説明

圧電アクチュエータ、レンズ鏡筒、及び撮像装置

【課題】圧電素子によって駆動される部材の異なる2つの方向への振動を、独立して制御することができ、異なる2つの方向へ効率よく振動させる圧電アクチュエータを提供する。
【解決手段】圧電アクチュエータ(1)は、第1の方向に沿って厚みすべり振動をする第1圧電素子(6)と、第1圧電素子(6)により駆動され、第1の方向に沿って振動する第1部材(3b)と、第1部材(3b)に支持され、第2の方向に沿って厚みすべり振動をする第2圧電素子(7)と、第2圧電素子(7)により駆動され、第2の方向に沿って振動する第2部材(3a)と、第2部材(3a)によって駆動される被駆動体(4)と第2部材(3a)との間に圧力を生成する加圧部(8)とを備える。加圧部(8)は、被駆動体(4)と第2部材(3a)との間の圧力を、被駆動体(4)の駆動状態に応じて変更する第3圧電素子(81)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電アクチュエータ、レンズ鏡筒、及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の圧電素子を駆動させ、被駆動体に接触させるチップ部材を楕円運動させることで、被駆動体を駆動させる圧電アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、XYZ直交座標系を設定した場合に、チップ部材のXZ平面に平行な楕円運動により被駆動体をX軸方向に駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−236138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の圧電アクチュエータは、チップ部材とベース部材との距離が変化する持ち上げ方向の振動と、チップ部材とベース部材との距離が変化しない送り方向の振動とを、それぞれ独立して制御できないという課題がある。また、チップ部材を、持ち上げ方向と送り方向とにそれぞれ効率よく振動させることが困難であるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、圧電素子によって駆動される部材の異なる2つの方向への振動を、独立して制御することができ、異なる2つの方向へ効率よく振動させることができる圧電アクチュエータ、レンズ鏡筒、及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明は、第1の方向に沿って厚みすべり振動をする第1圧電素子と、前記第1圧電素子により駆動され、前記第1の方向に沿って振動する第1部材と、前記第1部材に支持され、第2の方向に沿って厚みすべり振動をする第2圧電素子と、前記第2圧電素子により駆動され、前記第2の方向に沿って振動する第2部材と、前記第2部材によって駆動される被駆動体と前記第2部材との間に圧力を生成する加圧部とを備え、前記加圧部は、前記圧力を、前記被駆動体の駆動状態に応じて変更する第3圧電素子を備えることを特徴とする圧電アクチュエータである。
【0007】
また、本発明は、上記圧電アクチュエータを備えることを特徴とするレンズ鏡筒である。
【0008】
また、本発明は、上記圧電アクチュエータを備えることを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧電素子によって駆動される部材の異なる2つの方向への振動を、独立して制御することができる。また、圧電素子によって駆動される部材を、異なる2つの方向へ効率よく振動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態における圧電アクチュエータを示す概略構成図である。
【図2】同実施形態における圧電アクチュエータの加圧制御部を示す概略ブロック図である。
【図3】同実施形態における圧電アクチュエータの駆動回路を示す回路図である。
【図4】同実施形態における加圧部の動作を示す図である。
【図5】同実施形態における圧電アクチュエータの各状態を示す表である。
【図6】同実施形態の加圧部における動作の別の一例を示す図である。
【図7】同実施形態における圧電アクチュエータの加圧制御部の別の一例を示す第1の概略ブロック図である。
【図8】同実施形態における圧電アクチュエータの加圧制御部の別の一例を示す第2の概略ブロック図である。
【図9】同実施形態における加圧部の動作の別の一例を示す図である。
【図10】同実施形態におけるレンズ鏡筒及び撮像装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態による圧電アクチュエータ、レンズ鏡筒、及び撮像装置について図面を参照して説明する。
<第1の実施形態>
本実施形態の圧電アクチュエータは、ベース部に対してロータを相対的に変位させる相対駆動を行い、ロータによってカメラ(撮像装置)のレンズ鏡筒等の光学機器や電子機器を駆動する。
図1は、本実施形態における圧電アクチュエータ1を示す概略構成図である。
図1に示すように、圧電アクチュエータ1は、ベース部2、駆動駒3、ロータ4、支持軸5、第1圧電素子6、第2圧電素子7、加圧部8、及び加圧制御部20を備えている。
【0012】
ベース部2は、導電性を有し、弾性体とみなせる例えばステンレス鋼を含む材料によって設けられている。ベース部2は、中央部に軸方向の貫通穴を有する中空円筒状の形状に形成されている。ベース部2の表面には絶縁処理が施され、例えば絶縁膜が成膜されている。ベース部2の貫通穴には、支持軸5が挿通されている。
【0013】
ベース部2の一方の端部には、複数の保持部2aがベース部2の周方向に隣接して設けられている。保持部2aは、駆動駒3をベース部2の周方向の両側から挟みこむように保持する凹状の形状に形成されている。ベース部2の他方の端部は、例えばボルト等の不図示の締結部材により、取付部40に固定されている。ベース部2の中央部よりも取付部40に近い部分には、周方向に連続する溝部2dが設けられている。
【0014】
圧電アクチュエータ1は、所定の位相差で駆動する3つの駆動駒3の組を2組有している。本実施形態では、ベース部2の周方向に等間隔に配置された6つの駆動駒3のうち、3つの駆動駒31が第1組に属し、3つの駆動駒32が第2組に属している。各組の駆動駒31と駆動駒32とは、ベース部2の周方向、すなわちロータ4の回転方向Rに交互に配置されている。
【0015】
各々の駆動駒3は、基部3b(第1部材)と先端部3a(第2部材)とを有している。
基部3bは、周方向に交差する一対の側面がやや傾斜したほぼ直方体形状を有している。基部3bは例えば軽金属合金等により形成され、導電性を有している。基部3bは保持部2aによって支持軸5と平行な方向(第1の方向)に駆動可能に支持されている。また、基部3bは、第1圧電素子6により駆動され、第1の方向に沿って振動する。
先端部3aは、断面が山形の六角柱形状を有している。先端部3aは例えばステンレス鋼等により形成され、導電性を有している。先端部3aは、基部3bとロータ4との間に配置され、保持部2aから突出してロータ4を支持している。また、先端部3aは、第2圧電素子7により駆動され、各駆動駒3の中心を通る中心円の接線方向(第2の方向)に沿って振動する。
【0016】
ロータ4(被駆動体)は、不図示のベアリングを介して支持軸5に取り付けられ、支持軸5を中心として、回転方向Rの前方又は後方に回転可能に設けられている。ロータ4の外周面には、例えばカメラのレンズ鏡筒等を駆動するための歯車4aが形成されている。ロータ4のベース部2に対向する面は、複数の駆動駒3によって支持されている。また、ロータ4は、駆動駒3の先端部3aによって駆動される。
支持軸5は、中心線がロータ4の回転軸と一致するように配置された丸棒状の部材である。支持軸5は、一方の端部が丸棒状の直径が大きく、加圧部8を固定している。また、支持軸5は、他方の端部が取付部40に固定されている。支持軸5は、ベース部2とロータ4を貫通している。支持軸5は、ロータ4の回転方向Rに沿って配置された複数の駆動駒3の中心に配置されている。
【0017】
第1圧電素子6は、例えばジルコン酸チタン酸塩(PZT)を含む材料により形成されている。第1圧電素子6は、電圧が印加されることによって変形する。第1圧電素子6は、ベース部2の保持部2aの内側の面と、駆動駒3の基部3bの側面との間に配置されている。第1圧電素子6は、駆動駒3の基部3bをロータ4の回転方向Rの前方及び後方から挟みこむように配置されている。第1圧電素子6は、駆動駒3の基部3bの、ロータ4の回転方向Rにおける前方及び後方の各側面に、2つずつ配置されている。各側面の2つの第1圧電素子6は、それぞれベース部2の径方向、すなわちロータ4の径方向に、隣接して配置されている。
【0018】
各々の第1圧電素子6は、支持軸5の軸方向に長い短冊状の形状を有している。第1圧電素子6は、電圧が印加されることによって変形する。例えば、第1圧電素子6は、電圧が印加されることによって厚みすべり変形をする。つまり、第1圧電素子6は、支持軸5の軸方向(第1の方向)に沿う長手方向に厚みすべり振動をするように設けられている。各々の第1圧電素子6は、導電性を有する接着剤により、ベース部2の保持部2aの内側の面と、駆動駒3の基部3bの側面との双方に接着されている。
ここで、第1圧電素子6の厚み方向を、各駆動駒3の中心におけるロータ4の回転円の接線方向、すなわち各駆動駒3の中心を通る中心円の接線方向とする。
なお、第1圧電素子6には、後述する電源部10(図3)から電圧が供給される。
【0019】
第2圧電素子7は、例えばジルコン酸チタン酸塩を含む材料により形成されている。第2圧電素子7は、駆動駒3の先端部3aと基部3bとの間に配置されている。すなわち、第2圧電素子7は、駆動駒3の基部3bに支持されるとともに、基部3b上で先端部3aを支持している。第2圧電素子7は、ベース部2の径方向に隣接して2つ配置されている。
【0020】
各々の第2圧電素子7は、各駆動駒3の中心を通る中心円の接線方向、すなわち各駆動駒3の中心におけるロータ4の回転円の接線方向に長い短冊状の形状を有している。第2圧電素子7は、電圧が印加されることによって変形する。例えば、第2圧電素子7は、電圧が印加されることによって厚みすべり変形をする。つまり、第2圧電素子7は、各駆動駒3の中心を通る中心円の接線方向、すなわち各駆動駒3の中心におけるロータ4の回転円の接線方向(第2の方向)に沿って、厚みすべり振動をするように設けられている。各々の第2圧電素子7は、導電性を有する接着剤により、駆動駒3の先端部3aと基部3bとの双方に接着されている。
ここで、第2圧電素子7の厚み方向を、支持軸5の軸方向に平行な方向とする。
なお、第2圧電素子7には、後述する電源部10(図3)から電圧が供給(印加)される。
【0021】
加圧部8は、支持軸5における径の大きい一方の端部とロータ4との間に配置されている。加圧部8は、駆動駒3の先端部3aによって駆動されるロータ4と先端部3aとの間に圧力を生成する。また、加圧部8は、第3圧電素子81及びゴム部材82を備えている。
【0022】
第3圧電素子81は、例えばジルコン酸チタン酸塩を含む材料により形成されている。第3圧電素子81は、ゴム部材82とロータ4との間に配置されている。第3圧電素子81は、電圧が印加されることにより、支持軸5と平行な方向の厚さが変わるように配置されている。第3圧電素子81は、支持軸5と平行な方向の厚さを変更することによって、ロータ4と先端部3aとの間に圧力を、ロータ4の駆動状態に応じて変更する。また、第3圧電素子81には、加圧制御部20から電圧が供給(印加)される。
ゴム部材82は、第3圧電素子81とロータ4との間に配置されている。ゴム部材82は、ロータ4における支持軸5と平行な方向の振動を減衰する減衰ゴムとして機能する。
【0023】
加圧制御部20は、第3圧電素子81に印加する電圧を変更すると共に、第3圧電素子81に電圧を供給(印加)する。加圧制御部20は、電圧供給部21及び制御部22を備えている。
電圧供給部21は、制御部22から供給される制御信号に基づいて、第3圧電素子81に印加する電圧を変更して、第3圧電素子81に供給(印加)する。
制御部22は、電圧供給部21に制御信号を供給して、第3圧電素子81に印加する電圧を制御する。
【0024】
次に、図2を参照して、加圧制御部20の構成について詳細に説明する。
図2は、本実施形態における圧電アクチュエータ1の加圧制御部20を示す概略ブロック図である。
この図において、加圧制御部20は、生成した電圧を出力端子AとBとの間の電位差として出力して、信号線を介して第3圧電素子81に供給する。
電圧供給部21は、直流電源部211、スイッチ部212、及び電圧変更部213を備えている。
【0025】
直流電源部211は、陽極端子がスイッチ部212の一端に、陰極端子が電圧供給部21の出力端子Bにそれぞれ接続されている。直流電源部211は、直流電圧を生成する。
スイッチ部212は、一端が直流電源部211の陽極端子に、他端が電圧変更部213にそれぞれ接続されている。また、スイッチ部212は、制御部22から供給される制御信号に基づいて、直流電源部211の陽極端子と電圧変更部213との間の導通状態又は非導通状態を切り替える。すなわち、スイッチ部212は、制御部22から供給される制御信号に基づいて、第3圧電素子81に電圧を供給(印加)している状態と供給(印加)していない状態とを切り替える。
電圧変更部213は、例えば、可変抵抗などを含み、直流電源部211が生成した直流電圧を抵抗分圧により変更した電圧を電圧供給部21の出力端子Aに出力する。スイッチ部212は、制御部22から供給される制御信号に基づいて、出力する電圧を変更する。
【0026】
制御部22は、電圧供給部21に制御信号を供給して、第3圧電素子81に印加する電圧を変更させる。すなわち、制御部22は、電圧供給部21に制御信号を供給して、ロータ4と駆動駒3の先端部3aとの間の圧力を制御する。また、制御部22は、ロータ4の駆動状態に応じて、ロータ4と駆動駒3の先端部3aとの間の圧力を第3圧電素子81に変更させる制御を行う。
【0027】
次に、図3を参照して、圧電アクチュエータ1の駆動回路の構成について詳細に説明する。
図3は、本実施形態における圧電アクチュエータ1の駆動回路を示す回路図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、圧電アクチュエータ1は、第1圧電素子6及び第2圧電素子7の各々に電圧を供給する電源部10を備えている。
電源部10は、第1端子T1から第4端子T4を備えている。第1端子T1から第4端子T4は、それぞれ所定の周波数のサイン波状の電圧を供給する。また、電源部10は、第1端子T1及び第2端子T2の各端子間、並びに、第3端子T3及び第4端子T4の各端子間で、所定の位相差を有する同一波形のサイン波状の電圧を供給する。
【0028】
図3(a)に示すように、第1圧電素子6のうち、第1組に属する3つの駆動駒31とベース部2との間に配置された12の第1圧電素子61は、配線11を介して第1端子T1に電気的に接続されている。第1圧電素子6のうち、第2組に属する3つの駆動駒32とベース部2との間に配置された12の第1圧電素子62は、配線12を介して第2端子T2に電気的に接続されている。
【0029】
図3(b)に示すように、第2圧電素子7のうち、第1組に属する3つの駆動駒31の先端部31aと基部31bとの間に配置された6つの第2圧電素子71は、配線13を介して第3端子T3に電気的に接続されている。第2圧電素子7のうち、第2組に属する3つの駆動駒32の先端部32aと基部32bとの間に配置された6つの第2圧電素子72は、配線14を介して第4端子T4に電気的に接続されている。
【0030】
次に、本実施形態による圧電アクチュエータ1の動作について説明する。
まず、圧電アクチュエータ1において駆動駒3によりロータ4を回転させる動作について説明する。
【0031】
圧電アクチュエータ1において駆動駒3によりロータ4を回転させる際には、第1組の3つの駆動駒31を同期して駆動させる。そして、第1組の駆動駒31と所定の位相差を有して、第2組の3つの駆動駒32を、第1組と同様に同期して駆動させる。これにより、第1組の3つの駆動駒31と第2組の3つの駆動駒32とが、ロータ4を交互に支持して回転させる。
【0032】
具体的には、電源部10の第1端子T1は、第1圧電素子61にサイン波状の電圧を供給する。すると、第1圧電素子61は、支持軸5に沿う第1の方向の厚みすべり振動を開始する。駆動駒31は、第1圧電素子61の変形によって駆動され、ベース部2から離間する方向へ移動する。
【0033】
この際に、電源部10の第3端子T3は、第2圧電素子71に、サイン波状の電圧を供給している。すると、第2圧電素子71は、各駆動駒3の中心を通る中心円の接線方向、すなわち各駆動駒3の中心におけるロータ4の回転円の接線方向において、ロータ4の回転方向Rの前方側への厚みすべり振動を開始する。駆動駒31の先端部31aは、第2圧電素子71の変形によって各駆動駒3の中心を通る中心円の接線方向、すなわち支持軸5の軸方向と直交する第2の方向に駆動される。このとき、駆動駒31の先端部31aは、ロータ4との間に作用する摩擦力によってロータ4を回転方向Rの前方へ回転させる。
【0034】
その後、第1圧電素子61は、電源部10の第1端子T1によって供給されたサイン波状の電圧により、ロータ4から離れる逆方向の変形を開始する。第1組の駆動駒31は、第1圧電素子61の逆方向の変形により、ロータ4から離間する方向に移動する。
このとき、第2圧電素子71は、電源部10の第3端子T3によって供給されたサイン波状の電圧により、ロータ4の回転方向Rの後方側への逆方向の変形を開始する。第1組の駆動駒31の先端部31aは、ロータ4から離れた状態で、第2圧電素子71の逆方向の変形により、ロータ4の回転方向Rの後方側へ向けて移動する。
【0035】
その後、第1組の駆動駒31は、ロータ4への先端部31aの接触、ロータ4の回転方向Rの前方側への先端部31aの駆動、ロータ4からの先端部31aの離間、ロータ4の回転方向Rの後方側への先端部31aの駆動、を繰り返す。すなわち、駆動駒31の基部31b及び先端部31aは、第1圧電素子61により駆動され、支持軸5の軸方向である第1の方向に沿って振動する。また、駆動駒31の先端部31aは、第2圧電素子71により駆動され、基部31b及びベース部2に対して、各駆動駒3の中心を通る中心円の接線方向、すなわち各駆動駒3の中心におけるロータ4の回転円の接線方向に沿って振動する。これにより、第1組の駆動駒31は、先端部31aが円軌道または楕円軌道を描くように駆動する。
【0036】
第2組の駆動駒32は、第1組の駆動駒31と所定の位相差を有して、第1組の駆動駒31と同様に駆動する。すなわち、電源部10の第2端子T2は、第1端子T1が供給する電圧と同様の波形を有し、第1端子T1が供給する電圧と所定の位相差を有するサイン波状の電圧を、第1圧電素子62に供給する。また、電源部10の第4端子T4は、第3端子T3が供給する電圧と同様の波形を有し、第3端子T3が供給する電圧と所定の位相差を有するサイン波状の電圧を、第2圧電素子72に供給する。
【0037】
第2組の3つの駆動駒32の先端部32aは、第1組の3つの駆動駒31の先端部31aがロータ4から離間する前にロータ4に接触し、第1組の3つの駆動駒31の先端部31aがロータ4に接触した後にロータ4から離間する。したがって、ロータ4は、第1組の3つの駆動駒31と第2組の3つの駆動駒32とにより交互に支持されて駆動され、支持軸5の軸方向における位置をほぼ一定に保った状態で所定の回転速度で回転方向Rの前方又は後方へ回転する。
【0038】
次に、圧電アクチュエータ1において加圧部8の動作の一例ついて説明する。
図4は、本実施形態における加圧部の動作の一例を示す図である。
この図では、時刻t1において、ロータ4の駆動が開始され、時刻t4において、ロータ4の駆動が停止される例が示されている。
【0039】
図4(a)は、ロータ4の駆動状態(停止中又は駆動中)を示している(波形201)。
図4(b)は、ロータ4の摺動面における圧力(ロータ4と先端部3aとの間の圧力)を示している。波形202は、ロータ4が停止中である際にロータ4をフリーホイール状態にする場合において、第3圧電素子81によって変更される上述の圧力Nを示す波形である。また、波形203は、ロータ4が停止中である際にロータ4をロック状態にする場合における上述の圧力Nを示す波形である。
ここで、フリーホイール状態とは、ロータ4が上述の第2の方向に自由に動作可能な状態である。すなわち、フリーホイール状態とは、ロータ4と先端部3aとの間に生じる摩擦力が0になっている状態である。また、ロック状態とは、ロータ4と先端部3aとの間に生じる摩擦力によって、ロータ4が固定された状態である。
図4(c)は、ロータ4の回転速度rpm(rotation per minute)を示している(波形204)。
【0040】
時刻t1までの期間において、圧電アクチュエータ1は、波形201が示すようにロータ4を停止している状態(停止中)である。そのため、波形204は、回転速度0rpmを示している。また、この期間において、ロータ4を停止中にフリーホイール状態にする場合には、加圧部8は、波形202が示すようにロータ4の摺動面における圧力Nの値を0にする。この場合、制御部22は、制御信号を介してスイッチ部212を非導通状態にさせる。これにより、電圧供給部21は、第3圧電素子81に電圧の印加を停止する。よって、第3圧電素子81は、ロータ4の摺動面における圧力Nの値を0にする。結果として、ロータ4と先端部3aとの間に生じる摩擦力が0になって、ロータ4は、フリーホイール状態になる。つまり、第3圧電素子81は、ロータ4が上述の第2の方向に自由に動作可能な状態にされる場合に、ロータ4がと先端部3aとの間に生じる摩擦力が0になるように、ロータ4がと先端部3aとの間の圧力を変更する。
【0041】
また、時刻t1までの期間において、ロータ4を停止中にロック状態にする場合には、加圧部8は、波形203が示すように圧力Nを所定の圧力(例えば、N1)にする。制御部22は、制御信号を介してスイッチ部212を導通状態にさせる。これにより、電圧供給部21は、第3圧電素子81に電圧を印加する。第3圧電素子81は、電圧供給部21より印加された電圧によって、支持軸5と平行な方向の厚さが拡大し、ロータ4の摺動面における圧力Nの値をN1にする。したがって、加圧部8は、ロータ4と先端部3aとの間の圧力N1を生成する。結果として、ロータ4と先端部3aとの間に生じて、ロータ4は、ロック状態になる。
【0042】
時刻t1において、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の駆動を開始する。したがって、波形201は、停止中から駆動中に遷移する。ロータ4の駆動を開始する場合、加圧部8は、波形202が示すようにロータ4の摺動面における圧力Nの値をN1にする。この場合、制御部22は、制御信号を介してスイッチ部212を導通状態にさせる。これにより、直流電源部211によって生成された電圧が、スイッチ部212と電圧変更部213とを介して第3圧電素子81に供給される。つまり、加圧制御部20の電圧供給部21は、第3圧電素子81に電圧を印加する。第3圧電素子81は、電圧供給部21より印加された電圧によって、支持軸5と平行な方向の厚さが拡大し、ロータ4の摺動面における圧力Nの値をN1にする。したがって、加圧部8は、ロータ4と先端部3aとの間の圧力N1を生成する。また、電源部10が、上述の図3が示すように第1圧電素子6及び第2圧電素子7の各々に電圧を供給して、ロータ4を回転させる。
【0043】
時刻t1から時刻t2までの期間において、波形204が示すように圧電アクチュエータ1は、ロータ4の回転を加速する。この期間において、ロータ4を加速するために、トルクを大きくする必要がある。そのため、加圧部8は、波形202が示すようにロータ4と先端部3aとの間の圧力N1を維持する。
【0044】
時刻t2から時刻t3までの期間において、波形204が示すように圧電アクチュエータ1は、ロータ4の回転速度が所定の速度に達して、ロータ4を一定の速度によって回転させる定速回転運動をさせる。ここで、所定の速度とは、例えば、ロータ4の回転における最高速度である。ロータ4を定速回転運動させる場合、加圧部8は、波形202が示すようにロータ4の摺動面における圧力Nの値をN2に下げる。
この場合、制御部22は、制御信号を介して電圧変更部213に電圧を所定の電圧に下げる変更をさせる。これにより、直流電源部211によって生成された電圧が、電圧変更部213によって所定の電圧に変更(低下)されて第3圧電素子81に供給される。つまり、加圧制御部20の電圧供給部21は、第3圧電素子81に印加する電圧を変更(低下)する。第3圧電素子81は、電圧供給部21より変更された電圧によって、支持軸5と平行な方向の厚さが縮小し、ロータ4の摺動面における圧力Nの値をN2に変更する。すなわち、第3圧電素子81は、ロータ4の回転速度が速い駆動状態である場合に、回転速度が遅い状態である場合よりロータ4の摺動面における圧力Nを下げる。また、第3圧電素子81は、ロータ4の回転速度が最高速度である場合に、ロータ4の駆動を開始する場合よりロータ4の摺動面における圧力Nを下げる。したがって、加圧部8は、ロータ4と先端部3aとの間の圧力Nの値をN1からN2に下げる。
【0045】
ロータ4を定速回転運動させる場合には、ロータ4を加速する際にようにトルクを大きくする必要がない。また、この場合、ロータ4の摺動面における圧力Nが高いと、ロータ4と先端部3aとの間に生じる摩擦力によって、回転速度が抑制されることがある。そのため、ロータ4を定速回転運動させる場合には、加圧部8は、ロータ4の駆動を開始する場合よりロータ4の摺動面における圧力Nを下げる。これにより、圧電アクチュエータ1は、ロータ4を効率よく駆動でき、最高速度を上げることができる。
【0046】
時刻t3から時刻t4までの期間において、波形204が示すように圧電アクチュエータ1は、ロータ4の回転を減速し、時刻t4においてロータ4の回転を停止する。この期間において、ロータ4を減速するために、トルクを大きくする必要がある。そのため、加圧部8は、ロータ4と先端部3aとの間の圧力Nの値を再びN1に変更する。この場合、制御部22は、制御信号を介して電圧変更部213に電圧を所定の電圧に上げる変更をさせる。
これにより、直流電源部211によって生成された電圧が、電圧変更部213によって所定の電圧に変更されて第3圧電素子81に供給される。つまり、加圧制御部20の電圧供給部21は、第3圧電素子81に印加する電圧を高く変更する。第3圧電素子81は、電圧供給部21より変更された電圧によって、支持軸5と平行な方向の厚さが拡大し、ロータ4の摺動面における圧力Nの値をN1に変更する。すなわち、第3圧電素子81は、ロータ4の駆動を停止する場合に、ロータ4の回転速度が最高速度である場合よりロータ4の摺動面における圧力Nを上げる。したがって、加圧部8は、ロータ4と先端部3aとの間の圧力Nの値をN2からN1に上げる。
【0047】
時刻t4以降において、圧電アクチュエータ1は、波形201が示すようにロータ4を停止している状態(停止中)である。この期間において、加圧部8は、上述の時刻t1までの期間と同様の動作をする。
【0048】
以上のように、圧電アクチュエータ1は、支持軸5に沿う第1の方向に厚みすべり振動をする第1圧電素子6と、各駆動駒3の中心を通る中心円の接線方向、すなわち各駆動駒3の中心におけるロータ4の回転円の接線方向(第2の方向)に厚みすべり振動をする第2圧電素子7とを備えている。
【0049】
そのため、第1圧電素子6によって、駆動駒3の基部3b及び先端部3aを、ベース部2に対して支持軸5と平行な方向へ振動させることができる。また、第2圧電素子7によって、駆動駒3の先端部3aを、ベース部2及び駆動駒3の基部3bに対して、各駆動駒3の中心を通る中心円の接線方向、すなわち各駆動駒3の中心におけるロータ4の回転円の接線方向に振動させることができる。
【0050】
さらに、圧電アクチュエータ1は、先端部3aによって駆動されるロータ4(被駆動体)と先端部3aとの間に圧力を生成する加圧部8を備えている。また、加圧部8は、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を、ロータ4の駆動状態に応じて変更する第3圧電素子81を備えている。そのため、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の駆動状態に応じて、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を最適に設定することができる。
【0051】
したがって、本実施形態の圧電アクチュエータ1によれば、第1圧電素子6と、第2圧電素子7とを独立して制御することで、駆動駒3の先端部3aの支持軸5と平行な方向への振動と、先端部3aの各駆動駒3の中心におけるロータ4の回転円の接線方向への振動とを独立して制御することができる。そのため、従来よりも、駆動駒3の各方向への振動を効率よく行うことができ、ロータ4を効率よく回転させることができる。
【0052】
また、第3圧電素子81は、ロータ4の駆動状態が、駆動されているロータ4の回転速度が速い状態である場合に、ロータ4の回転速度が遅い状態である場合よりロータ4と先端部3aとの間の圧力を下げる。これにより、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の駆動の際に、ロータ4の回転速度が遅い場合にトルクを大きくし、ロータ4の回転速度が速い場合にトルクを小さくする。そのため、圧電アクチュエータ1は、従来よりも、ロータ4を効率よく回転させることができる。
【0053】
さらに、第3圧電素子81は、ロータ4の回転速度が最高速度である場合に、ロータ4の駆動を開始する又は停止する場合よりロータ4と先端部3aとの間の圧力を下げる。これにより、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の駆動の際に、大きいトルクが必要な加速状態(ロータ4の駆動を開始する場合)、又は減速状態(ロータ4の駆動を停止する場合)である場合に、ロータ4を駆動するトルクを大きくすることができる。また、大きいトルクを必要としないロータ4の回転速度が最高速度である場合に、ロータ4を駆動するトルクを小さくすることができる。そのため、圧電アクチュエータ1は、従来よりも、ロータ4を効率よく回転させることができる。さらに、ロータ4と先端部3aとの間の摩擦を低減できるため、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の回転による最高速度を上げることができる。ここで、最高速度には、最高速度に近い回転速度も含めてもよい。
【0054】
さらに、第3圧電素子81は、ロータ4が上述の第2の方向に自由に動作可能な状態(フリーホイール状態)にされる場合に、ロータ4がと先端部3aとの間に生じる摩擦力が0になるように、ロータ4がと先端部3aとの間の圧力を変更する。これにより、圧電アクチュエータ1は、ロータ4をフリーホイール状態にすることができる。
【0055】
なお、本実施形態における圧電アクチュエータ1は、加圧部8の第3圧電素子81によってロータ4と先端部3aとの間の圧力を変更することができるため、ロータ4を様々な状態(駆動状態)に対応させることが可能である。
図5は、本実施形態における圧電アクチュエータ1の各状態と、特許文献1に記載されている従来の圧電アクチュエータとの比較を示す表である。この表において、各状態は、第3圧電素子81の状態(応力の有無)、ロータ4の摺動面の加圧の有無、及び第3圧電素子81に電圧印加の有無を示している。また、各状態には、それぞれ、ロータ4が停止中である場合と駆動中である場合の2つの場合が示されている。
また、本実施形態において、加圧部8は、第3圧電素子81と共にロータ4と先端部3aとの間の圧力を生成する不図示のバネ部材(弾性部材)を含んでもよい。
【0056】
状態(a)は、ロータ4の停止中にフリーホイール状態、且つ、停止中に第3圧電素子81に電圧印加を行わない状態を示している。この状態では、第3圧電素子81は、ロータ4の停止中に電圧供給部21から電圧が印加されない。そのため、第3圧電素子81は、応力なし状態となり、ロータ4の摺動面は、加圧されない状態となる。したがって、ロータ4がフリーホイール状態になる。なお、ここでは、加圧部8がバネ部材を含まない場合である。
【0057】
状態(b)は、ロータ4の停止中にフリーホイール状態、且つ、停止中に第3圧電素子81に電圧印加を行う状態を示している。なお、ここでは、加圧部8がバネ部材を含む場合である。この状態では、第3圧電素子81は、ロータ4の停止中に電圧供給部21から電圧(負電圧)が印加される。これにより、第3圧電素子81は、支持軸5と平行な方向の厚さが縮小し、バネ部材による与圧を相殺する。したがって、ロータ4がフリーホイール状態になる。つまり、圧電アクチュエータ1は、加圧部8がバネ部材を含む形態において、フリーホイール状態を実現することができる。
また、状態(b)では、ロータ4を駆動する場合には、バネ部材による与圧があるため、電圧供給部21は、第3圧電素子81に電圧を印加しなくてもよいし、電圧(負電圧)を印加してもよい。電圧供給部21が電圧(負電圧)を印加する場合には、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の駆動状態に応じて、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を下げることができる。これにより、圧電アクチュエータ1は、従来よりも、ロータ4を効率よく回転させることができる。
【0058】
状態(c)は、ロータ4の停止中にロック状態、且つ、停止中に第3圧電素子81に電圧印加を行わない状態を示している。なお、ここでは、加圧部8がバネ部材を含む場合である。この状態では、第3圧電素子81は、ロータ4の停止中に電圧供給部21から電圧が印加されない。つまり、ロータ4の摺動面は、バネ部材によって与圧されてロック状態となる。これにより、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の停止中にロック状態にする場合に、第3圧電素子81に電圧を印加する必要がない。そのため、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の停止中にロック状態にする場合に消費電力を低減することができる。
また、状態(c)では、ロータ4を駆動する場合には、第3圧電素子81は、電圧供給部21から電圧が印加される。これにより、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の駆動状態に応じて、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を変更することができる。そのため、圧電アクチュエータ1は、従来よりも、ロータ4を効率よく回転させることができる。
【0059】
状態(d)は、ロータ4の停止中にロック状態、且つ、停止中に第3圧電素子81に電圧印加を行う状態を示している。なお、ここでは、加圧部8がバネ部材を含む場合とバネ部材を含まない場合とのいずれの形態でもよい。この状態では、第3圧電素子81は、ロータ4の停止中に電圧供給部21から電圧が印加される。つまり、ロータ4の摺動面は、第3圧電素子81によって与圧されてロック状態となる。
また、状態(d)では、ロータ4を駆動する場合には、第3圧電素子81は、電圧供給部21から電圧が印加される。これにより、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の駆動状態に応じて、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を変更することができる。そのため、圧電アクチュエータ1は、従来よりも、ロータ4を効率よく回転させることができる。
【0060】
次に、圧電アクチュエータ1において加圧部8の動作の別の一例ついて説明する。
図6は、本実施形態における加圧部の動作の別の一例を示す図である。
この図では、図4と同様に時刻t1において、ロータ4の駆動が開始され、時刻t4において、ロータ4の駆動が停止される例が示されている。この図において、(b)の波形202aが、図4(b)と異なる点を除いて、他は図4(b)と同様である。ここでは、図6(b)における波形202aについて説明する。
【0061】
時刻t1から時刻t4までの期間において、加圧部8は、波形202aが示すようにロータ4の回転速度に応じて、ロータ4の摺動面における圧力Nを変更する。ここでは、時刻t1から時刻t4までの期間における加圧部8の動作を波形202aを参照して説明する。
まず、時刻t1から時刻t2までの期間において、加圧部8は、波形202aが示すようにロータ4の回転速度に応じて、ロータ4の摺動面における圧力Nを下げる。この場合、制御部22は、制御信号を介して電圧変更部213にロータ4の回転速度に応じて電圧を下げる変更をさせる。これにより、直流電源部211によって生成された電圧が、電圧変更部213によって電圧に変更(低下)されて第3圧電素子81に供給される。つまり、加圧制御部20の電圧供給部21は、第3圧電素子81に印加する電圧をロータ4の回転速度に応じて変更する。第3圧電素子81は、電圧供給部21より変更(低下)された電圧によって、支持軸5と平行な方向の厚さが縮小し、ロータ4の摺動面における圧力Nの値をロータ4の回転速度に応じてN1からN2に変更する。
【0062】
次に、時刻t2から時刻t3までの期間において、ロータ4は、波形204が示すように略最高速度の回転速度を維持する。したがって、加圧部8は、波形202aが示すようにロータ4の摺動面における圧力N2を維持する。
【0063】
次に、時刻t3から時刻t4までの期間において、加圧部8は、波形202aが示すようにロータ4の回転速度に応じて、ロータ4の摺動面における圧力Nを上げる。この場合、制御部22は、制御信号を介して電圧変更部213にロータ4の回転速度に応じて電圧を上げる変更をさせる。これにより、直流電源部211によって生成された電圧が、電圧変更部213によって電圧に変更されて第3圧電素子81に供給される。つまり、加圧制御部20の電圧供給部21は、第3圧電素子81に印加する電圧をロータ4の回転速度に応じて変更する。第3圧電素子81は、電圧供給部21より変更された電圧によって、支持軸5と平行な方向の厚さが拡大し、ロータ4の摺動面における圧力Nの値をロータ4の回転速度に応じてN2からN1に変更する。
【0064】
時刻t1までの期間、及び時刻t4以降の期間における、加圧部8の動作は、図4と同様である。
【0065】
以上のように、第3圧電素子81は、ロータ4の回転速度に応じて、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を変更する。つまり、第3圧電素子81は、ロータ4の駆動状態が、駆動されているロータ4の回転速度が速い状態である場合に、ロータ4の回転速度が遅い状態である場合よりロータ4と先端部3aとの間の圧力を下げる。これにより、圧電アクチュエータ1は、ロータ4の駆動の際に、ロータ4の回転速度が遅い場合にトルクを大きくし、ロータ4の回転速度が速い場合にトルクを小さくする。そのため、本十形態における圧電アクチュエータ1は、図4に示される形態と同様に、ロータ4を効率よく回転させることができる。
【0066】
<第2の実施形態>
次に、本実施形態の圧電アクチュエータ1における別の一形態について説明する。本実施形態における圧電アクチュエータ1は、第3圧電素子81に交流電圧を印加し、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を検出する。圧電アクチュエータ1は、検出した圧力に基づいて、ロータ4と先端部3aとの間の圧力にフィードバック制御を行う。そのため、本実施形態において、圧電アクチュエータ1は、図2における加圧制御部20と加圧制御部の構成が異なる。なお、圧電アクチュエータ1の基本的な構成は、図1及び図3における第1の実施形態と同様である。
図7は、本実施形態における圧電アクチュエータ1の加圧制御部20aを示す概略ブロック図である。この図において、図2と同じ構成には同一の符号を付す。
この図において、加圧制御部20aは、電圧供給部21a及び制御部22aを備えている。加圧制御部20aは、生成した電圧を出力端子AとBとの間の電位差として駆動信号を出力して、信号線を介して第3圧電素子81に供給する。
【0067】
電圧供給部21aは、制御部22aから供給される制御信号に基づいて、第3圧電素子81に印加する電圧を変更して、第3圧電素子81に供給(印加)する。電圧供給部21aは、直流電圧に交流信号を重畳させた駆動信号を第3圧電素子81に供給する。また、電圧供給部21aは、直流電源部211、スイッチ部212、電圧変更部213、交流信号生成部214、重畳回路部215(加算回路)、コイル231及びFB(フィードバック)信号検出部231を備えている。なお、圧電アクチュエータ1は、検出部23を備えている。ここで、検出部23には、コイル231、FB信号検出部231、及び第3圧電素子81が含まれている。また、本実施形態において、電圧変更部213は、直流電源部211が生成した直流電圧を抵抗分圧により変更した電圧を重畳回路部215に出力する。
【0068】
交流信号生成部214は、制御部22aから供給される制御信号に基づいて、交流信号を生成する。交流信号生成部214は、生成した交流信号を重畳回路部215(加算回路)に供給する。
重畳回路部215は、オペアンプ(演算増幅回路)などにより構成される加算回路である。重畳回路部215は、電圧変更部213から供給された直流電圧に、交流信号生成部214が生成した交流信号を重畳して、駆動信号を生成する。重畳回路部215は、生成した駆動信号を電圧供給部21aの出力端子Aに出力する。
【0069】
コイル231は、ロータ4と先端部3aとの間の圧力によって、第3圧電素子81に生じた起電力による信号線Bにおける交流信号の電流の変化を検出して、交流信号としてFB信号検出部231に出力する。
FB信号検出部231は、コイル231から供給された交流信号に基づいて、ロータ4と先端部3aとの間の圧力の変化を検出して、検出結果を制御部22aに供給する。
なお、第3圧電素子81は、電圧を印加することにより、支持軸5と平行な方向の厚さが拡大すると共に、ロータ4と先端部3aとの間の圧力によって、起電力を生じる。検出部23は、コイル231とFB信号検出部231とを介して、この第3圧電素子81に生じた起電力による電流変化を検出し、検出した電流変化に基づいて、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を検出する。
【0070】
制御部22aは、電圧供給部21に制御信号を供給して、第3圧電素子81に印加する電圧を変更させる。すなわち、制御部22aは、電圧供給部21aに制御信号を供給して、ロータ4と駆動駒3の先端部3aとの間の圧力を制御する。また、制御部22aは、ロータ4の駆動状態に応じて、ロータ4と駆動駒3の先端部3aとの間の圧力を第3圧電素子81に変更させる制御を行う。また、制御部22aは、電圧供給部21に制御信号を供給して、電圧変更部213から供給された直流電圧に、交流信号生成部214が生成した交流信号を重畳して、駆動信号を第3圧電素子81に印加させる。制御部22aは、検出部23によって検出されたロータ4と先端部3aとの間の圧力に基づいて、電圧供給部21に対して上述の駆動信号を変更させる。具体的には、制御部22aは、交流信号生成部214に制御信号を供給して、駆動信号を変更させる。これにより、交流信号生成部214は、第3圧電素子81に供給する駆動信号を変更する。
【0071】
次に、本実施形態による圧電アクチュエータ1の動作について説明する。
まず、本実施形態の圧電アクチュエータ1において駆動駒3によりロータ4を回転させる動作は、第1の実施形態と同様である。また、本実施形態の圧電アクチュエータ1における加圧部8の動作は、図4から図6に示される第1の実施形態と同様である。ここでは、本実施形態の加圧制御部20aによるフィードバック制御について説明する。
【0072】
図7が示すように、加圧制御部20aでは、制御部22aが交流信号生成部214に交流信号を生成させる。重畳回路部215は、電圧変更部213から供給された直流電圧に、交流信号生成部214が生成した交流信号を重畳して、駆動信号を生成する。重畳回路部215は、生成した駆動信号を第3圧電素子81に供給する。これにより、制御部22aは、ロータ4と駆動駒3の先端部3aとの間の圧力を制御する。
【0073】
また、制御部22aは、検出部23によって、コイル231とFB信号検出部231とを介して検出されたロータ4と先端部3aとの間の圧力に基づいて、交流信号生成部214に交流信号を変更させる。ところで、外乱などによって、制御部22aが制御しようとした圧力と、実際にロータ4と駆動駒3の先端部3aとの間に生じる圧力とにずれが生じる場合がある。このような場合、制御部22aは、外乱などによる影響を打ち消すように交流信号生成部214に交流信号を変更させる。つまり、制御部22aは、検出部23によって検出されたロータ4と先端部3aとの間の圧力に基づいて、次に第3圧電素子81に供給する電圧を変更するフィードバック制御を行う。
【0074】
以上のように、本実施形態における圧電アクチュエータ1は、直流電圧に交流信号を重畳させた駆動信号を第3圧電素子81に供給する電圧供給部21aと、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を検出する検出部23とを備える。また、制御部22aは、検出部23によって検出された圧力に基づいて、電圧供給部21aに対して第3圧電素子81に供給する駆動信号を変更させる。これにより、制御部22aは、外乱などによる影響を低減することができ、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を精度よく制御することができる。したがって、本実施形態における圧電アクチュエータ1は、従来よりも、ロータ4を効率よく回転させることができる。
さらに、検出部23は、第3圧電素子81において、ロータ4と先端部3aとの間の圧力によって生じた起電力に基づいて、ロータ4と先端部3aとの間に生じる圧力を検出する。これにより、ロータ4と先端部3aとの間に生じる圧力を検出するセンサを設ける必要がない。したがって、本実施形態における圧電アクチュエータ1は、部品数の増加を抑えつつ、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を精度よく制御することができる。
【0075】
次に、本実施形態の圧電アクチュエータ1おいて、検出した圧力に基づいて、ロータ4と先端部3aとの間の圧力にフィードバック制御を行う別の一例について説明する。
図8は、本実施形態における圧電アクチュエータ1の加圧制御部20bを示す概略ブロック図である。この図において、図7と同じ構成には同一の符号を付す。
この図において、加圧制御部20bは、電圧供給部21b及び制御部22aを備えている。加圧制御部20bは、生成した電圧を出力端子AとBとの間の電位差として駆動信号を出力して、信号線を介して第3圧電素子81に供給する。
【0076】
電圧供給部21bは、制御部22aから供給される制御信号に基づいて、第3圧電素子81に印加する電圧を変更して、第3圧電素子81に供給(印加)する。電圧供給部21bは、直流電圧に交流信号を重畳させた駆動信号を第3圧電素子81に供給する。また、電圧供給部21bは、直流電源部211、スイッチ部212、電圧変更部213、交流信号生成部214、重畳回路部215a(AC(エーシー)カップリング回路)、コイル231及びFB信号検出部231を備えている。本実施形態における電圧供給部21bは、図7における重畳回路部215と重畳回路部の構成が異なる。
重畳回路部215aは、例えば、コンデンサなどにより構成されるACカップリング回路である。重畳回路部215aは、電圧変更部213から供給された直流電圧に、交流信号生成部214が生成した交流信号を重畳して、駆動信号を生成する。重畳回路部215aは、生成した駆動信号を電圧供給部21aの出力端子Aに出力する。
【0077】
なお、本実施形態における加圧制御部20bの動作は、重畳回路部215aが直流電圧に交流信号を重畳して駆動信号を生成する方法が異なる点を除き、図7に示される加圧制御部20aと同様である。重畳回路部215aは、上述のようにコンデンサを用いたACカップリングによって、直流電圧に交流信号を重畳する。これにより、重畳回路部215aは、図7に示される重畳回路部215に比べ、簡易に直流電圧に交流信号を重畳することができる。
【0078】
<第3の実施形態>
さらに、本実施形態の圧電アクチュエータ1における別の一形態について説明する。本実施形態における圧電アクチュエータ1は、第1圧電素子6と第2圧電素子7とを駆動する制御サイクルの中において、ロータ4と先端部3aとの間の圧力を制御する。なお、本実施形態における圧電アクチュエータ1の構成は、第2の実施形態と同様である。本実施形態における圧電アクチュエータ1において、加圧部8の動作が第2の実施形態と異なる。すなわち、制御部22aの動作が第2の実施形態と異なる。
【0079】
以下、本実施形態における加圧部8の動作について説明する。
図9は、本実施形態における加圧部8の動作の別の一例を示す図である。
図9(a)は、第1組の駆動駒31(先端部31a)におけるY方向の変位を示している(波形205)。図9(b)は、第2組の駆動駒32(先端部32a)におけるY方向の変位を示している(波形206)。ここで、Y方向とは、支持軸5と平行な方向(第1の方向)である。
また、図9(c)は、第1組の駆動駒31(先端部31a)におけるX1方向の変位を示している(波形207)。図9(d)は、第2組の駆動駒32(先端部32a)におけるX2方向の変位を示している(波形208)。ここで、X1方向及びX2方向とは、各駆動駒3の中心におけるロータ4の回転円の接線方向(第2の方向)である。
また、図9(e)は、ロータ4の摺動面における圧力(ロータ4と先端部3aとの間の圧力)Nを示している(波形209)。
【0080】
なお、図9は、電源部10の第1端子T1と第2端子T2に発生する正弦波の電圧波形の位相差が180°である場合の例である。この場合、波形205及び波形206が示すように、Y軸方向に駆動する第1組の駆動駒31(先端部31a)及び第2組の駆動駒32(先端部32a)は、180°の位相差を有する正弦波状の軌跡を描くようになる。この際、第1組の駆動駒31(先端部31a)は、波形205に太線(例えば、時刻t5から時刻t8の期間)で示すように、Y軸方向の変位が接触位置y1を越えるとロータ4と接触する。また、波形206に太線(例えば、時刻t9から時刻t12の期間)で示すように、第2組の駆動駒32(先端部32a)も同様にロータ4と接触する。
【0081】
ここで、波形205が示す第1組の駆動駒31の軌跡と、波形206が示す第2組の駆動駒32の軌跡は180°の位相差を有している。そのため、第1組の駆動駒31(先端部31a)と第2組の駆動駒32(先端部32a)とがロータに交互に接触してロータ4を支持する。
【0082】
また、図9は、電源部10の第3端子T3と第4端子T4に発生する正弦波の電圧波形の位相差が180°である場合の例である。この場合、波形207及び波形208が示すように、X1軸方向及びX2軸方向へ駆動する第1組の駆動駒31(先端部31a)及び第2組の駆動駒32(先端部32a)は、正弦波状の軌跡を描くようになる。
【0083】
ここで、波形207に太線(例えば、時刻t5から時刻t8の期間)で示すように、第1組の駆動駒31(先端部31a)は、ロータ4と接触している間(波形205における太線部分の間)に、ロータ4の回転方向に沿うX1軸正方向に移動する。また、波形208に太線(例えば、時刻t9から時刻t12の期間)で示すように、第2組の駆動駒32(先端部32a)も同様に、ロータ4と接触している間(波形206における太線部分の間)に、ロータの回転方向に沿うX2軸正方向に移動する。
【0084】
上述のように、第1組の駆動駒31(先端部31a)と第2組の駆動駒32(先端部32a)が変位する際に、本実施形態における加圧部8は、波形209が示すように、ロータ4の摺動面における圧力Nを変更する。
具体的には、時刻t5から時刻t8までの期間において、第1組の駆動駒31(先端部31a)は、ロータ4に接触し、X1軸方向の変位速度が最大になる。この期間内の時刻t6から時刻t7までの期間において、加圧部8は、ロータ4の摺動面における圧力Nを高める変更を行う。
【0085】
つまり、制御部22aは、電圧変更部213又は交流信号生成部214を制御して、時刻t6から時刻t7までの期間、電圧供給部21に第3圧電素子81に供給する電圧を高めさせる。第3圧電素子81は、時刻t6から時刻t7までの期間、電圧供給部21より変更された電圧によって、支持軸5と平行な方向の厚さが拡大する。これにより、加圧部8は、時刻t6から時刻t7までの期間、ロータ4の摺動面における圧力Nを高める。すなわち、第3圧電素子81は、先端部31aがX1軸正方向(第2の方向)に沿って振動する際において、先端部31aの変位速度が最大となる期間、且つ、ロータ4と先端部31aが接触する期間に、ロータ4と先端部31aが接触しない期間よりロータ4と先端部3aとの間の圧力Nを高くする。
【0086】
なお、ロータ4と先端部31aが接触する期間が短く、先端部31aにおけるY方向の変位が最大となる時刻に、先端部31aにおけるX1軸正方向の変位側だが最大になる場合に、圧電アクチュエータ1は、最も効率よくロータ4を駆動することができる。したがって、時刻t6から時刻t7までの期間(P1)は、上述の条件を満たすように、時刻t5から時刻t8までの期間の中央に位置する期間として設定されている。
時刻t13から時刻t14までの期間においても、時刻t6から時刻t7までの期間と同様に、加圧部8は、ロータ4の摺動面における圧力Nを高める。
【0087】
また、時刻t9から時刻t12までの期間において、第2組の駆動駒32(先端部32a)は、ロータ4に接触し、X2軸方向の変位速度が最大になる。この期間内の時刻t10から時刻t11までの期間において、加圧部8は、ロータ4の摺動面における圧力Nを高める変更を行う。
【0088】
つまり、制御部22aは、電圧変更部213又は交流信号生成部214を制御して、時刻t10から時刻t11までの期間、電圧供給部21に第3圧電素子81に供給する電圧を高めさせる。第3圧電素子81は、時刻t10から時刻t11までの期間、電圧供給部21より変更された電圧によって、支持軸5と平行な方向の厚さが拡大する。これにより、加圧部8は、時刻t10から時刻t11までの期間、ロータ4の摺動面における圧力Nを高める。すなわち、第3圧電素子81は、先端部32aがX2軸正方向(第2の方向)に沿って振動する際において、先端部32aの変位速度が最大となる期間、且つ、ロータ4と先端部32aが接触する期間に、ロータ4と先端部32aが接触しない期間よりロータ4と先端部3aとの間の圧力Nを高くする。
【0089】
なお、ロータ4と先端部32aが接触する期間が短く、先端部32aにおけるY方向の変位が最大となる時刻に、先端部32aにおけるX2軸正方向の変位側だが最大になる場合に、圧電アクチュエータ1は、最も効率よくロータ4を駆動することができる。したがって、時刻t10から時刻t11までの期間(P1)は、上述の条件を満たすように、時刻t9から時刻t12までの期間の中央に位置する期間として設定されている。
時刻t15から時刻t16までの期間においても、時刻t10から時刻t11までの期間と同様に、加圧部8は、ロータ4の摺動面における圧力Nを高める。
【0090】
以上のように、本実施形態における圧電アクチュエータ1では、第3圧電素子81が、先端部3aがX1軸方向又はX2軸正方向(第2の方向)に沿って振動する際において、先端部3aの変位速度が最大となる期間、且つ、ロータ4と先端部3aが接触する期間に、ロータ4と先端部3aが接触しない期間より、ロータ4と先端部3aとの間の圧力Nを高くする。これにより、本実施形態における圧電アクチュエータ1は、従来よりもロータ4を効率よく回転させることができる。
【0091】
次に、本実施形態の圧電アクチュエータ1を備えたレンズ鏡筒及びカメラ(撮像装置)の一例について説明する。本実施形態の交換レンズは、カメラボディとともにカメラシステムを形成するものである。交換レンズは、公知のAF(オートフォーカス)制御に応じて合焦動作を行うAFモードと、撮影者からの手動入力に応じて合焦動作を行うMF(マニュアルフォーカス)モードとが切り替え可能になっている。
【0092】
図10は、本実施形態におけるレンズ鏡筒103及びカメラ101を示す概略構成図である。
図10に示すように、カメラ101(撮像装置)は、撮像素子108が内蔵されたカメラボディ102と、レンズ107を有するレンズ鏡筒103とを備えている。
【0093】
レンズ鏡筒103は、カメラボディ102に着脱可能な交換レンズである。レンズ鏡筒103は、レンズ107、カム筒106、圧電アクチュエータ1等を備えている。圧電アクチュエータ1は、カメラ101のフォーカス動作時にレンズ107を駆動する駆動源として用いられている。圧電アクチュエータ1のロータ4から得られた駆動力は、直接、カム筒106に伝えられる。レンズ107は、カム筒106に保持されており、圧電アクチュエータ1の駆動力により、光軸方向Lに略平行に移動して、焦点調節を行うフォーカスレンズである。
【0094】
カメラ101の使用時には、レンズ鏡筒103内に設けられたレンズ群(レンズ107を含む)によって、撮像素子108の撮像面に被写体像が結像される。撮像素子108によって、結像された被写体像は電気信号に変換され、その信号をA/D変換することによって、画像データが得られる。
【0095】
以上説明したように、カメラ101及びレンズ鏡筒103は、上述の圧電アクチュエータ1を備えている。したがって、従来よりもロータ4を効率よく回転させ、レンズ107を効率よく駆動することができる。
本実施形態では、レンズ鏡筒103は、交換レンズである例を示したが、これに限らず、例えば、カメラボディと一体型のレンズ鏡筒としてもよい。
【0096】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。本発明は、上記の第1〜第3の各実施形態のいずれかを実施する形態でもよいし、複数を組み合わせて実施する形態でもよい。
上記の各実施形態において、第1圧電素子6及び第2圧電素子7は、厚みすべり変形ではなく、厚み方向に変形してもよい。この場合、厚みすべり変形をする圧電素子を用いた場合と同様の効果を得ることができる。
また、上記の各実施形態において、第3圧電素子81は、積層型の圧電素子を用いる形態でもよい。積層型の圧電素子は、電圧を印加することによる厚さの変化を大きくすることができる。そのため、積層型の圧電素子を用いる場合、加圧部8は、第3圧電素子81による圧力の変更範囲を大きくすることができる。また、第1圧電素子6、第2圧電素子7、及び第3圧電素子81は、ジルコン酸チタン酸塩を含む材料である形態を説明したが、ジルコン酸チタン酸塩を含まない他の材料を用いる形態でもよい。
【0097】
また、上記の各実施形態において、加圧部8は、バネ部材などの弾性部材を備える形態でもよいし、備えない形態でもよい。バネ部材などの弾性部材を備える形態の場合、ロータ4を停止中にロック状態にする場合、第3圧電素子81に電圧を印加する必要がなくなる。そのため、ロータ4を停止中にロック状態にする場合に消費電力を低減することができる。また、加圧部8は、ゴム部材82を備える形態を説明したが、ゴム部材82を備えない形態でもよい。
また、ロータ4を停止中にロック状態にする場合に、機械的にクランプしてロックするメカクランプ部を設ける形態でもよい。メカクランプ部は、例えば、支持軸5と同軸において、ノック式のボールペンのような機構を軸に持ち、ロータ4を停止中に機械的にロックする形態でもよい。また、メカクランプ部は、ソレノイドや外部からの押し当てによってロックする形態でもよい。
【0098】
また、上記第2の実施形態において、コイル231を用いて圧力を検出する形態を説明したが、ホール素子などを用いる他の形態でもよい。また、圧力を検出する際に、第3圧電素子81をセンサとして用いる形態を説明したが、圧力を検出するセンサを別途設ける形態でもよい。
また、上記第2の実施形態において、オペアンプを用いた加算回路又はACカップリングによって、直流電圧と交流信号を重畳する形態を説明したが、他の方法を用いて重畳する形態でもよい。
【0099】
また、上記第3の実施形態において、第2の実施形態の構成を用いる形態を説明したが、図9(e)のようにロータ4の摺動面における圧力Nを高めることができる構成であれば、他の形態でもよい。例えば、電圧変更部213によって、図9(e)のような圧力の変更が可能であれば、第1の実施形態の構成を用いてもよい。
【0100】
なお、上記各実施形態において、加圧制御部20の各部は、専用のハードウェアによって実現されてもよく、また、制御部22(又は22a)は、メモリ及びCPUにより構成され、制御部22(又は22a)の各機能は、プログラムによって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1…圧電アクチュエータ、3a…先端部、3b…基部、4…ロータ、6…第1圧電素子、7…第2圧電素子、8…加圧部、21,21a,21b…電圧供給部、22,22a…制御部、23…検出部、81…第3圧電素子、101…カメラ(撮像装置)、103…レンズ鏡筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って厚みすべり振動をする第1圧電素子と、
前記第1圧電素子により駆動され、前記第1の方向に沿って振動する第1部材と、
前記第1部材に支持され、第2の方向に沿って厚みすべり振動をする第2圧電素子と、前記第2圧電素子により駆動され、前記第2の方向に沿って振動する第2部材と、
前記第2部材によって駆動される被駆動体と前記第2部材との間に圧力を生成する加圧部と
を備え、
前記加圧部は、
前記圧力を、前記被駆動体の駆動状態に応じて変更する第3圧電素子を備える
ことを特徴とする圧電アクチュエータ。
【請求項2】
前記第3圧電素子は、
前記駆動状態が、駆動されている前記被駆動体の速度が速い状態である場合に、前記速度が遅い状態である場合より前記圧力を下げる
ことを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項3】
前記第3圧電素子は、
前記被駆動体の速度が最高速度である場合に、前記被駆動体の駆動を開始する又は停止する場合より前記圧力を下げる
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項4】
前記第3圧電素子は、
前記第2部材が前記第2の方向に沿って振動する際において、前記第2部材の速度が最大となる期間、且つ、前記被駆動体と前記第2部材が接触する期間に、前記被駆動体と前記第2部材が接触しない期間より前記圧力を高くする
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項5】
前記第3圧電素子は、
前記被駆動体が前記第2の方向に自由に動作可能な状態にされる場合に、前記被駆動体と前記第2部材との間に生じる摩擦力が0になるように、前記圧力を変更する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項6】
前記圧電アクチュエータは、
前記第3圧電素子に印加する電圧を変更して、前記圧力を制御する制御部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項7】
前記圧電アクチュエータは、
直流電圧に交流信号を重畳させた駆動信号を前記第3圧電素子に供給する電圧供給部と、
前記圧力を検出する検出部と
を備え、
前記制御部は、
前記検出部によって検出された圧力に基づいて、前記電圧供給部に対して前記駆動信号を変更させる
ことを特徴とする請求項6に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項8】
前記検出部は、
前記第3圧電素子において、前記圧力によって生じた起電力に基づいて、前記圧力を検出する
ことを特徴とする請求項7に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項9】
前記加圧部は、
前記第3圧電素子と共に前記圧力を生成する弾性部材を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項10】
前記第3圧電素子は、積層型の圧電素子である
ことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータを備えることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータを備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−80597(P2012−80597A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220426(P2010−220426)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】