説明

固液分離装置

【課題】 従来の固液分離装置は、容器本体に、凝集槽を着脱自在に架承し、凝集槽には凝集部屋を形成し、凝集部屋に原液導入管と底部に原液流下用の開口を開設し、連通する分離流路を構成する二枚の傘状の分離体とで構成する。この考案は、凝集槽の着脱を利用し分離体の保守管理の容易化と簡便化等を図り重畳した分離体を活用し、分離効率とスラッジ捕捉の効率化を図るが、フロックの生成に空気を活用する構成でなかった。
【解決手段】 本発明は、容器本体に、凝集槽と、複数枚の分離板、並びに分離流路と、浮上流路を設け、凝集槽は、仕切り板を介して、第一〜第三の部屋とし、第一の部屋に原液導入管と底部に空気供給管を配備し、第二の部屋に撹拌翼と底部に空気供給管を配備し、また第三の部屋に、底部に空気供給管と分離流路に繋がる流下口を開設し、分離板の裾部と容器本体の内周面との間に、処理原液流下流路を形成した固液分離装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工場廃液(工場排水)、汚泥水、又はメッキ処理水、水処理等の排水を清澄化(上澄み処理)する固液分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の固液分離装置に関し、本出願人は、幾多の出願を提案するとともに、その構造を実用化し、市場に提供するとともに、社会に貢献している。
【0003】
その一例を、文献を基に説明すると、実公平2−15525号の「沈降分離装置」がある(文献(1)とする)。この考案は、筒状の容器本体に、凝集槽を着脱自在に架承し、この凝集槽には、環状の凝集部屋を形成し、この凝集部屋に原液導入管と、その底部に原液流下用の開口を開設し、この開口と連通する分離流路を構成する二枚の傘状の分離体(分離板)とで構成する。この考案の特徴は、凝集槽の着脱を利用し、分離体の保守管理の容易化と、簡便化等を図ること、又は重畳した分離体を活用し、分離効率と、スラッジの捕捉の効率化が図れることにある。また、特公平2−62282号の「汚泥水等原水の固液分離装置」がある(文献(2)とする)。この発明は、筒状の容器本体に、複数に区画した部屋を有する凝集槽を着脱自在に架承し、この凝集槽の第一の部屋に原液導入管と、その第三の部屋の底部に原液流下用の開口を開設し、この開口と連通する分離流路を構成する複数の傘状の分離体とで構成する。この発明の特徴は、凝集槽の着脱を利用し、分離体の保守管理の容易化と、簡便化等を図ること、又は重畳した分離体を活用し、分離効率と、スラッジの捕捉の効率化が図れることにある。
【0004】
本発明は、前記文献(1)と、文献(2)の改良に関し、凝集槽で、フロックの生成を図り、かつこの凝集槽内へのフロックの沈降を無くしつつ、迅速にフロックを、分離流路と、分離板に送り、分離効率を高めることと、この凝集槽の容積の拡充、かつ原水の凝集槽での滞留時間を確保すること、等を意図する。
【0005】
そして、この目的を達成するために、さらに先行文献を列挙すると、特開平7−289812号の「固液分離装置」がある(文献(3)とする)。この発明は、処理槽の上部に、浮上濾過層を設け、かつこの浮上濾過層を隔壁で区画するとともに、この浮上濾過層をバブリングする空気を、底部に設けたエア噴出手段より行なう構造である。この発明の特徴は、浮上濾過層のバブリングを図ることにある。また、特開平6−15108号の「固液分離装置」がある(文献(4)とする)。この発明は、処理室の上部に、濾材層を設け、この濾材層の下部に、一部が開口する仕切り板を介して、区画された沈降室を形成し、この処理室の底部に、前記濾材層をバブリングする空気を、噴出するエアノズルを設けた構造である。この発明の特徴は、濾材層のバブリングを図ることにある。さらに、特開平11−226306号の「沈降分離装置」がある(文献(5)とする)。この発明は、沈降槽の下部の収歛部位に、沈降した異物を圧縮する押込みヘッドを設け、この押込みヘッド内に、空気室を形成し、この空気室から、前記押込みヘッドが上昇した過程で空気を噴出し、押込みヘッドと、収歛部位の底部に形成した筒状部材との間に残っている異物を浮上されて、前記沈降槽にリターンさせる構造である。この発明の特徴は、異物の残存と、押込みヘッドの動作の確保と、筒状部材の開放を図ることにある。
【0006】
【特許文献1】実公平2−15525号
【特許文献2】特公平2−62282号
【特許文献3】特開平7−289812号
【特許文献4】特開平6−15108号
【特許文献5】特開平11−226306号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記文献(1)、(2)の改良として挙げた、前記文献(3)〜(5)は、空気を活用する構造であるが、バブリングを主体とする構造である。従って、空気を噴出することは類似するが、前記文献(1)、(2)と同様に、本発明が意図する下記の目的、又は利用分野、並びに構造は備えていないと考えられる。
【0008】
上記に鑑み、本発明は、次のことを、目的、又は利用分野、並びに構造とする。[イ] 凝集槽で、フロックの生成を図り、かつこの凝集槽内へのフロックの沈降を無くしつつ、迅速にフロックを、分離流路と、分離板に送り、分離効率を高めることと、この凝集槽の容積の拡充、かつ原水の凝集槽での滞留時間を確保すること、等を意図する。[ロ] 殊に、仕切り板の滞留隅部(澱み部)へのフロックの沈降を無くし、生成されたフロックを、確実、かつスムーズに搬送することを意図する。そして、[ハ] 仕切り板にオーバーフローと、アンダーフロートを構成することと、空気の噴出によるフロックの浮上(沈降回避)を図ることで、より大きなフロックの生成と、分離効率を図ること、等を意図する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、前記[イ]、[ロ]を達成することにある。
【0010】
請求項1は、上部に設けた凝集槽と、この凝集槽より垂下し、中間に設けた複数枚の分離板と、この分離板間に設けた分離流路と、前記中間から前記上部に至る上澄み液の浮上流路とを備えた筒状の容器本体であって、
この容器本体の上部に設けた凝集槽は、仕切り板を介して、複数の部屋に区画し、この第一の部屋に、原液導入管を臨ませるとともに、その底部に空気供給管を配備し、また第二の部屋に、撹拌翼を設けるとともに、その底部に空気供給管を配備し、さらに、第三の部屋に、その底部に空気供給管を配備するとともに、前記分離流路に繋がる流下口を開設し、また、前記複数枚の分離板で、その中心の分離板の裾部と、前記容器本体の内周面との間に、処理原液流下流路を形成する構成とした固液分離装置である。
【0011】
請求項2の発明は、前記[イ]〜[ハ]を達成することにある。
【0012】
請求項2は、請求項1に記載の固液分離装置であって、
前記仕切り板は、第一の仕切り板〜第三の仕切り板で構成し、この第一の仕切り板を、前記第一の部屋と、第二の部屋とを区画する構成とし、この第一の仕切り板には、オーバーフローの連通口を設け、また、この第二の仕切り板を、前記第二の部屋と、第三の部屋とを区画する構成とし、この第二の仕切り板には、アンダーフローの連通口を設け、さらに第三の仕切り板を、前記第一の部屋と、第三の部屋とを区画する構成とし、この第一の仕切り板は、隔壁構造とする構成とした固液分離装置である。
【0013】
請求項3の発明は、前記[イ]〜[ハ]と[ニ]を達成することにある。
[ニ] 凝集槽に設けた、撹拌翼と、空気供給管とを介して、フロックの確実な浮上と、このフロックの滞留回避を確実に無くすこと、等を意図する。
【0014】
請求項3は、請求項1、又は請求項2に記載の固液分離装置であって、
前記第二の部屋に、撹拌翼と、空気供給管とを配備するに際し、この空気供給管を、この第二の部屋の底部に近接し、この空気供給管の上に、この撹拌翼を配備する構成とした固液分離装置である。
【0015】
請求項4の発明は、前記[イ]〜[ハ]と[ホ]を達成することにある。
[ホ] 凝集槽の第一の部屋〜第三の部屋において、この第一の部屋〜第三の部屋に、長尺の空気供給管を設け、フロックの確実な浮上と、このフロックの滞留回避を確実に無くすこと、等を意図する。
【0016】
請求項4は、請求項1、又は請求項2に記載の固液分離装置であって、
請求項1、又は請求項2に記載の固液分離装置であって、
前記空気供給管は、前記凝集槽を円形とし、この凝集槽を三等分した、扇形の第一の部屋〜第三の部屋に配備するに際し、この空気供給管を、この第一の部屋〜第三の部屋の扇形円弧の弦の部位に配備し、この空気供給管が、最長の長さを確保する構成とした固液分離装置である。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明は、上部に設けた凝集槽と、凝集槽より垂下し、中間に設けた複数枚の分離板と、分離板間に設けた分離流路と、中間から上部に至る上澄み液の浮上流路とを備えた筒状の容器本体であって、
容器本体の上部に設けた凝集槽は、仕切り板を介して、複数の部屋に区画し、第一の部屋に、原液導入管を臨ませるとともに、底部に空気供給管を配備し、また第二の部屋に、撹拌翼を設けるとともに、底部に空気供給管を配備し、さらに、第三の部屋に、底部に空気供給管を配備するとともに、分離流路に繋がる流下口を開設し、また、複数枚の分離板で、中心の分離板の裾部と、容器本体の内周面との間に、処理原液流下流路を形成する構成とした固液分離装置である。
【0018】
従って、請求項1は、下記の特徴を有する。
[イ] 凝集槽で、フロックの生成を図り、かつこの凝集槽内へのフロックの沈降を無くしつつ、迅速にフロックを、分離流路と、分離板に送り、分離効率を高め得ることと、この凝集槽の容積の拡充、かつ原水の凝集槽での滞留時間を確保できること、等である。
[ロ] 殊に、仕切り板の滞留隅部(澱み部)へのフロックの沈降を無くし、生成されたフロックを、確実、かつスムーズに搬送できる。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1に記載の固液分離装置であって、
仕切り板は、第一の仕切り板〜第三の仕切り板で構成し、第一の仕切り板を、第一の部屋と、第二の部屋とを区画する構成とし、第一の仕切り板には、オーバーフローの連通口を設け、また、第二の仕切り板を、前記第二の部屋と、第三の部屋とを区画する構成とし、第二の仕切り板には、アンダーフローの連通口を設け、さらに第三の仕切り板を、第一の部屋と、第三の部屋とを区画する構成とし、第一の仕切り板は、隔壁構造とする構成とした固液分離装置である。
【0020】
従って、請求項2は、下記の特徴を有する。
[イ] 凝集槽で、フロックの生成を図り、かつこの凝集槽内へのフロックの沈降を無くしつつ、迅速にフロックを、分離流路と、分離板に送り、分離効率を高め得ることと、この凝集槽の容積の拡充、かつ原水の凝集槽での滞留時間を確保できること、等である。
[ロ] 殊に、仕切り板の滞留隅部(澱み部)へのフロックの沈降を無くし、生成されたフロックを、確実、かつスムーズに搬送できる。
[ハ] 仕切り板にオーバーフローと、同アンダーフロートを構成することと、空気の噴出によるフロックの浮上(沈降回避)が図れることで、より大きなフロックの生成と、分離効率が図れること、等である。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の固液分離装置であって、
第二の部屋に、撹拌翼と、空気供給管とを配備するに際し、空気供給管を、第二の部屋の底部に近接し、空気供給管の上に、撹拌翼を配備する構成とした固液分離装置である。
【0022】
従って、請求項3は、下記の[イ]〜[ハ]と[ニ]の特徴を有する。
[ニ] 凝集槽に設けた、撹拌翼と、空気供給管とを介して、フロックの確実な浮上と、このフロックの滞留回避を確実に無く得ること、等である。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1、又は請求項2に記載の固液分離装置であって、
請求項1、又は請求項2に記載の固液分離装置であって、
空気供給管は、凝集槽を円形とし、凝集槽を三等分した、扇形の第一の部屋〜第三の部屋に配備するに際し、空気供給管を、第一の部屋〜第三の部屋の扇形円弧の弦の部位に配備し、空気供給管が、最長の長さを確保する構成とした固液分離装置である。
【0024】
従って、請求項4は、下記の[イ]〜[ハ]と[ホ]の特徴を有する。
[ホ] 凝集槽の第一の部屋〜第三の部屋において、この第一の部屋〜第三の部屋に、長尺の空気供給管を設け、フロックの確実な浮上と、このフロックの滞留回避を確実に無くし得ること、等である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の固液分離装置の全体の断面図
【図2】本発明の固液分離装置の全体の概観平面図
【図3】図1のC−C断面図
【図4】図3のD−D断面図
【図5】図2のA視した要部の拡大端面図
【図6】図2のB視した要部の拡大端面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
図中1は筒状の容器本体で、この筒状の容器本体1は、平面視して円形であり、上部1aを開放し、底部1b(下部)に廃棄物排出口2と、のぞき窓100を備えた構造である。
【0027】
そして、この容器本体1には、上部1aより底部1bに向かって、複数枚の仕切り板3(第一の仕切り板3−1と、第二の仕切り板3−2と、第三の仕切り板3−3とする)を介して、複数の部屋、即ち、第一の部屋5と、第二の部屋6、並びに第三の部屋7に区画した環状の凝集槽8と、この凝集槽8の底部8aより垂下し、その中間1cに設けた複数枚の分離板10、11等と、この分離板10、11間(分離板10の上面と、分離板11の下面の間)に設けた分離流路12と、前記分離板10の上部上澄み側に設け、かつ凝集槽8に貫設した、所謂、容器本体1の中間1cから上部1aに至る上澄み液の浮上流路13とを備える。尚、前記分離板10と、分離板11は、機能上で、分離板10の裾野10aと、分離板11の裾部11aとは長短がある。この例では中心に設けられた分離板10の裾野10aが、分離板11の裾部11aより長く構成することで、凝集槽8で処理済の原液(原水)及び/又はフロックは、この分離板10の裾野10aより、後述する上澄み液生成空間に向かって、かつ容器本体1の内周面1dに接触するようにして流下し(後述する処理原液の流下流路を流下し)、裾野10aと内周面1dへの接触を介して、後述する上澄み液生成空間において、確実な分離と、滞留時間の確保を図る。図中4aは、分離板10を支持する、容器本体1と分離板10に差渡し設けた支持具とし、4bは、分離板11を支持する、分離板11と分離板10に差渡し設けた支持具を示している。 また、必要により、凝集槽8に浮上油分排出管14を設けることも考えられる。
【0028】
そして、この第一の部屋5には、原液導入管15を臨ませるとともに、その底部5aに空気供給管20を配備し、この実施例では、空気供給管20を、扇形円弧800の弦の部位500(第一の仕切り板3−1と、第三の仕切り板3−3のそれぞれの端部300−1、300−3)に配備し、最長の長さを確保する構成である。そして、この空気供給管20には、空気を供給する配管21(ホース)及びポンプ(図示しない)を接続するとともに、その下周面に細孔2000を複数開設する。そして、この第一の仕切り板3−1には、オーバーフロー用の切欠部22(連通口)を備えている。また、第三の仕切り板3−3は隔壁構造とする。この第一の部屋5に導入された原液(原水)は、下周面に設けた細孔2000より、空気を噴射して、原液中に存在するフロックを、撹拌かつ浮上し、底部5aへの沈降防止と、原液の流れに乗って流動させること等を図る。また、フロック相互の接触の拡充と、その拡大化に役立てる。そのために、空気を底面5aに向かって、しかも、前記最長の長さを確保することで、この底面5aに広範囲に噴射することができ、前述した、原液中に存在するフロックを、撹拌かつ浮上し、底部5aへの沈降防止等が確実に達成される(以下、同じ)。尚、この第一の部屋5、第一凝集処理した原液は、オーバーフロー用の切欠部22を介して、第二の部屋6に送られる構造である。従って、フロックが、その底部5aとか、原液の流れが滞留する箇所、或いは仕切り板3−1(後述する仕切り板3−2、3−3)と内周面1dで形成される隅部等において、沈降することがない特徴がある。従って、この第一の部屋5(後述する第二の部屋6、第三の部屋7)の容積を十分活用し、この第一の部屋5(後述する第二の部屋6、第三の部屋7)での原液の滞留、かつ処理時間を確保できる(後述する第二の部屋6と、第三の部屋7においても同様である)。
【0029】
また、第二の部屋6には、その底部6aに空気供給管20を配備し、この実施例では、空気供給管20を、扇形円弧800の弦の部位600(第一の仕切り板3−1と、第二の仕切り板3−2のそれぞれの端部300−1、300−2)に配備し、最長の長さを確保する構成である。そして、この空気供給管20には、空気を供給するホース21及びポンプを接続するとともに、その下周面に細孔2000を複数開設する。そして、この第二の仕切り板3−2には、アンダーフロー用の切欠部23(連通口)を備えている。また、この第二の部屋6には、撹拌翼25と、この撹拌翼25を回転するモータ26と、このモータ26の出力軸2600に連設する伝動軸27を備えており、この撹拌翼25を介して、第一凝集処理した原液を撹拌し、フロックの浮上と、その一層の凝集促進と、フロック間の接触を図る。尚、この撹拌翼25の撹拌と、空気供給管20の細孔2000からの空気の噴射による、撹拌かつ浮上との相乗効果が図れ、前述の第一の部屋5による前記各効果を、より一層達成できる。そして、この第二の部屋6で、第二凝集処理した原液は、アンダーフロー用の切欠部23を介して、第三の部屋7に送られる構造である。
【0030】
さらに、第三の部屋7には、その底部7aに空気供給管20を配備し、この実施例では、空気供給管20を、扇形円弧800の弦の部位700(第二の仕切り板3−2と、第三の仕切り板3−3のそれぞれの端部300−2、300−3)に配備し、最長の長さを確保する構成である。また、この空気供給管20には、空気を供給するホース21及びポンプを接続するとともに、その下周面に細孔2000を複数開設する。この空気供給管20から、噴射した空気が、第二凝集処理した原液に対する撹拌と、フロックの浮上等の効果と、底部7aへの空気の噴射効果は、前述の第一の部屋5の状況に準ずる。そして、この第三の部屋7で、第三凝集処理した原液は、底部7aに開設した処理原液の流下口701から、分離板10、11で形成された分離流路12に至る構造である。
【0031】
そして、第一の部屋5〜第三の部屋7に各空気供給管20を配備するに際して、この各空気供給管20を、導入される処理済等の原液の導入流れに、向かい打つような部位500〜700に設けることで、前記空気供給管20の細孔2000からの空気の噴射による撹拌かつ浮上と効果を、前述した如く、最大限発揮できる構造となっている。また、第三の部屋7においては、第三凝集処理した原液を、確実に、底部7aの処理原液の流下口701に導くように、前記空気供給管20を、処理原液の流下口701に対峙する部位700に設け、また、細孔2000の開口方向を、この処理原液の流下口701に向けることで、その流れを確保できる。
【0032】
図中30は容器本体1の中間1cと底部1bとの間に形成した上澄み液生成空間であり、この上澄み液生成空間30は、分離板裾部10aと、容器本体1の内周面1dとで形成される処理原液流下流路31と連通されている。従って、この上澄み液生成空間30は、凝集槽8から流下される処理原液の滞留空間となり、この滞留空間を利用して、フロックと液(水)との比重分離を図り、上澄み液(上澄み水)の生成を図る。そして、この上澄み液は、緩やかに上昇しつつ、かつこの上昇過程でも、さらに比重分離が行なわれることで、最上の上澄み液が生成される。この生成された上澄み液は、分離板10の内部10b(傘内)を緩やかに上昇した後、前記浮上流路13を経由し、上澄み液排出管32を介して、装置外に排出され、再利用される。尚、沈降したフロック(廃棄物)は、底部1bに堆積されるとともに、排出口2より装置外に排出される。
【0033】
以下、本発明の原液の上澄み液の生成と、その排出とを、順に、説明する。処理対象の原液は、原液導入管15を介して、凝集槽8の区画された所定の部屋に導入される。この例では、第一の部屋5の接線方向で、かつ部位500に設けた空気供給管20に略対峙する方向から導入される。この導入された原液に対して、この最長の長さを確保した空気供給管20の下周面に設けた細孔2000より、空気を噴射して、原液中に存在するフロックを、撹拌かつ浮上し、底部5aへの沈降防止と、原液の流れに乗って流動させることで、前述した、フロック相互の接触の拡充と、その拡大化に役立て、かつこの第一の部屋5の底面5aに広範囲に噴射することで、前述した、原液中に存在するフロックを、撹拌かつ浮上し、底部5aへの沈降防止等を図る。そして、第一凝集処理した原液は、オーバーフロー用の切欠部22を介して、第二の部屋6に送られる。
【0034】
この第二の部屋6に導入された第一凝集処理済の原液は、最長の長さを確保した空気供給管20の下周面に設けた細孔2000より、空気を噴射して、原液中に存在するフロックを、撹拌かつ浮上し、底部6aへの沈降防止と、原液の流れに乗って流動させるが、これと同時に、この第二の部屋6に設けた撹拌翼25を介して、前記第一凝集処理した原液を、同時に撹拌し、フロックの浮上と、その一層の凝集促進と、フロック間の接触を図る。この第二の部屋6で、第二凝集処理した原液は、アンダーフロー用の切欠部23を介して、第三の部屋7に送られる。
【0035】
この第三の部屋7に導入された第二凝集処理済の原液は、最長の長さを確保した空気供給管20の下周面に設けた細孔2000より、空気を噴射して、原液中に存在するフロックを、撹拌かつ浮上し、底部7aへの沈降防止と、原液の流れに乗って流動させる(前述の第一の部屋5の状況に準ずる)とともに、この第三の部屋7では、空気供給管20を、処理原液の流下口701に対峙する部位700に設け、また、細孔2000の開口方向を、この処理原液の流下口701に向けることで、この流下口701に向かっての流れを確保できる。そして、この第三の部屋7で、第三凝集処理した原液は、底部7aに開設した処理原液の流下口701から、分離板10、11で形成された分離流路12に至る構造である。
【0036】
そして、この第三凝集処理した原液は、流下口701から、分離板10、11間に設けた分離流路12と、この分離板10の上面を流下しつつ、この上面への接触、及び/又は、末広がりの傾斜とを利用し、フロックの更なる拡大と、分離を図りつつ、処理済の原液及び/又はフロックは、処理原液流下流路31を流下し、容器本体1の上澄み液生成空間30に向かって、かつ容器本体1の内周面1dに向かって、流下するが、この際に、分離板10の裾野10aと、この内周面1dへの接触を介して、確実な分離と、接触時間の確保を図る。
【0037】
その後、この処理原液は、上澄み液生成空間30に導かれ、滞留空間を利用して、フロックと液との比重分離を図り、上澄み液の生成を図る。この上澄み液は、緩やかに上昇しつつ、かつこの上昇過程でも、さらに比重分離が行なわれることで、最上の上澄み液が生成される。この生成された上澄み液は、分離板10の内部10b(傘内)を緩やかに上昇した後、前記浮上流路13を経由し、上澄み液排出管32を介して、装置外に排出され、再利用される。尚、沈降したフロックは、底部1bに堆積されるとともに、排出口2より装置外に排出される。
【符号の説明】
【0038】
1 容器本体
100 のぞき窓
1a 上部
1b 底部
1c 中間
1d 内周面
2 排出口
3 仕切り板
3−1 第一の仕切り板
300−1 端部
3−2 第二の仕切り板
300−2 端部
3−3 第三の仕切り板
300−3 端部
4a 支持具
4b 支持具
5 第一の部屋
5a 底部
500 部位
6 第二の部屋
6a 底部
600 部位
7 第三の部屋
7a 底部
700 部位
701 処理原液の流下口
8 凝集槽
8a 底部
800 円弧
10 分離板
10a 裾野
10b 内部
11 分離板
11a 裾野
12 分離流路
13 浮上流路
14 浮上油分排出管
15 原液導入管
20 空気供給管
2000 細孔
21 配管
22 切欠部
23 切欠部
25 撹拌翼
26 モータ
2600 出力軸
27 伝達軸
30 上澄み液生成空間
31 処理原液流下流路
32 上澄み液排出管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に設けた凝集槽と、この凝集槽より垂下し、中間に設けた複数枚の分離板と、この分離板間に設けた分離流路と、前記中間から前記上部に至る上澄み液の浮上流路とを備えた筒状の容器本体であって、
この容器本体の上部に設けた凝集槽は、仕切り板を介して、複数の部屋に区画し、この第一の部屋に、原液導入管を臨ませるとともに、その底部に空気供給管を配備し、また第二の部屋に、撹拌翼を設けるとともに、その底部に空気供給管を配備し、さらに、第三の部屋に、その底部に空気供給管を配備するとともに、前記分離流路に繋がる流下口を開設し、また、前記複数枚の分離板で、その中心の分離板の裾部と、前記容器本体の内周面との間に、処理原液流下流路を形成する構成とした固液分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載の固液分離装置であって、
前記仕切り板は、第一の仕切り板〜第三の仕切り板で構成し、この第一の仕切り板を、前記第一の部屋と、第二の部屋とを区画する構成とし、この第一の仕切り板には、オーバーフローの連通口を設け、また、この第二の仕切り板を、前記第二の部屋と、第三の部屋とを区画する構成とし、この第二の仕切り板には、アンダーフローの連通口を設け、さらに第三の仕切り板を、前記第一の部屋と、第三の部屋とを区画する構成とし、この第一の仕切り板は、隔壁構造とする構成とした固液分離装置。
【請求項3】
請求項1、又は請求項2に記載の固液分離装置であって、
前記第二の部屋に、撹拌翼と、空気供給管とを配備するに際し、この空気供給管を、この第二の部屋の底部に近接し、この空気供給管の上に、この撹拌翼を配備する構成とした固液分離装置。
【請求項4】
請求項1、又は請求項2に記載の固液分離装置であって、
前記空気供給管は、前記凝集槽を円形とし、この凝集槽を三等分した、扇形の第一の部屋〜第三の部屋に配備するに際し、この空気供給管を、この第一の部屋〜第三の部屋の扇形円弧の弦の部位に配備し、この空気供給管が、最長の長さを確保する構成とした固液分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−161397(P2011−161397A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28801(P2010−28801)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000132105)株式会社スイレイ (4)