説明

圃場作業機の接地輪装置

【課題】 接地輪の外周面に土が付着するのをより確実に防止し、又は、付着した土をより確実に排除できるようにする。
【解決手段】 畝を転動する接地輪59の外周面105に、接地輪59の転動によって表面形状が変動、復帰を繰り返す弾性カバー107が被覆されている。また、接地輪59の外周面105と弾性カバー107との間に、接地輪59の周方向に流動体が流動可能な流動層111が形成されている。また、前記接地輪59が、植付機構を支持する植付フレームに取り付けられ且つテーパー状の外周面105を有する截頭円錐状の鎮圧輪とされている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植機等の圃場作業機に使用される接地輪装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば圃場作業機である移植機では、植付機構を支持する植付フレームに、畝を転動する接地輪である鎮圧輪が取り付けられ、鎮圧輪の外周に付着した土を排除するためスクレーパを設けるようにしたものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−141366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、スクレーパによる土の付着防止の作用効果は不十分であり、例えば、鎮圧輪の外周に付着したまま残った土によって、鎮圧輪が転動を停止したり、苗の植え付け深さが変動したり、また、鎮圧輪に付着した泥と苗とが接触したりするという不都合が生じることがあった。
本発明は上記問題点に鑑み、接地輪の外周面に土が付着するのをより確実に防止し、又は、付着した土をより確実に排除できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、畝を転動する接地輪の外周面に、接地輪の転動によって表面形状が変動、復帰を繰り返す弾性カバーが被覆されている点にある。
また、本発明の他の技術的手段は、接地輪の外周面と弾性カバーとの間に、接地輪の周方向に流動体が流動可能な流動層が形成されている点にある。
【0006】
また、本発明の他の技術的手段は、前記接地輪が、植付機構を支持する植付フレームに取り付けられ且つテーパー状の外周面を有する截頭円錐状の鎮圧輪とされている点にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、畝を転動する接地輪の外周面に弾性カバーが被覆され、接地輪の転動によって弾性カバーの表面形状が変動、復帰を繰り返すので、鎮圧輪の外周面対応する被覆カバー部の表面に土が付着するのを効果的に防止し、また、付着した土をより確実に排除できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態を示す鎮圧輪部分の背面図である。
【図2】同鎮圧輪部分の側面図である。
【図3】同鎮圧輪上部の背面断面図である。
【図4】同移植機の全体側面図である。
【図5】同移植機の平面図である。
【図6】同移植機構を示す側面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図4において、1は、畝Rの長手方向に移動しながら該畝Rに野菜等のソイルブロック苗2を所定間隔をおいて植え付ける歩行型の移植機である。
該移植機1は、畝Rを跨いで該畝Rの長手方向に走行する走行体3と、この走行体3の後方側に設けられた移植装置4と、この移植装置4を支持する支持フレーム5と、走行体3を操向する操向ハンドル7とを備えている。
【0010】
走行体3は、図4及び図5に示すように、走行機体9と、この走行機体9を走行可能に支持する推進機構10と、走行機体9に搭載されたエンジン11等を有する。
走行機体9は、ミッションケース12と、このミッションケース12の前部に該ミッションケース12から前方突出状に取付固定された架台13とを備えてなり、エンジン11は架台13上の前部に搭載されている。
【0011】
推進機構10は、畝間溝Mを回転して動く無限回転体として左右一対の前輪14(車輪、前部無限回転体)と左右一対のクローラベルト15(後部無限回転体)とを有する車輪・クローラ複合型の無限回転推進機構が採用されている。
この推進機構10は、前輪14と、この前輪14を支持する前輪支持アーム17と、前輪14の後方側に配置されたクローラ式走行装置18と、このクローラ式走行装置18を支持する伝動ケース19とを走行機体9の左右両側に備えている。
【0012】
左右の各前輪支持アーム17は、後方に行くに従って上方に移行する傾斜状に配置され、各前輪支持アーム17の後端側(上端側)には左右方向の軸芯を有する六角筒状の取付具20が設けられ、各前輪支持アーム17の前端側(下端側)には前輪14が左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されている。
前記架台13の後部下面側には、左右方向の軸芯を有する筒状の軸サポート22が設けられ、この軸サポート22は走行機体9(ミッションケース12及び架台13)に取付固定されたブラケット21に支持されており、該軸サポート22には、左右方向の軸芯を有する左右一対の前輪支軸23の左右方向内端側が挿入されていて、該軸サポート22に左右の前輪支軸23が左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されている。
【0013】
左右の各前輪支軸23の左右方向外端側は左右方向の軸芯を有する六角筒体によって構成されたアーム取付部24とされ、このアーム取付部24に、左右方向で同じ側にある前輪支持アーム17の取付具20を一体回動自在に外嵌することにより、前輪支持アーム17が軸サポート22に前輪支軸23の軸芯回りに上下揺動自在に支持されている。
前記アーム取付部24に対する取付具20の左右方向に関する位置は位置変更自在とされ、アーム取付部24に対して取付具20を左右方向に関して位置変更することにより、前輪14のトレッドが調整可能とされている。
【0014】
左右の各伝動ケース19は、ミッションケース12の左右両側に該ミッションケース12の側面から後方に向けて延出状とされて配置され、各伝動ケース19の前端側(一端側)は、ミッションケース12の側面にケース支持体25を介して左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されていて、該伝動ケース19の後部が上下に揺動可能とされており、伝動ケース19の後端側(他端側)にクローラ式走行装置18が設けられている。
【0015】
また、架台13には、昇降シリンダ44とローリングシリンダ45とが設けられ、これら昇降シリンダ44とローリングシリンダ45とは油圧シリンダによって構成されている。
昇降シリンダ44のチューブ44aは架台13に固定され、ピストンロッド44bは後方側に向けて突出されていて軸サポート38に連結されている。
【0016】
また、ローリングシリンダ45のチューブ45aは架台13に前部側を中心として左右軸回りに回動自在に支持され、ピストンロッド45bは後方側に向けて突出されていて、ローリング軸39の左側に下方側に突出するように設けられたアーム47に枢着されている。
前記昇降シリンダ44のピストンロッド44bを進退させると軸サポート38及びローリング軸39が前後に移動し、左右の連結リンク43によって左右の第3連動ブラケット37が押し引きされて左右の伝動ケース19が共に上下に揺動すると共に、左右の第2連動ブラケット35が上下に揺動して左右の連動リンク36を介して左右の第1連動ブラケット34が押し引きされて左右の前輪支持アーム17が共に上下に揺動する(左右の伝動ケース19の上下揺動に連動して左右の前輪支持アーム17が上下揺動する)。
【0017】
これによって、左右の前輪14と左右のクローラ式走行装置18とが、同時に、走行機体9に対して相対的に上下動し且つ前輪14及びクローラベルト15が接地していることから、必然的に走行機体9が接地面に対して昇降するよう構成されている。
また、ローリングシリンダ45のピストンロッド45bを進退させるとローリング軸39が回動して、一方の連結リンク43が一方の第3連動ブラケット37を押動すると共に他方の連結リンク43が他方の第3連動ブラケット37を引動する。
【0018】
これによって、左右一方の前輪14及びクローラ式走行装置18が走行機体9に対して相対的に上昇すると共に、左右他方の前輪14及びクローラ式走行装置18が走行機体9に対して相対的に下降し、走行機体9の左右方向に対する傾きを修正することができるよう構成されている。
前記支持フレーム5はミッションケース12の後部上部側に取付固定されていて、ミッションケース12から後方側に向けて延出されると共に後端側で上方側に向けて延出されており、この支持フレーム5の後端側に操向ハンドル7が連結されている。
【0019】
移植装置4は、苗トレイを載置して支持する苗載せ台56と、この苗載せ台56上の苗トレイから苗2を取り出す苗取出し装置57と、この苗取出し装置57から供給された苗2を畝Rに植え付ける植付体58と、畝Rに植え付けられた苗2の左右両側を鎮圧する左右一対の鎮圧輪59(覆土輪)と、圃場に敷設されたマルチフィルムに植付用穴を形成する穿孔体60と、この穿孔体60の前方側で畝Rの上面を転動する整地ローラ61(検出ローラ)とを備えている。
【0020】
苗トレイは、プラスチック製で薄肉に形成されていて可撓性を有し、縦横に所定ピッチで碁盤目状に配列された多数のポット部を備えており、各ポット部の開口縁部は平板状の薄肉壁部で相互に接続されている。
この苗トレイには、各ポット部に供給された床土に播種して育苗されたソイルブロック苗2が育成されている。
【0021】
苗載せ台56は、操向ハンドル7の前方側に位置しており、前方に行くに従って下方に移行する傾斜状に設けられていて苗トレイの底部が載置されて該苗トレイを支持する載置板を有し、支持フレーム5に左右方向移動可能に支持されている。
また、苗載せ台56は横送り機構によって、苗トレイのポット部の横方向の1ピッチ分、間欠的に左右方向に往復横送り可能とされ、また、苗載せ台56には、その左右方向の移動域の左右両側の端部において、苗トレイをポット部の縦方向の1ピッチ分、下方側に縦送りする縦送り機構が備えられている。
【0022】
苗取出し装置57は、ポット部から苗2を取り出す苗取出爪62を備え、ポット部内の床土に対して前側から苗取出爪62を進行させて該床土を突き刺すと共に突き刺した後に苗取出爪62を後退させることによりポット部から苗2を取り出し可能としている。
また、ポット部から取り出された苗2は、苗受取り位置に位置する植付体58の上方に移送されて植付体58へと放出可能とされている。
【0023】
植付体58は、上側から苗2が供給できるように上端が開放状とされ、内部に苗2を保持でき且つ該苗2を下方に放出できるように下部が開閉自在とされている。
この植付体58は、図6に示すように、植付フレーム63に支持された植付機構(昇降機構)64によって昇降自在に支持され、植付フレーム63は、前端側がミッションケース12の側面に左右軸回りに回動自在に支持されていて上下揺動自在とされている。
【0024】
ミッションケース12には、植付フレーム63の前端の回動軸芯と同芯状に動力取出軸65が設けられ、該動力取出軸65から、植付フレーム63に設けられた伝動ケース66内のチェーン巻掛伝動機構を介して前記植付機構64に動力が伝達されて該植付機構64が駆動される。
植付体58は上下移動範囲の上死点又はその付近の苗受取り位置において閉じた状態で苗取出し装置57から苗2が供給され、内部に苗2を保持した状態で下降し、上下移動範囲の下死点側で畝Rに突入し且つ開くことにより、畝Rに植え穴を形成する共に該植え穴に苗2を放出する。これにより苗2が畝Rに植え付けられる。
【0025】
鎮圧輪59は、植付体58の後方側に左右一対設けられていて、畝R上面の苗2の植付け位置の左右両側を転動し、植付体58で形成された植え穴に投入された苗2の左右両側の土を押圧する。
また、鎮圧輪59は、植付フレーム63の後部側に支持機構67を介して支持されていて、該鎮圧輪59によって植付フレーム63の後部側を支持しており、鎮圧輪59と植付フレーム63との上下方向に関する距離を変えることにより、植付け深さを変更することができるよう構成されている。
【0026】
整地ローラ61は、植付体58及び穿孔体60の前方側の畝R上面を転動し、畝R上面を整地すると共に畝R高さを検出するものである。
ミッションケース12の前部下端側には、その前部が支軸69を介して左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されていて後部側が前記支軸69の軸芯回りに上下揺動自在とされた揺動アーム70が設けられ、この揺動アーム70の後部側に整地ローラ61が該整地ローラ61と一体回転する回転支軸71を介して左右方向の軸芯回りに回動自在に支持されていて、畝R上面に追従して該畝R上面を転動する。
【0027】
ミッションケース12に対する整地ローラ61の上下方向に関する動きは、揺動アーム70と一体揺動する第1、第2センサアーム72,73によって、ミッションケース12の上面側に設けた昇降バルブ74に伝えられ、この昇降バルブ74によって前記昇降シリンダ44を制御することにより、畝R上面との距離が一定に保たれるように走行機体9が昇降制御され、これによって植付フレーム63が畝R高さに追従して上下動して設定された植付深さで苗2が植え付けられるように構成されている。
【0028】
一方、ミッションケース12に対する鎮圧輪59の上下方向に関する動きは、植付フレーム63から連動機構75を介して昇降バルブ74に伝えられ、鎮圧輪59の動きによっても畝R上面との距離が一定に保たれるように走行機体9を昇降制御できるように構成されているが、整地ローラ61が畝R高さを検知している状態では、鎮圧輪59の動きは昇降バルブ74には伝わらないようになっている。
【0029】
畝Rに苗2を植え始める時においては、例えば、整地ローラ61が畝Rで持ち上げられると、この動きが昇降バルブ74に伝えられて走行機体9が上昇し、昇降バルブ74が中立になると走行機体9の上昇が停止して、走行機体9が設定された高さとされる。このとき、植付フレーム63は、支持フレーム5側(走行機体9側)に支持されていて走行機体9と共に上昇し、所定の植付深さを保持する。この後、走行機体9を前進させて、鎮圧輪59によって植付フレーム63が支持されると鎮圧輪59で設定された植付深さで植え付けられる。
【0030】
また、畝Rの終わりでは、整地ローラ61が畝Rから外れるので、植え終わりの場合は、鎮圧輪59によって走行機体9を畝R高さに追従させて昇降制御する。
すなわち、整地ローラ61が畝Rから外れると、走行機体9は下降するが、植付フレーム63は鎮圧輪59によって支えられているので、走行機体9が少し下降すると、植付フレーム63と昇降バルブ74とを連動させる連動機構75によって昇降バルブ74が中立に切り換えられて、鎮圧輪59で設定された高さに走行機体9が保持される。
【0031】
これによって、植付体58によって、畝Rの一端から他端にわたって所定の植付深さで植え付けられる。
図1,図2及び図6において、左右一対の鎮圧輪59は鎮圧フレーム81により軸心廻りに転動自在に支持されている。鎮圧フレーム81は鎮圧輪59の外側方に配置した一対の鎮圧輪支持杆82と、一対の鎮圧輪支持杆82に連結するコの字状の連結杆83とを備える。一対の鎮圧輪59はくの字状に屈曲した支持板85に左右方向内方に向けて上方傾斜した支持軸86により軸受87を介して軸心廻りに転動自在に支持されている。各鎮圧輪支持杆82は取付板88を介して前記支持板85に連結固定されている。鎮圧輪支持杆82の前後中途部が取付板88に溶接され、取付板88はボルト等の固定具89で支持板85に固定されている。これにより、一対の鎮圧輪59が逆ハの字状になってい互いに連結され、各鎮圧輪59の外周面の接地面(下端)側が左右方向に水平状になっている。支持板85にスクレーパ91が突設されており、スクレーパ91の先端側は鎮圧輪59の外周面の後方を当該外周面に沿って配置されている。
【0032】
左右一対の鎮圧輪59に対応する一対の鎮圧輪支持杆82のうちの一方の鎮圧輪支持杆82の後部には、後下がりに傾斜した後に鎮圧輪59の後方側で左右方向内方に屈曲した連結支持部93が設けられ、連結支持部93の後側内端部に連結板94が設けられている。
一対の鎮圧輪支持杆82の前端部は、植付フレーム63の後部に突設した支持ブラケット96に左右軸廻りに回動自在に支持され、鎮圧フレーム81の後部である連結支持部93の連結板94が支持機構67を介して植付フレーム63に連結されており、鎮圧輪59によって植付フレーム63の後部が、畝Rの高さ変化に追随するように支持されている。
【0033】
図1及び図3に示すように、左右一対の各鎮圧輪59は、軸心部の筒状部98と外周部の傾斜円筒部99と連結円板部100とを有する鎮圧輪本体101を備え、鎮圧輪本体101の左右方向内方側を塞ぐ閉塞板102が設けられ、閉塞板102の外周部はボルト等の固定具103で傾斜円筒部99に固定されている。而して、左右一対の鎮圧輪59はテーパー面状の外周面105を有する截頭円錐状に形成されている。
【0034】
前記各鎮圧輪59の外周面105に、鎮圧輪59の転動によって表面形状が変動、復帰を繰り返す弾性カバー107が被覆されている。弾性カバー107は板厚約0.3mm程度のゴム製である。
弾性カバー107は鎮圧輪59の外周面105を被覆する被覆カバー部108と弾性カバー107を鎮圧輪59に取り付けるためのカバー取付部109と鎮圧輪本体101の外側面側を塞ぐ閉塞カバー部110とを有し、カバー取付部109は傾斜円筒部99と閉塞板102との間に配置されて、閉塞板102と共にボルト等の固定具103で傾斜円筒部99に共締めされている。
【0035】
弾性カバー107の被覆カバー部108は、鎮圧輪59の外径よりも約3mm大きい外径とされており、鎮圧輪59の外周面105と弾性カバー107(被覆カバー部108)との間に、鎮圧輪59の周方向に流動体である空気が流動可能な流動層111が形成され、流動層111内を空気が流動するように構成されている。
上記実施の形態によれば、鎮圧輪59の転動により、弾性カバー107の被覆カバー部108の表面形状が弾性変形により変形、復帰を繰り返し、また、鎮圧輪59の外周面105と弾性カバー107との間に、鎮圧輪59の周方向に空気(流動体)が流動可能な流動層111が形成されているので、鎮圧輪59の転動により、鎮圧輪59の外周面105と弾性カバー107との間の空気が鎮圧輪59の転動に応じて流動し、弾性カバー107が複雑に弾性変形してそれによる皺が生じて動き、しかも、鎮圧輪59が、植付機構64(植付体58)を支持する植付フレーム63に取り付けられ且つテーパー状の外周面105を有する截頭円錐状の鎮圧輪59とされているので、皺の回転速度が鎮圧輪59の外周面105の左右方向内側と外側では速度がなるため、皺が複雑な動きをしながら回転し、鎮圧輪59の外周面105に対応する被覆カバー部108の表面に土が付着するのを効果的に防止し、また、付着した土をより確実に排除できるようになる。さらに、被覆カバー部108の表面形状が弾性変形により変形、復帰を繰り返すことに伴って被覆カバー部108に付着した土とスクレーパ91とが擦れあうことによっても、付着した土を確実に排除できるようになる。
【0036】
従って、例えば、鎮圧輪59の外周に付着したまま残った土によって、鎮圧輪59が転動を停止したり、苗の植え付け深さが変動したり、また、鎮圧輪59に付着した泥と苗とが接触したりするという不都合を未然に防止でき、安定した鎮圧が可能になる。
なお、前記実施の形態では、接地輪の外周面105と弾性カバー107との間に、接地輪の周方向に空気を入れ該空気が流動可能な流動層111が形成されているが、これに代え、接地輪の外周面105と弾性カバー107との間に、水、油その他の流動体を入れて、流動可能な流動層111を形成するようにしてもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、本願発明を鎮圧輪59に適用実施しているが、これに代え又はこれと共に、整地ローラ61に適用実施することもできる。また、本願発明が適用される接地輪は、テーパー状の外周面105を有する截頭円錐状でなくてもよく、例えば円筒状の接地輪であってもよい。
また、移植機に代えて播種機その他の圃場作業機の接地輪にも本願発明を適用実施することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 移植機
59 鎮圧輪(接地輪)
63 植付フレーム
64 植付機構
105 外周面
107 弾性カバー
111 流動層
R 畝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畝(R)を転動する接地輪(59)の外周面(105)に、接地輪(59)の転動によって表面形状が変動、復帰を繰り返す弾性カバー(107)が被覆されていることを特徴とする圃場作業機の接地輪装置
【請求項2】
接地輪(59)の外周面(105)と弾性カバー(107)との間に、接地輪(59)の周方向に流動体が流動可能な流動層(111)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圃場作業機の接地輪装置。
【請求項3】
前記接地輪(59)が、植付機構(64)を支持する植付フレーム(63)に取り付けられ且つテーパー状の外周面(105)を有する截頭円錐状の鎮圧輪とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圃場作業機の接地輪装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−97862(P2011−97862A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253962(P2009−253962)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】