説明

圧力表示装置

【課題】 取り扱いが容易でかつ安価で安定な膣の圧力および筋電流の表示装置を提供する。
【解決手段】 あらかじめ流体を挿入容器に充填することにより空気ポンプおよびホースを省略する。また無線通信手段を用いることにより接続ケーブルを省略する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は女性の尿失禁治療における膣筋肉の強化訓練に際して、患者に対して目標とする膣の圧力を提示し、患者はその目標値となるように筋肉を緊張させ、実際の圧力を目標値と比較表示して訓練を行う際に使用する膣の圧力表示装置に関する。
【発明の詳細な説明】

【発明が解決しようとする課題】
【0002】
従来のこの種の装置は筋肉の緊張度を表示するのに筋電流の大きさを表示していた。しかし患者によっては筋電流が膣の圧力に対応しない症状の場合もある。
【0003】
さらに筋電流を検出するため高価になる。
【0004】
さらに検出部と表示部を接続するケーブルがあるため煩わしい。
【0005】
また空気圧を用いて膣の圧力を表示する装置もあるが、すべて空気ポンプやホースが付属して煩わしく高価である。
【0006】
さらに空気ポンプやホースは空気の漏れが大きく、使用中に圧力を調節する必要があり煩わしくまた定常圧力が変動するため不安定である。
【0007】
さらに空気は柔軟で使用に際し違和感がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は膣に挿入する中空の挿入容器に流体を充填し、その流体の圧力を検出することにより膣の圧力を表示するものであるが、使用中に流体をポンプで注入するのではなく製造時又は使用前にあらかじめ流体を充填しポンプおよびホースを省略して取り扱いやすくかつ安価にしたものである。
【0009】
請求項2の発明は挿入部に充填する流体を液体として挿入部に適度な硬度を持たせ使用時の違和感を減少するものである。
【0010】
請求項3の発明は流体の圧力と同時に筋電流を検出表示して訓練の効果をより高めるものである。
【0011】
請求項4および請求項5の発明は挿入部および検出部と表示部の間を無線通信手段で接続して接続ケーブルを省略する事により患者の利便性を高めるものである。
【実施例】
【0012】
図1に本発明の基本的な実施例を示す。挿入部1は膣に挿入するのに適した形状を持ち、柔軟な中空の挿入容器と内部に充填された流体で構成され適度な硬度を保持する。
【0013】
この挿入部1を患者の膣に挿入して患者が圧力を加えるとその圧力は内部に充填された流体に伝達され、さらに検出部20に収容された圧力センサーにより電気信号に変換され、同じく検出部20に収容された圧力信号処理回路により適当な電気信号に変換されてケーブル40を駆動する。
【0014】
表示部30は圧力表示器50を収納し、ケーブル40に接続される。
【0015】
この構成により挿入部1に加えられた膣の圧力は圧力表示器50により表示され、患者自身がその圧力を知ることが出来る。
【0016】
図2に圧力と同時に筋電流を検出する場合の構成を示す。
【0017】
挿入部1には一対の筋電流検出電極100が装着される。
【0018】
この筋電流検出電極100の素材は薄く柔軟性のある網状の導体が望ましい。
【0019】
筋電流検出電極100に発生した筋電流信号は検出部20に収容された筋電流信号処理回路により適当な電気信号に変換されてケーブル40を駆動する。
【0020】
表示部30は圧力表示器50と同時に筋電流表示器110を収納しケーブル40に接続される。
【0021】
この構成により圧力と同時に筋電流が表示され、患者は膣の筋肉の緊張を有効に圧力に変換するような筋肉の緊張方法を習得出来る。
【0022】
以下膣の圧力と筋電流を同時に検出する場合を示すが、圧力のみの場合はより簡単に実現できることは自明である。
【0023】
図3に挿入部1および検出部20の詳細を示す。同図において(A)は挿入方向から見た正面図であり、(B)は(A)のA−Aにて切断した側面断面図である。さらに(C)は(B)の直角方向からみた側面図である。
【0024】
挿入容器10の内部は流体200が充填される。
【0025】
この流体200は気体又は液体が使用可能であるが、膣に挿入した際適度な硬度を保つことおよび気密性がよい事で液体が望ましい。
【0026】
また挿入容器10は柔軟で伸びない素材であることが望ましい。
【0027】
流体200が充填された挿入部1は挿入部固定台230に固定される。
【0028】
挿入部固定台230には圧力センサー210が装着され、挿入部固定台230に設けられた圧力伝達穴220を介して流体200と接触し、流体200の圧力を電気信号に変換する。
【0029】
圧力センサー210の電気信号は検出部20に収容された回路基板240に接続され、回路基板240上に実装された圧力信号処理回路とともに圧力検出部を構成し、接続ケーブル40の信号を駆動する。
【0030】
さらに挿入部200には一対の筋電流検出電極100が装着され、その一部は回路基板240に接続され、回路基板240上に実装された筋電流信号回路とともに筋電流検出部を構成し、接続ケーブル40の信号を駆動する。
【0031】
また挿入容器10には流体200を注入するための流体注入口260が設けられさらに流体200が漏洩するのを防止するため弾力性のある素材で構成される漏洩防止部270が付加される。
【0032】
流体200はこの注入口260より使用前又は製造時に挿入容器10に充填される。
【0033】
なお製造時に充填される場合はこの注入口260および漏洩防止部270は必須ではない。
【0034】
図4に無線通信手段を用いて検出部と表示部を接続する場合を示す。基本的な構成および効果は図2と同様であるが接続ケーブル40が無く、検出部20には送信アンテナ300が装着され、また表示部30には受信アンテナ310が装着される。
【0035】
図5に無線通信手段を用いて検出部と表示部を接続する場合の挿入部1および検出部20の詳細を示す。同図において(A)は挿入方向から見た正面図であり(B)は側面図である。なお(A)は(B)のB−Bで切断した断面であり、(B)は(A)のA−Aで切断した断面である。
【0036】
挿入部固定台230は電池400の収納容器を兼ねており筒状の形状でありその両端に挿入容器10が固定される。
【0037】
挿入部固定台230の先端には流体200を通すための開口部410および圧力伝達穴220が設けられ、流体200は挿入部固定台230の先端に装着された圧力センサー210に接触し、挿入部1全体に加わった圧力が電気信号に変換される。
【0038】
他の挿入部および圧力検出部および筋電流検出部の構成は図3と同様であるが接続ケーブル40が存在せず、回路基板240には送信回路520が実装され、送信アンテナ300が接続される。
【0039】
図6に無線通信手段を用いて検出部と表示部を接続する場合の回路構成を示す。無線通信手段を用いずケーブルで接続する場合はより簡単に実現できることは自明である。
【0040】
同図において(A)は検出部20の回路構成であり(B)は表示部30の回路構成である。
【0041】
圧力センサー210の出力信号は圧力信号処理回路500により圧力送信信号530変換されて送信回路520に入力される。
【0042】
圧力センサー210と圧力信号処理回路500により圧力検出部570が構成される。
【0043】
また筋電流検出電極100に発生した筋電流信号は筋電流信号処理回路510により筋電流送信信号540変換されて送信回路520に入力される。
【0044】
筋電流検出電極100と筋電流信号処理回路510により筋電流検出部580が構成される。
【0045】
送信回路520は高周波信号を入力された圧力送信信号530および筋電流送信信号540で変調して送信アンテナ300より送信する。
【0046】
表示部30に装着された受信アンテナ310により受信した高周波信号は受信回路590により復調されて圧力表示信号550および筋電流表示信号560に変換され、各々圧力表示器50と筋電流表示器110を駆動する。
【発明の効果】
【0047】
女性の尿失禁治療における膣筋肉の強化訓練に使用する安価かつ安定で取り扱い易い膣の圧力表示手段を提供する。
【0048】
また膣の筋電流を同時に表示することにより訓練の効果をより高める。
【0049】
さらに無線通信手段を使用することにより表示部30が挿入部1および検出部20より機械的に切り離され患者に利便性を与える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 膣の圧力検出を行う基本的な構成
【図2】 筋電流検出を併用する場合の構成
【図3】 筋電流検出を併用する場合の挿入部および検出部の詳細
【図4】 無線通信手段を用いる場合の構成
【図5】 無線通信手段を用いる場合の挿入部および検出部の詳細
【図6】 無線通信手段を用いる場合の電子回路の構成
【符号の説明】
1 挿入部 10 挿入容器 20 検出部 30表示部
40 接続ケーブル 50 圧力表示器
100 筋電流検出電極 110 筋電流表示器
200 充填された流体 210 圧力センサー 220 圧力伝達穴
230 挿入部固定台 240 回路基板 260 流体注入口
270 漏洩防止部
300 送信アンテナ 310 受信アンテナ
400 電池 410 開口部
500 圧力信号処理回路 510 筋電流信号処理回路 520 送信回路
530 圧力送信信号 540 筋電流送信信号
550 圧力表示信号 560 筋電流表示信号
570 圧力検出部 580 筋電流検出部 590 受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置は膣に挿入するのに適した形状を持ち柔軟性のある中空の挿入容器にあらかじめ流体を充填した挿入部と、挿入部の圧力を電気信号に変換する圧力センサと電子回路で構成される圧力検出部と、前記電気信号により圧力を表示する圧力表示部を持ち、膣の筋肉強化運動のため前記挿入部を膣に挿入して膣の圧力を表示することを特徴とする膣の圧力表示装置。
【請求項2】
前記流体は液体であることを特徴とする請求項1に記載の圧力表示装置。
【請求項3】
装置は前記挿入部が絶縁体でありその挿入部に電極を持ち、その電極により膣の筋電流を検出する筋電流検出部と、その筋電流を表示する筋電流表示部を持つことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧力表示装置。
【請求項4】
装置は無線通信手段を持ち、前記圧力検出部と前記圧力表示部をその無線通信手段で接続することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧力表示装置。
【請求項5】
装置は無線通信手段を持ち、前記筋電流検出部と前記筋電流表示部をその無線通信手段で接続することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の圧力表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−259745(P2010−259745A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128272(P2009−128272)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(503387385)
【Fターム(参考)】