、有彩色で色調を付与させるもので従来公知の天然系、合成系各種染料や無機系、有機系各種顔料を任意に使用することができる。染料としては、ジャパノールファストブラックDコンク(C.I.ダイレクトブラック17)、ウォーターブラック100L(同19)、ウォーターブラック200−L(同19)、ウォーターブラック♯7(同19)、カヤセットブラックW9(同19)、ダイレクトファストブラックB(同22)、ダイレクトファストブラックAB(同32)、ダイレクトディープブラックEX(同38)、ダイレクトディープブラック(同38類似品)、ダイレクトファストブラックコンク(同51)、カヤラススプラグレイVGN(同71)、カヤクダイレクトブリリアントエローG(C.I.ダイレクトエロー(同12)、ダイレクトファストエロー5GL(同26)、アイゼンプリムラエローGCLH(同44)、ダイレクトファストエローR(同50)、アイゼンダイレクトファストレッドFH(C.I.ダイレクトレッド1)、ニッポンファストスカーレットGSX(同4)、ダイレクトファストスカーレット4BS(同23)、アイゼンダイレクトデュリンBH(同31)、ダイレクトスカーレットB(同37)、カヤクダイレクトスカーレット3B(同39)、アイゼンプリムラビンコンク2BLH(同75)、スミライトレッドF3B(同80)、アイゼンプリムラレッド4BH(同81)、カヤラススプラルビンBL(同83)、カヤラスライトレッドF5G(同225)、カヤラスライトレッドF5B(同226)、カヤラスライトローズFR(同227)、ダイレクトスカイブルー6B(C.I.ダイレクトブルー1)、ダイレクトスカイブルー5B(同15)、ベンゾブリリアントスカイブルー8GS(同41)、スミライトスプラブルーBRRコンク(同71)、ダイボーゲンターコイズブルーS(同86)、ウォーターブルー♯3(同86)、カヤラスターコイズブルーGL(同86)、ダイワブルー215H(同87)、カヤラススプラルブルーFFRL(同108)、カヤラススプラルブルーFF2GL(同106)、カヤラススプラクターコイズブルーFBL(同199)等の直接染料やアシッドブルーブラック10B(C.I.アシッドブラック1)、ニグロシン(同2)、ウォーターブラックR455(同2)、ウォーターブラックR510(同2)、スミノールミリングブラック8BX(同24)、カヤノールミリングブラックVLG(同26)、カヤノールミリングブラックBRコンク(同31)、ミツイナイロンブラックGL(同52)、アイゼンオパールブラックWHエクストラコンク(同52)、スミランブラックWA(同52)、ラウニルブラックBGエクストラコンク(同107)、カヤノールミリングブラックTLB(同109)、スミノールミリングブラックB(同109)、カヤノールミリングブラックTLR(同110)、アイゼンオパールブラックニューコンク(同119)、ウォーターブラック187−L(同154)、アシッドイエロー♯10(C.I.アシッドエロー1)、カヤクアシッドブリリアントフラビンFF(同7:1)、カヤシルエローCG(同17)、キシレンライトエロー2G140%(同17)、スミノールレベリングエローNR(同19)、ウォーターイエロー♯1(同23)、ダイワダートラジン(同25)、カヤクタートラジン(同23)、スミノールファストエローR(同25)、ダイアシッドライトエロー2GP(同29)、スミノールミリングエロー0(同38)、スミノールミリングエローMR(同42)、ウォーターイエロー♯6(同42)、カヤノールエローNFG(同49)、スミノールミリングエロー3G(同72)、スミノールファストエローG(同61)、スミノールミリングエローG(同78)、カヤノールエローN5G(同110)、スミノールミリングエロー4G200%(同141)、カヤノールエローNG(同135)、カヤノールミリングエロー5GW(同127)、カヤノールミリングエロー6GW(同142)、スミトモファストスカーレットA(C.I.アシッドレッド8)、カヤクシルクスカーレット(同9)、ソーラールビンエクストラ(同14)、ダイワニューコクシン(同18)、ウォータースカーレット(同18)、ダイワ赤色102号(同18)、アイゼンボンソーRH(同26)、ダイワ赤色2号(同27)、スミノールレベリングブリリアントレッドS3B(同35)、カヤシルルビノール3GS(同37)、アイゼンエリスロシン(同51)、カヤクアシッドローダミンFB(同52)、ダイワ赤色106号(同52)、スミノールレベリングルビノール3GP(同57)、ダイアシッドアリザリンルビノールF3G200%(同82)、アリザリンルビノール5G(同83)、アイゼネオシンGH(同87)、ウォーターレッド♯2(同87)、ダイワ赤色103WB(同87)、ウォーターピンク♯2(同92)、アイゼンアシッドフロキシンPB(同92)、ダイワ赤色104号(同92)、ローズベンガル(同94)、カヤノールミリングスカーレットFGW(同111)、カヤノールミリングルビン3BW(同129)、スミノールミリングブリリアントレッド3BNコンク(同131)、スミノールミリングブリリアントレッドBS(同138)、アイゼンオパールピンクBH(同186)、スミノールミリングブリリアントレッドBコンク(同249)、カヤクアシッドブリリアントレッド3BL(同254)、カヤクアシッドブリリアントレッドBL(同265)、カヤノールミリングレッドGW(同276)、ミツイアシッドバイオレット6BN(同17)、ウォーターバイオレット♯1(同49)、インキバイオレットL10(同49)、スミトモパテントピュアブルーVX(C.I.アシッドブルー1)、ウォーターブルー♯106(同1)、パテントブルーAF(同7)、ウォーターブルー♯9(同9)、ダイワ青色1号(同9)、インキブルーL20(同9)、スプラノールブルーB(同15)、ウォーターブルー♯116(同15)、オリエントスルブルブルーOBX(同22)、スミノールレベリングブルー4GL(同23)、ミツイナイロンファストブルーG(同25)、カヤシルブルーAGG(同40)、カヤシルブルーBR(同41)、ミツイアリザリンサフィロールSE(同43)、スミノールレベリングスカイブルーRエクストラコンク(同62)、ミツイナイロンファストスカイブルーR(同78)、スミトモブリリアントインドシアニン6Bh/e(同83)、サンドランシアニンN−6B350%(同90)、ウォーターブルー♯105(同90)、オリエントソルブルブルーOBB(同93)、スプラノールシアニン7BF(同100)、スミトモブリリアントブルー5G(同103)、アシッドブルー(同103)、アシランブリリアントブルーFFR(同104)、カヤノールミリングウルトラスカイSE(同112)、カヤノールミリングシアニン5R(同113)、アイゼンオパールシアニン2GLH(同158)、ダイワギニアグリーンB(C.I.アシッドグリーン3)、アッシッドブリリアントミリンググリーン(同9)、ダイワグリーン♯70(同16)、カヤノールシアニングリーンG(同25)、スミノールミリンググリーンG(同27)、ウォーターオレンジ♯17(C.I.アシッドオレンジ56)等の酸性染料、ウォーターイエロー♯2(C.I.フードエロー3)、食品用黄色5号(C.I.フードエロー3)、食品用赤色3号(C.I.フードレッド14)、食品用青色2号(C.I.アシッドブルー74)、食品用緑色2号(C.I.アシッドグリーン5)等の食用染料、マラカイトグリーン(C.I.42000)、ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、メチルバイオレットFN(C.I.42535)、ローダミンF4G(C.I.45160)、ローダミン6GCP(C.I.45160)等の塩基性染料が挙げられる。
【0013】
顔料としてはSpecial Black6、同S170、同S610、同5、同4、同4A、同550、同35、同250、同100、Printex 150T、同U、同V、同140U、同140V、同95、同90、同85、同80、同75、同55、同45、同P、同XE2、同L6、同L、同300、同30、同3、同35、同25、同200、同A、同G(以上、デグサ・ジャパン(株)製)、♯2400B、#2350、#2300、#2200B、#1000、#950、#850、#MCF88、MA600、MA100、MA7、MA11、#50、#52、#45、#44、#33、#32、#30、CF9、#20B、#4000B(以上、三菱化成(株)製)、MONARCH 1300、同1100、同1000、同900、同880、同800、同700、MOGUL L、REGAL 400R、同660R、同500R、同330R、同300R、同99R、ELFTEX 8、同12、BLACK PERALS 2000(以上、米国、キャボットCo.LTD製)、Raven7000、同5750、同5250、同5000、同3500、同2000、同1500、同1255、同1250、同1200、同1170、同1060、同1040、同1035、同1020、同1000、同890H、同890、同850、同790、同780、同760、同500、同450、同430、同420、同410、同22、同16、同14、同825Oil Beads、同H20、同C、Conductex 975、同900、同SC(以上、コロンビヤン・カーボン日本(株)製)などのカーボンブラック、KA−10、同10P、同15、同20、同30、同35、同60、同80、同90、KR−310、同380、同460、同480(以上、チタン工業(株)製)、P25(日本アエロジル(株)製)などの酸化チタン、BS−605、同607(以上、東洋アルミ(株)製)、ブロンズパウダーP−555、同P−777(以上、中島金属箔工業(株)製)、ブロンズパウダー3L5、同3L7(以上、福田金属箔工業(株)製)などの金属粉顔料、また、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、群青、紺青、コバルトブルー、クロムグリーン、酸化クロム等の無機顔料、ハンザエロー−10G、同5G、同3G、同4、同GR、同A、ベンジジンエロー、パーマネントエローNCCG、タートラジンレーキ、キノリンエロー、スダーン1、パーマネントオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジGN、パーマネントブラウンFG、パラブラウン、ファイヤーレッド、ブリリアントカーミン6B、ボルドー5B、チオインジゴレッド、ファストバイオレットB、ジオキサンバイオレット、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、インジゴ、アシッドグリーンレーキ、フタロシアニングリーン等の有機顔料などが挙げられる。また、この他に硫化亜鉛、珪酸亜鉛、硫酸亜鉛カドミウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、タングステン酸カルシウム等の無機蛍光顔料が挙げられる。
【0014】
上記の他にタルク、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト、雲母、黒鉛、窒化ホウ素、Nε−ラウロイルリジン、N−ラウロイル−β−アラニンカルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、窒化ホウ素や繊維状物としてチタン酸カリウムウィスカー、炭酸カルシウムウィスカー、二酸化チタンウィスカー、硫酸マグネシウムウィスカー、硫酸カルシウムウィスカー、硫酸アルミニウムウィスカーなどの体質材やカルナバワックス、密ろう、木ろう等の天然系ワックス群、ポリエチレンワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、ジンクステアリルケトン、マイクロクリスタリンワックス等の合成系ワックス群、ステアリン酸、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸各種金属塩などの摩耗性付与材や、必要に応じてフタル酸ジアリル、フタル酸ジメチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレンカーボネート等の可塑剤類などを任意に単独もしくは併用して使用することができる。
【0015】
これら材料を任意に配合し、使用する結合剤の特性によっては水、MEK、アルコール等の極性溶剤や、トルエン等の無極性溶剤を任意に使用しながら、ヘンシルミキサー、ボールミル、3本ロールミル等の攪拌、粉砕、分散機により混練を行った後に成形する。クレヨンやパス等は加熱溶融しながら型入れした後、冷却し成形する方法が採用できる。更に、色鉛筆芯などの場合には、若干溶剤分を残存させた材料を縦型押し出し機用のシリンダーに装填し、油圧ピストンでシリンダー内材料を押し出し成形し、含まれる有機溶剤については乾燥機を利用して強制乾燥する等、既存の方法を採用して成形する。そして更に焼成処理を施す鉛筆芯の場合には、使用する結合材が焼成により焼結する800〜1300℃まで加熱して焼結体を得、焼結体の気孔中にシリコン油、流動パラフィン、スピンドル油、スクワラン、パラフィンワックス、カルナバワックスなどを適宜加熱などにより油状物化して含浸させて鉛筆芯を得る。尚前記気孔中に染料や顔料などを適宜併用し含浸により着色化させた色鉛筆芯としても良い。
【0016】
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
<固形描画材Aの準備>
ポリ塩化ビニル樹脂(結合材) 50重量部
黒鉛(体質材) 75重量部
ジオクチルフタレート(可塑剤) 25重量部
ステアリン酸塩(滑材) 2重量部
カーボンブラック(充填材) 2重量部
メチルエチルケトン(溶剤) 50重量部
上記材料をヘンシェルミキサーによる混合、3本ロールによる混練を施した後、細線状に押出成形し、空気中で300℃まで約10時間かけて昇温させ、更に密閉容器中で1000℃を最高温度とする焼成処理を施し呼び径0.5の焼成芯体を得た。この焼成芯体をヒノキオイル(HINOKI S−8484−W):流動パラフィン=8:2とする含浸成分中に常温で12時間浸漬後、表面上の余分な含浸成分を遠心分離器を用い除去して鉛筆芯を得た。
【0018】
<実施例1>
上記で得られた固形描画材Aを下記、被膜形成溶液1中に投入し30秒後に引き上げ、溶剤分を揮発させて固形描画材Aの表面に薄膜を形成させるディップコーティング法による被覆作業を行った。このディップコーティング法による作業を3回行い、芯体表面にヒノキオイル含有の被膜層を形成した鉛筆芯を得た。
被膜形成溶液1
ゴーセノールKL05(樹脂成分:日本合成化学工業(株)製、ポリビニルアルコール)
1重量部
HINOKI S−8484−W(香料成分:栄香料(株)製、ヒノキオイル) 9重量部
水(溶剤) 16重量部
エタノール(溶剤) 4重量部
【0019】
<実施例2>
実施例1で得られた鉛筆芯を下記、被膜形成溶液2中に投入しディップコーティング法による被覆作業を3回行った以外は実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
被膜形成溶液2
K90(樹脂成分:日本触媒(株)製、ポリビニルピロリドン) 10重量部
エタノール(溶剤) 20重量部
【0020】
<実施例3>
固形描画材Aを下記被膜形成溶液3中に投入しディップコーティング法による被覆作業を3回行い、芯体表面にヒノキオイルとヒノキオイル内包マイクロカプセル含有の被覆層を形成した鉛筆芯を得た。
被膜形成溶液3
ゴーセノールKL05(樹脂成分:日本合成化学工業(株)製、ポリビニルアルコール)
1重量部
HINOKI S−8484−W(香料成分:栄香料(株)製、ヒノキオイル) 9重量部
ヒノキカプセルコロン(香料成分:ケミテック(株)製、平均粒子径1〜5μm、ヒノキ
オイル内包マイクロカプセル) 1重量部
水(溶剤) 16重量部
エタノール(溶剤) 4重量部
【0021】
<実施例4>
実施例3で得られた鉛筆芯を、被膜形成溶液2中に投入しディップコーティング法による被覆作業を3回行った以外は実施例3と同様にして鉛筆芯を得た。
【0022】
<固形描画材Bの準備>
ニトロセルロース(結合材) 22重量部
Nε−ラウロイルリジン(体質材) 28重量部
ジンクステアリルケトン 7重量部
ステアリン酸(摩耗性付与材) 13重量部
プロピレンカーボネート(可塑材) 3重量部
フタロシアニンブルー(着色材) 20重量部
酸化チタン(着色材) 5重量部
HINOKI S−8484−W(香料成分:栄香料(株)製、ヒノキオイル)
1.5重量部
メチルエチルケトン(溶剤) 100重量部
上記配合物をヘンシルミキサーで分散後、三本ロールで混練して更なる分散を行い、溶剤であるメチルエチルケトン分を調整しながら縦型押し出し機で成形後、残存溶剤分を完全に除くため80℃で8時間乾燥して、呼び径2の青色の色鉛筆芯を得た。
【0023】
<実施例5>
上記で得られた固形描画材Bを被膜形成溶液1中に投入しディップコーティング法による被覆作業を3回行った以外は実施例1と同様にして呼び径2の青色の色鉛筆芯を得た。
【0024】
<実施例6>
実施例5で得られた色鉛筆芯を下記被膜形成溶液2中に投入しディップコーティング法による被覆作業を3回行った以外は実施例2と同様にして呼び径2の青色の色鉛筆芯を得た。
【0025】
<実施例7>
固形描画材Bを被膜形成溶液3中に投入しディップコーティング法による被覆作業を3回行った以外は実施例1と同様にして呼び径2の青色の色鉛筆芯を得た。
【0026】
<実施例8>
実施例7で得られた色鉛筆芯を、被膜形成溶液2中に投入しディップコーティング法による被覆作業を3回行った以外は実施例2と同様にして呼び径2の青色の色鉛筆芯を得た。
【0027】
<比較例1>
実施例1において、被膜形成作業を実施せず固形描画材Aのままとした以外は実施例1と同様にして鉛筆芯を得た。
【0028】
<比較例2>
実施例5において、被膜形成作業を実施せず固形描画材Bのままとした以外は実施例5と同様にして呼び径2の青色の色鉛筆芯を得た。
【0029】
以上、各実施例及び比較例で得られた鉛筆芯について、通気性のある50℃の乾燥機内に保管し、所定期間(I:1ヶ月放置、II:2ヶ月放置、III:6ヶ月放置)毎に取り出して、JIS S 6005の濃度測定で使用する画線機にて筆記し、その時得られた画線紙から芳香性が感じられるか、感じられないかについて無作為に選んだ5人のパネラーによって試験を行った。芳香を感じたパネラーの数の割合を百分率で表1に表す。
【0030】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に香料成分と、これを被覆する樹脂成分とを少なくとも有する固形描画材。
【請求項2】
基材となる棒状物表面に前記香料成分を塗布した後に、前記樹脂成分を塗布してなる請求項1に記載の固形描画材の製造方法。

【公開番号】特開2007−277279(P2007−277279A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101275(P2006−101275)
【出願日】平成18年4月1日(2006.4.1)
【出願人】(000005511)ぺんてる株式会社 (899)
【Fターム(参考)】