説明

圧力調整装置

【課題】圧力調整ネジを自動的に回転駆動させるための構成を追加して、簡易に且つコストの低減を図りながら、圧力制御弁の設定圧力を自動的に変更設定する。
【解決手段】ケーシングに取り付け自在な閉塞部材が設けられ、当該閉塞部材がケーシングに取り付けられた状態で、閉塞部材とケーシングとにより、圧力設定バネ9を収納するとともに圧力設定バネ9の伸縮方向に延びる収納空間61が形成され、閉塞部材に対し伸縮方向に沿う姿勢で収納空間へ向けて貫設された回転駆動軸と、回転駆動軸を回転駆動させる駆動部とが設けられ、圧力調整ネジが、圧力設定バネ9の一端を支持するとともに、駆動部による回転駆動軸の回転駆動により伸縮方向に沿って移動自在に収納空間61内に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体流路の二次側圧力を設定圧力に調整する圧力制御弁と、その圧力制御弁の前記設定圧力を変更設定する圧力設定部とが設けられ、前記圧力設定部は、バネ荷重の調整により前記設定圧力を変更自在な圧力設定バネと、前記圧力設定バネに加えるバネ荷重を調整自在な圧力調整ネジとを有するケーシングを備えている圧力調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような圧力調整装置は、例えば、都市ガスを各需要家に供給するガス導管等の流体流路に設けられて、二次側圧力を所望の設定圧力に調整するものである。そして、ガス導管を通して各需要家に都市ガスを供給する場合、負荷が変動しても各需要家に供給される都市ガスの圧力が所望の範囲内になるように、負荷に応じて設定圧力を変更設定することが求められている。
そこで、従来の圧力調整装置では、圧力設定バネと圧力調整ネジとを備えた圧力設定部を設けており、圧力調整ネジにて圧力設定バネに加えるバネ荷重を調整することで、圧力制御弁の設定圧力を変更設定できるように構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この特許文献1に記載の装置では、流体流路の二次側圧力が設定圧力になるように圧力制御弁に駆動圧を供給するパイロット弁を設け、そのパイロット弁に圧力設定部を備えさせている。そして、第2図に示されているように、パイロット弁4の内部が、一対のダイヤフラム7、8により3つの上、中、下室4a,4b,4cに区画されており、中室4b内の圧力を駆動圧として圧力制御弁に供給している。ここで、符号については特許文献1に記載の符号を記している。そして、下室4cには、圧力設定バネとしての第1の圧力設定用バネ13が備えられており、この第1の圧力設定用バネ13のバネ荷重を調整する調整ネジ14が設けられている。また、この第1の圧力設定用バネ13及び調整ネジ14の構成に加えて、上室4aに第2の圧力設定用バネ16が備えられ、圧力室4e内の圧力を大気圧と大気圧よりも高圧側とに変更自在な圧力変更機構(電磁弁23や制御装置24等)と、圧力室4e内の圧力が大気圧よりも高圧側に変更されると第2の圧力設定用バネ16を押圧するように摺動する圧力摺動部材18とが備えられている。
【0004】
この特許文献1に記載の装置では、圧力制御弁の設定圧力を高圧側に変更設定する場合に、圧力変更機構により圧力室4e内の圧力を大気圧よりも高圧側に変更して摺動部材18を摺動させ、摺動部材18にて第2の圧力定用バネ16を押圧して、第2の圧力定用バネ16のバネ荷重を調整している。また、圧力制御弁の設定圧力を低圧側に変更する場合には、圧力変更機構により圧力室4e内の圧力を大気圧とし、調整ネジ14を回すことで、第1の圧力設定用バネ13のバネ荷重を調整している。
【0005】
一方、他の圧力制御装置として、圧力制御弁の設定圧力を変更設定しないものとして、流体流路1、2の二次側圧力を設定圧力に調整する圧力制御弁と、当該圧力制御弁の設定圧力を予め定められた圧力に設定する圧力設定部(パイロット弁5)とが設けられたものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
この特許文献2に記載の装置では、その図5に示されているように、圧力制御弁が、一次側の流体流路1と二次側の流体流路2との間に弁部3を設ける状態で、備えられている。圧力制御弁は、一次側圧力を、予め設定される二次圧に減圧して、二次側の流体流路2に供給する。さらに、圧力制御弁は、二次側の流体流路2での流体の需要変動に伴って流量が変動しても、二次側圧力の変動を小さくなるように制御する駆動部4を有し、当該駆動部4により弁部3の開度が制御される。駆動部4は、パイロット弁5から供給される駆動圧に応じて圧力制御弁の弁部3の弁開度を変化させる。駆動圧を与える流体は、オリフィス6を介して二次側の流体流路2へ流出する。流出した流体の補給は、パイロット管路7、フィルタ8及び減圧弁9を介して、一次側の流体流路1から行われる。
パイロット弁5は、ケーシング10内に、間隔を保って上下に変位可能な上ダイヤフラム11及び下ダイヤフラム12の2つのダイヤフラムを備えている。上ダイヤフラム11と下ダイヤフラム12との間には、ノズル13が設けられ、減圧弁9で一次圧を減圧した流体を上方に噴出する。ノズル13には上方に向けて流体を噴出させる開口部が設けられる。ノズル13の開口部は、サプライバルブ14の下端に臨んでいる。サプライバルブ14の上方には、エキゾーストバルブ15が設けられる。サプライバルブ14及びエキゾーストバルブ15は、一体で上下に変位する。下ダイヤフラム12を、下方から付勢するために、バネ16が設けられている。
一次側からの流体は、ノズル13の開口部がサプライバルブ14の下端で塞がれていないときに、導入される。導入された流体は、上ダイヤフラム11に設けられる弁座17と弁体としてのエキゾーストバルブ15との間の隙間を介して、二次側へ流出する。当該流体は、上ダイヤフラム11と下ダイヤフラム12との間の空間に、一次側圧力と二次側圧力との間の圧力の駆動圧を発生させる。
パイロット弁5が、一次側圧力と二次側圧力との間の圧力の駆動圧を発生する場合、パイロット弁5は、図6(a)の状態において、一次側からの流体を、ノズル13の開口とサプライバルブ14との間の隙間から、上ダイヤフラム11と下ダイヤフラム12との間の空間へ導入させ、エキゾーストバルブ15と上ダイヤフラム11の弁座17との間の隙間を通流させて、二次側へ流出させる。当該隙間における圧力降下により、一次側圧力と二次側圧力との間の圧力の駆動圧が得られ、当該駆動圧が圧力制御弁の駆動部4に供給される。
一方、二次側圧力が急上昇した場合、パイロット弁5では、図6(b)の状態において、二次側圧力の上昇により、上ダイヤフラム11が下方に押圧され、サプライバルブ14及びエキゾーストバルブ15の位置も低下する。サプライバルブ14の下端が、ノズル13の開口に接触して塞ぐと、サプライバルブ14及びエキゾーストバルブ15の低下は停止する。この結果、エキゾーストバルブ15と弁座17との間の隙間が大きくなり、上ダイヤフラム11と下ダイヤフラム12との間の空間の流体は、二次側に排出されやすくなる。サプライバルブ14によってノズル13は塞がれて、一次側からの流体の流入はなくなるので、駆動圧は急下降する。駆動圧が下降すると、圧力制御弁の駆動部4は、弁部3の弁開度を小さくするように駆動する。これにより、弁部3を介して一次側の流体流路1から二次側の流体流路2へ流れる流体に対する流路抵抗が大きくなり、二次側圧力の上昇が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−245908号公報
【特許文献2】特開2006−285664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の装置では、圧力制御弁の設定圧力を低圧側に変更する場合に、圧力調整ネジを回すことになるが、この作業を作業者等の人為的な操作にて行っている。しかしながら、上述の如く、負荷に応じて設定圧力を変更設定することが求められており、その負荷は時間帯等によって変化するので、圧力制御弁の設定圧力を時間帯等によって頻繁に変更設定することが必要となる。したがって、人為的な操作により圧力制御弁の設定圧力を変更設定するものでは、作業者にかかる負担が大きなものとなる。
このように、上記特許文献1に記載のパイロット弁では、人為的な操作により圧力制御弁の設定圧力を変更設定しているので、作業者にかかる負担が大きなものとなることから、時間帯等によって圧力制御弁の設定圧力を変更設定することは難しいものとなっていた。
上記特許文献2に記載の装置では、圧力制御弁の設定圧力を変更するようには構成されていないため、時間帯によって圧力制御弁の設定圧力を変更設定することはできなかった。
【0008】
一方、従来から、圧力設定バネに加えるバネ荷重を調整自在な圧力調整ネジを回転自在な回転出力軸とその回転出力軸を回転駆動させる駆動部とを備えた圧力設定部が装備されたパイロット弁は存在している。このパイロット弁では、駆動部にて回転出力軸を回転駆動させることで、その回転出力軸の回転駆動によって圧力調整ネジを回転させて、圧力制御弁の設定圧力を自動的に変更設定自在に構成されている。
そこで、例えば、上記特許文献1、2に記載のパイロット弁については、上述の回転出力軸と駆動部とを備えたパイロット弁に交換することで、圧力制御弁の設定圧力の変更設定を自動的に行うことが考えられるが、新たなパイロット弁を用意しなければならず、大掛かりでコストの増大を招くことになる。また、このようにパイロット弁を交換すると、交換する必要のない部材(例えば、ダイヤフラムや圧力設定バネ等)も交換してしまうことになり、コスト面のデメリットが大きなものとなる。
【0009】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、圧力制御弁の設定圧力を設定可能な圧力調整装置において、圧力調整ネジを自動的に回転駆動させるための構成を追加するだけで、簡易に且つコストの低減を図りながら、圧力制御弁の設定圧力を自動的に変更設定することができる圧力調整装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の圧力制御装置は、
流体流路の二次側圧力を設定圧力に調整する圧力制御弁と、その圧力制御弁の前記設定圧力を変更設定する圧力設定部とが設けられ、前記圧力設定部は、バネ荷重の調整により前記設定圧力を変更自在な圧力設定バネと、前記圧力設定バネに加えるバネ荷重を調整自在な圧力調整ネジとを有するケーシングを備えている圧力調整装置であって、
前記ケーシングに取り付け自在な閉塞部材が設けられ、当該閉塞部材が前記ケーシングに取り付けられた状態で、前記閉塞部材と前記ケーシングとにより、前記圧力設定バネを収納するとともに前記圧力設定バネの伸縮方向に延びる収納空間が形成され、
前記閉塞部材に対し前記伸縮方向に沿う姿勢で前記収納空間へ向けて貫設された回転駆動軸と、前記回転駆動軸を回転駆動させる駆動部とが設けられ、
前記圧力調整ネジが、前記圧力設定バネの一端を支持するとともに、前記駆動部による前記回転駆動軸の回転駆動により前記伸縮方向に沿って移動自在に前記収納空間内に配設されている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、ケーシングに閉塞部材を取り付けると、ケーシングと閉塞部材とにより、圧力設定バネを内部に収納するとともに圧力設定バネの伸縮方向に延びる収納空間が形成される。そして、ケーシングに閉塞部材を取り付けることで、回転駆動軸は、閉塞部材によって、圧力設定バネの伸縮方向に沿う姿勢で収納空間へ向けて設けられる。また、圧力調整ネジは、収納空間内に配設されているが、圧力設定バネの一端を支持しており、駆動部による回転駆動軸の回転駆動により伸縮方向に沿って移動自在であるので、圧力調整ネジが伸縮方向に沿って移動することにより、圧力設定バネの伸縮方向における長さが調整されて、そのバネ荷重を適切に設定できる。
したがって、圧力制御弁の設定圧力を設定可能な圧力調整装置において、駆動部を備えるとともに、回転駆動軸が貫設された閉塞部材をケーシングに取り付けるだけで、圧力調整ネジを自動的に回転駆動させるための構成を追加して、簡易に且つコストの低減を図りながら、圧力制御弁の設定圧力を自動的に変更設定することができる圧力調整装置を実現できる。
【0012】
本発明の圧力制御装置の更なる特徴構成は、
前記閉塞部材が、前記ケーシングに取り付け自在な筒状部材であり、当該筒状部材が前記ケーシングに取り付けられた状態で、前記筒状部材と前記ケーシングとにより前記圧力設定バネの伸縮方向に伸びる収納空間が形成される点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、閉塞部材を、ケーシングに取り付け自在な筒状部材により構成しているので、当該筒状部材とケーシングとにより形成される収納空間を、当該筒状部材の筒軸心方向での長さ分だけ、圧力設定バネの伸縮方向に延設することができる。これにより、例えば、収納空間は、軸心方向で比較的長い回転駆動軸をも、適切に収納できる。
【0014】
本発明の圧力制御装置の更なる特徴構成は、
前記閉塞部材は、前記伸縮方向で前記ケーシング側において、前記ケーシングに対して螺合される点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、閉塞部材は、圧力設定バネの伸縮方向でケーシング側において、ケーシングに螺合されるので、閉塞部材をケーシングに対して比較的簡単に接続することができる。
【0016】
本発明の圧力制御装置の更なる特徴構成は、
前記圧力調整ネジには、前記伸縮方向で貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内面と前記回転駆動軸の外周面とが螺合するとともに、
前記圧力調整ネジと前記閉塞部材との間には、前記圧力調整ネジが前記回転駆動軸に対する共回りを防止する共回り防止機構が設けられている点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、圧力調整ネジには、圧力設定バネの伸縮方向に貫通する貫通孔が設けられ、当該貫通孔の内周面が、回転駆動軸の外周面に螺合している状態で、回転駆動軸が回転駆動する。このとき、圧力調整ネジは、共回り防止機構により、回転駆動軸と共回りすることが防止されるので、圧力調整ネジが、回転駆動軸の回転駆動により圧力設定バネの伸縮方向に適切に移動することができる。
【0018】
本発明の圧力制御装置の更なる特徴構成は、
前記筒状部材は、その筒軸心方向に沿う内周面が前記伸縮方向に沿う状態で前記ケーシングに接続され、
前記圧力調整ネジの外周面は、回転駆動軸の回転駆動に伴って、前記筒状部材の内周面に沿って摺動するように設けられている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、筒状部材は、その筒軸心方向での内周面が圧力設定バネの伸縮方向に沿う状態で、ケーシングに接続されている。そして、圧力調整ネジは、その外周面を筒状部材の内周面に沿って摺動するように設けられている。この摺動によって圧力調整ネジは圧力設定バネの伸縮方向に案内されるので、圧力調整ネジは、その回転駆動軸の回転駆動に伴って、圧力設定バネの伸縮方向に沿って適切に移動でき、圧力設定バネを適切に伸縮させることができる。
【0020】
本発明の圧力制御装置の更なる特徴構成は、
前記ケーシングには、前記伸縮方向に延びる筒状部が設けられ、
前記圧力調整ネジが、その外周面を前記筒状部の内周面に螺合するとともに、前記回転駆動軸と一体回転するように構成される点にある。
【0021】
上記特徴構成によれば、圧力調整ネジは、圧力設定バネの伸縮方向に延びる筒状部の内周面に対して螺合しながらも、回転駆動軸の回転駆動に伴って、回転駆動軸と一体回転することとなるので、圧力設定バネの伸縮方向に沿って適切に移動することができる。
そして、上記背景技術においても説明したように、従来から、ケーシングの内周面には、その周方向に沿ってネジが設けられている。これにより、当該ネジに対して圧力調整ネジを積極的に螺合する状態で、筒状部の内周面と圧力調整ネジの外周面とを螺合させることで、従来の構成をそのまま利用することができ、構成の簡素化を図りつつ、上記特徴構成を実現できる。
【0022】
本発明の圧力制御装置の更なる特徴構成は、
前記駆動部を内部に収納する収納部と、
前記収納部に外嵌固定される第1固定部材と、前記閉塞部材に外嵌固定される第2固定部材と、前記回転駆動軸の軸心に直交する方向で当該軸心を中心として分散配置された状態で、前記第1固定部材と前記第2固定部材とを連結する連結部材が設けられている点にある。
【0023】
上記特徴構成によれば、回転駆動軸の軸心と直交する方向に分散配置された連結部材が、駆動部を内部に収納する収納部に外嵌固定する第1固定部材と、閉塞部材に外嵌固定される第2固定部材とを連結するので、収納部と閉塞部材とが、回転駆動軸の軸心を中心として、当該軸心と直交する方向に分散された連結箇所によって、安定して連結される。
【0024】
本発明の圧力制御装置の更なる特徴構成は、
前記閉塞部材の前記回転駆動軸が貫設された部位には、前記回転駆動軸を回転自在に支持する軸受け部材が設けられている点にある。
【0025】
上記特徴構成によれば、閉塞部材の回転駆動軸が貫設された部位には、回転駆動軸を回転自在に支持する軸受け部材が設けられているので、回転駆動軸が、当該軸受け部材により軸受けされた状態で、閉塞部材に対して良好に回転できる。
尚、閉塞部材とケーシングとは別体に設けられているので、軸受け部材が消耗した場合、閉塞部材をケーシングから取り外して、軸受け部材を容易に交換できる。
【0026】
本発明の圧力制御装置の更なる特徴構成は、
前記ケーシングと前記閉塞部材とが連結された部位、及び前記閉塞部材に前記回転駆動軸が貫設された部位には、その部位における流体の通流を阻止するシール部材が設けられるとともに、前記ケーシングには、少なくとも1つ以上の気体通流孔が設けられており、当該気体通流孔には、ケーシングの外部に連通する配管が接続されている点にある。
【0027】
上記特徴構成では、図1に示す様に、パイロット弁は、二次圧の変化によってダイヤフラムD2およびダイヤフラムD3が中心軸方向で移動するが、ケーシング及び筒状部材により形成される内部空間の気体が、気体通流孔から徐々に流入出する状態でパイロット弁体を滑らかに移動させるダンパ機能を発揮する。
また、仮に、ケーシングが水没等することがあった場合でも、シール部材が、ケーシングと閉塞部材との接続部位、閉塞部材の回転駆動軸が貫設された部位を、適切にシールしているので、ケーシングと閉塞部材により形成される収納空間に水等が入ることを防止できる。
さらに、気体通流孔にはケーシングの外部と連通する配管が接続されており、例えば、当該配管の非気体通流孔側の他端を、ケーシングよりも上方に配置すれば、ケーシングが水没する場合であっても、流入した水の重さや水没時の水圧による昇圧を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の圧力調整装置の概略構成図である。
【図2】本発明の圧力調整装置の斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る圧力調整装置の断面図である。
【図4】本発明の回転軸連結部の分解斜視図である。
【図5】第2実施形態に係る圧力調整装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1実施形態〕
本発明に係る圧力調整装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
この圧力調整装置は、図1、又は図2に示すように、流体流路1の二次側圧力を設定圧力に調整する圧力制御弁2と、その圧力制御弁2の設定圧力を変更設定する圧力設定部3とを備えて構成されている。そして、圧力調整装置には、流体流路1の二次側圧力が設定圧力になるように圧力制御弁2に駆動圧を供給するパイロット弁4が設けられ、圧力設定部3は、このパイロット弁4の動作を調整することにより圧力制御弁2の設定圧力を変更設定するように構成されている。
【0030】
ここで、図示は省略するが、例えば、流体流路1の圧力制御弁2よりも下流側を複数の分岐路に分岐してそれら複数の分岐路の夫々を各需要家に接続することにより、複数の需要家に天然ガス等の流体を供給するように構成されている。そして、圧力制御弁2によりそれよりも下流側の二次側圧力を上流側の一次側圧力よりも低圧の設定圧力に調整するように構成されている。
【0031】
圧力制御弁2は、第1ダイヤフラムD1を備えており、その内部が第1ダイヤフラムD1にて第1室H1と第2室H2とに区画されている。そして、圧力制御弁2は、流体流路1を開閉する第1弁体B1を具備しており、この第1弁体B1は第1ダイヤフラムD1にて開閉される構成となっている。また、第1室H1には、第1ダイヤフラムD1を第1弁体B1の閉弁方向側に押圧付勢する第1付勢バネG1が配設されている。
【0032】
パイロット弁4は、第2ダイヤフラムD2と第3ダイヤフラムD3とを備えており、第2ダイヤフラムD2及び第3ダイヤフラムD3にて、その内部が第3室H3と第4室H4と第5室H5(後述する収納空間61に相当)に区画されている。第3室H3は、第1の二次側圧力導入路5により流体流路1の二次側(圧力制御弁2よりも下流側)に連通接続されているとともに、第2の二次側圧力導入路6により圧力制御弁2の第1室H1に連通接続されている。第4室H4は、一次側圧力導入路7により流体流路1の一次側(圧力制御弁2よりも上流側)に連通接続されているとともに、駆動圧導入路8により圧力制御弁2の第2室H2に連通接続されている。また、図示は省略するが、第2ダイヤフラムD2と第3ダイヤフラムD3とは連結部等により連結されており、一体的に上下に変位自在に構成されている。そして、第5室H5には、圧力設定バネG2が配設されており、この圧力設定バネ9が第3ダイヤフラムD3を第4室H4側に付勢することで、第2ダイヤフラムD2が第3室H3側に付勢されている。
【0033】
一次側圧力導入路7の先端部には、第2弁体B2が設けられており、この第2弁体B2は第2ダイヤフラムD2により開閉される構成となっている。つまり、第2ダイヤフラムD2が第3室H3側に変位することにより第2弁体B2が開弁して、一次側圧力導入路7を通して流体流路1の一次側の流体が第4室H4に導入される。一方、第2ダイヤフラムD2が第4室H4側に変位することにより第2弁体B2が閉弁して、第4室H4への一次側の流体の導入量が減少される。
【0034】
二次側圧力を設定圧力に調整するときの動作について説明する。
流体流路1の二次側圧力が設定圧力よりも低下すると、第1の二次側圧力導入路5にて流体流路1の二次側に連通接続されたパイロット弁4の第3室H3の圧力が低下し、圧力設定バネ9の付勢力により第2ダイヤフラムD2が第3室H3側に変位する。これにより、パイロット弁4の第2弁体B2が開き側に動作され、一次側圧力導入路7を通して第4室H4に流体流路1の一次側圧力が導入されて、第4室H4の圧力が上昇する。そして、その圧力上昇した第4室H4の圧力が駆動圧導入路8を通して圧力制御弁2の第2室H2に駆動圧として供給されて、第2室H2の圧力も上昇し、第1室H1と第2室H2との圧力差により第1ダイヤフラムD1が第1室H1側に変位する。よって、圧力制御弁2の第1弁体B1が開き側に動作され、流体流路1の二次側圧力を上昇させて二次側圧力を設定圧力に調整する。
【0035】
一方、二次側圧力が設定圧力よりも上昇すると、パイロット弁4の第3室H3の圧力が上昇し、圧力設定バネ9の付勢力に抗して第2ダイヤフラムD2が第4室H4側に変位する。これにより、パイロット弁4の第2弁体B2が閉じ側に動作され、第4室H4への流体供給源がなくなる。すると第2室H2の流体は、オリフィス91、第2の二次側圧力導入路6、第3室H3、及び第1の二次側圧力導入路5を介して二次側に排出され、第2室H2の圧力は低下し、第1室H1と第2室H2との圧力差により第1ダイヤフラムD1が第2室H2側に変位する。よって、圧力制御弁2の第1弁体B1が閉じ側に動作され、流体流路1の二次側圧力を低下させて二次側圧力を設定圧力に調整する。
【0036】
圧力制御弁2の設定圧力は、常時、一定の圧力にするのではなく、圧力設定部3を備えることで、負荷等に応じて変更する目標設定圧力に設定圧力を調整している。例えば、流体流路1では、多くの需要が見込まれる時間帯には負荷が大きくなるので、圧力設定部3は、設定圧力を高圧の目標設定圧力に調整し、それ以外の時間帯には負荷が小さくなるので、設定圧力を低圧の目標設定圧力に調整している。
【0037】
上述の如く、パイロット弁4において圧力設定バネ9の付勢力と第1の二次側圧力導入路5を通して供給される二次側圧力との大小関係に応じた駆動圧が、パイロット弁4から圧力制御弁2に供給されて、圧力制御弁2により二次側圧力が設定圧力に調整されている。そこで、圧力設定部3は、圧力制御弁2の設定圧力を変更設定するのであるが、圧力制御弁2の設定圧力を設定する圧力設定バネ9のバネ荷重を調整することで、圧力制御弁2の設定圧力を変更設定自在に構成されている。
【0038】
本発明に係る圧力調整装置では、圧力設定バネ9のバネ荷重を調整することで、圧力制御弁2の設定圧力を変更設定するわけであるが、上述の如く、圧力調整ネジ13を回す人為的な操作により圧力制御弁2の設定圧力を変更設定可能な圧力調整装置において、圧力調整ネジ13を自動的に回転駆動させるための構成を追加することで、圧力制御弁2の設定圧力を自動的に変更設定自在とするものである。
【0039】
以下、図3に基づいて、圧力調整ネジ13を自動的に回転駆動させるための構成を追加した本発明に係る圧力調整装置について説明する。
つまり、本発明に係る圧力調整装置は、内部空間80を形成するケーシング14を有し、当該ケーシング14に取り付け自在な筒状部材60(閉塞部材の一例)を有している。そして、当該筒状部材60がケーシング14に取り付けられた状態で、筒状部材60の筒内空間81とケーシング14の内部空間80とにより、圧力設定バネ9を内部に収納するとともに圧力設定バネ9の伸縮方向(図3の矢印Z方向)に延びる収納空間61を形成する。そして、筒状部材60に対し圧力設定バネ9の伸縮方向(図3の矢印Z方向)に沿う姿勢で収納空間61へ向けて貫設された第1回転軸J1(回転駆動軸の一例)と、当該第1回転軸J1を回転駆動する駆動部(図示せず)とを備えている。
【0040】
即ち、圧力設定バネ9を内部に収納するケーシング14に筒状部材60を取り付けると、ケーシング14の内部の内部空間80と筒状部材60の筒内空間81とにより、圧力設定バネ9の伸縮方向に伸びる収納空間61が形成される。このように、内部空間80と筒内空間81とにより収納空間61を形成することにより、当該収納空間61に対し、第1回転軸J1を、圧力設定バネ9の伸縮方向(図3で矢印Z方向)に沿う姿勢で設けられる。
【0041】
そして、圧力調整ネジ13が、圧力設定バネ9の一端を支持するとともに、駆動部による第1回転軸J1の回転駆動により圧力設定バネ9の伸縮方向に移動自在に収納空間61内に配設されている。当該圧力調整ネジ13は、収納空間61内に配設されているが、圧力設定バネ9の一端を支持しており、駆動部による第1回転軸J1の回転駆動により伸縮方向に沿って移動自在であるので、圧力調整ネジ13が伸縮方向に沿って移動することにより、圧力設定バネ9の伸縮方向における長さが調整されて、そのバネ荷重を適切に設定できる。したがって、駆動部(図示省略)を備えるとともに、第1回転軸J1が貫設された筒状部材60をケーシング14に取り付けるだけで、圧力調整ネジ13を自動的に回転駆動させるための構成を追加して、簡易に且つコストの低減を図りながら、圧力制御弁2の設定圧力を自動的に変更設定することができる。
【0042】
筒状部材60は、その筒軸心が圧力設定バネ9の伸縮方向に沿う状態で、ケーシング14に接続されている。筒状部材60には、圧力設定バネ9の伸縮方向でケーシング14側の外周面において、その周方向に沿って第1ネジ部N1が設けられている。ケーシング14には、その内周面の周方向に沿って第2ネジ部N2が設けられている。そして、第1ネジ部N1が第2ネジ部N2に螺合する状態で、筒状部材60がケーシング14に接続される。更に、筒状部材60は、ケーシング14に接続すると、その筒軸心方向に第1回転軸J1の軸心を沿わせる状態で、第1回転軸J1を外部から収納空間61に向けて貫通させている。これにより、第1回転軸J1が、圧力設定バネ9の伸縮方向に沿う状態で設けられることとなる。
ここで、ケーシング14の内周面の周方向に沿って設けられた第2ネジ部N2は、ケーシング14に予め設けられたものであるので、その第2ネジ部N2をそのまま利用しながら、筒状部材60をケーシング14に接続することができ、構成の簡素化を図っている。
【0043】
筒状部材60には、第1回転軸J1が貫通する貫通部位70に、第1回転軸J1を回転自在に支持する軸受け部材71が設けられており、第1回転軸J1は、当該軸受け部材71によってその軸心周りで回転自在に支持されている。
【0044】
ケーシング14と筒状部材60との連結部位には、第1シール部材68が設けられており、筒状部材60の貫通部位70と第1回転軸J1との間には、第2シール部材69が設けられている。
更に、ケーシング14には、少なくとも1つ以上(図3では2つ)の気体通流孔72が設けられ、当該気体通流孔72には、外部と連通する配管73が接続されている。そして、当該配管73の非気体通流孔側の他端は、鉛直方向(図3で矢印Z方向)で上方側に設けられている。これにより、圧力設定部3が水没等した場合であっても、収納空間61に水等が進入することを防止できると共に、二次圧の変化によりパイロット弁14のダイヤフラムD2及びダイヤフラムD3が中心軸方向で移動した際に、収納空間61の気体が、気体通流孔72を介して流入出する状態で、圧力調整ネジ13を滑らかに移動させるダンパとして働く。
【0045】
圧力調整ネジ13は、圧力設定バネ側(図3の矢印Z方向で上側)の端部62に、圧力設定バネ9の一端が当接されるように配置されている。そして、圧力設定バネ13の形状は、非圧力設定バネ側(図3の矢印Z方向で下側)に底部を有するとともに圧力設定バネ9の伸縮方向(図3で矢印Z方向)に長尺の有底筒形状である。
第1回転軸J1は、当該貫通孔64を貫通する状態で配設されている。圧力調整ネジ13の外周面は、筒状部材60の内周面に沿って摺動可能に構成されている。
また、圧力調整ネジ13の貫通孔64の内周面には、その周方向に沿って第3ネジ部N3が設けられ、第1回転軸J1の外周面には、その周方向に沿って第4ネジ部N4が設けられており、当該第3ネジ部N3が第4ネジ部N4に対して螺合している。これにより、第1回転軸J1を回転駆動させることで、第3ネジ部N3と第4ネジ部N4との螺合により圧力調整ネジ13が第1回転軸J1に対して上下動自在に構成されている。したがって、圧力調整ネジ13が第1回転軸J1に対して上下動することで、圧力設定バネ9が収縮又は伸張されて、圧力設定バネ9のバネ荷重を調整することができる。
【0046】
ここで、図3に示すものでは、圧力調整ネジ13が第1回転軸J1の下端部に螺合している状態を示しており、この状態は、圧力設定バネ9のバネ荷重を最小としている状態である。したがって、第1回転軸J1を回転駆動させることで、圧力調整ネジ13を上方側に移動させて、圧力設定バネ9を収縮させて圧力設定バネ9のバネ荷重を増大側に変更設定することができる。
【0047】
さらに、圧力調整ネジ13と筒状部材60との間には、圧力調整ネジ13が第1回転軸J1の回転駆動に伴って回転することを防止する共回り防止機構65が設けられている。具体的には、共回り防止機構65は、圧力調整ネジ13の側部において、その筒軸心方向に延びる切欠部66と、筒状部材60の内周面において、その切欠部66に嵌り込む第2凸部67とから構成されている。つまり、切欠部66は、圧力調整ネジ13の周方向の一部に形成されており、第2凸部67及び切欠部66は、第2凸部67が切欠部66に嵌り込むように配設されている。よって、第2凸部67が切欠部66に嵌り込むことで、圧力調整ネジ13の回転方向での移動が規制され、圧力調整ネジ13と第1回転軸J1との共回りを防止する共回り防止機構65として機能する。
圧力調整ネジ13は、第1回転軸J1に螺合するとともに、共回り防止機構65により第1回転軸J1との共回りが防止されている状態で、第1回転軸J1が回転駆動することにより、圧力設定バネ9の伸縮方向(図3で矢印Z方向)に移動することとなる。そして、このように、圧力調整ネジ13が、圧力設定バネ9の伸縮方向に移動することで、圧力設定バネ9のバネ荷重が調整される。
【0048】
第1回転軸J1を回転駆動する駆動部は、第1回転軸J1よりも下方側に配設される収納部15に収納されている。そして、収納部15の内部には、第2回転軸J2と、第2回転軸J2を回転駆動する駆動部(図示せず)と、その駆動部の運転を制御する制御部(図示せず)等が収納されており、第2回転軸J2は、その上端側部位が収納部15から上方側に突出する状態で設けられている。当該第2回転軸J2の上端側部位と第1回転軸J1の下端側部位とが、回転連結部16にて連結され、第1回転軸J1と第2回転軸J2とが一体的に回転するように構成されている。
【0049】
回転軸連結部16は、図4に示すように、上方側から、第1回転軸J1の下端側部位に外嵌固定される第1外嵌固定部材17と、第1外嵌固定部材17を水平面に沿う第1方向(図4で矢印X1方向)に摺動自在に支持する第1摺動支持部材18と、第1摺動支持部材18を水平面において第1方向に直交する第2方向(図4で矢印X2方向)に摺動自在に支持する第2摺動支持部材19と、圧力調整ネジ13を手動操作するときに用いる手動操作部材20と、第2回転軸J2の上端側部位に外嵌固定される第2外嵌固定部材21とを備えて構成されている。ここで、パイロット弁4と収納部15とを電気的に絶縁するために、例えば、第1摺動支持部材18及び手動操作部材20が、絶縁材料にて構成されている。
【0050】
第1外嵌固定部材17は、その上方側部位が第1回転軸J1の下端側部位に外嵌自在なC状に形成されている。そして、その第1外嵌固定部材17の上方側部位に第1回転軸J1の下端側部位を嵌め込んだ状態でボルト等の締結具Tにて締め付けることで、第1外嵌固定部材17を縮径して第1回転軸J1の下端側部位に第1外嵌固定部材17を外嵌固定する。第1外嵌固定部材17の下方側部位には、第1方向に沿って延設された第1凸部17aが形成されており、第1摺動支持部材18の上方側部位には、第1方向に沿って延びる第1溝部18aが形成されている。よって、第1溝部18aに第1外嵌固定部材17の第1凸部17aを嵌合することで、第1摺動支持部材18が第1外嵌固定部材17を第1方向に摺動自在に支持する。手動操作部材20は、上記水平面に沿うように配置された板状体にて構成されており、その上面の中央部位に第2方向に沿って延びる第3溝部20aが形成されている。第2摺動支持部材19は、手動操作部材20の溝部20aに嵌合自在な棒状に形成されている。手動操作部材20の第3溝部20aの深さは、第2摺動支持部材19の高さよりも浅く形成されており、第2摺動支持部材19は第3溝部20aに嵌合した状態で手動操作部材20から上方側に突出する。第2摺動支持部材19は、第3溝部20aに嵌合した状態でボルト等の締結具Tにより手動操作部材20に固定される。第1摺動支持部材18の下方側部位には、第2方向に沿って延びる第2溝部18bが形成されており、この第2溝部18bに第2摺動支持部材19を嵌合することで、第2摺動支持部材19が第1摺動支持部材18を第2方向に摺動自在に支持する。第2外嵌固定部材21は、第2回転軸J2の上端側部位に外嵌自在なC状に形成されており、ボルト等の締結具Tにより手動操作部材20に固定される。第2外嵌固定部材21には、水平軸心周りで揺動操作自在な揺動レバー21aが備えられており、その揺動レバー21aを揺動操作することで、第2外嵌固定部材21を縮径又は拡径自在に構成されている。これにより、作業者が揺動レバー21aを人為的に揺動操作することで、第2回転軸J2の上端側部位に対して第2外嵌固定部材21を外嵌固定する又はその外嵌固定を解除することができる。上記構成は、組み付け時だけでなく、校正時(回転角度位置合わせ)の操作を容易にする。即ち、上記構成によれば、第1回転軸J1の軸方向(図4で矢印Z方向)で、手動回転操作部材20が、揺動レバー21aを有する第2外嵌固定部材21よりも第1回転軸J1側に設けられている。これにより、揺動レバー21aの揺動操作という簡単な操作にて、手動回転操作部材20を第1回転軸J1に固定された状態で、第1回転軸J1と第2回転軸J2との連結を解除して、手動回転操作部材20の回転操作により、第1回転軸J1を回転操作して、適切に校正(回転角度位置合わせ)を行うことができる。
【0051】
筒状部材60と収納部15との連結については、図3、又は図4に示すように、第1回転軸J1と第2回転軸J2とを連結する回転軸連結部16に加えて、収納部15に外嵌固定される第1固定部材K1と、筒状部材60を外嵌する状態でボルト等の締結具Tにより固定される第2固定部材K2と、第1回転軸J1の軸心と直交する方向で(図3で直線Y)を中心として分散配置された状態で、第1固定部材K1と第2固定部材K2とを連結する連結部材22が設けられている。
当該連結部材22は、複数(この実施形態では4つ)の円柱状体により構成されている。これにより、連結部材22は、第1固定部材K1と第2固定部材K2とを、第1回転軸J1の軸心と直交する方向に分散された3つの連結箇所にて連結している。そして、パイロット弁4と収納部15との電気的に絶縁するために、例えば、第1固定部材K1と連結部材22との間に絶縁部材を介在させたり、連結部材22自体を絶縁材料にて構成したりしている。
【0052】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の圧力調整装置の第2実施形態を、図5に基づいて説明する。当該第2実施形態では、第1実施形態に対して、圧力調整ネジ13の構成、及びそれを圧力設定バネ9の伸縮方向(図5で矢印Z方向)に移動させる第1回転軸J1の構成が異なる。そこで以下では、特に、圧力調整ネジ13、第1回転軸J1の具体的構成、及びその動きについて説明する。尚、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付すこととし、その説明を割愛することがある。
【0053】
本第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、圧力調整装置が、圧力設定バネ9をその内部空間80に収納するケーシング14を有しており、当該ケーシング14に取り付け自在な筒状部材60を有している。そして、当該筒状部材60がケーシング14に取り付けられた状態で、筒状部材60の筒内空間81と内部空間80とにより、圧力設定バネ9の伸縮方向(図5の矢印Z方向)に延びる収納空間61を形成する。そして、筒状部材60に対し圧力設定バネ9の伸縮方向(図5の矢印Z方向)に沿う姿勢で収納空間61へ向けて貫設された第1回転軸J1(回転駆動軸の一例)と、当該第1回転軸J1を回転駆動する駆動部(図示せず)とを備えている。
【0054】
即ち、圧力設定バネ9を内部に収納するケーシング14に筒状部材60を取り付けると、ケーシング14の内部の内部空間80と筒状部材60の筒内空間81とにより、圧力設定バネ9の伸縮方向に伸びる収納空間61が形成される。このように、内部空間80と筒内空間81とにより収納空間61を形成することにより、当該収納空間61に対し、第1回転軸J1を、圧力設定バネ9の伸縮方向(図3で矢印Z方向)に沿う姿勢で設けられる。
【0055】
そして、圧力調整ネジ13が、圧力設定バネ9の一端を支持するとともに、駆動部による第1回転軸J1の回転駆動により圧力設定バネ9の伸縮方向に移動自在に収納空間61内に配設されている。
圧力設定部3の圧力設定バネ9は、ケーシング14と筒状部材60により形成される収納空間61にて、その上端部が第3ダイヤフラムD3に当接されるとともに、その下端部が圧力調整ネジ13に当接される状態で、配設されている。ケーシング14には、圧力設定バネ9の伸縮方向(図5で矢印Z方向)に延びる筒状部74が設けられており、その内周面には、周方向に沿って第2ネジ部N2が形成されている。一方、圧力調整ネジ13は、板状に形成されており、その圧力調整ネジ13には、その外周面に第2ネジ部N2に螺合可能な第5ネジ部N5が設けられている。そして、圧力調整ネジ13は、その第5ネジ部N5が筒状部74の第2ネジ部N2と螺合する状態で、収納空間61に設けられている。ケーシング14と筒状部材60により形成される収納空間61には、圧力設定バネ9の伸縮方向で、圧力調整ネジ13を貫通する状態で、圧力調整ネジ13と一体回転する第1回転軸J1が設けられている。
ケーシング14の筒状部74の内周面の周方向に沿って設けられた第2ネジ部N2は、予め設けられているものであるので、その第2ネジ部N2をそのまま利用して、その第2ネジ部N2に圧力調整ネジ13の第5ネジ部N5を螺合させて、圧力調整ネジ13を上下動自在に構成されており、構成の簡素化を図っている。
【0056】
圧力調整ネジ13が、その第5ネジ部N5を筒状部74の第2ネジ部N2に螺合している状態で、第1回転軸J1が回転することにより、第1回転軸J1と圧力調整ネジ13が一体的に回転し、圧力調整ネジ13が、圧力設定バネ9の伸縮方向に移動する。このように、第1回転軸J1と圧力調整ネジ13との一体回転により、圧力調整ネジ13が、圧力設定バネ9の伸縮方向に移動することで、圧力設定バネ9の伸縮方向における長さを調整して、圧力設定バネ9のバネ荷重が調整自在に構成されている。
ここで、第1回転軸J1と圧力調整ネジ13との一体回転は、第1回転軸J1を、その軸方向視で、多角形状に構成するとともに、圧力調整ネジ13の底部の貫通孔64の形状を、当該多角形状と同一形状に構成することにより実現される。
【0057】
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態において、本発明の圧力調整装置は、パイロット弁4を備えるものとして説明したが、別にパイロット弁4を備けられていないものであってもよい。即ち、圧力制御弁2の第1付勢バネG1が、第1回転軸J1の回転駆動に伴い、直接的にそのバネ荷重を調整されるように構成しても構わない。
【0058】
(B)上記第1実施形態において、圧力調整ネジ13は、図3において、非圧力設定バネ側(図3の矢印Z方向で下方側)に底部を有するものとして説明したが、別に圧力設定バネ側(図3で矢印Z方向で上方側)に底部を有する構成としてもよい。
【0059】
(C)上記第2実施形態では、第1回転軸J1と圧力調整ネジ13とを一体的に回転するために、第1回転軸J1を、その軸方向視において、多角形状に構成するとともに、圧力調整ネジ13の底部の貫通孔64の形状を、当該多角形状と同一形状に構成した。ここで、第1回転軸J1の軸方向視における形状、及び圧力調整ネジ13の底部の貫通孔64の形状は、第1回転軸J1と圧力調整ネジ13とが一体的に回転できれば、どのような形状であってもよい。例えば、第1回転軸J1を、その軸方向視で、その軸心周りの一部に突起がある形状や、非真円(楕円等)形状にするとともに、圧力調整ネジ13の底部の貫通孔64を、その形状と同一形状にすることで、第1回転軸J1と圧力調整ネジ13との一体的な回転を実現できる。
【0060】
(D)上記第2実施形態において、閉塞部材は、圧力設定バネ9の伸縮方向に延びる筒状部材60であるとして説明した。しかしながら、当該閉塞部材は、筒状の部材でなくともよく、第1回転軸J1を、圧力設定バネ9の伸縮方向(図5の矢印Z方向)に沿う姿勢で貫設可能な形状の部材であれば、どのようなものでもよい。例えば、第1回転軸J1の軸心方向(図5で矢印Z方向)に直交する方向に沿う板状の部材とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の圧力調整装置は、圧力調整ネジを回す人為的な操作により圧力制御弁の設定圧力を変更設定可能な圧力調整装置において、駆動部を備えるとともに、回転駆動軸が貫設された筒状部材をケーシングに取り付けるだけで、圧力調整ネジを自動的に回転駆動させるための構成を追加して、簡易に且つコストの低減を図りながら、圧力制御弁の設定圧力を自動的に変更設定することができる圧力調整装置として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 流体流路
2 圧力制御弁
3 圧力設定部
11 駆動部
13 圧力調整ネジ
14 ケーシング
15 収納部
60 筒状部材
61 収納空間
62 圧力設定バネ側の端部
64 貫通孔
65 共回り防止機構
68 第1シール部材
69 第2シール部材
70 貫通部位
71 軸受け部材
72 気体通流孔
73 配管
74 筒状部
G2 圧力設定バネ
J1 第1回転軸(回転駆動軸の一例)
K1 第1固定部材
K2 第2固定部材
Y 第1回転軸J1の軸心
Z 圧力設定バネの伸縮方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体流路の二次側圧力を設定圧力に調整する圧力制御弁と、その圧力制御弁の前記設定圧力を変更設定する圧力設定部とが設けられ、前記圧力設定部は、バネ荷重の調整により前記設定圧力を変更自在な圧力設定バネと、前記圧力設定バネに加えるバネ荷重を調整自在な圧力調整ネジとを有するケーシングを備えている圧力調整装置であって、
前記ケーシングに取り付け自在な閉塞部材が設けられ、当該閉塞部材が前記ケーシングに取り付けられた状態で、前記閉塞部材と前記ケーシングとにより、前記圧力設定バネを収納するとともに前記圧力設定バネの伸縮方向に延びる収納空間が形成され、
前記閉塞部材に対し前記伸縮方向に沿う姿勢で前記収納空間へ向けて貫設された回転駆動軸と、前記回転駆動軸を回転駆動させる駆動部とが設けられ、
前記圧力調整ネジが、前記圧力設定バネの一端を支持するとともに、前記駆動部による前記回転駆動軸の回転駆動により前記伸縮方向に沿って移動自在に前記収納空間内に配設されている圧力調整装置。
【請求項2】
前記閉塞部材が、前記ケーシングに取り付け自在な筒状部材であり、当該筒状部材が前記ケーシングに取り付けられた状態で、前記筒状部材と前記ケーシングとにより前記圧力設定バネの伸縮方向に伸びる収納空間が形成される請求項1に記載の圧力調整装置。
【請求項3】
前記閉塞部材は、前記伸縮方向で前記ケーシング側において、前記ケーシングに対して螺合される請求項1又は2に記載の圧力調整装置。
【請求項4】
前記圧力調整ネジには、前記伸縮方向で貫通孔が設けられ、前記貫通孔の内面と前記回転駆動軸の外周面とが螺合するとともに、
前記圧力調整ネジと前記閉塞部材との間には、前記圧力調整ネジが前記回転駆動軸に対する共回りを防止する共回り防止機構が設けられている請求項1乃至3の何れか一項に記載の圧力調整装置。
【請求項5】
前記筒状部材は、その筒軸心方向に沿う内周面が前記伸縮方向に沿う状態で前記ケーシングに接続され、
前記圧力調整ネジの外周面は、回転駆動軸の回転駆動に伴って、前記筒状部材の内周面に沿って摺動するように設けられている請求項2に記載の圧力調整装置。
【請求項6】
前記ケーシングには、前記伸縮方向に延びる筒状部が設けられ、
前記圧力調整ネジが、その外周面を前記筒状部の内周面に螺合するとともに、前記回転駆動軸と一体回転するように構成される請求項1又は2に記載の圧力調整装置。
【請求項7】
前記駆動部を内部に収納する収納部と、
前記収納部に外嵌固定される第1固定部材と、前記閉塞部材に外嵌固定される第2固定部材と、前記回転駆動軸の軸心に直交する方向で当該軸心を中心として分散配置された状態で、前記第1固定部材と前記第2固定部材とを連結する連結部材が設けられている請求項1乃至6の何れか一項に記載の圧力調整装置。
【請求項8】
前記閉塞部材の前記回転駆動軸が貫設された部位には、前記回転駆動軸を回転自在に支持する軸受け部材が設けられている請求項1乃至7の何れか一項に記載の圧力調整装置。
【請求項9】
前記ケーシングと前記閉塞部材とが連結された部位、及び前記閉塞部材に前記回転駆動軸が貫設された部位には、その部位における流体の通流を阻止するシール部材が設けられるとともに、前記ケーシングには、少なくとも1つ以上の気体通流孔が設けられており、当該気体通流孔には、ケーシングの外部に連通する配管が接続されている請求項1乃至8の何れか一項に記載の圧力調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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