説明

圧着機組立体、端子圧着ユニットおよび自動端子圧着装置

【目的】 横連鎖状端子用の端子圧着機を縦連鎖状端子のものと同様に巾狭に形成すると共にユニット化し、自動端子圧着装置の省スペース化を目的とする。
【構成】 端子圧着ユニットAは、ユニットケースBとこれに着脱可能な圧着機組立体Cから成る。圧着機組立体は、クリンパ32を装着したラム組立体25とアンビル33をセットしたアンビル取付台34に対して、その側部後方から横連鎖状端子1を供給するための端子送り部37を設け、該送り部先端即ち端子受渡し位置でアンビル取付台34を端子受渡し位置と端子圧着位置との間で往復回動させるアンビル回動手段60を設けると共に、端子受渡し位置で駒送りされた端子の切断分離手段68を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は横連鎖状端子を用いる端子圧着機の改良に係り、詳しくは横連鎖状端子用の圧着機を縦連鎖状端子用の圧着機と同様な巾狭の圧着機組立体および端子圧着ユニットとして構成し、必要に応じて縦,横連鎖状端子のための端子圧着ユニットを交換できるようにし、以て省スペース化をした自動端子圧着装置を提供せんとするものである。
【0002】
【従来の技術】周知のように、ワイヤハーネスは多数の電線から構成され、各電線の端末には電線容量、雌,雄端子の別などにより多品種の端子が圧着される。各端子は圧着(かしめ)条件が異なるから、端子1品番に対して1台の端子圧着機が用いられてきた。図8は従来の端子圧着機を用いた自動端子圧着装置を示す(特公平5−55992号公報)。この装置は、架台81上に複数の端子圧着機821 ,822 ,823 …を並設しておき、これらの圧着機に対向して電線クランプ竿83の複数の電線クリップ84により所定間隔で並列に保持した複数の電線85を竿ごと移動させて、電線の端末が所望の端子圧着機に達したときに、所定の端子を圧着するようにしたものである。図中、86は電線の曲がりなどをとる電線矯正装置、87は電線の皮剥ぎ装置を示し、また、881 ,882 ,883 …は電線端末の圧着端子を挿着するコネクタハウジング、89は端子搬送用ヘッドを示す。
【0003】圧着用の端子として、図9(A),(B)に示すように横連鎖状端子91と縦連鎖状端子92の二種が使用される。図8に示すように、自動端子圧着装置は、電線の移動方向が1方向であるから、複数の端子圧着機を端子の横連鎖、縦連鎖の如何にかかわらず横1列に並べる必要がある。
【0004】しかし、横連鎖状端子91を使用する場合に、図10(A)に示すように、端子圧着機93が端子圧着部94とは別に端子送りスペース95とこの端子送りを補助するパーツ96が取付けられるために、その横巾が図10(B)の縦連鎖用の端子圧着機97に比べて3〜5倍になる。このため、自動圧着装置全体では複数の端子圧着機の取付けに広大なスペースを要するほか、一旦セットすると縦連鎖用の端子圧着機から横連鎖用へ切り換えるのは容易でなく、端子圧着の自動化を進める上で大きな障害となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点に着目してなされたものであり、横連鎖状端子の圧着を縦連鎖状端子の場合と同様に比較的巾狭のスペースで行えるようにした圧着機組立体を提供することを課題とする。本発明のもう一つの課題は、縦連鎖用および横連鎖用の端子圧着機をユニット化し、必要に応じて両者を容易に交換することができる端子圧着ユニットを提供し、以て自動端子圧着装置の省スペース化を図るようにしたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を達成するため、本発明の圧着機組立体は、請求項1に記載のように、細巾帯状のキャリアの一側に(連結片を介して)複数の端子を所定ピッチで連設して成る横連鎖状端子を使用する圧着機組立体であって、基板を備えた取付ブロックと、この取付ブロックの基板上にアンビル取付台を介して設けられたアンビルと、このアンビルの上方に昇降自在に設けられ、かつ前面にクリンパを装着したラム組立体と、このラム組立体の側面に位置する前記横連鎖状端子を駒送りするための端子送り部と、前記アンビル取付け台をラム組立体の下方の端子圧着位置と前記端子送り部の先端の端子受渡し位置との間で往復回動させるアンビル回動手段と、前記端子受渡し位置の上方に位置して前記駒送りされた端子を横連鎖状端子のキャリアから分離する端子の切断分離手段とを、備えることを特徴とする。
【0007】前記ラム組立体は前記取付ブロックの基板の一側に設けたスタンド板に固定したラムガイドブロックに上下摺動可能に装着するのが好ましい(請求項2)。また、前記アンビル回動手段は、前記アンビル取付台を支持する回転盤と、上端部が前記回転盤に接続され、下端部が前記取付ブロックの基板に回転自在に枢着され、かつ中間にギアを装着した回転軸と、このギアと係合してアクチュエータの作動により進退するラックとから構成される(請求項3)。前記ラム組立体の下面には、前記アンビル回動手段を構成する回転軸の上に出没自在の端子押さえを備えていることが好ましい(請求項4)。前記端子送り部は、請求項5に記載のように、前記横連鎖状端子のキャリアにおける端子送り孔と係合する端子送り爪を有し、この端子送り爪が前記ラム組立体の昇降と連動して進退する構成とするのが好ましい。前記端子の切断分離手段は、前記ラム組立体の側面側に位置するアクチュエータと、このアクチュエータのピストンロッドの先端にホルダとコ字状断面の端子ホルダとを備えている(請求項6)。
【0008】また、端子圧着ユニットは請求項7に記載のように、ユニットケースと、このユニットケースに対して着脱自在に装着される圧着機組立体とから成り、前記ユニットケースは、底板と、両側の側板と、天井板とから成り、該天井板にはピストンロッドの下端部にジョイント部材を装着したアクチュエータが取付けられており、前記圧着機組立体は、請求項1と記載と同様であるが、前記ラム組立体の上端にプレス受けを備えており、前記ユニットケースのジョイント部材に対してラム組立体のプレス受けを係合させ、前記ユニットケースと圧着機組立体とを結合させる構造としたことを特徴とする。
【0009】また、本発明による自動端子圧着装置は、請求項8に記載のように、複数の端子圧着機を並設して成る端子圧着装置に対向して所定の間隔で並列に保持された複数の電線を移動させ、電線が所望の端子圧着機に達したときに端子を圧着するようにした自動端子圧着装置において、前記端子圧着機として請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の圧着機組立体または圧着ユニットを用いたことを特徴とする。
【0010】
【作用】請求項1の圧着機組立体は、横連鎖状端子に対する端子送り部をクリンパとアンビルに対して従来の横方向に換えて縦方向にすると共に、駒送りおよび切断分離された端子を端子受渡し位置と端子圧着位置との間で回動させるようにしたので、従来の縦連鎖状端子専用の端子圧着機と同様に巾狭に製作することができ、省スペース化を図ることができる。
【0011】基板の一側にスタンド板を立設し、これにラムガイドブロックを設けることにより圧着機組立体の全体の構造が簡素化される(請求項2)。また、アンビル取付台の回動にギア(ピニオン)−ラック機構を採用したことにより、圧着機組立体全体の嵩高化を抑え、コンパクトに形成することができる(請求項3)。さらに、端子押さえの採用により端子を正規姿勢に保持することができ、これにより常に正確な端子圧着ができる。一方、端子送り爪の進退をラム組立体の昇降と連動させることにより、端子圧着と端子送りを常に1:1に対応させることができる(請求項5)。また、端子の切断分離手段を端子圧着と切り離して設けたことにより、圧着機組立体全体の構造を簡素化し、巾狭に形成される(請求項6)。
【0012】請求項7の端子圧着ユニットによれば、上記圧着機組立体をユニットケースに対して着脱自在に装着する構造とすると共に、該ユニットケースを利用して従来の縦連鎖状端子用の端子圧着機を組み込むことが可能となる。これにより、端子の品番が変更されても、ユニットケースに対して圧着機組立体を入替えすることにより、容易迅速に対応することができる。
【0013】請求項8の自動端子圧着装置によれば、複数の端子圧着機を並設する場合に、本発明による請求項1の上記圧着機組立体または請求項7の端子圧着ユニットを使用するので、装置全体として複数の端子圧着機に対する設置スペースを大巾に減らすことができ、また、横または縦連鎖状端子に対する端子圧着機の配列順番、品番変更を極めて簡単に行うことができる。
【0014】
【実施例】図1は本発明による圧着機組立体の基本動作の説明図である。横連鎖状端子1を矢線Yのようにキャリア2の方向に駒送りした後、連結片3を切断して端子4を切離し、その電気接触部5を中心にして電線接続部6側をキャリア供給方向に約90°回して端子軸をキャリア2の長手方向に整列させ、電線と圧着する。即ち、従来は端子の駒送り,切断分離と端子圧着とを同時に行っていたが、本発明では端子の切断分離と圧着を分離して行う機構を採用した。図中、7は端子送り孔を示す。なお、端子4は雌端子の例を示しているが、雄端子の場合も同様に適用することができる。
【0015】図2は本発明の端子圧着ユニットAの概観斜視図を示す。端子圧着ユニットAはユニットケースBと圧着機組立体Cとから成り、圧着機組立体Cは該ケースBに対して着脱自在に構成されている。図示の圧着機組立体Cは横連鎖状端子の専用品であるが、縦連鎖状端子用の圧着機組立体は図10(B)に示す従来品またはその改造品を転用できるので説明を省略する。
【0016】図3は複数の端子圧着ユニットA1 ,A2 ,A3 ,A4 …を横一列に並設した状態を示す。図中、奇数番号のA1 ,A3 ,…は横連鎖状端子専用、偶数番号のA2 ,A4 …は縦連鎖状端子専用である。本発明による横連鎖状端子専用の端子圧着ユニットA1 ,A3 ,…は縦連鎖状端子専用の端子圧着ユニットA2 ,A4…と同一構造のユニットケースBを使用することができる。これにより、自動端子圧着装置全体の省スペース化を図ることができる。
【0017】図2に戻って説明すると、ユニットケースBは底板10、その両側の側板11および天井板12,12′とからなり、天井板12′のほぼ中央にはアクチュエータとしてのエアシリンダ13が固定され、そのピストンロッド14が下向きに突出し、先端にジョイント部材15(図6参照)が設けられている。
【0018】図4は圧着機組立体Cの正面図、図5はその右側面図、図6は図4のアンビル取付台を90°回動した状態の左側面図、図7(A),(B)はそれぞれアンビル取付台が端子受渡し位置と端子圧着位置にある状態を示す要部の平面図である。圧着機組立体Cは、前面にクリンパ32を備えた昇降自在のラム組立体25、その下方のアンビル33、ラム組立体25の側面(図4の左側)に位置する端子送り部37、該端子送り部37とラム組立体25との間でアンビル33を90°往復回動(即ち、端子受渡し位置と端子圧着位置との間で往復回動)させるアンビル回動手段60、端子の切断分離手段68およびこれらの構成部材をセットするための取付ブロック20などから成る。
【0019】図4において、取付ブロック20は基板21とその一側(図中、右側)に設けたスタンド板22とから成る。スタンド板22にはラムガイドブロック23が固定されており、その縦ガイド溝24にラム組立体25が上下摺動自在に装着されている。
【0020】ラム組立体25はラム26とヘッド27を有し、ヘッド27には上端をプレス受け28としたアジャストねじ29が締付ナット30と共に螺着されている。ヘッド27の下面に突出する装架ブロック31にはクリンパ32の上端の取付片32aがねじ(図示せず)により固定され、アジャストねじ29によりラム26即ちクリンパ32の最低位置(下死点)を微調整できるようにしてある。
【0021】ラム組立体25の下方に、クリンパ32と対向するアンビル33がアンビル取付台34に着脱可能に取付けられている。アンビル取付台34の前面に沿ってキャリアガイド板35と共に連結片カッタ36がスプリング(図示せず)を介して昇降可能に装着されている。
【0022】端子送り部37はラム組立体25の側面に位置する。この端子送り部37は、図6において、ラム組立体25からみて後方側(図中左側)の端子ガイド台38および押さえカバー39と端子送出し指片40を備えている。端子送出し指片40は前記横連鎖状端子1のキャリア2の出口側に傾斜して、その先端には前記端子送り孔7に係合する端子送り爪41が設けられている。端子ガイド台38は上記基板21上に設けた装架ブロック42に固定されると共に、その前面に取付けたブラケット43の窓43aに装着した端子押さえ44により横連鎖状端子1を該端子ガイド台38に押圧してガタが生じないようにしてある。
【0023】また、前記ラム26にはクリンパ32の取付面とは反対側に板カム45が固定されている。板カム45の板面はラム軸Pから遠い上部垂直面45aと近い下部垂直面45cが中間の駆動斜面45bを介して段差を有する段付き係合面として形成されている。
【0024】更に、ラムガイドブロック23は前記縦ガイド溝24(図4参照)と直交しかつ端子送り台38と平行な横ガイド溝46を備え、この横ガイド溝46にはカム従動バー47がクリンパ32に対向して前後摺動自在に装着されている。このカム従動バー47は、中間部に板カム45と係合するカムフォロワ48を備えると共に、上記端子送出し指片40側の終端に駆動バー49が突設されており、スプリング50により常時クリンパ32側に付勢されている。駆動バー49はラムガイドブロック23の側方に設けたブラケット51にのび、その先端部は軸受52に支承されている。
【0025】ブラケット51,51′間において、駆動バー49の中間の節部49aにはピン52により揺動プレート53の中央部が軸支され、該揺動プレート53の基端部は固定軸54により軸支され、上端部にはピン55により端子送出しレバー56が連結されている。この端子送出しレバー56の中間部はブラケット51′に傾斜長孔として開設した位置決め孔57にボルト軸58により回動可能に固定され、端子送出しレバー56の下端部には上記端子送出し指片40がピン59により連結されている。
【0026】一方、アンビル回動手段60は、図5に示されるように、前記アンビル取付台34を支持する回転盤61、中間にギア62を装着したボルト(回転軸)63およびギア62と係合するラック64などから成る。即ち、アンビル取付台34は回転盤61に着脱自在に固定され、回転盤61は前記基板21に回転軸カラー65を介して枢着したボルト63の頭部63aにより回動不能に固定されている。また、ギア62と係合するラック64は基板21上のスタンド板22側に固定したエアシリンダ67のピストンロッド67aに連結されている。
【0027】端子の切断分離手段68は、図4および図6R>6にみるように、上記端子送り台38の手前側において、ラムガイドブロック23の側面にアクチュエータ69を取付け、そのピストンロッド70の下端にカッター押圧片71を設けて成る。カッタ押圧片71は前記連結片カッタ36およびキャリアガイド板35と協働して横連鎖状端子1の連結片3を切断するものである。
【0028】更に、図5に示すように、前記ラムガイドブロック23の下面には、ボルト63の軸線上に端子押さえピン74としてのピストンロッドが出没自在に設けられている。75は端子押さえピン74のエアシリンダである。
【0029】上記構成において、本発明の端子圧着ユニットAの組立は次のように極めて簡単に行うことができる。即ち、図2に示すユニットケースBの前方または後方の開口部から圧着機組立体Cを挿入して、そのプレス受け28を予め固定してあるエアシリンダ13のジョイント部材15に嵌合すればよい。圧着機組立体Cは横連鎖状端子専用の装置であるが、縦連鎖状端子の場合には前述したように既存の装置を同様にしてジョイント部材15を利用して連結すればよい。
【0030】以上のように、横連鎖状端子1を用いる端子圧着ユニットAは、ユニットケースBの共用により、縦連鎖状端子専用の圧着ユニットと全く同じ横巾の寸法、外形に形成される。従って、図3のように多数の端子圧着ユニット並設して端子の自動圧着装置を構成する際に大巾に省スペース化を図ることができ、さらには一旦端子圧着ユニットA1 ,A2 ,A3 ,A4 …といった順番に配列した後でも、配列の変更や他の同形の圧着ユニットとの交換などを容易に行うことができる。
【0031】次に、端子圧着ユニットAの作動について説明する。図6および図7(A)において、アンビル取付台34とアンビル33は端子ガイド台38の先端部、即ち端子受渡し位置にあり、連鎖状端子1が駒送りされて、1個の端子4がアンビル33の上に載った状態である。この状態を「始点」とする。「始点」において、端子押さえピン74が下降してコ字状の端子ホルダ72が端子4を両側から挟み、端子姿勢を一定にする。端子の切断分離手段68を構成するエアシリンダ69のピストンロッド70が下降しながらキャリヤ2を切断すると共にカッタ押圧片71と連結片カッタ36およびキャリアガイド板35との協働により連結片3を切断する。これにより端子4はキャリア2から分離される。また、ピストンロッド70の下降と同時に端子押さえピン74(図5R>5参照)が下降して、その先端で端子4の電気接触部5の先端部を押さえ付ける。その結果、端子4はアンビル33の上に軸ずれや曲がりなどのない正規の姿勢で載置される。
【0032】次に、アンビル回動手段60により端子4を載置したアンビル33を90°回転させ、即ち端子圧着位置に移動させ、端子4の電線接続部6をクリンパ32の真下に位置させる。即ち、図7(A)の状態において、エアシリンダ67の作動によりラック64を後退させ(矢線S)、回転盤61を矢線Tのように時計と反対方向に90°回転させる。図7(B)は90°回転後の状態を示す。回転に際し、端子4はボルト63と軸線が同じ端子押さえ74によりアンビル33に押しつけられているので、一定の姿勢に保持される。
【0033】図4および図5は上記90°回転により端子4が端子圧着位置にある状態を示している。この状態で、前記エアシリンダ13(図2参照)の作動により、ラム組立体25を降下させると、アンビル33にセットされた端子4の電線接続部6がクリンパ32により加圧されて電線の導体部(図示せず)に圧着される。
【0034】また、図6に示すように、板カム45と係合するカムフォロワ48をもつカム従動バー47は、ラム組立体25の下降により、スプリング50により矢線Q方向、すなわち前方のクリンパ32側に移動する。これにより揺動プレート53が固定軸54を中心として時計方向に回動すると共に、端子送出しレバー56もボルト軸58を中心に同方向に回動するから、端子送出し指片40は矢線R方向にスイングする。その結果、端子送り爪41は、横連鎖状端子1の1駒分すなわち前記端子送り用孔7,7間のピッチ分だけ端子ガイド台38側に後退する。
【0035】この状態から、ラム組立体25が図6のように上昇すると、カムフォロワ48は板カム45の段付係合面の上部垂直面45aから駆動斜面45bを経て下部垂直面45cに摺接係合するので、カム従動バー47は上部垂直面45aと下部垂直面45cの段差分だけ図6R>6の矢線Qと反対方向に移動する。その結果、端子送出し引出し指片40は矢線Rと反対方向にスイングし、端子送り用孔7と係合する爪40により横連鎖状端子1は1駒分だけ送り出され、次に圧着すべき1個の端子4が端子ガイド台38からはみ出した状態になる。
【0036】なお、端子送出し指片40のスイング量、即ち横連鎖状端子1の移動量は、軸決め孔57におけるボルト軸58の位置により変わる。ボルト軸58を軸決め孔57の上から下に移動させると、端子送出し指片40のスイング量は小さくなる。これにより、横連鎖状端子1の前記端子送り用孔7,7のピッチに合わせたて精確な駒送りができる。
【0037】上記端子ガイド台38から1個の端子4がはみ出した状態で、回転盤61を図7(B)⇒(A)のように前記とは逆の操作で90°逆回転させると、即ち端子圧着位置から端子受渡し位置に戻すと、上記「始点」状態に復帰する。「始点」への復帰に際し、アンビル取付台34はキャリアガイド板35を備えているので、予め駒送りされた端子4はアンビル33に対して円滑に誘導される。これにより、端子4の切断分離、90°回動、端子圧着、端子送りの1サイクルが終了する。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、横連鎖状端子の圧着を縦連鎖状端子の場合と同様に比較的巾狭のスペースで行えるようにした圧着機組立体と端子圧着ユニットを提供することができる。また、横連鎖用の端子圧着機のユニット化(端子圧着ユニット)により、必要に応じて縦連鎖の圧着端子機と容易に交換することができ、自動端子圧着装置における端子圧着機の並設に要するスペースを大巾に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による圧着機組立体の基本動作の説明図である。
【図2】本発明の圧着ユニットAの一実施例を示す概観斜視図である。
【図3】図2の圧着ユニットAを複数並設した端子の自動圧着装置の説明図である。
【図4】本発明の圧着ユニットを構成する圧着機組立体Cの正面図である。
【図5】図4の一部を破断した右側面図である。
【図6】図4の左側面図である。
【図7】(A),(B)はそれぞれアンビル取付台が端子受渡し位置と端子圧着位置にある状態を示す要部の平面図である。
【図8】従来の端子の自動圧着装置の説明図である。
【図9】(A)は従来の横連鎖状端子の説明図、(B)は同じく縦連鎖状端子の説明図である。
【図10】(A)は従来の横連鎖状端子用の端子圧着機の説明図、(B)は従来の縦連鎖状端子用の端子圧着機の説明図である。
【符号の説明】
A 端子圧着ユニット
B ユニットケース
C 圧着機組立体
1 横連鎖状端子
2 キャリア
3 連結片
4 端子4
7 端子送り孔
10 底板
11 側板
12 天井板
13 アクチュエータ
15 ジョイント部材
20 取付ブロック
21 基板
22 スタンド板
23 ラムガイドブロック
24 縦ガイド溝
25 ラム組立体
33 アンビル
34 アンビル取付台
37 端子送り部
41 端子送り爪
61 回転盤
60 アンビル回動手段60
62 ギア
63 ボルト
64 ラック
65 回転軸カラー
67 アクチュエータ
68 端子の切断分離手段68
69 アクチュエータ
70 ピストンロッド
71 カッタ押圧片
72 端子ホルダ
74 端子押さえピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】 細巾帯状のキャリアの一側に(連結片を介して)複数の端子を所定ピッチで連設して成る横連鎖状端子を使用する圧着機組立体であって、基板を備えた取付ブロックと、この取付ブロックの基板上にアンビル取付台を介して設けられたアンビルと、このアンビルの上方に昇降自在に設けられ、かつ前面にクリンパを装着したラム組立体と、このラム組立体の側面に位置する前記横連鎖状端子を駒送りするための端子送り部と、前記アンビル取付け台をラム組立体の下方の端子圧着位置と前記端子送り部の先端の端子受渡し位置との間で往復回動させるアンビル回動手段と、前記端子受渡し位置の上方に位置して前記駒送りされた端子を横連鎖状端子のキャリアから分離する端子の切断分離手段とを、備えることを特徴とする圧着機組立体。
【請求項2】 前記ラム組立体が前記取付ブロックの基板の一側に設けたスタンド板に固定したラムガイドブロックに上下摺動可能に装着されていることを特徴とする請求項1に記載の圧着機組立体。
【請求項3】 前記アンビル回動手段が、前記アンビル取付台を支持する回転盤と、上端部が前記回転盤に接続され、下端部が前記取付ブロックの基板に回転自在に枢着され、かつ中間にギアを装着した回転軸と、このギアと係合してアクチュエータの作動により進退するラックとから成ることを特徴とする請求項1に記載の圧着機組立体。
【請求項4】 前記ラム組立体の下面に、前記アンビル回動手段を構成する回転軸の上に出没自在の端子押さえを備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧着機組立体。
【請求項5】 前記端子送り部が、前記横連鎖状端子のキャリアにおける端子送り孔と係合する端子送り爪を有し、この端子送り爪が前記ラム組立体の昇降と連動して進退する請求項1ないし4のいずれかに記載の圧着機組立体。
【請求項6】 前記端子の切断分離手段が、前記ラム組立体の側面側に位置するアクチュエータと、このアクチュエータのピストンロッドの先端にホルダとコ字状断面の端子ホルダとを備えていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の圧着機組立体。
【請求項7】 ユニットケースと、このユニットケースに対して着脱自在に装着される圧着機組立体とから成り、前記ユニットケースは、底板と、両側の側板と、天井板とから成り、該天井板にはピストンロッドの下端部にジョイント部材を装着したアクチュエータが取付けられており、前記圧着機組立体は、基板を備えた取付ブロックと、この取付ブロックの基板上にアンビル取付台を介して設けられたアンビルと、このアンビルの上方に昇降自在に設けられ、かつ前面にクリンパを装着すると共に上端部にプレス受けを設けたラム組立体と、このラム組立体の側面に位置する前記横連鎖状端子を駒送りするための端子送り部と、前記アンビル取付け台をラム組立体の下方の端子圧着位置と前記端子送り部の先端の端子受渡し位置との間で往復回動させるアンビル回動手段と、前記端子受渡し位置の上方に位置して前記駒送りされた端子を横連鎖状端子のキャリアから分離する端子の切断分離手段とを備え、前記ユニットケースのジョイント部材に対してラム組立体のプレス受けを係合させ、前記ユニットケースと圧着機組立体とを結合させる構造とした、ことを特徴とする端子圧着ユニット。
【請求項8】 複数の端子圧着機を並設して成る端子圧着装置に対向して所定の間隔で並列に保持された複数の電線を移動させ、電線が所望の端子圧着機に達したときに端子を圧着するようにした自動端子圧着装置において、前記端子圧着機として請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の圧着機組立体または圧着ユニットを用いたことを特徴とする自動端子圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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