説明

固形食材の蜜漬け加熱装置

【課題】大量の固形食材を短時間での熱効率良く蜜漬けできる方法を提供する。
【解決手段】豆類や芋類、栗、果実などの固形食材(M)をその形崩れ防止用煮篭(C)へ一旦収容させた上、煮釜(T)内の糖蜜(S)へ漬け込んだ状態のもとに加熱して、その固形食材(M)の糖度を当初の淡蜜状態から目標とする濃蜜状態へ高めてゆくに当り、上記固形食材の蜜漬け中にある糖蜜を煮釜の外部に設置した循環ポンプ(62)により、その煮釜の底面(2)から排液管路(59)を経て、煮釜の上面に臨む糖蜜吐出ノズル(71)まで圧送し、その吐出ノズル(71)から吐出する糖蜜を糖蜜振り撒き体(A)の回転遠心力により、上記煮釜内にある糖蜜の液面(L−L)へ振り落とし拡散させて、その液面(L−L)からの水分蒸発作用を積極的に促進する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は甘納豆の原料となる豆類や芋類、栗、果実、その他の各種固形食材を大量処理できる蜜漬け加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の固形食材を大量処理できる蜜漬け加熱装置について、本発明の特許出願人は既に特許第3885057号を取得しており、これが本発明に最も近似する公知技術であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3885057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、その後も鋭意検討を重ねた結果、上記公知発明の構成では未だ改良すべき下記諸問題のあることが判明した。
【0005】
即ち、先ず第1に固形食材(M)の蜜漬け中にある糖蜜(S)の糖度(ブリックス)を検知する糖度センサー(21)が、煮釜(1)の胴面(1a)と電気ヒーター(2a)(2b)並びにその断熱材(3)を貫通する差し込み状態に取り付け固定されているため、その糖度センサー(21)のプリズムを固形食材(M)の蜜漬け加熱中(装置の運転中)に清掃作業することができない。
【0006】
そのプリズムの清掃作業時には、固形食材(M)が収容されている煮篭(C)を煮釜(1)から吊り出すと共に、その煮釜(1)から糖蜜(S)を抜き出さなければならないからである。
【0007】
第2に、糖蜜用排液管路(49)における循環ポンプ(54)の吐出幹路(57)から分岐状態に導出された1、2次吐出枝路(58)(59)が、その各個の開閉弁(二方弁)(60)(61)により切り換えられる組み合わせ式であるため、その誤操作によって循環回路(R)の全体が閉弁状態となり、循環ポンプ(54)やその駆動モーター(22)などの破損するおそれがある。
【0008】
第3に、蒸気ジャケット(4)が煮釜(1)の底面(1b)だけに配設されており、煮釜(1)の胴面(1a)には設置されていないため、その煮釜(1)における容量との関係上、蒸気での加熱力が未だ弱く、固形食材(M)の1次的な煮炊きとその後の2次的な蜜漬けを熱効率良く遂行することができない。
【0009】
第4に、糖蜜振り撒き体用駆動モーター(23)の伝動軸(33)に対する糖蜜振り撒き体(A)の着脱連結操作や、煮釜(1)に対する煮篭(C)の出し入れ作業を行なえるようにする構成として、先ずクランプレバー(29)の操作によりモーター据付け架台(27)の片持ち支柱(26)と、取付け台(24)のスタンド脚筒(25)との咬み合い状態を解除し、次いで別なハンドル(30)の操作により、そのスタンド脚筒(25)から上記片持ち支柱(26)を上昇させ、更に一定角度(β)だけ旋回させるようになっているため、その言わば3段階の操作上甚だ煩らわしく重労働となり、不便でもある。
【0010】
第5に、固形食材(M)を収容する煮篭(C)が保形強度に富む篭であれば足り、その好ましい煮篭(C)として落し蓋(B)と組み立て使用される篭本体(A)の構成でも、底面が全然開閉しないため、煮炊き終了した固形食材(M)や蜜漬け終了した固形食材(M)の全体を、煮篭(C)から安楽にすばやく取り出すことができず、その大量処理上の作業能率に劣る問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はこのような諸問題の改良を目的としており、その目的を達成するために請求項1では固形食材の蜜漬け用糖蜜を貯溜する断面ほぼU字形の煮釜と、
【0012】
その煮釜における胴面の下部と底面を連続的に包囲する蒸気ジャケットと、
【0013】
同じく煮釜における胴面の上部へ包囲状態に巻き付けられた面状電気ヒーターと、
【0014】
上記固形食材や糖蜜の加熱温度を検知すべく、煮釜における胴面の下部へ蒸気ジャケットを貫通する状態に差し込み固定された接触式の加熱温度センサーと、
【0015】
上記蒸気ジャケットから導出された蒸気供給管路並びにその中途部へ並列状態に介挿設置された複数の開閉用電磁弁と、
【0016】
上記煮釜の底面から蒸気ジャケットを一旦貫通して、引き続き分岐状態に導出された煮炊き汁や湯水用の排水管路並びに糖蜜用の排液管路と、
【0017】
その排液管路の中途部に介挿設置された強制循環ポンプ並びにその回転駆動モーターと、
【0018】
その循環ポンプの吐出幹路から引き続き分岐状態に導出されて、上記煮釜における胴面の上端部付近に開口する1次吐出枝路並びに煮釜の開口上面に向かって迂回する2次吐出枝路と、
【0019】
上記煮釜における胴面の上端部付近へ片持ち状態に設置された水平なモーター据付け架台と、
【0020】
そのモーター据付け架台が煮釜の上面中央部を指向して張り出す先端部に搭載された糖蜜振り撒き体用駆動モーターと、
【0021】
その駆動モーターから垂下する出力軸と一体回転し得る伝動軸の下端部へ、着脱自在に連結一本化された糖蜜振り撒き体用回転支軸と、
【0022】
多数の糖蜜流通孔が胴面に開口分布された円形の篭から成るものとして、上記回転支軸の下端部へ組み付けユニット化された糖蜜振り撒き体と、
【0023】
上記糖蜜振り撒き体用回転支軸の包囲可能な二重円筒形として、その内外相互間隙の中途高さ位置が上記2次吐出枝路の先端部に連通接続された糖蜜吐出ノズルと、
【0024】
上記煮釜の開口上面に向かって送風すべく、その煮釜における胴面の上端部付近に固定支持された水分蒸発促進用冷却ファンとを備え、
【0025】
上記固形食材が収容された形崩れ防止用煮篭の複数を、その積み重ね静置状態として煮釜内の糖蜜に漬け込んで、上記蒸気のみか又は蒸気と電気による加熱中、
【0026】
その糖蜜を上記循環ポンプの駆動により煮釜の底面から排液管路の吐出幹路と2次吐出枝路を経て、その先端部の糖蜜吐出ノズルまで圧送する強制的な対流・撹拌作用と、その糖蜜吐出ノズルから煮釜内への帰還状に吐出する糖蜜を、上記糖蜜振り撒き体の回転遠心力により振り落とす拡散作用と、上記冷却ファンの回転風力による蒸気の吹き飛ばし排気作用とを与えて、その糖蜜の液面から水分を積極的に蒸発させる固形食材の蜜漬け加熱装置において、
【0027】
上記糖蜜用排液管路の吐出幹路から分岐状態に導出された1、2次吐出枝路の切り換えを、Lポートの三方弁によって行なえるように定めると共に、
【0028】
上記吐出幹路の中途部へインライン型屈折率計から成る糖度センサーを、そのプリズムへの糖蜜導入用配管ヘッダーを介して着脱自在に接続固定し、
【0029】
その糖度センサーが糖蜜の糖度を検知した出力電気信号に基き、上記循環ポンプ用駆動モーターと糖蜜振り撒き体用駆動モーターとの回転数を調整制御し、
【0030】
固形食材の糖度が当初の淡蜜状態から目標とする濃蜜状態に到達した時、その糖度センサーからの検知出力信号に基いて、上記駆動モーター並びに冷却ファンの回転と加熱を自動停止させるように定めたことを特徴とする。
【0031】
又、請求項2では糖度センサーにおけるプリズムへの接液口が形成されたサファイアアダプターの先端部から、フェルールを一体的に張り出す一方、
【0032】
糖蜜用排液管路における吐出幹路の中途部に、一対のフェルールを張り出し形成しておき、
【0033】
糖蜜導入用配管ヘッダーのヘッダー本体をその内部中央に糖蜜導入ガイド壁が垂立するほぼシルクハット形に造形して、そのヘッダー本体の取付け部に対応形成したフェルールを上記糖度センサー側のフェルールへ、クランプバンドによって着脱自在に締結一体化すると共に、
【0034】
上記ヘッダー本体の胴面から相反する方向へ張り出す一対の分岐管の先端部に対応形成したフェルールを上記吐出幹路側のフェルールへ、やはりクランプバンドによって着脱自在に締結一体化し、
【0035】
上記配管ヘッダーにおける一方の分岐管から他方の分岐管へ流動する糖蜜を、その糖蜜導入ガイド壁により上記糖度センサーのプリズムと接触する方向へ自づと迂回導入させるように定めたことを特徴とする。
【0036】
請求項3では煮釜における胴面の上端部付近へ水平な減速機用支持架台を溶接一体化して、その支持架台又はこれからの水平な延長架台上へ、直交軸型の減速機又はギヤードモーターを取り付け固定する一方、
【0037】
糖蜜振り撒き体用駆動モーターが搭載されたモーター据付け架台の基端部から一体的に垂下する片持ち支柱の下端部を、上記ギヤードモーター又は減速機の出力軸上に嵌め付け一体化して、
【0038】
同じくギヤードモーター又は減速機の入力軸上に嵌め付け一体化した回動ハンドルを回動操作すれば、上記モーター据付け架台の片持ち支柱が上記出力軸を水平の枢支点として約90度の一定角度だけ回動作用し、そのモーター据付け架台を上記煮釜の開口上面から廻し起し退避させることができるように定めたことを特徴とする。
【0039】
請求項4では煮釜の据付け台に固定された直管型の下側ポールと、その下側ポールへ一定角度だけ旋回し得る同芯嵌合状態に組み立てられたほぼ倒立L字形の上側ポールとから成るチエンホイスト用支持ポールを、上記据付け台から糖蜜振り撒き体用駆動モーターの据付け架台よりも背高く垂立させて、その上側ポールの先端部に電動チエンホイストを取り付ける一方、
【0040】
各煮篭の篭本体を円形の胴面と底面とから成る断面ほぼU字形に造形して、その底面の直径方向に沿い一定帯幅だけ横断する水平な固定仕切り板の中心部から、上記電動チエンホイストのハンガーフックへ係脱自在に係止し得る多孔芯筒を上向き一体的に垂立させると共に、
【0041】
上記篭本体の底面における固定仕切り板の平行なストレート縁部へ複数づつの蝶番により、対称な一対の可動底板を開閉自在に枢着して、
【0042】
上記電動チエンホイストのハンガーフックを蜜漬け終了した固形食材の収容状態にある篭本体の多孔芯筒へ係止して、煮釜の内部から吊り出した上、その篭本体の両可動底板を開放させることができるように定めたことを特徴とする。
【0043】
更に、請求項5では固形食材の形崩れ防止用煮篭を篭本体と、その内部へ落し込める大きさの相似な円形蓋体とから成る1組として、
【0044】
1本の金属線材から屈曲するほぼU字形をなし、且つそのU字形の切り離し両端部が直線状の水平な差込み枢軸により連結された把手の複数を、上記蓋体へ直径方向に沿う進退スライド自在に取り付け、
【0045】
その各把手の差込み枢軸を進出操作して、上記篭本体の胴面に開口分布する目孔へ差し込み係止させることにより、上記蓋体をその篭本体との固定維持状態に使用し得る一方、
【0046】
同じく各把手の差込み枢軸を上記篭本体の目孔から内向きに抜き出し退避させることにより、上記蓋体をその篭本体内での自由自在に昇降する落し蓋としても使用できるように定めたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0047】
請求項1の上記構成によれば、糖蜜用排液管路における循環ポンプの吐出幹路から分岐状態に導出配管された1次吐出枝路と2次吐出枝路とが、Lポートの三方弁によって切り換えられるようになっているため、その糖蜜の循環回路が全体的に閉弁状態となる誤操作を生じず、その結果循環ポンプやその駆動モーターなどの破損事故を招来するおそれもない。
【0048】
又、固形食材の蜜漬け加熱中にある糖蜜の糖度(ブリックス値)を検知する糖度センサーが、インライン型(プロセス)屈折率計から成るものとして、そのプリズムへの糖蜜導入(接液)用配管ヘッダーを介して、上記糖蜜用排液管路における吐出幹路の中途部へ着脱自在に接続固定されているため、糖度センサーのプリズムを清掃作業する場合に、上記吐出幹路の中途部から配管ヘッダーを取りはずして、その糖度センサーのプリズムを露出させれば良く、冒頭に述べた従来技術のように、固形食材が収容されている煮篭を煮釜から吊り出すと共に、その煮釜から糖蜜を抜き出す必要はない。
【0049】
その場合、請求項2の構成を採用するならば、上記排液管路における循環ポンプの吐出側から煮釜の内部へ帰還状に流動する方向・過程の糖蜜を、その配管ヘッダーにおけるヘッダー本体の中央部に垂立する糖蜜導入ガイド壁により、糖度センサーのプリズムと必らず接触(接液)する導入方向へ、自づと迂回(屈曲)させることができ、その結果糖度(ブリックス値)の検知性能や安定性が著しく向上する。
【0050】
しかも、配管ヘッダーにおけるヘッダー本体の取付け部(基端部)を糖度センサーにおけるサファイアアダプターの先端部へ、そのヘッダー本体の胴面から相反方向(左右方向)へ導出された両分岐管の先端部を、上記排液管路における吐出幹路の中途部に残る対応的な先端部へ、各々フェルールとそのフェルール同士のクランプバンドによって、着脱自在に締結一体化することができ、その接続や分解の諸作業をすばやく簡便に行なえる効果もある。
【0051】
又、請求項3の構成を採用するならば、直交軸型減速機又はギヤードモーターの入力軸上に嵌め付けた回動ハンドルの回動操作により、糖蜜振り撒き体用駆動モーターの据付け架台やその煮釜に対する片持ち支柱を、煮釜の開口上面から退避する廻し起し状態へ、又はその逆に煮釜の開口上面に張り出す使用状態へ、各々一挙に変換することができ、冒頭に述べた従来技術のような3段階の煩らわしい操作が不要となり、大変便利である。
【0052】
請求項4の構成を採用するならば、固形食材の蜜漬け加熱を終了した場合、チエンホイスト用支持ポールの上側ポールを下側ポールに対して旋回させることにより、その電動チエンホイストのハンガーフックを固形食材の収容状態にある篭本体の多孔芯筒へ係止して、その煮篭を煮釜から外部へ吊り出した後、予じめ用意した別な収容ケースまで下降させた未だ宙吊り状態のままで、上記篭本体の可動底板を開放操作することにより、蜜漬け終了した固形食材を篭本体から上記収容ケースへ、瞬時に洩れなく移し入れることができ、従来技術のように煮篭の蓋体を取りはずすと共に、その後篭本体を上下反転させる(裏返す)必要がなく、煮篭からの取り出し作業性並びに大量処理上の利便性に著しく優れる。
【0053】
更に、請求項5の構成を採用するならば、例えば固形食材が甘納豆の原料である豆類として、その1次的な煮炊きと引き続く2次的な蜜漬け加熱を行なうような場合に、煮篭の蓋体をその篭本体内への落し蓋として自由に昇降し得る状態と、同じく篭本体内の一定深さ位置へ組み付け固定した状態に、すばやく使い分けることができ、このような使い分けは固形食材の種類やその他の条件に応じても行なえるため、著しく便利である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る蜜漬け加熱装置の概略全体を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図1の平面図である。
【図4】図1の部分拡大図である。
【図5】図4から糖蜜振り撒き体を廻し起し退避させた状態の部分拡大図である。
【図6】図3から蒸気供給管路と排水管路を抽出して示す拡大平面図である。
【図7】蜜漬け用トップカバーの取付状態を示す図3に対応する平面図である。
【図8】図1の一部破断正面図である。
【図9】同じく図1の一部破断側面図である。
【図10】1、2吐出枝路の切り換え用三方弁を抽出して示す側面図である。
【図11】糖蜜吐出ノズルと糖蜜振り撒き体との取付関係を抽出して示す断面図である。
【図12】図11の12−12線断面図である。
【図13】図11の糖蜜振り撒き体を抽出して示す半欠截断面図である。
【図14】図13の上段篭を抽出して示す平面図である。
【図15】図14の15−15線断面図である。
【図16】図13の下段篭を抽出して示す平面図である。
【図17】図16の17−17線断面図である。
【図18】糖度センサーを抽出して示す正面図である。
【図19】図18の背面図である。
【図20】図19の20−20線断面図である。
【図21】糖蜜用排液管路に対する糖度センサーの取付状態を抽出して示す正面図である。
【図22】図21の平面図である。
【図23】図21の側面図である。
【図24】トップカバー用支持ステーを抽出して示す平面図である。
【図25】図24の正面図である。
【図26】図24の26−26線断面図である。
【図27】チエンホイスト用支持ポールを抽出して示す正面図である。
【図28】上側ポールと下側ポールとの嵌合部分を抽出して示す断面図である。
【図29】煮篭の篭本体を抽出して示す平面図である。
【図30】図29の底面図である。
【図31】図29の側面図である。
【図32】図31の部分拡大図である。
【図33】図32の側面図である。
【図34】図29の34−34線に沿う拡大断面図である。
【図35】煮篭の蓋体を抽出して示す平面図である。
【図36】図35の36−36線に沿う拡大断面図である。
【図37】固形食材の煮炊き作用状態を示す説明図である。
【図38】固形食材の蜜漬け作用状態を示す説明図である。
【図39】本発明の電気制御回路図である。
【図40】同じく電気制御回路図である。
【図41】同じく電気制御回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、図面に基いて本発明の具体的構成を詳述すると、その本発明に係る蜜漬け加熱装置の概略全体を示した図1〜10において、(T)はステンレス鋼板(SUS304)から成る円筒形胴面(1)と円錐受け皿形底面(2)との突き合わせ溶接やその他の加工によって断面ほぼU字形に作成された煮釜であり、図示の一例では約800mmの内径と約1165mmの深さ並びに約500リットルの容量(仕込み量:4斗)を有する。
【0056】
(3)は上記煮釜(T)の開口上面から約170mmだけ下がった中途高さ位置において、その胴面(1)へ補強連結板(フラットバー)(4)を介して溶接一体化された水平な減速機用支持架台であり、図3、7のような平面視の四角形を呈している。
【0057】
そして、このような支持架台(3)自体の前右角隅部又はその前右角隅部から張り出す延長架台(5)の上面に後述するモーター据付け架台の廻し起し用減速機が取り付け固定されることとなるほか、同じく支持架台(3)自体の別な前左角隅部付近から張り出す支持ステー(6)によって、後述するチエンホイスト用支持ポールの中途高さ位置が受け持ち固定されることになる。
【0058】
(7a)は上記水平な減速機用支持架台(3)から一体的に垂下された円形の上側カバーステー、(7b)は上記煮釜(T)の開口上面から約770mmだけ下がった中途高さ位置において、その胴面(1)から一体的に張り出された円形の下側カバーステーであり、これらカバーステー(7a)(7b)同士の上下相互間に介在する上下一対の面状電気ヒーター(8a)(8b)が、その煮釜(T)の胴面(1)へ密着状態に巻き付けられている。
【0059】
図示の一例では、その両電気ヒーター(8a)(8b)が互いに同じ10kwのバンドヒーターから成り、これを煮釜(T)における固形食材(M)の収容量やその他の条件に応じ、その上下一対の合計20kwとして又は下側だけの10kwとして選択使用することができるようになっている。(9)はその両電気ヒーター(8a)(8b)を包囲する断熱材(ブランケット)であり、言うまでもなく煮釜(T)の胴面(1)に巻き付け固定されている。
【0060】
(10)は上記煮釜(T)の胴面(1)における下側カバーステー(7b)よりも下部と、同じく底面(2)の全体とを連続的に包囲する気密状態に溶接一体化された蒸気ジャケットであり、複数の脚柱(11)によって水平な据付け台(12)の約左半部に固定支持されている。煮釜(T)に収容された固形食材(M)を、その煮釜(T)の底面(2)からだけでなく、胴面(1)における下側の約3分の1からも蒸気によって早く、且つ強力に加熱することができるようになっているのである。
【0061】
尚、上側カバーステー(7a)と下側カバーステー(7b)には断熱用の安全カバー(図1、2の鎖線参照)が係脱自在に係止されており、これによって上記煮釜(T)の両電気ヒーター(8a)(8b)のみならず、その下部位置にある蒸気ジャケット(10)の胴面も安全に包囲されている。
【0062】
(13)は煮釜(T)の底面(2)と、蒸気ジャケット(10)の対応的な底面との相互間へ、図8、9のような垂立状態に溶接一体化された多数の補強棒であり、煮釜(T)の耐荷力を向上させている。(14)は上記据付け台(12)の残る右半部から一体的に立設された電気制御ボックス用支持枠であり、図39〜41のような電気制御回路(基板)を備えた開閉扉(15)付き電気制御ボックス(16)がその支持枠(14)の上面に搭載されている。(17)は上記据付け台(12)の昇降脚座であり、その複数によって作業床への据付け高さと水平度を調整できるようになっている。
【0063】
又、(18)は上記蒸気ジャケット(10)の中央部に内蔵設置された水平なリング状の蒸気吹出し管であり、その円周面には多数の放射状蒸気吹出し孔(19)が開口分布されている。(20)はその蒸気吹出し管(18)から蒸気ジャケット(10)の底面を貫通して、図3、6のような後向き水平に導出された蒸気供給管路であり、その入口部が開閉弁(ゲートバルブ)(21)を介してボイラーなどの蒸気供給源へ接続使用されることになる。(22)は蒸気ジャケット(10)の底面から導出された腹水用ドレン管、(23)はその手動開閉弁(ボールバルブ)である。
【0064】
(24a)(24b)は上記蒸気供給管路(20)の中途部(分岐管部)に介挿設置された左右一対の電磁弁、(25)は同じく中途部に介在する1個の開閉弁(ゲートバルブ)であって、これらから形成された全体的な並列回路を切り換え操作して使用できるようになっている。(26)はその両電磁弁(24a)(24b)の入口側に介在する開閉弁(ゲートバルブ)、(27)は蒸気供給管路(20)の配管ブラケットであり、上記据付け台(12)から一体的に起立している。尚、蒸気ジャケット(10)から蒸気供給管路(20)と別個に導出された配管上の圧力計や安全弁、エアートラップなどは図示省略してある。
【0065】
(28)は上記煮釜(T)の胴面(1)とその蒸気ジャケット(10)を貫通する水平の差し込み固定状態に取り付けられた接触式の加熱温度センサーであって、抵抗温度計(白金測温抵抗体)などから成り、煮炊き中にある固形食材(M)の加熱温度やその蜜漬け中にある糖蜜(S)の加熱温度を検知する。
【0066】
そして、図39〜41の電気制御回路に示す如く、その加熱温度センサー(28)からの検知出力信号を受けたコントローラー(シーケンサー)(29)により、上記蒸気供給管路(20)に介挿設置されている複数の電磁弁(24a)(24b)を開閉制御する一方、上記電気ヒーター(8a)(8b)の電源をオン・オフ制御し、蒸気供給量などの加熱力を自動調整できるようになっている。
【0067】
更に、(30)は上記減速機用支持架台(3)における前右角隅部の上面又はその前右角隅部から張り出す水平な延長架台(5)の上面へ、複数のボルト(図示省略)などにより取り付け固定された直交軸型の減速機又はギヤードモーターであって、その直交状態での噛合回転する入力軸(モーター軸)(31)と出力軸(ギヤ軸)(32)を具備している。
【0068】
(33)は上記支持架台(3)又はその延長架台(5)の真上位置から煮釜(T)の上面中央部を指向する張り出し状態に延在する水平なモーター据付け架台であり、その先端部に糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)が搭載されている。(35)はそのモーター据付け架台(33)に被着されたモーターカバーである。
【0069】
他方、同じくモーター据付け架台(33)の基端部からは片持ち支柱(36)が一体的に垂下しており、その片持ち支柱(36)の下端部は上記減速機又はギヤードモーター(30)の出力軸(ギヤ軸)(32)上に嵌め付け一体化されている。そして、その減速機又はギヤードモーター(30)の入力軸(モーター軸)(31)上には回動ハンドル(37)が嵌め付けられており、これを回動操作すれば、上記モーター据付け架台(33)の片持ち支柱(36)が図4から図5のように、減速機又はギヤードモーター(30)の出力軸(ギヤ軸)(32)を水平の枢支点として、約90度の一定角度(α)だけ回動作用し、そのモーター据付け架台(33)を煮釜(T)の開口上面から廻し起し退避させることができ、延いては後述の駆動モーター(34)に対する糖蜜振り撒き体(A)の着脱作業や、煮釜(T)に対する煮篭(C)の出し入れ作業などを支障なく行なえるようになっている。尚、逆に図5から図4の使用状態へ回動操作することも勿論可能である。
【0070】
上記糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)はインバーター(38)によって変速制御される中空ギヤードモーターから成り、そのモーター据付け架台(33)から煮釜(T)の中央部に向かって垂下する出力軸(図示省略)の下端部には、図11のような一定長さの伝動軸(39)が一体回転し得るように連結一本化されている。(40)はその伝動軸(39)を受け持つ上下一対のラジアルベアリング、(41)は同じくスラストベアリング、(42)はそのベアリングケースであり、上記モーター据付け架台(33)の下面に取り付けられている。(43)はそのベアリングケース(42)の固定カバーである。
【0071】
又、(44)は一定長さの糖蜜振り撒き体用回転支軸であって、その上端部のソケット(45)が上記伝動軸(39)の下端部へ着脱自在に連結一本化されている。(46)はストッパーである。そして、回転支軸(44)の下端部に糖蜜振り撒き体(A)が組み付けユニット化されている。その糖蜜振り撒き体(A)は煮釜(T)内にある糖蜜(S)の液面(L−L)へ、図8、9のように上方から臨むこととなる。
【0072】
茲に、糖蜜振り撒き体(A)は固形食材(M)の蜜漬け中、上記駆動モーター(34)により回転されて、煮釜(T)の内部へ上方から糖蜜(S)を振り落とし拡散させ、固形食材(M)の糖度が高くなるに連れて、その糖蜜(S)の液面(L−L)に皮膜が生成されることにより、水分の蒸発が遮断されてしまうことを予防するものであり、具体的には図11〜17のような多数の糖蜜流通孔(47)が胴面に開口分布する比較的浅い円形の篭(48a)(48b)として、その上下2段を予じめ上記回転支軸(44)へ積み重ね状態に組み付け一体化している。
【0073】
更に言えば、その糖蜜振り撒き体(A)となる上段篭(48a)の底面はパンチングメタルとして、複数の糖蜜落下孔(49)が開口分布されているに反し、同じく振り撒き体(A)となる下段篭(48b)の底面はこのような糖蜜落下孔(49)を具備しない盲目状態にあり、その何れも回転支軸(44)の回転遠心力を受けて、胴面の糖蜜流通孔(47)から糖蜜(S)を周辺へ振り飛ばし拡散させることができるようになっている。
【0074】
(50)は上記下段篭(48b)の底面に溶接一体化された金属線材の接地用脚枠、(51)は同じく下段篭(48b)の底面中央部と上段篭(48a)の底面中央部へ、各々溶接一体化された軸受け環であり、これらに上記回転支軸(44)を差し込み貫通させた上、止めネジ(52)によって着脱自在に固定されている。但し、糖蜜振り撒き体(A)の構成としては上記作用を営なめる限り、その上下2段の何れか一方を省略したり、或いは逆にその3段以上の積み重ね状態に増加したりしても良い。
【0075】
他方、(53)は上記煮釜(T)の胴面(1)における減速機用支持架台(3)よりも上部から、図3、7、8のように左方向へ導出された給水管路であり、その入口部が手動開閉弁(ボールバルブ)(54)を介して、水道の蛇口やその他の給水源へ接続使用されることになる。(55)は同じく煮釜(T)における底面(2)の中央部から蒸気ジャケット(10)の貫通状態に垂下して、上記蒸気供給管路(20)と逆な前向き水平に導出された排水口筒、(56)はその排水口筒(55)の配管サポート、(57)は上記煮釜(T)の底面(2)と、蒸気ジャケット(10)の対応的な底面との相互間へ、垂立状態に溶接一体化された耐荷用補強筒であり、上記排水口筒(55)を包囲している。
【0076】
そして、上記排水口筒(55)の先端部(前端部)からは図1〜3や図6〜9のように、固形食材(M)の煮炊き後における煮汁や湯水の排水管路(58)と、引き続く蜜漬け後における糖蜜(S)の排液管路(59)とが、相反する左右方向への分岐状態として水平に導出されている。(60)(61)はその分岐状態にある両管路(58)(59)を切り換える手動開閉弁(ボールバルブ)である。
【0077】
又、(62)は上記排水口筒(55)から右方向へ分岐する排液管路(59)の中途部に介挿された強制循環ポンプであって、据付け台(12)に約右半部に据え付け固定されており、上記煮釜(T)内での煮炊き中にある煮汁や湯水と、同じく蜜漬け中にある糖蜜(S)をその煮釜(T)の排水口筒(55)から吸入することになる。
【0078】
茲に、循環ポンプ(62)はインバーター(63)によって制御されるロータリーポンプ、就中可変容量型のトロコイドポンプから成り、そのローター(図示省略)が循環ポンプ用駆動モーター(64)によって回転される。その駆動モーター(64)は上記電気制御ボックス用支持枠(14)の枠内に固定設置されており、その出力軸が伝動カップリング(65)を介して、循環ポンプ(62)のローターと連結一体化されている。
【0079】
(66)は上記糖蜜(S)の排液管路(59)における循環ポンプ(62)の吐出側から図7〜10のように、Tポートの第1三方弁(67)を介して一旦上向きに分岐し、引き続き電気制御ボックス用支持枠(14)の前面を水平に横架した後、煮釜(T)の胴面(1)や電気制御ボックス(16)の左側面に沿って上向き垂立状態に配管された吐出幹路であり、その先端部(上端部)からは更にLポートの第2三方弁(68)を介して、図1〜3や図8、9のような煮釜(T)の胴面(1)における上記減速機用支持架台(3)よりも上部へ斜め下向きに開口する1次吐出枝路(69)と、同じく煮釜(T)の開口上面に向かって迂回する2次吐出枝路(70)とが分岐状態に延長配管されている。
【0080】
そのため、上記吐出幹路(66)から分岐した1、2次吐出枝路(69)(70)の切り換えを第2三方弁(68)の操作によって、又排液管路(59)から吐出幹路(66)に向かう糖蜜(S)の循環とその排液との切り換えを第1三方弁(67)の操作によって、各々簡便に行なえるのであり、後述する循環回路(R)の全体が閉弁状態となる誤操作を生じないので、上記循環ポンプ(62)やその駆動モーター(34)などの破損事故も起らない。
【0081】
特に、2次吐出枝路(70)は図8、9に示す如く、その吐出幹路(66)から上記糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)の据付け架台(33)とほぼ同一設置高さとして、一旦煮釜(T)よりも背高く張り出し屈曲された後、再び上記伝動軸(39)とほぼ平行に垂下しており、しかもその2次吐出枝路(70)の先端部(下端部)が糖蜜吐出ノズル(71)を形作っているのである。
【0082】
その糖蜜吐出ノズル(71)は図11、12のような糖蜜振り撒き体用回転支軸(44)を包囲する二重の円筒形として、その内外相互間隙(72)の中途高さ位置に上記2次吐出枝路(70)が連通接続状態に固定一体化されており、その吐出ノズル(71)の内外相互間隙(72)から上記糖蜜振り撒き体(A)の就中上段篭(48a)内へ、糖蜜(S)が吐出されるようになっている。その糖蜜(S)は既に説明したとおり、振り撒き体(A)の回転遠心力よって煮釜(T)の内部へ、上方から振り落とし拡散されることになる。(73)は上記吐出ノズル(71)における内外相互間隙(72)の上端部に介挿設置されたOリングである。
【0083】
つまり、上記糖蜜(S)の排液管路(59)だけは図示のように、その中途部の循環ポンプ(62)と吐出幹路(66)並びに1、2次吐出枝路(69)(70)とから成る循環回路(R)として配管されており、煮釜(T)内での煮炊き中にある煮汁や湯水と、引き続き同じ煮釜(T)内での蜜漬け中にある糖蜜(S)を、その煮釜(T)の外部から何れも強制的に撹拌・対流させて、これらの加熱ムラを無くすと共に、糖蜜(S)からの水分蒸発作用を促進し得るようになっているのである。
【0084】
更に言えば、固形食材(M)の1次的な煮炊き中には図37のように、上記第2三方弁(68)の切り換え操作により、2次吐出枝路(70)を閉鎖し、1次吐出枝路(69)を開放して、煮釜(T)内の煮汁や湯水を上記排液管路(59)の循環ポンプ(62)に吸入し、その吐出幹路(66)から1次吐出枝路(69)を通じて、煮釜(T)における胴面(1)の上部位置から帰還状態に吐出することにより、その煮汁や湯水を煮釜(T)内での全体的に撹拌・対流させる。
【0085】
そして、引き続く固形食材(M)の2次的な蜜漬け中には図38のように、糖蜜振り撒き体(A)を回転駆動する一方、やはり第2三方弁(68)の切り換え操作により、逆に1次吐出枝路(69)を閉鎖し、2次吐出枝路(70)を開放して、煮釜(T)内の糖蜜(S)を循環ポンプ(62)により、その煮釜(T)の排水口筒(55)から排液管路(59)の吐出幹路(66)と2次吐出枝路(70)を通じて圧送し、その2次吐出枝路(70)の先端部をなす糖蜜吐出ノズル(71)から、上記回転中にある糖蜜振り撒き体(A)へ吐出させることにより、その回転遠心力とも相俟って糖蜜(S)を振り落とし拡散させ、煮釜(T)内にある糖蜜(S)の液面(L−L)を積極的に波立たせて、その液面(L−L)からの水分蒸発作用を促進し、ここに皮膜が生成することを防ぐのである。
【0086】
この点、図示の実施形態では上記1次吐出枝路(69)を1本として、煮釜(T)における胴面(1)の1個所へ、好ましくは給水管路(53)と向かい合う位置関係のもとに開口させているが、その1次吐出枝路(69)を複数本として煮釜(T)の胴面(1)へ、平面視の全体的な放射対称分布型に点在開口させても良い。そうすれば、固形食材(M)の1次的な煮炊き中にある煮汁や湯水を、その煮釜(T)内での全体的に一層効率良く撹拌・対流させることができ、加熱ムラの予防効果がますます向上する。
【0087】
尚、詳細な説明は省略するが、上記糖蜜(S)の排液管路(59)とこれから分岐する吐出幹路(66)並びに1、2次吐出枝路(69)(70)は、シリコンブレードホース(74)やそのホースアダプター(75)、クランプバンド(76)などを使用して、着脱自在に連結配管されており、その連結部分から取りはずし、保守・点検や交換などを行なうこともできるようになっている。
【0088】
上記糖蜜(S)の排液管路(59)における循環ポンプ(62)の吐出側から分岐された吐出幹路(66)の中途部は、電気制御ボックス用支持枠(14)の前面を水平に横架していると説明したが、このような吐出幹路(66)の中途部には糖度センサー(B)が介挿設置されており、これによって固形食材(M)の蜜漬け中にある糖蜜(S)の糖度(ブリックス値)を検知し、その糖度センサー(B)からの検知出力信号を受けた上記コントローラー(シーケンサー)(29)により、上記循環ポンプ用駆動モーター(64)の回転数と糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)の回転数を調整制御するほか、加熱を止めることもできるようになっている。
【0089】
茲に、糖度センサー(B)はインライン型(プロセス)屈折率計であって、図18〜20に抽出して示す如く、ステンレス鋼から円筒状に造形された鏡筒(77)を備え、その内部が言わば検知部として、ここには比較的大型のプリズム(78)や光源(LED)(79)のほか、対物レンズ(80)とリレーレンズ(81)並びに細い円筒状の遮光シャーシ(82)から成る光学組立体も設置されており、そのプリズム(78)と上記吐出幹路(66)を流動中にある糖蜜(S)との境界面(接触面)へ、光源(79)から光を入射して、その光をプリズム(78)から出射させるようになっている。(83)はプリズムガスケットである。
【0090】
他方、(84)は上記鏡筒(77)の基端部から張り出す径大な基板支持フランジであり、上記プリズム(78)から出射した光を検知するイメージセンサー(画像検出器)(CCDやCMOS)(85)のほか、その検知出力信号から測定された屈折率を糖度(ブリックス値)に変換する電子回路やその他の必要な電子処理回路を備えたセンサー基板(CPU)(86)も、その基板支持フランジ(84)に固定設置されている。
【0091】
(87)は上記鏡筒(77)の全体を包囲した保護筒であり、その径大な先端フランジ(88)にサファイアアダプター(プリズムステージ)(89)から対応的に張り出す径大な基端フランジ(90)が接合一体化されている。(91)はそのサファイアアダプター(89)の中心部に形成された接液口、(92)は同じくアダプター(89)の先端部に張り出し形成されたフェルール、(93)は上記保護筒(87)の円周面から張り出された多数の放熱(空冷)フィンである。
【0092】
又、同じく保護筒(87)からは上記鏡筒(77)の基板支持フランジ(84)を受け止める径大な基端フランジ(94)と、その基端フランジ(94)から保護筒(87)自体よりも太く短かいネジ口筒(95)とが各々張り出し形成されている。(96)は耐熱性の配線ボックスであり、上記保護筒(87)のネジ口筒(95)へ包囲状態に差し込まれた上、ナット(97)によって締め付け固定されている。(98)は熱絶縁材、(99)は配線ボックス(96)の開閉蓋であるが、糖度(ブリックス値)の表示部(100)と操作スイッチ部(101)を具備してもいる。(102)は電源入力コネクター、(103)は出力コネクターであり、上記電気制御ボックス(16)の電気制御回路(基板)に接続使用される。
【0093】
更に、糖度センサー(B)は上記した構成のインライン型(プロセス)屈折率計から成り、そのプロセス溶液である糖蜜(S)の糖度(ブリックス値)を流動中に検知するため、上記排液管路(59)における吐出幹路(66)の中途部へ図20〜23のように、糖蜜導入用の配管ヘッダー(H)を介して着脱自在に接続固定されている。
【0094】
つまり、糖蜜導入用の配管ヘッダー(H)はほぼシルクハット形のヘッダー本体(104)と、そのヘッダー本体(104)の胴面から相反する左右方向へ各々連続的に張り出す一対の分岐管(105a)(105b)とを備え、そのヘッダー本体(104)内の中央部に垂立している糖蜜導入ガイド壁(106)によって、一方の分岐管(105b)から他方の分岐管(105a)へ流動する糖蜜(S)を、上記糖度センサー(B)のプリズム(78)と接触する方向へ、自づと迂回(屈曲)導入させ得るようになっている。
【0095】
しかも、その配管ヘッダー(H)におけるヘッダー本体(104)の取付け部(基端部)と両分岐管(105a)(105b)の先端部は、悉くフェルール(107)(108a)(108b)として形成されており、そのヘッダー本体(104)のフェルール(107)を上記糖度センサー(B)におけるサファイアアダプター(プリズムステージ)(89)のフェルール(92)と突き合わせ、クランプバンド(109)によって液密状態に締結一体化すると共に、両分岐管(105a)(105b)のフェルール(108a)(108b)を上記糖蜜(S)の排液管路(59)における吐出幹路(66)の中途部に対応形成されたフェルール(110a)(110b)と各々突き合わせ、やはりクランプバンド(111a)(111b)によって液密状態に締結一体化するようになっている。
【0096】
その結果、上記糖蜜(S)の排液管路(59)における循環ポンプ(62)の吐出側から吐出幹路(66)と2次吐出枝路(70)を経て、煮釜(T)へ圧送される過程の糖蜜(S)が、その吐出幹路(66)の中途部に介在する配管ヘッダー(H)のヘッダー本体(104)内を図20〜22の矢印方向へ迂回流動して、糖度センサー(B)のプリズム(78)と必らず接触することになり、その糖度(ブリックス値)が自づと確実に安定良く検知されるのである。
【0097】
又、上記糖度センサー(B)のサファイアアダプター(89)や排液管路(59)の吐出幹路(66)に対する配管ヘッダー(H)の締結用クランプバンド(109)(111a)(111b)を解除して、その配管ヘッダー(H)を取りはずせば、糖度センサー(B)のプリズム(78)が前向きに露出するため、そのプリズム(78)に付着した砂糖の結晶やその他の異物を支障なく除去することができ、この種清掃作業を行なう際、従来技術のように煮釜(T)から糖蜜(S)を抜き出したり、同じく煮釜(T)から煮篭(C)を吊り出したりする必要はない。
【0098】
更に、(112)は固形食材(M)の煮炊き中図37のように、その煮釜(T)の開口上面へ着脱自在に嵌め付け使用される蓋板であって、金属板から円形に作成されており、左右一対の上向きに突出する吊り環(113)も具備している。
【0099】
(114)は上記糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)の据付け架台(33)から一体的に垂下された平行な一対の補強板、(115)は煮釜(T)のトップカバー用支持ステーであって、図24〜26に示すような金属線材の円形リング枠(116)と、その下面に溶接一体化された平行な一対の取付け板(117)とから成り、その取付け板(117)が上記モーター据付け架台(33)の補強板(114)へ挟み付け固定されている。
【0100】
その固定状態では図8、9のように、トップカバー用支持ステー(115)を形作る円形リング枠(116)の枠内へ、上記糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)からの伝動軸(39)と、上記2次吐出枝路(70)の中途部とが何れもほぼ垂直に貫通することとなり、その支持ステー(115)と干渉するおそれはない。
【0101】
(118)は固形食材(M)の蜜漬け中に、その煮釜(T)の開口上面を被覆する蜜漬け用のトップカバーであって、複数の金属板から笠型に組み合わされており、その径大な円形の下端開口縁部に付属する複数の係止フック(119)が、煮釜(T)の対応的な開口縁部へ係脱自在に係止される一方、径小な円形の上端開口縁部が上記支持ステー(115)の円形リング枠(116)へ、言わば凭れ掛け状態に閉合されている。そのため、円形リング枠(116)の枠内は開口状態にある。
【0102】
又、上記笠型に組み合わされたトップカバー(118)の後面は、後述する冷却ファンからの吸気口(120)として開放されているほか、同じくトップカバー(118)における前部の上面が煮釜(T)からの排気口(121)として、蒸気を排出できる開放状態にある。尚、上記トップカバー(118)を形作る各金属板には、図外の把手が設けられているため、これを使って、その支持ステー(115)や煮釜(T)から、トップカバー(118)を分解する如く取りはずすこともできる。
【0103】
(122)は上記煮釜(T)の胴面(1)に付属している減速機用支持架台(3)から図9に示す如く、一体的に垂立するスタンド脚柱であり、これによって冷却ファン用ダクト(123)が固定支持されている。そのダクト(123)が上記トップカバー(118)の吸気口(120)と合致連通していることは、言うまでもない。
【0104】
そして、上記ダクト(123)にはL字形の受け枠(124)を介して、糖蜜(S)からの水分蒸発促進用冷却ファン(125)が組み付け一体化されており、これを固形食材(M)の蜜漬け中に回転使用して、その風力や負圧作用(ピトー管の原理)により、煮釜(T)内の糖蜜(S)から蒸発する水分を積極的に吹き飛ばし、その液面(L−L)からの水分蒸発作用を促進し得るようになっている。
【0105】
又、(126)は上記煮釜(T)や蒸気ジャケット(10)などを支持する据付け台(12)の前左角隅部付近から図1のように、糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)の据付け架台(33)よりも背高く一体的に垂立されたチエンホイスト用支持ポールであって、図27、28に抽出して示す如く、ほぼ倒立L字形に屈曲する上側ポール(126a)と、上記据付け台(12)への固定座(127)を有する直管型下側ポール(126b)との同芯嵌合状態に組み立てられており、その下側ポール(126b)に対して上側ポール(126a)の先端部を一定角度(例えば約150度)(β)だけ旋回(方向変換)し得るようになっている。
【0106】
(128)は下側ポール(126b)の上端部に溶接された芯管、(129)は上側ポール(126a)の下端部に溶接された鞘管、(130)(131)はその両者の嵌合面に介挿された軸受けメタルとスラストベアリング、(132)は上記鞘管(129)から芯管(128)へ抜き差し自在に螺入された固定ボルトであり、これを抜き出した後、鞘管(129)に付属している起伏自在のホイストハンドル(133)を把持しつつ、上記下側ポール(126b)に対する上側ポール(126a)の旋回操作を行なうことができる。
【0107】
更に、(134)は上側ポール(126a)の先端部に取り付けられた電動チエンホイストであり、そのハンガーフック(135)へ係脱自在に係止させた煮篭(C)を、上側ポール(126a)の旋回操作と相俟って、煮釜(T)の内部へ吊り込んだり、その煮釜(T)から外部へ吊り出したりすることができるようになっている。
【0108】
先に一言した煮篭(C)は固形食材(M)の形崩れ防止用として、篭本体(136)とその蓋体(137)との1組から成るが、その複数の篭本体(136)を煮釜(T)の内部へ、図8、9のような安定した積み重ね使用状態に保つことができるほか、固形食材(M)の煮炊き終了時やその後の蜜漬け終了時に、その篭本体(136)の底面を開放させて、固形食材(M)をすばやく取り出すこともできるようになっている。
【0109】
上記煮篭(C)の篭本体(136)は図29〜34に抽出して示す如く、ステンレス鋼のパンチングメタルや金網、その他の多孔板から、一定の内径(図示の一例では約750mm)と深さ(図示の一例では約185mm)を有する円筒形に作成されており、しかもその開口上縁部と開口下縁部が各々縁取りリング(138)(139)によって、同じく篭本体(136)の胴面が適当な間隔を保つ複数の縦桟(フラットバー)(140)によって、何れも補強されており、歪み変形するおそれはない。
【0110】
(141)は上記篭本体(136)の底面を直径方向に沿って横断する一定帯幅(例えば約150mm)(w)の水平な固定仕切り板であり、その中心部からは蓋体(137)の昇降ガイド作用を営なめる多孔芯筒(142)が、篭本体(136)の深さとぼ同じ背丈だけ上向き一体的に垂立されている。
【0111】
つまり、蓋体(137)の昇降ガイド用多孔芯筒(142)は、1本の金属線材を上記篭本体(136)の深さよりも背高い倒立U字形に折り曲げた支柱(142a)と、その支柱(142a)の周囲へ円筒形に巻き付け一体化した多孔板(142b)とから成り、上記支柱(142a)の切り離し両端部が外向きに張り出す水平な一対の取付け座(142c)として、上記固定仕切り板(141)へ差し込み状態に溶接一体化された底無し形態品である。
【0112】
そのため、篭本体(136)の中心部にも熱湯や糖蜜(S)を自由自在に導入させることができ、その固形食材(M)への対流・撹拌作用と伝熱作用を促進させ得るほか、上記多孔芯筒(142)の背高く突出する支柱(142a)を言わばガイド芯として、蓋体(137)を篭本体(136)の内部へ図37、38のように、自づと正しく円滑に落し込んだり、その多孔芯筒(142)の支柱(142a)へ上記電動チエンホイスト(134)のハンガーフック(135)を係脱自在に係止させて、篭本体(136)を煮釜(T)の内部へ吊り込んだり、又逆に煮釜(T)から外部へ吊り出したりすることも可能となる。
【0113】
尚、上記固定仕切り板(141)の周辺部は篭本体(136)の胴面と同様の多孔板から成り、熱湯や糖蜜(S)が自由自在に流通し得る。(142d)は上記多孔芯筒(142)の多孔板(142b)を補強する放射リブである。
【0114】
又、(143)は上記底面の固定仕切り板(141)を挟む位置関係の対称な可動底板であって、互いに同じ大きさと平面輪郭形状(ほぼ弓形)の多孔板から成り、フラットバーの骨組(144)によって補強されている。(145)は向かい合う一対づつとして並列する複数(図例では合計8個)の蝶番であり、これによって両可動底板(143)の平行なストレート縁部が、上記固定仕切り板(141)の対応する平行なストレート縁部へ開閉自在に枢着されている。
【0115】
(146)は両可動底板(143)を各々円弧状に縁取り補強している骨組(フラットバー)(144)のうち、その固定仕切り板(141)と直交する二等分線(O−O)上に位置する部分から、上向き一体的に立設された一対の固定フック、(147)は上記篭本体(136)の胴面を補強している複数の縦桟(フラットバー)(140)のうち、その固定フック(146)と対応位置する縦桟(140)へ水平の支点ピン(148)を介して、各々回動自在に枢着された一対の可動フック板であり、その下向き先端フック部(147a)が上記固定フック(146)と係脱自在に係止し得るようになっている。(149)は同じく可動フック板(147)の上端部に切り欠かれたラッチ棒受け入れ凹溝である。
【0116】
そして、上記篭本体(136)の縦桟(140)における可動フック板(147)の真上位置にはラッチ棒(150)が、各々上下一対の軸受けサドル(151)(152)を介して昇降自在に支持されている。(153)はそのラッチ棒(150)の中途高さ位置から張り出す水平な把手であり、これに操作手を当てがって、ラッチ棒(150)を引き上げれば、可動フック板(147)がその支点ピン(148)を中心に回動可能となり、その先端フック部(147a)との係止状態を解かれた可動底板(143)が、上記固定仕切り板(141)から図34の鎖線で示す如く、自づと吊り下がる伏倒状態に開放することとなる。
【0117】
尚、上記可動底板(143)の固定フック(146)を可動フック板(147)の先端フック部(147a)へ係止させると共に、その可動フック板(147)のラッチ棒受け入れ凹溝(149)へラッチ棒(150)を落し込み係止させることにより、篭本体(136)の可動底板(143)を閉鎖状態に固定維持し得ることは言うまでもない。
【0118】
更に、(154)は上記篭本体(136)の開口上縁部を補強している縁取りリング(138)の中途部へ、起伏的な回動自在に枢着された向かい合う一対の把手であって、各々1本の金属丸棒からほぼチャンネル型に曲成されているため、その両把手(154)の連繋索条(図示省略)を上記電動チエンホイスト(134)のハンガーフック(135)へ係止させることによって、その煮篭(C)の篭本体(136)を煮釜(T)の内部へ吊り込んだり、或いは煮釜(T)から外部へ吊り出したりすることができる。
【0119】
次に、上記煮篭(C)の蓋体(137)は篭本体(136)と同じ多孔板から図35、36のように、その篭本体(136)の内部へ落し込める大きさ(図示の一例では約745mmの外径)の相似な円形に作成されており、その上記多孔芯筒(142)を逃し入れることができる中心口(155)から、放射対称方向へ派出する十文字状の補強用骨組(フラットバー)(156)には、各々一対づつの軸受けサドル(157)が溶接一体化されている。
【0120】
(158)は1本の金属線材からほぼU字形に曲成された把手の複数(図示の一例では合計4個)であるが、そのU字形の切り離し両端部を結ぶ(U字形の開放部を閉鎖する)直線状の水平な差込み枢軸(159)も具備しており、その各把手(158)の差込み枢軸(159)が上記骨組(156)の軸受けサドル(157)へ起伏的な回動自在に、しかも直径方向(横方向)に沿って進退スライドできるように差し込まれている。
【0121】
又、(160)は上記放射対称方向へ派出する十文字状骨組(156)の中途部から、篭本体(136)の深さよりも背低い一定長さ(例えば約100mm)として、一体的に垂下された複数(図示の一例では合計4本)の伝熱脚(丸棒)であり、固形食材(M)の速やかな加熱とその加熱ムラの防止に役立つ。
【0122】
上記蓋体(137)の構成によれば、その中心口(155)を篭本体(136)の多孔芯筒(142)へ落し込み、把手(158)の差込み枢軸(159)をすべて直径方向(横方向)へ進出操作して、篭本体(136)の胴面を形成している多孔板の目孔へ差し込み係止させれば、蓋体(137)が篭本体(136)との固定状態に保たれるため、その煮篭(C)内の固形食材(M)が煮汁や糖蜜(S)の表面まで浮き上がり露出することを防ぐことができる。
【0123】
他方、上記把手(158)の差込み枢軸(159)を悉く篭本体(136)の目孔から内向きに抜き出し退避させれば、その蓋体(137)が所謂落し蓋として、篭本体(136)の内部を自由自在に昇降し得ることになるため、例えば甘納豆の原料である豆類の嵩張り変化する膨張作用に追従して、これを上方から常時踊り動かない状態に押えることにより、その表皮の破裂などを防止することができ、このような使用法の選択を固形食材(M)の種類などに応じて行なえる利便性がある。
【0124】
次に、甘納豆の原料である豆類を固形食材(M)の一例として、本発明に係る蜜漬け加熱装置の使用により蜜漬け加熱する方法を説明すると、予じめ水漬けされた生状態の豆類(M)を、一定容量(図示の一例では1斗)の形崩れ防止用煮篭(C)へ一旦収容させる。
【0125】
その場合、蓋体(137)における把手(158)の差込み枢軸(159)を篭本体(136)の目孔から抜き出し退避させておき、その蓋体(137)を落し蓋として、これが豆類(M)の膨軟作用に追従する如く、篭本体(136)の内部を自づと上昇し得る状態に保つことが好ましい。
【0126】
そして、豆類(M)が収容された煮篭(C)を電動チエンホイスト(134)により上記煮釜(T)の内部へ順次吊り込んで、その複数(図示の一例では合計4個)を図37のような積み重ね状態に安定良く静置させる一方、同じく煮釜(T)の内部へ給水管路(53)から給水して、豆類(M)の全体的な水漬け状態に保つと共に、上記煮釜(T)の開口上面を蓋板(112)により施蓋しておく。
【0127】
このような準備後、上記煮釜(T)の蒸気ジャケット(10)へ蒸気供給管路(20)から蒸気を供給して、その加熱力により豆類(M)を煮炊き作用すると共に、その過程では上記第2三方弁(68)の切り換え操作により、吐出幹路(66)から分岐している2次吐出枝路(70)を閉鎖し、1次吐出枝路(69)を開放した状態として、上記排液管路(59)の循環ポンプ(62)を駆動することにより、煮釜(T)内の湯水や煮汁を図37の循環矢印で示す如く、強制的に撹拌・対流させる。
【0128】
又、同じく豆類(M)の煮炊き中にはその加熱温度を加熱温度センサー(28)によって検知し、その現在温度が予じめ設定された目標の温度まで上昇し、一旦沸騰したならば、その後は約95℃〜約98℃の沸騰しない加熱温度を安定良く維持するために、単位時間当りの温度上昇率を検知し乍ら、その加熱温度センサー(28)からの検知出力信号に基いて、上記コントローラー(シーケンサー)(29)により蒸気供給管路(20)に介在している電磁弁(24a)(24b)の開閉度を自動的に調整制御し、一定時間の経過後に蒸気の供給を止めて、渋切り(アク抜き)する。
【0129】
その渋切り(アク抜き)は、上記排水管路(58)の開閉弁(60)を閉じた状態のもとで、給水管路(53)から煮釜(T)の内部へ給水することにより行ない、その給水によって豆類(M)を冷却する。このような渋切り中、上記循環ポンプ(62)の駆動を停止しておくことや、その豆類(M)を冷却した作用済みの排水が行なわれることは、言うまでもない。
【0130】
上記渋切り(アク抜き)を行なった後には、再度給水管路(53)から煮釜(T)の内部へ給水して、豆類(M)の全体をやはり水漬け状態に保った上、蒸気ジャケット(10)へ蒸気を供給することにより豆類(M)の煮炊き作用を続行する。
【0131】
このような引き続く煮炊き中にも、循環ポンプ(62)を駆動することにより、煮釜(T)内の湯水や煮汁を上記循環矢印と同じく強制的に撹拌・対流させると共に、やはり豆類(M)の加熱温度を加熱温度センサー(28)により検知して、その現在温度が予じめ設定された目標の温度まで上昇し、一旦沸騰したならば、その後は約90℃〜約95℃の沸騰しない加熱温度を維持し得るように、上記加熱温度センサー(28)からの検知出力信号に基いて、そのコントローラー(シーケンサー)(29)により上記電磁弁(24a)(24b)を電気的に開閉制御して、蒸気ジャケット(10)への蒸気供給量を自動調整し、一定時間の経過後に蒸気の供給を止めて、そのまま一定時間だけ放置することにより、豆類(M)を蒸らし作用する。
【0132】
その蒸らし作用後には上記給水管路(53)から煮釜(T)の内部へ、打ち水(所謂ビックリ水)となる給水を行なって、豆類(M)を緩やかに冷却し乍ら、煮釜(T)の排水管路(58)から排水する。
【0133】
尚、上記豆類(M)の1次的な煮炊き中に糖蜜振り撒き体(A)は使用されないため、その回転支軸(44)を駆動モーター(34)の伝動軸(39)から取りはずすと共に、上記2次吐出枝路(70)の先端部に位置する糖蜜吐出ノズル(71)も取りはずせば良いが、これらを取りはずすことなく、上記駆動モーター(34)が搭載されたモーター据付け架台(33)の片持ち支柱(36)を、図4から図5のように一定角度(α)だけ廻し起して、煮釜(T)の開口上面から退避させておくことが好ましい。
【0134】
このようにして1次的に煮炊き終了した豆類(M)は、その収容された煮篭(C)を煮釜(T)から外部へ吊り出すことなく、依然として煮釜(T)内での安定な積み重ね静置状態に保ち、その煮釜(T)を豆類(M)の蜜漬け加熱にも兼用して、引き続き豆類(M)の2次的な蜜漬けを行なうのである。
【0135】
その場合、煮釜(T)の開口上面を先の蓋板(112)に代る蜜漬け用トップカバー(118)により被覆すると共に、糖蜜振り撒き体(A)の糖蜜吐出ノズル(71)を図4や図8、9のように煮釜(T)の真上位置へ臨ませておく。
【0136】
蜜漬けのために使う糖蜜(S)は一定量の水と、適当量(望ましくは水の約3倍)の砂糖(グラニュー糖)とから成る混合物として、その砂糖が溶解した透明度の高い液体であり、これを特別に調製するか、又はその市販品を買い求め、好ましくは豆類(M)とほぼ同じ重量比率だけ上記煮釜(T)の内部へ投入する。
【0137】
そして、蜜漬け当初では豆類(M)に未だ糖蜜(S)が吸収されておらず、その豆類(M)自身の糖度(ブリックス値)として、例えば約52度〜約53度の淡蜜状態にあるため、このような初期状態から上記煮釜(T)の蒸気ジャケット(10)へ蒸気を供給し、蜜漬け中にある豆類(M)と糖蜜(S)を加熱して、これから水分を蒸発させることにより、豆類(M)の糖度を徐々に高めてゆくのである。
【0138】
その加熱温度が高ければ高い程、単位時間当りの水分蒸発量は多くなるが、約80℃以上に高く過熱すると、豆類(M)の黒く焼け焦げ変色(所謂蜜焼け)するおそれがあるため、その蜜漬け中の加熱温度をやはり加熱温度センサー(28)により検知して、その加熱温度が約60℃〜約75℃の一定として安定良く維持されるように、上記加熱温度センサー(28)からの検知出力信号に基いて、コントローラー(シーケンサー)(29)により蒸気供給管路(20)の電磁弁(24a)(24b)を開閉制御し、蒸気供給量を自動調整する。
【0139】
又、同じく豆類(M)の2次的な蜜漬け中には上記第2三方弁(68)の切り換え操作により、吐出幹路(66)から分岐している1次吐出枝路(69)を閉鎖し、2次吐出枝路(70)を開放した状態として、上記排液管路(59)の循環ポンプ(62)を駆動する一方、煮釜(T)の真上位置に臨む糖蜜振り撒き体(A)をその駆動モーター(34)により回転させて、煮釜(T)の糖蜜(S)を図38の循環矢印で示す如く、強制的に撹拌・対流させると共に、上記冷却ファン(125)も回転駆動することにより、煮釜(T)の開口上面に向かって送風する。
【0140】
つまり、蜜漬け加熱が進行するに連れて、糖蜜(S)の徐々に熟成する如く豆類(M)の糖度が高まると、その糖蜜(S)の液面(L−L)に皮膜が生成されて、これが引き続く水分の蒸発を遮断してしまうことになるため、上記循環回路(R)を形作っている2次吐出枝路(70)を開放した状態に保って、煮釜(T)内の糖蜜(S)を循環ポンプ(62)の駆動により、その煮釜(T)の排液管路(59)から吐出幹路(66)と2次吐出枝路(70)を通じて、煮釜(T)の真上位置に臨む糖蜜吐出ノズル(71)へ圧送し、その吐出ノズル(71)から再び煮釜(T)の内部へ帰還させる如く、強制循環的に対流・撹拌すると共に、殊更その糖蜜吐出ノズル(71)から吐出する糖蜜(S)を、回転運動中の糖蜜振り撒き体(A)によって煮釜(T)の内部へ、上方から勢い良く振り落とし拡散させ、上記糖蜜(S)の液面(L−L)に皮膜が生成してしまうことを予防するのである。
【0141】
しかも、上記煮釜(T)の内部から浮上する蒸気を、その煮釜(T)の開口上面を指向している冷却ファン(125)の回転風力により、強制的に吹き飛ばし排気させて、その糖蜜(S)における液面(L−L)の湿度を低下させ、更には冷却ファン(125)の負圧作用により気圧も低下させて、水分の蒸発を積極的に促進し、その蒸発量を増加させるのである。
【0142】
このように豆類(M)の蜜漬け加熱中、上記排液管路(59)の循環回路(R)を形作っている循環ポンプ(62)による糖蜜(S)の強制的な対流・撹拌作用と、その糖蜜振り撒き体(A)の回転による糖蜜(S)の振り落とし拡散作用と、冷却ファン(125)の送風作用との相乗(協働)作用によって、糖蜜(S)からの水分蒸発が促進されるため、豆類(M)の蜜漬け所要時間の大幅な短縮や熱効率の向上並びに豆類(M)の大量処理などに大変役立つ。
【0143】
何れにしても、上記豆類(M)の蜜漬け加熱中に水分の蒸発が進行することは、煮釜(T)内の糖蜜(S)が徐々に豆類(M)へ吸収されて(浸透して)熟成する如く、その糖度が当初の淡蜜状態から濃蜜状態へ高まることを意味する。
【0144】
そのため、その蜜漬け中にある豆類(M)の糖度を、上記排液管路(59)における吐出幹路(66)の中途部へ介挿設置した糖度センサー(プロセス屈折率計)(B)により検知し、その糖度(ブリックス値)が目標のそれである例えば約70度〜約72度の濃蜜状態に到達したならば、その糖度センサー(B)からの検知出力信号に基いて、上記コントローラー(シーケンサー)(29)により蒸気供給管路(20)の電磁弁(24a)(24b)を閉鎖させ、蒸気の供給を止める一方、循環ポンプ(62)の駆動モーター(64)と糖蜜振り撒き体(A)の駆動モーター(34)並びに冷却ファン(125)の回転も停止させるのである。
【0145】
このような豆類(M)の蜜漬けを終了したならば、一定時間(例えば約30分)だけ蜜切りを行なって、上記煮釜(T)から蜜漬け用トップカバー(118)を取りはずすと共に、糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)が搭載されている据付け架台(33)の片持ち支柱(36)を、約90度の一定角度(α)だけ回動操作して、煮釜(T)の開口上面から廻し起し退避させる。
【0146】
そうすれば、煮釜(T)の上面全開状態になるため、チエンホイスト用支持ポール(126)の上側ポール(126a)を一定角度(β)だけ旋回させ、その電動チエンホイスト(134)のハンガーフック(135)を蜜漬け終了した豆類(M)の収容状態にある篭本体(136)の多孔芯筒(142)へ係止して、その煮篭(C)を煮釜(T)から順次吊り出す。
【0147】
そして、煮篭(C)における篭本体(136)の可動底板(143)をそのラッチ棒(150)の引き上げ操作により開放させて、上記蜜漬け終了した豆類(M)を別な収容ケース(図示省略)へ落し込み収容すれば良い。このような収容ケースへ移し入れられた豆類(M)には、その後少量づつの砂糖がまぶし付けられることにより、良好な食感の甘納豆に仕上がる。
【0148】
先には、本発明における固形食材(M)の一例として甘納豆の原料である豆類を挙げた関係上、その1次的な煮炊き作用の中途過程において渋切り(アク抜き)を行なっているが、これ以外の芋類や果実などの固形食材(M)では、その渋切りが行なわれないことも勿論あり得る。
【0149】
又、図示の実施形態では蒸気を加熱源とする固形食材(M)の煮炊き作用と、引き続く蜜漬け作用について説明したが、本発明に係る蜜漬け加熱装置の煮釜(T)には蒸気ジャケット(10)のほか、上下一対の電気ヒーター(8a)(8b)も設置されているため、その蒸気と電気とを加熱源として併用し、固形食材(M)とその糖蜜(S)の加熱や、その加熱温度センサー(28)と糖度センサー(B)からの検知出力信号に基くヒーター電源のオン・オフ制御などを、コントローラー(シーケンサー)(29)によって上記とほぼ同様に行なうことができ、固形食材(M)の煮炊きから蜜漬けに至る一連の作用を、ますます短時間での熱効率良く実行し得る利点がある。
【0150】
殊更、その一連の作用が夜間にまで及ぶ場合には、電気ヒーター(8a)(8b)を使用して無人運転することが望ましく、そうすれば騒音の発生や火災事故の危険性を予防できるほか、固形食材(M)の蜜漬け状態を精密に制御された一定温度として、例えば約60℃〜約70℃に長時間保温し得る効果もある。
【符号の説明】
【0151】
(1)・胴面
(2)・底面
(3)・支持架台
(4)・補強連結板
(5)・延長架台
(6)・支持ステー
(7a)(7b)・カバーステー
(8a)(8b)・電気ヒーター
(9)・断熱材
(10)・蒸気ジャケット
(11)・脚柱
(12)・据付け台
(13)・補強棒
(14)・支持枠
(15)・開閉扉
(16)・電気制御ボックス
(17)・昇降脚座
(18)・蒸気吹出し管
(19)・蒸気吹出し孔
(20)・蒸気供給管路
(21)(25)(26)(54)(60)(61)・開閉弁
(22)・ドレン管
(23)・手動開閉弁
(24a)(24b)・電磁弁
(27)・配管ブラケット
(28)・加熱温度センサー
(29)・コントローラー
(30)・減速機
(31)・入力軸
(32)・出力軸
(33)・モーター据付け架台
(34)・駆動モーター
(35)・モーターカバー
(36)・片持ち支柱
(37)・回動ハンドル
(38)(63)・インバーター
(39)・伝動軸
(40)・ラジアルベアリング
(41)・スラストベアリング
(42)・ベアリングケース
(43)・固定カバー
(44)・回転支軸
(45)・ソケット
(46)・ストッパー
(47)・糖蜜流通孔
(48a)(48b)・篭
(49)・糖蜜落下孔
(50)・脚枠
(51)・軸受け環
(52)・止めネジ
(53)・給水管路
(55)・排水口筒
(56)・配管サポート
(57)・補強筒
(58)・排水管路
(59)・排液管路
(62)・強制循環ポンプ
(64)・駆動モーター
(65)・伝動カップリング
(66)・吐出幹路
(67)・第1三方弁
(68)・第2三方弁
(69)・1次吐出枝路
(70)・2次吐出枝路
(71)・糖蜜吐出ノズル
(72)・内外相互間隙
(73)・Oリング
(74)・シリコンブレードホース
(75)・ホースアダプター
(76)・クランプバンド
(77)・鏡筒
(78)・プリズム
(79)・光源
(80)・対物レンズ
(81)・リレーレンズ
(82)・遮光シャーシ
(83)・プリズムガスケット
(84)・基板支持フランジ
(85)・イメージセンサー
(86)・センサー基板(CPU)
(87)・保護筒
(88)・先端フランジ
(89)・サファイアアダプター
(91)・接液口
(93)・放熱フィン
(90)(94)・基端フランジ
(95)・ネジ口筒
(96)・配線ボックス
(97)・ナット
(98)・熱絶縁材
(99)・開閉蓋
(100)・表示部
(101)・操作スイッチ部
(102)・電源入力コネクター
(103)・出力コネクター
(104)・ヘッダー本体
(105a)(105b)・分岐管
(106)・糖蜜導入ガイド
(92)(107)(108a)(108b)(110a)(110b)・フェルール
(109)(111a)(111b)・クランプバンド
(112)・煮炊き用蓋板
(113)・吊り環
(114)・補強板
(115)・支持ステー
(116)・円形リング枠
(117)・取付け板
(118)・蜜漬け用トップカバー
(119)・係止フック
(120)・吸気口
(121)・排気口
(122)・スタンド脚柱
(123)・ダクト
(124)・受け枠
(125)・冷却ファン
(126)・支持ポール
(126a)・上側ポール
(126b)・下側ポール
(127)・固定座
(128)・芯管
(129)・鞘管
(130)・軸受けメタル
(131)・スラストベアリング
(132)・固定ボルト
(133)・ホイストハンドル
(134)・電動チエンホイスト
(135)・ハンガーフック
(136)・篭本体
(137)・蓋体
(138)(139)・縁取りリング
(140)・縦桟
(141)・固定仕切り板
(142)・多孔芯筒
(142a)・支柱
(142b)・多孔板
(142c)・取付け座
(142d)・放射リブ
(143)・可動底板
(144)・骨組
(145)・蝶番
(146)・固定フック
(147)・可動フック板
(147a)・先端フック部
(148)・支点ピン
(149)・ラッチ棒受け入れ凹溝
(150)・ラッチ棒
(151)(152)(157)・軸受けサドル
(153)(154)・把手
(155)・中心口
(156)・骨組
(158)・把手
(159)・差込み枢軸
(160)・伝熱脚
(A)・糖蜜振り撒き体
(B)・糖度センサー
(C)・煮篭
(H)・配管ヘッダー
(M)・固形食材
(R)・循環回路
(S)・糖蜜
(T)・煮釜
(w)・一定帯幅
(α)(β)・一定角度
(L−L)・糖蜜の液面
(O−O)・二等分線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形食材(M)の蜜漬け用糖蜜(S)を貯溜する断面ほぼU字形の煮釜(T)と、
その煮釜(T)における胴面(1)の下部と底面(2)を連続的に包囲する蒸気ジャケット(10)と、
同じく煮釜(T)における胴面(1)の上部へ包囲状態に巻き付けられた面状電気ヒーター(8a)(8b)と、
上記固形食材(M)や糖蜜(S)の加熱温度を検知すべく、煮釜(T)における胴面(1)の下部へ蒸気ジャケット(10)を貫通する状態に差し込み固定された接触式の加熱温度センサー(28)と、
上記蒸気ジャケット(10)から導出された蒸気供給管路(20)並びにその中途部へ並列状態に介挿設置された複数の開閉用電磁弁(24a)(24b)と、
上記煮釜(T)の底面(2)から蒸気ジャケット(10)を一旦貫通して、引き続き分岐状態に導出された煮炊き汁や湯水用の排水管路(58)並びに糖蜜用の排液管路(59)と、
その排液管路(59)の中途部に介挿設置された強制循環ポンプ(62)並びにその回転駆動モーター(64)と、
その循環ポンプ(62)の吐出幹路(66)から引き続き分岐状態に導出されて、上記煮釜(T)における胴面(1)の上端部付近に開口する1次吐出枝路(69)並びに煮釜(T)の開口上面に向かって迂回する2次吐出枝路(70)と、
上記煮釜(T)における胴面(1)の上端部付近へ片持ち状態に設置された水平なモーター据付け架台(33)と、
そのモーター据付け架台(33)が煮釜(T)の上面中央部を指向して張り出す先端部に搭載された糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)と、
その駆動モーター(34)から垂下する出力軸と一体回転し得る伝動軸(39)の下端部へ、着脱自在に連結一本化された糖蜜振り撒き体用回転支軸(44)と、
多数の糖蜜流通孔(47)が胴面に開口分布された円形の篭(48a)(48b)から成るものとして、上記回転支軸(44)の下端部へ組み付けユニット化された糖蜜振り撒き体(A)と、
上記糖蜜振り撒き体用回転支軸(44)の包囲可能な二重円筒形として、その内外相互間隙(72)の中途高さ位置が上記2次吐出枝路(70)の先端部に連通接続された糖蜜吐出ノズル(71)と、
上記煮釜(T)の開口上面に向かって送風すべく、その煮釜(T)における胴面(1)の上端部付近に固定支持された水分蒸発促進用冷却ファン(125)とを備え、
上記固形食材(M)が収容された形崩れ防止用煮篭(C)の複数を、その積み重ね静置状態として煮釜(T)内の糖蜜(S)に漬け込んで、上記蒸気のみか又は蒸気と電気による加熱中、
その糖蜜(S)を上記循環ポンプ(62)の駆動により煮釜(T)の底面(2)から排液管路(59)の吐出幹路(66)と2次吐出枝路(70)を経て、その先端部の糖蜜吐出ノズル(71)まで圧送する強制的な対流・撹拌作用と、その糖蜜吐出ノズル(71)から煮釜(T)内への帰還状に吐出する糖蜜(S)を、上記糖蜜振り撒き体(A)の回転遠心力により振り落とす拡散作用と、上記冷却ファン(125)の回転風力による蒸気の吹き飛ばし排気作用とを与えて、その糖蜜(S)の液面(L−L)から水分を積極的に蒸発させる固形食材(M)の蜜漬け加熱装置において、
上記糖蜜用排液管路(59)の吐出幹路(66)から分岐状態に導出された1、2次吐出枝路(69)(70)の切り換えを、Lポートの三方弁(68)によって行なえるように定めると共に、
上記吐出幹路(66)の中途部へインライン型屈折率計から成る糖度センサー(B)を、そのプリズム(78)への糖蜜導入用配管ヘッダー(H)を介して着脱自在に接続固定し、
その糖度センサー(B)が糖蜜(S)の糖度を検知した出力電気信号に基き、上記循環ポンプ用駆動モーター(64)と糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)との回転数を調整制御し、
固形食材(M)の糖度が当初の淡蜜状態から目標とする濃蜜状態に到達した時、その糖度センサー(B)からの検知出力信号に基いて、上記駆動モーター(34)(64)並びに冷却ファン(125)の回転と加熱を自動停止させるように定めたことを特徴とする固形食材の蜜漬け加熱装置。
【請求項2】
糖度センサー(B)におけるプリズム(78)への接液口(91)が形成されたサファイアアダプター(89)の先端部から、フェルール(92)を一体的に張り出す一方、
糖蜜用排液管路(59)における吐出幹路(66)の中途部に、一対のフェルール(110a)(110b)を張り出し形成しておき、
糖蜜導入用配管ヘッダー(H)のヘッダー本体(104)をその内部中央に糖蜜導入ガイド壁(106)が垂立するほぼシルクハット形に造形して、そのヘッダー本体(104)の取付け部に対応形成したフェルール(107)を上記糖度センサー(B)側のフェルール(92)へ、クランプバンド(109)によって着脱自在に締結一体化すると共に、
上記ヘッダー本体(104)の胴面から相反する方向へ張り出す一対の分岐管(105a)(105b)の先端部に対応形成したフェルール(108a)(108b)を上記吐出幹路(66)側のフェルール(110a)(110b)へ、やはりクランプバンド(111a)(111b)によって着脱自在に締結一体化し、
上記配管ヘッダー(H)における一方の分岐管(105b)から他方の分岐管(105a)へ流動する糖蜜(S)を、その糖蜜導入ガイド壁(106)により上記糖度センサー(B)のプリズム(78)と接触する方向へ自づと迂回導入させるように定めたことを特徴とする請求項1記載の固形食材の蜜漬け加熱装置。
【請求項3】
煮釜(T)における胴面(1)の上端部付近へ水平な減速機用支持架台(3)を溶接一体化して、その支持架台(3)又はこれからの水平な延長架台(5)上へ、直交軸型の減速機又はギヤードモーター(30)を取り付け固定する一方、
糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)が搭載されたモーター据付け架台(33)の基端部から一体的に垂下する片持ち支柱(36)の下端部を、上記ギヤードモーター又は減速機(30)の出力軸(32)上に嵌め付け一体化して、
同じくギヤードモーター又は減速機(30)の入力軸(31)上に嵌め付け一体化した回動ハンドル(37)を回動操作すれば、上記モーター据付け架台(33)の片持ち支柱(36)が上記出力軸(32)を水平の枢支点として約90度の一定角度(α)だけ回動作用し、そのモーター据付け架台(33)を上記煮釜(T)の開口上面から廻し起し退避させることができるように定めたことを特徴とする請求項1記載の固形食材の蜜漬け加熱装置。
【請求項4】
煮釜(T)の据付け台(12)に固定された直管型の下側ポール(126b)と、その下側ポール(126b)へ一定角度(β)だけ旋回し得る同芯嵌合状態に組み立てられたほぼ倒立L字形の上側ポール(126a)とから成るチエンホイスト用支持ポール(126)を、上記据付け台(12)から糖蜜振り撒き体用駆動モーター(34)の据付け架台(33)よりも背高く垂立させて、その上側ポール(126a)の先端部に電動チエンホイスト(134)を取り付ける一方、
各煮篭(C)の篭本体(136)を円形の胴面と底面とから成る断面ほぼU字形に造形して、その底面の直径方向に沿い一定帯幅(w)だけ横断する水平な固定仕切り板(141)の中心部から、上記電動チエンホイスト(134)のハンガーフック(135)へ係脱自在に係止し得る多孔芯筒(142)を上向き一体的に垂立させると共に、
上記篭本体(136)の底面における固定仕切り板(141)の平行なストレート縁部へ複数づつの蝶番(145)により、対称な一対の可動底板(143)を開閉自在に枢着して、
上記電動チエンホイスト(134)のハンガーフック(135)を蜜漬け終了した固形食材(M)の収容状態にある篭本体(136)の多孔芯筒(142)へ係止して、煮釜(T)の内部から吊り出した上、その篭本体(136)の両可動底板(143)を開放させることができるように定めたことを特徴とする請求項1記載の固形食材の蜜漬け加熱装置。
【請求項5】
固形食材(M)の形崩れ防止用煮篭(C)を篭本体(136)と、その内部へ落し込める大きさの相似な円形蓋体(137)とから成る1組として、
1本の金属線材から屈曲するほぼU字形をなし、且つそのU字形の切り離し両端部が直線状の水平な差込み枢軸(159)により連結された把手(158)の複数を、上記蓋体(137)へ直径方向に沿う進退スライド自在に取り付け、
その各把手(158)の差込み枢軸(159)を進出操作して、上記篭本体(136)の胴面に開口分布する目孔へ差し込み係止させることにより、上記蓋体(137)をその篭本体(136)との固定維持状態に使用し得る一方、
同じく各把手(158)の差込み枢軸(159)を上記篭本体(136)の目孔から内向きに抜き出し退避させることにより、上記蓋体(137)をその篭本体(136)内での自由自在に昇降する落し蓋としても使用できるように定めたことを特徴とする請求項1記載の固形食材の蜜漬け加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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