説明

圧着葉書の作製方法

【課題】 本発明は、ホログラムや金属蒸着の模様等が形成されたフィルムを葉書台紙にラミネートする圧着葉書の作製方法に関するものである。
【解決手段】 本発明は、圧着葉書用フィルムとホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度が、100g/15mm幅から300g/15mm幅以上であり、かつ、接着剤の塗布量と接着剤に依存する固有の凝集力との積に等しいようにすることで、前記圧着葉書用フィルムを互いに折り畳み接着した際に、折り畳み部近傍の接着強度の低下を無くすことができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、葉書台紙、ホログラムや金属蒸着の模様等が形成されたフィルム、接着剤、前記接着剤を介して前記フィルム上に形成された圧着葉書用フィルムがラミネートされている圧着葉書の作製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図2は従来の圧着葉書を説明するための図である。図2において、葉書台紙21は、上部に絵柄または文字が印刷されている印刷層22と、部分的に挿入された金属箔またはホログラム箔等の装飾箔24と、前記装飾箔24および印刷層22の上部に形成された接着層23と、前記葉書台紙21および装飾箔24に前記接着層23により接着される熱可塑性フィルム25とから構成されている。そして、前記葉書台紙21は、図示のtで示される折曲部から二つ折りされ、互いに接着される。前記熱可塑性フィルム25は、互いに折り曲げられ、熱を掛けながら圧着すると、一旦剥がされた場合、二度と接着しないようになっている。
【0003】
前記葉書台紙は、たとえば、特開平8−267964号公報に記載されている。
【特許文献1】特開平8−267964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3は従来例における熱可塑性フィルムの剥離し易い部分を示すための図である。図2に示された特開平8−267964号公報の「装飾箔を有する複層化葉書」は、装飾箔24の大きさが葉書台紙21に比較して小さいため、充分な接着層23により、前記葉書台紙21と熱可塑性フィルム25との接着強度が充分にあり、互いに対向して接着している熱可塑性フィルム25を剥がす際に、前記葉書台紙21と熱可塑性フィルム25との部分で剥がれることがなかった。しかし、前記熱可塑性フィルム25を有する葉書は、前記装飾箔24の大きさが葉書台紙21と比較して大きくなると、折曲部tの上下部において、前記装飾箔24と熱可塑性フィルム25との接着強度が低下することが判った。
【0005】
以上のように、本出願人は、実験の結果、ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム等からなる装飾箔を葉書台紙のほぼ全面に挿入しても、折曲部の上下部における接着強度の低下を起こさない圧着葉書における圧着葉書用フィルムとホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度と、圧着葉書用フィルムどうしの剥離強度の関係を見い出した。本発明は、圧着葉書用フィルムとホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度と、圧着葉書用フィルムどうしの剥離強度との関係を規定した圧着葉書の作製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第1発明)
第1発明の圧着葉書の作製方法は、葉書台紙と、前記葉書台紙のほぼ全面上に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム上に設けられた接着剤と、前記接着剤により前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムに接着されたヒートシール剤が塗布されている圧着葉書用フィルムと、がラミネートされている圧着葉書からなり、前記圧着葉書用フィルムと前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度は、100g/15mm幅以上であり、かつ、接着剤の塗布量と接着剤に依存する固有の凝集力との積に等しいことを特徴とする。
【0007】
(第2発明)
第2発明の圧着葉書の作製方法は、葉書台紙と、前記葉書台紙のほぼ全面上に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム上に設けられた接着剤と、前記接着剤により前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムに接着されたヒートシール剤が塗布されている圧着葉書用フィルムと、がラミネートされている圧着葉書からなり、前記圧着葉書用フィルムと前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度は、前記圧着葉書用フィルムどうしの剥離強度より大きいことを特徴とする。
【0008】
(第3発明)
第3発明の圧着葉書の作製方法は、葉書台紙と、前記葉書台紙のほぼ全面上に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム上に設けられた接着剤と、前記接着剤により前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムに接着されたヒートシール剤が塗布されている圧着葉書用フィルムと、がラミネートされている圧着葉書からなり、前記圧着葉書用フィルムと前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度は、100g/15mm幅以上であり、かつ、接着剤の塗布量と接着剤に依存する固有の凝集力との積に等しく、かつ、前記圧着葉書用フィルムと前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度は、前記圧着葉書用フィルムどうしの剥離強度より大きいことを特徴とする。
【0009】
(第4発明)
第4発明の圧着葉書の作製方法は、第1発明から第3発明における葉書台紙に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルムの上には、オフセット印刷またはシルクスクリーン印刷が施されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、葉書台紙のほぼ全面上にホログラムフィルムまたは蒸着フィルムが形成されているため、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと圧着葉書用フィルムとの強度が低下して、圧着葉書用フィルムどうしの接着を剥がす際に、葉書台紙とホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの間で剥離が起こるという問題を無くすことができた。
【0011】
本発明によれば、圧着葉書の作製方法により作製された圧着葉書は、ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと前記圧着葉書用フィルムとの間が剥離することなく、圧着葉書用フィルムどうしが剥離するようになる。
【0012】
本発明によれば、圧着葉書用フィルムとホログラムフィルムまたは蒸着フィルムの接着強度、圧着葉書用フィルムどうしの剥離強度を特許請求の範囲に記載されているように規定することで、剥がれ易かった圧着葉書の折曲部における上下部の接着強度を向上させることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1発明)
第1発明の圧着葉書の作製方法は、葉書台紙と、前記葉書台紙のほぼ全面上に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム上に設けられた接着剤と、前記接着剤により前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムに接着されたヒートシール剤が塗布されている圧着葉書用フィルムとをラミネートするものである。特に、第1発明の圧着葉書の作製方法は、前記葉書台紙のほぼ全面上にホログラムフィルムまたは蒸着フィルムが形成されているため、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと圧着葉書用フィルムとの接着強度が低下して、圧着葉書用フィルムどうしの接着を剥がす際に、前記圧着葉書用フィルムとホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの間で剥離が起こるという問題を無くすことができた。なお、前記葉書台紙は、必要に応じて、予め文字または模様が印刷されている。
【0014】
第1発明の圧着葉書の作製方法は、前記圧着葉書用フィルムと前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度が、100g/15mm幅から300〜500gg/15mm幅以上であり、かつ、接着剤の塗布量と接着剤に依存する固有の凝集力との積に等しいようにすることで、前記圧着葉書用フィルムを互いに折り畳み接着した際に、折り畳み部近傍の接着強度の低下を無くすことができた。なお、前記100g/15mm幅は、初期であり、300g〜500g/15mm幅は、1日以上が経過した安定期である。
【0015】
(第2発明)
第2発明の圧着葉書の作製方法において、前記圧着葉書用フィルムと前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度は、前記圧着葉書用フィルムどうしの剥離強度より大きくすることにより、前記圧着葉書用フィルム、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム、圧着葉書用フィルムの接着を程よい具合になるようにしている点で第1発明と異なっている。すなわち、前記圧着葉書の作製方法により作製された圧着葉書は、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと前記圧着葉書用フィルムとの間が剥離することなく、圧着葉書用フィルムどうしが剥離するようになる。
【0016】
(第3発明)
第3発明の圧着葉書の作製方法は、第1発明と第2発明を同時に達成されるような圧着葉書用フィルムとホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度、および圧着葉書用フィルムどうしの剥離強度からなっている点で、第1発明および第2発明と異なっている。
【0017】
(第4発明)
第4発明の圧着葉書の作製方法は、第1発明から第3発明において、葉書台紙に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルムの上に、オフセット印刷またはシルクスクリーン印刷が施され、前記印刷により、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムに形成されている模様が部分的に見えなくなっている。
【実施例】
【0018】
図1(イ)および(ロ)は本発明の実施例で、圧着葉書用フィルムが形成された葉書を説明するための模式図で、(イ)は葉書の断面図、(ロ)は葉書を折り曲げた状態の断面図である。図1(イ)において、葉書10は、印刷層12が形成された葉書台紙11と、前記葉書台紙11上のほぼ全面に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルム13と、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム13上に設けられた接着剤14と、前記接着剤14により、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム13と接着する圧着葉書用フィルム15とから構成されている。前記圧着葉書用フィルム15は、互いに対向して熱を加えた状態で加圧することにより互いに接着し、一旦剥がした場合、再度接着しないようになっている。
【0019】
図1(ロ)において、前記葉書10は、図1(イ)で示す折曲部tで折り曲げ、圧着葉書用フィルム15どうしを接着する。前記圧着葉書用フィルム15とホログラムフィルムまたは蒸着フィルム13との接着強度は、100g/15mm幅から300g〜500g/15mm幅程度が良いことが判った。前記100g/15mm幅の接着強度は、接着の初期であり、1日以上が経過した安定期になると300g〜500g/15mm幅の接着強度となる。
【0020】
また、前記接着強度は、接着剤の塗布量と前記接着剤の固有の凝集力との積である。すなわち、接着剤の塗布量が少ない場合、前記接着剤の固有の凝集力の高いものを使用する必要がある。また、前記接着剤の塗布量が多い場合、前記接着剤の固有の凝集力の低いものでも良い。
【0021】
前記圧着葉書用フィルム15どうしを接着した際の剥離強度は、圧着葉書用フィルム15とホログラムフィルムまたは蒸着フィルム13との接着強度より弱くする必要がある。もし、前記圧着葉書用フィルム15どうしを接着した際の剥離強度が圧着葉書用フィルム15とホログラムフィルムまたは蒸着フィルム13との接着強度より強い場合、前記圧着葉書用フィルム15どうしが剥離せずに、不所望である圧着葉書用フィルム15とホログラムフィルムまたは蒸着フィルム13との間で剥離してしまい、印刷された部分を読むことができなくなる。
【0022】
たとえば、本実施例の関係は、
圧着葉書用フィルムとホログラムフィルムまたは蒸着フィルムの接着強度(A)=K×塗布量(B)×固有の凝集力(C)
の関係が成り立ち、その実側値は、
接着強度(A)=150g/15mm
塗布量=(B)3g/m2
固有の凝集力(C)=2.2×106 g/cm2 (一定断面積当たりの材料の強度−ポリエステル系の接着剤)
K=換算係数
であった。
【0023】
また、圧着葉書用フィルムどうしの剥離強度(D)=20g/15mm
圧着葉書用フィルムとホログラムフィルムまたは蒸着フィルムの接着強度(A)=150g/15mmで、(D)<(A)という関係が望ましいことが判った。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本実施例に記載されている圧着葉書用フィルム、ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム、接着剤、葉書台紙、印刷等は、周知または公知のものを使用することができる。前記接着剤は、水性または油性のどちらでも良い。また、前記葉書台紙の上面は、印刷または模様がある場合と、ない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(イ)および(ロ)は本発明の実施例で、圧着葉書用フィルムが形成された葉書を説明するための模式図で、(イ)は葉書の断面図、(ロ)は葉書を折り曲げた状態の断面図である。(実施例1)
【図2】従来の圧着葉書を説明するための図である。
【図3】従来例における熱可塑性フィルムの剥離し易い部分を示すための図である。
【符号の説明】
【0026】
10・・・葉書
11・・・葉書台紙
12・・・印刷層
13・・・ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム
14・・・接着剤
15・・・圧着葉書用フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
葉書台紙と、前記葉書台紙のほぼ全面上に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム上に設けられた接着剤と、前記接着剤により前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムに接着されたヒートシール剤が塗布されている圧着葉書用フィルムと、がラミネートされている圧着葉書の作製方法において、
前記圧着葉書用フィルムと前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度は、100g/15mm幅以上であり、かつ、接着剤の塗布量と接着剤に依存する固有の凝集力との積に等しいことを特徴とする圧着葉書の作製方法。
【請求項2】
葉書台紙と、前記葉書台紙のほぼ全面上に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム上に設けられた接着剤と、前記接着剤により前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムに接着されたヒートシール剤が塗布されている圧着葉書用フィルムと、がラミネートされている圧着葉書の作製方法において、
前記圧着葉書用フィルムと前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度は、前記圧着葉書用フィルムどうしの剥離強度より大きいことを特徴とする圧着葉書の作製方法。
【請求項3】
葉書台紙と、前記葉書台紙のほぼ全面上に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルムと、前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルム上に設けられた接着剤と、前記接着剤により前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムに接着されたヒートシール剤が塗布されている圧着葉書用フィルムと、がラミネートされている圧着葉書の作製方法において、
前記圧着葉書用フィルムと前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度は、100g/15mm幅以上であり、かつ、接着剤の塗布量と接着剤に依存する固有の凝集力との積に等しく、
かつ、前記圧着葉書用フィルムと前記ホログラムフィルムまたは蒸着フィルムとの接着強度は、前記圧着葉書用フィルムどうしの剥離強度より大きいことを特徴とする圧着葉書の作製方法。
【請求項4】
前記葉書台紙に形成されたホログラムフィルムまたは蒸着フィルムの上には、オフセット印刷またはシルクスクリーン印刷が施されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された圧着葉書の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−69370(P2007−69370A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256249(P2005−256249)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(503098791)株式会社トーツヤ・エコー (12)
【Fターム(参考)】