説明

圧縮気体のCO2除去方法及びCO2除去装置

【課題】目的に応じたCO除去の運転・制御ができ、小さな初期コストによってランニングコストを大幅に低減できる圧縮気体のCO除去の方法及び装置を提供すること。
【解決手段】吸着剤が充填された二つの吸着筒10、20に、圧縮気体を交互に供給して吸着剤の吸着効果を利用すると共に交互にパージを行って吸着剤の再生を行い、CO濃度が調整された製品気体を連続的に得るCO除去装置であって、二つの吸着筒10、20に設置された露点計測センサー装置71と、計測された露点に対して相関関係にあるCOの濃度を算出する演算装置81と、その算出結果に基づいて吸着工程とパージ工程の時間的な調整及び/又は圧縮気体の処理量に対するパージ率の調整を行うように気体を導く通気路の一又は複数の開閉手段50、32、39と、その制御を行う制御装置82を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
吸着剤が充填された二つの吸着筒に圧縮気体を交互に供給して吸着剤の吸着効果を利用すると共に交互にパージを行って吸着剤の再生を行う圧力スイング吸着法(PSA法)を用い、二酸化炭素(CO)濃度を低減させた製品気体を連続的に得る圧縮気体の二酸化炭素(CO)除去方法及び二酸化炭素(CO)除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮気体中のCOを除去する装置は、空気分離の前処理又は半導体製造用ガスの精製などの目的で広く使用されている。
圧縮気体中のCOを除去する方法は、多種あるが、イニシャルコスト及び処理能力から吸着剤を用いた物理吸着法である上述の圧力スイング吸着法(PSA法)が広く用いられている。
しかし、このPSA法では、吸着剤を乾燥させるために消費する空気量(再生空気)が多く必要であり、ランニングコストが高くなっている。吸着作用は、極性や不飽和度の違いによる吸着剤の選択性によって異なることになるが、例えば合成ゼオライトを用いてCOを除去する場合など一般に、COより吸着力が高い水分の吸・脱着を予め行う必要があり、除湿目的のPSA法に比べると多くの再生エネルギー(再生空気)が必要になる。通常の運転仕様は、最大必要量を得るように設定されており、過剰品質の製品空気を吐出することが多くなっている。
また、COを測定する装置は多種あるが、一般に高価であり、安価で精度よくCOを測定する手段はない。
【0003】
従来、圧力スイング吸着装置としては、吸着剤が充填された二つの吸着筒10、20のうち一方へ圧縮気体を導いて乾燥気体を吐出させる乾燥工程と、その乾燥工程によって乾燥された圧縮気体の一部を前工程で圧縮気体の湿分を吸着除湿した他方の吸着筒へ導いて吸着能力が低下した吸着剤から湿分を脱着させると共に排気させてその吸着剤を再生させる再生工程とを並行して行い、これらの乾燥工程と再生工程とを二つの吸着筒10、20の間で実質的に交互に行うことで乾燥気体を連続的に吐出させ、その乾燥気体の一部を排気することで、乾燥工程で湿分以外の気体が吸着剤に吸着されることによって変化される乾燥気体の成分濃度を調整するもの(特許文献1参照)が本出願人によって提案されている。
【0004】
また、従来、製品気体の成分濃度を調整する制御方法としては、[発酵プロセスやタバコプロセス等の排ガスのような]原料ガス中の[COのような]特定回収成分濃度が大きく変動する原料ガスから特定成分を回収する圧力スイング吸着方法であって、吸着筒へ流入させる特定回収成分の濃度と原料ガス流量に応じて圧力スイング吸着装置のタイムサイクルを変化させ追従させる圧力スイング吸着方法(特許文献1参照)が開示されている。このタイムサイクルの中で吸着工程と洗浄工程の時間の比率を変えることで、吸着装置の吸着能を最大限に発揮できる条件での操業が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−116500号公報(第1頁)
【特許文献2】特開平6−99015号公報(第1頁、請求項1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
圧縮気体のCO除去方法及びCO除去装置に関して解決しようとする問題点は、従来は、CO除去装置を効率的に運転すべく制御するためのCO濃度の計測を、安価な装置構成で且つ適切に行うことができる方法及び装置構成が提案されていないことにある。
そこで本発明の目的は、CO濃度の計測・監視を安価な装置構成で且つ適切に行うことで、目的に応じたCO除去の運転ができるように制御でき、小さな初期コストによってランニングコストを大幅に低減できる圧縮気体のCO除去方法及びCO除去装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために次の構成を備える。
本発明に係る圧縮気体のCO除去方法の一形態によれば、吸着剤が充填された二つの吸着筒のうち一方へ圧縮気体を導いて該圧縮気体のCOを含む気体成分の一部が吸着除去された気体を吐出させる吸着工程と、該吸着工程によって気体成分が調整された圧縮気体の一部を、前工程で前記気体成分の一部を吸着した他方の吸着筒へ導いて、吸着能力が低下した吸着剤から吸着された前記気体成分を脱着させると共に排気させて該吸着剤を再生させるようにパージをするパージ工程とを並行して行い、これらの吸着工程とパージ工程とを二つの吸着筒の間で実質的に交互に行うことでCO濃度が低減された製品気体を連続的に吐出させる圧縮気体のCO除去方法であって、前記二つの吸着筒内における露点を計測・監視することで、該露点に対して相関関係にあるCOの濃度を算出し、該算出結果に基づいて前記吸着工程と前記パージ工程の時間的な調整及び/又は前記圧縮気体の処理量に対するパージ工程のパージ率の調整を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る圧縮気体のCO除去方法の一形態によれば、前記パージ工程のパージ率の調整は、前記二つの吸着筒の間を連通してパージができるように設けられた二つの吸着筒間接続路のどちらか一方を開閉することで、パージ量を二段階に調整することで行われることを特徴とすることができる。
【0009】
本発明に係る圧縮気体のCO除去装置の一形態によれば、吸着剤が充填された二つの吸着筒のうち一方へ圧縮気体を導いて該圧縮気体のCOを含む気体成分の一部が吸着除去された気体を吐出させる吸着工程と、該吸着工程によって気体成分が調整された圧縮気体の一部を、前工程で前記気体成分の一部を吸着した他方の吸着筒へ導いて、吸着能力が低下した吸着剤から吸着された前記気体成分を脱着させると共に排気させて該吸着剤を再生させるようにパージをするパージ工程とを並行して行い、これらの吸着工程とパージ工程とを二つの吸着筒の間で実質的に交互に行うことでCO濃度が低減された製品気体を連続的に吐出させる圧縮気体のCO除去装置であって、前記二つの吸着筒内における露点を計測・監視するように各吸着筒にサンプリング部が設置された露点計測センサー装置と、該露点計測センサー装置によって計測された露点に対して相関関係にあるCOの濃度を算出する演算装置と、該演算装置の算出結果に基づいて前記吸着工程と前記パージ工程の時間的な調整及び/又は前記圧縮気体の処理量に対するパージ率の調整を行うように気体を導く通気路の一又は複数の開閉手段と、該開閉手段の開閉に関する制御を行う制御装置とを具備する。
【0010】
また、本発明に係る圧縮気体のCO除去装置の一形態によれば、露点計測センサー装置は、湿度センサーと温度センサーによって構成されていることを特徴とすることができる。
また、本発明に係る圧縮気体のCO除去装置の一形態によれば、前記気体を導く通気路の開閉手段が、前記吸着工程と前記パージ工程の時間的な調整ができるように、圧縮空気を二つの吸着筒へ交互に導くと共にパージによって二つの吸着筒から交互に排気される気体を排気路へ導くように通気路を切り換える切換バルブ及び/又はパージによる気体を排気するように導く排気バルブによって構成され、前記切換バルブ及び/又は前記排気バルブを前記制御装置が制御することを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る圧縮気体のCO除去装置の一形態によれば、前記気体を導く通気路の開閉手段が、前記パージ工程のパージ量を二段階に調整できるように、前記二つの吸着筒を連通するように設けられた二つの吸着筒間接続路の少なくとも一方を開閉する吸着筒間接続路の開閉弁によって構成され、該吸着筒間接続路の開閉弁を前記制御装置が制御することを特徴とすることができる。
また、本発明に係る圧縮気体のCO除去装置の一形態によれば、前記二つの吸着筒間接続路のうち一方の吸着筒間接続路が、オリフィスによって通気量が設定されて常に連通している通路であり、前記二つの吸着筒間接続路のうち他方の吸着筒間接続路が、該他方の吸着筒間接続路の通路途中に配されて同一通気量に開口が設定された一対のオリフィスと、該一対のオリフィスの間に配された前記吸着筒間接続路の開閉弁とで構成されている開閉可能な通路であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る圧縮気体のCO除去方法及びCO除去装置によれば、CO濃度の計測・監視を安価な装置構成で且つ適切に行うことで、目的に応じたCO除去の運転ができるように制御でき、小さな初期コストによってランニングコストを大幅に低減できるという特別有利な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る圧縮気体のCO除去装置の形態例を示す模式図である。
【図2】本発明に係る圧縮気体のCO除去装置の制御例を示すフローチャート図である。
【図3】本発明に係る圧縮気体のCO除去装置の他の形態例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る圧縮気体のCO除去装置の他の形態例を示す主要部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る圧縮気体のCO除去装置及びそのパージ方法の形態例を添付図面(図1〜4)に基づいて詳細に説明する。
先ず、吸着剤が充填された二つの吸着筒10、20に、圧縮気体を交互に供給して吸着剤の吸着効果を利用すると共に交互にパージを行って吸着剤の再生を行い、COを含む気体成分が調整された製品気体を連続的に得るように構成された圧縮気体のCO除去装置の基本形態について、図1に基づいて説明する。
【0015】
10は第1吸着筒であり、20は第2吸着筒である。以下、記載を簡略化するため、第1吸着筒10を「A筒」と、第2吸着筒20を「B筒」と記載することがある。これらの第1吸着筒10(A筒)及び第2吸着筒20(B筒)には、導入された圧縮気体の気体成分の一部を吸着して気体成分の濃度を調整する吸着剤が充填されている。
この各吸着筒10、20へは、圧縮気体導入路40から切換バルブ50を介して圧縮空気が導入される。
【0016】
11は第1吸入通路であり、A筒に圧縮気体を導く通路となっている。また、21は第2吸入通路であり、B筒に圧縮気体を導く通路となっている。
12は第1排出通路であり、A筒から製品気体を吐出させる通路となっている。また、22は第2排出通路であり、B筒から製品気体を吐出させる通路となっている。
【0017】
30は一方の吸着筒間接続路であり、A筒とB筒を連通する通路となっている。この吸着筒間接続路30は、各吸着筒10、20の排出通路12、22が連通されている側に接続されている。これは、吸着筒10、20に導入されたばかりの気体成分の濃度が調整されていない圧縮気体でなく、その濃度が調整された圧縮気体を一方の吸着筒から他方の吸着筒へ導くためである。
また、この一方の吸着筒間接続路30には、気体流量を調整する手段としてパージ用オリフィス31が設けられている。これにより、一定流量の圧縮気体が通過するようになっている。
【0018】
13は第1パージ用排気通路であり、B筒で調整された一部が吸着筒間接続路30を介してA筒に導かれ吸着剤から吸着された気体成分を脱着してその吸着剤を再生させたパージ気体を排気させる通路となっている。23は第2パージ用排気通路であり、A筒で調整された一部が吸着筒間接続路30を介してB筒に導かれ吸着剤から吸着された気体成分を脱着してその吸着剤を再生させたパージ気体を排気させる通路となっている。
【0019】
32は排気バルブであり、第1パージ用排気通路13及び第2パージ用排気通路23に接続され、パージ用の排気を管理するように制御装置82によって制御されて開閉作動する電磁弁である。
34はパージ排気用集合路であり、第1パージ用排気通路13と第2パージ用排気通路23を集合させた通路である。すなわち、このパージ排気用集合路34は、第1パージ用排気通路13及び第2パージ用排気通路23のそれぞれの一部を構成している。
33はパージ用サイレンサであり、排気バルブ32の排気側に接続されている。パージの際の排気音を消音するために設けられている。
【0020】
40は圧縮気体導入路であり、圧縮気体の発生源側に接続されて圧縮気体を導く気体通路である。この圧縮気体導入路40は、分岐されて第1吸入通路11、第2吸入通路21が構成されている。
17、27は逆止弁であり、第1排出通路12及び第2排出通路22のそれぞれの中途部に設けられている。この逆止弁17、27は、製品気体が好適に排出されるように逆流することを防止するチェックバルブである。
42は製品気体吐出用集合路であり、第1排出通路12と第2排出通路22を集合させた通路である。この製品気体吐出用集合路42を通って所定の供給先に製品気体が供給される。
【0021】
次に、本発明の係る圧縮気体のCO除去装置の特徴となる構成について、図1及び2に基づいて説明する。
70は露点計測センサー装置であり、二つの吸着筒10、20内における露点を計測・監視するように各吸着筒10、20にサンプリング部15、25が設置されている。69はサンプリング用の導管であり、サンプリング部15、25と露点計測センサー装置70のセンサー部との間を連通している。また、15a及び25aは逆止弁であり、二つの吸着筒10、20内でサンプリングされた気体が露点計測センサー装置70のセンサー部へ一方向に流れるように設けられている。この露点計測センサー装置70は、湿度センサーと温度センサーによって構成することができる。また、この露点計測センサー装置70の露点測定方法としては、抵抗式、容量式などを感湿部に用いた汎用的な露点センサーを用いることができる。
【0022】
この露点計測センサー装置70によれば、露点を計測・検出することで、その露点に対して相関関係にあるCOの濃度を好適に検出するできることになる。そして、これによれば、COの濃度を計測するセンサー装置による場合に比較して大幅に安価に構成でき、製造コストを低減できる。
また、各吸着筒10、20に設けられるサンプリング部15、25の位置は、水分がCOよりも優先的に吸着されるという吸着剤の特性から、各吸着筒10、20の長手方向である圧縮気体の流れ方向の中途部に設置するとよい。本形態例では、サンプリング部15、25が、各吸着筒10、20の長手方向の真中部に配置されている。これによれば、COの濃度について適切な安全率を確保することができる。なお、吸着剤としては、合成ゼオライトや活性アルミナを用いることができる。
【0023】
81は演算装置であり、露点計測センサー装置70によって計測された露点のデータが入力されるように露点計測センサー装置70に接続され、その露点に対して相関関係にあるCOの濃度を算出するように、電子基板80に設けられている(図1参照)。
この演算装置81の算出結果に基づいて、吸着工程とパージ工程の時間的な調整及び/又は圧縮気体の処理量に対するパージ率の調整を行うように、気体を導く通気路の一又は複数の開閉手段としては、切換バルブ50、排気バルブ32(図1参照)や後述する開閉弁39(図4参照)が設けられている。
【0024】
82は制御装置であり、演算装置81の算出結果に基づいて各開閉手段(切換バルブ50、排気バルブ32、開閉弁39)の開閉に関する制御を行うように、各開閉手段に接続されており、電子基板80に設けられている。この制御装置82は、演算装置81の算出結果のデータの入力し、吸着工程とパージ工程の時間的な調整及び/又は圧縮気体の処理量に対するパージ率の調整を行うことができるように、各開閉手段を制御する信号を出力するように設けられている。
【0025】
以上の構成を備える装置によれば、二つの吸着筒10、20内における露点を計測・監視することで、その露点に対して相関関係にあるCOの濃度を算出し、その算出結果に基づいて吸着工程とパージ工程の時間的な調整及び/又は圧縮気体の処理量に対するパージ工程のパージ率の調整を行うができる。つまり、COの濃度を監視して再生空気を制御することで必要以上の再生空気の消費を抑制でき、目的に応じた最適な運転・操作を行うことができる。従って、過剰品質の製品空気を供給することを好適に防止でき、省エネ運転を実現することができる。また、露点センサーのみで、露点とCOの濃度の両方を測定・監視することができ、装置の複雑化を防止して初期コストを低減できる。
このように、露点のみを計測・監視することで、CO濃度を監視できることは、特定の吸着剤の吸着特性について、露点とCO濃度が、ある一定の安定的な相関関係にあることを見出したことによる。
【0026】
図1に示す形態例によれば、気体を導く通気路の開閉手段が、吸着工程とパージ工程の時間的な調整ができるように、圧縮空気を二つの吸着筒10、20へ交互に導くと共にパージによって二つの吸着筒10、20から交互に排気される気体を排気路へ導くように通気路を切り換える切換バルブ50及び/又はパージによる気体を排気するように導く排気バルブ32によって構成されている。そして、その切換バルブ50及び/又は排気バルブ32を制御装置82が制御をする構成になっている。
【0027】
これによれば、圧縮気体のCO除去装置の基本的な構成である切換バルブ50及び/又は排気バルブ32を適切に利用してCO除去にかかる効率的な装置の運転を行うことができる。基本的な構成を利用できるため、初期コストを抑制できる。また、パージ量が小さくなるように運転を制御することで、省エネ運転を実現することができ、ランニングコストを好適に低減できる。
【0028】
すなわち、図2のフローチャートに示すように、運転をスタートさせて、先ずは標準運転を行う。この標準運転中において、露点計測センサー装置70によって、乾燥空気の露点検出を連続的或いは断続的に行う。この露点計測センサー装置70による検出データに基づいて演算装置81によって、その露点に対して相関関係にあるCOの濃度を算出する。そして、この算出されたCO濃度を、設定されたCO濃度と比較する。算出されたCO濃度が設定値よりも低ければ、省エネ運転に移行する。算出されたCO濃度が設定値よりも高ければ、標準運転を維持する。これにより、効率的な運転が可能になる。
【0029】
次に、本発明に係る圧縮気体のCO除去装置の他の形態例(圧縮気体の処理量に対するパージ率の調整を行う構成)を、図3及び図4に基づいて説明する。
図3及び図4に示した形態例の圧縮気体のCO除去装置は、パージ量を二段階に調整できるように、二つの吸着筒10、20を連通するように設けられた二つの吸着筒間接続路30、35(一方の吸着筒間接続路30、他方の吸着筒間接続路35)と、その二つの吸着筒間接続路30、35の少なくとも一方を開閉する開閉弁39とを具備する。他方の吸着筒間接続路35も、一方の吸着筒間接続路30と同様に、各吸着筒10、20の排出通路12、22が連通されている側に接続されている。なお、図3では、二つの吸着筒間接続路30、35が二つの吸着筒10、20それぞれに接続された配管から分岐して並列に設けてある形態例を示してある。また、図4では、二つの吸着筒間接続路30、35が全く別々の系統の配管になっている形態例を示してあると共に、他方の吸着筒間接続路35の具体的構成を示してある。
【0030】
これによれば、例えば、COの濃度が高いため高いパージ率を必要とする際には、開閉弁39を開いて二つの吸着筒間接続路30、35によって二つの吸着筒10、20を連通することで、パージ量を大きくすることができる。図4に示す形態例では、他方の吸着筒間接続路35の開閉弁39が閉じた状態(図4に示した状態)から、PとAを連通させて開いた状態に、その開閉弁39を制御装置82(図1参照)によって作動させることでパージ量を大きくすることができる。
そして、COの濃度が低くなって高いパージ率の必要がなくなった時点においては、制御装置82によって開閉弁39を閉じることで、パージ量を小さくして省エネモードにすることができる。
【0031】
開閉弁39を自動的に開閉するように制御するには、図4に示すように、開閉弁39を電磁開閉弁とし、その電磁開閉弁(開閉弁39)の開閉を前述したように制御装置82(図1参照)によって制御すればよい。これによれば、吸着サイクルにおいてパージ量を適切に管理でき、省エネを適切に実現できる。つまり、過剰な品質の製品気体を吐出することなく、エネルギーの消費を削減でき、ランニングコストを低減して高い経済性を実現できる。
【0032】
また、本形態例では、二つの吸着筒間接続路30、35のうち一方の吸着筒間接続路30が、オリフィス31によって通気量が設定されて常に連通している通路になっている。
また、二つの吸着筒間接続路30、35のうち他方の吸着筒間接続路35が、その他方の吸着筒間接続路35の通路途中に配されて同一通気量に開口が設定された一対のオリフィス36a、36bと、その一対のオリフィス36a、36bの間に配された開閉弁39とで構成されている開閉可能な通路になっている。
【0033】
これによれば、開閉弁39によって開閉が可能な他方の吸着筒間接続路35について、一対の同等のオリフィス36a、36bを配することで、パージのための気体の流れ方向が交互に逆向きになってもパージ量が同等となる。つまり、開閉弁39を通過する気体の方向性による影響を排除することができ、A筒とB筒からバランスよく安定的に製品空気を吐出することができる。
【0034】
さらに、37a、37bはバイパス通路であり、オリフィス36a、36bをバイパスしてパージ用の気体を通過させることができる。また、38a、38bは逆止弁である。逆止弁38aはA筒からB筒への流れをバイパスし、逆止弁38bはB筒からA筒への流れをバイパスする。これらの構成によれば、パージ用の気体がA筒からB筒に流れる際には、そのパージ量がオリフィス36bによって規制されることになる。そして、パージ用の気体が逆にB筒からA筒に流れる際には、そのパージ量がオリフィス36aによって規制されることになる。このため、一対のオリフィス36a、36bが、同等のものであれば、開閉弁39の影響と流れの方向の影響を受けることなく、パージ用の気体を流通させることができる。
【0035】
ところで、開閉弁39に替えて無段階バルブを利用することが考えられるが、複雑でコスト高になり易い。また、無段階バルブの場合、その無段階バルブの前後に本形態例のような同等のオリフィスを配する構成にはならない。このため、無段階バルブを利用する場合は、二つの吸着筒10、20を交互に用いてパージのための気体の流れ方向が交互に逆向きになるとき、その方向性による変化を受けてパージ量が不安定になってバランスのよい運転が難しくなる。
【0036】
また、本形態例では、他方の吸着筒間接続路35の方が、一方の吸着筒間接続路30よりも通気量が小さくなるように設定されている。例えば、一方の吸着筒間接続路30によるパージ率を1とすれば、他方の吸着筒間接続路35によって加算されるパージ率を0.5とすることができる。つまり、他方の吸着筒間接続路35の開閉弁39を開いて連通させた場合であってそのパージ量を大きくしたときは、通常のパージ率の1.5倍となる。このようにパージ量を調整するには、例えば、一方の吸着筒間接続路30のオリフィス31、他方の吸着筒間接続路35のオリフィス36a、36bの各開口のサイズを適宜に調整すればよい。
【0037】
以上に説明した本発明の圧縮気体のCO除去装置によれば、パージ工程において、二つの吸着筒10、20の間を連通してパージができるように設けられた二つの吸着筒間接続路30、35のどちらか一方を開閉することで、パージ量を好適に二段階に調整することができる。
例えば、上述したようなCOの濃度が高い場合の他に、圧縮気体のCO除去装置を起動する際及び/又は前記パージ工程においてパージによる排気を止めて二つの吸着筒10、20の昇圧をする際に、二つの吸着筒間接続路30、35の両方が二つの吸着筒10、20の間を連通するようにしてパージ率を高めることができる。つまり、オリフィスを有する二系統の通路の両方を開いた状態として、起動時や昇圧時などの必要なときに、パージ率を高める制御を行うことができる。
【0038】
圧縮気体のCO除去装置の起動をする際にパージ率を高めることで、起動時間を短縮することができる。また、二つの吸着筒10、20の昇圧をする際にパージ率を高めることで、その昇圧工程を所要の時間でスムースに行うことが可能となり、パージ効率を高いレベルに維持できる。このため、吸着性能を高いレベルに維持できる。つまり、再生用気体(パージ用の気体)を流すときに吸着側は高圧で再生側は大気圧になり、昇圧が十分になされないと吸着効率が充分に安定化しなくなるという課題を適切に解消できる。
【0039】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【符号の説明】
【0040】
10 第1吸着筒
11 第1吸入通路
12 第1排出通路
13 第1パージ用排気通路
15 サンプリング部
17 逆止弁
20 第2吸着筒
21 第2吸入通路
22 第2排出通路
23 第2パージ用排気通路
25 サンプリング部
27 逆止弁
30 一方の吸着筒間接続路
31 オリフィス
32 排気バルブ
33 パージ用サイレンサ
34 パージ排気用集合路
35 他方の吸着筒間接続路
36a オリフィス
36b オリフィス
37a バイパス通路
37b バイパス通路
38a 逆止弁
38b 逆止弁
39 開閉弁(オリフィス電磁弁)
40 圧縮気体導入路
42 製品気体吐出用集合路
50 切換バルブ
70 露点計測センサー装置
81 演算装置
82 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤が充填された二つの吸着筒のうち一方へ圧縮気体を導いて該圧縮気体のCOを含む気体成分の一部が吸着除去された気体を吐出させる吸着工程と、該吸着工程によって気体成分が調整された圧縮気体の一部を、前工程で前記気体成分の一部を吸着した他方の吸着筒へ導いて、吸着能力が低下した吸着剤から吸着された前記気体成分を脱着させると共に排気させて該吸着剤を再生させるようにパージをするパージ工程とを並行して行い、これらの吸着工程とパージ工程とを二つの吸着筒の間で実質的に交互に行うことでCO濃度が低減された製品気体を連続的に吐出させる圧縮気体のCO除去方法であって、
前記二つの吸着筒内における露点を計測・監視することで、該露点に対して相関関係にあるCOの濃度を算出し、該算出結果に基づいて前記吸着工程と前記パージ工程の時間的な調整及び/又は前記圧縮気体の処理量に対するパージ工程のパージ率の調整を行うことを特徴とする圧縮気体のCO除去方法。
【請求項2】
前記パージ工程のパージ率の調整は、前記二つの吸着筒の間を連通してパージができるように設けられた二つの吸着筒間接続路のどちらか一方を開閉することで、パージ量を二段階に調整することで行われることを特徴とする請求項1記載の圧縮気体のCO除去方法。
【請求項3】
吸着剤が充填された二つの吸着筒のうち一方へ圧縮気体を導いて該圧縮気体のCOを含む気体成分の一部が吸着除去された気体を吐出させる吸着工程と、該吸着工程によって気体成分が調整された圧縮気体の一部を、前工程で前記気体成分の一部を吸着した他方の吸着筒へ導いて、吸着能力が低下した吸着剤から吸着された前記気体成分を脱着させると共に排気させて該吸着剤を再生させるようにパージをするパージ工程とを並行して行い、これらの吸着工程とパージ工程とを二つの吸着筒の間で実質的に交互に行うことでCO濃度が低減された製品気体を連続的に吐出させる圧縮気体のCO除去装置であって、
前記二つの吸着筒内における露点を計測・監視するように各吸着筒にサンプリング部が設置された露点計測センサー装置と、該露点計測センサー装置によって計測された露点に対して相関関係にあるCOの濃度を算出する演算装置と、該演算装置の算出結果に基づいて前記吸着工程と前記パージ工程の時間的な調整及び/又は前記圧縮気体の処理量に対するパージ率の調整を行うように気体を導く通気路の一又は複数の開閉手段と、該開閉手段の開閉に関する制御を行う制御装置とを具備することを特徴とする圧縮気体のCO除去装置。
【請求項4】
露点計測センサー装置は、湿度センサーと温度センサーによって構成されていることを特徴とする請求項3記載の圧縮気体のCO除去装置。
【請求項5】
前記気体を導く通気路の開閉手段が、前記吸着工程と前記パージ工程の時間的な調整ができるように、圧縮空気を二つの吸着筒へ交互に導くと共にパージによって二つの吸着筒から交互に排気される気体を排気路へ導くように通気路を切り換える切換バルブ及び/又はパージによる気体を排気するように導く排気バルブによって構成され、前記切換バルブ及び/又は前記排気バルブを前記制御装置が制御することを特徴とする請求項3又は4記載の圧縮気体のCO除去装置。
【請求項6】
前記気体を導く通気路の開閉手段が、前記パージ工程のパージ量を二段階に調整できるように、前記二つの吸着筒を連通するように設けられた二つの吸着筒間接続路の少なくとも一方を開閉する吸着筒間接続路の開閉弁によって構成され、該吸着筒間接続路の開閉弁を前記制御装置が制御することを特徴とする請求項3又は4記載の圧縮気体のCO除去装置。
【請求項7】
前記二つの吸着筒間接続路のうち一方の吸着筒間接続路が、オリフィスによって通気量が設定されて常に連通している通路であり、前記二つの吸着筒間接続路のうち他方の吸着筒間接続路が、該他方の吸着筒間接続路の通路途中に配されて同一通気量に開口が設定された一対のオリフィスと、該一対のオリフィスの間に配された前記吸着筒間接続路の開閉弁とで構成されている開閉可能な通路であることを特徴とする請求項6記載の圧縮気体のCO除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−111491(P2013−111491A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257205(P2011−257205)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】