説明

園芸用ラベル

【課題】製造が容易であり,かつ取り付けが簡単である園芸用ラベルを提供する。
【解決手段】ラベルの目的とする情報が記入されたラベル本体10と,取り付け対象に取り付けるための取り付け機能部20とが,一体化されて形成された園芸用ラベルにおいて,取り付け機能部20は,取り付け対象30に巻き付ける帯状の巻き付け部21と,巻き付け部21が差し込まれる差し込み口22とからなり,差し込み口22に巻き付け部21の先端部分を差し込んだ状態を維持するためのストッパー機能を備える。園芸用ラベル1の使用時には,巻き付け部21を取り付け対象30に巻き付けて差し込み口22に差し込み,その先端部分を引っ張るだけで,簡単に取り付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,植物の茎,幹,枝などの取り付け対象に取り付けられ,植物等に関する様々な情報が記載される園芸用ラベルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は,従来の園芸用ラベルの例を示す図である。植物の茎,幹,枝などに取り付けるタイプの園芸用ラベル100は,図4(A)に示すように,ラベル本体101と取り付け用針金102からなる。ラベル本体101には,植物の名称やデザインされたイラスト,販売店名やその店のマーク等の文字や図柄,植物特許がある場合はその旨を示す注意書きや特許番号等の付加的説明事項など,様々な情報が表示される。園芸用ラベル100は,図4(B)に示すように,取り付け用針金102を植物の茎,幹,枝等に巻き付けるようにして取り付けられる。なお,ラベル本体101の材料としては,塩化ビニル等の合成樹脂や,ポリエチレン系,ポリプロピレン系等の合成紙などが使用されている。
【0003】
また,取り付け用針金102を使用せずに植物の茎,枝などに巻き付けることが可能な園芸用ラベル100もある(例えば,特許文献1参照)。特許文献1には,植物の枝や茎に巻き付けて使用する紙製の園芸用表示片について記載されている。特許文献1では,表示辺を折り返して植物の枝や茎に巻き付けた状態にして,剥離紙を部分的に剥離して露出した粘着層を貼り付けることにより,園芸用表示片を植物に取り付けている。
【特許文献1】特開2000−41495号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4に示すような従来の園芸用ラベル100は,取り付け用針金102に鉄などの安価な金属が用いられているため,腐食しやすく壊れやすかった。さらに,取り付け用針金102は細く加工されているため,植物の茎を傷つけてしまったり,植物の世話などの作業中に取り付け用針金102の先端で怪我をしてしまったりすることもあった。
【0005】
また,従来の園芸用ラベル100は,合成樹脂のラベル本体101と金属の取り付け用針金102といったように異なる材質の部品を別々に製造し,さらにラベル本体101に取り付け用針金102を1つ1つよって組み合わせる工程が必要となるので,コストが高くつき,作業に時間がかかるという問題があった。
【0006】
上述の特許文献1の園芸用表示片は,台紙,粘着層,剥離紙といった複数の素材を用いた構造であるため,一つの材料を用いたものよりコスト高になるという問題がある。また,取り付け時に剥離紙を部分的に剥離する必要があるので,取り付け作業に手間がかり,剥離された剥離紙がごみとなるという問題がある。
【0007】
本発明は,上記問題点の解決を図り,安価であまり手間をかけずに製造することが可能であり,またその取り付けが容易である園芸用ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は,上記課題を解決するため,巻き付け部と差し込み口からからなり,巻き付け部の先端部分が差し込み口から容易に外れないようにするためのストッパー機能を備えた園芸用ラベルの取り付け機能部を,園芸用ラベルの本体に一体化させることを特徴とする。
【0009】
具体的に,本発明は,ラベル本体にラベルの目的とする情報が記入され,取り付け機能部によって取り付け対象に取り付けられて使用される園芸用ラベルであって,取り付け機能部は,ラベル本体の一端から帯状に延び,取り付け対象に巻き付けられる巻き付け部と,巻き付け部の先端部分が差し込まれる差し込み口とからなり,差し込み口に巻き付け部の先端部分を差し込んだ状態を維持するためのストッパー機能を備え,ラベル本体と前記取り付け機能部とが合成樹脂または合成紙等で一体に形成されたことを特徴とする。
【0010】
これにより,ラベル本体と取り付け機能部とを別々に製造する必要がなくなり,ラベル本体と取り付け機能部を組み合わせる作業の必要がなくなるため,製造コストや作業コストを下げることができる。
【0011】
また,上記の園芸用ラベルにおいて,巻き付け部の差し込み方向とラベル本体の上下方向とが,同じ方向になるようにしてもよい。これにより,園芸用ラベルを横方向に伸びた枝などに取り付ける場合に,ラベル本体の上下方向を正常な状態に維持することができる。
【0012】
また,上記の園芸用ラベルにおいて,巻き付け部の差し込み方向がラベル本体の上下方向に対して垂直であってもよい。これにより,園芸用ラベルを縦方向に伸びた幹などに取り付ける場合に,ラベル本体の上下方向を正常な状態に維持することができる。
【0013】
なお,この園芸用ラベルの材料として合成樹脂や合成紙等を用いれば,針金や紙に比べて劣化が起こりにくいため,取り付け機能部が壊れて園芸用ラベルがはずれるようなことがなくなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって,園芸用ラベルの取り付け機能部が園芸用ラベルの本体に一体化されるので,それぞれを別々に製造する必要がなくなり,園芸用ラベルの取り付け機能部を園芸用ラベルの本体とを組み合わせる作業を行う必要がなくなる。そのため,園芸用ラベルの製造コストや作業コストを下げることができる。
【0015】
また,取り付け機能部には針金を使用していないので,巻き付け部の先端部分を差し込み口に差して引っ張るだけで簡単に園芸用ラベルを取り付けることができるようになり,さらに,植物の茎などを傷つけたり,作業中に針金で怪我をすることもなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下,図面に従って本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は,本発明の園芸用ラベルの例を示す図である。園芸用ラベル1は,ラベル本体10と,取り付け機能部20とが一体化した形状をしている。図1(A)は園芸用ラベル1の斜視図を示し,図1(B)は園芸用ラベル1の取り付け状態図を示す。
【0018】
ラベル本体10は,植物の名称やデザインされたイラスト,販売店名やその店のマーク等の文字や図柄,植物特許がある場合はその旨を示す注意書きや特許番号等の付加的説明事項など,ラベルの目的とする様々な情報を文字や図柄などで表示する部分である。
【0019】
取り付け機能部20は,植物の茎,幹,枝などの取り付け対象30に巻き付けて,園芸用ラベル1を取り付ける部分である。取り付け機能部20は,巻き付け部21と差し込み口22とからなり,巻き付け部21の先端部分を差し込み口22に差し込んだ状態を維持するためのストッパー機能を備えている。差し込み口22は,孔状であってもよいし,切れ目状であってもよい。また,図1の例では差し込み口22が巻き付け部21の根元の辺りに設けられているが,ラベル本体10の部分に差し込み口22が設けられていてもよい。
【0020】
園芸用ラベル1を取り付ける場合には,巻き付け部21を取り付け対象30に巻き付けて差し込み口22に差し込み,そのまま巻き付け部21の先端を引っ張ればよい。取り付け機能部20にはストッパー機能が付いているので,巻き付け部21が簡単に差し込み口22から抜けることはない。
【0021】
図1の園芸用ラベル1の例において,巻き付け部21の鋸歯状にギザギザに加工されている部分が差し込み口22に引っ掛かることが,ストッパー機能としての役割を果たす。鋸歯状の部分は,差し込み方向がなだらかに加工されているため,その部分が差し込み口22に差し込まれるときにスムーズに差し込まれる。逆に,差し込み方向と反対側は差し込み方向に対して垂直に近い形状で切り込まれているため,その部分が差し込み口22に引っ掛かる。この例では,差し込み口22が切れ目状であるため,巻き付け部21が差し込み口22にはさまれて外れにくくなっている。また,差し込み口22の幅が巻き付け部21の幅より少し狭くなるように設計すれば,差し込み時に差し込み口22の対角線に巻き付け部21をひねって差し込んで,ひねりがもとに戻ると巻き付け部分のギザギザが狭い差し込み口22に引っ掛かってさらに外れにくくなる。
【0022】
図1に示すような園芸用ラベル1は,ラベル本体10と取り付け機能部20とが一体化した板状の形状になっているため,合成樹脂や合成紙などの板を打ち抜くだけで製造することが可能である。これにより,図4に示す従来の園芸用ラベル100のようにラベル本体101と取り付け用針金102とを別々に製造する必要がなくなり,ラベル本体10と取り付け機能部20とを組み合わせる作業が必要なくなるため,製造コストや作業コストを下げることができるようになる。
【0023】
本発明の園芸用ラベル1としては,図1の例以外にも様々な例が考えられる。以下では,そのうちの一部を簡単に紹介する。
【0024】
図2は,巻き付け部が鋸歯状に加工されていない園芸用ラベルの例を示す図である。図2に示すような巻き付け部21が特に鋸歯状にギザギザに加工されていない園芸用ラベル1でも,十分なストッパー機能を有している。巻き付け部21は,取り付け対象物に巻かれて差し込み口22に差し込まれたときに,丸く反った形状となる。このとき,巻き付け部21の部分には,もとの形に戻ろうとする力が働く。その力と巻き付け部21と差し込み口22との間の摩擦力とによって,巻き付け部21が差し込み口22に引っ掛かり,容易には外れなくなる。また,帯状の巻き付け部21の両側ではなく,片側だけを鋸歯状に形成してもよい。
【0025】
図3は,巻き付け部の差し込み方向がラベル本体の上下方向に対して垂直に設けられた園芸用ラベルの例を示す図である。図3(A)は園芸用ラベル1の斜視図を示し,図3(B)は園芸用ラベル1の取り付け状態図を示す。
【0026】
図1の例の園芸用ラベル1では,巻き付け部21の差し込み方向がラベル本体10の上下方向と同じ方向である。この場合,図1(B)に示すように,園芸用ラベル1を横方向に伸びた枝などの取り付け対象30に取り付ける場合には,ラベル本体10の上下方向が正常な状態に取り付けられるため問題がないが,縦方向に伸びた幹などの取り付け対象30に取り付ける場合には,ラベル本体10の上下方向が横を向いてしまい,適当であるとはいえない。
【0027】
これに対して図3に示す園芸用ラベル1は,図3(B)に示すように,園芸用ラベル1を縦方向に伸びた幹などの取り付け対象30に取り付ける場合に,ラベル本体10の上下方向が正常な状態になるように取り付けることができる。なお,このタイプの園芸用ラベル1においても,巻き付け部21の両側または片側を鋸歯状に形成することで,より外れにくくすることが可能である。
【0028】
以上,本発明の実施の形態について説明したが,本発明はこれに限るものではない。例えば,本実施の形態では,園芸用ラベル1を植物の幹や枝などの取り付け対象30に取り付ける例を示したが,植物の鉢の取っ手など,直接植物でない他の取り付け対象30に取り付けるようにしてもよい。また,例えば,本実施の形態の園芸用ラベル1は,ラベル本体10と取り付け機能部20とがともに板状であるが,その一方または双方がより立体的な形状であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の園芸用ラベルの例を示す図である。
【図2】他の実施の形態に係る園芸用ラベルの例を示す図である。
【図3】他の実施の形態に係る園芸用ラベルの例を示す図である。
【図4】従来の園芸用ラベルの例を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 園芸用ラベル
10 ラベル本体
20 取り付け機能部
21 巻き付け部
22 差し込み口
30 取り付け対象

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル本体にラベルの目的とする情報が記入され,取り付け機能部によって取り付け対象に取り付けられて使用される園芸用ラベルであって,
前記取り付け機能部は,前記ラベル本体の一端から帯状に延び,取り付け対象に巻き付けられる巻き付け部と,前記巻き付け部の先端部分が差し込まれる差し込み口とからなり,前記差し込み口に前記巻き付け部の先端部分を差し込んだ状態を維持するためのストッパー機能を備え,
前記ラベル本体と前記取り付け機能部とが一体に形成された
ことを特徴とする園芸用ラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−155873(P2007−155873A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347540(P2005−347540)
【出願日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(501168515)有限会社マルチ商事 (2)
【Fターム(参考)】