説明

土質改良方法及びそれに用いる土質改良装置

【課題】二酸化炭素の発生を抑えた土質改良が行える土質改良方法を提供する。
【解決手段】工事現場から採取される土壌を工事現場又は工事現場近傍にある土質改良装置1の土壌投入部6に投入する投入工程と、投入部6から投入された土壌を破砕部7によって破砕すると共に加熱する加熱・破砕工程と、破砕された土壌に改良剤投入部9より改良剤を投入する改良剤投入工程と、土壌と改良剤とをミキサー10により攪拌する攪拌工程と、ミキサー10によって改質された土壌を土質改良装置本体5外部へと排出する改質土壌排出工程からなり、改質すべき土壌が発生する工事現場に土質改良装置1を搬入して、常に現場又は現場近傍にて土壌の改質が行えるようにして、土壌を遠方の土質改良施設まで運搬する必要をなくすことができる。また、加熱することで土壌の水分を調整して処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事現場などで発生する土壌の土質改良方法及びそれに用いる土質改良装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上水道管埋設、下水管埋設やビル建設等の工事現場から発生する残土は全て建設発生土として処理しなければならず、産業廃棄物として処分する場合、環境負荷の点で問題があるが、建設発生土を埋め戻して再利用しようにも、軟弱土壌又は汚泥は含水率が高く、そのままでは再利用することができないため、残土を土質改良剤によって改質させる土質改良処理が行われ(特許文献1参照)、改質した土壌を埋め戻したり、別の用途に用いる等の再利用即ちリサイクルが図られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−82984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の土壌の土質改良処理は、工事現場で生じた残土は、貨物車両等の運搬手段によって土質改良が行われる処理施設まで運搬され、処理施設での土質改良の後、改質された土壌は再び運搬手段によって、利用すべき場所に運搬されていた。
【0005】
そのため、土壌を工事現場から離れた処理施設まで往復させる際に、トラックの排気ガスから発生する二酸化炭素によって地球環境に悪影響を及ぼす虞があるという問題点があった。
【0006】
このため、本出願人は採取現場から採取される土壌を、前記採取現場又は採取現場近傍に移動してきた土質改良装置によって土質改良する土質改良方法、工事現場から採取される土壌を前記工事現場又は工事現場近傍にある土質改良装置の土壌投入部へ投入する投入工程と、前記土壌投入部から投入された前記土壌を前記土質改良装置の破砕部によって破砕する破砕工程と、破砕された前記土壌に前記土質改良装置の改良剤投入部より前記改良剤を投入する改良剤投入工程と、前記土壌と前記改良剤とを前記土質改良装置の攪拌部により攪拌する攪拌工程と、前記攪拌部によって改質された前記土壌を前記土質改良装置外部へと排出する改質土壌排出工程とを備えた土質改良装置を提案している(特願2009−264439号)。
【0007】
ところで、採取現場から採取される土壌を、前記採取現場又は採取現場近傍に移動してきた土質改良装置によって土質改良する土質改良方法においては、従来技術処理施設で土質の改良を行う場合と異なり、仮設のような施設で土質の改良を行う必要がある。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題を解消するものであり、二酸化炭素の発生を抑え地球環境に配慮した土質改良が行える土質改良装置及びそれを用いた土質改良方法及びそれに用いる土質改良装置において、効率よく行えるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、採取現場から採取される土壌を、前記採取現場又は採取現場近傍に移動してきた土質改良装置によって土質改良する土質改良方法であって、前記土質改良装置において前記土壌を加熱することで水分調整して土質改良することを特徴とする。
請求項2の発明は、工事現場から採取される土壌を前記工事現場又は工事現場近傍にある土質改良装置の土壌投入部へ投入する投入工程と、前記土壌投入部から投入された前記土壌を前記土質改良装置の破砕部によって加熱しながら破砕する加熱・破砕工程と、破砕された前記土壌に前記土質改良装置の改良剤投入部より前記改良剤を投入する改良剤投入工程と、前記土壌と前記改良剤とを前記土質改良装置の攪拌部により攪拌する攪拌工程と、前記攪拌部によって改質された前記土壌を前記土質改良装置外部へと排出する改質土壌排出工程とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、土壌を投入する土壌投入部と、前記土壌投入部と連通した収容容器を備えて該収容容器に収容された前記土壌を加熱すると共に破砕する加熱・破砕部と、前記土壌に改良剤を投入する改良剤投入部と、前記土壌と前記改良剤とを攪拌する攪拌部と、前記攪拌部によって改質された前記土壌を土質改良装置本体外部へ排出する排出部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、前記収容容器の壁部に加熱手段を設けると共に、該壁部の外側に断熱用壁部を設けたことを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、前記壁部と断熱用壁部との間に空洞部を形成すると共に、この隙間に前記加熱手段を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、前記加熱手段は、電熱線ヒータ、温風ヒータ、オイルヒータ、或いはバーナーヒータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、改質すべき土壌の採取現場又は採取現場近傍に土質改良装置を移動させて、常に現場又は現場近傍にて加熱により水分を調整して土壌の改質が行えるようにして、土壌を遠方の土質改良施設まで運搬する必要をなくすことで、運搬時に発生する二酸化炭素の発生を抑え、地球環境への配慮を考えた土質改良を良好に行うことができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、改質すべき土壌が発生する工事現場又は工事現場近傍に土質改良装置を搬入して、常に現場又は現場近傍にて加熱されながら破砕する加熱・破砕工程を有することで土壌の改質が行えるようにして、土壌を遠方の土質改良施設まで運搬する必要をなくすことで、運搬時に発生する二酸化炭素の発生を抑え、地球環境への配慮を考えた土質改良を行うことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、改質すべき土壌が発生する工事現場に土質改良装置を搬入して、常に現場又は現場近傍にて加熱されながら破砕する加熱・破砕することで土壌の改質が行えるようにして、土壌を遠方の土質改良施設まで運搬する必要をなくすことで、運搬時に発生する二酸化炭素の発生を抑え、地球環境への配慮を考慮した土質改良を行うことができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、断熱用壁部によって加熱手段の熱が外部に放出されるようなことはなく、土壌の加熱に伴う熱ロスを少なくすることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、空洞部に温風、オイル或いは燃焼ガスなどの流体を導入して土壌を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1における土質改良装置の一部切り欠き正面図である。
【図2】同上、土質改良装置の平面図である。
【図3】同上、土質改良装置の背面図である。
【図4】同上、本実施例における採取から排出までの土壌の流れを示す説明図である。
【図5】同上、土質改良装置による土質改良方法を示すチャート図である。
【図6】本発明の実施例2における断面図である。
【図7】本発明の実施例3における断面図である。
【図8】本発明の実施例4における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明における実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1〜図5は本発明の実施形態の実施例1を示すものであり、1は本発明における土質改良装置である自走式の土質改良装置であり、動力をエンジンとした自走式の運搬手段としての自走車両であるトラック2と、このトラック2の車体フレーム3に架設された荷台4に搭載可能な土質改良装置本体5からなる。
【0022】
この土質改良装置本体5には、ヘドロ(水分を多く含んだ泥土質)などの土壌を投入する土壌投入部としてのホッパ6と、ホッパ6の底に設けた目皿6Aの下方に連通して土壌を収容する収容容器7Aを備えホッパ6から投入されて収容容器7Aに収容された土壌をモータ7B駆動による回転軸7Cに設けた回転刃7D等によって破砕する破砕部7と、破砕された土壌をモータ(図示せず)駆動によるコンベア等によって搬送する搬送手段8と、搬送手段8の途中で土質改良剤を投入する改良剤投入部9と、搬送手段8より搬送された土壌及び土質改良剤をモータ10A駆動のスクリュー等によって攪拌する攪拌手段としてのミキサー10と、荷台4の後端より突出するミキサー10の後部に設けられ改質された土壌を排出する土壌排出部11とする各機器を備えている。尚、収容容器7A等は図示しないブラケット等接続手段などによって車体フレーム3などによって搭載されている。
【0023】
また、荷台4には、土質改良装置本体5の動力源として破砕部7のモータ7B、搬送手段8のモータ、改良剤投入部9、ミキサー10のモータ10A等の各機器のモータ及び制御手段(図示せず)に電力を供給する発電機12が搭載されている。
【0024】
図2又は図3に示すように、土質改良装置本体5の収容容器7Aの壁部には、加熱手段として電気ヒータ装置13が設けられ、さらに温風装置14を備えており、これらの加熱手段はいずれも発電機12から供給される電力を動力源としている。
【0025】
ここで、電気ヒータ装置13について詳述しておくと、図3に示すように炭素繊維とポリエステル等のフィラメントを混抄した不織布型の面状発熱体やその他の線面発熱体などやシーズヒータ等の線状発熱体を面状に形成したものからなる電気式面状発熱体13Aの一側面にシート状或いは板状の永久磁石13Bを備え、他側面に断熱層13Bを備えたものであり、シート状の永久磁石13Bは、マグネットシート、ゴム磁石、ボンド磁石等とも称せられ、可撓性に優れたものであり、この電気式面状発熱体13Aの一側面に設けた永久磁石13Bによって、土質改良装置本体5の収容容器7Aの鋼製の外郭表面5Aに外付けで着脱自在としている。
【0026】
さらに、温風装置14は、電気式発熱体及び送風機14Fを備えて発生する温風Fの熱を収容容器7A内の土壌に供給するものである。
【0027】
さらに、収容容器7A、電気ヒータ装置13、温風装置14について説明する。収容容器7Aの上部、すなわちホッパ6との境界には、回転軸7Cと対向するように上部開口幅Xより中間部開口幅Yが狭く(X>Y)なるように、逆に中間部開口幅Yより下部開口幅Zが広く(Z>Y)なるような収容容器7Aの入り口傾斜面7Eが形成されている。収容容器7Aの底部には、土壌の排出穴15が形成されている。この排出穴15には該排出穴15を開閉する開閉板たる開閉体16が設けられていると共に、この開閉体16にモータあるいは電動式シリンダ装置の開閉駆動装置17が接続されており、この開閉駆動装置17を作動することで開閉体16が回動したり、或いは往復動することで、排出穴15を閉じて土壌を収容容器7Aに収容し、排出穴15を閉じて土壌を搬送手段8の始端側に移動させることができるようになっている。
【0028】
そして、収容容器7Aの側面の外側及び排出穴15を除く底面の外側に空洞部18を介して断熱用壁部19を一体に設けており、空洞部18に温風装置14の温風吹き出し口14Aが接続されていると共に、この温風吹き出し口14Aよりも可及的に離れた収容容器7Aの部位や断熱用壁部19の部位に空気出口(図示せず)が設けられている。
【0029】
尚、本実施例の土質改良剤としては、例えばセメント系、アスファルト系、或いは水溶剤系等の適宜のものを採用可能とする。
【0030】
次に、上記構成についてその作用を説明する。まず、発電機12を起動させて土質改良装置本体5の各機器をスタンバイ状態にする。そして、上下水道工事、建設工事、建築工事、その他の工事等の工事現場まで、土質改良装置1又はトラックTを移動させて、工事現場から発生した軟弱土壌又は汚泥(ヘドロ)を含む土壌S1をパワーショベル等の土木建設機械Eによって、土質改良装置1のホッパ6に直接投入するか、或いはトラックTに積載した後、そのトラックTを工事現場近傍に停止させた土質改良装置1のところまで移動させて積載された土壌S1を土質改良装置1のホッパ6に投入する(図4参照)。尚、工事現場近傍とは、工事現場から土質改良を行う処理プラント(処理施設)までの道のりよりも短い箇所というものである。 次に、図5に示す土壌の土質改良工程のように、ホッパ6から投入された土壌(ステップ1)は、破砕部7によって破砕されて(ステップ2)、電気ヒータ装置13によって破砕部7の外郭が加熱されることで破砕部7内部の土壌が加熱されるとともに、さらに温風装置14から破砕部7内部に供給される温風によって破砕部7内部の土壌が加熱されて、土壌の乾燥が行われる(ステップ2)。この際、モータ7Bによって破砕部7が回転して土壌が破砕される際、粉砕された土壌の一部が入り口傾斜面7E側にはねて戻っても、入り口傾斜面7Eの上部に載置されるように戻った土壌は入り口傾斜面7Eの上部の傾斜に沿って落下し、また入り口傾斜面7Eの下部に当たった土壌はそのまま落下することで、ホッパ6側が詰まるようなことを阻止することができる。
【0031】
尚、この土壌の破砕、土壌の加熱は、連続方式又はバッチ方式により行われる。連続方式の場合は、開閉駆動装置17によって開閉体16を後退させて排出穴15を開き続けて、収容容器7A内で破砕、加熱された土壌を搬送手段8に連続して供給して処理を行うものである。バッチ方式の場合は、開閉駆動装置17によって開閉体16をいったん前進させて排出穴15を閉じた状態で収容容器7A内で土壌を破砕、加熱し、そして開閉体16を後退させて排出穴15を開き続けて、破砕、加熱された土壌を搬送手段8に供給して処理を行う1回ごとののものを繰り返すものである。
【0032】
その後、破砕部7内部で破砕され乾燥された土壌は搬送手段8へ送り出されて、搬送手段8によってミキサー10まで搬送される(ステップ3)。ここで、搬送手段8によって搬送される途中で土壌に改良剤投入部9から土壌改良剤が投入され(ステップ4)、ミキサー10内で土壌と土壌改良剤とが攪拌されて土壌の改質が行われる(ステップ5)。改質された土壌は、土壌排出部11より土質改良装置本体5からトラック2の荷台4後方外部へと排出される(ステップ6)。
【0033】
そして、工事現場に搬入された土質改良装置1から排出された改質後の土壌S2はそのまま、元の工事現場に埋め戻されるか、土質改良装置1を他の工事現場に移動させて盛土に使用される。
【0034】
また、工事現場近傍にある土質改良装置1から排出された改質後の土壌S2についても、トラックTに積載され、元の工事現場まで運搬され埋め戻されるか(図4参照)、他の工事現場まで運搬されて盛土として使用される。このように土質改良装置1による改質後の土壌S2は、残土を再利用した工事現場の土壌改良及び他の工事現場の盛土に使用され、工事現場から発生する残土は極力少なくて済み、また他の工事現場においては盛土の不足分の購入も最小限に抑えることができるため合理的である。
【0035】
またミキサー10による土壌と土壌改良剤との攪拌時間は、土壌の粘度又は含水率等の物性の変化状況によって設定されることで、必要以上の土壌改良剤を添加せずとも土壌の改質が可能となり、土壌改良剤の添加量を必要最小限に抑えることが可能となり、土壌改良剤にかかるコストを抑制され経済的である。さらに、本実施例の土質改良装置1は、土質改良装置本体5をトラック2,Tの荷台4に積載して工事現場まで搬送していき、工事現場に土質改良装置本体5のみを置き去りにした後、トラック2,Tを工事現場から離れたところまで移動させて、土質改良装置本体5単独による土壌の土質改良処理を行った後、トラック2,Tを工事現場に戻して土質改良装置本体5を荷台4に積載して工事現場から撤去させるという、土質改良装置本体5単独での使用方法もある。
【0036】
以上のように、採取現場である工事現場から採取される土壌S1を、工事現場又は工事現場近傍に移動してきた土質改良装置1又は土質改良装置本体5によって土質改良する土質改良方法であって、改質すべき土壌S1の工事現場又は工事現場近傍に土質改良装置1又は土質改良装置本体5を移動させて、常に現場又は現場近傍にて土壌の改質が行えるようにして土壌を遠方の土質改良施設まで運搬する必要をなくすことができるようになり、しかも、前記土壌を加熱することで水分調整して土質改良することで、短時間で土質改良を終えることができ、前記現場又は現場近傍にて土壌の改質を短期に終わらすことができる。
【0037】
また、工事現場から発生する残土からなる土壌の土質改良方法としては、工事現場から採取される土壌を工事現場又は工事現場近傍にある土質改良装置1の土壌投入部6に投入する投入工程(ステップ1)と、投入部6から投入された土壌を土質改良装置1の破砕部7によって加熱されながら破砕する加熱・破砕する破砕工程(ステップ2)と、土壌の搬送(ステップ3)と、破砕された土壌に土質改良装置1の改良剤投入部9より改良剤を投入する改良剤投入工程(ステップ4)と、土壌と改良剤とを土質改良装置1のミキサー10により攪拌する攪拌工程(ステップ5)と、ミキサー10によって改質された土壌を土質改良装置本体5外部へと排出する改質土壌排出工程(ステップ6)からなることで、改質すべき土壌が発生する工事現場に土質改良装置1を搬入して、常に現場又は現場近傍にて、土壌を電気ヒータ装置13や温風装置14によって加熱しながら、回転刃7Dによって破砕して土壌の改質を比較的短時間で行えるようにして、土壌を遠方の土質改良施設まで運搬する必要をなくすことで、運搬時に発生する二酸化炭素の発生を抑え、地球環境への配慮を考えた土質改良を行うことができる。
【0038】
さらに、土壌を加熱する工程(ステップ2)を備えたことで、土質改良装置1の土質改良装置本体5に投入された土壌を加熱することで土壌の乾燥を早め、それによって土壌と土質改良剤との反応を早めることで土壌の土質改良効果を早めることができる。
【0039】
また、自走車両であるトラック2に土質改良装置本体5を備えた土質改良装置1であって、土質改良装置本体5は、土壌を投入する投入部としてのホッパ6と、土壌を破砕する破砕部7と、土壌に改良剤を投入する改良剤投入部9と、土壌と改良剤とを攪拌する攪拌部であるミキサー10と、ミキサー10によって改質された土壌を土質改良装置本体5外部へ排出する排出部11とを備えたことで、改質すべき土壌が発生する工事現場に土質改良装置1を搬入して、常に現場又は現場近傍にて土壌の改質が行えるようにして、土壌を遠方の土質改良施設まで運搬する必要をなくすことで、運搬時に発生する二酸化炭素の発生を抑え、地球環境への配慮を考慮した土質改良を行うことができる。さらに、土壌を加熱する加熱手段として電気ヒータ装置13及び温風装置14を備えたことにより、電気ヒータ装置13及び温風装置14によって土質改良装置本体5に投入された土壌を加熱することで土壌の乾燥を早め、それによって土壌と土質改良剤との反応を早めることで土壌の土質改良効果を早めることができる。
【0040】
さらに、土質改良装置本体5の動力源として発電機12を備えたことにより、土壌の改質処理中はトラック2の動力を停止することで、土壌の改質処理中に発生する二酸化炭素の発生を抑えて、さらに地球環境への配慮を考慮した土質改良を行うことができる。
【実施例2】
【0041】
以下に、本発明の他の実施例について説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0042】
図6に示す実施例2においては、ホッパ6にもモータ(図示せず)により回転する回転軸20を回転軸7Cと平行に左右一対に設けると共に、これら回転軸20に粉砕羽根21を設けている。
【0043】
従って、実施例2においてはステップ1の段階でホッパ6に投入された土壌は、回転する粉砕羽根21によって破砕され、そして目皿6Aを通る程度にほぼ一様に破砕された土壌が、回転刃7Dによって破砕されると共に、電気ヒータ装置13からの加熱、温風装置14からの加熱Hによって破砕された土壌は加熱されて水分が蒸発することで水分調整され、この水分調整されたものがステップ4において土壌改良剤の投入、ステップ5の土壌と土壌改良剤の攪拌がなされるものである。
【実施例3】
【0044】
図7に示す実施例3においても、ホッパ6に回転軸20を設けると共に、回転軸20に粉砕羽根21を設け、さらに空洞部18に加熱されたオイル(図示せず)を送り込むためのオイルヒータ装置22が接続されており、このオイルヒータ装置22には、オイルタンクと、オイルタンクに装着しオイルを加熱する電気ヒータと、オイルタンクに装着され加熱されたオイルを吐出するオイルポンプ(いずれも図示せず)などを備えており、空洞部18に送り込まれた後に土壌と熱交換した後の冷めたオイルは戻りパイプ(図示せず)によってオイルタンクに戻ることができ、そして再び加熱されて吐出されるようになっている。尚、空洞部18には、収容容器7Aの外郭表面5A、断熱用壁部19の内側にそれぞれ接続した伝熱用フィン23が設けられており、これらの伝熱用フィン23は収容容器7A側から設けたものの間隔をおいた隣には断熱用壁部19側から設けられ、再び収容容器7A側から設けられるように、伝熱用フィン23は交互に設けられて加熱されたオイルは蛇腹状に流れるようになっている。
【0045】
従って、実施例3においてはステップ1の段階でホッパ6に投入された土壌は、回転する粉砕羽根21によって破砕され、そして目皿6Aを通る程度にほぼ一様に破砕された土壌が、回転刃7Dによって破砕されると共に、オイルヒータ装置23からのオイルの流れGに伴う加熱によって破砕された土壌は加熱されて水分が蒸発することで水分調整され、この水分調整されたものがステップ4において土壌改良剤の投入、ステップ5の土壌と土壌改良剤の攪拌がなされるものである。
【実施例4】
【0046】
図8に示す実施例4においても、ホッパ6に回転軸20を設けると共に、回転軸20に粉砕羽根21を設け、さらに空洞部18に加熱された熱風を送り込むための気体燃料或いは液体燃料を燃焼させるバーナーヒータ装置24が接続されており、このバーナーヒータ装置24には、バーナー口24Aと、このバーナー口24Aに装着される着火装置(いずれも図示せず)などを備えており、空洞部18には排気口(図示せず)が設けられている。尚、空洞部18には、収容容器7Aの外郭表面に接続した伝熱用フィン23が設けられている。
【0047】
従って、実施例4においてはステップ1の段階でホッパ6に投入された土壌は、回転する粉砕羽根21によって破砕され、そして目皿6Aを通る程度にほぼ一様に破砕された土壌が、回転刃7Dによって破砕されると共に、バーナーヒータ装置24からの燃焼ガスの流れG´に伴う加熱によって破砕された土壌は加熱されて水分が蒸発することで水分調整され、この水分調整されたものがステップ4において土壌改良剤の投入、ステップ5の土壌と土壌改良剤の攪拌がなされるものである。
【0048】
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施例において運搬車両のトラックの荷台に搭載した土質改良装置本体を、パワーショベル等の掘削機械のバケットに搭載して使用しても良く、それよって、バケットによる土壌の掘削工程と投入部への土壌の投入工程とが同時に行え、効率的に土壌の改質作業が行われる。さらにトラック、パワーショベル以外の建設作業車等の自走車両に搭載しても良いものとする。また、土質改良装置本体に関しても、土壌の破砕、土質改良剤の添付、そして、土壌と土質改良剤の攪拌が一体で行える構成であれば、上述の構成に限られるものではない。
【符号の説明】
【0049】
1 土質改良装置
5 土質改良装置本体
5A 外郭表面
6 ホッパ(土壌投入部)
7 破砕部
8 搬送手段
9 改良剤投入部
10 ミキサー(攪拌部)
11 土壌排出部
12 発電機
13 電気ヒータ装置(加熱手段)
14 温風装置(加熱手段)
19 断熱用壁部
22 オイルヒータ装置(加熱手段)
24 バーナーヒータ装置(加熱手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取現場から採取される土壌を、前記採取現場又は採取現場近傍に移動してきた土質改良装置によって土質改良する土質改良方法であって、前記土質改良装置において前記土壌を加熱することで水分調整して土質改良することを特徴とする土質改良方法。
【請求項2】
工事現場から採取される土壌を前記工事現場又は工事現場近傍にある土質改良装置の土壌投入部へ投入する投入工程と、前記土壌投入部から投入された前記土壌を前記土質改良装置の破砕部によって加熱されながら破砕する加熱・破砕工程と、破砕された前記土壌に前記土質改良装置の改良剤投入部より前記改良剤を投入する改良剤投入工程と、前記土壌と前記改良剤とを前記土質改良装置の攪拌部により攪拌する攪拌工程と、前記攪拌部によって改質された前記土壌を前記土質改良装置外部へと排出する改質土壌排出工程とを備えたことを特徴とする土質改良方法。
【請求項3】
土壌を投入する土壌投入部と、前記土壌投入部と連通した収容容器を備えて該収容容器に収容された前記土壌を加熱すると共に破砕する加熱・破砕部と、前記土壌に改良剤を投入する改良剤投入部と、前記土壌と前記改良剤とを攪拌する攪拌部と、前記攪拌部によって改質された前記土壌を土質改良装置本体外部へ排出する排出部とを備えたことを特徴とする土質改良装置。
【請求項4】
前記収容容器の外郭表面に加熱手段を設けると共に、該壁部の外側に断熱用壁部を設けたことを特徴とする請求項3記載の土質改良装置。
【請求項5】
前記外郭表面と断熱用壁部との間に空洞部を形成すると共に、この隙間に前記加熱手段を設けたことを特徴とする請求項3記載の土質改良装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−256678(P2011−256678A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134453(P2010−134453)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(596070401)株式会社浅見製作所 (7)
【Fターム(参考)】