説明

圧延銅箔の熱履歴測定方法

【課題】圧延銅箔からなる負極集電体の熱履歴を測定する適切な方法を提案する。
【解決手段】この熱履歴測定方法は、検査対象となる圧延銅箔について、X線回析(XRD:X-ray diffraction)によって得られる200面と220面とのピーク強度比を求める(ピーク強度比測定工程)。そして、予め求められた圧延銅箔について得られたピーク強度比と熱履歴との相関関係に基づいて、検査対象となる圧延銅箔の熱履歴を求めている(熱履歴算出工程)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧延銅箔の熱履歴測定方法に関する。圧延銅箔は、例えば、リチウムイオン二次電池の負極集電体に用いられる。本発明は、かかる圧延銅箔の熱履歴を測定する方法に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、例えば、それぞれシート状の集電体に電極活物質を塗工した正極シートと負極シートとを、セパレータを介して重ね合わせて捲回した捲回電極体を備えている。かかるリチウムイオン二次電池の負極集電体には、圧延銅箔が用いられる場合がある。
【0003】
ところで、特開2008−4462号公報(特許文献1)には、電解法によって得られた銅箔を、さらに電解槽中に浸漬して表面に銅微粒子を析出させ、両面を粗面化した電解銅箔をリチウムイオン二次電池の負極集電体に用いることが提案されている。この電解銅箔について、X線回折像において、220面による回折のピーク強度I(220)と、200面による回折のピーク強度I(200)との比I(220)/I(200)が、I(220)/I(200)>1の関係を満たす電解銅箔が好ましいとされている。
【0004】
なお、リチウムイオン二次電池に関する技術分野ではないが、特開2003−7710号公報(特許文献2)には、熱処理前後のシリコンウェハのX線回折強度比に基づいてシリコンウェハに施す熱処理条件を決定する方法が開示されている。また、特許2867311号公報(特許文献3)には、所定粒径の未焼成セラミック粉末を原料として作成した試験片を熱処理した際に析出する析出結晶の結晶化度を、X線回折法によって、結晶のX線強度の変化で測る方法が開示されている。また、特開昭61−175554号公報(特許文献4)には、X線回折を用いた金属管の非破壊検査方法が開示されている。また、特公平3−69973号公報(特許文献5)には、先行技術として焼鈍中の鋼板にX線回折を行い、そこから得られる情報をフィードバックさせて鋼板の製造方法を精密化する方法が挙げられている。また、特開2006−348348号公報(特許文献6)には、一酸化珪素の蒸着膜の形成に使用される粉末焼結型の一酸化珪素系蒸着材料の選定に、X線回折を用いた技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−4462号公報
【特許文献2】特開2003−7710号公報
【特許文献3】特許2867311号
【特許文献4】特開昭61−175554号公報
【特許文献5】特公平3−69973号公報
【特許文献6】特開2006−348348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、圧延銅箔からなる負極集電体に負極活物質を塗工した負極シートを用いたリチウムイオン二次電池を検討している。かかる負極シートを得る工程では、例えば、圧延銅箔からなる負極集電体に負極活物質を塗布した後で高温雰囲気に晒して乾燥させている。かかる負極シートの乾燥工程は、連続して搬送される帯状の負極シートを乾燥炉に通して行う。負極集電体に用いられた圧延銅箔は、かかる乾燥工程において熱に晒される。圧延銅箔は熱に晒されると表面に銅酸化物を含む不純物層が形成される場合がある。本発明者は、圧延銅箔からなる負極集電体に不純物層が過度に形成されると、負極集電体の電気抵抗が高くなり、リチウムイオン二次電池の特性が低下する場合があると考えた。そして、負極シートを製造する際の乾燥工程で、負極集電体としての圧延銅箔に付与される熱を管理することで、圧延銅箔の表面に銅酸化物を含む不純物層が過度に形成されるのを防止できると考えた。しかしながら、かかる負極シートの乾燥工程で、圧延銅箔からなる負極集電体に付与される熱を適切に測定する方法は確立されていない。
【0007】
圧延銅箔からなる負極集電体の熱履歴を測定する方法としては、例えば、圧延銅箔に熱電対を取り付けて、圧延銅箔に実際に作用する熱を測る方法がある。しかしながら、負極シートの乾燥工程は、連続して搬送される帯状の負極シートを乾燥炉に通して行う。このため負極シートに熱電対を取り付けて搬送することは難しく、圧延銅箔に実際に作用する熱を測るのは難しい。そこで、本発明は、圧延銅箔からなる負極集電体の熱履歴を測定する方法としてより適切な方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る圧延銅箔の熱履歴測定方法は、検査対象となる圧延銅箔について、X線回析によって200面と220面とのピーク強度比を求めるピーク強度比測定工程と、予め求められた圧延銅箔について得られたピーク強度比と熱履歴との相関関係と、ピーク強度比測定工程によって得られたピーク強度比とに基づいて、検査対象となる圧延銅箔の熱履歴を求める熱履歴算出工程とを備えている。本発明の熱履歴測定方法によれば、検査対象となる圧延銅箔のピーク強度比から圧延銅箔の熱履歴を測定することができる。
【0009】
また、圧延銅箔からなる負極集電体に負極活物質が塗工された負極シートを有するリチウムイオン二次電池の製造方法において、X線回析によって得られた負極集電体の200面と220面とのピーク強度比に基づいて、負極シートの良否判定を行う検査工程を備えていてもよい。また、圧延銅箔からなる負極集電体に負極活物質を塗工した負極シートを有するリチウムイオン二次電池において、負極集電体の、X線回析における200面と220面とのピーク強度比I(200)/I(220)を10.8以下にしてもよい。
【0010】
また、本発明に係るリチウムイオン二次電池の検査方法は、圧延銅箔からなる負極集電体に負極活物質を塗工した負極シートを有するリチウムイオン二次電池の検査方法である。このリチウムイオン二次電池の検査方法は、リチウムイオン二次電池から取り出した負極シートについて、X線回析における200面と220面とのピーク強度比を求めるピーク強度比測定工程;及び、予め求められた圧延銅箔について得られたピーク強度比と熱履歴との相関関係と、ピーク強度比測定工程で得られた負極シートのピーク強度比とに基づいて、リチウムイオン二次電池内で生じた熱を推定する工程;を有している。この圧延銅箔の熱履歴測定方法によれば、リチウムイオン二次電池内でどの程度の熱が発生したかを調べることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】X線回析を模式的に示す図。
【図2】圧延銅箔と電解銅箔のX線回折を示す図。
【図3】120℃の恒温雰囲気に晒された圧延銅箔のX線回析を示す図。
【図4】140℃の恒温雰囲気に晒された圧延銅箔のX線回析を示す図。
【図5】160℃の恒温雰囲気に晒された圧延銅箔のX線回析を示す図。
【図6】180℃の恒温雰囲気に晒された圧延銅箔のX線回析を示す図。
【図7】120℃の恒温雰囲気に晒された圧延銅箔のX線回析を部分的に拡大した図。
【図8】140℃の恒温雰囲気に晒された圧延銅箔のX線回析を部分的に拡大した図。
【図9】160℃の恒温雰囲気に晒された圧延銅箔のX線回析を部分的に拡大した図。
【図10】180℃の恒温雰囲気に晒された圧延銅箔のX線回析を部分的に拡大した図。
【図11】異なった温度の恒温雰囲気に30秒間晒された圧延銅箔のX線回析を示す図。
【図12】ピーク強度比と恒温雰囲気の温度との関係を示す図。
【図13】リチウムイオン二次電池を模式的に示す図。
【図14】リチウムイオン二次電池の捲回電極体を模式的に示す図。
【図15】本発明の一実施形態に係る負極シートの製造工程を模式的に示す図。
【図16】リチウムイオン二次電池を搭載した車両を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る圧延銅箔の熱履歴測定方法を説明する。
本発明の一実施形態に係る圧延銅箔の熱履歴測定方法は、検査対象となる圧延銅箔について、X線回析(XRD:X-ray diffraction)によって得られる200面と220面とのピーク強度比を求める。そして、予め求められた圧延銅箔について得られたピーク強度比と熱履歴との相関関係に基づいて、検査対象となる圧延銅箔の熱履歴を求めている。かかる圧延銅箔の熱履歴測定方法によれば、例えば、負極シートの乾燥工程において、圧延銅箔が実際に受けた熱をより的確に知ることができる。そして、圧延銅箔に形成される不純物層を低減できるように、負極シートの乾燥工程のプロセスをより適切に管理することができる。また、X線によって圧延銅箔を検査するので、負極シートに対する配線が不要である。このため、かかる圧延銅箔の熱履歴測定方法は、乾燥炉に連続して搬送される帯状の負極シートの乾燥工程にも適用し易い。
【0013】
以下、圧延銅箔のX線回析を説明する。図1は、X線回折を示す概略図である。X線回折では、X線発生源22から照射されるX線24を試料26(圧延銅箔)の試料面26aに照射する。試料面26aは、圧延銅箔の圧延された面である。この際、試料26を所定の走査軸αで回転走査しながらX線24を照射し、試料26によって回析されたX線28を検査器30でとらえる。例えば、試料の走査角をθ、検出器の走査角を2θで走査する。次に試料から回析されてくるX線を検出器でとらえる。そして、X線の回析方向と入射方向の角度差(2θ)と、回析X線強度(I)を測定する。このように入射されるX線に対して、試料の走査角をθとし、検出器の走査角を2θとして走査する測定方法は2θ/θ測定(2θ/θスキャン法)と言われている。かかるX線回折は、種々の検査装置メーカーから市販されているX線回折装置を用いて検査できる。例えば、株式会社リガク製のX線回折装置RINT−2000を用いることができる。
【0014】
なお、図1における3つの走査軸は、θ軸が試料軸、α軸があおり軸、β軸が面内回転軸と呼ばれる。また、X線24を照射する方向、試料26によって回析されたX線28を検査器30でとらえる方向に対して試料26を移動させる方法を例示した。これに限らず、X線24を照射する方向、試料26によって回析されたX線28を検査器30でとらえる方向を、試料26に対して移動させてもよい。
【0015】
多結晶体である銅箔のX線回折では、例えば、図2に示すように、111面と200面と220面とにピーク強度が生じる。ここで、111面と200面と220面とは、いわゆるミラー指数で規定された結晶格子面である。本発明者の知見では、通常の圧延銅箔Aでは、図2に示すように、111面のピーク強度I(111)に比べて200面のピーク強度I(200)や220面のピーク強度I(220)が高くなる。これに対して、特許文献1に開示されているような電解銅箔Bでは、200面のピーク強度I(200)や220面のピーク強度I(220)に比べて111面のピーク強度I(111)が高くなる。このように、圧延銅箔と電解銅箔では、X線回折の結果が異なることからもわかるように、結晶構造が大きく異なる。なお、200面のピーク強度I(200)は、2θが50°付近に現れ、220面のピーク強度I(220)は2θが74°付近に現れる。
【0016】
本発明者は、熱履歴が既知の圧延銅箔についてX線回折を行い、それぞれ200面のピーク強度I(200)と220面のピーク強度I(220)を得た。圧延銅箔は、熱履歴によって、200面のピーク強度I(200)と220面のピーク強度I(220)が変化する。以下、図3〜図6にその一例を示す。
【0017】
例えば、図3は、120℃の恒温雰囲気に10秒、30秒、600秒の所定の秒数晒した圧延銅箔のX線回折をそれぞれ示している。また、図3では、120℃の恒温雰囲気に10秒晒した圧延銅箔のX線回折データをx11、120℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折データをx12、120℃の恒温雰囲気に600秒晒した圧延銅箔のX線回折データをx13としている。なお、図7は、かかる図3に示すX線回折の結果を部分的に拡大した図である。
【0018】
また、図4は、140℃の恒温雰囲気に10秒、30秒、600秒の所定の秒数晒した圧延銅箔のX線回折をそれぞれ示している。また、図4では、140℃の恒温雰囲気に10秒晒した圧延銅箔のX線回折をx21、140℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折をx22、140℃の恒温雰囲気に600秒晒した圧延銅箔のX線回折をx23としている。なお、図8は、かかる図4に示すX線回折の結果を部分的に拡大した図である。
【0019】
また、図5は、160℃の恒温雰囲気に10秒、30秒、600秒の所定の秒数晒した圧延銅箔のX線回折をそれぞれ示している。また、図5では、160℃の恒温雰囲気に10秒晒した圧延銅箔のX線回折をx31、160℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折をx32、160℃の恒温雰囲気に600秒晒した圧延銅箔のX線回折をx33としている。なお、図9は、かかる図5に示すX線回折の結果を部分的に拡大した図である。
【0020】
また、図6は、180℃の恒温雰囲気に10秒、30秒、600秒の所定の秒数晒した圧延銅箔のX線回折をそれぞれ示している。また、図6では、180℃の恒温雰囲気に10秒晒した圧延銅箔のX線回折をx41、180℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折をx42、180℃の恒温雰囲気に600秒晒した圧延銅箔のX線回折をx43としている。なお、図10は、かかる図6に示すX線回折の結果を部分的に拡大した図である。
【0021】
さらに、図3から図6に、それぞれ加熱処理を施していない圧延銅箔のX線回折の結果をX0で示している。なお、図3から図6では、各X線回折の結果が重ならないように、各X線回折の結果を少しずつずらして示している。
【0022】
図3から図6に示すように、圧延銅箔の200面のピーク強度I(200)は、付与される熱によって影響を受け易く、付与される熱が大きくなると200面のピーク強度I(200)が高くなる傾向がある。これに対して、圧延銅箔の220面のピーク強度I(220)は、200面のピーク強度I(200)に比べて、熱の影響を受け難い。
【0023】
また、圧延銅箔は熱に晒されることによって表面に銅酸化物を含む不純物層が形成される場合がある。かかる不純物層が形成された場合には、圧延銅箔のX線回折において、ミラー指数で規定される特定の面W(2θが45.2付近)に僅かなピークが発現する。リチウムイオン二次電池の負極集電体として用いる場合には、かかる不純物層が発現しないことが望ましい。
【0024】
例えば、図7〜図10に示すように、圧延銅箔はある程度以上の熱に晒されることによって、不純物層が形成された場合には、不純物層に起因して、2θが45.2付近(Wで示す箇所)にX線回折にピークが生じる。例えば、図7に示すように、圧延銅箔を120℃の恒温雰囲気に30秒晒した場合(x12)では、不純物層に起因するX線回折のピークは発現しないが、120℃の恒温雰囲気に600秒晒した場合(x13)では、不純物層に起因するX線回折のピークが発現する。図8及び図9に示すように、140℃の恒温雰囲気に晒す場合や160℃の恒温雰囲気に晒す場合では、同様に、当該恒温雰囲気に30秒晒した場合(x22、x32)では不純物層に起因するX線回折のピークは発現しないが、当該恒温雰囲気に600秒晒した場合(x23、x33)では不純物層に起因するX線回折のピークが発現する。これに対して、180℃の恒温雰囲気に晒す場合では、図10に示すように、恒温雰囲気に30秒晒した場合(x42)でも不純物層に起因するX線回折のピークが発現する。
【0025】
本発明者は、上記のような圧延銅箔のX線回折の結果から、以下の(1)〜(4)の事象を見出した。(1)180℃よりも低い温度域の恒温雰囲気に晒して圧延銅箔を加熱する場合、加熱時間が30秒以内であれば、200面のピーク強度I(200)と220面のピーク強度I(220)との比と、圧延銅箔が受けた熱(熱履歴)との間に一応の相関関係が見られる。
【0026】
(2)180℃よりも高い温度域の恒温雰囲気に晒して圧延銅箔を加熱する場合には、圧延銅箔に不純物層が発現し易い。(3)180℃よりも低い温度域の恒温雰囲気に晒した場合であっても、加熱時間が30秒よりも長くなると、圧延銅箔に不純物層が発現する場合がある。(4)圧延銅箔に不純物層が過度に発現すると、X線回折のピーク強度の傾向が変わる。リチウムイオン二次電池の負極集電体に用いられる圧延銅箔としては、不純物層が過度に発現することは望ましくない。
【0027】
これに対して、180℃よりも低い温度域の恒温雰囲気に晒して圧延銅箔を加熱する場合で加熱時間が30秒以内であれば、圧延銅箔に不純物層が発現し難く、X線回折のピーク強度が同じような傾向を示す。この場合、加熱時間が同じであれば、加熱温度が高くなるにつれて200面のピーク強度I(200)が上がるものの、220面のピーク強度I(220)はほとんど変化が見られない。また、200面のピーク強度I(200)のみでは、圧延銅箔の個体差も生じる。そこで、本発明者は、200面のピーク強度I(200)と220面のピーク強度I(220)との比から圧延銅箔が受けた熱(熱履歴)を推定することを考えた。
【0028】
例えば、上述した図3〜図6から恒温雰囲気に30秒晒した場合の圧延銅箔のX線回折のデータを集めると、図11に示すようになる。図11中、x0は加熱処理を施していない圧延銅箔のX線回折のデータである。x12は120℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折のデータである。x22は140℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折のデータである。x32は160℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折のデータである。x42は180℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折のデータである。
【0029】
また、図12は、恒温雰囲気に30秒晒した場合の圧延銅箔のX線回折のデータについて、200面のピーク強度I(200)と220面のピーク強度I(220)との比(ここでは、ピーク強度比I(200)/I(220)という。)と、恒温雰囲気の温度との関係を示している。なお、図12中、プロットx12は、120℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折のデータから得られるピーク強度比I(200)/I(220)を示している。また、プロットx22は、140℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折のデータから得られるピーク強度比I(200)/I(220)を示している。プロットx32は、160℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折のデータから得られるピーク強度比I(200)/I(220)を示している。
【0030】
なお、180℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折のデータx42は、図10に示すように、不純物層に起因するピークWが見られる。この場合、ピーク強度比I(200)/I(220)が不純物層の影響を受けている可能性を否定できない。このため、図12には、180℃の恒温雰囲気に30秒晒した圧延銅箔のX線回折のデータx42を採用していない。
【0031】
表1は、図11及び図12に示すデータについて、圧延銅箔を恒温雰囲気に30秒晒した際の熱処理温度、当該圧延銅箔のX線回折データ中の200面のピーク強度I(200)、220面のピーク強度I(220)、ピーク強度比I(200)/I(220)をそれぞれ示している。
【表1】

【0032】
また、図12に示すように、恒温雰囲気に30秒晒した場合の圧延銅箔のX線回折のデータについて、ピーク強度比I(200)/I(220)と、恒温雰囲気の温度との関係から、近似曲線Lを得ることができる。かかる近似曲線Lは、実際にはより多くのデータをとって算出するとよい。また、近似曲線Lは、1次式近似、2次式近似など種々の適当な手法で得るとよい。図12に示す例では、近似曲線Lは2次式近似で得ている。
【0033】
次に、熱履歴が未知の検査対象となる圧延銅箔についてX線回折を行い、ピーク強度比I(200)/I(220)を得る(ピーク強度比測定工程)。そして、上記のように、ピーク強度比I(200)/I(220)と熱履歴との相関関係を予め求めておき、ピーク強度比測定工程によって得られたピーク強度比I(200)/I(220)と当該相関関係とに基づいて、検査対象となる圧延銅箔の熱履歴を求める(熱履歴算出工程)。
【0034】
例えば、ピーク強度比測定工程によって、検査対象となる圧延銅箔から得られたピーク強度比I(200)/I(220)をY1とする。この場合、図12に示すように、かかるピーク強度比Y1と、ピーク強度比I(200)/I(220)と熱履歴との相関関係を示す近似曲線Lとに基づいて、30秒の恒温雰囲気に圧延銅箔を晒した際の熱処理温度に相当するT1を求めることができる。
【0035】
このように、本発明者は、上述の相関関係に基づいて、ピーク強度比I(200)/I(220)から圧延銅箔の熱履歴を推定できると考えた。ここで、熱履歴は、所定の時間、所定温度の恒温雰囲気に圧延銅箔を晒し、当該恒温雰囲気の温度と、圧延銅箔のピーク強度比I(200)/I(220)との相関関係Lを得ている。そして、熱履歴が未知の検査対象となる圧延銅箔のピーク強度比Y1と、当該相関関係Lとに基づいて、検査対象となる圧延銅箔の熱履歴として、30秒の恒温雰囲気に圧延銅箔を晒した際の熱処理温度に相当する温度T1を得ている。すなわち、ここでは、ピーク強度比がY1であった検査対象となる圧延銅箔について、温度T1の恒温雰囲気に30秒晒したのと概ね同様の状態と推定できる。このように、この圧延銅箔の熱履歴測定方法によれば、厳密な意味での圧延銅箔の熱履歴、すなわち、圧延銅箔がどのような熱に晒されたかを完全に計測することはできないが、所定の熱処理温度の恒温雰囲気に30秒晒した場合に相当する熱処理温度を概ね推定できる。
【0036】
次に、実際に、リチウムイオン二次電池に用いられる負極シートについて、圧延銅箔の熱履歴測定方法を説明する。
【0037】
この実施形態では、リチウムイオン二次電池1000は、図13に示すように、捲回電極体100を備えている。図13に示すリチウムイオン二次電池1000では、矩形の電池ケース300内に収容した捲回電極体100を電解液(図示省略)に浸漬させている。捲回電極体100は、図14に示すように、セパレータ102、104を介して、正極シート101と負極シート103とを重ね合わせて捲回している。セパレータ102、104は、イオン性物質が透過可能な膜であり、この実施形態では、ポリプロピレン製の微多孔膜が用いられている。
【0038】
正極シート101は、この実施形態では、アルミニウム箔からなる正極集電体131の両面に正極活物質を含む電極材料132が塗工されている。当該電極材料132に含まれる正極活物質としては、例えば、マンガン酸リチウム(LiMn)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)やこれらの遷移金属置換体などが挙げられる。
【0039】
負極シート103は、この実施形態では、圧延銅箔からなる負極集電体141の両面に負極活物質を含む電極材料142が塗工されている。当該電極材料142に含まれる負極活物質としては、例えば、グラファイト(Graphite)やアモルファスカーボン(Amorphous Carbon)などの炭素系材料、リチウム含有遷移金属酸化物や遷移金属窒化物などが挙げられる。具体的には、この実施形態では、負極活物質としてグラファイトを用い、かかるグラファイトと、カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose:CMC)と、水とを重量比で98:1:250になるように混合し、さらに、負極活物質としてのグラファイトに対して1.02重量部のスチレンブタジエンラバー(styrene-butadiene rubber:SBR)を均一に分散させたペーストを負極集電体141に塗工している。
【0040】
かかる負極の電極材料142の塗工工程は、例えば、図15に示すように、塗布装置400(例えば、ダイコータ)を用いて、所定の塗工重量(例えば、片面の塗工重量が3.2mg/cm)で負極集電体141の両面に塗布する。その後、乾燥炉410に負極集電体141を通して塗布した電極材料142を乾燥させている。この実施形態では、120℃の恒温雰囲気を有する乾燥炉410に所定時間通過させて、電極材料142を乾燥させた。この際、負極集電体141の搬送速度は40m/minとした。なお、図15に示す例では、負極集電体141の長さ方向に沿って3本のラインで電極材料142が塗工されている。電極材料142は、負極集電体141の幅方向の両側の縁から離して、それぞれ所定の幅で、所定の間隔を空けて塗工されている。塗工された電極材料142は、何れも同じ幅である。図15に示す負極集電体141は、幅方向に設定された5本の切断ラインz1〜z5に沿って切断されることによって、図14に示す負極シート103が得られる。
【0041】
この場合、負極シート103の負極集電体141に不純物層が過度に形成されないように、乾燥炉410の温度を適切に管理したい。しかしながら、負極シート103に熱電対を取り付けて、乾燥工程における負極シート103の熱履歴を測定することは、配線等の取り回しが難しく現実的でない。そこで、この実施形態では、負極シート103の搬送経路において、乾燥炉410よりも下流側にX線回折装置420を設けている。そして、乾燥炉410を通過した位置で、負極集電体141のX線回折を行い、負極集電体141のピーク強度比I(200)/I(220)を得ている。そして、図12に示すように、予め得られた圧延銅箔のピーク強度比I(200)/I(220)と、熱履歴との相関関係Lを基に、当該検査対象となる負極集電体141の熱履歴を求めている。
【0042】
この実施形態では、負極シート103のうち、電極材料142が塗工されていない未塗工部S1と、電極材料142が塗工された塗工部S2とでそれぞれX線回折を行い、圧延銅箔のピーク強度比I(200)/I(220)を得た。この場合、電極材料142が塗工された塗工部S2では、電極材料142が塗工されていない未塗工部S1よりも圧延銅箔が受ける熱は小さい。未塗工部S2で得られるピーク強度比I(200)/I(220)をYS2とし、塗工部S1で得られるピーク強度比I(200)/I(220)をYS1とする。図12に示すように、かかるピーク強度比YS1、YS2と、相関関係Lとに基づいて、未塗工部S1における負極集電体141の熱履歴TS1と、塗工部S2における負極集電体141の熱履歴TS2をそれぞれ求めることができる。
【0043】
この熱履歴TS1、TS2は、それぞれ図12に示す、ピーク強度比I(200)/I(220)と熱処理温度との相関関係Lに基づいて求められている。図12に示す相関関係Lは、圧延銅箔のピーク強度比I(200)/I(220)と、30秒の恒温雰囲気に圧延銅箔を晒した際の熱処理温度との相関関係を示す近似曲線Lである。したがって、上記の方法で求められた熱履歴TS1、TS2は、それぞれ30秒の恒温雰囲気に圧延銅箔を晒した際の熱処理温度を示している。すなわち、この実施形態では、未塗工部S1では、温度TS1の恒温雰囲気に圧延銅箔を30秒晒したのと同程度の熱処理が負極集電体141に施されていると推定される。また、塗工部S2では、温度TS2の恒温雰囲気に圧延銅箔を30秒晒したのと同程度の熱処理が負極集電体141に施されていると推定される。
【0044】
このように、この圧延銅箔の熱履歴測定方法は、リチウムイオン二次電池1000に用いられる負極集電体の熱履歴を測定することができる。ここでは、所定温度の恒温雰囲気に圧延銅箔を30秒晒した場合に、何℃の恒温雰囲気に晒した場合と同程度の熱処理がされたかを推定することができる。この場合、リチウムイオン二次電池1000の製造工程において、負極シート103について、X線回析によって得られた負極集電体141の200面と220面とのピーク強度比I(200)/I(220)に基づいて、負極シート103の良否判定を行う検査工程を備えていてもよい。
【0045】
本発明者の知見では、170℃以下の恒温雰囲気に圧延銅箔を30秒晒す加熱処理では、X線回折において、不純物層が発現したことに起因するピークが生じないことを見出した。また、本発明者の知見では、熱処理温度が170℃では、ピーク強度比I(200)/I(220)は、約10.8を示す。そこで、リチウムイオン二次電池1000に用いられる負極シート103では、乾燥工程後に未塗工部S1で測定されるピーク強度比I(200)/I(220)が10.8以下であれば、負極集電体141に不純物層が発現している可能性が低いと考えられる。
【0046】
この場合、例えば、乾燥工程後の未塗工部S1のピーク強度比I(200)/I(220)を測定する。そして、当該ピーク強度比I(200)/I(220)が10.8以下である場合に、負極シート103を良品とし、当該ピーク強度比I(200)/I(220)が10.8よりも大きい負極シート103を不良として判定するとよい。
【0047】
また、負極シート103の乾燥工程において、乾燥炉410の温度管理等にも利用できる。すなわち、乾燥工程後の未塗工部S1のピーク強度比I(200)/I(220)が10.8以下となるように、乾燥炉410の温度を管理するとよい。また、例えば、リチウムイオン二次電池1000は、乾燥工程後の負極集電体のピーク強度比I(200)/I(220)が10.8以下のものを用いるとよい。これにより、負極シート103の負極集電体141に不純物層が少ないリチウムイオン二次電池1000を安定して生産することができる。
【0048】
また、負極集電体のピーク強度比I(200)/I(220)が10.8以下のリチウムイオン二次電池は、負極集電体141に生じる不純物層が発現している可能性が低い。このような負極集電体141を備えたリチウムイオン二次電池1000は、電池特性に優れており、高い出力特性を有していることが期待できる。リチウムイオン二次電池1000は、例えば、図16に模式的に示すように、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの車両1に搭載されるモーター(電動機)用の電池1000に、好適に用いることができる。これらの車両は、高出力を発揮でき、また性能が経年的に安定した電池が求められる。この場合、上記のように負極シートを評価し、選別することによって、車両用のリチウムイオン二次電池の性能を向上させることができ、ひいては性能の良い車両を安定して供給することができる。
【0049】
リチウムイオン二次電池1000は、放充電を繰り返す中で発熱することがある。このような場合に、リチウムイオン二次電池1000の中(例えば、捲回電極体100の中)で、どの程度の熱が発生したかを適切に調べるのは難しい。上述した圧延銅箔の熱履歴測定方法は、圧延銅箔からなる負極集電体に負極活物質を塗工した負極シートを有するリチウムイオン二次電池を検査するリチウムイオン二次電池の検査方法として適用できる。すなわち、このリチウムイオン二次電池の検査方法は、ピーク強度比測定工程と、リチウムイオン二次電池内で生じた熱を推定する工程(推定工程)とを有しているとよい。ピーク強度比測定工程では、リチウムイオン二次電池から取り出した負極シートについて、X線回析における200面と220面とのピーク強度比を求める。リチウムイオン二次電池内で生じた熱を推定する工程(推定工程)では、予め求められた圧延銅箔について得られたピーク強度比と熱履歴との相関関係と、ピーク強度比測定工程で得られた負極シートのピーク強度比に基づいて、リチウムイオン二次電池内で生じた熱を推定する。
【0050】
このリチウムイオン二次電池の検査方法によれば、例えば、リチウムイオン二次電池から取り出した負極シートについて、X線回析における200面と220面とのピーク強度比I(200)/I(220)を求める(ピーク強度比測定工程)。そして、予め求められた圧延銅箔について得られたピーク強度比と熱履歴との相関関係(例えば、図12参照)と、上記ピーク強度比測定工程で得られた負極シートのピーク強度比とに基づいて、リチウムイオン二次電池内で生じた熱を推定することができる(推定工程)。これにより、例えば、ピーク強度比I(200)/I(220)が12の場合、図12に示すように、リチウムイオン二次電池1000内で負極集電体141が受けた熱が、温度Tの恒温雰囲気に30秒晒されたのと同程度の熱であったと推定できる。このように、このリチウムイオン二次電池の検査方法(圧延銅箔の熱履歴測定方法)によれば、乾燥工程の熱処理で負極集電体141が受けた熱量よりも、リチウムイオン二次電池1000が充放電されることによって生じた熱量が大きい場合に、リチウムイオン二次電池1000内でどの程度の熱が発生したのかを推定することができる。
【0051】
上述したように、このリチウムイオン二次電池の検査方法(圧延銅箔の熱履歴測定方法)によれば、リチウムイオン二次電池1000内でどの程度の熱が発生したかを調べることができる。例えば、リチウムイオン二次電池1000の安全性試験では、リチウムイオン二次電池1000を異常な方法で使用し、リチウムイオン二次電池1000内で高温の熱を発生させる場合がある。このリチウムイオン二次電池の検査方法(圧延銅箔の熱履歴測定方法)は、このような安全性試験において、リチウムイオン二次電池1000内にどの程度の熱が生じたかを調べる方法として用いることができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態に係る圧延銅箔の熱履歴測定方法及び当該圧延銅箔の熱履歴測定方法を用いたリチウムイオン二次電池の検査方法を説明したが、本発明に係る圧延銅箔の熱履歴測定方法及びリチウムイオン二次電池の検査方法は上記に限定されない。
【0053】
例えば、上述の実施形態では、図12に示すように、圧延銅箔を恒温雰囲気に30秒晒した場合について、当該恒温雰囲気の温度と、圧延銅箔のピーク強度比I(200)/I(220)との相関関係Lを導いている。本発明では、かかる相関関係を得る場合に、圧延銅箔を恒温雰囲気に晒す時間は30秒に限定されない。また、本発明では、かかる相関関係を得る場合に、恒温雰囲気の温度を一定にして、恒温雰囲気に晒す時間を変化させて、当該恒温雰囲気に圧延銅箔を晒す時間と、圧延銅箔のピーク強度比I(200)/I(220)との相関関係Lを導いてもよい。例えば、図3に示すように、恒温雰囲気の温度を120℃で一定にして、当該恒温雰囲気に晒す時間を変化させた圧延銅箔からピーク強度比I(200)/I(220)を求める。そして、当該恒温雰囲気に圧延銅箔を晒した時間と、当該ピーク強度比I(200)/I(220)との相関関係を得てもよい。
【0054】
このように、圧延銅箔について得られたピーク強度比と熱履歴との相関関係については、種々の相関関係を採用することができる。そして、検査対象となる圧延銅箔のピーク強度比I(200)/I(220)から、当該圧延銅箔の熱履歴を求める場合には、採用した相関関係に基づいて適切に評価するとよい。
【0055】
すなわち、所定の温度の恒温雰囲気に圧延銅箔を晒した時間と、ピーク強度比I(200)/I(220)との相関関係を用いる場合には、検査対象となる圧延銅箔のピーク強度比I(200)/I(220)から導かれる熱履歴は、当該恒温雰囲気に晒された時間で評価される。また、圧延銅箔を所定の時間晒した恒温雰囲気の温度と、ピーク強度比I(200)/I(220)との相関関係(例えば、図12の相関関係L)を用いる場合には、検査対象となる圧延銅箔のピーク強度比I(200)/I(220)から導かれる熱履歴は、圧延銅箔を晒した恒温雰囲気の温度で評価される。このように、検査対象となる圧延銅箔のピーク強度比I(200)/I(220)が同じであっても、採用する相関関係によって、圧延銅箔の熱履歴の評価が異なる。
【符号の説明】
【0056】
1 車両
22 X線発生源
24 X線
26 試料
26a 試料面
28 回折されたX線
30 検査器
100 捲回電極体
101 正極シート
102、104 セパレータ
103 負極シート
131 正極集電体
132 正極の電極材料
141 負極集電体
142 負極の電極材料
300 電池ケース
400 塗布装置
410 乾燥炉
420 X線回折装置
1000 リチウムイオン二次電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧延銅箔の熱履歴を測定する熱履歴測定方法であって、
検査対象となる圧延銅箔について、X線回析によって200面と220面とのピーク強度比を求めるピーク強度比測定工程と、
予め求められた圧延銅箔について得られたピーク強度比と熱履歴との相関関係と、前記ピーク強度比測定工程によって得られたピーク強度比とに基づいて、前記検査対象となる圧延銅箔の熱履歴を求める熱履歴算出工程と
を備えた圧延銅箔の熱履歴測定方法。
【請求項2】
圧延銅箔からなる負極集電体に負極活物質が塗工された負極シートを有するリチウムイオン二次電池の製造方法であって、
前記負極シートについて、X線回析によって得られた前記負極集電体の200面と220面とのピーク強度比に基づいて、前記負極シートの良否判定を行う検査工程を備えた、リチウムイオン二次電池の製造方法。
【請求項3】
圧延銅箔からなる負極集電体に負極活物質を塗工した負極シートを有するリチウムイオン二次電池であって、
負極集電体は、X線回析における200面と220面とのピーク強度比I(200)/I(220)が10.8以下である、リチウムイオン二次電池。
【請求項4】
請求項3に記載のリチウムイオン二次電池を搭載した車両。
【請求項5】
圧延銅箔からなる負極集電体に負極活物質を塗工した負極シートを有するリチウムイオン二次電池の検査方法であって、
前記リチウムイオン二次電池から取り出した前記負極シートについて、X線回析における200面と220面とのピーク強度比を求めるピーク強度比測定工程と、
予め求められた圧延銅箔について得られたピーク強度比と熱履歴との相関関係と、前記ピーク強度比測定工程で得られた前記負極シートのピーク強度比とに基づいて、前記リチウムイオン二次電池内で生じた熱を推定する工程とを有する、リチウムイオン二次電池の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−58992(P2011−58992A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210185(P2009−210185)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】