説明

圧力チューブの取付構造

【課題】航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成する圧縮機のケーシングや、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成するタービンのケーシング等、薄肉のケーシングに適用することができる圧力チューブの取付構造を提供すること。
【解決手段】ケーシング13内の作動流体を圧力センサに導く圧力チューブ11の一端部を、ケーシング13の外表面に取り付ける圧力チューブの取付構造10であって、一端に向かって徐々に拡径するテーパー部14が一端部に設けられた圧力チューブ11と、前記ケーシング13の外表面に設けられて前記テーパー部14を収容する凹所12と、前記凹所12の内周面と、前記テーパー部14の外周面とで形成される前記凹所12内に充填される接着剤17とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーシング内の作動流体(例えば、ケーシングが圧縮機を構成する場合は圧縮空気、ケーシングがタービンを構成する場合は燃焼ガス)を圧力センサに導く圧力チューブの一端部を、ケーシングの外表面に取り付ける圧力チューブの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力容器の耐圧テストやリークテスト等の圧力試験を行う配管(圧力チューブ)の取付構造としては、例えば、特許文献1に開示されているものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−154394号公報
【0004】
また、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成する圧縮機のケーシング内の圧縮空気や、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成するタービンのケーシング内の燃焼ガスを圧力センサに導く圧力チューブの一端部を、ケーシングの外表面に取り付ける圧力チューブの取付構造としては、例えば、図9や図10に示すものが知られている。
【0005】
図9に示す圧力チューブの取付構造90は、先端部にテーパー状の雄ねじ部91が形成された継手92を、ケーシング(ケーシングが圧縮機を構成する場合は圧縮機のケーシング、ケーシングがタービンを構成する場合はタービンのケーシング)93の外表面に形成されたテーパー状の雌ねじ部94に螺合させて、圧力チューブ95の一端部をケーシング93の外表面に取り付ける(固定する)ものである。
【0006】
一方、図10に示す圧力チューブの取付構造100は、圧力チューブ101の一端部を、ケーシング(ケーシングが圧縮機を構成する場合は圧縮機のケーシング、ケーシングがタービンを構成する場合はタービンのケーシング)102の外表面に形成された凹所103内に挿入し、ロウ付け(あるいはTIG溶接もしくは接着剤)により、圧力チューブ101の一端部をケーシング102の外表面に取り付ける(固定する)ものである。
なお、図10中の符号104は、ロウ付け部(あるいは溶接部もしくは接着剤)を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図9に示す圧力チューブの取付構造90や、図10に示す圧力チューブの取付構造100は、ケーシング93,102の肉厚が十分ある場合、すなわち、ケーシングの外表面にテーパー状の雌ねじ部94を形成させることができる場合や、ロウ付け(あるいはTIG溶接)の際に発生する熱によってケーシングが変形しないような場合、あるいは圧力チューブの一端部を受け入れる凹所の深さを十分に確保することができて、接着剤で圧力チューブの一端部を確実に固定することができる場合に採用することができるのであって、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成する圧縮機のケーシングや、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成するタービンのケーシング等、薄肉のケーシングの場合、すなわち、ケーシングの外表面にテーパー状の雌ねじ部94を形成させることができない場合や、ロウ付け(あるいはTIG溶接)の際に発生する熱によってケーシングが変形してしまうような場合、あるいは圧力チューブの一端部を受け入れる凹所の深さを十分に確保することができず、接着剤で圧力チューブの一端部を確実に固定することができない場合には採用することができないといった問題点があった。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成する圧縮機のケーシングや、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成するタービンのケーシング等、薄肉のケーシングに適用することができる圧力チューブの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明に係る圧力チューブの取付構造は、ケーシング内の作動流体を圧力センサに導く圧力チューブの一端部を、ケーシングの外表面に取り付ける圧力チューブの取付構造であって、一端に向かって徐々に拡径するテーパー部が一端部に設けられた圧力チューブと、前記ケーシングの外表面に設けられて前記テーパー部を収容する凹所と、前記凹所の内周面と、前記テーパー部の外周面とで形成される前記凹所内に充填される接着剤とを備えている。
【0010】
本発明に係る圧力チューブの取付構造によれば、ケーシングに取り付けられる側の圧力チューブの一端部に、一端に向かって徐々に拡径するテーパー部が設けられ、このテーパー部がケーシングの外表面に形成された凹所内に収められるとともに、凹所内に充填された接着剤により、ケーシングの外表面に対して固定されることになる。また、圧力チューブの一端部をテーパー部とすることにより、凹所の深さが小さくなり、テーパー部と接着剤との接触面積が大きくなる。
これにより、ケーシングの外表面にテーパー状の雌ねじ部を設けることなく、また、ロウ付けあるいはTIG溶接の際に発生する熱によってケーシングを変形させることなく、圧力チューブの一端部を、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成する圧縮機のケーシングや、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成するタービンのケーシング等、薄肉のケーシングの外表面に確実に固定することができる。
【0011】
上記圧力チューブの取付構造において、下面が前記ケーシングの外表面と密着して前記凹所の開口を塞ぐ鍔部材が、前記圧力チューブの一端部に設けられているとともに、前記ケーシングの外表面に対して固定されているとさらに好適である。
【0012】
このような圧力チューブの取付構造によれば、圧力チューブの一端部が、接着剤および鍔部材により、ケーシングの外表面に固定されることになる。
これにより、仮に経年劣化等により接着剤の性能が低下した場合でも、別途ケーシングに固定された鍔部材により圧力チューブの抜けを防止することができ、当該構造に対する信頼性を向上させることができる。
【0013】
上記圧力チューブの取付構造において、前記鍔部材に、前記凹所と連通する少なくとも一つの孔が設けられているとさらに好適である。
【0014】
このような圧力チューブの取付構造によれば、鍔部材に設けられた孔が、鍔部材の周縁部(外周部)をケーシングの外表面に密着させた状態で凹所内に接着剤を充填していく際の接着剤充填用の孔として、あるいは鍔部材の周縁部(外周部)を持ち上げた(引き上げた)状態で凹所内に接着剤を充填していく際の空気抜き用の孔として利用されることになる。
これにより、凹所内に接着剤を隙間なく充填することができて、圧力チューブの一端部を、ケーシングの外表面により確実に固定することができる。
【0015】
上記圧力チューブの取付構造において、前記凹所は、前記テーパー部の外径と同じに、あるいは前記テーパー部の外径よりも若干大きくなるように形成された内径を有し、かつ、前記テーパー部の周縁部を受け入れる拡径部と、前記テーパー部の外径よりも若干小さくなるように形成された内径を有する縮径部とを備えているとさらに好適である。
【0016】
このような圧力チューブの取付構造によれば、圧力チューブの一端部が、接着剤、鍔部材、およびテーパー部の周縁部と拡径部との嵌合(係合)により、ケーシングの外表面に固定されることになる。
これにより、仮に経年劣化等により接着剤の性能が低下した場合でも、別途ケーシングに固定された鍔部材、およびテーパー部の周縁部と拡径部との嵌合(係合)により圧力チューブの抜けを防止することができ、当該構造に対する信頼性を向上させることができる。
また、仮に経年劣化等により接着剤の性能が低下し、かつ、鍔部材がケーシングに対して固定されていない状態になった場合(ケーシングと鍔部材との固定関係が解けた場合)でも、テーパー部の周縁部と拡径部との嵌合(係合)により圧力チューブの抜けを防止することができ、当該構造に対する信頼性を向上させることができる。
【0017】
本発明に係る航空機用ガスタービンは、上記いずれかの圧力チューブの取付構造を具備している。
【0018】
本発明に係る航空機用ガスタービンによれば、圧力チューブの一端部を取り付けるために従来必要とされたケーシングの肉厚を確保する必要がなくなり、ケーシングを薄肉化することができて、当該ガスタービン全体の軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る圧力チューブの取付構造によれば、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成する圧縮機のケーシングや、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)を構成するタービンのケーシング等、薄肉のケーシングに適用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧力チューブの取付構造を具備したガスタービンエンジンの概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る圧力チューブの取付構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る圧力チューブの取付手順を説明するための図であって、(a)は圧力チューブの先端部に鍔部材を取り付けた状態を示す平面図、(b)は圧力チューブの先端部に鍔部材を取り付けた状態を示す側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る圧力チューブの取付手順を説明するための図であって、薄肉のケーシングに取付用の凹所を加工した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る圧力チューブの取付手順を説明するための図であって、ケーシングへの取付が完了した状態を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る圧力チューブの取付構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る圧力チューブの取付構造を示す断面図である。
【図8】本発明に係る圧力チューブの取付構造を具備したガスタービンエンジンの梱包状態または装着状態を示す断面図である。
【図9】従来の圧力チューブの取付構造を説明するための断面図である。
【図10】従来の圧力チューブの取付構造を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係る圧力チューブの取付構造について、図1から図5を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係る圧力チューブの取付構造を具備したガスタービンエンジンの概略構成図、図2は本実施形態に係る圧力チューブの取付構造を示す断面図、図3は本実施形態に係る圧力チューブの取付手順を説明するための図であって、(a)は圧力チューブの先端部に鍔部材を取り付けた状態を示す平面図、(b)は圧力チューブの先端部に鍔部材を取り付けた状態を示す側面図、図4は本実施形態に係る圧力チューブの取付手順を説明するための図であって、薄肉のケーシングに取付用の凹所を加工した状態を示す断面図、図5は本実施形態に係る圧力チューブの取付手順を説明するための図であって、ケーシングへの取付が完了した状態を示す断面図である。
【0022】
本実施形態に係る圧力チューブの取付構造10は、例えば、図1に示す圧縮機2と、燃焼器3と、タービン4とを備えた航空機用ガスタービン(本実施形態ではターボシャフトエンジン)1の、圧縮機2および/またはタービン4に適用されるものである。
図2に示すように、圧力チューブの取付構造10は、圧力チューブ(圧力計測管:圧力導出管)11と、凹所12とを備えている。
【0023】
圧力チューブ11は、凹所12(より詳しくは、凹所12および連通穴15)を介して導かれたケーシング13内の流体(ケーシング13が圧縮機2を構成する場合は圧縮空気、ケーシング13がタービン4を構成する場合は燃焼ガス)を、図示しない圧力センサに導く配管であり、その一端部はケーシング13に取り付けられ(接続され)、その他端部は図示しない圧力センサに取り付けられ(接続され)ている。また、圧力チューブ11の一端部には、その一端(先端)に向かって徐々に(漸次)拡径するテーパー部14が設けられて(形成されて)いる。
【0024】
凹所12は、その内径がテーパー部14の外径と同じに、あるいはテーパー部14の外径よりも若干大きくなるように形成され、かつ、その深さがテーパー部14の高さよりも深くなるように形成されるとともに、その底面がテーパー部14の(先)端面全体と接するように形成された円筒状の窪みである。また、凹所12の底面の中央部と、ケーシング13の内表面とは、その内径がテーパー部14の内径よりも小さくなるように形成され、かつ、ケーシング13を板厚方向に貫通する連通穴15を介して連通されている。
【0025】
圧力チューブ11の一端部には、平面視矩形状を呈するとともに、(例えば、厚さ0.2mmの)SUS(ステンレス)箔からなる鍔部材16が、その下面からテーパー部14の(先)端面までの距離(長さ)が凹所12の深さと(略)同じになるようにして、ロウ付け(あるいはTIG溶接)により取り付けられ(固定され)ており、凹所12の内周面(内側面)と、テーパー部14の外周面(外側面)と、鍔部材16の下面とで形成される凹所12内には、(高温用)接着剤(例えば、ムロマチテクノス株式会社製の耐熱性無機接着剤(アロンセラミック))17が充填されている。
また、図5に示すように、鍔部材16は、ケーシング13の外表面に対して、スポット溶接により取り付けられ(固定され)ている。
【0026】
つぎに、図3から図5を用いて、圧力チューブ11のケーシング13への取付(装着)手順について説明する。
まず、図3(a)および図3(b)に示すように、予め一端部にテーパー部14が形成された圧力チューブ11の同端部に、鍔部材16をロウ付け(あるいはTIG溶接)により取り付ける(固定する)。
なお、図3(a)中および図3(b)中の符号18は、ロウ付け部(あるいは溶接部)を示している。
【0027】
一方、図4に示すように、ケーシング13の、所定の箇所(ケーシング13内の圧力を導出(抽出)しようとする箇所)の外表面に凹所12を加工し、つづいて、凹所12の中央部に連通穴15を加工(穿設)する。
なお、ケーシング13の、所定の箇所(ケーシング13内の圧力を導出(抽出)しようとする箇所)に連通穴15を加工(穿設)し、つづいて、連通穴15が中央部に位置する(くる)ようにして凹所12を加工してもよい。
【0028】
つづいて、図5に示すように、テーパー部14の(先)端面全体が凹所12の底面と接するようにして凹所12内に挿入し、テーパー部14の(先)端面全体が凹所12の底面と接した状態で、かつ、鍔部材16の周縁部(外周部)を持ち上げた(引き上げた)状態で凹所12内に(高温用)接着剤17を満遍なく充填していく。
凹所12の内周面(内側面)と、テーパー部14の外周面(外側面)と、鍔部材16の下面とで形成される凹所12内への(高温用)接着剤17の充填が完了(終了)したら、鍔部材16の周縁部(外周部)を、圧力チューブ11の径方向および周方向に沿ってスポット溶接して、圧力チューブ11のケーシング13への取付(装着)を完了(終了)する。
【0029】
本実施形態に係る圧力チューブの取付構造10によれば、ケーシング13に取り付けられる側の圧力チューブ11の一端部に、一端に向かって徐々に拡径するテーパー部14が設けられ、このテーパー部14がケーシング13の外表面に形成された凹所12内に収められるとともに、凹所12内に充填された接着剤17により、ケーシング13の外表面に対して固定されることになる。また、圧力チューブ11の一端部をテーパー部14とすることにより、凹所12の深さが小さくなり、テーパー部12と接着剤17との接触面積が大きくなる。
これにより、ケーシング13の外表面にテーパー状の雌ねじ部を設けることなく、また、ロウ付けあるいはTIG溶接の際に発生する熱によってケーシング13を変形させることなく、圧力チューブ11の一端部を、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)1を構成する圧縮機2のケーシングや、航空機用ガスタービン(例えば、ターボシャフトエンジン)1を構成するタービン4のケーシング等、薄肉のケーシングの外表面に確実に固定することができる。
【0030】
また、本実施形態に係る圧力チューブの取付構造10によれば、圧力チューブ11の一端部が、接着剤17および鍔部材16により、ケーシング13の外表面に固定されることになる。
これにより、仮に経年劣化等により接着剤17の性能が低下した場合でも、別途ケーシング13に固定された鍔部材16により圧力チューブ11の抜けを防止することができ、当該構造10に対する信頼性を向上させることができる。
【0031】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態に係る圧力チューブの取付構造について、図6を参照しながら説明する。図6は本実施形態に係る圧力チューブの取付構造を示す図であって、(a)は平面図、(b)は断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る圧力チューブの取付構造20は、鍔部材16の代わりに、鍔部材21が設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素、および圧力チューブ11のケーシング13への取付(装着)手順については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0032】
鍔部材21には、鍔部材21を板厚方向に貫通して凹所12内とケーシング13の外部(大気中)とを連通する少なくとも一つ(本実施形態では一つ)の孔22が設けられて(形成されて)いる。孔22は、鍔部材21の周縁部(外周部)をケーシング13の外表面に密着させた状態で凹所12内に(高温用)接着剤17を充填していく際の接着剤充填用の孔として、あるいは鍔部材21の周縁部(外周部)を持ち上げた(引き上げた)状態で凹所12内に(高温用)接着剤17を充填していく際の空気抜き用の孔として利用される。
【0033】
本実施形態に係る圧力チューブの取付構造20によれば、鍔部材21に設けられた孔22が、鍔部材21の周縁部(外周部)をケーシング13の外表面に密着させた状態で凹所12内に接着剤17を充填していく際の接着剤充填用の孔として、あるいは鍔部材21の周縁部(外周部)を持ち上げた(引き上げた)状態で凹所12内に接着剤17を充填していく際の空気抜き用の孔として利用されることになる。
これにより、凹所12内に接着剤17を隙間なく充填することができて、圧力チューブ11の一端部を、ケーシング13の外表面により確実に固定することができる。
その他の作用効果は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0034】
〔第3実施形態〕
本発明の第3実施形態に係る圧力チューブの取付構造について、図7を参照しながら説明する。図7は本実施形態に係る圧力チューブの取付構造を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る圧力チューブの取付構造30は、凹所12の代わりに、凹所31が設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその他の構成要素についての説明は省略する。
なお、上述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
【0035】
凹所31は、その内径がテーパー部14の外径と同じに、あるいはテーパー部14の外径よりも若干大きくなるように形成され、かつ、テーパー部14の周縁部(外周部)を受け入れる(テーパー部14の周縁部(外周部)と嵌合する)拡径部32と、その内径がテーパー部14の外径よりも若干小さくなるように形成された縮径部33とを備えている。また、凹所31は、テーパー部14の高さよりも深くなるように形成されるとともに、その底面がテーパー部14の(先)端面全体と接するように形成されている。
【0036】
本実施形態に係る圧力チューブの取付構造30によれば、圧力チューブ11の一端部が、接着剤17、鍔部材16、およびテーパー部14の周縁部と拡径部32との嵌合(係合)により、ケーシング13の外表面に固定されることになる。
これにより、仮に経年劣化等により接着剤17の性能が低下した場合でも、別途ケーシング13に固定された鍔部材16、およびテーパー部14の周縁部と拡径部32との嵌合(係合)により圧力チューブ11の抜けを防止することができ、当該構造30に対する信頼性を向上させることができる。
また、仮に経年劣化等により接着剤17の性能が低下し、かつ、鍔部材16がケーシング13に対して固定されていない状態になった場合(ケーシング13と鍔部材16との固定関係が解けた場合)でも、テーパー部14の周縁部と拡径部32との嵌合(係合)により圧力チューブ11の抜けを防止することができ、当該構造30に対する信頼性を向上させることができる。
その他の作用効果は、上述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0037】
なお、製品出荷前の性能試験を終え、木箱等の梱包用具(搬送用具)80に入れられて出荷される際の圧力チューブ11、あるいは製品出荷前の性能試験では必要とされたが、実機(本実施形態では回転翼航空機)に搭載された際には不要となる圧力チューブ11は、切断部が梱包用具80あるいはカウリング80の内側に位置するように、その途中(より詳しくは、ケーシング13に近い根元部(一端部)の途中)で切断され、切断された部分がプラグ81等で塞がれることになる。
【0038】
また、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、上述した第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせて実施する等、適宜必要に応じて変形・変更実施可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 航空機用ガスタービン
10 圧力チューブの取付構造
11 圧力チューブ
12 凹所
13 ケーシング
14 テーパー部
16 鍔部材
17 接着剤
20 圧力チューブの取付構造
21 鍔部材
22 孔
30 圧力チューブの取付構造
31 凹所
32 拡径部
33 縮径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング内の作動流体を圧力センサに導く圧力チューブの一端部を、ケーシングの外表面に取り付ける圧力チューブの取付構造であって、
一端に向かって徐々に拡径するテーパー部が一端部に設けられた圧力チューブと、
前記ケーシングの外表面に設けられて前記テーパー部を収容する凹所と、
前記凹所の内周面と、前記テーパー部の外周面とで形成される前記凹所内に充填される接着剤とを備えていることを特徴とする圧力チューブの取付構造。
【請求項2】
下面が前記ケーシングの外表面と密着して前記凹所の開口を塞ぐ鍔部材が、前記圧力チューブの一端部に設けられているとともに、前記ケーシングの外表面に対して固定されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力チューブの取付構造。
【請求項3】
前記鍔部材に、前記凹所と連通する少なくとも一つの孔が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力チューブの取付構造。
【請求項4】
前記凹所は、前記テーパー部の外径と同じに、あるいは前記テーパー部の外径よりも若干大きくなるように形成された内径を有し、かつ、前記テーパー部の周縁部を受け入れる拡径部と、前記テーパー部の外径よりも若干小さくなるように形成された内径を有する縮径部とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の圧力チューブの取付構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の圧力チューブの取付構造を具備していることを特徴とする航空機用ガスタービン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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