説明

土砂災害警戒区域等管理システム

【課題】危険箇所地理情報、基礎調査完了後に作成される土砂災害警戒区域情報、警戒区域指定を掲載した公示情報を、互いに関連付けて記憶手段に保存するとともに、作業の進捗状況を危険箇所地理情報に反映させ、危険箇所ごとにどの作業工程にあるかを把握できる土砂災害警戒区域等管理システムを提供する。
【解決手段】データベース管理エンジンと地理情報システム(GIS)エンジンを備え、第1記憶手段と、第2記憶手段と、危険箇所地理情報、警戒区域情報、公示情報、および地図情報を、第1記憶手段と第2記憶手段に保存する情報入力部と、危険箇所番号をキーに、第1記憶手段に保存された警戒区域情報と公示情報を検索し、各情報の存在の有無により、しない場合、危険箇所地理情報の進捗状況フラグに「未調査」、「調査済」、または「公示済」と設定する進捗状況更新部と、進捗状況更新部により更新された進捗状況フラグの値に従って、危険箇所の進捗状況を識別できるように、画面に表示させる危険箇所関連情報表示処理部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基礎調査のもととなる危険箇所地理情報、基礎調査完了後に作成される土砂災害警戒区域情報、そして警戒区域指定を掲載した公示情報を、互いに関連付けて記憶手段に保存するとともに、作業の進捗状況を危険箇所地理情報に反映させ、危険箇所ごとにどの作業工程にあるかを把握できる土砂災害警戒区域等管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(以下土砂災害防止法という)が平成13年4月1日に施行された。対象となる土砂災害としては、土石流、急傾斜地の崩壊、および地滑りの3現象がある。
【0003】
この土砂災害防止法に基づき、まず都道府県が、渓流や斜面及びその下流など土砂災害により被害の恐れのある区域の地形、地質、土地利用状況等の基礎調査を実施する。その基礎調査の結果により、都道府県知事が土砂災害の恐れのある区域を指定する。具体的には、土砂災害の恐れがある区域を土砂災害警戒区域(イエローゾーン)と指定し、建物が破壊され、住民に大きな被害が生じる恐れがある区域を土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)と指定する。
【0004】
また、都道府県知事は、当該指定をする旨並びに当該土砂災害警戒区域及び当該土砂災害警戒区域における土砂災害の発生原因となる自然現象の種類を明示して、都道府県の公報に掲載して公示する。
【0005】
さらに、警戒区域の指定により、市町村は、土砂災害に関する情報の伝達方法、急傾斜地の崩壊等のおそれがある場合の避難地に関する事項、その他警戒区域における円滑な警戒避難を確保する上で必要な事項を住民に周知させるため、これらの事項を記載したハザードマップ等を作成し、配布する等の措置を講じなければならない。
【0006】
そして、著しい土砂災害が発生する恐れがある土地の区域において一定の開発行為を制限し、あるいは建築物の構造の規制に関する所要の措置を定めることにより、土砂災害の防止のための対策の推進を図り、公共の福祉の確保に資する。
【0007】
ここで基礎調査は、以前の調査で指定された全国で約50万箇所の危険箇所のうちで、各都道府県が管轄する箇所について実施される。
【0008】
警戒区域の指定に関しては、基礎調査で得られたデータをもとに、コンピュータによって自動的に警戒区域の範囲を示す図形を生成する方法として、たとえば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3に開示された技術が利用されている。
【0009】
特許文献1は、土石流が発生すると考えられる渓流の出口において、土石流が及ぶと仮定される警戒区域と、人的、経済的被害が及ぶと考えられる特別警戒区域の設定においては、地図から得られる情報を元に経験的に推定していたものを誰でも容易に推定するものである。
【0010】
また、特許文献2は、デジタル地図情報の標高データは、TIN等による補間面での値として与えられているので、補間面の境界に相当する多数の点が傾斜変換点として抽出されるのを解決するものである。
【0011】
特許文献3は、地滑りのような地形変形について、その移動方向を地形変形の形状を自動的に得るものである。
【特許文献1】特許3860138号公報
【特許文献2】特開2004−294811号公報
【特許文献3】特開2005−164421号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、背景技術に列挙した特許文献のように、計測数値に基づいて警戒区域を特定するための技術が多く開発される一方で、結果として得られた情報を効率よく管理するためのシステムは確立されていない。さらに、土砂災害防止法の本来の目的である、「土砂災害の防止のための対策の推進を図る」上で、各情報のみならず、作業の進捗状況も一元的に管理できるシステムが必要となっている。
【0013】
各都道府県の防災担当者は、基礎調査の計画に際し、管轄する危険箇所のうちで未調査の箇所から調査対象とする箇所を選び出し、調査担当者に依頼する。基礎調査完了後に、防災担当者は、調査担当者が作成した土砂災害警戒区域情報を査収し保守管理する。さらに、防災担当者は、土砂災害警戒区域情報を公報に掲載して公示しなければならないため、公報担当者に掲載依頼をし、公示後に公報(公示情報)を受け取り、保守管理する。
【0014】
このように、防災担当者は、取り扱う情報自体が土砂災害防止上、迅速な対応が必要な場合が多いにも拘らず、データ作成履歴やデータ受け付け履歴を管理する仕組みがないために、確実なデータの保守管理と必要な情報をすぐに提供することができなかった。
【0015】
特に、基礎調査のもととなる危険箇所地理情報、基礎調査完了後に作成される土砂災害警戒区域情報、そして警戒区域指定を掲載した公示情報は、一般的にそれぞれ異なる部門で作成される情報であり、それらを関連付けて管理する仕組みが必要であった。
【0016】
さらに、基礎調査の計画を行う防災担当者にとっては、土砂災害防止のために急務となっている基礎調査を推進していく上で、土砂災害防止法にて定められた作業の進捗状況を容易に把握できる仕組みが必要であった。
【0017】
本発明は、以上のような課題を解決するため、危険箇所地理情報、基礎調査完了後に作成される土砂災害警戒区域情報、そして警戒区域指定を掲載した公示情報を、互いに関連付けて記憶手段に保存するとともに、作業の進捗状況を危険箇所地理情報に反映させ、危険箇所ごとにどの作業工程にあるかを把握できる土砂災害警戒区域等管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、データベース管理エンジンと地理情報システム(GIS)エンジンを備え、外部より入力される危険個所地理情報、警戒区域情報、公示情報、および地図情報を管理する土砂災害警戒区域等管理システムであって、データベース管理エンジンで扱う情報を保存する第1記憶手段と、GISエンジンで扱う情報を保存する第2記憶手段と、危険箇所地理情報、警戒区域情報に含まれる警戒区域地理情報、および地図情報を第2記憶手段に保存し、データベース管理エンジンによって、警戒区域情報に含まれる区域調書から警戒区域管理テーブルと危険箇所番号管理テーブルを作成して第1記憶手段に保存し、公示情報と警戒区域管理テーブルから、公示管理テーブルと公示履歴管理テーブルを作成して第1記憶手段に保存する情報入力部と、第2記憶手段に保存された危険箇所地理情報に含まれる危険箇所番号をキーに、第1記憶手段に保存された危険箇所番号管理テーブルを検索し、該危険箇所番号を含む危険箇所番号管理データが存在しない場合、危険箇所地理情報の進捗状況フラグに「未調査」と設定し、存在する場合、さらに該危険箇所番号管理データの警戒区域データ管理IDをキーに、第1記憶手段に保存された公示履歴管理テーブルを検索し、該警戒区域データ管理IDを含む公示履歴管理データが存在しない場合、危険箇所地理情報の進捗状況フラグに「調査済」と設定し、存在する場合、危険箇所地理情報の進捗状況フラグに「公示済」と設定する進捗状況更新部と、進捗状況更新部により更新された進捗状況フラグの値に従って、危険箇所の進捗状況を識別できるように、GISエンジンによって、第2記憶手段に保存された危険箇所地理情報、警戒区域地理情報、および地図情報を画面に表示させる危険箇所関連情報表示処理部とを含むことを要旨とする。
【0019】
さらに、本発明は、危険箇所関連情報表示処理部が、GISエンジンを介して、画面に表示されている危険箇所地理情報と警戒区域地理情報のうちで所望の警戒区域の指定を受け、第1記憶手段に保存された所望の警戒区域に関連する区域調書と公示情報をデータベース管理エンジンによって読み出し、画面に表示する処理を含むことを要旨とする。
【0020】
また、本発明は、第3記憶手段と、あらかじめハザードマップテンプレートを作成して第3記憶手段に保存し、危険箇所関連情報表示処理部の指示によって、画面に表示されている危険箇所地理情報、警戒区域地理情報、および地図情報から、取り込む画像の範囲を指定してハザードマップテンプレート1に貼り付け、ハザードマップを作成するハザードマップ作成部を含むことを要旨とする。
【0021】
さらに、本発明は、情報入力部が、警戒区域情報に含まれる区域調書に危険箇所番号が設定されていない場合、警戒区域情報に含まれる警戒区域地理情報の座標情報をキーに、危険箇所地理情報を検索し、最も近い位置を示す座標情報を有する危険箇所地理情報の危険箇所番号を、危険箇所番号管理テーブルに設定する処理を含むことを要旨とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、基礎調査のもととなる危険箇所地理情報、基礎調査完了後に作成される土砂災害警戒区域情報、そして警戒区域指定を掲載した公示情報を、互いに関連付けて記憶手段に保存することによって、関連する情報を取り出し、画面に表示することができる。
【0023】
また、本発明では、作業の進捗状況を危険箇所地理情報に反映させておくことによって、危険箇所ごとに土砂災害防止法にて定められた作業のうちどの工程にあるか、すなわち「基礎調査済みか否か」、そして「公示済みか否か」を、危険箇所地理情報を表示するだけで把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態の土砂災害警戒区域等管理システム10は、図1に示すように、データベース管理エンジン800とGISエンジン900を備えたコンピュータを使用して、外部より入力される危険箇所地理情報201、警戒区域情報d1、公示情報d2、および地図情報203を管理するものである。
【0025】
(システム構成)
まず、土砂災害警戒区域等管理システム10の構成について、図1を参照しながら説明する。
【0026】
土砂災害警戒区域等管理システム10は、データの管理を行うためのデータベース管理エンジン800およびGISエンジン900と、データを保存するための第1記憶手段100、第2記憶手段200、および第3記憶手段300と、情報を表示するための画面20とを備える。
【0027】
さらに、土砂災害警戒区域等管理システム10は、情報入力部400、進捗状況更新部500、危険箇所関連情報表示処理部600、およびハザードマップ作成部700を備える。
【0028】
データベース管理エンジン800は、テキスト形式データやイメージデータに関連付け用の識別番号(ID)を付与して、データ間の関連を保ちながらデータベースを構築するソフトウェアである。データベース管理エンジン800としては、たとえば、オラクル(登録商標)などが利用される。
【0029】
GISエンジン900は、地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持った空間データ(ここでは地理情報という)を管理し、視覚的に表示するためのソフトウェアである。地理情報には、空間的な位置と形状を表す「図形データ」と、その図形に関連したさまざまな情報を蓄積した「属性データ」が含まれる。
【0030】
地理情報のデータ形式としては、たとえば、拡張子が「.shp」、「.shx」、「.dbf」の3つのファイルで構成されている汎用性の高いシェープファイル(Shape File)が利用される。「.shp」ファイルが「図形データ」であり、「.dbf」ファイルが「属性データ」である。「.shx」ファイルには、「図形データ」と「属性データ」の対応関係(リンク)が保存されているが、シェープファイルのデータ構成上必要なものであり、本明細書では、特に明記や図示はしていない。
【0031】
第1記憶手段100は、データベース管理エンジン800によってアクセスされ、データベース管理エンジン800が、外部から入力されたテキスト形式データやイメージデータに関連付け用の識別番号(ID)を付与して、データ間の関連を保ちながら構築したデータベースが保存されるメモリーである。
【0032】
第2記憶手段200は、主にGISエンジン900によってアクセスされ、GISエンジン900が扱う地理情報が保存されるメモリーである。
【0033】
第3記憶手段300は、後述するハザードマップ作成部700によってアクセスされ、あらかじめ作成したハザードマップテンプレート301が保存されるメモリーである。さらには、ハザードマップ作成部700がハザードマップテンプレート301を利用し、画像を貼りつけて作成したハザードマップ自体も保存される。
【0034】
画面20は、地理情報や区域調書や公示情報を表示する、コンピュータに接続されたディスプレイである。
【0035】
情報入力部400は、外部より入力される危険箇所地理情報201、警戒区域情報d1に含まれる警戒区域地理情報202、および地図情報203を第2記憶手段200に保存し、さらに、外部より入力される警戒区域情報d1に含まれる区域調書のテキスト形式データやイメージデータを、データベース管理エンジン800によってデータベース化した警戒区域管理テーブル102と危険箇所番号管理テーブル101を第1記憶手段100に保存し、外部より入力される公示情報d2と第1記憶手段100に保存された警戒区域管理テーブル102から、データベース管理エンジン800によってデータベース化した公示管理テーブル103と公示履歴管理テーブル104を第1記憶手段100に保存する処理を、コンピュータの中央演算ユニット(CPU)に実行させるプログラムである。
【0036】
進捗状況更新部500は、第2記憶手段200に保存された危険箇所地理情報201に含まれる危険箇所番号をキーに、第1記憶手段100に保存された危険箇所番号管理テーブル101を検索し、該危険箇所番号を含む危険箇所番号管理データが存在しない場合、危険箇所地理情報201の進捗状況フラグに「未調査」と設定し、存在する場合、さらに該危険箇所番号管理データの警戒区域データ管理IDをキーに、第1記憶手段100に保存された公示履歴管理テーブル104を検索し、該警戒区域データ管理IDを含む公示履歴管理データが存在しない場合、危険箇所地理情報201の進捗状況フラグに「調査済」と設定し、存在する場合、危険箇所地理情報201の進捗状況フラグに「公示済」と設定する処理を、コンピュータのCPUに実行させるプログラムである。
【0037】
危険箇所関連情報表示処理部600は、進捗状況更新部500により更新された進捗状況フラグの値に従って、危険箇所の進捗状況を識別できるように、GISエンジン900によって、第2記憶手段200に保存された危険箇所地理情報201、警戒区域地理情報202、および地図情報203を画面20に表示させる処理を、コンピュータのCPUに実行させるプログラムである。
【0038】
ハザードマップ作成部700は、あらかじめハザードマップテンプレート301を作成して第3記憶手段300に保存し、危険箇所関連情報表示処理部600の指示によって、画面20に表示されている危険箇所地理情報201、警戒区域地理情報202、および地図情報203から、取り込む画像の範囲を指定してハザードマップテンプレート301に貼り付け、ハザードマップを作成する処理を、コンピュータのCPUに実行させるプログラムである。
【0039】
(データ構成)
次に、土砂災害警戒区域等管理システム10で利用する各種データの構成について、各種データのリンク状態を示した図2と、情報入力部400の処理を示した図3から図5を参照しながら説明する。
【0040】
なお、図示した各データは例示であり、以下に説明する各データのすべての要素が図示されているわけではなく、そのデータの特徴となる要素を示している。また、本発明の機能が実現可能な範囲において、各データの要素の取捨選択が考え得ることは言うまでもない。
【0041】
はじめに、土砂災害警戒区域等管理システム10に外部から入力される危険箇所地理情報201、警戒区域情報d1、公示情報d2、および地図情報203から順に説明する。
【0042】
外部から入力され、第2記憶手段200に保存される危険箇所地理情報201は、以前の国による調査で指定された全国で約50万箇所の危険箇所のうちで、各都道府県が管轄する箇所のそれぞれについて、その位置と範囲を示した危険箇所図形データ201aと、その箇所に関する情報を設定した危険箇所属性データ201bによって構成される。
【0043】
危険箇所図形データ201aには、それぞれの図形を識別するための危険箇所図形IDが付与されていて、その図形すなわち危険個所の地図上の位置を示す座標情報と、図形の形状を定義する数値が含まれる。
【0044】
危険箇所属性データ201bには、リンクしている危険箇所図形データ201aに付与されている危険箇所図形IDが設定され、データ間の関連付けを行っている。危険箇所属性データ201bには、危険個所を分類するための現象(土石流、急傾斜地の崩壊、および地滑り)、その危険箇所を識別するための危険箇所番号、そして危険箇所名称が定義されている。また、危険箇所の所在地や管理担当事業所に関する情報が設定されている。
【0045】
そして、危険箇所属性データ201bには、進捗状況更新部500によって設定される進捗状況フラグの欄が設けられている。
【0046】
外部から入力される警戒区域情報d1には、警戒区域地理情報202と区域調書d1aが含まれ、危険箇所の基礎調査を実施した結果、およびその結果に基づいて指定された土砂災害警戒区域(イエローゾーン)と土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)についてまとめた情報であり、調査を担当した部門または事業者などが作成する。
【0047】
警戒区域地理情報202は、GISエンジン900によって扱うことが可能な地理情報であり、指定された警戒区域の位置と範囲を示した警戒区域図形データ202aと、その警戒区域に関する情報を設定した警戒区域属性データ202bによって構成される。
【0048】
警戒区域図形データ202aには、それぞれの図形を識別するための警戒区域図形IDが付与されていて、その図形すなわち警戒区域の地図上の位置を示す座標情報と、図形の形状を定義する数値が含まれる。
【0049】
警戒区域属性データ202bには、リンクしている警戒区域図形データ202aに付与されている警戒区域図形IDが設定され、データ間の関連付けを行っている。警戒区域属性データ202bには、警戒区域を分類するための現象(土石流、急傾斜地の崩壊、および地滑り)、その警戒区域を識別するための警戒区域番号、そして警戒区域名称が定義されている。また、警戒区域の所在地や管理担当事業所に関する情報が設定されている。さらに、どの危険箇所に属するかを示すために、属する危険箇所の危険箇所番号と危険箇所名称も設定されている。
【0050】
一方、区域調書d1aには、テキスト形式の箇所諸元等の区域内情報と、イメージ形式の位置図・概要図や区域設定図など、土砂災害防止法施行規則等によって規定されている情報が含まれる。箇所諸元には、警戒区域属性データ202bに設定されたデータと同様に、警戒区域を分類するための現象(土石流、急傾斜地の崩壊、および地滑り)、その警戒区域を識別するための警戒区域番号、そして警戒区域名称が定義されている。また、警戒区域の所在地や管理担当事業所に関する情報が設定されている。さらに、どの危険箇所に属するかを示すために、属する危険箇所の危険箇所番号と危険箇所名称も設定されている。
【0051】
外部から入力される公示情報d2は、土砂災害防止法等の規定に従って、都道府県で発行される公報に記載される指定された警戒区域に関する情報であり、警戒区域の現象、地区名、所在地、警戒区域番号と、その公報の公示番号と公示年月日がデータとして含まれる。
【0052】
外部から入力される地図情報203は、GISエンジン900によって扱うことが可能な地理情報であり、数値地図データ203aが含まれる。その他、背景の地形を画面20に表示するため、必要によってはオルソデータ203bなども含まれる。数値地図データ203aには、危険箇所の設定尺度の1/25,000数値地図や警戒区域の設定尺度の1/2,500数値地図が含まれる。
【0053】
次に、土砂災害警戒区域等管理システム10に外部から入力された警戒区域情報d1の区域調書d1aと公示情報d2から、情報入力部400によって作成され、第1記憶手段に保存される警戒区域管理テーブル102、危険箇所番号管理テーブル101、公示管理テーブル103、および公示履歴管理テーブル104について説明する。
【0054】
警戒区域管理テーブル102は、土砂災害警戒区域等管理システム10に入力された区域調書d1aと、その区域調書d1aに記載された警戒区域の警戒区域地理情報202をリンクつけて管理するテーブルである。
【0055】
警戒区域管理テーブル102には、区域調書d1aに設定されている警戒区域の現象、警戒区域番号、および警戒区域名称と、警戒区域地理情報202とリンクするために警戒区域図形データ202aの警戒区域図形IDが、警戒区域データ管理IDを付与して保存される。さらに、区域調書に含まれるイメージ形式の位置図・概要図や区域設定図などのデータとのリンク情報も設定される。
【0056】
したがって、この警戒区域管理テーブル102によって、所望の警戒区域の区域調書を読み出すことができる。
【0057】
また、警戒区域管理テーブル102には、区域調書d1aに記載された警戒区域が公示された際の公示区域番号と公示区域名称を設定する欄を設けている。通常は、公示区域番号と公示区域名称は、警戒区域番号と警戒区域名称と同一である。
【0058】
危険箇所番号管理テーブル101は、警戒区域管理テーブル102に設定された警戒区域が属する危険箇所の危険箇所番号を管理するテーブルである。
【0059】
危険箇所番号管理テーブル101には、警戒区域管理テーブル102に設定された警戒区域のデータに付与された警戒区域データ管理IDと、区域調書d1aに設定された危険箇所番号などの危険箇所に関する情報を、危険箇所番号管理IDを付与して保存される。
【0060】
この危険箇所番号管理テーブル101によって、警戒区域データ管理IDを介して、危険箇所番号と警戒区域番号を対応させることができ、危険箇所番号と警戒区域番号をそれぞれ別個に管理できる。
【0061】
公示管理テーブル103は、外部から入力された公示情報d2を管理するテーブルである。
【0062】
公示管理テーブル103には、公示情報d2に設定されている、指定された警戒区域に関する現象、地区名、所在地、警戒区域番号と、その公示番号と公示年月日が、公示データ管理IDを付与して保存される。
【0063】
公示履歴管理テーブル104は、区域調書d1aと公示情報d2を関連付けるためのテーブルである。
【0064】
公示履歴管理テーブル104には、区域調書d1aのデータを警戒区域管理テーブル102に設定する際に付与された警戒区域データ管理IDと、公示情報d2を公示管理テーブル103に設定する際に付与された公示データ管理IDを組として、公示履歴データ管理IDを付与して保存される。
【0065】
(各処理部の処理)
次に、土砂災害警戒区域等管理システム10を構成する情報入力部400、進捗状況更新部500、危険箇所関連情報表示処理部600、およびハザードマップ作成部700の各々の処理について、図3から図9を参照しながら説明する。
【0066】
前述したように、情報入力部400は、土砂災害警戒区域等管理システム10に外部から入力される危険箇所地理情報201、警戒区域情報d1、公示情報d2、および地図情報203を、その情報の種類に従って、第1記憶手段100と第2記憶手段200に、データの関連付けを行いながら保存する。
【0067】
まず、図3に示したように、情報の種類は、入力される情報のファイル形式やファイル名に、一定のルールを取り決めることで、入力時に情報入力部400が自動的に判別することが可能である(S401)。
【0068】
一方、外部から入力される情報の作成元が別々であり、入力される時期も異なる場合がほとんどであることから、土砂災害警戒区域等管理システム10の操作者が、情報の種類を特定して情報入力部400に読み込ませても構わない。
【0069】
外部から入力された情報が危険箇所地理情報201の場合、情報入力部400は、危険箇所地理情報201に含まれる危険箇所図形データ201aと危険箇所属性データ201bを第2記憶手段200に保存する(S402)。
【0070】
また、外部から入力された情報が地図情報203の場合、情報入力部400は、地図情報203に含まれる数値地図データ203aやオルソデータ203bなど、GISエンジン900が扱うことが可能なファイル形式のデータを第2記憶手段200に保存する(S403)。
【0071】
次に、図4に示したように、外部から入力された情報が警戒区域情報d1の場合、情報入力部400は、警戒区域情報d1内の警戒区域地理情報202に含まれる警戒区域図形データ202aと警戒区域属性データ202bを第2記憶手段200に保存する(S404)。
【0072】
さらに、情報入力部400は、警戒区域情報d1内の区域調書d1aの情報に、警戒区域図形データ202aに設定されている警戒区域図形IDを追加して、保存する区域調書d1aの情報と警戒区域地理情報202とをリンクさせる。そして、情報入力部400は、区域調書d1aに設定されている警戒区域の現象、警戒区域番号、および警戒区域名称とともに、警戒区域データ管理IDを付与して、区域調書d1aとその区域調書d1aに記載された警戒区域の警戒区域地理情報をリンクつけて管理する第1記憶手段100の警戒区域管理テーブル102に、警戒区域データとして保存(追加登録)する(S405)。
【0073】
ここで、区域調書d1aに含まれる他のイメージ形式の位置図・概要図や区域設定図などのデータは、データそのものを第1記憶手段100の警戒区域管理テーブル102にデータ要素として保存してもよいし、第1記憶手段100に別個に保存し、そのリンク情報のみを警戒区域管理テーブル102に設定しても構わない。
【0074】
つづいて、情報入力部400は、警戒区域情報d1内の区域調書d1aに設定された危険箇所番号、および危険箇所に関する危険箇所番号情報に、警戒区域管理テーブル102に保存した警戒区域データに付与された警戒区域データ管理IDを追加し、警戒区域管理テーブル102に設定された警戒区域が属する危険箇所の危険箇所番号を管理する第1記憶手段100の危険箇所番号管理テーブル101に、危険箇所番号管理IDを付与して危険箇所番号データとして保存する(S406)。
【0075】
通常、警戒区域情報d1は、基礎調査を実施した部門または事業者によって作成されるが、区域調書d1aのデータは、手入力によって設定されることもある。したがって、必要となるデータが未記入の場合も考えられる。そこで、本発明の土砂災害警戒区域等管理システム10には、最も重要となる危険箇所番号について記入漏れに対処する処理がある。
【0076】
情報入力部400は、第1記憶手段100の危険箇所番号管理テーブル101に、危険箇所番号データを保存する際に、危険箇所番号が設定されているかを判定する(S407)。
【0077】
もし、危険箇所番号が設定されている場合、情報入力部400は処理を終了する。
【0078】
一方、危険箇所番号が設定されていない場合、情報入力部400は、危険箇所番号データに追加した警戒区域データ管理IDによってリンクしている警戒区域データを、警戒区域管理テーブル102から読み出す。そして、情報入力部400は、警戒区域データの警戒区域図形IDによって、第2記憶手段200に保存された該当する警戒区域図形データ202aを参照し、警戒区域図形データ202aの座標情報を読み出す。
【0079】
この座標情報が示す位置が、指示された危険箇所の基礎調査によって指定された警戒区域になるため、指示された危険箇所は、この座標情報が示す位置と同位置かその近辺に存在することになる。
【0080】
そこで、情報入力部400は、読み出した警戒区域図形データ202aの座標情報をキーとして、第2記憶手段200に保存されている、この座標情報と近似の座標情報を有する危険箇所図形データ201aを検出する。検出精度を調整するために、キーとする座標情報からどれだけ離れた範囲(たとえば半径10キロメートル以内や1キロメートル以内など)までを近似地点とするかを指定できるようにしても構わない。
【0081】
情報入力部400は、検出された危険箇所図形データ201aに危険箇所図形IDでリンクしている危険箇所属性データ201bに設定されている危険箇所番号を読み出す(S408)。
【0082】
情報入力部400は、読み出した危険箇所番号を、第1記憶手段100の危険箇所番号管理テーブル101の該当する危険箇所番号データに設定する(S409)。
【0083】
次に、図5に示したように、外部から入力された情報が公示情報d2の場合、情報入力部400は、まず、公示情報d2に設定されている、指定された警戒区域に関する現象、地区名、所在地、警戒区域番号と、その公示番号と公示年月日を、公示データ管理IDを付与して、公示情報d2を管理する第1記憶手段100の公示管理テーブル103に保存する(S410)。
【0084】
つづいて、情報入力部400は、公示管理テーブル103に保存した公示情報d2に設定されている警戒区域番号をキーに、第1記憶手段100の警戒区域管理テーブル102を検索する。そして検出された警戒区域データに、公示された公示区域番号と公示区域名称を設定する(S411)。
【0085】
通常、公示区域番号と公示区域名称は、警戒区域データに設定済みの警戒区域番号と警戒区域名称と同一であるので、警戒区域番号と警戒区域名称を複写して設定しても構わない。
【0086】
最後に、情報入力部400は、公示管理テーブル103に保存した公示情報d2と、警戒区域番号をキーに、第1記憶手段100の警戒区域管理テーブル102から検出した警戒区域データを関連付けるため、公示管理テーブル103に公示情報d2を保存する際に付与した公示データ管理IDと、警戒区域管理テーブル102から検出した警戒区域データに付与されている警戒区域データ管理IDを組として、公示履歴データ管理IDを付与して、第1記憶手段100の公示履歴管理テーブル104に保存する(S412)。
【0087】
次に、進捗状況更新部500は、前述したように、第2記憶手段200に保存された危険箇所地理情報201の危険箇所番号をキーに、第1記憶手段100に保存された危険箇所番号管理テーブル101を検索し、さらに危険箇所番号管理テーブル101の警戒区域データ管理IDをキーに、第1記憶手段100に保存された公示履歴管理テーブル104を検索することで、各危険箇所の作業工程を「未調査」、「調査済」および「公示済」のいずれであるかを判定して、第2記憶手段200に保存された危険箇所属性データ201bに設けられた進捗状況フラグにその値を設定する処理であり、進捗状況更新部500の各処理について、図6を参照しながら説明する。
【0088】
最初に、進捗状況更新部500は、情報入力部400によって第2記憶手段200に保存された危険箇所地理情報201の危険箇所属性データ201bから、危険箇所番号を抽出してくる(S501)。
【0089】
次に、進捗状況更新部500は、抽出した危険箇所番号をキーとして、情報入力部400によって第1記憶手段100に生成された危険箇所番号管理テーブル101を検索する(S502)。
【0090】
進捗状況更新部500は、危険箇所番号管理テーブル101に、危険箇所属性データ201bから抽出した危険箇所番号と一致する危険箇所番号を有する危険箇所番号データが存在するかどうかを判定する(S503)。
【0091】
もし、危険箇所番号が一致する危険箇所番号データが存在しない場合、進捗状況更新部500は、その危険箇所番号が抽出された危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグに、「未調査(0)」を設定する(S504)。
【0092】
一方、危険箇所番号が一致する危険箇所番号データが存在する場合、進捗状況更新部500は、その危険箇所番号データに付与されている警戒区域データ管理IDを、危険箇所番号管理テーブル101から読み出す(S505)。
【0093】
つづいて、進捗状況更新部500は、読み出した警戒区域データ管理IDをキーに、情報入力部400によって第1記憶手段100に生成された公示履歴管理テーブル104を検索する(S506)。
【0094】
進捗状況更新部500は、公示履歴管理テーブル104に、読み出した警戒区域データ管理IDと一致する警戒区域データ管理IDを有する公示履歴データが存在するかどうか判定する(S507)。
【0095】
もし、警戒区域データ管理IDが一致する公示履歴データが公示履歴管理テーブル104に存在しない場合、進捗状況更新部500は、その警戒区域データ管理IDを有する警戒区域データに設定された危険箇所番号が抽出された危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグに、「調査済(1)」を設定する(S508)。
【0096】
一方、警戒区域データ管理IDが一致する公示履歴データが公示履歴管理テーブル104に存在する場合、進捗状況更新部500は、その警戒区域データ管理IDを有する警戒区域データに設定された危険箇所番号が抽出された危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグに、「公示済(2)」を設定する(S509)。
【0097】
図6には示していないが、進捗状況更新部500は、以上の処理を繰り返すことで、第2記憶手段200に保存されているすべての危険箇所属性データ201bについて実行し、すべての危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグを更新する。
【0098】
進捗状況更新部500は、外部から入力された警戒区域情報d1や公示情報d2を情報入力部400が、第1記憶手段100と第2記憶手段200に保存するごとに、起動されるようにしてもよい。また、土砂災害警戒区域等管理システム10の操作者が、進捗状況更新部500を、必要に応じて起動できるようにしても構わない。
【0099】
次に、危険箇所関連情報表示処理部600は、前述したように、進捗状況更新部500により更新された第2記憶手段200に保存された危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグの値に従って、危険箇所の進捗状況を識別できるように、GISエンジン900によって、第2記憶手段200に保存された危険箇所地理情報201、警戒区域地理情報202、および地図情報203を画面20に表示させる処理であり、危険箇所関連情報表示処理部600およびGISエンジン900の各処理について、図7と図8を参照しながら説明する。
【0100】
まず、危険箇所関連情報表示処理部600は、土砂災害警戒区域等管理システム10の操作者によって入力された、表示すべき地域と図形の種類を指定してGISエンジン900を起動する(S601)。
【0101】
ここで、操作者によって入力される表示すべき地域は、たとえば、危険箇所番号や所在地に関する情報などによって指定でき、図形の種類としては、危険箇所のみ表示か、警戒区域も同時に表示か、また、数値地図データ以外にオルソデータも表示かなど、第2記憶手段200に保存されている情報から選択できるようにする。
【0102】
GISエンジン900は、危険箇所関連情報表示処理部600から指示された表示すべき地域の情報から、第2記憶手段200に保存されている危険箇所地理情報201を検索し、該当の危険箇所の危険箇所地理情報201を読み出す(S901)。
【0103】
ここで、GISエンジン900は、該当の危険箇所の危険箇所図形データ201aを表示するにあたって、進捗状況更新部500によって設定された危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグを参照する(S902)。
【0104】
もし、危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグの値が「未調査(0)」の場合、GISエンジン900は、未調査であることを示す色や線種によって、その危険箇所の図形を表示する(S903)。
【0105】
もし、危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグの値が「調査済(1)」の場合、GISエンジン900は、調査済であることを示す色や線種によって、その危険箇所の図形を表示する(S904)。
【0106】
もし、危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグの値が「公示済(2)」の場合、GISエンジン900は、公示済であることを示す色や線種によって、その危険箇所の図形を表示する(S905)。
【0107】
図10に、危険箇所の図形が、GISエンジン900によってどのように表示されるかを示した。図10の(a)が、進捗状況フラグの値が「未調査(0)」の場合の表示である。進捗状況フラグの値が「調査済(1)」の場合は、図10の(b)のように、図形の輪郭が太線になり、図形内をドット表示している。また、進捗状況フラグの値が「公示済(2)」の場合、図10の(c)のように、図形の輪郭の線の色が変化している。
【0108】
次に、GISエンジン900は、危険箇所関連情報表示処理部600からの指示が、警戒区域も表示するようになっているか判定する(S906)。
【0109】
警戒区域も表示する場合、GISエンジン900は、表示している危険箇所の危険箇所番号に対応した第2記憶手段200に保存されている警戒区域図形データ202aを読み出す(S907)。
【0110】
GISエンジン900は、読み出した警戒区域図形データ202aを、危険箇所図形データ201aの縮尺に合わせて、危険箇所図形データ201aに重ねて表示する(S908)。
【0111】
さらに、GISエンジン900は、第2記憶手段200に保存されている指定された地図情報203を読み出す(S909)。
【0112】
GISエンジン900は、読み出した各種の地理情報の座標情報から、指定された地域が画面20上で正確な位置で重なるように表示する(S910)。
【0113】
このように表示することで、指定した地域の危険箇所が基礎調査済みなのか、また公示済みなのかが視覚的に把握できるし、基礎調査の結果、各危険箇所にどのような警戒区域が指定されたのかを重ね合わせて知ることができる。
【0114】
また、図8に示したように、以上の処理によって画面20に表示した地理情報から、土砂災害警戒区域等管理システム10の操作者は、どの警戒区域の何の情報が知りたいかを指定することができる。
【0115】
GISエンジン900は、操作者の指定した区域の警戒区域図形データ202aを読み、その警戒区域図形データ202aの警戒区域図形IDを、危険箇所関連情報表示処理部600への指示情報に含める(S911)。
【0116】
さらに、GISエンジン900は、操作者の指定した関連情報(区域調書d1aや公示情報d2など)を、危険箇所関連情報表示処理部600への指示情報に含める(S912)。
【0117】
GISエンジン900は、危険箇所関連情報表示処理部600へ指示情報を送信して、操作者の指定した区域の関連情報を表示させる(S913)。
【0118】
危険箇所関連情報表示処理部600は、GISエンジン900から指示情報を受信して、まず、指示情報に含まれる警戒区域図形IDをキーに、第1記憶手段100に保存されている警戒区域管理テーブル102を検索する(S602)。
【0119】
指示情報に区域調書d1aが指定されていれば、危険箇所関連情報表示処理部600は、警戒区域管理テーブル102の警戒区域データから区域調書d1aを画面20に表示する(S603)。
【0120】
さらに、指示情報に公示情報が指定されていれば、危険箇所関連情報表示処理部600は、検出した警戒区域データの警戒区域データ管理IDによって、第1記憶手段100に保存されている公示履歴管理テーブル104を参照し、警戒区域データ管理IDと組になって設定されている公示データ管理IDを読み出す。この公示データ管理IDによって、第1記憶手段100に保存されている公示管理テーブル103から指定された区域の公示情報d2を読み出し、画面20に表示する(S602、S603)。
【0121】
このように、危険箇所関連情報表示処理部600により、操作者の指示に従って、画面20に地理情報を表示させるとともに、その地理情報から関連情報も画面20に表示できるようになっている。
【0122】
さらに、危険箇所関連情報表示処理部600により、関連情報を画面20に表示させて、その関連情報に該当する地理情報を画面20に表示させることも、上述した処理によって、データ間の各IDをキーとして、逆にたどることで可能なことは言うまでもない。
【0123】
最後に、ハザードマップ作成部700は、前述したように、危険箇所関連情報表示処理部600の指示によって画面に表示した情報を、ハザードマップテンプレート301に貼り付け、ハザードマップを作成する処理であり、ハザードマップ作成部700の各処理について、図9を参照しながら説明する。
【0124】
ハザードマップ作成部700は、ハザードマップを作成する際の書面の形式や共通して記載すべき情報をあらかじめ定義したハザードマップテンプレート301を作成し、第3記憶手段300に保存する。ハザードマップテンプレート301は、外部から第3記憶手段300に入力も可能である。
【0125】
まず、ハザードマップ作成部700は、危険箇所関連情報表示処理部600によって、危険箇所地理情報201、警戒区域地理情報202、および地図情報203を画面20に表示させておき、ハザードマップに記載するのに必要な区域を、画面20上で指定させる(S701)。
【0126】
ハザードマップ作成部700は、画面20上で指定された区域の画像を取り込む(S702)。
【0127】
ハザードマップ作成部700は、ここで第3記憶手段300に保存しておいたハザードマップテンプレート301を読み出し、画面20に表示する(S703)。
【0128】
次に、ハザードマップ作成部700は、ハザードマップテンプレート301の指定個所に、取り込んでおいた画像を貼り付ける(S704)。
【0129】
ハザードマップ作成部700は、その他必要事項などを記載して、ハザードマップを完成させて、第3記憶手段300に保存し、また印刷を実施する(S705)。
【0130】
(システムの運用)
本発明の土砂災害警戒区域等管理システム10の運用方法について説明する。
【0131】
<準備工程>
まず、各都道府県の防災担当者またはシステム管理者は、国土地理院や地図情報を提供している事業者などから、管轄する地区の数値地図データ203aやオルソデータ203bを、地図情報203として入手し、その地図情報203を情報入力部400によって第2記憶手段200に保存する。
【0132】
また、すでに指定されている全国で約50万箇所の危険箇所のうちで、管轄する地区の危険箇所について、危険箇所地理情報201を入手または作成し、その危険箇所地理情報201を情報入力部400によって第2記憶手段200に保存する。
【0133】
<基礎調査計画工程>
各都道府県の防災担当者は、第2記憶手段200に保存にした危険箇所地理情報201と地図情報203を、危険箇所関連情報表示処理部600を起動して、GISエンジン900によって画面20に表示し、管轄する地区の複数の危険箇所の中から、今回基礎調査を実施する危険箇所を選定する。選定した危険箇所について危険箇所番号や危険箇所名称などによって、基礎調査を実施する部門または事業者に、基礎調査を依頼する。
【0134】
この時点では、危険箇所地理情報201に含まれる危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグには何も設定されていないため、すべての危険箇所は同じ色や線種で表示されている。
【0135】
防災担当者は、いままで、基礎調査を実施する危険箇所を選定した際に、基礎調査対象危険箇所一覧などを表形式で作成し管理していた。
【0136】
<基礎調査工程>
各都道府県の防災担当者から基礎調査を依頼された基礎調査部門または事業者は、依頼された危険箇所の現地の状況を実際に測量し、測量結果を集計する。基礎調査部門または事業者は、背景技術で示した特許文献に開示された技術などを利用して、測量結果から警戒区域を算出する。
【0137】
決定された各警戒区域に識別のために警戒区域番号を付与し、どの危険箇所を調査して得られたデータかを記載してまとめる。警戒区域の形状などの関しては、警戒区域地理情報202として警戒区域図形データ202aと警戒区域属性データ202bを作成し、基礎調査結果報告のために区域調書d1aを作成する。これらの警戒区域地理情報202と区域調書d1aを警戒区域情報d1として、依頼元の防災担当者へ引き渡す。
【0138】
警戒区域情報d1を受け取った防災担当者は、警戒区域情報d1を土砂災害警戒区域等管理システム10に入力する。
【0139】
警戒区域情報d1を読み込んだ情報入力部400は、警戒区域地理情報202を第2記憶手段200に保存し、区域調書d1aの情報を、第1記憶手段100の警戒区域管理テーブル102に警戒管理データIDを付与しながら保存する。さらに、情報入力部400は、前述したように、第1記憶手段100の危険箇所番号管理テーブル101に、今回入力された警戒区域情報d1がどの危険箇所の基礎調査の結果であるかを管理するために、区域調書d1aの情報中の危険箇所番号などのデータを設定する。
【0140】
防災担当者は、いままで、受け取った警戒区域情報d1の内容を見て、基礎調査を実施する危険箇所を選定した際に作成した基礎調査対象危険箇所一覧などの、該当する危険箇所の欄に調査済みと記載して管理していた。
【0141】
<公示工程>
基礎調査によって指定された警戒区域の情報は、防災担当者から公報担当部門に渡され、公報に掲載するように依頼される。
【0142】
公報担当部門では、指定された警戒区域の情報を公報に記載して公示し、公示された公示情報d2を防災担当者に渡す。
【0143】
公示情報d2を受け取った防災担当者は、公示情報d2を土砂災害警戒区域等管理システム10に入力する。
【0144】
公示情報d2を読み込んだ情報入力部400は、公示情報d2を第1記憶手段100の公示管理テーブル103に保存するとともに、すでに第1記憶手段100の警戒区域管理テーブル102に保存されている警戒管理データとの関連付けをする情報を、第1記憶手段100の公示履歴管理テーブル104に設定する。
【0145】
防災担当者は、いままで、受け取った公示情報d2の内容を見て、基礎調査を実施する危険箇所を選定した際に作成した基礎調査対象危険箇所一覧などの、該当する危険箇所の欄に公示済みと記載して管理していた。
【0146】
<進捗状況更新工程>
防災担当者は、1回の基礎調査計画で複数の危険箇所の基礎調査を依頼するので、ある時点においては、いくつかの危険箇所については基礎調査が完了し、基礎調査部門や事業者から警戒区域情報d1を受け取っていて、他の危険箇所は調査中か調査未着手で、警戒区域情報d1を受け取っていない。受け取った警戒区域情報d1は、土砂災害警戒区域等管理システム10に入力される。
【0147】
さらに、ある時点においては、受け取った警戒区域情報d1のうちで、防災担当者が公報担当部門に公示依頼をした情報が公報として発行されている場合と、いない場合がある。公報が発行された場合は、公報担当部門から受け取った公示情報d2は、土砂災害警戒区域等管理システム10に入力される。
【0148】
このように、各危険箇所に関する作業の進捗状況は、入力された警戒区域情報d1と公示情報d2の有無によってわかる。
【0149】
そこで、警戒区域情報d1や公示情報d2を土砂災害警戒区域等管理システム10に入力し終えた防災担当者は、今回の基礎調査で依頼した危険箇所の作業進捗状況を把握できるように、進捗状況更新部500を起動する。
【0150】
進捗状況更新部500は、前述したように、基礎調査が完了して警戒区域が指定されたかを、各危険箇所の危険箇所番号をキーとして、警戒区域情報d2によって情報入力部400が設定した第1記憶手段100の危険箇所番号管理テーブル101のデータを検索することで判定する。さらに、進捗状況更新部500は、指定された警戒区域が公示されたかを、第1記憶手段100の警戒区域管理テーブル102に保存されている警戒管理データの警戒管理データIDをキーに、公示情報d2によって情報入力部400が設定した第1記憶手段100の公示履歴管理テーブル104のデータを検索することで判定する。
【0151】
進捗状況更新部500は、その判定結果として、「未調査(0)」、「調査済(1)」、または「公示済(2)」の値を、第2記憶手段200の危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグに設定される。
【0152】
この工程は、防災担当者が希望するときに、いつでも実施しることができる。
【0153】
<次回の基礎調査の計画工程>
防災担当者は、次回の基礎調査の計画に行うため、危険箇所関連情報表示処理部600を起動して、管轄の地区の危険箇所を画面20に表示する。最初の基礎調査計画の際に、同じ色と線種によって、すべての危険箇所が画面20に表示されたときとは異なり、今回は、進捗状況更新工程で、進捗状況更新部500により、第2記憶手段200の危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグに、「未調査(0)」、「調査済(1)」、または「公示済(2)」の値が設定されているため、「未調査(0)」、「調査済(1)」、または「公示済(2)」の危険箇所が、それぞれ異なる色または線種によって画面20に表示される。
【0154】
したがって、防災担当者は、画面20に色分けして表示された危険箇所図形を見るだけで、各危険箇所がどの作業工程にあるのかを把握することができる。
【0155】
よって、防災担当者は、画面20を見ながら、「未調査(0)」を示す色または線種で表示された危険箇所から、次に基礎調査を実施する危険箇所を選定すればよい。
【0156】
防災担当者は、次回の基礎調査計画ができると、選定した危険箇所について危険箇所番号や危険箇所名称などによって、基礎調査を実施する部門または事業者に、次の基礎調査を依頼し、上記の各工程を繰り返して、すべての危険箇所について基礎調査を完了させていく。
【0157】
また、防災担当者は、「調査済(1)」を示す色または線種で表示された危険箇所については、公示予定を確認するなど、防災のための的確な作業推進を効率的に行うことができる。
【0158】
一方、防災担当者は、いままで、前回、基礎調査を実施する危険箇所を選定した際に作成した基礎調査対象危険箇所一覧の各危険箇所の作業状況欄を参照しながら、どの危険箇所の基礎調査が完了していないかを確かめながら、次の基礎調査を実施する危険箇所を選定しなければならなかった。
【0159】
以上に述べたように、本発明の土砂災害警戒区域等管理システム10の運用によって、土砂災害防止法にて定められた作業を円滑に推進することができ、すべての危険箇所の基礎調査と警戒区域の指定を早急に実施していくことができる。
【実施例】
【0160】
以下に、本発明の土砂災害警戒区域等管理システム10の具体的な実施例を説明する。
【0161】
まず、利用するデータの具体例であるが、前述したシステムの運用の準備工程の説明に記載したように、危険箇所地理情報201と地図情報203については、一般的に作成し提供されているものなので、ここでは省略する。
【0162】
基礎調査によって作成される警戒区域情報d1は、その自然現象によって、急傾斜地データ、土石流データ、および地滑りデータの3種類に分けて作成され、管理されるのが通常である。ただし、急傾斜地データと地滑りデータは、各データ名称がほぼ同一であるので、ここでは急傾斜地データを例として示す。
【0163】
一方、土石流データは、危険箇所が渓流付近に存在することから、たとえば、「箇所番号」というデータ名称に代えて、「渓流番号」というデータ名称で管理している。
【0164】
具体的に警戒区域情報d1に含まれるデータ要素を、急傾斜地データについて一覧にしたものが図11であり、各データ要素の形式を示してある。形式がテキストおよびイメージとなっているデータ要素を、本明細書では、まとめて区域調書d1aとしている。また、図形データ形式となっているデータ要素が警戒区域地理情報202となる。
【0165】
図12の(a)と(b)は、急傾斜地データの区域調書d1aを表示した場合の例を示している。この図で箇所番号および箇所名と表示されているデータは、本明細書では、それぞれ警戒区域番号および警戒区域番号と定義しているデータであり、危険箇所番号と危険箇所名称ではない。
【0166】
さらに、土石流データについて、警戒区域情報d1として含まれるデータ要素を一覧にしたものが図13である。急傾斜地データの場合と同様に、各データ要素の形式を示してあり、形式がテキストおよびイメージとなっているデータ要素を、まとめて区域調書d1aとしている。また、図形データ形式となっているデータ要素が警戒区域地理情報202となる。
【0167】
図14の(a)と(b)は、土石流データの区域調書d1aを表示した場合の例を示している。この図で渓流番号および渓流名と表示されているデータは、本明細書では、それぞれ警戒区域番号および警戒区域番号と定義しているデータであり、危険箇所番号と危険箇所名称ではない。土石流データの場合、位置を管理するために、水系名や河川名の情報も含まれている。
【0168】
また、図15は、公示情報d2として入力されるデータを記載した公報の例である。発行された公報を文字認識ソフトウェアを使用してスキャンし、テキスト形式データの公示情報d2として入力してもよい。
【0169】
次に、区域調書d1aから情報入力部400によって作成される警戒区域管理テーブル102は、本実施例では、急傾斜地管理テーブルと土石流管理テーブルのように自然現象ごとに分けて作成する。
【0170】
図16が、急傾斜地管理テーブルと土石流管理テーブルに保存されるデータを、具体的に示したものである。
【0171】
単にIDと記されているデータは、警戒区域データ管理IDであり、箇所識別コードと渓流識別コードは、備考に記載したように、警戒区域図形とのリンクコードであり、警戒区域管理テーブル102の説明の警戒区域図形IDにあたる。
【0172】
図17は、入力された公示情報d2から情報入力部400によって作成される公示管理テーブル103の具体例であり、図18は、公示履歴管理テーブル104の具体例である。
【0173】
図17で、単にIDと記されているデータは、公示データ管理IDにあたり、図18で、単にIDと記されているデータは、公示履歴データ管理IDにあたる。
【0174】
図19は、土砂災害警戒区域等管理システム10の各機能を選択するための本実施例の最初の表示画面である。
【0175】
「急傾斜地の崩壊編」、「土石流編」、および「地滑り編」の各「区域調書をみる」ボタンを選択すると、表示させたい区域を指定する画面が表示され、その画面で区域を指定して実行すると、図xや図xに示した区域調書d1aが表示される。
【0176】
「基礎調査の進捗状況をみる(地図表示)」ボタンを選択し、地区を指定すると、危険箇所関連情報表示処理部600が起動され、図20に示したように、まず、その時点の危険箇所地理情報201からその地区の危険箇所が、画面に表示される。ここで、
(1)ツールバーの「更」のアイコンをクリックすると、進捗状況更新部500が起動される:
(2)更新状況の処理中プログレスバーが表示される:
(3)更新処理完了時にメッセージが表示される:
(4)再度、危険箇所関連情報表示処理部600が起動され、更新された危険箇所属性データ201bの進捗状況フラグの値に従って、矢印で指し示した図20の右下の枠内の色や線種の図形に、各危険箇所の図形が更新される:
更新された図形の色や線種によって、各危険箇所の進捗状況を視覚的に把握することができる。
【0177】
「土砂災害警戒区域等をみる(地図表示)」ボタンを選択し、区域を指定すると、危険箇所関連情報表示処理部600が起動され、図21に示したように、区域の図形が地図に重ねられて表示される。
【0178】
「ハザードマップを作る(地図表示)」ボタンを選択すると、ハザードマップ作成部700が起動され、そこで区域を指定すると、「土砂災害警戒区域等をみる(地図表示)」ボタンを選択した場合と同様に、危険箇所関連情報表示処理部600が起動され、図22の(a)に示したように、区域の図形が地図に重ねられて表示される。
【0179】
次に、図22の(a)と(b)に示したように、表示された地図の上で、取り込みたい範囲を指定し、利用するハザードマップテンプレート301を選択すると、ハザードマップテンプレート301に定義されている箇所に、指定した範囲の地図画像が貼り付けられる。
【0180】
こうしてハザードマップが完成し、第3記憶手段300に保存したり、直接印刷して配布したりすることもできる。
【0181】
以上に述べたように、本発明の土砂災害警戒区域等管理システム10を利用することによって、基礎調査や公示などの作業の進捗状況を視覚的に把握でき、作業計画が効率的に行えることが、本発明の最も重要な効果である。
【0182】
また、本発明の土砂災害警戒区域等管理システム10を利用することによって、各作業で作成される情報を一元的かつ関連付けて管理できるので、情報をトレースしたりすることが容易な点も、本発明の重要な効果である。
【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】本実施の形態の土砂災害警戒区域等管理システムの概略構成図である。
【図2】本実施の形態の土砂災害警戒区域等管理システムのデータ構成図である。
【図3】情報入力部の処理の第1の説明図である。
【図4】情報入力部の処理の第2の説明図である。
【図5】情報入力部の処理の第3の説明図である。
【図6】進捗状況更新部の処理の説明図である。
【図7】危険箇所関連情報表示処理部の処理の第1の説明図である。
【図8】危険箇所関連情報表示処理部の処理の第1の説明図である。
【図9】ハザードマップ作成部の処理の説明図である。
【図10】危険箇所の図形の表示例である。
【図11】区域調書の急傾斜地データ概要である。
【図12】急傾斜地の崩壊の区域調書の例である。
【図13】区域調書の土石流データ概要である。
【図14】土石流の区域調書の例である。
【図15】公示情報を記載した公報の例である。
【図16】急傾斜地管理テーブルと土石流管理テーブルのデータ構成例である。
【図17】公示管理テーブルのデータ構成例である。
【図18】公示履歴管理テーブルのデータ構成例である。
【図19】土砂災害警戒区域等管理システムの実施例の画面である。
【図20】土砂災害警戒区域等管理システムの実施例における進捗状況更新の操作例を説明する画面である。
【図21】土砂災害警戒区域等管理システムの実施例における区域調書の表示例の画面である。
【図22】土砂災害警戒区域等管理システムの実施例におけるハザードマップ作成の操作を説明する画面である。
【符号の説明】
【0184】
10 土砂災害警戒区域等管理システム
20 画面
100 第1記憶手段
101 危険箇所番号管理テーブル
102 警戒区域管理テーブル
103 公示管理テーブル
104 公示履歴管理テーブル
200 第2記憶手段
201 危険箇所地理情報
201a 危険箇所図形データ
201b 危険箇所属性データ
202 警戒区域地理情報
202a 警戒区域図形データ
202b 警戒区域属性データ
203 地図情報
203a 数値地図データ
203b オルソデータ
300 第3記憶手段
301 ハザードマップテンプレート
400 情報入力部
500 進捗状況更新部
600 危険箇所関連情報表示処理部
700 ハザードマップ作成部
800 データベース管理エンジン
900 GISエンジン
d1 警戒区域情報
d1a 区域調書
d2 公示情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベース管理エンジンとGISエンジンを備え、外部より入力される危険個所地理情報、警戒区域情報、公示情報、および地図情報を管理する土砂災害警戒区域等管理システムであって、
前記データベース管理エンジンで扱う情報を保存する第1記憶手段と、
前記GISエンジンで扱う情報を保存する第2記憶手段と、
前記危険箇所地理情報、前記警戒区域情報に含まれる警戒区域地理情報、および前記地図情報を前記第2記憶手段に保存し、前記データベース管理エンジンによって、前記警戒区域情報に含まれる区域調書から警戒区域管理テーブルと危険箇所番号管理テーブルを作成して前記第1記憶手段に保存し、前記公示情報と前記警戒区域管理テーブルから、公示管理テーブルと公示履歴管理テーブルを作成して前記第1記憶手段に保存する情報入力部と、
前記第2記憶手段に保存された前記危険箇所地理情報に含まれる危険箇所番号をキーに、前記第1記憶手段に保存された前記危険箇所番号管理テーブルを検索し、該危険箇所番号を含む危険箇所番号管理データが存在しない場合、前記危険箇所地理情報の進捗状況フラグに「未調査」と設定し、
存在する場合、さらに該危険箇所番号管理データの警戒区域データ管理IDをキーに、前記第1記憶手段に保存された前記公示履歴管理テーブルを検索し、該警戒区域データ管理IDを含む公示履歴管理データが存在しない場合、前記危険箇所地理情報の前記進捗状況フラグに「調査済」と設定し、
存在する場合、前記危険箇所地理情報の前記進捗状況フラグに「公示済」と設定する進捗状況更新部と、
前記進捗状況更新部により更新された前記進捗状況フラグの値に従って、危険箇所の進捗状況を識別できるように、前記GISエンジンによって、前記第2記憶手段に保存された前記危険箇所地理情報、前記警戒区域地理情報、および前記地図情報を画面に表示させる危険箇所関連情報表示処理部
とを含むことを特徴とする土砂災害警戒区域等管理システム。
【請求項2】
前記危険箇所関連情報表示処理部は、前記GISエンジンを介して、前記画面に表示されている前記危険箇所地理情報と前記警戒区域地理情報のうちで所望の警戒区域の指定を受け、前記第1記憶手段に保存された前記所望の警戒区域に関連する前記区域調書と前記公示情報を前記データベース管理エンジンによって読み出し、前記画面に表示する処理をさらに含む請求項1に記載の土砂災害警戒区域等管理システム。
【請求項3】
第3記憶手段と、
あらかじめハザードマップテンプレートを作成して前記第3記憶手段に保存し、
前記危険箇所関連情報表示処理部の指示によって、前記画面に表示されている前記危険箇所地理情報、前記警戒区域地理情報、および前記地図情報から、取り込む画像の範囲を指定して前記ハザードマップテンプレートに貼り付け、ハザードマップを作成するハザードマップ作成部をさらに含む請求項1又は2に記載の土砂災害警戒区域等管理システム。
【請求項4】
前記情報入力部が、前記警戒区域情報に含まれる前記区域調書に前記危険箇所番号が設定されていない場合、前記警戒区域情報に含まれる前記警戒区域地理情報の座標情報をキーに、前記危険箇所地理情報を検索し、最も近い位置を示す座標情報を有する前記危険箇所地理情報の前記危険箇所番号を、前記危険箇所番号管理テーブルに設定する処理をさらに含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の土砂災害警戒区域等管理システム。
【請求項5】
前記地図情報は、数値地図データとオルソデータを含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載の土砂災害警戒区域等管理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2010−55306(P2010−55306A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218502(P2008−218502)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【特許番号】特許第4286900号(P4286900)
【特許公報発行日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)
【出願人】(503008217)財団法人砂防フロンティア整備推進機構 (12)
【Fターム(参考)】