説明

固液分離装置

【課題】固形物の回収性能向上を図った固液分離装置を提供することを目的とする。
【解決手段】回転軸21を中心とした複数の略円形のリング体24を、所定の間隙を設けて積層し円筒状に形成されたストレーナ23と、ストレーナ23を回転自在になるように内蔵した容器32と、円形のリング体24に付着する固形物を掻き取りるスクレーパ31と、固形物を排出する排出口33と、固液を流入する入口と、ストレーナ23の間隙を通過した液体を排水する出口36とを備え、各略円形のリング体24の外周囲に適宜間隔で凹形状の切り込み25を構成した。ストレーナ23が回転を開始すると、固形物は切り込み25に入り、掻き揚げられるので、切り込み25内の固形物は厚さが厚く、ストレーナ23の間隙より細かい固形物でも大きい固形物に付着して回収され易い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は破砕された生ごみ等の固形物が混ざった固液を固形物と液体とに分離する固液分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の固液分離装置は台所等で発生する生ごみを水道水と共に破砕し、脱水する生ごみ処理装置に使われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は従来の固液分離装置の具体的な構成を示すもので、外周部位に所定角度間隔で突出部101を突設するとともに、内周部に回転軸102に連結する連結体103を設けた複数の円形リング体104を間隙をおいて積層して円筒状のストレーナ105を構成し、このストレーナ105を略円筒状の容器106に回転自在に収納していた。
【0004】
そして、前記容器106におけるストレーナ105の外側対応部位には固液が流入する入口107が、ストレーナ105の内側対応部位には液を排水用の出口108がそれぞれ形成され、また、円形リング体104に付着する固形物をスクレーパ109で掻き取り、容器106の外へ排出する取出口110が開設してあった。
【0005】
従来装置では、生ごみを水道水で破砕機(図示せず)に流し込んで破砕し、これを入口107から容器106に流し込む。駆動部(図示せず)により回転する回転軸102が連結体103を介してストレーナ105を回転させるので、突出部101が固形物(破砕された生ごみ)を掻き揚げる。
【0006】
その後、突出部101に乗っかった固形物や円形リング体104の外面に付着した固形物はスクレーパ109によりストレーナ105から剥離されて取出口110から乾燥やバイオの処理手段(図示せず)に排出回収される。
【0007】
また、固形物に付着した液体(水道水や生ごみの汁等)は自重によりストレーナ105の間隙を通過して出口108から排水され、他方、容器106に流入した固液内の大部分液体は直ちにストレーナ105の間隙を通過して出口108から排水される。
【特許文献1】特許第3600474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では、円形リング体104の外面に付着した固形物は厚さが薄くので、ストレーナ105の間隙より細かい固形物は大きい固形物に付着する機会が少なく、容易にストレーナ105の間隙を通過して出口108から排水されてしまうという課題を有していた。
【0009】
また、円形リング体104が細く、側面面積が小さいので、ストレーナ105の間隙より細かい固形物が円形リング体104の側面に付着してスクレーパ109によりストレーナ105から剥離して回収される可能性も少ないという課題を有していた。
【0010】
この結果、出口108から排水される液体の水質は悪くなるものであった。逆に、円形リング体104を太くした場合、ストレーナ105の内径が小さくなり、通路断面積が狭くなるので、排水抵抗が大きくなるという副作用がある。
【0011】
本発明は上記課題を解決するもので、固形物の回収性能向上を図った固液分離装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記従来の課題を解決するために、本発明は、複数の円形リング体を所定の間隙をおいて積層することで構成された円筒状のストレーナと、前記ストレーナを回転させるための回転軸と、前記ストレーナを回転自在に収納した円筒状の容器と、前記ストレーナにおける円形リング体の各間隙に先端が進入して固形物を掻き取るスクレーパと、前記容器に開設され、前記スクレーパで掻き取った固形物を排出する排出口と、前記ストレーナの外側に位置して前記容器に開設され、固液を流入させるための入口と、前記ストレーナ内に臨む形で前記容器に開設した液体排出用の出口とを備え、前記各リング体の外周囲には適宜間隔で凹形状の切り込みを構成したもので、固形物の出口からの不用意な排出を防止したものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、固形物の出口からの不用意な排出を抑制して生ごみ等の処理を確実に行うことができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
第1の発明は、複数の円形リング体を所定の間隙をおいて積層することで構成された円筒状のストレーナと、前記ストレーナを回転させるための回転軸と、前記ストレーナを回転自在に収納した円筒状の容器と、前記ストレーナにおける円形リング体の各間隙に先端が進入して固形物を掻き取るスクレーパと、前記容器に開設され、前記スクレーパで掻き取った固形物を排出する排出口と、前記ストレーナの外側に位置して前記容器に開設され、固液を流入させるための入口と、前記ストレーナ内に臨む形で前記容器に開設した液体排出用の出口とを備え、前記各リング体の外周囲には適宜間隔で凹形状の切り込みを構成したものである。
【0015】
破砕された生ごみと水道水とが混合した固液が入口から容器に流入する。そして、ストレーナが回転を開始すると、固形物(破砕された生ごみ)は切り込みに入り、掻き揚げられるので、切り込み内の固形物は厚さが厚く、ストレーナの間隙より細かい固形物でも大きい固形物に付着して回収され易い。他方、切り込みが設けられていない円形リング体の外周囲は表面積が大きい(切り込みと同じ半径分)ので、ストレーナの間隙より細かい固形物が円形リング体の側面に付着し、スクレーパによりストレーナから剥離して回収される機会が多い。これらの結果、出口から排水される液体の水質は良好となる。
【0016】
第2の発明は、特に、第1の発明において、切り込みの深さをストレーナの回転方向に浅くなるように設定したものである。
【0017】
第3の発明は、特に、第1の発明において、入口は、ストレーナを間に排出口と反対側に位置させ、入口から大量の固液や水が流入しても、入口と排出口との距離を確保し、かつ入口と排出口との間に出口が開口されているので、液体は出口から確実に流出し、排出口から溢れることを防止できる。
【0018】
第4の発明は、特に、第3の発明において、入口は、出口と略同じ高さ以上の位置に設定した。これにより、固液が入口から容器に流入し、切り込みに入り損ねた固形物が容器底面に向かって流下する場合、回転して次に移動してくるストレーナ回転方向下流の切り込み面に掻き揚げられので、固形物が容器底面に留まることを防止できる。
【0019】
第5の発明は、特に、第3の発明において、容器とストレーナとの間の空間は、入口近
傍から前記ストレーナ回転方向下手側に徐々に狭くなる構成した。
【0020】
その結果、入口から流入した固液は容器とストレーナの広い空間に分散し、切り込みに入った固形物はスムーズに移動できるので、固形物が入口近傍に留まることを防止できる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1〜図3において、1はギヤドモータからなる駆動部2に連結した六角柱の回転軸、3はストレーナであり、回転軸1を中心とした複数の円形リング体4を所定の間隙(例えば0.5mm)をおいて積層し、円筒状に形成して攻勢されている。
【0023】
5は複数の円形リング体4の外周囲に適宜間隔で4列形成した凹形状の切り込みであり、各列の切り込み5は長手方向に連続状に位置する形態をなしている。
【0024】
前記複数の円形リング体4はスペーサとなる突出部6を介して所定の間隙が確保され、かつ、幾つかの円形リング体4から内周方向に突出させた連結部7を介して回転軸1に連結してある。
【0025】
つまり、連結部7には多角形の軸孔があけてあり、回転軸1の当該部分も多角形としてあって、回転方向に一体化されているものである。
【0026】
前記スペーサとなる突出部6は隣接する円形リング体4の一方に設けてあり、この先端は他方の円形リング体4の凹部に係合して、それら円形リング体4の周方向位置合わせ機能をも併せ持っている。
【0027】
8はストレーナ3の各間隙に外側から内側へ先端が突出し、円形リング体4に付着する固形物を掻き取るスクレーパ、9は前記回転軸1を中心とした略円筒状の空間を形成し、ストレーナ3を回転自在に収納する容器である。
【0028】
10は容器9に形成した排出口で、スクレーパ8に対してストレーナ3の回転方向上手側に位置するごとく設定してあり、切り込み5で運ばれた固形物を排出するためのものである。
【0029】
11はストレーナ3を間に排出口10と反対側に開口した入口であり、破砕機(図示せず)が生ごみを破砕し、水道水と混合させた固液が流入する。
【0030】
なお、入口11の近傍側の容器9とストレーナ3外面との空間12は広く、ストレーナ3の回転方向下手側方向に徐々に狭くなるように形成している。
【0031】
13はストレーナ3内の最も下の位置で、入口11より高い位置に開口した出口で、前記ストレーナ3の間隙を通過した液体を排出するものである。
【0032】
14は排出口10のストレーナ3回転方向上手側の端縁部分にヒンジ15を介して回転自在に取り付けた蓋体であり、その一辺14Aの先端がスクレーパ8に達し、他辺14Bには前記一辺14Aをスクレーパ8に押付けるバネ、錘等からなる圧力手段16が取り付けてある。
【0033】
制御部(図示せず)は、駆動部2と破砕機を制御する。
【0034】
以上のように構成された固液分離装置において、その動作を説明する。
【0035】
先ず、生ごみが破砕機に投入され、かつ水道水が流し込まれると、制御部が破砕機と駆動部2の駆動を開始する。
【0036】
破砕機が生ごみを破砕し、次いで、水道水との固液が入口11から容器9に流入し、空間12の広い間隙に広く分散し、同時に、駆動部2の動力で回転軸1を回転させ、連結部7を介してストレーナ3を回転させる。
【0037】
そして、空間12に広がった固形物(破砕された生ごみ)はストレーナ3の外面に引き摺られてその回転方向に沿って上方へ移動を開始する。その際、空間12が徐々に狭くなるので、固形物はスムーズに切り込み5に入り込める。
【0038】
この結果、固形物が入口11の近傍に留まることを防止でき、かつ固形物が広がらず固まり、ストレーナ3の間隙に無理やり入り込むことを防止できる。
【0039】
続いて、固形物に付着した液体(水道水や生ごみの汁等)が自重によりストレーナ3の間隙を通過して出口13から排水される。その際、切り込み5が小さいので、その中の固形物は厚さが厚くなり、ストレーナ3の間隙より細かい固形物が液体と共に切り込み5内の固形物を通過する時に大きい固形物に付着して回収される場合がある。
【0040】
他方、切り込み5が設けられていない円形リング体の外周囲は表面積が大きいので、ストレーナ3の間隙より細かい固形物が円形リング体24の側面に付着し、スクレーパ8によりストレーナ3から剥離して回収される機会が多い。
【0041】
これらの結果、出口36から排水される液体の水質は良好である。
【0042】
次に、圧力手段16によりストレーナ3へ押付けられている蓋体14が移動してきた固形物をさらに脱水する。
【0043】
脱水された固形物は切り込み5がない円形リング体4の外周面に押され、かつスクレーパ8により剥離して蓋体14を押しのけて排出口10からスクレーパ8の上面を通って排出される。
【0044】
また、スクレーパ8は全てのストレーナ3の間隙を通過し、円形リング体4の側面に付着する固形物を確実に掻き取ることができる。
【0045】
なお、切り込み5の総面積は、円形リング体4の外周囲面積に比べて半分未満に設定することにより、固形物は厚さが厚く、切り込み5の効果が得られる。
【0046】
(実施の形態2)
図4は実施の形態2を示し、実施の形態1と異なるところは、円形リング体4の切り込み5をストレーナ3の回転方向下手方向にしたがって深くなるように構成した点である。
【0047】
なお、図4において、図1と同一の機能を有する構成部分については同一符号を付し、詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0048】
前記構成において、先ず、破砕された生ごみと水道水とが混合した固液が入口11から
容器9に流入する。そして、空間12に広がった固形物(破砕された生ごみ)は回転するストレーナ3の外面に引き摺られてその回転方向に沿って上方へ移動を開始する。
【0049】
その際、固形物は徐々に切り込み5に入り、掻き揚げられるので、ストレーナ3の回転方向下流の切り込み5内の固形物は厚さが厚く、ストレーナ3の間隙より細かい固形物でも大きい固形物に付着して回収され易い。
【0050】
他方、ストレーナ3回転方向上流の切り込み5は切り込み面積が狭い分固形物は厚さが薄くなるが、円形リング体4が太く、側面面積が大きいので、ストレーナ3の間隙より細かい固形物が円形リング体4の側面に付着し、スクレーパ8によりストレーナ3から剥離して回収され機会が多い。
【0051】
これらの結果、出口13から排水される液体の水質は良好である。
【0052】
なお、切り込み5の総面積は、円形リング体4の外周囲面積に比べて半分未満に設定することにより、固形物は相対的に厚さが厚く、切り込み5の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明によれば、固形物の回収性能向上を図った固液分離装置を提供することができるもので、例えば、一般家庭での生ごみ処理用など、広く活用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1における固液分離装置の正断面図
【図2】同固液分離装置の側断面図
【図3】同固液分離装置におけるストレーナの説明図
【図4】本発明の実施の形態2における固液分離装置の正断面図
【図5】従来の固液分離装置の正断面図
【符号の説明】
【0055】
1 回転軸
3 ストレーナ
4 リング体
5 切り込み
8 スクレーパ
9 容器
10 排出口
11 入口
13 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の円形リング体を所定の間隙をおいて積層することで構成された円筒状のストレーナと、前記ストレーナを回転させるための回転軸と、前記ストレーナを回転自在に収納した円筒状の容器と、前記ストレーナにおける円形リング体の各間隙に先端が進入して固形物を掻き取るスクレーパと、前記容器に開設され、前記スクレーパで掻き取った固形物を排出する排出口と、前記ストレーナの外側に位置して前記容器に開設され、固液を流入させるための入口と、前記ストレーナ内に臨む形で前記容器に開設した液体排出用の出口とを備え、前記各リング体の外周囲には適宜間隔で凹形状の切り込みを構成した固液分離装置。
【請求項2】
切り込みの深さはストレーナの回転方向に浅くなるように設定した請求項1記載の固液分離装置。
【請求項3】
入口は、ストレーナを間に排出口と反対側に位置させた請求項1記載の固液分離装置。
【請求項4】
入口は、出口と略同じ高さ以上の位置に設定した請求項3に記載の固液分離装置。
【請求項5】
容器とストレーナとの間の空間は、入口近傍から前記ストレーナ回転方向下手側に徐々に狭くなる構成した請求項3に記載の固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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