説明

圧力損失推定方法、圧力損失検出装置及びプラグ輸送プラントの動力制御装置

【課題】プラグ輸送における圧力損失を精度良く算出、推定することで、輸送ラインの動力算出等を精度良く行うことである。
【解決手段】圧力損失演算システムは、直線率φ、球相当径d、空隙率ε、流体速度U、粒子速度u、流体密度ρ、流体粘度η及び管内径Dを用いて得られる下記圧力損失のΔP/Lの予測式、
ΔP/L=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d)・(U−u)+1.75・ρ・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d)・(U−u
を基に、粒子速度uを算出し、算出した粒子速度uに基づいて、プラグ輸送における圧力損失を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内を流れる流体に粒子を混合して、粒子を輸送する場合の圧力損失の推定や検出をする圧力損失推定方法、圧力損失検出装置及びプラグ輸送プラントの動力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉粒体輸送方式の一つである空気輸送は、ベルトコンベア等の機械的輸送方式、又はコンテナ等の容器を用いた輸送方式と比べ、高速且つ衛生的に輸送でき、人件費最小で稼動できるなど多くの長所を持っている。この空気輸送は、低濃度高速輸送方式と高濃度低速輸送方式の2つに大別できる。最近では省エネルギー、管路の摩耗や粒子の破損防止の観点から高濃度低速輸送方式、いわゆるプラグ輸送の採用が著しくなっている。
このプラグ輸送ラインの設計において、輸送コストの低減化や輸送の確実性の観点から、正確に所要動力、すなわち圧力損失を見積もる必要がある。そのため、これまで多くの研究者により研究され、プラグ輸送における圧力損失予測式が導かれている(非特許文献1〜5参照)。
【0003】
【非特許文献1】Konrad, K., Prediction of the pressure drop for horizontal dense phasepneumatic conveying of particles, Proceedings of 5th conference BHRA Fluidengineering, Paper E1 (1986), pp.225-244
【非特許文献2】R.Pan, P.W.Wypych, Pressure drop and slug velocity in low-velocitypneumatic conveying of bulk solids, Powder Technology, Vol.94 (1997),pp.123-132
【非特許文献3】Tsuji,Y., Pneumatic transportation basic in Japanese, Yokendo (1984),pp.114-136
【非特許文献4】B.Mi, P.W.Wypych, Pressure drop prediction in low-velocity pneumaticconveying, Powder Technology, Vol. 81 (1994), pp.125-137
【非特許文献5】A.B.Aziz and G.E.Klinzing, Dense phase plug flow transfer -The 1-inchhorizontal flow-, Powder Technology, Vol. 62 (1990), pp.41-49
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1〜5で導かれている圧力損失予測式は、粒子輸送量や空気流量等の輸送条件、輸送粒子の種類、輸送管内径等を変更したときに計算値と実験値との誤差が大きくなるため、信頼性が高い実用的な式とは言い難い。また、粒子形状によりErgun式中の係数を変更する必要がある等の課題もある(非特許文献1〜3)。
ここで、Ergun式は、Ergunにより提案された圧力損失予測式のひとつで、層流域から乱流域までを含めることができる適用範囲の広い式であり、圧力損失の算出には有効な式である。
本発明の課題は、プラグ輸送における圧力損失を精度良く算出、推定することで、輸送ラインの動力算出等を精度良く行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明に係る圧力損失推定方法は、水平管の管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送する場合の前記管路の圧力損失を推定する圧力損失推定方法において、前記管路内の粒子の速度uを演算により推定し、その推定した粒子速度uに基づいて、流体に該粒子を混合して輸送する管路の圧力損失を推定しており、前記粒子速度uは、前記粒子の球相当径d、前記管路内における空隙率ε、流体速度U、流体密度ρ、流体粘度η、管路内径D、管路内壁と粒子との摩擦係数μ、バルク密度ρ、粒子群の内部摩擦係数であり、受動的崩壊を示す係数K及び重力加速度g、並びに2次元平面に投影した前記粒子の直線部分の長さの総計を、2次元平面に投影した前記粒子の周囲長で割り算して算出した直線率φかつ、下記式、
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d
により得られる値a,bに基づいて、下記式、
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−μ・ρ・g/(b・ρ)))
により算出されることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に記載の発明に係る圧力損失推定方法は、請求項1に記載の発明に係る圧力損失推定方法において、粒子質量流量Ms及び前記管路の断面積Aに基づいて、下記式、
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・μ・ρ+1.084・μ・K・ρ・u・√(g/D))
により管路長Lの水平管における圧力損失ΔP/Lを推定することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の発明に係る圧力損失推定方法は、鉛直管の管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送する場合の前記管路の圧力損失を推定する圧力損失推定方法において、前記管路内の粒子の速度uを演算により推定し、その推定した粒子速度uに基づいて、流体に該粒子を混合して輸送する管路の圧力損失を推定しており、前記粒子速度uは、前記粒子の球相当径d、前記管路内における空隙率ε、流体速度U、流体密度ρ、流体粘度η、管路内径D、管路内壁と粒子との摩擦係数μ、バルク密度ρ、粒子群の内部摩擦係数であり、受動的崩壊を示す係数K及び重力加速度g、並びに2次元平面に投影した前記粒子の直線部分の長さの総計を、2次元平面に投影した前記粒子の周囲長で割り算して算出した直線率φかつ、下記式、
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d
により得られる値a,bに基づいて、下記式、
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−ρ・g/(b・ρ)))
により算出されることを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に記載の発明に係る圧力損失推定方法は、請求項3に記載の発明に係る圧力損失推定方法において、粒子質量流量Ms及び前記管路の断面積Aに基づいて、下記式、
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・ρ+1.4・μ・K・ρ・u・√(g/D))
により管路長Lの鉛直管における圧力損失ΔP/Lを推定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の発明に係る圧力損失検出装置は、水平管の管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送する場合の前記管路の圧力損失を検出する圧力損失検出装置において、データを取得するデータ取得手段と、前記管路内の粒子の速度uを算出する粒子速度算出手段と、前記粒子速度算出手段が算出した粒子速度uに基づいて、流体に粒子を混合して輸送する水平管の管路の圧力損失を算出する圧力損失算出手段と、を備え、前記データ取得手段は、前記粒子の球相当径d、前記管路内における空隙率ε、流体速度U、流体密度ρ、流体粘度η、管路内径D、管路内壁と粒子との摩擦係数μ、バルク密度ρ、粒子群の内部摩擦係数であり、受動的崩壊を示す係数K及び重力加速度g、並びに2次元平面に投影した前記粒子の直線部分の長さの総計を、2次元平面に投影した前記粒子の周囲長で割り算して算出した直線率φかつ、下記式、
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d
により得られる値a,bを取得し、前記粒子速度算出手段は、前記データ取得手段が取得した前記データに基づいて、下記式、
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−μ・ρ・g/(b・ρ)))
により粒子速度uを算出することを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に記載の発明に係る圧力損失検出装置は、請求項5に記載の発明に係る圧力損失検出装置において、前記圧力損失算出手段は、粒子質量流量Ms及び前記管路の断面積Aに基づいて、下記式、
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・μ・ρ+1.084・μ・K・ρ・u・√(g/D))
により管路長Lの水平管における圧力損失ΔP/Lを算出することを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に記載の発明に係る圧力損失検出装置は、鉛直管の管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送する場合の前記管路の圧力損失を検出する圧力損失検出装置において、データを取得するデータ取得手段と、前記管路内の粒子の速度uを算出する粒子速度算出手段と、前記粒子速度算出手段が算出した粒子速度uに基づいて、流体に粒子を混合して輸送する鉛直管の管路の圧力損失を算出する圧力損失算出手段と、を備え、前記データ取得手段は、前記粒子の球相当径d、前記管路内における空隙率ε、流体速度U、流体密度ρ、流体粘度η、管路内径D、管路内壁と粒子との摩擦係数μ、バルク密度ρ、粒子群の内部摩擦係数であり、受動的崩壊を示す係数K及び重力加速度g、並びに2次元平面に投影した前記粒子の直線部分の長さの総計を、2次元平面に投影した前記粒子の周囲長で割り算して算出した直線率φかつ、下記式、
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d
により得られる値a,bを取得し、前記粒子速度算出手段は、前記データ取得手段が取得した前記データに基づいて、下記式、
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−ρ・g/(b・ρ)))
により粒子速度uを算出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に記載の発明に係る圧力損失検出装置は、請求項7に記載の発明に係る圧力損失検出装置において、前記圧力損失算出手段は、粒子質量流量Ms及び前記管路の断面積Aに基づいて、下記式、
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・ρ+1.4・μ・K・ρ・u・√(g/D))
により管路長Lの鉛直管における圧力損失ΔP/Lを算出することを特徴とする。
【0013】
また、請求項9に記載の発明に係るプラグ輸送プラントの動力制御装置は、請求項5〜8の何れか1項に記載の圧力損失検出装置を備えたプラグ輸送プラントの動力制御装置であって、前記圧力損失算出手段が算出した圧力損失に基づいて、管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送するプラグ輸送プラントの動力を算出する動力算出手段と、前記動力算出手段が算出した動力に基づいて、プラグ輸送プラントの動力を制御する動力制御手段と、を備え、前記動力算出手段は、空気体積流量Qにより、下記式、
=ΔP/L・L・Q
により動力Lを算出することを特徴とする。
【0014】
ここで、前記粒子速度uを算出する式は、圧力損失ΔP/Lを算出する下記式、
ΔP/L=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d)・(U−u)+1.75・ρ・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d)・(U−u
から導出したものであり、この圧力損失ΔP/Lは、下記Ergun式、
ΔP/L=150・(η・(1−ε)/(ε・d)・(U−u)+1.75・ρ・(1−ε)/(ε・d)・(U−u
について、d=(1−0.645・φ)・dと置くことで導出したものである。すなわち、粒子の直線率φにより修正して導出した式である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、粒子の直線率φを用いてErgun式を修正することで、精度、応用性(適用範囲)を高くして、圧力損失を算出、推定することができる。このように修正して得たErgun式を基にプラグ輸送における圧力損失を算出、推定することで、その算出、推定精度を高くすることができ、輸送ラインの動力算出等を高い精度で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
(1)実施形態の前提となる技術
先ず、本実施形態の前提となる技術を説明する。
(1−1)Ergun式
Ergun式は、静止粒子充填層内の圧力損失計算式として代表的な式であり、圧力損失の算出には有効な式である。本発明では、Ergun式を基礎として、修正を加えて、新たな圧力損失計算式を導いているが、そのErgun式(修正前のErgun式)は、下記(1)式として示される。
ΔP/L=k・(η・(1−ε)/(ε・d))・U+k・(ρ・(1−ε)/(ε・d))・U ・・・(1)
【0017】
ここで、ΔPは圧力差(圧力損失)、Lは管路における充填層の長さ、εは管路における空隙率、ηは管路における空気粘度、Uは管路における空気速度、dは粒子径、ρは管路における空気密度及びk,kはそれぞれ、層流域、乱流域における固有値である。前記(1)式において、右辺第1項は層流に対する圧力損失を表し、第2項は乱流に対する圧力損失を表している。
そして、Ergunは、球形粒子を用いた多くの実験データより、k=150、k=1.75 を導き出し、下記(2)式を得ている。
ΔP/L=150・(η・(1−ε)/(ε・d))・U+1.75・(ρ・(1−ε)/(ε・d))・U ・・・(2)
【0018】
すなわち、Ergunは、前記(1)式を導く過程で充填層内の隙間を、毛細管が集まった状態に置き換えて考え、毛細管内と充填層内の水力半径が等しくなる条件より、下記(3)を導いた。
((π/4)・de・Le)/(π・de・Le)=ε/(Sv・(1−ε)) ・・・(3)
ここで、deは毛細管の直径、Leは毛細管の長さである。また、球形粒子について、下記(4)式が導ける。
Sv=6/d ・・・(4)
Ergunは、これら(3)式及び(4)式を用いては前記(2)式を導いている。
【0019】
(1−2)修正Ergun式
(1−2−1)修正Ergun式の導出
ところで、粒子充填層内に充填される粒子の形状は、多くの場合、非球形となるが、粒子が非球形である場合には、Ergun式に誤差が生じる。
これに対して、本願発明者は、粒子が非球形となる場合には、粒子の平面部分で粒子同士の面接触により、粒子表面と流体とが接触する面積が減少することで、粒子が充填されている充填層内の水力半径が変わり、前記(3)式が不成立となり、Ergun式に誤差が生じると考えた。このようなことから、本願発明者は、実際に流体と接する粒子表面積を表す球径、つまり有効粒子径d´を前記(1)式や(2)式に適用することで、そのような影響(誤差)を修正できると考えた。
【0020】
ここで、新たに粒子物性値として、下記(5)式のように直線率φを定義した。
φ=ΣLi/Ls ・・・(5)
この(5)式に示すように、直線率φは、図1に示すように、粒子を2次元的にとらえ、その2次元(2次元投影面)の粒子の直線部の長さLiの総和(図1ではL1+L2+L3+L4+L5)を、該粒子の外周長Ls(図1ではL1+L2+L3+L4+L5+Lc1+Lc2+Lc3+Lc4+Lc5)で割って得られる値である。直線率φが大きくなるほど、粒子の直線部が多くなっているといえるので、このような場合に、粒子同士が面接触する割合が高くなり、圧力損失の誤差が大きくなると考えられる。
【0021】
そして、形状を考慮した式として、直線率φを用いて、下記(6)式のように粒子径d´を定義した。
´=(1−As・φ)・d ・・・(6)
ここで、Asはφに関する修正係数である。
この(6)式を前記(2)式の粒子径dに代入することで、直線率を考慮したErgun式の修正式として、下記(7)式を得ている。ここで、修正係数Asについては、後述するように、実験により0.645として得ている。
ΔP/L=150・(η・(1−ε)/(ε・((1−As・φ)・d))・U+1.75・(ρ・(1−ε)/(ε・(1−As・φ)・d))・U ・・・(7)
この(7)式に対して、As=0.645と一定値にすることで、空隙率ε、空気粘度η、空気速度U、粒子径d及び空気密度ρを与え、さらに、測定等により得た直線率φを与えることで、圧力損失ΔP/Lを得ることができる。
【0022】
(1−2−2)実験装置及び実験方法
修正係数Asを0.645として得た、実験装置及び実験方法は次のようになる。
(1−2−2−1)実験装置
図2は、実験装置概略図を示す。
図2に示すように、空気源にはエアーコンプレッサ1を使用し、エアーコンプレッサ1からの圧縮空気を溜めるためにエアーチャンバ2を使用し、さらにその圧縮空気を減圧するためにエアーチャンバ2の後段に減圧弁3を設置している。減圧弁3の後段には、空気流量の測定及び調整のため、フローメータ4、流量調整弁5及び逆止弁6を設置している。
【0023】
そして、チェック弁6の後段に位置されているホース出口7から所定距離L1(例えば500[mm])に、測定に使用する粒子をつめた静止粒子充填層を形成した管路8を設置している。実験では、管路8として、内径D及び長さL2が異なるものを用いており、内径D=26,38,50[mm]の場合、長さL2=550[mm]の管路8を用い、内径D=70[mm]の場合、長さL2=150[mm]の管路8を用いている。
【0024】
プラグモデルの前後端を、プラグ状態を保つため網で固定した形にし、実験装置に取り付けており、プラグモデル前後の圧力損失を算出している。そのために、圧力タップ9,10をプラグモデルの上流及び下流のアクリル管の表面に1つずつ設置し、測定装置11,12により管内平均圧力を測定している。
【0025】
(1−2−2−2)実験条件
粒子として、ポリエチレンペレット(Polyethylene pellet:PEP)、ポリスチロールペレット(Polystyrol pellet:PSP)、プラスティックペレット(Plasticpellet:PTP)、小豆(Small bean:SMB)、ニポロンハード(ニポロンハード:登録商標、Nipolon hard:NLH)、ペトロセン(ペトロセン:登録商標、Petrothene:PTS)、ハードカプセル(Hardcapsule:CPS)を使用している。下記表1には、これら使用粒子の主に物性値を示す。また、下記表2には、今回の実験条件を示す。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
(1−2−2−3)実験結果及び考察
実験結果は次のようになる。
図3は、ポリスチロールペレット(PSP)及びプラスティックペレット(PTP)について得た、Ergun式(前記(2)式)による圧力損失の理論値(計算値、縦軸の値)と本実験による実験値(横軸の値)との比較結果を示す。
図3に示すように、粒子により(ポリスチロールペレットのように)、理論値と実験値とに誤差が見られる。その一方で、管路8の管径の違いよる理論値と実験値との合致性の傾向に差はほとんど見られない。
以上のように、粒子の違いにより誤差の違いが見られ、このようなことから、誤差を発生させる主原因は、粒子の物性(形状)によるものと考えられる。
【0029】
図4は、全粒子について、直線率φと圧力損失の誤差(理論値と実験値との比(理論値/実験値))との関係を示す。
図4に示すように、全粒子について、直線率φが大きくなるほど、誤差が大きくなる(1.0から大きくかけ離れる)。これは、球形粒子の場合には、粒子同士が点接触するのに対し、直線部を有する粒子(直線率φがある値をもつ粒子)の場合には、粒子同士が面接触し、充填層内の水力半径が異なるものになるためと考えられる。このようなことから、前記(3)式及び(4)式より粒子径dを直線率φを用いて修正することで、理論値と実験値の合致性を高められると考えた。
【0030】
ここで、図5は、全粒子について、有効粒子径d´と粒子径dとの粒径比d´/dと、直線率φとの関係を示す。
図5に示す結果から、傾き、すなわち粒径比d´/dを0.645として得ることができた。これにより、修正係数Asを0.645として得ることができる(As=0.645)。そして、As=0.645とした場合、前記(7)式は、下記(8)式のようになる。
ΔP/L=150・(η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d))・U+1.75・(ρ・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d))・U ・・・(8)
【0031】
図6は、ポリエチレンペレット(PEP)ではD=26[mm]の条件とし、ポリスチロールペレット(PSP)ではD=70[mm]の条件とした場合の、前記(8)式で算出した理論値((ΔP/L)th)と実験値((ΔP/L)e)との比較結果を示す。同図中、前記(8)式により算出した理論値((ΔP/L)th)は、修正している値(Modify)値として示されており、前記(2)式により算出した理論値((ΔP/L)th)は、修正していない値(Not modify)として示されている。
【0032】
図6に示すように、修正Ergun式では、修正前のErgunの式による理論値との比較(図3参照)で、誤差が大きく改善されており、直線率を考慮することで、修正Ergun式から得られる値が、実験値に近い値として得られるのがわかる。すなわち、前記(8)式による圧力損失の算出精度が高くなっている。同様に、全粒子、全条件おいて誤差を軽減することができた。
【0033】
(1−2−3)管直径D等を考慮した修正Ergun式
(1−2−3−1)管直径Dを考慮した修正Ergun式
下記(9)式は、圧力損失に対して壁面(管直径D)の影響を考慮したErgun式として知られている。
ΔP/L=150・(1+2・d/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・d)・U+1.75・ρ・(1−ε)/(ε・d)・U ・・・(9)
そして、この(9)式を粒子径を考慮した下記(10)式に修正して、すなわち、粒子径dに、前記(6)式の直線率φを用いた粒子径d´を代入して、下記(10)式により圧力損失ΔP/Lを算出する。
ΔP/L=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d)・U+1.75・ρ・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d)・U ・・・(10)
【0034】
(1−2−3−2)粒子の速度を考慮した修正Ergun式
粒子の速度も考慮することで、プラグ輸送における管路の圧力損失ΔP/Lを算出することができる。プラグ輸送は、管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送するものである。
この場合、前記(10)式において、空気速度Uを、空気と粒子との相対速度又はすべり速度Usp(=U−u)に置き換えることで、下記(11)式によりプラグ輸送における圧力損失ΔP/Lを算出できる。
ΔP/L=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d)・(U−u)+1.75・ρ・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d)・(U−u ・・・(11)
ここで、uは粒子の速度である。
【0035】
なお、相対速度又はすべり速度Usp(=U−u)に置き換えた場合、Ergun式自体では、下記式のようになる。
ΔP/L=150・(η・(1−ε)/(ε・d)・(U−u)+1.75・ρ・(1−ε)/(ε・d)・(U−u
さらに、管直径Dを考慮したErgun式の場合には、下記式のようになる。
ΔP/L=150・(1+2・d/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・d)・(U−u)+1.75・ρ・(1−ε)/(ε・d)・(U−u
【0036】
(1−3)プラグ輸送における圧力損失
(1−3−1)プラグの圧力損失
一方、輸送安定状態のプラグ輸送の形態に着目すると、その輸送安定状態のプラグ輸送では、管断面全体を粒子が塞いでいるプラグ(plug)と、そのプラグの前方及び後方の管底に形成された粒子の静止堆積層(Stationarybed)とが形成された形態を示す。すなわち、輸送安定状態のプラグ輸送では、プラグと静止堆積層とが交互に観察される。
【0037】
このような形態をなすプラグ輸送では、プラグ前端から該プラグ内にその直前に形成されている静止堆積層から粒子を取り込み、プラグ後端から同量の粒子をその直後に形成されている静止堆積層に吐き出している。例えば、文献「Konrad,K., Prediction of the pressure drop for horizontal dense phase pneumaticconveying of particles, Proceedings of 5th conference BHRA Fluid engineering,Paper E1 (1986), pp.225-244」(以下、参照文献1という。)や、文献「Artur J. Jaworski, TomaszDyakowski, Investigations of flow instabilities within the dense pneumaticconveying system, Powder Technology, Vol.125, (2002), pp.279-291」(以下、参照文献2という。)には、そのような現象が開示されている。
【0038】
図7は、水平管における輸送安定状態のプラグ輸送を示す。
図7に示すように、輸送安定状態のプラグ輸送は、詳しくは、プラグPGと静止堆積層SBとの間に、体積が徐々に変化する粒子層(同図で点線で囲まれた部分)EXPGが存在している。ここで、管路の断面全体を粒子で塞いでいるプラグの長さをプラグ長さlとし、該スラグの端部に形成されている粒子層(以下、プラグ端部という。)EXPGの体積を管断面積Aで除した長さを粒子層長さlexとする。そして、長さlのプラグPGは粒子が相互に固定された状態、つまり一塊で輸送されるとし、プラグ内の粒子速度uは主流及び半径方向の位置にかかわらず一定値と仮定する。さらに、長さlexのプラグ端部EXPG内の粒子は、静止堆積層SBからプラグPGまでの間に等加速度で移動するとし、プラグ端部EXPG内の平均粒子速度を0.5uとする。
【0039】
ここで、長さlのプラグPG内において、流れ方向xにおける長さdxの微小部分に作用する力の釣合いを考える。xだけの関数として全応力を仮定すると、下記(12)式を導くことができる。
dP/dx+dσ/dx+4・τ/D=0 ・・・(12)
ここで、図7に示すように、σは流れ方向の粒子相互応力、Pは空気圧力、τは壁面摩擦応力、Dは管内径である。
また、参照文献1では、流れ方向xに直交する半径方向rの粒子相互応力σに関し、σ>σとなる受動的崩壊において、下記(13)式〜(16)式を導いている。
σ=K・σ+(K+1)・c・cosφcos(ω+φ) ・・・(13)
=(1+sinφcos(ω+φ))/(1−sinφcos(ω+φ)) ・・・(14)
sinω=sinφ/sinφ ・・・(15)
tanφ=μ ・・・(16)
ここで、Kは粒子群の内部摩擦係数であり、受動的崩壊を示す係数、φは内部摩擦角(安息角)、cは粒子同士粘着力である。
【0040】
次に、プラグの重さによる管壁への応力Pを考える。
参照文献1に加え、文献「R.Pan, P.W.Wypych, Pressure drop and slug velocity in low-velocitypneumatic conveying of bulk solids, Powder Technology, Vol.94 (1997),pp.123-132」(以下、参照文献3という。)や文献「Tsuji, Y., Pneumatic transportation basic inJapanese, Yokendo (1984), pp.114-136」(以下、参照文献4という。)では、静水圧理論を適用し、プラグの重さによる管壁への応力Pを得ている。
これに対して、本願発明者は、粒子群が固体であることを考慮し、プラグ重さを管壁表面積で除した値がプラグの重さによる管壁への応力Pになるとして、下記(17)式を導いている。
=((1/4)・ρ・π・D・g・dx)/(π・D・dx)=1/4・ρ・g・D ・・・(17)
ここで、ρはかさ密度(バルク密度)である。
【0041】
また、プラグが剛体に近い状態で輸送される場合、粒子は受動的崩壊に従う(前記参照文献1参照)。そこで、前記(17)式を、前記(13)式にそのまま加えることができるとすると、下記(18)式を導くことできる。
σ=K・σ+(K+1)・c・cosφcos(ω+φ)+1/4・ρ・g・D ・・・(18)
さらに、輸送安定状態であれば、プラグ内の圧力損失は一定であると考えることができる。故に、前記(12)式及び(18)式並びにクーロンの法則を用い、σについて積分して、下記(19)式を導くことができる。
σ=k・exp(−4・μ・K・x/D)−(ΔP/l)・(D/(4・μ・K))−((K+1)・c・cosφcos(ω+φ)/K)−(ρ・g・D/(4・K))−(C/(μ・K)) ・・・(19)
ここで、kは積分定数、ΔPはプラグ前後の圧力差、μは摩擦係数、Cは管壁と粒子との粘着力である。
【0042】
参照文献1に加え、文献「Janssen, H.A., Versuche uber Getreidedruck in Silozellen,Z.ver.deut.Ing., 39, 1045(1895. In German)」(以下、参照文献5という。)の解析結果から、プラグ前後端(x=0,l)においてσをプラグ前端の応力Fとしている(σ=F)。故に、前記(19)式を、下記(20)式として導くことができる。
ΔP/l=(4・μ・K・F/D)+(4・μ・(K+1)・c・cosφcos(ω+φ)/D)+ρ・g・μ+(4・C/D) ・・・(20)
【0043】
次に、プラグ前端の応力Fについて考える。
参照文献1では、静止堆積層とプラグ(長さlの部分)との運動量の差よりプラグ前端応力Fを得ている。ところが、静止堆積層とプラグとの間にはプラグ端部(長さlexの部分)があるため、参照文献1で得ているプラグ前端応力Fをそのまま適用するのは難しいと言える。そこで、本願発明者は、プラグとプラグ端部との境界における運動量の差よりプラグ前端応力Fを導いている。
【0044】
ここで、図8は、プラグ輸送における、プラグの速度Wと粒子速度uとの関係を示す。図8に示す関係から、プラグ前端応力Fを下記(21)式として導くことができる。
F=l/2・G/A・u ・・・(21)
ここで、Gは、単位時間当たりにプラグ内に取り込まれ、吐き出される粒子の質量である。プラグ前後端において粒子の吸い込みと吐き出しがあるため、粒子速度uとプラグ速度Wとは異なる。よって、図8に示す関係から、質量Gは下記(22)式として表すことができる。
=A・ρ・(W−u) ・・・(22)
【0045】
また、文献「Brooke Benjamin, T., Gravity currents and related phenomena, The Journalof Fluid Mechanics, Vol.31, Part2, section3(1968), pp.209-248」(以下、参照文献6という。)で提唱されている水平管における気液二相流理論を、プラグ速度Wと粒子速度uとの関係に適用することで、下記(23)式を導くことができる。
=u+0.542・√(g・D) ・・・(23)
そして、前記(21)式〜(23)式により、下記(24)式を導くことができる。
F=0.271・ρ・u・√(g・D) ・・・(24)
さらに、非粘着性粒子を考えて、
=C=0 ・・・(25)
とすることで、前記(24)式及び(25)式を用いて、前記(20)式から下記(26)式を導くことができる。
ΔP/l=μ・ρ・g+1.084・μ・K・ρ・u・√(g/D) ・・・(26)
この(26)式において、右辺第1項は、粒子にかかる重力による圧力損失の項であり、右辺第2項は、粒子流動による圧力損失の項である。
【0046】
(1−3−2)修正Ergun式を導入したプラグ内粒子速度の式
次に、プラグ内の粒子の速度uを算出する。
前記(26)式及び前記(11)式から、下記(27)式を導くことができる。
−(a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))・u+a・U/(b・ρ)+U−μ・ρ・g/(b・ρ)=0 ・・・(27)
ここで、a及びbは下記(28)式及び(29)式のようになる。
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d) ・・・(28)
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d) ・・・(29)
【0047】
また、前記(27)式によれば、粒子速度uに関し2つの解が得られるが、大きい方の値は、負のすべり速度を与えるため、粒子速度uとして、小さい方の値を用いる。これにより、修正Ergun式((11)式)を導入した粒子速度式として、下記(30)式を導くことができ、下記(30)式から粒子速度uを導くことができる。
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−μ・ρ・g/(b・ρ))) ・・・(30)
ここで、修正Ergun式((11)式)自体が、前述のように、高い精度で圧力損失を算出できるものであるから、その修正Ergun式を導入して得た前記(30)式も、高い精度で粒子速度uを算出できる。
【0048】
(1−3−3)プラグ輸送における圧力損失
プラグ輸送における圧力損失は、次のようになる。
プラグ輸送では、粒子の塊であるプラグだけでなく空気の塊であるスラグもあるため、この部分も含めた圧力損失の式へ拡張を行う必要がある。ここで、管内に存在する総プラグ長さLと管長Lとの関係は、近似式として下記(31)式のように表せる。
=Ms・L/(A・ρ・u) ・・・(31)
ここで、Msは粒子質量流量である。
【0049】
このとき、空気スラグの圧力損失はプラグのそれと比べ非常に小さいため、空気スラグの圧力損失を無視できる。すなわち、プラグ輸送による圧力損失はプラグの圧力損失が支配的になる。このようなことから、プラグの圧力損失を算出するための前記(26)式におけるlをLに置き換えて、該(26)式に前記(31)式を代入することで、水平管におけるプラグ輸送の圧力損失予測式として、下記(32)式を導くことができる。
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・μ・ρ+1.084・μ・K・ρ・u・√(g/D)) ・・・(32)
【0050】
なお、この(32)式を導く過程で用いている前記(23)式は、水平管における気液二相流理論を前提とするものであるから、この(32)式から得られるプラグ輸送の圧力損失は水平管の値を示す。
そして、前記(30)式で算出した粒子速度uを用いて、前記(32)式により、最終的に、圧力損失を算出する。このとき、前記(30)式による粒子速度uの算出精度が高いことから、前記(32)式による圧力損失の算出精度も高くなる。
【0051】
(1−4)検証結果
前記水平管におけるプラグ輸送の圧力損失予測式を、実験により検証した。その検証結果は次のようになる。
(1−4−1)実験装置及び実験方法
図9は、実験装置を示す。
図9に示すように、空気源にエアーコンプレッサ21を使用し、その圧縮空気を溜めるためにエアーチャンバ22を使用している。エアーチャンバ22には、輸送管23が接続されており、輸送管23には、エアーチャンバ22の下流に位置するように、圧縮空気を減圧するための減圧弁24が設けてある。さらに、輸送管23には、減圧弁24の後段に、空気流量Qを測定及び調整するフローメータ25及び逆止弁26が設けてある。一方、輸送管23に粒子を送り込むために、ブロータンク28を備えている。ブロータンク28は、輸送管23に対し、逆止弁26の後段で接続されており、その粒子の供給量が、粒子供給弁29により調整可能とされている。また、レシーブタンク27には、輸送管23の終端が接続されており、バグフィルタ30を設けている。さらに、ブロータンク28に粒子輸送量Mを測定するためのロードセル31を設けている。そして、輸送管23には、ブロータンク28の接続部の後段に、所定の間隔をあけて、2つの圧力センサ32,33を設置している。
【0052】
以上のような設備において、内径D=25.6,38.0,50.0[mm]の3種類の輸送管23を用い、輸送管23の管路全てを透明なアクリル管で構成し、ライン全長を約13mとした。また、減圧弁24及び粒子供給弁29により、プラグ輸送が安定状態となる輸送条件に調整した。輸送条件は、空気速度U=1.1〜5.0[m/s]、固気質量流量比m=21〜105である。また、圧力センサ32,33により管内圧力Pを測定しており、プラグ輸送安定時において、0.05[sec.]毎、30[sec.]間、連続測定したときの平均値を最終的な管内圧力Pとした。
【0053】
また、輸送管23には、2つの圧力センサ32,33の間に撮像領域Xを設けている。撮像領域Xでは、静止堆積層からプラグ内に取り込まれる粒子速度、及びプラグ内の主流及び半径方向の粒子速度を計測している。その計測には、高速度カメラ(株式会社フォトロン製、FASTCAM-APXRS 250K)、PIV(Particle Image Velocimetry)、ビデオカメラ(ソニー株式会社製のデジタルビデオカメラ、DCR-VX2000)を用いている。高速度カメラによる撮影は、1024×1024pixels、2000fpsにて行った。PIVの検査領域を45×45pixelとし、相関係数を0.7として解析を行った。解像度は1画素0.056[mm]である。ビデオカメラの撮影速度は30fpsである。
【0054】
なお、プラグ内の粒子には回転がないことを撮影画像から確認できたため、プラグ内の粒子の回転がPIVの結果に影響しないとした。また、一部の粒子を着色して、ビデオカメラにより粒子速度uの測定している。すなわち、プラグ内において着色した粒子を特定し、その特定した時点から数フレームを進めることで、その着色した粒子の移動距離、及びフレーム数とから粒子速度uを算出している。これにより、粒子速度uの測定の他に、PIVによる粒子速度の値の妥当性を確認している。
ここで、実験に用いた粒子は、菜種(Rape seed)、ポリスチロールペレット、ポリエチレンペレット、ニポロンハード及びプラスティックペレットであり、下記表3には、それら粒子の物性値を示す。
【0055】
【表3】

【0056】
ビデオカメラによる測定については全条件(全ての粒子、全ての管内径)で行い、高速度カメラ及びPIVによる測定については、代表として内径D=38,50mmではポリエチレンペレット(PEP)、D=38[mm]ではプラスティックペレット(PTP)の条件で行った。
【0057】
(1−4−2)実験結果及び考察
実験結果は次のようになる。
図10は、PIVにより得たプラグ内の粒子の速度ベクトルVの一例(プラスティックペレット、m=62.8)を模式的に示す。速度ベクトルVは50フレーム間に得た速度ベクトルの平均値である。図10に示すように、粒子の速度ベクトルVが、全て主流方向xにのみ向き、主流に直交する方向yに向かない、といった結果を得ることができた。これは、プラグ内の粒子が、主流に直交する方向yに動かない結果を示している。
【0058】
図11は、主流方向及びy方向の粒子速度分布を示す。図11では、横軸にPIVで得た粒子速度uをとり、縦軸に管底からの距離yと管内径Dとの比y/Dをとったものを示す。
図11に示すように、y/Dにかかわらず、粒子速度uがほぼ一定であることがわかる。
ここで、文献「Tsuji, Y., Morikawa, Y., Plug flow of coarse particles in a horizontalpipe, Journal of Fluids Engineering Transactions of the ASME, Vol.104 (1982),pp.198-206」(以下、参照文献7という。)や文献「Dongming Chen, James F.Klausner, Renwei Mei, Afluid mechanics approach to describing the behavior of pneumatically conveyedpowder plugs, Powder Technology, Vol.124(2002), pp.127-137」(以下、参照文献8という。)では、プラグ内の粒子速度はy方向位置、或いは管断面位置で分布をもつと考えている。
【0059】
しかし、本実験の結果から、長さlのプラグにおける壁面部では、粒子が回転しないこと、さらには、文献「Tanaka, T.,Ishida, T., Tsuji, Y., Direct numerical simulation of granular plug flow in ahorizontal pipe (the case of cohesionless particles), Transactions of the JapanSociety of Mechanical Engineers, Series B, Vol.57, No.534(1991), pp.456-463」(以下、参照文献9という。)におけるシミュレーションによる研究結果から、壁面付近の速度と管中心付近の速度とがほぼ等しいと言えること等から、プラグ内の粒子は、管径方向の位置にかかわらず等速で動くと考えることができる。
【0060】
また、静止堆積層からプラグ内に取り込まれるまでの主流方向の粒子速度変化を検討している。主流方向位置が同じで、y方向位置が異なる検査領域をとり、各検査領域における主流方向粒子速度の時系列変化をPIVにより得た。
図12は、各検査領域における粒子速度平均値の時系列変化の一例を示す。ポリエチレンペレット、D=50[mm]及びm=40.2の条件下で結果を得ている。なお、管内を浮遊する粒子の粒子速度を除くため、撮影画像を観察しながら、管壁まで粒子が満たされている検査領域の速度の平均値を粒子速度とした。
【0061】
図12に示すように、プラグ内の粒子が流れ方向の位置にかかわらず一定の速度で動く結果を得ることができた。この図12に示す結果、前記図10及び前記図11に示す結果から、プラグ内の粒子は、主流方向及び半径方向の位置に関係なく一定の速度で動く、つまりプラグ内の粒子は、相互に固定され、一塊で輸送されていると考えられる。
さらに、図12に示すように、プラグ間の管底部に静止状態で堆積している粒子が長さlexのプラグ端部内で等加速度により移動する結果を得ることができた。このようなことから、プラグ端部における粒子速度を0.5uとしている。
【0062】
(1−4−3)圧力損失予測式の検討結果
前記(30)式(プラグ内粒子速度式)、前記(32)式(圧力損失予測式)の実用性に関する検討を行った。併せて、参照文献1、3、4並びに文献「B.Mi,P.W.Wypych, Pressure drop prediction in low-velocity pneumatic conveying,Powder Technology, Vol. 81 (1994), pp.125-137」(以下、参照文献10という。)及び文献「A.B.Aziz andG.E.Klinzing, Dense phase plug flow transfer-The 1-inch horizontal flow-,Powder Technology, Vol. 62 (1990), pp.41-49」(以下、参照文献11という。)で開示されている式についても検討を行った。
【0063】
図13〜図18は、横軸に空気速度Uをとり、縦軸に粒子速度u又はプラグ輸送における圧力損失ΔP/Lに関しての計算値と実験値との比をとっている。計算値と実験値との比において粒子速度uに関する比をαとして示し、圧力損失ΔP/Lに関する比をβとして示している。図13は参照文献1から得られる結果であり、図14は参照文献3から得られる結果であり、図15は参照文献4から得られる結果であり、図16は参照文献10から得られる結果であり、図17は参照文献11から得られる結果であり、図18は、本発明に係る結果であり、前記(30)式及び(32)式を用いて得た結果である。
【0064】
ここで、粒子速度uを多くの値の平均値として得ていること、及びPIVを用いた前記図11及び図12の結果からプラグ内では位置によらず粒子速度uが変わらないことから、ビデオカメラにより粒子速度uを得ている。また、圧力損失ΔP/Lの計算で必要となる粒子速度uは、前記参照文献1、3、4、10、11で導かれている式で計算した値とした。
なお、参照文献11では、粒子速度に関する式がないため、参照文献11の結果に関しては、粒子速度uに関して、計算値と実験値との比較は行わず、また、圧力損失ΔP/Lの算出には、実験値の粒子速度uを用いた。
また、参照文献3、10では、粒子速度uではなくプラグ速度Wの式を導いているため、プラグ速度Wを用いて前記(23)式により粒子速度uを算出し、実験値との比較を行った。また、計算に必要な空気密度ρには、管内圧より得られる実験値を用いた。
【0065】
ここで、参照文献1、3、4、10、11の式では、粒子の重さについて静水圧理論を適用している点、及びプラグ前端応力Fの算出に、参照文献11では、空気速度Uとプラグ速度Wとの差を用いている点、その他の参照文献1、3、4、10では、静止堆積層の粒子とプラグ内の粒子の速度差を用いている点が、本発明に係る式と異なっている。また、参照文献1では、空気と粒子との相対速度(すべり速度)Uspに空塔粒子速度を導入している点、参照文献3、10では、プラグを主動的崩壊として考えている点、及び参照文献3では、相対速度Uspを空気速度Uとプラグ速度Wとの差と考えている点が、本発明に係る式と異なっている。
【0066】
図13(a)に示すように、参照文献1の場合、αは、0.6〜1.5に分布しており、粒子速度uが計算値と実験値とで誤差が大きくなっている。これは実在しない空塔粒子速度を相対速度USPへ適用したための誤差と考えられる。
また、図13(b)に示すように、空気速度U=2.0〜3.0[m/s]では、D=38[mm]で、かつポリエチレンペレット、プラスティックペレット及び菜種の場合、βは、1.0に近い値になり、計算値と実験値とに合致性が見られる。しかし、他の条件(他の粒子等)では合致性が見られない。さらに、βが1.0より大きくなっている。この結果から参照文献1から得られる圧力損失は、実際の値より大きく見積もっていることになり、参照文献1の式は、特定の粒子及び輸送条件にしか適用できないと言える。
【0067】
図14(a)及び(b)に示すように、参照文献3の場合、菜種を除き、U>3.0[m/s]では、α及びβともに、1.0に近い値になり、粒子速度u及び圧力損失ΔP/Lがともに、計算値と実験値とに合致性が見られる。しかし、U<3.0[m/s]では、α及びβがともに、1.0からかけ離れており、計算値と実験値との誤差が大きくなっている。これは、相対速度USPを空気速度Uとプラグ速度Wとの差として考えているためである。空気速度Uが大きくなると、粒子速度uが大きくなり、プラグ速度Wも大きくなる。このとき、前記(23)式の右辺第2項0.542・√(g・D)の影響が小さくなる。ところが、空気速度Uが小さい場合、0.542・√(g・D)の影響が大きくなり、計算値と実験値との間に誤差が生じたと考えられる。故に、相対速度USPは、空気速度Uとプラグ速度Wとの差とは考え難いと言える。
【0068】
図15(a)及び(b)に示すように、参照文献4の場合、αが1.0より小さく、βが2.0前後の値になっている。これは、静水圧理論を適用した重力による圧力損失への影響のため、さらには、静止堆積層の粒子とプラグ内の粒子の速度差で考えた応力Fによる圧力損失を、実際の値より大きく見積もっているためと考えられる。
図16(a)及び(b)に示すように、参照文献10の場合、α及びβは1.0からかけ離れており、計算値と実験値とで全く異なる傾向を示している。参照文献11では、粒子速度uに関し、特定条件で得た実験値から空気速度Uとの関係式を導いており、応用性がないために、このように、計算値と実験値とが全く異なるものになったと考えられる。
【0069】
図17に示すように、参照文献11の場合、βは1.0からかけ離れており、圧力損失ΔP/Lが、計算値と実験値とで全く合致性が見られない。この結果より、粒子流動による圧力損失は、空気速度Uとプラグ速度Wとの差として考え難いと言える。
以上のように、各研究者(参照文献1、3、4、10、11)が得た粒子速度u及び圧力損失ΔP/Lに関し、計算値と実験値とに誤差が生じる結果となっている。
【0070】
一方、本発明に係る式により得た結果では、図18(a)及び(b)に示すように、粒子の種類、管内径D及び空気速度U等の輸送条件にかかわらず、α及びβは、ほぼ1.10から0.90の範囲内に収まっている。このように、計算値が実験値に対して±10%の誤差範囲内に収まっていることから、前記(30)式及び前記(32)式は適用範囲の広い式となっている。これは、本発明における、相対速度USPの取り方、重力による圧力損失への影響の考え方、及びプラグ前端応力Fの決定方法が適切であるためと考えられる。
さらに、前記(32)式に関し、重力及び粒子流動それぞれに起因する圧力損失の見積り方の妥当性についても検討した。
【0071】
図19は、横軸に粒子速度uをとり、縦軸にプラグ内圧力損失ΔP/Lをとっている。
図中のプロット点は、測定した圧力変化分ΔPを、前記(31)式のLで除した値である。また、前記(31)式中の粒子速度uには実験値を用いた。一方、図中の実線は、前記(31)式を(31)式で割り算し、下記(33)式として得られる予測線である。
ΔP/L=μ・ρ・g+1.084・μ・K・ρ・u・√(g/D) ・・・(33)
【0072】
ここで、前記(33)式において、右辺第1項は、粒子の重力による圧力損失を表し、右辺第2項は、プラグ前後の粒子吸込みと吐出しを伴う粒子流動による圧力損失を表す。そして、前記(33)式中の粒子速度uには、前記(30)式による算出値を用いた。また、図19において、予測線((33)式)のy切片は重力による圧力損失を表し、予測線の傾きは粒子流動による圧力損失を表す。
図19に示すように、前記(33)式により得られる予測式の値と実験値とが全ての粒子の種類、全て管内径D及び全て輸送条件において、ほぼ一致している結果となっている。よって、圧力損失予測式である前記(32)式は、重力による影響及び粒子流動による影響の何れについても正確に見積もっており、応用性が高く、圧力損失の算出精度が高い式であると言える。
【0073】
(2)本発明の実施形態
以上のような技術を前提とした実施形態は次のようになる。
実施形態は、本発明を適用した圧力損失演算システムである。
(2−1)構成
図20は、圧力損失演算システムの構成を示す。例えば、粒子を空気により輸送する空気輸送プラント(プラグ輸送プラント)における圧力損失演算システムである。また、圧力損失から、空気輸送プラントで必要な動力を算出している。
図20に示すように、圧力損失演算システムは、粒子画像取得部41、直線率算出部42、データ取得部43、ライン仕様取得部44、粒子速度算出部45、圧力損失算出部46、動力算出部47及び出力部48を備えている。
【0074】
図20は、圧力損失演算システムによる処理手順を示す。この処理により、ライン仕様における圧力損失及び動力を算出している。図20の処理手順に沿って、圧力損失演算システムを構成する各構成部41〜47の処理内容を説明する。
図20に示すように、処理を開始すると、先ずステップS1〜ステップS6において粒子画像取得部41、直線率算出部42及びデータ取得部43が各種データを取得する。
すなわち、ステップS1では、圧力損失の算出対象又は輸送対象となる粒子を選択又は取得する。
【0075】
続いてステップS2及びステップS3において、データ取得部43は、前記ステップS1で取得した粒子の粒子密度ρ及び粒子質量Mを測定する。例えば、粒子の物性値からなるテーブル又はデータベースを参照して、前記ステップS1で選択した粒子の密度ρを取得する。そして、ステップS4において、データ取得部43は、その測定により得た粒子密度ρ及び粒子質量Mを基に、粒子の球相当径dを算出する。そして、ステップS7に進む。
【0076】
一方、ステップS5において、粒子画像取得部41は、前記ステップS1で取得した粒子の2次元画像を撮像装置(カメラ等)を用いて取得する。ここでは、相当数(例えば100粒)をランダムに10方向から撮影して、2次元投影画像(例えば100×10パターンの2次元投影画像)を得る。
続いてステップS6において、直線率算出部42は、直線率φを算出する。具体的には、直線率算出部42は、前記ステップS5で取得した相当数の粒子についての2次元投影画像から、粒子の外周長Ls及び直線部の長さLiを測定して、それら測定した外周長Ls及び直線部の長さLiを用いて、前記(5)式により直線率φを算出する。そして、ステップS7に進む。なお、直線率算出部42では、例えば画像解析システム又はソフトや、手作業により粒子の外周長Ls及び直線部の長さLiを測定している。
【0077】
例えば、以上のステップS1〜ステップS6で得た値をメモリ等の記憶手段に記憶しておく。
ステップS7では、データ取得部43は、物性に関するデータを確認する。ここで、確認する物性に関するデータは、後述の粒子速度u等の算出のために必要なデータを構成する。具体的には、データ取得部43は、充填層(管路)の空隙率ε、かさ密度ρ、管内径D、安息角φ及び摩擦係数μを確認(取得)する。空隙率ε、かさ密度ρ、管内径D、安息角φ及び摩擦係数μは、テーブル又はデータベースとされて、メモリ等の記憶手段に記憶されている値である。なお、安息角φは、粒子がくずれずに安定する最大傾斜角である。
【0078】
続いてステップS8において、ライン仕様取得部44は、ライン仕様を確認(取得)する。具体的には、ライン仕様取得部44は、ライン仕様として、粒子輸送量Ms及び空気質量流量Maを確認する。例えば、メモリ等の記憶手段に記憶されている、ライン仕様からなるテーブル又はデータベースを参照して、粒子輸送量Ms及び空気質量流量Maを確認する。
続いてステップS9において、粒子速度算出部45は、先に得ている直線率φ等のデータを用いて、前記(30)式によりプラグ内の粒子速度uを算出する。ここで、必要なデータをメモリ等の記憶手段に記憶されているデータベース等から取得して、粒子速度uを算出する。
【0079】
続いてステップS10において、圧力損失算出部46は、先に得ている粒子輸送量Msや前記ステップS9で算出した粒子速度u等を用いて、プラグ輸送の圧力損失予測式である前記(32)式によりプラグ輸送における圧力損失ΔP/Lを算出する。
続いてステップS11において、動力算出部47は、前記ステップS10で算出した圧力損失ΔP/Lを用いて、下記(34)式により輸送プラント等における動力Lを算出する。
=ΔP/L・L・Q ・・・(34)
ここで、Qは空気体積流量である(Q=Ma/ρ)。
続いてステップS12において、出力部48は、前記ステップS11で算出した動力Lに基づいて出力処理を行う。例えば、前記ステップS11で算出した動力Lを基に、輸送プラントの設計変更(例えばポンプ出力、管路長、管径等の変更)をしたり、ポンプ等の動力源の運転変更(動力制御等)をしたりする。
【0080】
(2−2)動作、作用及び効果は次のようになる。
空気輸送プラントにおいて輸送対象となる粒子を取得し(前記ステップS1)、その取得した粒子の粒子密度ρ及び粒子質量Mを測定する(前記ステップS2、ステップS3)。そして、測定により得た粒子密度ρ及び粒子質量Mを基に、粒子の球相当径dを算出する(前記ステップS4)。また、相当数の粒子について、2次元画像を取得して、その取得した2次元画像から、直線率φを算出する(前記ステップS5、ステップS6)。さらに、充填層(管路)の空隙率ε及びかさ密度ρ等を確認(取得)する(前記ステップS7)。
【0081】
そして、ライン仕様の粒子輸送量Ms及び空気質量流量Maを確認(取得)し(前記ステップS8)、続いて、前記(30)式によりプラグ内粒子速度uを算出し、その算出したプラグ内粒子速度u等を用いて、前記(32)式によりプラグ輸送における圧力損失ΔP/Lを算出する(前記ステップS9、ステップS10)。そして、算出した圧力損失ΔP/Lを用いて、前記(34)式により輸送プラント等における動力Lを算出し、算出した動力Lに基づいて出力処理を行う(前記ステップS11、ステップS12)。
【0082】
以上のような処理により、粒子を輸送する空気輸送プラント(圧力損失演算システム)では、ライン仕様に対応した動力を算出できる。ここで、前記(32)が最適な圧力損失予測式として導出されているので、すなわち前記(8)式〜(11)式の算出精度が高いので、この処理における圧力損失の算出精度は高いとものとなる。よって、このように算出した圧力損失に基づく輸送ラインの動力の算出精度は高いものとなる。
【0083】
また、圧力損失の算出に必要な粒子速度uを演算により導き出している(前記(30)式)。例えば、粒子速度uを測定(実験)により得ようとした場合には、圧力損失の算出過程での工数が多くなる。さらに、測定で得た粒子速度uを用いて算出された圧力損失は、その測定誤差の影響を受けてしまう。しかし、粒子速度uを演算により導き出すことで、実験が不要となり、実験設備も不要となる。さらに、圧力損失が測定誤差の影響を受けてしまうこともない。
【0084】
また、測定により粒子速度uを得る場合には、測定装置等の制約から得られる粒子速度uは制限されるが、測定を介在させることなく粒子速度uを得ることができることで、広い範囲で粒子速度uを得ることができ、圧力損失の算出式の適用範囲を広くできる。
また、プラグ輸送は、高速かつ衛生的に粉粒体を輸送できる、人件費最小で可動できる、及び管路摩擦や粒子破損を防止して粉粒体を輸送できる、等といった多くのメリットがあり、本発明は、その有用性を高めることができる。
【0085】
なお、前記実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、前記実施形態では、管路が水平に配置されている水平管のプラグ輸送における圧力損失を算出している。しかし、他の設置形態の管路についても、プラグ輸送における圧力損失を算出することもできる。例えば、管路が鉛直に配置されている鉛直管のプラグ輸送における圧力損失を算出することもできる。この場合、次のようになる。
【0086】
鉛直管のプラグ輸送の基本的な考え方は、前述の水平管のプラグ輸送と同じであるが、一方で、鉛直管のプラグ輸送では、プラグ前端において落下粒子をプラグ内に取り込む粒子流動がある。このようなことから、鉛直管のプラグ輸送では、長さlのプラグPG内において、流れ方向yにおける長さdyの微小部分に作用する力の釣合いを考えると、前記(12)式に対応するものとして、下記(35)式を導くことができる。
dP/dy+dσ/dy+4・τ/D+ρ・g=0 ・・・(35)
【0087】
また、鉛直管のプラグ輸送では、プラグの重さによる壁面への応力を考慮する必要がないことから、すなわち前記(17)式を考慮する必要がないことから、粒子相互応力σ_{r}を、下記(36)式として最終的に導くことができる。
σ=K・σ+(K+1)・c・cosφcos(ω+φ) ・・・(36)
そして、水平管の場合と同様、輸送安定状態であれば、プラグ内の圧力損失は一定であると考えることができる。故に、前記(35)式及び(36)式並びにクーロンの法則を用い、σについて積分して、下記(37)式を導くことができる。
σ=k・exp(−4・μ・K・y/D)+(−ρ・g+ΔP/l)・(D/(4・μ・K))−((K+1)・c・cosφcos(ω+φ)/K)−(C/(μ・K)) ・・・(37)
ここで、kは積分定数、ΔPはプラグ前後の圧力差、μは摩擦係数、Cは管壁と粒子との粘着力である。
【0088】
また、文献「Dadidson, J.F. and HArrison, D., Fluidised Particle, Camdrige UniversityPress」(参照文献12)、文献「Singh, B., Theory of Slugging Lifters, Powder Technology, 21,81-89(1978)」(参照文献13)及び文献「Baker, C.G.J. and D.Geldart, An Investingation intothe Slugging Characteristics of Large Particles, Powder Technology, 19,177-187(1978)」(参照文献14)には、鉛直管における気液二相流に対し、粘性のない液体中のスラグ上昇速度が0.35√(g・D)となる結果が示されている。この鉛直管における気液二相の結果を、水平管の場合(参照文献1、3、4、10)と同様に、プラグ速度Wとプラグ内の粒子速度uとの関係に適用すると、下記(38)式を導くことができる。
=u+0.35・√(g・D) ・・・(38)
さらに、下記(39)式を導くことができる。
F=0.35・ρ・u・√(g・D) ・・・(39)
【0089】
そして、前記実施形態における前記(32)式と同様な導出手順により、鉛直管におけるプラグ輸送の圧力損失予測式として下記(40)式を導くことができる。
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・ρ+1.4・μ・K・ρ・u・√(g/D)) ・・・(40)
なお、この(40)式は、粒子が上方に流れる場合のプラグ輸送の圧力損失予測式となる。
【0090】
さらに、前記(40)式及び前記(11)式から、水平管と同様な導出手順により、粒子速度uの算出式として下記(41)式を導くことができる。
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−ρ・g/(b・ρ))) ・・・(41)
ここで、a及びbは下記(42)式及び(43)式のようになる。
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d) ・・・(42)
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d) ・・・(43)
【0091】
図22は、前記(41)式により得た粒子速度u及び前記(40)式により得た圧力損失ΔP/Lを示すものであり、横軸に空気速度Uをとり、縦軸に粒子速度u又は圧力損失ΔP/Lに関しての計算値((40)式及び(41)式により得た値)と実験値との比α,βをとっている。
水平管の場合と同様、鉛直管の場合でも、図22(a)及び(b)に示すように、粒子の種類、管内径D及び空気速度U等の輸送条件にかかわらず、α及びβは、ほぼ1.10から0.90の範囲内に収まっている。このように、計算値が実験値に対して±10%の誤差範囲内に収まっていることから、前記(41)式及び前記(40)式も適用範囲の広い式となることがわかる。
【0092】
また、圧力損失演算システムへの適用については、前記実施形態における圧力損失演算システムにおいて、粒子速度uを算出するステップS9において前記(41)式を用い、圧力損失を算出するステップS10において前記(40)式を用いることで、鉛直管における粒子速度u及び圧力損失を算出するとともに、鉛直管におけるプラグ輸送に必要な動力を算出することができる。
【0093】
また、前記実施形態では、粒子速度uを用いて圧力損失を算出する式として、前記(32)式や(40)式を挙げている。しかし、粒子速度uを用いて圧力損失を算出するものであれば、他の式により、前記(30)式や(41)式で得た粒子速度uを用いて圧力損失を算出することもできる。この場合でも、前記(30)式や(41)式が粒子速度uの算出精度が高いので、圧力損失の算出精度を高くすることができる。
【0094】
なお、前記実施形態の説明において、粒子画像取得部41、直線率算出部42、データ取得部43及びライン仕様取得部44は、データを取得するデータ取得手段を実現しており、粒子速度算出部45は、管路内の粒子の速度uを算出する粒子速度算出手段を実現しており、圧力損失算出部46は、前記粒子速度算出手段が算出した粒子速度uに基づいて、流体に粒子を混合して輸送する水平管の管路の圧力損失を算出する圧力損失算出手段を実現している。ここで、データ取得手段が、前記粒子の球相当径d、前記管路内における空隙率ε、流体速度U、流体密度ρ、流体粘度η、管路内径D、管路内壁と粒子との摩擦係数μ、バルク密度ρ、粒子群の内部摩擦係数であり、受動的崩壊を示す係数K及び重力加速度g、並びに2次元平面に投影した前記粒子の直線部分の長さの総計を、2次元平面に投影した前記粒子の周囲長で割り算して算出した直線率φかつ、下記式、
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d
により得られる値a,bを取得し、前記粒子速度算出手段が、前記データ取得手段が取得した前記データに基づいて、下記式、
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−μ・ρ・g/(b・ρ)))
により粒子速度uを算出することを実現している。
【0095】
また、鉛直管の管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送する場合の前記管路の圧力損失を検出する場合には、下記式、
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−ρ・g/(b・ρ)))
により粒子速度uを算出することを実現している。
【0096】
また、前記実施形態の説明において、圧力損失演算システムは、圧力損失検出装置を備えたプラグ輸送プラントの動力制御装置を実現しており、動力算出部47は、前記圧力損失算出手段が算出した圧力損失に基づいて、管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送するプラグ輸送プラントの動力を算出する動力算出手段を実現しており、出力部48は、前記動力算出手段が算出した動力に基づいて、プラグ輸送プラントの動力を制御する動力制御手段を実現している。そして、前記動力算出手段が、空気流量Qにより、下記式、
=ΔP/L・L・Q
により動力Lを算出することを実現している。
【0097】
また、前記実施形態の説明において、前記圧力損失算出手段が、粒子質量流量Ms及び前記管路の断面積Aに基づいて、下記式、
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・μ・ρ+1.084・μ・K・ρ・u・√(g/D))
により管路長Lの水平管おける圧力損失ΔP/Lを算出することを実現している。
また、前記実施形態の説明において、前記圧力損失算出手段が、粒子質量流量Ms及び前記管路の断面積Aに基づいて、下記式、
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・ρ+1.4・μ・K・ρ・u・√(g/D))
により管路長Lの鉛直管における圧力損失ΔP/Lを算出することを実現している。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】直線率φの算出の説明に使用した図である。
【図2】直線率φの検出に用いた実験装置概略を示す図である。
【図3】Ergun式((2)式)で算出した理論値と実験値との比較結果を示す特性図である。
【図4】Ergun式((2)式)で算出した理論値と実験値との誤差の検証に用いた特性図である。
【図5】有効粒子径d´と粒子径dとの粒径比d´/dと、直線率φとの関係を示す特性図である。
【図6】Ergun式の修正式((8)式)で算出した理論値と実験値との比較結果を示す特性図である。
【図7】水平管における輸送安定状態のプラグの説明に使用した図である。
【図8】プラグ輸送における、プラグの速度Wと粒子速度uとの関係を示す図である。
【図9】水平管におけるプラグ輸送の圧力損失式の検証に用いた実験装置概略を示す図である。
【図10】PIVにより得たプラグ内粒子の速度ベクトルVの一例を模式的に示す図である。
【図11】主流方向及びy方向の粒子速度分布を示す特性図である。
【図12】各検査領域における粒子速度平均値の時系列変化の一例を示す特性図である。
【図13】粒子速度u及び圧力損失ΔP/Lに関しての計算値と実験値との比を示す結果であり、参照文献1から得られる結果である。
【図14】粒子速度u及び圧力損失ΔP/Lに関しての計算値と実験値との比を示す結果であり、参照文献3から得られる結果である。
【図15】粒子速度u及び圧力損失ΔP/Lに関しての計算値と実験値との比を示す結果であり、参照文献4から得られる結果である。
【図16】粒子速度u及び圧力損失ΔP/Lに関しての計算値と実験値との比を示す結果であり、参照文献10から得られる結果である。
【図17】圧力損失ΔP/Lに関しての計算値と実験値との比を示す結果であり、参照文献11から得られる結果である。
【図18】粒子速度u及び圧力損失ΔP/Lに関しての計算値と実験値との比を示す結果であり、本発明を適用して得た結果である。
【図19】粒子速度uとプラグ内圧力損失ΔP/Lとの関係を示す特性図である。
【図20】実施形態の圧力損失演算システムの構成を示すブロック図である。
【図21】圧力損失演算システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図22】粒子速度u及び圧力損失ΔP/Lに関しての計算値と実験値との比を示す結果であり、本発明を適用して得た他の結果である。
【符号の説明】
【0099】
41 粒子画像取得部、42 直線率算出部、43 データ取得部、44 ライン仕様取得部、45 粒子速度算出部、46 圧力損失算出部、47 動力算出部、48 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平管の管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送する場合の前記管路の圧力損失を推定する圧力損失推定方法において、
前記管路内の粒子の速度uを演算により推定し、その推定した粒子速度uに基づいて、流体に該粒子を混合して輸送する管路の圧力損失を推定しており、
前記粒子速度uは、前記粒子の球相当径d、前記管路内における空隙率ε、流体速度U、流体密度ρ、流体粘度η、管路内径D、管路内壁と粒子との摩擦係数μ、バルク密度ρ、粒子群の内部摩擦係数であり、受動的崩壊を示す係数K及び重力加速度g、並びに2次元平面に投影した前記粒子の直線部分の長さの総計を、2次元平面に投影した前記粒子の周囲長で割り算して算出した直線率φかつ、下記式、
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d
により得られる値a,bに基づいて、下記式、
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−μ・ρ・g/(b・ρ)))
により算出されることを特徴とする圧力損失推定方法。
【請求項2】
粒子質量流量Ms及び前記管路の断面積Aに基づいて、下記式、
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・μ・ρ+1.084・μ・K・ρ・u・√(g/D))
により管路長Lの水平管における圧力損失ΔP/Lを推定することを特徴とする請求項1に記載の圧力損失推定方法。
【請求項3】
鉛直管の管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送する場合の前記管路の圧力損失を推定する圧力損失推定方法において、
前記管路内の粒子の速度uを演算により推定し、その推定した粒子速度uに基づいて、流体に該粒子を混合して輸送する管路の圧力損失を推定しており、
前記粒子速度uは、前記粒子の球相当径d、前記管路内における空隙率ε、流体速度U、流体密度ρ、流体粘度η、管路内径D、管路内壁と粒子との摩擦係数μ、バルク密度ρ、受動的崩壊を示す粒子群の内部摩擦係数K及び重力加速度g、並びに2次元平面に投影した前記粒子の直線部分の長さの総計を、2次元平面に投影した前記粒子の周囲長で割り算して算出した直線率φかつ、下記式、
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d
により得られる値a,bに基づいて、下記式、
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−ρ・g/(b・ρ)))
により算出されることを特徴とする圧力損失推定方法。
【請求項4】
粒子質量流量Ms及び前記管路の断面積Aに基づいて、下記式、
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・ρ+1.4・μ・K・ρ・u・√(g/D))
により管路長Lの鉛直管における圧力損失ΔP/Lを推定することを特徴とする請求項3に記載の圧力損失推定方法。
【請求項5】
水平管の管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送する場合の前記管路の圧力損失を検出する圧力損失検出装置において、
データを取得するデータ取得手段と、
前記管路内の粒子の速度uを算出する粒子速度算出手段と、
前記粒子速度算出手段が算出した粒子速度uに基づいて、流体に粒子を混合して輸送する水平管の管路の圧力損失を算出する圧力損失算出手段と、を備え、
前記データ取得手段は、前記粒子の球相当径d、前記管路内における空隙率ε、流体速度U、流体密度ρ、流体粘度η、管路内径D、管路内壁と粒子との摩擦係数μ、バルク密度ρ、粒子群の内部摩擦係数であり、受動的崩壊を示す係数K及び重力加速度g、並びに2次元平面に投影した前記粒子の直線部分の長さの総計を、2次元平面に投影した前記粒子の周囲長で割り算して算出した直線率φかつ、下記式、
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d
により得られる値a,bを取得し、
前記粒子速度算出手段は、前記データ取得手段が取得した前記データに基づいて、下記式、
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.084・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−μ・ρ・g/(b・ρ)))
により粒子速度uを算出することを特徴とする圧力損失検出装置。
【請求項6】
前記圧力損失算出手段は、粒子質量流量Ms及び前記管路の断面積Aに基づいて、下記式、
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・μ・ρ+1.084・μ・K・ρ・u・√(g/D))
により管路長Lの水平管における圧力損失ΔP/Lを算出することを特徴とする請求項5に記載の圧力損失検出装置。
【請求項7】
鉛直管の管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送する場合の前記管路の圧力損失を検出する圧力損失検出装置において、
データを取得するデータ取得手段と、
前記管路内の粒子の速度uを算出する粒子速度算出手段と、
前記粒子速度算出手段が算出した粒子速度uに基づいて、流体に粒子を混合して輸送する鉛直管の管路の圧力損失を算出する圧力損失算出手段と、を備え、
前記データ取得手段は、前記粒子の球相当径d、前記管路内における空隙率ε、流体速度U、流体密度ρ、流体粘度η、管路内径D、管路内壁と粒子との摩擦係数μ、バルク密度ρ、粒子群の内部摩擦係数であり、受動的崩壊を示す係数K及び重力加速度g、並びに2次元平面に投影した前記粒子の直線部分の長さの総計を、2次元平面に投影した前記粒子の周囲長で割り算して算出した直線率φかつ、下記式、
a=150・(1+2・d・(1−0.645・φ)/(3・D・(1−ε)))・η・(1−ε)/(ε・((1−0.645・φ)・d
b=1.75・(1−ε)/(ε・(1−0.645・φ)・d
により得られる値a,bを取得し、
前記粒子速度算出手段は、前記データ取得手段が取得した前記データに基づいて、下記式、
=1/2(a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−1/2・√((a/(b・ρ)+2・U+1.4・μ・K・ρ・√(g/D)/(b・ρ))−4・(a・U/(b・ρ)+U−ρ・g/(b・ρ)))
により粒子速度uを算出することを特徴とする圧力損失検出装置。
【請求項8】
前記圧力損失算出手段は、粒子質量流量Ms及び前記管路の断面積Aに基づいて、下記式、
ΔP/L=Ms/(A・ρ・u)・(g・ρ+1.4・μ・K・ρ・u・√(g/D))
により管路長Lの鉛直管における圧力損失ΔP/Lを算出することを特徴とする請求項7に記載の圧力損失検出装置。
【請求項9】
請求項5〜8の何れか1項に記載の圧力損失検出装置を備えたプラグ輸送プラントの動力制御装置であって、
前記圧力損失算出手段が算出した圧力損失に基づいて、管路内を流れる流体に粒子を混合して、前記粒子を輸送するプラグ輸送プラントの動力を算出する動力算出手段と、
前記動力算出手段が算出した動力に基づいて、プラグ輸送プラントの動力を制御する動力制御手段と、を備え、
前記動力算出手段は、空気流量Qにより、下記式、
=ΔP/L・L・Q
により動力Lを算出することを特徴とするプラグ輸送プラントの動力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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