説明

土嚢、土砂の充填方法及び土構造物

【課題】圧縮耐力が大きく、本設の土構造物に適用可能な土嚢を提供する。
【解決手段】袋体2に土砂12を充填してなる土嚢1であって、袋体2の内部は仕切り壁8によって複数の室10に区画されており、各室10が袋体2よりも偏平になるように、各室10内に土砂12が充填されている。袋体2は、上下方向に対向配置される上面シート部3及び下面シート部4と、前後方向に対向配置される前面シート部5及び後面シート部6と、側方向に対向配置される一対の側面シート部7、7とからなる中空の台形台形状をなし、中空の内部が仕切り壁8によって上下方向に複数の室10に区画され、各室10内にそれぞれ土砂12が充填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土嚢、土砂の充填方法及び土構造物に関し、特に、災害復旧工事等の現場に適用されて、本設の土留め、堰堤等の土構造物を施工するのに有効な土嚢、土砂の充填方法及び土構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、災害復旧工事等の現場においては、土嚢を積み上げることにより、土留めや堰堤等の土構造物を施工することが行なわれている。このような土留めや堰堤等の土構造物の施工に使用される土嚢は、袋体の内部に土砂を充填して構成したものであって、施工対象箇所に所定の高さに積み上げることにより、土留めや堰堤等の土構造物として機能させることができるものである。
【0003】
ところで、上記のような構成の土嚢のうち、容量が1m程度の大型土嚢は、粉粒状貨物の輸送を主目的として設計されているため、本設の土構造物に使用するには圧縮耐力が小さく、仮設の土構造物にしか使用することができない。このため、災害復旧等の目的を達成した後に現場から撤去して処分しなければならず、その作業に手間がかかる。また、圧縮耐力が小さいために、多段に積み上げることができず、土構造物としての高さが低く制限されてしまう。
【0004】
さらに、透水性の低い材料又は非透水性材料から形成されているため、含水比の高い粘性土等の土砂を使用することができず、使用可能な土砂が含水比の低い良質の土砂に制限されてしまい、施工費が高くつく。
【0005】
さらに、全体が紫外線による劣化を受けやすいポリプロピレン等の合成繊維から形成されているため、紫外線による劣化を防止するためには土構造物を構築した後に表面を遮光シートで被覆しなければならず、その作業に手間がかかる。
【0006】
さらに、袋体の内部に土砂を充填した後に、袋体の口部を紐で締め付けて閉じなければならず、その作業に手間がかかる。
【0007】
一方、特許文献1には、袋体の底面中央部及び側面の下方の部分を透水性を有する素材で形成した大型の土嚢が記載されている。また、この土嚢を上下方向に多段に積み上げ、その多段に積み上げた土嚢の中心部に支柱を打ち込み、多段に積み上げた土嚢を支持するように構成した点も記載されている。
【特許文献1】特開2004−84183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の土嚢にあっては、袋体の底面中央部及び側面の下方の部分を透水性を有する素材で形成しているため、使用可能な土砂が含水比の低い良質の土砂に制限されるようなことはなく、含水比の高い土砂でも使用することはでき、施工費を削減することができる。
【0009】
しかし、袋体が縦長に形成されているので圧縮耐力が小さく、そのままでは本設の土構造物に適用することができないため、本設の土構造物に適用するためには多段に積み上げた後に中心部に支柱を打ち込まなければならず、その作業に手間がかかる。さらに、袋体の全体が紫外線による劣化を受けやすいポリプロピレン等の合成繊維から形成されているため、紫外線による劣化を防止するためには土嚢を積み上げて土構造物を構築した後に表面を遮光シート等で被覆しなければならず、その作業に手間がかかる。さらに、袋体の内部に土砂を充填した後に、袋体の口部を紐で締め付けて閉じなければならず、その作業にも手間がかかる。
【0010】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、圧縮耐力が高く、本設の土構造物に適用することができ、さらに施工作業性が良好な土嚢、土砂の充填方法及び土構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項1に係る発明は、袋体に土砂を充填してなる土嚢であって、前記袋体の内部は仕切り壁によって複数の室に区画されており、各室が前記袋体よりも偏平になるように、各室内に土砂が充填されていることを特徴とする。
【0012】
本発明による土嚢によれば、袋体よりも偏平な各室に土砂が充填されることで、土嚢に荷重が作用したときに、各室内に充填される土砂の内部拘束力を高めることができる。これにより、土嚢全体としての圧縮耐力を大きくすることができ、本設の土構造物に適用することが可能となる。
【0013】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の土嚢であって、前記袋体は、上下方向に対向配置される上面シート部及び下面シート部と、前後方向に対向配置される前面シート部及び後面シート部と、側方向に対向配置される一対の側面シート部とからなる中空の台形台形状をなし、中空の内部が前記仕切り壁によって上下方向に複数の室に区画されていることを特徴とする。
【0014】
本発明による土嚢によれば、上面シート部、下面シート部、前面シート部、後面シート部、及び一対の側面シート部によって囲まれる部分が仕切り壁によって上下方向に複数の室に区画され、各室内にそれぞれ土砂が充填されることになる。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の土嚢であって、前記袋体の前面シート部は、傾斜面に形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明による土嚢によれば、土嚢を積み上げて土構造物を構築する際に、上下の土嚢の前面シート部の傾斜面を合わせるように積み上げることにより、所定の勾配の法面に形成することができる。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に記載の土嚢であって、前記袋体の少なくとも前面シート部は、耐候性の高い材料から形成されていることを特徴とする。
【0018】
本発明による土嚢によれば、大気に晒される前面シート部が耐候性の高い材料から形成されているので、袋体は紫外線によって劣化し難く、土嚢の性能を長期的に維持することができる。また、前面シート部には、さらに耐候性を向上させるために、シート表面を緑化したり、コンクリート2次製品で防護しても良い。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項2から4の何れかに記載の土嚢であって、前記袋体の後面シート部は、前記袋体の後面側に着脱手段を介して着脱可能に設けられ、この後面シート部により前記袋体の後面側が開閉可能に構成されていることを特徴とする。
【0020】
本発明による土嚢によれば、後面シート部によって袋体の後面側を開放させることにより各室内に土砂を充填することが可能となり、各室内に土砂を充填した後に、後面シート部によって袋体の後面側を閉塞することにより各室内に土砂を封入することができる。
【0021】
請求項6に係る発明は、請求項2から5の何れかに記載の土嚢であって、前記袋体の内部には、前記袋体の各室内に充填される土砂中に含まれる水分を前記各室外に排出させるための排水手段が設けられていることを特徴とする。
【0022】
本発明による土嚢によれば、袋体の各室内に充填される土砂中に含まれる水分は、排水手段を介して各室外に排出されることになるので、含水比の高い粘性土等であっても土砂として使用することが可能となり、施工費を削減することが可能となる。
【0023】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の土嚢であって、前記排水手段は、前記各仕切り壁の上面及び前記下面シート部の上面にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0024】
本発明による土嚢によれば、袋体の各室の底面側に排水手段が設けられているので、各室内に充填される土砂中に含まれる水分を効率良く各室外に排出させることが可能となる。
【0025】
請求項8に係る発明は、請求項6又は7に記載の土嚢であって、前記排水手段は、透水性を有する素材からなる排水シートからなり、又は内部を水分が流通可能な排水管からなり、該排水シート又は排水管を介して前記各室内に充填される土砂中に含まれる水分が前記各室外に排出されることを特徴とする。
【0026】
本発明による土嚢によれば、袋体の各室内に充填される土砂中に含まれる水分は、排水シート又は排水管を介して各室外に排出されることになる。
【0027】
請求項9に係る発明は、請求項1から8に記載の土嚢の袋体の各室内へ土砂を充填するための土砂の充填方法であって、前記袋体を加振手段に取り付け、該加振手段の作動により前記袋体を加振させながら、前記袋体の各室内にそれぞれ土砂を充填することを特徴とする。
【0028】
本発明による土砂の充填方法によれば、袋体の各室内に土砂を充填する際に、袋体を加振手段によって加振させながら土砂を充填することになるので、各室内に土砂を密に詰め込むことが可能となる。従って、袋体の各室内に土砂を充填した後に締固め機械等によって締め固めることなく、所定の内部拘束力が得られることが可能となる。
【0029】
請求項10に係る発明は、請求項1から8に記載の土嚢を上下方向及び水平方向に複数段、複数列に積み重ねて土嚢群を構築し、この土嚢群の後面側に盛土をしてなることを特徴とする。
【0030】
本発明による土構造物によれば、土嚢を上下方向及び水平方向に複数段、複数列に付き重ねて土嚢群を構築し、この土嚢群の後面側に盛土をすることにより土構造物を構築することが可能となる。
【発明の効果】
【0031】
以上、説明したように本発明によれば、袋体よりも偏平な各室に土砂が充填されることで、土嚢に荷重が作用したときに、各室に充填される土砂の内部拘束力を高めることができる。これにより、土嚢全体としての圧縮耐力を高めることができる。従って、本設の土留め、堰堤等の土構造物に適用することが可能となる。また、圧縮耐力を高めることができるので、土嚢を高く積み上げることができ、土構造物としての高さが低く制限されることがない。
【0032】
さらに、袋体の各室内に充填される土砂に含まれる水分を各室外に排出させるための排水手段を設けているので、使用可能な土砂が含水比の低い良質の土砂に制限されることはなく、含水比の高い粘性土等の土砂でも使用することができ、施工費を削減することが可能となる。
【0033】
さらに、袋体の前面シート部を耐候性の高い材料によって形成しているので、袋体の前面シート部が紫外線によって劣化するようなことはなく、土嚢の性能を長期的に維持することができる。
【0034】
さらに、袋体の各室内に土砂を充填する際に、加振手段によって加振しながら充填するようにしたので、各室内に土砂を密に詰め込むことができる。従って、各室内に土砂を充填した後に締固め機械等により締め固めることなく、所定の圧縮耐力が得られることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5には、本発明による土嚢の一実施の形態が示されていて、図1は全体を示す斜視図、図2は図1の後面シート部を開いた状態を示す説明図、図3は土嚢の袋体への土砂の充填方法を示す説明図、図4は土嚢を積み上げて構築した土構造物の一例を示す概略図、図5は図4の部分拡大図である。
【0036】
すなわち、本実施の形態に示す土嚢1は、図1及び図2に示すように、災害復旧工事等の現場において施工される本設の土留め、堰堤等の土構造物に適用可能な大型の土嚢1であって、合成繊維からなるシート材から形成される中空の台形台形状の袋体2と、袋体2の内部に充填される土砂12とから構成されている。
【0037】
袋体2は、1枚又は複数枚の合成繊維からなるシート材を縫製、接着等の接合手段によって繋ぎ合せることにより、横長の中空の台形台形状に形成したものであって、中空の内部が仕切り壁8によって上下方向に複数の室10に区画されている。
【0038】
袋体2は、上下方向に間隔をおいて対向配置される長方形状の上面シート部3及び下面シート部4と、前後方向に間隔をおいて対向配置される長方形状の前面シート部5及び後面シート部6と、側方向(前後方向と直交する方向)に間隔をおいて対向配置される前側が傾斜した台形状の一対の側面シート部7、7とを備え、前面シート部5は側面シート部7の傾斜辺を接続している。
なお、袋体2の上面シート部3、下面シート部4、前面シート部5、及び後面シート部6を正方形状に形成してもよい。
【0039】
袋体2のうちの前面シート部5は、耐候性の高い材料から形成され、その他の後面シート部6、上面シート部3、下面シート部4、及び側面シート部7、7は、汎用性のある安価な材料から形成されている。耐候性の高い材料としては、例えば、ポリエステルにカーボンブラック等の耐候性材料を混入させた合成繊維等が挙げられるが、これらに限らず、同様の特性を有するものであればよい。
前面シート部5を耐候性の高い材料で形成することにより、袋体2に土砂12を充填して土嚢1を構成し、土嚢1を積み上げることにより土構造物20(図4及び図5参照)を構築した場合に、紫外線に晒される前面シート部5が紫外線により劣化するのを防止できる。
なお、後面シート部6、上面シート部3、下面シート部4、及び側面シート部7も耐候性の高い材料で形成してもよい。
【0040】
仕切り壁8は、上面シート部3、下面シート部4、後面シート部6、及び側面シート部7と同様の汎用性のある安価な材料から形成される長方形状をなすものであって、袋体2の中空の内部に上下方向に所定の間隔ごとに互いに平行をなすように設けられ、この仕切り壁8により袋体2の中空の内部が上下方向に3つの室10に区画されている。
【0041】
この場合、各仕切り壁8は、前端部が前面シート部5の内面に、側方の両端部が両側面シート部7、7の内面にそれぞれ縫製、接着等の接合手段によって一体に接合され、後端部が後面シート部6に対して非接合状態となっている。
【0042】
袋体2の後面シート部6は、上端部が上面シート部3の後端部に接合され、又は一体に形成され、下端部及び両側端部はそれぞれ下面シート部4及び両側面シート部7、7に対して非接合状態になっており、この後面シート部6によって袋体2の後面側が開閉可能に構成され、各室10の後面側が開閉可能に構成されている。
【0043】
後面シート部6の下端部及びそれに対応する下面シート部4の後端部には面ファスナ等からなる着脱手段11が設けられ、この着脱手段11を介して後面シート部6の下端部が袋体2に着脱自在に構成されている。
【0044】
各仕切り壁8及び下面シート部4の上面側には排水手段9が設けられ、この排水手段9によって各室10内に充填される土砂12中に含まれる水分が各室10外に排出される。排水手段9としては、透水性を有する素材からなる排水シート、内部を水分が流通可能な塩化ビニル製の排水管等が挙げられる。
【0045】
排水手段9として排水シートを使用する場合には、排水シートを各仕切り壁8及び下面シート部4の上面側にそれぞれ配置し、排水シートの一端部を袋体2の前面シート部5を貫通させて各室10の外部に引き出すようにすればよい。また、排水手段9として排水管を使用する場合には、排水管を各仕切り壁及8び下面シート部4の上面側に配置し、排水管の一端部を袋体2の前面シート部4を貫通させて各室10の外部に引き出すようにすればよい。
【0046】
なお、排水手段9の排水シート及び排水管の他端部を後面シート部6を貫通させて各室10の外部に引き出すようにしてもよい。このように構成することにより、後述する土構造物20を構築した場合に、土嚢1の後面側の盛土21中に含まれる水分を土嚢1を介して土構造物20の法面側に排出させることができる。
【0047】
次に、上記のように構成した本実施の形態による土嚢1の袋体2の内部への土砂12の充填方法について説明する。
図3に示すように、袋体2を加振手段13に取り付ける。加振手段13は、例えば、アングル材等の鋼材を枠組みしてなる支持枠14と、支持枠14の内側に振動可能に設けられる振動テーブル15と、振動テーブル15を加振させるバイブレータ等の駆動源16とから構成され、振動テーブル15は傾斜角度が調整可能に構成されている。そして、このような構成の加振手段13の支持枠14の内側に、各室10の開口部が上方を向くように袋体2を取り付け、袋体2の前面シート部5を振動テーブル15に接触させる。
【0048】
そして、駆動源16を作動させて振動テーブル15を加振させ、振動テーブル15に接触している袋体2を振動テーブル15と一体に加振させ、この状態でバックホウ等の建設機械(図示せず)によって袋体2の各室10内にそれぞれ土砂12を充填する。
【0049】
そして、袋体2の各室10内にそれぞれ土砂12を充填した後に、駆動源16を停止させて、袋体2の各室10の開口部を後面シート部6によって閉塞し、バックホウ等の建設機械により袋体2を支持枠14から取り外す。
【0050】
このようにして、加振手段13によって袋体2を加振させながら、袋体2の各室10内に土砂12を充填することにより、各室10内に土砂12を密に詰め込むことができ、土砂12の充填後にバックホウ等の建設機械によって袋体2を締め固めることなく、各室10内の土砂12の内部拘束力を高めることができ、圧縮耐力の高い土嚢1を製造することができる。
【0051】
そして、上記のように構成した土嚢1を災害復旧工事等の現場の施工対象箇所に搬入し、図4に示すように、複数の土嚢1を前面シート部5が面一となるように積み上げ、その後に複数の土嚢1の後面側に盛土21を行なうことにより、所定の高さ、幅の土留め、堰堤等の土構造物20を施工することができる。
【0052】
上記のように構成した本実施の形態による土嚢1にあっては、袋体2を中空の台形台形状に形成して、中空の内部を仕切り壁8によって上下方向に複数の室10に区画し、各室10内にそれぞれ土砂12を袋体2よりも偏平になるように充填するように構成したので、各室10内に充填される土砂12の内部拘束力を高めることができ、土嚢1全体としての圧縮耐力を高めることができる。
【0053】
従って、本設の土留め、堰堤等の土構造物20に適用することが可能となるので、災害復旧等の目的を達成した後に撤去して処分する施工費と手間を削減することができる。また、圧縮耐力を高めることができるので、高く積み上げることができ、土構造物20の高さが低く制限されることなく、所望の高さ、幅の土構造物20を構築することができる。
【0054】
さらに、袋体2の各仕切り壁8及び下面シート部4の上面側に排水手段9を設けているので、使用可能な土砂12が含水比の低い良質の土砂に制限されることはなく、含水比の高い粘性土等でも各室10内に充填することができ、施工費を削減することが可能となる。
【0055】
さらに、図4に示すように、土嚢1を積み上げたときに表面に露呈する前面シート部5を耐候性の高い材料によって形成しているので、袋体2の前面シート部5が紫外線に晒されても劣化するようなことはなく、土嚢1の性能を長期的に維持することができる。
【0056】
さらに、土嚢1の袋体2の前面シート部5を所定の角度の傾斜面に形成しているので、土構造物20を構築する際に、前面シート部5が面一となるように土嚢1を積み上げるだけで土構造物20の法面を形成することができ、土構造物20の施工を容易にすることができ、施工費を大幅に削減することができる。
【0057】
さらに、土嚢1の袋体2の後面側に後面シート部6を面ファスナ等の着脱手段11を介して着脱自在に設けたので、各室10内に土砂12を充填した後に袋体2の開口部を紐で締め付けて閉じるような煩雑な作業が不要となり、土砂12の充填に要する手間を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明による土嚢の一実施の形態の全体を示した概略斜視図である。
【図2】図1の土嚢の後面シート部を開いた状態を示した説明図である。
【図3】本発明による土嚢の袋体への土砂の充填方法を示した説明図である。
【図4】本発明による土嚢を用いて構築した土構造物の一例を示した説明図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0059】
1 土嚢
2 袋体
3 上面シート部
4 下面シート部
5 前面シート部
6 後面シート部
7 側面シート部
8 仕切り壁
9 排水手段
10 室
11 着脱手段
12 土砂
13 加振手段
14 支持枠
15 振動テーブル
16 駆動源
20 土構造物
21 盛土

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体に土砂を充填してなる土嚢であって、
前記袋体の内部は仕切り壁によって複数の室に区画されており、各室が前記袋体よりも偏平になるように、各室内に土砂が充填されていることを特徴とする土嚢。
【請求項2】
前記袋体は、上下方向に対向配置される上面シート部及び下面シート部と、前後方向に対向配置される前面シート部及び後面シート部と、側方向に対向配置される一対の側面シート部とからなる中空の台形台形状をなし、中空の内部が前記仕切り壁によって上下方向に複数の室に区画されていることを特徴とする請求項1に記載の土嚢。
【請求項3】
前記袋体の前面シート部は、傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の土嚢。
【請求項4】
前記袋体の少なくとも前面シート部は、耐候性の高い材料から形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の土嚢。
【請求項5】
前記袋体の後面シート部は、前記袋体の後面側に着脱手段を介して着脱可能に設けられ、この後面シート部により前記袋体の後面側が開閉可能に構成されていることを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の土嚢。
【請求項6】
前記袋体の内部には、前記袋体の各室内に充填される土砂中に含まれる水分を前記各室外に排出させるための排水手段が設けられていることを特徴とする請求項2から5の何れかに記載の土嚢。
【請求項7】
前記排水手段は、前記各仕切り壁の上面及び前記下面シート部の上面にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項6に記載の土嚢。
【請求項8】
前記排水手段は、透水性を有する素材からなる排水シートからなり、又は内部を水分が流通可能な排水管からなり、該排水シート又は排水管を介して前記各室内に充填される土砂中に含まれる水分が前記各室外に排出されることを特徴とする請求項6又は7に記載の土嚢。
【請求項9】
請求項1から8に記載の土嚢の袋体の各室内へ土砂を充填するための土砂の充填方法であって、
前記袋体を加振手段に取り付け、該加振手段の作動により前記袋体を加振させながら、前記袋体の各室内に土砂を充填することを特徴とする土砂の充填方法。
【請求項10】
請求項1から8に記載の土嚢を上下方向及び水平方向に複数段、複数列に積み重ねて土嚢群を構築し、この土嚢群の後面側に盛土をしてなることを特徴とする土構造物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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