説明

土地再生方法

【課題】本発明は、汚染土壌を浄化・無害化した後の清浄土を活用し、砕石場跡地を緑化植林するための土地再生方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の土地再生方法を、採石場10において、土壌浄化・無害化施設12を設置するステップと、土壌汚染区域14において、汚染土壌16を採取するステップと、汚染土壌16を土壌浄化・無害化施設12へ搬送するステップと、土壌浄化・無害化施設12において、汚染土壌16を浄化・無害化するステップと、浄化・無害化した土壌18を採石場10の採石跡20に埋めるステップと、採石跡20に埋めた土壌18に緑化植生するステップとを含む方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、砕石を採取した跡地を埋めて再生する土地再生方法に関する。
【0002】
従来から、土木工事の原料を採取するために、山等から採石している。山等から採石した採石跡は、穴が掘れていたり、山肌が見えていたりして、外観上好ましくなかった。そこで採石跡を埋め戻して土地再生する必要があるが、埋め戻すには埋め戻すために他の土地を掘削する必要があり、環境を保護しながらの効率の良い土地再生方法はなかった。なお、工事で形成された溝を埋め戻す埋め戻し方法について案出されている(特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−319925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者は、このような課題の原因を究明してこのような課題を解決するべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0005】
すなわち、本発明は、環境を保護しながら効率良く掘削跡を再生できる土地再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の土地再生方法は、採石場において、土壌浄化・無害化施設を設置するステップと、土壌汚染区域において、汚染土壌を採取するステップと、前記汚染土壌を前記土壌浄化・無害化施設へ搬送するステップと、前記土壌浄化・無害化施設において、前記汚染土壌を浄化・無害化するステップと、前記浄化・無害化した土壌を前記採石場の採石跡に埋めるステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、前記土地再生方法において、前記採石跡に埋めた土壌に緑化植生するステップを含むことを特徴とする。
【0008】
また、前記土地再生方法において、前記浄化・無害化した土壌を前記採石場の採石跡に埋めるステップが、該採石跡の周囲に枠部材を設けるステップと、該枠部材内に人工地層を設けるステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、前記土地再生方法において、前記浄化・無害化が、洗浄分級、焼成、加熱蒸気処理、電気泳動、不溶化、封じ込め、バイオレメディエーション若しくはファイトレメディエーションのいずれか、又は洗浄分級、焼成、加熱蒸気処理、電気泳動、不溶化、封じ込め、バイオレメディエーション若しくはファイトレメディエーションの中の複数の組合せであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の土地再生方法によれば、汚染土壌を浄化・無害化し清浄土として採石跡に埋めるため、他の土地を掘削する必要がなく、環境を保護しながらの効率の良い土地再生を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に、本発明に係る土地再生方法について図1〜図3を用いて説明する。
【0012】
本発明の土地再生方法は、図1〜図3に示すように、採石場10において、土壌浄化・無害化施設12を設置するステップと、土壌汚染区域14において、汚染土壌16を採取するステップと、汚染土壌16を土壌浄化・無害化施設12へ搬送するステップと、土壌浄化・無害化施設12において、汚染土壌16を浄化・無害化するステップと、浄化・無害化した土壌18を採石場10の採石跡20に埋めるステップと、採石跡20に埋めた土壌18に緑化植生するステップとを含む方法である。本明細書及び特許請求の範囲において、浄化・無害化とは、洗浄分級、焼成、加熱蒸気処理、電気泳動、不溶化、封じ込め、バイオレメディエーション若しくはファイトレメディエーションを含む概念である。
【0013】
土壌浄化・無害化施設12を設置するステップにおいては、既に採石を行った採石場10又は採石を行う採石場10の敷地内に土壌浄化・無害化施設12を設置する。土壌浄化・無害化施設12は、重金属類、VOCS(揮発性有機化合物)、油類、農薬類などで汚染された土壌を洗浄分級、焼成、加熱蒸気処理、電気泳動、不溶化、封じ込め、バイオレメデーション若しくはファイトレメディエーションによって浄化・無害化することができる施設である。
【0014】
汚染土壌16を採取するステップは、土壌汚染調査会社が調査した結果、汚染が判明した土地汚染区域14において汚染土壌16を掘削するステップである。汚染土壌16を土壌浄化・無害化施設12へ搬送するステップは、掘削した汚染土壌16を運搬車に積載して土壌浄化・無害化施設12まで搬送するステップである。汚染土壌16を浄化・無害化するステップは、土壌浄化・無害化施設12において、上記洗浄分級等によって浄化・無害化するステップである。なお、汚染土壌16に産業廃棄物が混入している場合は処分場へ搬出処理する。
【0015】
清浄土18を採石場10の採石跡20に埋めるステップは、採石跡20の周囲に枠部材22を設けるステップと、枠部材22内に人工地層24を設けるステップと、を含む。土壌浄化・無害化施設12から採石跡20までの土壌18の輸送は、ベルトコンベアー又はショベルカー等を用いて行う。枠部材22は、人工地層24を保持できれば、その材質は特に限定されないが、環境保護の観点から木材であることが望ましい。人工地層24は、採石跡20の広さや状態に応じた形態のものを形成すれば、人工地層24の形成のコストを低減できる。採石跡20に埋めた土壌18に緑化植生するステップは、樹木、花、草等を植えて育てるステップである。緑化植生した土地は、緑地公園、スポーツ施設、市民の憩いの場等として造成し、活用することができる。これにより、緑化再生による地域社会に対する貢献と地域住民に対する責任を履行できる。
【0016】
なお、土壌浄化・無害化施設12には、PC(パーソナルコンピューター)26を設置しており、PC26により土地再生のための処理を行うことができる。PC26は、汚染土壌16の量や汚染状況等を入力することにより、浄化・無害化方法、時間、コスト等を算出する処理算出手段として機能する。また、PC26は、土壌18を採石場10の採石跡20に埋めていく日時、経過等を管理する埋め戻し管理手段として機能する。なお、PC26の設置場所は土壌浄化・無害化施設12以外でもよい。また、PC26の代替として大型コンピューターを用いてもよい。
【0017】
例えば、汚染された土壌を砕石場、荒廃地・廃工場・廃ダム・砕石を取り尽くした島などへ搬出する際に、汚染物質や濃度等の分析結果、土壌性状、含水率、搬出年月日、搬入先名、住所、トラックNo.重量等をPC26に登録する。また、汚染サイトから汚染土壌を砕石場等へ持ち込んで土壌汚染の浄化・無害化対策を行う際、登録した汚染情報に基づいて対策方法をPC26が選択する。例えば、洗浄分級、焼成、加熱蒸気処理、電気泳動、不溶化、封じ込め、バイオレメディエーション若しくはファイトレメディエーションから選択する。また、PC26は、浄化・無害化対策後のモニタリングを行う。モニタリング方法としては、公定法分析、原位置バイオ分析、原位置簡易分析等が挙げられる。また、PC26は、汚染土壌16を砕石跡20以外へ搬送する場合に単品管理を行う。
【0018】
このような土地再生方法によれば、浄化・無害化した土壌18を利用して、採石跡20を埋め戻すことができる。このため、他の土地を掘削することなく、環境を保護しながらの効率の良い土地再生を行うことができる。また、緑化植生するステップを含むため、採石跡20を森林として再生することができる。また、枠部材22を設けて、その中に人工地層24を設けるため、確実に人工地層を設けることができるとともに、人工地層の管理及びメンテナンスが容易になる。
【0019】
また、採石場10内の採石跡20に隣接して土壌浄化・無害化施設12を設けるため、土壌浄化・無害化施設12から採石跡20までの土壌18の輸送を容易に行うことができる。さらに、土壌浄化・無害化施設12は採石跡20の広さや状態に応じた設備のものを建設すればよいため、不要に大規模な土壌浄化・無害化施設12を建設する必要がなく、土壌浄化・無害化施設12建設のコスト低減を図ることができる。また、採石場10内の採石跡20に隣接して土壌浄化・無害化施設12が設けられていれば、周辺住民は採石跡20に浄化・無害化した清浄土18が埋め戻されることを認識できる。このため、周辺住民に安心感及び納得感を与えることができる。
【0020】
また、採石跡20に隣接して土壌浄化・無害化施設12を設けるため、採石跡20が土壌汚染区域14に近いにもかかわらず、図4に示すように遠く離れた土壌浄化・無害化施設12へ汚染土壌16を一旦運搬した後に浄化・無害化した土壌18を土壌汚染区域14へ運搬する必要がない。このため、運搬費の無駄を省くことができる。
【0021】
以上、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明したが、その他の実施形態であってもよい。
【0022】
例えば、図5に示すように、枠部材22内に設ける人工地層24を、浄化層30、無害化層32、砂利層34、及び肥土層36から構成してもよい。無害化層32は、重金属等の物質について薬剤などを使用し封じ込め、不溶化によって無害化処理した土壌から成る層である。浄化層30は、汚染土壌を洗浄分級やバイオレメディエーションなどによって浄化処理した層である。砂利層34は、汚染していない砂利から成る層である。肥土層36は、樹木や草花等の植物38を植え緑化するための層であり、汚染していない肥土から成る層である。このような人工地層24によれば、汚染土壌の浄化層30及び無害化層32を下に埋め込み、汚染のない砂利層34及び肥土層36を表面側に位置させることができる。更に、浄化層30を最も下へ埋め込むことができる。なお、人工地層24の状態をモニタリング井戸40から観測できる。
【0023】
その他、本発明の技術的範囲には、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様も含まれる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、いずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の土地再生方法は、他の土地を掘削する必要がなく、環境を保護しながらの効率の良い土地再生を行うことができる。このため、各種土地の再生のために広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の土地再生方法を示す概念図である。
【図2】本発明の土地再生方法を示す構成図である。
【図3】本発明の土地再生方法を示す流れ図である。
【図4】本発明の土地再生方法の効果を説明するための概念図である。
【図5】本発明の土地再生方法において形成する人工地層の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
10:採石場
12:土壌浄化・無害化施設
14:土壌汚染区域
16:汚染土壌
18:浄化・無害化した土壌
20:採石跡
22:枠部材
24:人工地層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
採石場において、土壌浄化・無害化施設を設置するステップと、 土壌汚染区域において、汚染土壌を採取するステップと、
前記汚染土壌を前記土壌浄化・無害化施設へ搬送するステップと、
前記土壌浄化・無害化施設において、前記汚染土壌を浄化・無害化するステップと、
前記浄化・無害化した土壌を前記採石場の採石跡に埋めるステップと、
を含む土地再生方法
【請求項2】
前記採石跡に埋めた土壌に緑化植生するステップを含む請求項1に記載する土地再生方法。
【請求項3】
前記浄化・無害化した土壌を前記採石場の採石跡に埋めるステップが、該採石跡の周囲に枠部材を設けるステップと、該枠部材内に人工地層を設けるステップと、を含む請求項1又は請求項2に記載する土地再生方法。
【請求項4】
前記浄化・無害化が、洗浄分級、焼成、加熱蒸気処理、電気泳動、不溶化、封じ込め、バイオレメディエーションもしくはファイトレメディエーションのいずれか、又は洗浄分級、焼成、加熱蒸気処理、電気泳動、不溶化、封じ込め、バイオレメディエーションもしくはファイトレメディエーションの中の複数の組合せである請求項1〜請求項3のいずれかに記載する土地再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−301441(P2007−301441A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−129928(P2006−129928)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【出願人】(396015183)株式会社淡海環境デザイン (4)
【出願人】(506156436)
【Fターム(参考)】