説明

圧延装置

本発明は、ロールスタンド(4)内のワークロールチョック(3)が少なくとも1つのワークロールロック装置(5)を介してロック及びアンロック可能である、それぞれワークロールチョック(3)によってロールスタンド(4)内に支承されている2つのワークロール(2)と、それぞれ別のロールチョック(7)によってロールスタンド(4)内に支承されている少なくとも2つの別のロール(6)、特に2つのバックアップロールとを有し、ワークロール(2)の少なくとも一方及び別のロール(6)の少なくとも一方が、ロールスタンド(4)内で他方のワークロール(2)もしくは他方の別のロール(6)に対して相対的に、特に垂直方向に所望のロール間隙を調整するために調整可能であり、ワークロール(2)が、これらワークロール(2)をロールスタンド(4)に対して相対的に所望の軸方向の位置に移動させ、そこに保持可能にする、軸方向に移動させるための軸方向移動手段(8)を備えており、ワークロール(2)が、これらワークロールに曲げモーメントを作用可能にする曲げ手段(9)と作用結合している、圧延装置(1)に関する。高い上昇に関して圧延装置の自己調整能力を改善するために、本発明によれば、軸方向移動手段(8)が、ロールスタンド(4)とワークロールロック装置(5)間に配設されているか、もしくはその間で作用し、曲げ手段(9)が、ワークロールチョック(3)と別のロールチョック(7)間に配設されているか、もしくはその間で作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールスタンド内のワークロールチョックが少なくとも1つのワークロールロック装置を介してロック及びアンロック可能である、それぞれワークロールチョックによってロールスタンド内に支承されている2つのワークロールと、それぞれ別のロールチョックによってロールスタンド内に支承されている少なくとも2つの別のロール、特に2つのバックアップロールとを有し、ワークロールの少なくとも一方及び別のロールの少なくとも一方が、ロールスタンド内で他方のワークロールもしくは他方の別のロールに対して相対的に、特に垂直方向に所望のロール間隙を調整するために調整可能であり、ワークロールが、これらワークロールをロールスタンドに対して相対的に所望の軸方向の位置に移動させ、そこに保持可能にする、軸方向に移動させるための軸方向移動手段を備えており、ワークロールが、これらワークロールに曲げモーメントを作用可能にする曲げ手段と作用結合している、圧延装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この様式の圧延装置は、従来技術において十分知られている。典型的なものとしては、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4が挙げられる。これらの文献からは、互いに一定の間隔を置いて存在する2つのワークロールが圧延に必要な圧延間隙を構成し、バックアップロールもしくは中間ロールに支持される圧延装置が公知である。即ち、このように形成された圧延装置は、4つもしくは6つのロールを有する装置として形成されており、個々のロールは、互いに相対的に垂直方向に所望の圧延間隙を生じさせるために位置決め可能である。
【0003】
この場合、ワークロールは、軸方向に可動に配設されており、これにより、変更可能な圧延間隙プロフィルによりストリップ圧延ラインにおいてストリップのプロフィルに影響を及ぼすことが可能である。分塊圧延ラインに対しても、一方で狙ったストリッププロフィルへの影響を与えるために、他方で狙った摩耗配分によってロール寿命を延長するために、ワークロールの軸方向移動をするための処理技術上の可能性が重要性を増す。
【0004】
圧延装置の他の重要な形成は、ワークロールの曲げもしくはバランス取りをするための手段が存在することにある。この手段により、曲げモーメントをワークロールに導入することができ、これには、前記文献から分かるような処理技術上の利点がある。
【0005】
ワークロールの曲げ及び移動システムは、大抵は、内部に曲げ及びバランス取りもしくは軸方向移動に必要な調整手段が配設されている位置固定のブロックを有する。これらの調整手段は、ワークロールの交換の際に分離する必要のない圧力媒体供給ラインが固定であることの利点を提供する。曲げ及びバランス取りを実現するため、必要なタペットは、−これは、不利なことに軸方向移動時の傾倒モーメントを無視できなくするが−位置固定のブロック内に位置固定に配設されているか、傾倒モーメントもしくは摩擦力を良好に支配することができるように、軸方向移動と共に移動するカセットとして構成されているかのいずれかである。
【0006】
公知の圧延装置は、例えば薄板圧延ライン又は分塊圧延ラインにおいて必要とされるような高いロール上昇が行なわれなければならない場合に、その処理技術上の限界に達する。曲げもしくはバランス取りシリンダのタペットは、本質的に長い距離にわたって案内されなければならず、これにより、距離が長い場合に生じるレバー比をタペットが完全に出た場合でも保証するために高いスペース要量を必要とする。
【0007】
ワークロールの曲げと軸方向移動とから成る組み合わせによる大きなロール上昇は、言及した欠点を甘受しなければ前記の解決策を実現することができない。
【0008】
曲げもしくはバランス取りシリンダのタペットの短い案内長さは、曲げもしくはバランス取りシリンダがワークロール/バックアップチョックのシステムと共に移動する場合に、即ち、言わば、バックアップロール又は中間ロールチョックの下方に突出するアームとワークロールチョックの横に突出するブラケットとの間を「移動するように」配設されている場合に初めて達成される。この場合、タペットは、バックアップロールもしくは中間ロールチョック内か、ワークロールチョック内かのいずれかに配設することができ、バックアップロールもしくは中間ロールチョック内にタペットを配設することは、ワークロールを交換する際に圧力媒体供給ラインを分離する必要がないという利点を提供する。
【0009】
軸方向移動と組み合せた曲げもしくはバランス取りシステムを「移動するように」配設したこのような解決策は、特許文献5から公知である。ここでは、ワークロールチョックに同軸に配設された移動シリンダによってワークロールの軸方向移動が実現される。この場合、移動シリンダとワークロールセットは、1つのコンポーネントユニットを構成し、共にロールスタンドに組み込まれる。
【0010】
しかしながら不利なことに、これから、各ワークロールの交換セットに対して、軸方向移動シリンダを設けることも必要であり、これが、圧延装置の投資コストを増大させることが生じる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 256 408号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0 256 410号明細書
【特許文献3】独国特許第38 07 628号明細書
【特許文献4】欧州特許第0 340 504号明細書
【特許文献5】独国特許出願公開第101 50 690号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の基本にある課題は、一方で高いロール上昇を許容し、しかしながら他方で窓の高さに対して僅かな空間要量であることによって際立っているワークロールのための曲げ及び軸方向移動システムを有する圧延装置を提供することにある。更に、曲げもしくはバランス取り手段のタペットの良好な案内を保証すべきであり、その際、同時に、ワークロールの交換する場合に運転交替部分の数ができるだけ少なくなるように顧慮すべきである。加えて、これと関連したワークロールの軸方向のロック装置と軸方向移動経路の要求も満足すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、本発明によれば、軸方向移動手段が、ロールスタンドとワークロールロック装置間に配設されているか、もしくはその間で作用し、曲げ手段が、ワークロールチョックと別のロールチョック間に配設されているか、もしくはその間で作用することによって解決される。
【0013】
この措置の組み合わせによって、大きなロール上昇を圧延装置で行なうことが得られる。それにもかかわらず、僅かにしか空間を必要としない非常にコンパクトな機械のコンセプトが生じる。曲げ手段のタペットの案内は、最適に行なうことができる。加えて、圧延装置の一定の形成によって、ワークロールの交換が可能であり、この場合、軸方向移動手段を共に交換する必要はなく、従って、ワークロールを交換する場合に交換すべき部分の数は最小化されている。
【0014】
第1の発展構成では、別のロールチョック、即ち好ましくはバックアップロールのロールチョックが、ガイドを備え、このガイド内に、ワークロールチョックが、別のロールチョックに対して相対的に移動可能かつ固定可能に配設されている。
【0015】
軸方向移動手段は、好ましくはロールスタンドに不動に配設されており、かつ少なくとも1つのリニヤガイドを備え、このリニヤガイドに、ワークロールチョックが、軸方向の移動方向に対して横の方向に軸方向移動手段に対して相対的に移動可能、特に垂直方向に移動可能かつ固定可能に配設されている。
【0016】
ワークロールチョックの好ましい形成として、ワークロールチョックは、ワークロールの軸の両側に延在する2つのウェブを備え、これらウェブが、それぞれ1つの軸方向移動手段によってロック可能である。
【0017】
ロールスタンドにおけるワークロールチョックのロック装置に関しては、リニヤガイドが、軸方向移動手段に不動に配設されており、軸方向移動方向に対して横の方向、特に水平方向に移動可能な、好ましくはプレート状に形成されたロックバーを備え、このロックバーが、リニヤガイドと共にウェブの端部のために収容スリットを構成することが有利である。この場合、ロックバーは、操作手段と結合しており、この操作手段によって、ロックバーは、2つの位置、即ちロック位置と案ロック位置に位置決め可能である。更に、操作手段は、軸方向移動手段毎に好ましくは2つの油圧ピストン−シリンダシステムから成り、これらピストン−シリンダシステムは、互いに並行に配設されており、ロックバーを移動させることができ、ピストン−シリンダシステムは、ロックバーのワークロールチョックとは反対の側でこのロックバーに作用する。
【0018】
軸方向移動手段は、ある発展構成によれば、捩れを防止するための手段を備えており、これらの手段は、軸方向移動手段の軸方向の端部の捩れを防止する。
【0019】
ワークロールの曲げもしくはバランス取りをするために、好ましくは、油圧式のリニヤアクチュエータとして形成された少なくとも1つの曲げ手段が、別のロールチョックの突出するアーム内に配設されており、ワークロールチョックの横に突出するブラケットを圧迫する。この場合、曲げ手段とワークロールチョックの横に突出するブラケットとの間に摺動面が配設されていてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図面には、本発明の実施例が図示されている。これらの図を基にして本発明を以下で詳細に説明する。
【0021】
図1には、第1の実施形態による圧延装置1の部分が斜視図で図示されている。図2〜5は、この実施形態の外観及び断面を示す。
【0022】
圧延装置1は、詳細には図示されてないワークロール2を備え、このワークロールは、ワークロールチョック3内に支承されており、このワークロールチョックは、更にまた概略的にしか図示されてないロールスタンド4内に配設されている。ワークロールチョック3は、ワークロールロック装置5によってロールスタンド4に対して相対的にロック可能もしくはアンロック可能である。ワークロール2は、バックアップロールの形式の別のロール6によって支持される。この別のロール6は、別のロールチョック7内に支承され、この別のロールチョックは、同様にロールスタンド4に固定するか、もしくはそこにロックすることができる。
【0023】
ここでは圧延物の中心の上に設けられたワークロール2とバックアップロール6が図示されており、同じ配設が、圧延物の中心の下で対称に存在する。更に、圧延装置1は、別のロール、即ちワークロール2とバックアップロール6との間に配設されている中間ロールを備えることもできることを述べておく。
【0024】
ワークロール2は、その内の図1には既に述べたように上のワークロールだけが図示されているが、ロールスタンド4に対して相対的に軸方向に移動可能に配設されているべきである。このため、軸方向移動手段8が設けられており、この軸方向移動手段の構造は、後で詳細に説明する。それぞれ1つの軸方向移動手段8が、ワークロール2の中心の両側に設けられており、この場合、これらの手段は、その一方の軸方向の端部23によってロールスタンド4に固定されている。軸方向移動手段8の他方の軸方向の端部22には、ワークロールロック装置5が存在し、このワークロールロック装置によって、ワークロールチョック3は解放可能に固定することができる。この場合、ワークロールチョック3は、2つのウェブ12及び13を備え、これらウェブは、対称にワークロール2の軸から延びている。ウェブ12,13は、その端部15もしくは16で、ロックされた状態で収容スリット17内に収容されており、この収容スリットは、垂直方向に延在し、ワークロールチョック3が、これによりワークロール2が、必要な圧延間隙に相当する高さでロールスタンド4内に垂直方向に位置決め及び固定することができる可能性を提供する。この場合、収容スリット17は、一方で、ワークロールロック装置5を備えるリニヤガイド11によって制限され、他方で、後で更に詳細に説明するそのロックバー14によって制限される。
【0025】
図2に、ロール軸方向に見た圧延装置1の正面図を見ることができる。部分的に断面にして図示した概観図から、バックアップロール6のための別のロールチョック7がその下の領域に角柱状の切欠き部を備え、これによりこの切欠き部に挿入可能なワークロールチョック3のためのガイド10を構成することを読み取ることができる。即ち、ワークロール2は、そのワークロールチョック3と共に、垂直方向に別のロールチョック7もしくはバックアップロール6に対して相対的に位置決めすることができる。
【0026】
ワークロール2に曲げモーメントを導入するために、それ自身公知の方法で、油圧式のリニヤアクチュエータの形式の曲げ手段9が設けられており、これらの曲げ手段は、ワークロールチョック3と別のロールチョック7との間で作用する。
【0027】
軸方向移動手段8の構造は図3から分かり、ここでは、図2のA−A断面を見ることができる。軸方向移動手段8は、その一方の軸方向の端部23によってロールスタンド4に不動に配設されている。他方の軸方向の端部22には、ワークロールロック装置5が配設されている。軸方向移動手段8は、不動にロールスタンド4と結合された固定ブロック27から成り、この固定ブロックは、シリンダ状に突出し、移動シリンダの底を構成する。このシリンダ状の突出部の外径に、移動スリーブ28が摺動するように配設されている。移動スリーブ28は、ガイドブッシュを有する移動管と立方体に形成されたカバー29とから成る。このカバー29と、移動ピストン30が同軸に不動に結合されている。移動スリーブ28の移動管は、横に突出するガイドブラケット31を有し、このガイドブラケットは、固定ブロック27と結合されたT字部材32上を摺動する(図1参照)。これにより、軸方向移動手段8の捩れを防止するための手段21が提供されている。即ち、軸方向移動手段8の他方の軸方向の端部23に対して相対的な一方の軸方向の端部の捩れは排除される。
【0028】
T字部材32の基礎部分とガイドブラケット31の一方との間に距離測定システム33が配設されている。この距離測定システムによって、ワークロール2の現在の軸方向の位置を測定することが可能である。
【0029】
移動スリーブ28のカバー29の外側には、ワークロールロック装置5が取り付けられている。このワークロールロック装置は、本質的に基礎プレート34(図1及び4参照)、ロックバー14、及びロックバー14のための操作手段18から成る。ロックされた状態で、ワークロールロック装置5は、係合するようにワークロールチョック3のウェブ12,13と結合されている。固定ブロック27、移動スリーブ28、距離測定システム33、及びワークロールロック装置5から成る軸方向移動手段8は、入側及び出側で本質的に左右対称にロールスタンド4に配設されている。
【0030】
これに対して選択的に、ワークロールロック装置5は、基礎プレート34、ロックバー14のための操作手段18、及びロックバー14自身がワークロールセット2の軸受カバーに取り付けられ、軸方向移動手段8の移動スリーブ28に対する係合を生じさせるための相応の要素が存在することによってワークロールセット2に取り付けることができる。
【0031】
軸方向移動手段8の操作及びワークロールロック装置5とワークロールチョック3との間の係合により、ワークロール2の軸方向移動が行なわれる。この場合、ワークロールチョック3は、摺動するように内方へと突出する相応の別のロールチョック7のアームに導入される。ワークロールロック装置5は、別のロール6の図示されてないロックをするための軸方向の変位を備えるので、これらの装置の衝突が回避され、そうして大きなロール上昇が保証される。
【0032】
図5では、油圧操作されるリニヤアクチュエータの形式の曲げ手段9がどのように圧延装置1に組み込まれているかを見ることができる。曲げ手段9は、入側及び出側で有効にワークロールチョック3とバックアップロール6のためのロールチョック7との間に存在する。このため、別のロールチョック7は、突出するアーム24を備え、このアームは、曲げ手段9を担持する。これら曲げ手段は、ワークロールチョック3において、ワークロールチョック3に一体的に形成された、突出するブラケット25に当接する。図5には、曲げ手段9だけが図示されており、図3からは、実施例として2つの相前後して配設された2つの曲げ手段9が設けられていることを見ることができる。タペット35(可動部分)は、ピストンであり、このピストンは、シリンダ36の相応の孔内に同軸に配設されている。曲げ手段9の固定されている部分は、本質的に、下方に突出するアーム24に加工形成されている相応の孔を有するガイドブッシュと、エンドカバーと、種々のシール及び剥離要素とから成る。
【0033】
実施例(これについては図3参照)において、4つの曲げ要素9は、それぞれの側に2つ設けられており、この曲げ手段のタペット35は、ワークロールチョック3の横に突出するブラケット25に支持される。ワークロール2の軸方向の移動運動に際して、ブラケット25は、タペット35の接触面にわたって摺動する。これを機能的に支援するために、ブラケット25とのタペット35の接触領域に摺動面26が配設されている。
【0034】
これに対して選択的に、シリンダ36は、ワークロールチョック3の横に突出するブラケット25に統合されていてもよい。その場合、タペット35は、別のロールチョック7の突出するアーム24に支持される。
【0035】
図6a,6b〜14には、本発明による圧延装置1の選択的な形成が図示されている。符号は、図1〜5による第1の実施形態の符号に一致する。
【0036】
第2の実施例の一般的な機能方式は、第1の実施例の機能方式と同一であるのに対し、ここでは幾つかの詳細を詳しく説明する。
【0037】
軸方向移動手段8は、ここでも圧延ラインの上下及び操作側のロールスタンド4の入側並びに出側に存在する。圧延ラインの上のワークロール移動装置のための解決策は、大きな上昇が行なわれる場合に問題となる。圧延ラインの下のワークロール移動装置のための解決策は、通常又はこのように大きな上昇のために構成することができる。入側及び出側の装置は、本質的に同一であり、互いに対称であるので、既に第1の実施例の場合におけるように、ここでは代理で圧延ライン上に位置する上昇の大きな軸方向移動手段8だけを説明する。
【0038】
軸方向移動手段8の形成は、同様に前記実施例の形成に相応する。図8〜12に関連して、カバー29が移動ピストン30と不動に結合されていることが分かる。このカバーは、少なくとも移動スリーブ28の局所的な外部輪郭に向かってワークロールチョック3の方向に突出する。カバー29と移動スリーブ28に配設されたプレート37との間にロックバー14が取り付けられており、このロックバーは、移動スリーブ28を把持し、ロック装置を閉鎖するために、移動スリーブ28の軸に対して横のほぼ水平の方向に移動することができる。プレート37とロックバー14との間には、ロックバー14を閉鎖することによって垂直に延在する収容スリット17が構成され、この収容スリット内に、ワークロールチョック3の横に突出するウェブ12,13が案内される。このため、プレート37に切欠き部が加工形成されているか、プレート37とロックバー14との間に比較可能な切欠き部を有するスペーサが挿入されている。
【0039】
垂直に延在する収容スリット17は、ワークロールチョック3の横に突出するウェブ12,13を介して転送しなければならない軸方向の移動力を備え、同時に垂直方向に大きな相対運動を可能にする。これは、次に大きなロール上昇を可能にする。この場合、プレート37及びロックバー14に対するウェブ12,13の接触面は、ワークロールチョック3のウェブ12,13のための2つの支持部を構成する。垂直に延在する収容スリット17は、ロックバー14を引戻すことによってワークロールを取り外すために開放される。その場合には、ワークロールセットは、操作側に向かって引き出すことができる。
【0040】
移動スリーブ28上のプレート37は、2つの主機能を有する。一方で、このプレートは、ウェブ12,13のための両方の支持部の一方として使用される。他方で、このプレートは、軸方向移動手段8の捩れを防止するための手段21の一部である。
【0041】
捩れを防止するための手段21に対して2つの実施形態が好ましい:
【0042】
1つの可能性によれば、中心軸外に移動スリーブ28ミルハウジングに不動に取り付けられる部品が設けられている。この部品は、移動スリーブ28上のプレート37の開口部内に突出するか、移動スリーブ28上のプレート37に固定された部品が、ミルハウジングに固定の開口部内に突出する。捩れ防止装置は、最大移動距離全体に対して軸方向移動手段8の両方の軸方向の端部22と23の間の捩れが防止されるように、十分な長さのガイドを有していなければならない。
【0043】
これに対して選択的に、移動スリーブ28と移動ピストン30は、これらがシリンダ状の面で互いに摺動するのではなく、互いに捩れを防止するような面で摺動する。
【0044】
移動スリーブ28上のプレート37の両方の主機能の、即ち支持部と捩れ防止装置の一部の満足は、移動スリーブ28に取り付けるか溶接した2つの分離されたプレートによって得ることができる。プレートによる両機能の組み合わせは、製造技術的に簡単で、これにより有利である。
【0045】
ロックバー14によるワークロールロック装置5の詳細な形成は、図10及び12に図示されている。ロックバー14は、O字形又はU字形の切欠き部を備える(図10では、この切欠き部がO字形に形成されている)。ロックバー14は、カバー29の頭部の前に配設されているのではなく、移動スリーブ28を把持する。ロックバー14の切欠き部は、ロックバーが組立のためにO字形の形成では軸方向に、U字形の形成では軸方向又は半径方向に、移動スリーブ28上を移動することができるような大きさである。この場合、O字形は、閉じた形としてロックバー14の剛性の高い構成である。U字形は、カバー29を移動スリーブ28と解放不能に結合することができるという利点か、カバー29と移動スリーブ28を1つの部材から構成できるという利点を有する。
【0046】
U字形の構成では、ワークロールチョック3とは対向している移動スリーブ28の側が開放している。ロックバー14が移動スリーブ28を把持するので、ワークロールチョック3のウェブ12,13は、ロックバー14がカバー29の頭部の前に配設されている場合であっても、ワークロール軸受の中心から測って短くすることができる。こうして、ワークロール軸受と、ロックバー14とプレート37の両方の支持部によって構成されるガイドとの間のレバーアームが短くなる。短いレバーアームは、結果として、ガイド内の摩擦力が比較的少ない付加トルクをワークロール軸受に加えることになる。ワークロール軸受は、これにより大きな寿命を有する。
【0047】
ワークロールチョック3の横に突出するウェブ12,13のための収容スリット17の開閉は、水平又はほぼ水平のロックバー14の運動によって、即ちロックストロークによって成就される。従って、ロックバー14の切欠き部は、運動方向(水平)に少なくともロックストローク分だけ、組立のために必要となる分よりも大きい。
【0048】
ロックバー14の運動は、操作手段18によって行われる。これは、例えばピストン−シリンダシステム19,20(一貫したピストンロッドを有する油圧シリンダ)の形式の1つ又は複数の操作要素である。ピストン−シリンダシステム19,20は、適切な方法で、ロックバー14のワークロールチョック3とは反対の側に設置されている。2つのピストン−シリンダシステム19,20がロックバー14の切欠き部の上下に場所があり、プレート37又はカバー29に固定されている場合に、特に省スペースである。この形成は、図10に図示されており、図12では、ピストン−シリンダシステム19,20が詳細に示されている。
【0049】
場所の理由から、ロックバー14に更に別の切欠き部を設けることは、しかも捩れを防止するための手段21の要素を通し、この手段との衝突を回避するために有効である。
【0050】
ロックバー14は、図10による実施例では3つの切欠き部を、即ち、移動スリーブ28のための1つの大きな切欠き部と、ピストン−シリンダシステム19,20のための2つの小さな切欠き部と、軸方向移動手段8の捩れを防止するための手段21との衝突を回避するための別の切欠き部とを有する。
【0051】
ロックバー14は、ピストン−シリンダシステム19,20によって開いた位置又は閉じた位置に保持される。しかしながら、ロックバーは、付加的に更に捩れないように1つの軸に対して平行に、又は理想的には移動スリーブ28の中心軸を含めて確保されなければならない。このため、図10による実施例において見ることができるように、移動スリーブ28のカバーの上下又は移動スリーブ28のプレートの上下に、このような捩れを防止する条片38,39を取り付けてもよい。条片38,39は、プレート37もしくはプレート37及び移動スリーブ28と共に共通の部品を構成することもできる。捩れ防止装置の選択的な形成は、プレート37又はカバー29に水平な溝を形成し、これらの溝内をロックバー14の隆起した条片が案内される場合に得られる。更に、溝をロックバー14に形成し、隆起した条片37又はカバー29に取り付けることも可能である。捩れ防止装置をプレート37に取り付けるバリエーションでは、その場合にカバー29が付加的に捩れを要求されないという利点がある。
【0052】
移動スリーブ28のカバー29は、2つの機能を満足することができるように形成されている。即ちこれは、一方で、移動ピストン30がカバー29と同軸に不動に結合されていて(図8参照)、ピストンがカバーを介して移動スリーブ28を取付け部品と共に、従ってワークロールチョック3のための垂直に延在する収容スリーブ17も軸方向に移動させることができることであり、他方で、カバー29が、特にそのワークロールチョック3に向かって突出する部分と共にロックバー14のための支持部を構成することである。ロックバー14は、そこで、及び移動スリーブ28の上下でもカバー29に支持すること、もしくは移動スリーブ28を把持することができる。付加的に、カバー29は、捩れ防止装置の要素を通し、これによりこの捩れ防止装置との衝突を防止するために、切欠き部を有することもできる。カバー29を短く形成するために、カバーとロックバーとの間に中間部材を組み込むことも可能である。
【0053】
カバー29かこの中間部材かのいずれかに、移動スリーブ28上でこれらのものが捩れないようにする防止装置が設けられてもよい。これに対する可能性は、移動スリーブ28に、移動ピストン30の軸の方向を示さない1つ又は複数の平面を設けること、並びにカバー29又は上述の中間部材に相応の相手面を設けることである。カバー29は、いずれにしても、ロックバー14がカバー29に対して捩れないように保護される場合に、移動スリーブ28に対して相対的に捩れないように保護されなければならない。
【0054】
軸方向移動距離の測定は、軸方向移動手段8の内外に配設されたユニットによって可能にされる。圧力システムの下への測定値センサの配設は、整備作業を行なう場合に危険がある傾向のためにできるだけ回避される。距離測定システム33は、外側に位置する又は内側に位置するユニットとして形成することができる。外側に位置するユニットの場合、有害な環境への影響を与えないような保護が必要であり、これは、油圧シリンダと同様のカプセル化されたシステムによって得ることができる。ミルハウジングに不動に取り付けられている様式のピストンは、軸方向移動装置の可動部に固定されているシリンダチューブを摺動する。このシリンダチューブと同軸に、測定値センサが運動し、相応の距離信号を発する。相応のシール及び剥離要素によって、システムの十分な保護が得られる。内側に位置するユニットの場合、位置センサは、可動部の端面から見て移動スリーブに導入される。必要なカプセル化装置は、移動システム自身によって形成される。相応にシールされたハウジングは、位置センサのエレクトロニクス部品を保護する。
【0055】
図9による形成では、位置センサ40は、移動スリーブ28の移動ストロークをコントロールするために軸方向移動手段8に配設されている。圧力室の内側、しかしながらそれにもかかわらず外側への位置センサロッド41の配設は、その場合にこの要素が付加的なカプセル化装置なしで環境への影響を与えないように保護されているので有利である。位置センサ40は、カバー29に取り付けられており、位置センサロッド41は、カバー29の孔を経て案内されており、内部カバーの孔に入る。内部カバー42は、ロールスタンド4に不動に配設された軸方向移動手段8の部分の一部であるので、ロールスタンド4に対するカバー29の相対移動の測定が可能である。
【0056】
一般的に、前記軸方向移動手段を曲げ手段9の種々のバリエーションと組み合せることが可能である:
【0057】
図13及び14から分かるように、曲げ手段9は、上のバックアップロールセットの別のロールチョック7の下へと突出するアーム24内に存在する。可動のタペット35は、本質的にワークロールチョック3の横に突出するブラケット25に支持されるピストンである。即ち、曲げ手段9のコンセプトは、本質的に図5に示されているものに相当する。
【0058】
複数のタペット35の場合、ワークロール軸受ができるだけ僅かにしか中心外に負荷を受けないように、個々のシリンダ室内の圧力をコントロールするという可能性がある(「圧力計」)。
【0059】
これに対して選択的に、タペット35は、ワークロールチョック3の横に突出するブラケット25内に収容することができる。この場合、タペット35は、別のロールチョック7の下へと突出するアーム24に支持される。この場合、ワークロール軸受は、中心でのみ負荷を受ける。
【0060】
下の曲げ手段9は、ミルハウジングの固定ブロック内に存在してもよい。これに対して選択的に、この曲げ手段は、下のバックアップロールセット又は中間ロールセットの別のロールチョックの上へと突出するアーム内又はワークロールチョックの横に突出するブラケット内に収容することもできる。
【0061】
従って、本発明による構成によって、曲げ手段9の「移動するような」配設を得ることができ、その際、提案した構造上の形成によって、発生する傾倒モーメントは、ワークロールを軸方向に移動させる場合に最適に吸収することができる。結局、圧延装置のコンセプトは、大きなロール上昇が行なわれる場合であっても、種々の部品の互いの衝突を排除する。それにもかかわらず、大きな構造空間をロールスタンド内に何ら必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】斜視図でワークロールチョックと別のロールチョックとび軸方向移動手段とを有する第1の実施形態による圧延装置の部分を示す。
【図2】ロール軸方向に見た図1による圧延装置の正面図を示す。
【図3】図2の断面A−Aを示す。
【図4】図2の右側から見た軸方向移動手段の側面図を示す。
【図5】図2の詳細「Y」による曲げ手段を断面図で示す。
【図6a】斜視図でワークロールチョックと別のロールチョックと2つの軸方向移動手段とを有する第2の実施形態による圧延装置の部分を示し、この場合、ロックバーが開放された左側の軸方向移動手段が示されている(アンロック位置)。
【図6b】図6aによる圧延装置の別の斜視図を示し、この場合、図6aの右側の軸方向移動手段が図示されており、ロックバーが閉鎖されたこの軸方向移動手段が示されている(ロック位置)。
【図7】ロール軸方向に見た図6a/6bによる圧延装置の正面図を示す。
【図8】図7による断面A−Aを示す。
【図9】図8の詳細「Y」による軸方向移動手段を断面図で示す。
【図10】図9の断面B−Bを示す。
【図11】図7の断面C−Cを示す。
【図12】図10の断面D−Dを示す。
【図13】図7の断面E−Eを示す。
【図14】図7の詳細「Z」による曲げ手段を示す。
【符号の説明】
【0063】
1 圧延装置
2 ワークロール
3 ワークロールチョック
4 ロールスタンド
5 ワークロールロック装置
6 別のロール(バックアップロール)
7 別のロールチョック(バックアップロールのための)
8 軸方向移動手段
9 曲げ手段
10 ガイド
11 リニヤガイド
12 ウェブ
13 ウェブ
14 ロックバー
15 ウェブの端部
16 ウェブの端部
17 収容スリット
18 ロックバーのための操作手段
19 ピストン−シリンダシステム
20 ピストン−シリンダシステム
21 捩れを防止するための手段
22 軸方向移動手段の軸方向の端部
23 軸方向移動手段の軸方向の端部
24 別のロールチョックの突出するアーム
25 ワークロールチョックの突出するブラケット
26 摺動面
27 固定ブロック
28 移動スリーブ
29 カバー
30 移動ピストン
31 ガイドブラケット
32 T字部材
33 距離測定システム
34 基礎プレート
35 タペット
36 シリンダ
37 プレート
38 条片
39 条片
40 位置センサ
41 位置センサロッド
42 内部カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールスタンド(4)内のワークロールチョック(3)が少なくとも1つのワークロールロック装置(5)を介してロック及びアンロック可能である、それぞれワークロールチョック(3)によってロールスタンド(4)内に支承されている2つのワークロール(2)と、それぞれ別のロールチョック(7)によってロールスタンド(4)内に支承されている少なくとも2つの別のロール(6)、特に2つのバックアップロールとを有し、ワークロール(2)の少なくとも一方及び別のロール(6)の少なくとも一方が、ロールスタンド(4)内で他方のワークロール(2)もしくは他方の別のロール(6)に対して相対的に、特に垂直方向に所望のロール間隙を調整するために調整可能であり、ワークロール(2)が、これらワークロール(2)をロールスタンド(4)に対して相対的に所望の軸方向の位置に移動させ、そこに保持可能にする、軸方向に移動させるための軸方向移動手段(8)を備えており、ワークロール(2)が、これらワークロールに曲げモーメントを作用可能にする曲げ手段(9)と作用結合している、圧延装置(1)において、
軸方向移動手段(8)が、ロールスタンド(4)とワークロールロック装置(5)間に配設されているか、もしくはその間で作用し、曲げ手段(9)が、ワークロールチョック(3)と別のロールチョック(7)間に配設されているか、もしくはその間で作用することを特徴とする圧延装置。
【請求項2】
別のロールチョック(7)が、ガイド(10)を備え、このガイド内に、ワークロールチョック(3)が、別のロールチョック(7)に対して相対的に移動可能かつ固定可能に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の圧延装置。
【請求項3】
軸方向移動手段(8)が、ロールスタンド(4)に不動に配設されており、かつ少なくとも1つのリニヤガイド(11)を備え、このリニヤガイドに、ワークロールチョック(3)が、軸方向の移動方向に対して横の方向に軸方向移動手段(8)に対して相対的に移動可能、特に垂直方向に移動可能かつ固定可能に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧延装置。
【請求項4】
ワークロールチョック(3)が、ワークロール(2)の軸の両側に延在する2つのウェブ(12,13)を備え、これらウェブが、それぞれ1つの軸方向移動手段(8)によってロック可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の圧延装置。
【請求項5】
リニヤガイド(11)が、軸方向移動手段(8)に不動に配設されており、軸方向移動方向に対して横の方向、特に水平方向に移動可能な、好ましくはプレート状に形成されたロックバー(14)を備え、このロックバーが、リニヤガイド(11)と共にウェブ(12,13)の端部(15,16)のために収容スリット(17)を構成することを特徴とする請求項3又は4に記載の圧延装置。
【請求項6】
ロックバー(14)が、移動スリーブ(28)を把持することを特徴とする請求項5に記載の圧延装置。
【請求項7】
ロックバー(14)が、操作手段(18)と結合しており、この操作手段によって、ロックバーが、2つの位置、即ちロック位置とアンロック位置に位置決め可能であることを特徴とする請求項5又は6に記載の圧延装置。
【請求項8】
操作手段(18)が、軸方向移動手段(8)毎に2つの油圧ピストン−シリンダシステム(19,20)から成り、これらピストン−シリンダシステムが、互いに並行に配設されており、ロックバー(14)を移動させることができ、ピストン−シリンダシステム(19,20)が、ロックバー(14)のワークロールチョック(3)とは反対の側でこのロックバーに作用することを特徴とする請求項7に記載の圧延装置。
【請求項9】
軸方向移動手段(8)が、捩れを防止するための手段(21)を備えており、これらの手段が、軸方向移動手段(8)の軸方向の端部(22)の捩れを防止することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の圧延装置。
【請求項10】
油圧式のリニヤアクチュエータとして形成された少なくとも1つの曲げ手段(9)が、別のロールチョック(7)の突出するアーム(24)内に配設されており、ワークロールチョック(3)の横に突出するブラケット(25)を圧迫することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の圧延装置。
【請求項11】
曲げ手段(9)とワークロールチョック(3)の横に突出するブラケット(25)との間に摺動面(26)が配設されていることを特徴とする請求項10に記載の圧延装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2007−500079(P2007−500079A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521469(P2006−521469)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2004/008129
【国際公開番号】WO2005/011884
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(390035426)エス・エム・エス・デマーク・アクチエンゲゼルシャフト (320)