説明

圧力容器

【課題】内部に熱交換機能を有する組立品が収容されている圧力容器であって、軽量化と貯蔵ガス量の確保とを両立させることができ、組立品をコイルばねで支持する場合に比較して簡単に製造することができる圧力容器を提供する。
【解決手段】筒状の容器本体12内に、熱交換機能を有する水素吸蔵用ユニット13が収容されている。容器本体12の内周面と水素吸蔵用ユニット13の外周面との間に、弾性変形可能な複数のパイプ30,31が、前記両周面と接触するとともに隣り合うパイプ30と直接押し合う状態で、かつ移動が規制された状態で収容されている。パイプ30は、その径が前記両周面の間隔Sより大きく形成されるとともに、弾性変形された状態で収容されている。隙間Δにはパイプ30と当接して該パイプ30を容器本体12の周方向へ押圧付勢する役割を果たすパイプ31が1つ収容されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧力容器に係り、詳しくは内部に熱交換機能を有する組立品が収容されている圧力容器に関する。
【背景技術】
【0002】
水素エネルギーは太陽熱エネルギーと並んでクリーンエネルギーとして注目されている。水素の貯蔵、輸送の方法として、ある温度、圧力の条件のもとで水素を吸蔵して水素化物になり、必要時に別の温度、圧力の条件のもとで水素を放出する「水素吸蔵合金(以下、MHという場合もある。)」といわれる金属の利用が着目されている。そして、水素の供給をMHを使用して行う水素エンジンや燃料電池電気自動車、あるいはMHが水素を吸蔵・放出するときの発熱・吸熱を利用するヒートポンプ等の研究が行われている。
【0003】
そして、MHを充填した圧力容器(タンク)では、MHによる水素の吸蔵・放出を円滑に行うため、タンク内に熱交換器が内蔵されている。(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、熱交換器の周囲を水素吸蔵合金とともに断熱性のケースで囲み、該断熱ケースを圧力容器の内面に点状又は線状に接触する支持部材で支持した圧力容器が開示されている。
【0004】
また、特許文献1には、図7に示す構成の圧力容器51も開示されている。即ち、ステンレス鋼製の圧力容器51内には、多数の小孔52aが形成された収納ケース52が内装され、収納ケース52内にMHの粉末とともに熱交換器53が収納されている。圧力容器51の内面と収納ケース52の外面との間にはグラスウールのように通気性の有る断熱材54が充填されている。熱交換器53は熱媒体(熱媒)を流す熱媒管55に複数のフィン56が設けられた構造である。そして、熱媒管55が収納ケース52及び圧力容器51の両端を貫通した状態で圧力容器51に支持されることにより、収納ケース52及びMHが熱媒管55を介して圧力容器51に支持されている。
【0005】
また、水素吸蔵合金を用いた水素貯蔵容器として、水素吸蔵合金インゴット、前記インゴットを収容する容器、及び前記インゴットと前記容器内壁との間に介在する弾性体からなる水素貯蔵容器が提案されている(特許文献2参照)。この水素貯蔵容器は、水素貯蔵容器の使用設定条件下での水素化(水素吸蔵)又は脱水素化(水素放出)により前記インゴットが膨張又は収縮した場合に、前記弾性体が収縮又は膨張して前記インゴットを支持することにより、前記インゴットの形状を保持してインゴットの崩壊を防止するようにしている。そして、直方体状(縦0.86cm、横1.75cm、高さ4.0cm)のインゴットの6面と対応する形状の6枚の鋼シートの各片面に4本のコイルばねを設けた弾性体を用いて、インゴットの周囲と容器内壁との間に前記弾性体を配置した構成が開示されている。
【特許文献1】特開2000−249425号公報(明細書の段落[0012],[0016]、図1,図3)
【特許文献2】特開2004−11851号公報(明細書の段落[0035],[0036]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
水素エンジンや燃料電池電気自動車の燃料の供給源として水素貯蔵タンクを自動車に搭載する場合は、水素貯蔵タンクの軽量化が重要になる。圧力容器内にMHを充填した場合は、同じ圧力及び同じ容積における水素の貯蔵量を多くできる。しかし、MHは水素吸蔵時に膨張するため、圧力容器内全部にMHを充填した場合は、MHの膨張の圧力が圧力容器に直接加わる。従って、圧力容器を内圧及びMHの膨張力の両方に対向する強度とする必要があり、MHの重量増加分だけでなく圧力容器の強度を高めるための重量増加分との双方の影響で、圧力容器全体の重量が重くなりすぎるという問題がある。
【0007】
前記の問題を解消するため、圧力容器内に水素吸蔵合金が充填され、かつ熱交換機能を有する水素吸蔵用ユニットを、圧力容器の内面と水素吸蔵用ユニットの外面との間に空間を設けた状態で収容することが考えられる。この構成では、圧力容器の内圧を調整することで、圧力容器と水素吸蔵用ユニットとの間に貯蔵される水素量が調整され、圧力容器全体の重量当たりの水素貯蔵量を多くすることができる。
【0008】
しかし、圧力容器の内面と水素吸蔵用ユニットの外面との間に空間を設けた状態で水素吸蔵用ユニットを収容すると、水素吸蔵用ユニットを片持ち状態あるいは、図7に示すように水素吸蔵用ユニットをその両端で支持する構成となる。水素吸蔵用ユニットを片持ち状態で支持する構成では、支持部に大きな力が加わるため、支持部を頑丈に製作する必要があり、水素貯蔵タンクの軽量化が難しくなる。また、水素貯蔵タンクを自動車の水素源として使用する場合は、振動の影響を考慮する必要があり、支持部をより頑丈に製作する必要があるため、軽量化がより難しくなる。
【0009】
特許文献1に記載のように点状又は線状に接触する支持部で支持した場合は、MHの膨張時に圧力容器に応力集中が生じる虞がある。また、図7に示す構成では、圧力容器51の内面と収納ケース52の外面との間に断熱材54を充填した構成では断熱材54はあくまで断熱を目的としており収納ケース52の支持に関しては考慮されていない。支持機能を持たせるためにグラスウールの量を多くすると、空間に充填される水素の量が少なくなり、軽量化と水素貯蔵量の確保とを両立させるのが難しい。
【0010】
また、特許文献2では、水素貯蔵容器に収容される水素吸蔵合金インゴットは、熱交換器は装備せず、大きさも最長部分で4.0cmと非常に小さい。従って、水素の吸蔵あるいは放出の際の冷却や加熱は考慮しなくてもさほど問題とならず、水素吸蔵合金インゴットを支持するコイルばねの数も少なくてよい。しかし、水素自動車の燃料として水素を貯蔵する水素貯蔵タンクの場合は、水素の吸蔵あるいは放出の際の冷却や加熱を効率良く行うためには、水素貯蔵タンクに熱交換器を内蔵することが必要となる。また、水素貯蔵タンクも長さが数百mm程度で直径が200mm程度と大きなため、コイルばねで支持するには多数のコイルばねが必要となり、組み付けに手間がかかる。
【0011】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、内部に熱交換機能を有する組立品が収容されている圧力容器において、軽量化と貯蔵ガス量の確保とを両立させることができ、組立品をコイルばねで支持する場合に比較して簡単に製造することができる圧力容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、筒状の容器本体内に、熱交換機能を有し、外形が筒状の組立品が少なくとも一端で支持された状態で収容されている圧力容器であって、前記容器本体の内周面と前記組立品の外周面との間に、弾性変形可能な複数のパイプが、隣り合うパイプと直接又は間接的に押し合う状態で、かつ移動が規制された状態で収容されており、前記複数のパイプが協働して前記組立品を保持している。
【0013】
ここで「外形が筒状」とは外形を筒状の部材(例えば断面が円の円筒部材や断面が四角の筒部材)で構成されていることのみを意味するのではなく、組立品が組みあがった状態で外形が筒状の形状であればよい。例えば、同じ大きさの円盤を間隔を空けて並べることで形成される外形(円筒状)や、同じ大きさの四角の板を間隔を空けて並べることで形成される外形(四角の筒状)といった筒状の部材がない場合をも含む。また、「間接的に押し合う状態」とは、例えば、隣り合うパイプ間に配置された剛体の棒状体あるいはばねを介して互いに押し合うことを意味する。
【0014】
この発明では、容器本体の内周面と前記組立品の外周面との間に、収容された複数のパイプにより組立品が保持され、圧力容器に径方向の振動が加わっても、組立品を端部で支持する支持部に大きな曲げ応力が作用するのが回避され、耐久性が向上する。また、パイプの弾性変形により、組立品の膨張・収縮の変形を吸収することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記パイプは、全てのパイプが少なくとも1つのパイプと接触する状態で収容されている。この発明では、パイプ同士が離れて配置され、その間にパイプを押圧する部材を配置する構成に比較して、組み付け(製造)が簡単になる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記パイプは、その径が前記内周面と前記外周面との間隔より大きく形成されている。この発明では、パイプは、弾性変形した状態で容器本体の内周面と組立品の外周面との間に配置されるため、パイプの使用本数を少なくできるとともに、必要な弾性力を得るのに、製造時にパイプの壁の厚さを調整することで対応することが容易になる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記内周面と前記外周面との間には、前記パイプと当接して該パイプを前記容器本体の周方向へ押圧付勢するばね要素が少なくとも1つ収容されている。この発明では、各パイプを横方向への移動が規制された状態で、かつ弾性変形した状態で、容器本体の内周面と、組立品の外周面との間に配置するのが、パイプだけを収容する場合に比較して簡単になる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記組立品は、水素吸蔵物質が充填された水素吸蔵用ユニットである。この発明では、圧力容器を水素貯蔵タンクとして好適に使用できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、内部に熱交換機能を有する組立品が収容されている圧力容器において、軽量化と貯蔵ガス量の確保とを両立させることができ、組立品をコイルばねで支持する場合に比較して簡単に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を圧力容器としての水素貯蔵タンク(以下、単に水素タンクと称す)に具体化した一実施形態を図1及び図2に従って説明する。図1(a)は水素タンクの模式断面図、図1(b)は水素タンクを軸方向と垂直な平面で切断した状態の部分模式断面図、図2(a)は水素タンクを軸方向と垂直な平面で切断した状態の模式断面図、図2(b)は作用を説明する部分模式断面図である。なお、本実施形態に限らず、水素タンクを軸方向と垂直な平面で切断した状態の模式断面図においては、水素吸蔵用ユニットの構成を省略して図示するとともに、パイプの径を水素タンクの径に比べて大きく誇張して描いている。
【0021】
図1(a)に示すように、水素タンク11は、筒状(この実施形態では円筒状)の容器本体12内に、組立品としての水素吸蔵用ユニット13が収容されている。
容器本体12は、細長い中空状のライナ14と、ライナ14の外面の略全域を覆う繊維強化樹脂層15とを備えている。ライナ14は例えばアルミニウム合金を材質とし、水素タンク11の気密性を確保している。ライナ14は円筒状の胴部14aと、その両端に形成されたドーム部14bとを備えている。ライナ14は両端が分割式となっており、胴部14aの一端側(図1(a)における左端側)の開口部16aを覆う蓋部17aと、他端側の開口部16bを覆う蓋部17bとを備えており、蓋部17a,17bがドーム部14bを構成している。蓋部17aには、水素吸蔵用ユニット13が組み付けられている。
【0022】
繊維強化樹脂層15は、この実施形態では炭素繊維を強化繊維としたCFRP(炭素繊維強化樹脂)で構成され、水素タンク11の耐圧性(機械的強度)を確保している。繊維強化樹脂層15は、樹脂(例えば不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等)が含浸された炭素繊維束を、ヘリカル巻層及びフープ巻層を有するようにライナ14に巻き付け、樹脂を熱硬化することによって形成されている。
【0023】
水素吸蔵用ユニット13は熱交換器18を備えており、熱交換器18は水素タンク11の長手方向(図1(a)の左右方向)に延びるとともに、略U字状に折り曲げられたパイプからなり、熱媒が流通する熱媒管19と、蓋部17aへの取付け部となる略円板形状のヘッダ部20とを備えている。この実施形態では熱媒管19は複数本設けられ、開口側端部がロウ付けや溶接等によってヘッダ部20に固着されている。ヘッダ部20には各熱媒管19の上流側端部と、蓋部17aに形成された通路21aとを連通させる流路(図示せず)と、各熱媒管19の下流側端部と、蓋部17aに形成された通路21bとを連通させる流路(図示せず)とが形成されている。
【0024】
熱媒管19には略円板状のフィン22がライナ14の軸方向に沿って等間隔に複数固着されている。フィン22の間には水素吸蔵物質としての粉末状のMH(図示せず)がフィン22と接触する状態で収容されている。フィン22の径方向端部には全てのフィン22を覆う状態で、MHの通過を阻止し水素を透過可能な円筒状のフィルタ23が設けられている。この実施形態では、フィルタ23は多数の孔(図示せず)が形成された金属製の円筒で形成されている。水素吸蔵用ユニット13はその外周面(即ち、フィルタ23の外周面)と、ライナ14の内周面との間に隙間Δが存在するように外径が設定されている。容器本体12の径が200mm程度の場合で、隙間Δの大きさ、即ち前記内周面と外周面との間隔Sは数mmから数十mmのオーダーである。この実施形態ではフィルタ23の外周面が熱交換器18を有する組立品としての水素吸蔵用ユニット13の外周面となる。
【0025】
蓋部17aはヘッダ部20が嵌合固定される凹部24と、開口部16a、即ち胴部14aの端部に嵌合される嵌合部25とを備えている。嵌合部25は段差部25aを有し、その段差部25aにおいて胴部14aの端部に嵌合され、胴部14aの端面が段差部25aの端面に当接することにより、胴部14aの長手方向に対する蓋部17aの位置決めがなされるようになっている。凹部24は円柱状に形成され、その周面と、ヘッダ部20の周面との間にシールリング(図示せず)が介装されている。また、嵌合部25の周面と開口部16aの内面との間に、ライナ14の分割部分のシール性(気密性)を確保するためのシールリング(図示せず)が介装されている。蓋部17aには通路21a,21bが形成され、通路21a,21bには図示しない熱媒供給部に連通するパイプが接続され、熱媒管19には熱媒供給部から熱媒としての水(冷水又は加熱水)が通路21a,21bを介して供給可能に構成されている。この実施の形態では通路21aが上流側、通路21bが下流側となっている。
【0026】
水素吸蔵用ユニット13はヘッダ部20(基端)が凹部24に嵌合された状態で、蓋部17aに組み付けられている。そして、通路21aから熱媒管19に加熱水が供給されると水素吸蔵用ユニット13を構成するMHが加熱され、通路21aから熱媒管19に冷水が供給されるとMHが冷却されるようになっている。
【0027】
蓋部17bも蓋部17aと同様に開口部16bに嵌合される嵌合部25を備え、嵌合部25が開口部16bに嵌合されている。蓋部17bには水素の導入、排出用の気体通路用開口部26が設けられ、気体通路用開口部26にはバルブ27が螺合されている。バルブ27はレギュレータを内蔵するとともに、水素タンク11の使用状態が水素放出状態と水素充填状態とに切換可能となっている。水素放出状態とは、水素タンク11内の水素をバルブ27を介して外部へ放出可能、かつ外部から水素タンク11内への水素の供給が不能な状態を意味する。また、水素充填状態とは、水素タンク11内の水素をバルブ27を介して外部へ放出不能、かつ外部から水素タンク11内への水素の供給が可能な状態を意味する。バルブ27と蓋部17bの端面との間にはシールリング(図示せず)が介装されている。
【0028】
容器本体12の内周面(この実施形態では胴部14aの内周面)と、フィルタ23の外周面との間、即ち隙間Δに、弾性変形可能な複数のパイプ30,31が収容されている。パイプ30,31は、両蓋部17a,17bの端面間の距離より若干短い長さに形成されており、水素タンク11の軸方向に沿って延びるように収容されている。図2(a)に示すように、複数のパイプ30,31は、隣り合うパイプ30同士、あるいはパイプ30とパイプ31とが直接押し合う状態で、かつ移動が規制された状態で収容されており、複数のパイプ30,31が協働して組立品である水素吸蔵用ユニット13を保持している。
【0029】
パイプ30,31は、その径が前記内周面と外周面との間隔Sより大きく形成されるとともに、弾性変形された状態で隙間Δに収容されている。パイプ30は全て同じ大きさに形成されている。パイプ31はパイプ30とは外径が異なり、実施形態では外径がパイプ30の外径より大きく形成されている。パイプ31は、両側のパイプ30と当接して該パイプ30を容器本体12の周方向へ押圧付勢するばね要素としての役割も果たす。パイプ30,31は、例えば、アルミニウム(アルミニウム合金)のA−6061で形成されている。
【0030】
パイプ30,31の収容時の変形状態は、水素タンク11の使用条件に合わせて試験又は計算により求められ、その値を満足するように弾性変形された状態で収容されている。
次に前記のように構成された水素タンク11の製造方法を説明する。水素タンク11を製造する際は、周りに複数のフィン22が固着された熱媒管19を有し、その外周を覆うフィルタ23に囲まれるとともに、内部にMHが収容された水素吸蔵用ユニット13を用意(製造)する。次に蓋部17aの内面とヘッダ部20との間にシール材が介装され、ヘッダ部20が凹部24に嵌合される状態で、水素吸蔵用ユニット13を蓋部17aに組み付ける。次に水素吸蔵用ユニット13を胴部14aに挿通するとともに蓋部17aを嵌合部25において胴部14aの一端に固定する。この状態では水素吸蔵用ユニット13は、フィルタ23の周面と容器本体12の内周面(即ち、胴部14aの内周面)との間に隙間Δを有する状態でライナ14の一端(蓋部17a)に片持ち状態で支持されている。また、蓋部17bはまだ胴部14aに固定されていない。
【0031】
次にパイプ30を蓋部17aと反対側から隙間Δに挿入する。このとき、パイプ30の一端側を弾性変形させて隙間Δに挿入した後、パイプ30の他端を叩いたり、押圧したりすることにより隙間Δに押し込む。パイプ30は1本ずつ押し込んでも、複数本まとめて押し込んでもよい。全てのパイプ30を押し込んだ後、最後にパイプ31を押し込む。その結果、図2(a),(b)に示すように、各パイプ30及びパイプ31が、弾性変形した状態で隣り合うパイプと直接押し合い、かつ移動が規制された状態で隙間Δに収容された状態となり、複数のパイプ30,31が協働して水素吸蔵用ユニット13を保持する状態となる。
【0032】
次に、開口部16bを覆う状態で蓋部17bを胴部14aに固定し、分割式のライナ14を一体化する。次に、一体化されたライナ14をフィラメントワインディング装置(図示省略)にセットして、フィラメントワインディングを行い、ライナ14の外面に樹脂含浸繊維束をヘリカル巻層及びフープ巻層が所定層数形成されるまで巻き付ける。フープ巻層は主にライナ14の胴部14aに形成される。次に、樹脂含浸繊維束が巻き付けられたライナ14をフィラメントワインディング装置から取り外し、加熱炉に入れて、樹脂を加熱硬化させ、繊維強化樹脂層15を形成する。次にバリ等の除去を行った後、蓋部17bの気体通路用開口部26の雌ねじ部にバルブ27が螺合されて水素タンク11の製造が完了する。
【0033】
次に、前記のように構成された水素タンク11の作用を、燃料電池搭載電気自動車に使用する場合を例に説明する。
水素タンク11は通路21a,21bに熱媒供給部から供給される熱媒としての水(冷水又は加熱水)が流れるパイプ(図示せず)が接続され、バルブ27が燃料電池に繋がるパイプ(図示せず)に接続された状態で使用される。容器本体12内には高圧状態で水素が充填されている。
【0034】
バルブ27が水素放出状態に保持された状態において燃料極で水素ガスが使用されると、バルブ27を介して水素タンク11から水素ガスが放出されて燃料極に供給される。水素タンク11内から水素ガスが放出されると、MHの水素吸蔵・放出反応が放出側へ移動してMHから水素ガスが放出される。
【0035】
水素が放出された水素タンク11に再び水素ガスを充填、即ちMHに水素ガスを吸蔵させる場合は、バルブ27を水素充填状態に切り換えてバルブ27から水素タンク11に水素ガスを供給する。水素タンク11内に供給された水素ガスは、MHと反応して水素化物となってMHに吸蔵される。
【0036】
水素吸蔵用ユニット13は、熱媒管19の開口側端部がヘッダ部20に固着された状態でライナ14に片持ち状態で支持されるとともに、フィルタ23の外周面が多数のパイプ30及び1本のパイプ31に接触した状態で容器本体12に保持されている。従って、水素タンク11に振動が加わっても、水素吸蔵用ユニット13は水素タンク11と共に全体が振動する状態となり、パイプ30,31が存在しない構成と異なり、熱媒管19の基端にのみ局所的に曲げ応力が加わる状態を回避することができ、耐久性が向上する。
【0037】
パイプ30,31は、水素タンク11内が高圧(数十MPa)になっても、その圧力で変形することはない。しかし、水素吸蔵用ユニット13の膨張あるいは収縮に対応して弾性変形する。従って、隙間Δに剛体を介在させて容器本体12の内面で水素吸蔵用ユニット13を保持した場合と異なり、水素吸蔵用ユニット13の膨張の力がパイプ30,31で吸収されて、容器本体12に過大な力が作用することが防止される。
【0038】
この実施形態では以下の効果を有する。
(1)水素タンク11は、筒状の容器本体12内に、熱交換機能を有し、外形が筒状の組立品(水素吸蔵用ユニット13)が一端で支持された状態で収容されている。そして、容器本体12の内周面と水素吸蔵用ユニット13の外周面との間に、弾性変形可能な複数のパイプ30,31が、隣り合うパイプ30,31と直接押し合う状態で、かつ移動が規制された状態で収容されており、複数のパイプ30,31が協働して水素吸蔵用ユニット13を保持している。従って、水素タンク11に径方向の振動が加わっても、水素吸蔵用ユニット13を片持ち状態で支持する熱媒管19の端部に、即ち水素吸蔵用ユニット13を支持する支持部の端部に大きな曲げ応力が作用するのが回避され、耐久性が向上する。また、パイプ30,31の弾性変形により、水素吸蔵用ユニット13の膨張・収縮の変形を吸収することができ、容器本体12の強度を小さくして軽量化を図ることが可能になる。その結果、燃料電池自動車や水素エンジン自動車等に搭載されて使用される燃料タンクとして好適に使用できる。また、パイプ30,31は、圧縮変形された状態で隙間Δに収容されているため、容器本体12が膨張した場合でも、パイプ30,31による保持力が確保される。また、充実体で保持する場合に比較して、パイプ30,31が占める体積が小さく、容器本体12内の水素充填に使用できる空間を大きくできる。
【0039】
(2)パイプ30,31は、全てのパイプ30,31が少なくとも1つのパイプ30,31と接触する状態で隙間Δに収容されている。従って、パイプ30,31同士が離れて配置され、その間にパイプ30,31を押圧する部材を配置する構成に比較して、組み付け(製造)が簡単になる。また、パイプ30の本数を増やすことができ、水素吸蔵用ユニット13から受ける荷重がより分散されて個々のパイプ30,31にかかるため、各パイプ30,31の強度を弱くすることができる。
【0040】
(3)パイプ30,31は、その径が容器本体12の内周面と水素吸蔵用ユニット13の外周面との間隔Sより大きく形成されるとともに、弾性変形した状態で容器本体12の内周面と水素吸蔵用ユニット13の外周面との間に配置されている。従って、間隔Sより径の細いパイプを隙間Δに相互に当接する状態で収容する場合に比較して、パイプの使用本数を少なくできるとともに、必要な強度及び弾性力を得るのに、製造時にパイプの壁の厚さを調整することで対応することが容易になる。
【0041】
(4)容器本体12の内周面と水素吸蔵用ユニット13の外周面との間に、同じ大きさのパイプ30のみを収容するのではなく、大きさの異なるパイプ31を1つ収容して、そのパイプ31に、パイプ30と当接して該パイプ30を容器本体12の周方向へ押圧付勢するばね要素としての機能を持たせている。なお、各パイプ30もばねとしても機能する。従って、各パイプ30を横方向への移動が規制された状態で、かつ弾性変形した状態で、容器本体12の内周面と、水素吸蔵用ユニット13の外周面との間に配置するのが、パイプ30だけを収容する場合に比較して簡単になる。
【0042】
(5)パイプ30,31は、水素吸蔵用ユニット13のほぼ全長にわたって延びる状態で配置されている。従って、短いパイプを水素吸蔵用ユニット13の長手方向に間隔をおいて配置した場合に比較して、容器本体12の内周面と水素吸蔵用ユニット13の外周面と接触する面積が大きくなり、水素吸蔵用ユニット13から受ける荷重がより分散されて個々のパイプ30,31にかかるため、各パイプ30,31の強度を弱くすることができる。また、短いパイプを水素吸蔵用ユニット13の長手方向に間隔をおいて配置した場合に比較して、隙間Δに収容するパイプ30,31の本数を半分以下にすることができ、組み付けの手間が簡単になる。
【0043】
(6)組立品は、水素吸蔵物質(MH)が充填された水素吸蔵用ユニット13である。従って、圧力容器を水素貯蔵タンクとして好適に使用できる。
(7)容器本体12を構成するライナ14が分割式に構成され、胴部14aに水素吸蔵用ユニット13を挿入可能な開口部16aが設けられ、開口部16aを覆う蓋部17aに水素吸蔵用ユニット13が一体に組み付けられている。従って、水素吸蔵用ユニット13を蓋部17aに固定した後、ドーム部14bを構成する蓋部17aをライナ14の胴部14aに組み付けることで、水素吸蔵用ユニット13をライナ14に収容した状態に組み付けることができるため、胴部14a及びドーム部14bが分割不能な構成に比較して組み付けが容易になる。
【0044】
(8)容器本体12はライナ14と繊維強化樹脂層15との二重構造のため、全体を金属で構成した場合に比較して、軽量化を図ることができる。
(9)熱交換器18の熱媒管19への熱媒の導入、排出が容器本体12の一端側から行われる。従って、熱媒の供給及び排出が容器本体12の異なる端部側となる構成に比較して、水素吸蔵用ユニット13の保持構造が簡単になる。
【0045】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように構成してもよい。
○ パイプ30,31は、水素吸蔵用ユニット13のほぼ全長にわたって延びる状態で配置される必要はない。例えば、図3に示すように、水素吸蔵用ユニット13の長手方向の複数箇所(図3では2箇所)に、前記実施形態のパイプ30,31の長さの1/2未満の短いパイプ30,31を配置してもよい。配置箇所は水素吸蔵用ユニット13の両端寄りに限らず、端部と中間部としたり、3箇所以上としたりあるいは1箇所としたりしてもよい。この場合、パイプ30,31を所定位置まで押し込むのに必要な力が前記実施形態に比較して小さくてよい。
【0046】
○ パイプ31は、パイプ30より外径の大きなものに限らない。間隔Sの大きさ、隙間Δの周方向の長さ及びパイプ30の外径、パイプ30収容時の変形状態等により、パイプ30を収容した状態において、パイプ31を収容するためのスペースの大きさが異なる。従って、スペースの大きさによってはパイプ30より外径の小さなパイプ31が使用される。パイプ31はパイプ30を容器本体12の周方向の押圧力を作用させた状態で収納する役割を果たせばよく、容器本体12の内周面と水素吸蔵用ユニット13の外周面とに接触する必要は必ずしもない。従って、パイプ31の外径がパイプ30の外径より小さくても差し支えない。この場合も、水素タンク11に径方向の振動が加わっても、水素タンク11が良好に保持される。
【0047】
○ パイプ31の数は1本に限らず、複数本であってもよい。この場合、1本のパイプ31でパイプ30が互いに押し合うように配置するのに比較して、組み付け時の自由度が大きくなる。
【0048】
○ パイプ30は、各パイプ30が相互に接触した状態で配置される構成に限らない。例えば、図4(a)に示すように、各パイプ30が間隔をおいて配置されるとともに、パイプ30の間にパイプ30と当接して該パイプ30を容器本体12の周方向へ押圧付勢するばね要素32を配置してもよい。ばね要素32としては、例えば、コイルばねが挙げられる。この構成では、自由状態においてパイプ30の外径が間隔Sの値以下で、隙間Δに収容された状態においてばね要素32によって押圧されることにより弾性変形して容器本体12の内周面及び水素吸蔵用ユニット13の外周面に圧接される構成としてもよい。また、パイプ30とばね要素32とは互いに独立した構成、各パイプ30の片側にばね要素32が固着された構成、あるいは全てのパイプ30及びばね要素32が互いに連結された構成であってもよい。
【0049】
○ 複数のパイプ30が互いに接触した状態で隙間Δに収容される構成において、パイプ31に代えてばね要素32を配置してもよい。容器本体12の内周面と水素吸蔵用ユニット13の外周面との間には、パイプと当接してパイプを容器本体12の周方向へ押圧付勢するばね要素32が少なくとも1つ収容されていればよい。
【0050】
○ 図4(b)に示すように、複数のパイプ30を剛体要素33で連結してもよい。この構成では、パイプ30の外径は隙間Δに収容される前の状態において、間隔Sより大きく形成されており、弾性変形した状態で隙間Δに収容されることにより、剛体要素33に押圧力が作用し、その反力でパイプ30同士が剛体要素33を介して間接的に押し合う状態となる。
【0051】
○ 図4(b)のようにパイプ30の間に剛体要素33を配置する構成の場合、パイプ30の外径は隙間Δに収容される前の状態において、間隔S以下であってもよい。例えば、パイプ30を隙間Δに収容した状態で、パイプ30を容器本体12の周方向へ押圧してパイプ30が容器本体12の内周面と、水素吸蔵用ユニット13の外周面とに圧接される状態とし、その状態で剛体要素33をパイプ30間に配置する。
【0052】
○ 各パイプ30が間隔をおいて配置される構成において、各パイプ30の間隔は一定でなくてもよい。例えば、水素タンク11が横置き状態で使用される場合は、使用状態において上側及び下側となる位置に荷重が余分にかかるため、配置されるパイプ30の間隔を側面側に配置されるパイプ30の間隔より小さく、即ち上側及び下側となる位置にパイプ30を密に、配置してもよい。
【0053】
○ パイプのみで水素吸蔵用ユニット13を保持する構成は、パイプが隙間Δに収容された状態において、容器本体12の内周面及び水素吸蔵用ユニット13の外周面に圧接された状態となる構成に限らない。例えば、図5(a)に示すように、パイプとしてその外径が間隔Sより小さいパイプ34を使用するとともに、各パイプ34が互いに当接する状態で隙間Δに収容する構成としてもよい。各パイプ34の外径は、同じあるいはほぼ同じである必要はなく、異なる外径のパイプ34が混在してもよい。
【0054】
○ パイプは自由状態において断面円形に限らず楕円形であってもよい。例えば、図5(b)に示すように、隙間Δに収容された状態において短軸が間隔Sより短いパイプ35で構成してもよい。また、隙間Δに収容される前から長軸が間隔Sより長い楕円形の断面のパイプ35を使用してもよい。また、パイプの断面は隙間Δに収容した状態で円形になる形状としてもよい。
【0055】
○ 容器本体12及び水素吸蔵用ユニット13の形状はほぼ円筒状に限らず、例えば、断面楕円形状や断面多角形状であってもよい。例えば、間隔Sより熱媒管19に固着されるフィン22の形状を、四角形にしてフィルタ23を四角筒状として、容器本体12の形状をそれに対応する形状とすれば、図6(a)に示すように四角筒状の水素タンク11となる。
【0056】
○ パイプ30は、水素タンク11の軸方向に沿って延びるように配置される構成に限らず、図6(b)に示すように、軸方向に対して斜めの状態となるように、即ちフィルタ23の軸方向に対して斜めの状態となるように配置されてもよい。図6(b)は、フィルタ23とパイプ30の配置関係を示す模式図である。
【0057】
○ パイプ30,31,34,35はアルミニウム合金に限らず、例えば、ステンレス鋼(SUS−316L)等の金属や、樹脂、あるいは繊維強化樹脂を使用してもよい。また、パイプ30,31,34,35は網状であってもよい。
【0058】
○ ライナ14は水素吸蔵用ユニット13が固定される側のみ蓋部17aを有する構成としてもよい。例えば、蓋部17aが設けられる側と反対側は、パイプ30等の配置終了後、ライナ14の絞り加工を行ってドーム部14bを構成してもよい。
【0059】
○ ライナ14は蓋部を備えず、両側とも絞り加工で形成する構成としてもよい。例えば、ライナの一方の側を絞り加工した状態で水素吸蔵用ユニット13を組み付けた後、パイプ30等の挿入を行い、その後、ライナの他方の側を絞り加工する。その後、フィラメントワインディング及び加熱硬化により繊維強化樹脂層15を形成する。
【0060】
○ 熱交換器18は熱媒管19を介して片持ち状態でライナ14に支持される構成に限らず、従来技術のように熱媒管が容器本体12を貫通するとともに、熱媒管の両端で容器本体12に支持される構成のものであってもよい。
【0061】
○ 水素吸蔵用ユニット13は、熱媒管19にフィン22を備えずに、単に熱媒を流す構成とし、フィルタ23で囲まれた収容空間に、MH粉末を充填したり、水素吸蔵合金成形体を収容したりする構成としてもよい。
【0062】
○ 水素吸蔵用ユニット13として、フィラメントワインディング及び加熱硬化により繊維強化樹脂層15が形成された後、バルブ27を取り付ける前に、フィルタ23で囲まれた収容空間にMH粉末を充填する構成としてもよい。
【0063】
○ 水素タンク11は燃料電池搭載電気自動車の水素源として搭載されて使用するものに限らず、例えば、水素エンジンの水素源やヒートポンプ等に適用してもよい。また、家庭用電源の燃料電池の水素源として使用してもよい。
【0064】
○ 圧力容器として水素を貯蔵する水素タンクに限らず、例えば窒素、圧縮天然ガス等の他のガスを貯蔵する圧力容器に適用してもよい。
○ 繊維強化樹脂の強化繊維は炭素繊維に限らず、ガラス繊維や炭化ケイ素系セラミック繊維やアラミド繊維等の一般に高弾性・高強度といわれるその他の繊維を強化繊維として使用してもよい。
【0065】
○ ライナ14の材質はアルミニウム合金に限らず、気密性を確保可能でアルミニウムと同程度の比重の金属や、金属に限らずポリアミド、高密度ポリエチレン等の合成樹脂であってもよい。
【0066】
〇 容器本体12はライナ14と繊維強化樹脂層15との複層構造に限らず、全体が金属製であってもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
【0067】
(1)請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の発明において、前記パイプは前記組立品の長手方向ほぼ全長にわたって延びるように配置されている。
(2)請求項1〜請求項5及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記圧力容器は水素を燃料とする自動車の燃料タンクとして使用される。
【0068】
(3)請求項1〜請求項5及び前記技術的思想(1),(2)のいずれか一項に記載の発明において、前記圧力容器の容器本体は、中空状のライナと、該ライナの外面を覆う繊維強化樹脂層とを備え、前記ライナは少なくとも一端側が開口部と蓋部とに分割されている。
【0069】
(4)請求項1〜請求項5及び前記技術的思想(1)〜(3)のいずれか一項に記載の発明において、前記熱交換器の熱媒管への熱媒の導入、排出が前記容器本体の一端側から行われる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(a)は一実施形態の水素タンクの模式断面図、(b)は水素タンクを軸方向と垂直な平面で切断した状態の部分模式断面図。
【図2】(a)は水素タンクを軸方向と垂直な平面で切断した状態の模式断面図、(b)は作用を説明する部分模式断面図。
【図3】別の実施形態における水素タンクの模式断面図。
【図4】(a),(b)は別の実施形態における水素タンクの模式断面図。
【図5】(a),(b)は別の実施形態における水素タンクの模式断面図。
【図6】(a)は別の実施形態における水素タンクの模式断面図、(b)は別の実施形態におけるパイプの配置を示す模式図。
【図7】従来の圧力容器の模式断面図。
【符号の説明】
【0071】
S…間隔、11…圧力容器としての水素タンク、12…容器本体、13…組立品としての水素吸蔵用ユニット、30,31,34,35…パイプ、32…ばね要素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の容器本体内に、熱交換機能を有し、外形が筒状の組立品が少なくとも一端で支持された状態で収容されている圧力容器であって、前記容器本体の内周面と前記組立品の外周面との間に、弾性変形可能な複数のパイプが、隣り合うパイプと直接又は間接的に押し合う状態で、かつ移動が規制された状態で収容されており、前記複数のパイプが協働して前記組立品を保持している圧力容器。
【請求項2】
前記パイプは、全てのパイプが少なくとも1つのパイプと接触する状態で収容されている請求項1に記載の圧力容器。
【請求項3】
前記パイプは、その径が前記内周面と前記外周面との間隔より大きく形成されている請求項1又は請求項2に記載の圧力容器。
【請求項4】
前記内周面と前記外周面との間には、前記パイプと当接して該パイプを前記容器本体の周方向へ押圧付勢するばね要素が少なくとも1つ収容されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の圧力容器。
【請求項5】
前記組立品は、水素吸蔵物質が充填された水素吸蔵用ユニットである請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の圧力容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−112483(P2006−112483A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299019(P2004−299019)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】