説明

圧縮機

【課題】運転時のシャフトの撓みを抑制できる圧縮機を提供する。
【解決手段】第1、第2、第3バランスウエイト71,72,73を有し、第3バランスウエイト73を偏心部26に近づけている。このため、シャフト12の回転時に、第1、第2、第3バランスウエイト71,72,73と偏心部26とがバランスされて、運転時のシャフト12の撓みを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばエアコンや冷蔵庫などに用いられる圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧縮機としては、圧縮要素と、圧縮要素をシャフトを介して駆動するモータとを備えたものがある(特開2002−213357号公報:特許文献1参照)。シャフトの一端側は、モータのロータに固定され、シャフトの他端側は、圧縮要素内に配置された偏心部を有している。ロータにおける偏心部に対向する側の第1面に、第1バランスウエイトが取り付けられ、ロータにおける第1面と反対側の第2面に、第2バランスウエイトが取り付けられていた。
【0003】
しかしながら、上記従来の圧縮機では、ロータに取り付けられた第1、第2バランスウエイトによって、シャフトのアンバランスを低減していたが、シャフトの高速回転時では、シャフトが撓む問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−213357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、この発明の課題は、運転時のシャフトの撓みを抑制できる圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の圧縮機は、
圧縮要素と、
上記圧縮要素をシャフトを介して駆動するモータと
を備え、
上記モータは、
ロータと、
このロータの外周側を囲むように配置されたステータと
を有し、
上記シャフトの一端側は、上記ロータに固定され、上記シャフトの他端側は、上記圧縮要素内に配置された偏心部を有し、
上記ロータにおける上記偏心部に対向する側の第1面に、第1バランスウエイトが取り付けられ、
上記ロータにおける上記第1面と反対側の第2面に、第2バランスウエイトが取り付けられ、
上記シャフトの軸方向において上記第1バランスウエイトと上記偏心部との間に位置するように、上記ロータに直接的または間接的に、第3バランスウエイトが取り付けられていることを特徴としている。
【0007】
この発明の圧縮機によれば、上記第1、上記第2、上記第3バランスウエイトを有し、第3バランスウエイトを偏心部に近づけているので、シャフトにかかる曲げモーメントを低減でき、また、シャフトの回転時に、第1、第2、第3バランスウエイトと偏心部とがバランスされて、運転時のシャフトの撓みを抑制できる。このため、ロータの振れ回りによる振動を低減できると共に、シャフトの片当たりを防止できる。
【0008】
また、上記第3バランスウエイトを上記第1バランスウエイトと上記偏心部との間に設けているので、偏心部に関してロータと反対側の位置に潤滑油が存在する場合、第3バランスウエイトは、この潤滑油を撹拌することがなくて、潤滑油の撹拌損失の問題がない。また、圧縮要素が、偏心部よりもロータ側に配置されてシャフトを支持する軸受を有する場合、第3バランスウエイトを、この軸受に対して径方向に重なるように配置できて、無駄なスペースを有効に利用できる。
【0009】
また、一実施形態の圧縮機では、
上記ロータの上記第1面に、上記ロータと同軸に、筒体が取り付けられ、
上記第3バランスウエイトは、上記筒体に取り付けられている。
【0010】
この実施形態の圧縮機によれば、上記第3バランスウエイトは、上記筒体を介して、上記ロータに取り付けられているので、ロータが回転しても、筒体はそれ自体撓み難いため、ロータの回転による第3バランスウエイトの振れ回りや振動を防止する。
【発明の効果】
【0011】
この発明の圧縮機によれば、上記第1、上記第2、上記第3バランスウエイトを有し、上記第3バランスウエイトを上記第1バランスウエイトと上記偏心部との間に設けているので、運転時のシャフトの撓みを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の圧縮機の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】圧縮機の要部の平面図である。
【図3A】バランスウエイトの平面図である。
【図3B】バランスウエイトの正面図である。
【図4】バランスウエイトおよび偏心部に掛かる力を説明する説明図である。
【図5】バランスウエイトの質量の算出結果を示す表である。
【図6A】本発明の圧縮機の第2実施形態を示すと共にバランスウエイトの平面図である。
【図6B】本発明の圧縮機の第2実施形態を示すと共にバランスウエイトの正面図である。
【図7A】本発明の圧縮機の第3実施形態を示すと共にバランスウエイトの平面図である。
【図7B】本発明の圧縮機の第3実施形態を示すと共にバランスウエイトの正面図である。
【図8A】本発明の圧縮機の第4実施形態を示すと共にバランスウエイトの平面図である。
【図8B】本発明の圧縮機の第4実施形態を示すと共にバランスウエイトの正面図である。
【図9A】本発明の圧縮機の第5実施形態を示すと共にバランスウエイトの平面図である。
【図9B】本発明の圧縮機の第5実施形態を示すと共にバランスウエイトの正面図である。
【図10A】本発明の圧縮機の第6実施形態を示すと共にバランスウエイトの平面図である。
【図10B】本発明の圧縮機の第6実施形態を示すと共にバランスウエイトの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の圧縮機の第1実施形態である縦断面図を示している。この圧縮機は、密閉容器1と、この密閉容器1内に配置された圧縮要素2と、上記密閉容器1内に配置され、上記圧縮要素2をシャフト12を介して駆動するモータ3とを備えている。
【0015】
この圧縮機は、いわゆる縦型の高圧ドーム型のロータリ圧縮機であって、上記密閉容器1内に、上記圧縮要素2を下に、上記モータ3を上に、配置している。このモータ3のロータ6によって、上記シャフト12を介して、上記圧縮要素2を駆動するようにしている。
【0016】
上記圧縮要素2は、アキュームレータ10から吸入管11を通して冷媒ガスを吸入する。この冷媒ガスは、この圧縮機とともに、冷凍システムの一例としての空気調和機を構成する図示しない凝縮器、膨張機構、蒸発器を制御することによって得られる。この冷媒は、例えば、二酸化炭素やHCやR410A等のHFC、R22等のHCFCである。
【0017】
上記圧縮機は、圧縮した高温高圧の冷媒ガスを、上記圧縮要素2から吐出して密閉容器1の内部に満たすと共に、上記モータ3のステータ5と上記ロータ6との間の隙間を通して、上記モータ3を冷却した後、上記モータ3の上側に設けられた吐出管13から外部に吐出するようにしている。
【0018】
上記密閉容器1内の高圧領域の下部には、潤滑油が溜められた油溜まり部9が形成されている。この潤滑油は、上記油溜まり部9から、上記シャフト12に設けられた(図示しない)油通路を通って、上記圧縮要素2や上記モータ3のベアリング等の摺動部に移動して、この摺動部を潤滑する。この潤滑油は、例えば、(ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の)ポリアルキレングリコール油や、エーテル油や、エステル油や、鉱油である。
【0019】
上記圧縮要素2は、上記密閉容器1の内面に取り付けられるシリンダ21と、このシリンダ21の上下の開口端のそれぞれに取り付けられている上側の端板部材50および下側の端板部材60とを備える。上記シリンダ21、上記上側の端板部材50および上記下側の端板部材60によって、シリンダ室22を形成する。
【0020】
上記上側の端板部材50は、円板状の本体部51と、この本体部51の中央に上方へ設けられたボス部52とを有する。上記本体部51および上記ボス部52は、上記シャフト12に挿通されている。
【0021】
上記本体部51には、上記シリンダ室22に連通する吐出口51aが設けられている。上記本体部51に関して上記シリンダ21と反対側に位置するように、上記本体部51に吐出弁31が取り付けられている。この吐出弁31は、例えば、リード弁であり、上記吐出口51aを開閉する。
【0022】
上記本体部51には、上記シリンダ21と反対側に、上記吐出弁31を覆うように、カップ型のマフラカバー40が取り付けられている。このマフラカバー40は、(ボルト等の)固定部材35によって、上記本体部51に固定されている。上記マフラカバー40は、上記ボス部52に挿通されている。
【0023】
上記マフラカバー40および上記上側の端板部材50によって、マフラ室42を形成する。上記マフラ室42と上記シリンダ室22とは、上記吐出口51aを介して、連通されている。
【0024】
上記マフラカバー40は、孔部43を有する。この孔部43は、上記マフラ室42と上記マフラカバー40の外側とを連通する。
【0025】
上記下側の端板部材60は、円板状の本体部61と、この本体部61の中央に下方へ設けられたボス部62とを有する。上記本体部61および上記ボス部62は、上記シャフト12に挿通されている。
【0026】
上記シャフト12の一端側は、上記ロータ6に固定され、シャフト12の他端側は、軸受としての上下の端板部材50,60に支持されている。すなわち、上記シャフト12は、片持ちである。上記シャフト12の他端側(支持端側)は、上記シリンダ室22の内部に進入している。
【0027】
上記シャフト12の支持端側は、上記圧縮要素2の上記シリンダ室22内に配置された偏心部26を有する。この偏心部26は、ローラ27に嵌合している。このローラ27は、上記シリンダ室22内で、公転可能に配置され、このローラ27の公転運動で圧縮作用を行うようにしている。
【0028】
次に、上記シリンダ室22の圧縮作用を説明する。
【0029】
図2に示すように、上記ローラ27に一体に設けたブレード28で上記シリンダ室22内を仕切っている。すなわち、上記ブレード28の右側の室は、上記吸入管11が上記シリンダ室22の内面に開口して、吸入室(低圧室)22aを形成している。一方、上記ブレード28の左側の室は、(図1に示す)上記吐出口51aが上記シリンダ室22の内面に開口して、吐出室(高圧室)22bを形成している。
【0030】
上記ブレード28の両面には、半円柱状のブッシュ25,25が密着して、シールを行っている。上記ブレード28と上記ブッシュ25,25との間は、上記潤滑油で潤滑を行っている。
【0031】
そして、上記偏心部26が、上記シャフト12と共に、偏心回転して、上記偏心部26に嵌合した上記ローラ27が、このローラ27の外周面を上記シリンダ室22の内周面に接して、公転する。
【0032】
上記ローラ27が、上記シリンダ室22内で公転するに伴って、上記ブレード28は、このブレード28の両側面を上記ブッシュ25,25によって保持されて進退動する。すると、上記吸入管11から低圧の冷媒ガスを上記吸入室22aに吸入して、上記吐出室22bで圧縮して高圧にした後、(図1に示す)上記吐出口51aから高圧の冷媒ガスを吐出する。
【0033】
その後、図1に示すように、上記吐出口51aから吐出された冷媒ガスは、上記マフラ室42を経由して、上記マフラカバー40の外側に排出される。
【0034】
図1に示すように、上記モータ3は、上記ロータ6と、このロータ6の外周側を囲むように配置された上記ステータ5とを有する。
【0035】
上記ロータ6は、円筒形状のロータ本体610と、このロータ本体610に埋設された複数の磁石620とを有する。ロータ本体610は、例えば積層された電磁鋼板からなる。ロータ本体610の中央の孔部には、上記シャフト12が取り付けられている。磁石620は、平板状の永久磁石である。複数の磁石620は、ロータ本体610の周方向に等間隔の中心角度で、配列されている。
【0036】
上記ステータ5は、円筒形状のステータコア510と、このステータコア510に巻き付けられたコイル520とを有する。ステータコア510は、積層された複数の鋼板からなり、密閉容器1に、焼き嵌めなどによって、嵌め込まれている。コイル520は、ステータコア510の各ティース部にそれぞれ巻かれており、このコイル520は、いわゆる集中巻きである。
【0037】
上記ロータ6は、シャフト12の偏心部26に対向する側の第1面S1と、この第1面S1と反対側の第2面S2とを有する。第1面S1に、第1バランスウエイト71が取り付けられ、第2面S2に、第2バランスウエイト72が取り付けられている。第1、第2バランスウエイト71,72は、リベットによって、ロータ6に締結されている。
【0038】
上記第1バランスウエイト71および上記第2バランスウエイト72は、平面視、円弧状に形成されている。第1バランスウエイト71は、シャフト12の軸に関して、偏心部26の偏心方向と同じ方向に、配置されている。第2バランスウエイト72は、シャフト12の軸に関して、偏心部26の偏心方向と反対方向に、配置されている。
【0039】
上記シャフト12の軸方向において第1バランスウエイト71と偏心部26との間に位置するように、ロータ6に間接的に、第3バランスウエイト73が取り付けられている。第3バランスウエイト73は、図1の一点鎖線に示すように、第1バランスウエイト71に取り付けられている。
【0040】
上記第3バランスウエイト73は、平面視、円弧状に形成されている。第3バランスウエイト73は、シャフト12の軸に関して、偏心部26の偏心方向と反対方向に、配置されている。
【0041】
図3Aの平面図、および、図3Bの正面図に示すように、上記第1バランスウエイト71と上記第3バランスウエイト73とは、連結部75を介して、一体に形成されている。つまり、第3バランスウエイト73は、連結部75および第1バランスウエイト71を介して、ロータ6に間接的に取り付けられている。
【0042】
上記連結部75は、中空に形成されている。第1、第3バランスウエイト71,73および連結部75には、リベットが挿通され、第1、第3バランスウエイト71,73および連結部75は、リベットによって、一体に締結されている。
【0043】
次に、上記第1、上記第2、上記第3バランスウエイト71,72,73の質量を算出する方法を説明する。
【0044】
図4に示すように、上記ロータ6の回転時に、偏心部26に遠心力Uが作用し、第1バランスウエイト71に遠心力F1が作用し、第2バランスウエイト72に遠心力F2が作用し、第3バランスウエイト73に遠心力F3が作用する。第1バランスウエイト71の重心と偏心部26の重心との間のシャフト12の軸方向の距離をL1とし、第2バランスウエイト72の重心と偏心部26の重心との間のシャフト12の軸方向の距離をL2とし、第3バランスウエイト73の重心と偏心部26の重心との間のシャフト12の軸方向の距離をL3とする。
【0045】
図示しないが、偏心部26の質量をm0とし、第1バランスウエイト71の質量をm1とし、第2バランスウエイト72の質量をm2とし、第3バランスウエイト73の質量をm3とする。偏心部26の重心とシャフト12の軸との間のシャフト12の径方向の距離をr0とし、第1バランスウエイト71の重心とシャフト12の軸との間のシャフト12の径方向の距離をr1とし、第2バランスウエイト72の重心とシャフト12の軸との間のシャフト12の径方向の距離をr2とし、第3バランスウエイト73の重心とシャフト12の軸との間のシャフト12の径方向の距離をr3とする。所定の回転数におけるシャフト12の撓みを、φ1,φ2,φ3とする。
【0046】
ここで、U=m0・r0、F1=m1・r1、F2=m2・r2、F3=m3・r3であるため、遠心力の釣り合いより、以下の式(1)が成立する。
式(1) m1・r1+m2・r2+m3・r3=m0・r0
【0047】
また、モーメントの釣り合いより、以下の式(2)が成立する。
式(2) m1・r1・L1+m2・r2・L2+m3・r3・L3=0
【0048】
また、シャフト12の撓みを考慮した釣り合いより、以下の式(3)が成立する。
式(3) m1・(r1+φ1)+m2・(r2+φ2)+m3・(r3+φ3)
=m0・(r0+φ0)
【0049】
そして、上記式(1)(2)(3)を用いて、はじめに、回転時の遠心力負荷によるシャフト12の撓みを算出する。次に、m1、m2、m3を決定すると、新たな撓みを算出する。次に、その撓みでバランスが取れるようにm1、m2、m3を決定し、新たな撓みを算出する。これを繰り返し、安定したときのm1、m2、m3を採用する。なお、安定は、m1、m2、m3のそれぞれの変化が0.1g以下となったときとする。
【0050】
具体的な一例を示すと、図4のシャフト12の軸よりも右側を正(+)方向とすると、図5に示すような結果を得ることができる。なお、図5では、回転速度ωが100rpsのときの結果である。
【0051】
上記構成の圧縮機によれば、上記第1、上記第2、上記第3バランスウエイト71,72,73を有し、第3バランスウエイト73を偏心部26に近づけているので、シャフト12にかかる曲げモーメントを低減でき、また、シャフト12の回転時に、第1、第2、第3バランスウエイト71,72,73と偏心部26とがバランスされて、運転時のシャフト12の撓みを抑制できる。このため、ロータ6の振れ回りによる振動を低減できると共に、シャフト12の片当たりを防止できる。
【0052】
また、上記第3バランスウエイト73を上記第1バランスウエイト71と上記偏心部26との間に設けているので、偏心部26に関してロータ6と反対側の位置に潤滑油が存在しているが、第3バランスウエイト73は、この潤滑油を撹拌することがなくて、潤滑油の撹拌損失の問題がない。また、圧縮要素2が、偏心部26よりもロータ6側に配置されてシャフト12を支持する軸受としての上側端板部材50を有しているが、第3バランスウエイト73を、この端板部材50に対して径方向に重なるように配置できて、無駄なスペースを有効に利用できる。
【0053】
(第2の実施形態)
図6Aと図6Bは、この発明の圧縮機の第2の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第2の実施形態では、バランスウエイトの構成が相違する。なお、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0054】
図6Aと図6Bに示すように、第1バランスウエイト71と第3バランスウエイト73とを連結する連結部75の中途部に、第4バランスウエイト74を取り付けている。したがって、4つのバランスウエイト71,72,73,74でバランスをとることが可能となり、運転時のシャフト12の撓みを一層確実に抑制できる。
【0055】
(第3の実施形態)
図7Aと図7Bは、この発明の圧縮機の第3の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第3の実施形態では、バランスウエイトの構成が相違する。なお、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0056】
図7Aと図7Bに示すように、連結部75は、第3バランスウエイト73に連結し、第1バランスウエイト71に連結していない。つまり、第3バランスウエイト73は、連結部75を介して、ロータ6に取り付けられる。したがって、第1、第2バランスウエイト71,72が取り付けられた既存のロータ6に、連結部75を介して第3バランスウエイト73を容易に後付けできる。
【0057】
(第4の実施形態)
図8Aと図8Bは、この発明の圧縮機の第4の実施形態を示している。上記第3の実施形態と相違する点を説明すると、この第4の実施形態では、バランスウエイトの構成が相違する。なお、上記第3の実施形態と同一の符号は、上記第3の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0058】
図8Aと図8Bに示すように、第3バランスウエイト73とを連結する連結部75の中途部に、第4バランスウエイト74を取り付けている。したがって、4つのバランスウエイト71,72,73,74でバランスをとることが可能となり、運転時のシャフト12の撓みを一層確実に抑制できる。
【0059】
(第5の実施形態)
図9Aと図9Bは、この発明の圧縮機の第5の実施形態を示している。上記第1の実施形態と相違する点を説明すると、この第5の実施形態では、バランスウエイトの構成が相違する。なお、上記第1の実施形態と同一の符号は、上記第1の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0060】
図9Aと図9Bに示すように、ロータ6の第1面S1に、ロータ6と同軸に、筒体76が取り付けられている。第3バランスウエイト73は、筒体76に取り付けられている。つまり、第3バランスウエイト73は、筒体76を介して、ロータ6に取り付けられている。
【0061】
上記筒体76は、例えば、樹脂等からなる。筒体76の軸方向の一端面には、第1凹部76aが設けられ、筒体76の軸方向の他端面には、第2凹部76bが設けられている。第1凹部76aに、第1バランスウエイト71が嵌め込まれ、第2凹部76bに、第3バランスウエイト73が嵌め込まれる。第1、第3バランスウエイト71,73は、リベットにより、筒体76に締結されている。
【0062】
円弧状の第3バランスウエイト73の径と、円弧状の第1バランスウエイト71の径とは、同じである。また、筒体76の第1凹部76aの大きさは、筒体76の第2凹部76bの大きさと同じであり、第1凹部76aと第2凹部76bとは、筒体76の径方向において同一位置にある。
【0063】
したがって、上記第3バランスウエイト73は、筒体76を介して、ロータ6に取り付けられているので、ロータ6が回転しても、筒体76はそれ自体撓み難いため、ロータ6の回転による第3バランスウエイト73の振れ回りや振動を防止する。
【0064】
(第6の実施形態)
図10Aと図10Bは、この発明の圧縮機の第6の実施形態を示している。上記第5の実施形態と相違する点を説明すると、この第6の実施形態では、バランスウエイトの構成が相違する。なお、上記第5の実施形態と同一の符号は、上記第5の実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。
【0065】
図10Aと図10Bに示すように、筒体76Aには、異径の第1、第3バランスウエイト71,73Aが取り付けられている。つまり、円弧状の第3バランスウエイト73Aの径は、円弧状の第1バランスウエイト71の径よりも小さい。また、筒体76Aの第1凹部76aの大きさは、筒体76Aの第2凹部76bの大きさよりも、小さく、第1凹部76aは、第2凹部76bよりも、筒体76Aの径方向において内側に位置する。
【0066】
なお、この発明は上述の実施形態に限定されない。例えば、上記第1から上記第6の実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。また、第3バランスウエイトを、シャフトに直接に取り付けて、ロータに間接的に取り付けるようにしてもよい。また、バランスウエイトの形状や大きさは、設計変更自由である。また、バランスウエイトの数量を5つ以上としてもよい。また、コイルは、集中巻き以外に、分布巻きであってもよい。また、圧縮要素として、ロータリタイプ以外に、スクロールタイプやレシプロタイプを用いてもよい。また、圧縮機として、縦置き型以外に、横置き型を用いてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 密閉容器
2 圧縮要素
3 モータ
5 ステータ
510 ステータコア
520 コイル
6 ロータ
610 ロータ本体
620 コイル
12 シャフト
21 シリンダ
26 偏心部
50 上側の端板部材
60 下側の端板部材
71 第1バランスウエイト
72 第2バランスウエイト
73,73A 第3バランスウエイト
76,76A 筒体
S1 第1面
S2 第2面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮要素(2)と、
上記圧縮要素(2)をシャフト(12)を介して駆動するモータ(3)と
を備え、
上記モータ(3)は、
ロータ(6)と、
このロータ(6)の外周側を囲むように配置されたステータ(5)と
を有し、
上記シャフト(12)の一端側は、上記ロータ(6)に固定され、上記シャフト(12)の他端側は、上記圧縮要素(2)内に配置された偏心部(26)を有し、
上記ロータ(6)における上記偏心部(26)に対向する側の第1面(S1)に、第1バランスウエイト(71)が取り付けられ、
上記ロータ(6)における上記第1面(S1)と反対側の第2面(S2)に、第2バランスウエイト(72)が取り付けられ、
上記シャフト(12)の軸方向において上記第1バランスウエイト(71)と上記偏心部(26)との間に位置するように、上記ロータ(6)に直接的または間接的に、第3バランスウエイト(73,73A)が取り付けられていることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
請求項1に記載の圧縮機において、
上記ロータ(6)の上記第1面(S1)に、上記ロータ(6)と同軸に、筒体(76,76A)が取り付けられ、
上記第3バランスウエイト(73,73A)は、上記筒体(76,76A)に取り付けられていることを特徴とする圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2012−102649(P2012−102649A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250762(P2010−250762)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】