在庫管理装置、及びプログラム
【課題】消費期限により廃棄すべき商品の廃棄をより確実、且つ迅速に行えるようにする技術を提供する。
【解決手段】在庫管理マスタ14には、消費期限が設定された商品毎に、その商品のスキャンコード(商品コード)、消費期限、販売日時、廃棄日時等の情報が格納されている。サーバ10の監視部12は、定期的に在庫管理マスタ14を参照し、在庫として残っている商品の情報を抽出し、その商品を示す廃棄確認画面をクライアントPOS20、或いはHHT30に送信する。その廃棄確認画面により廃棄した商品は、その画面上での入力により、サーバ10に通知される。
【解決手段】在庫管理マスタ14には、消費期限が設定された商品毎に、その商品のスキャンコード(商品コード)、消費期限、販売日時、廃棄日時等の情報が格納されている。サーバ10の監視部12は、定期的に在庫管理マスタ14を参照し、在庫として残っている商品の情報を抽出し、その商品を示す廃棄確認画面をクライアントPOS20、或いはHHT30に送信する。その廃棄確認画面により廃棄した商品は、その画面上での入力により、サーバ10に通知される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗で販売する商品の在庫、特に消費期限が存在する商品の在庫を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や飲料といった食料品のように、商品のなかには消費期限、或いは賞味期限といった期限が設定されているものがある。周知のように、消費期限は、期限切れとなった場合に、安全性を欠くこととなる恐れがあると認められる期限(年月日)であり、賞味期限は、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限(年月日)である。そのような定義であることから、消費期限が設定されている商品(食料品)は、期限切れとなる前に店舗から除去するようにしているのが普通である。
【0003】
現在、多くの店舗には、商品販売の売上実績を商品単位で集計できるように、販売時点情報管理(POS:Point Of Sale。以下「POS」と呼ぶ)システムが導入されている。
【0004】
このPOSシステムでは、商品単位に、その商品の商品名、識別情報、価格、数量、生産日時などの商品に係わる商品情報がサーバによって管理される。その管理は、データベース化して行われる。そのようにして管理される商品情報は、商品の販売、或いは販売対象とする商品の追加等によって更新される。例えば数量は、商品の販売により減算され、商品の追加(例えば生産)により加算される。
【0005】
消費期限、或いは賞味期限が設定される商品では、その期限が切れる日時を特定するための情報が商品情報に含まれることとなる。識別情報は通常、商品にバーコードの形で付される。販売した商品、その数量等の販売に係わる情報は、POSレジスタ等からサーバに通知される。バーコードが形成されたラベルの発行と共に、商品情報を更新する技術としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【0006】
消費期限により販売すべきでないとされる商品(以降「廃棄対象商品」)は、従来、その商品が陳列されている場所で店員が在庫を確認し、廃棄するようにしていた。その廃棄の際、例えば商品の識別情報を端末装置(例えばHHT(携帯型端末装置))に読み取らせ、その読み取った識別情報をサーバに送信することにより、管理する商品情報にその廃棄分を反映させるようにしていた。
【0007】
しかし、そのように店員による在庫(廃棄対象商品)の確認では、対象となる商品の廃棄を確実に行えない可能性が高い。また、識別情報の読み取り等により、迅速な作業を行うのが困難な面があった。このようなことから、廃棄対象商品の廃棄をより確実、且つ迅速に行えるようにすることも重要と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−180426号公報
【特許文献2】特開2002−74518号公報
【特許文献3】特開2003−67835号公報
【特許文献4】特開2002−140511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、消費期限により廃棄すべき商品の廃棄をより確実、且つ迅速に行えるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明を適用した1システムでは、商品単位に、商品を表す識別情報、及び商品の消費期限を示す期限情報を含む商品情報を格納する情報格納手段と、商品の販売、及び該商品の生産により、情報格納手段に格納された商品情報を更新する情報更新手段と、情報格納手段に格納された商品情報を監視し、消費期限が切れることにより廃棄の対象となる消費期限切れ商品を抽出する商品抽出手段と、商品抽出手段が抽出した消費期限切れ商品を対象者に通知するための通知手段と、を具備する。
【0011】
消費期限が切れることにより廃棄の対象となる商品、つまり消費期限が切れている、或いは消費期限切れが近いといった理由から販売の対象とすべきでない商品は、そのような商品の廃棄作業を行う対象者に自動的に通知(提示)される。このことから、対象者にとっては、陳列された商品のなかから廃棄の対象となる商品を特定する作業を行うことなく、言い換えれば、陳列された商品のなかから指定された商品を探すのみで廃棄を行えるようになる。商品毎に廃棄すべきか否か確認しなくとも済むことから、廃棄作業はより容易、且つ迅速に行えることとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明を適用した場合には、消費期限により廃棄すべき商品の廃棄をより確実、且つ迅速に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態による在庫管理装置が適用されたPOSシステムの構成図である。
【図2】在庫管理マスタのデータ構成を説明する図である。
【図3】消費期限管理マスタのデータ構成を説明する図である。
【図4】商品管理マスタのデータ構成を説明する図である。
【図5】廃棄管理マスタのデータ構成を説明する図である。
【図6】廃棄確認画面の例を説明する図である。
【図7】ラベル発行処理のフローチャートである。
【図8】監視処理のフローチャートである。
【図9】廃棄対象抽出処理のフローチャートである。
【図10】廃棄処理、並びにこの廃棄処理の実行によってクライアントPOS及びHHTがそれぞれ実行する処理のフローチャートである。
【図11】本発明を適用可能なコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態による在庫管理装置が適用されたPOSシステムの構成図である。このPOSシステムは、消費期限が設定される商品の生産・販売を行う店舗に導入されたものである。図1に示すように、無線通信用のアクセスポイント2が接続されたLAN1を介して、サーバ10、POSレジスタ等のPOS端末装置(図1中「クライアントPOS」と表記。以降「クライアントPOS」と呼ぶ)、及びラベラー40が通信可能な構成となっている。クライアントPOS20及びHHT30はそれぞれ一つのみ示しているが、これは混乱を避けるためであり、通常、それらは複数、存在する。
【0015】
サーバ10は、商品管理、商品販売等の業務用に設置されたものである。それらの業務を支援するために、在庫管理マスタファイル14、消費期限管理マスタファイル15、商品管理マスタファイル16及び廃棄管理マスタファイル17を管理する。各マスタファイル(以降「マスタ」と略記)は、例えばレコード単位でデータを格納するものであり、以下のようなデータが各レコードに格納される。図2〜図5の各説明図を参照して具体的に説明する。
【0016】
図2は、在庫管理マスタ14のデータ構成を説明する図である。この在庫管理マスタ14は、商品単位に在庫管理を行うためのものである。各レコードには、そのレコードに割り当てられた識別用のレコード番号(図中「SEQNo」と表記)、対応する商品に割り当てられた識別情報であるスキャンコード(商品コード)、その商品の生産日時、消費期限、販売日時、及び廃棄日時の各情報が格納されている。特には図示していないが、他に商品の在庫数量(個数)も格納されている。
【0017】
図3は、消費期限管理マスタ15のデータ構成を説明する図である。この管理マスタ15は、部門毎に消費期限を設定すべき1商品を生産する場合を例にとった場合のものである。各レコードには、レコード番号、部門コード、及び消費期間(例えば生産してから販売すべきでないとする時間)の各情報が格納されている。
【0018】
生産した商品には、バーコードをプリントしたラベルを貼り付けるようにしている。ラベラー40は、そのラベルを発行するためのものであり、生産時間等の入力が可能である。商品の生産からラベルの貼り付けまでの時間が消費期間に対して非常に小さいような場合には、その入力をより迅速に行えるように、ラベルの発行時間を生産時間とみなすようにしても良い。
【0019】
図4は、商品管理マスタ16のデータ構成を説明する図である。この管理マスタ16は、主に商品販売を支援するためのものである。各レコードには、レコード番号、スキャンコード、及び部門コードの各情報が格納されている。特には図示していないが、他に、商品単価、消費期限等の商品の販売のために必要な情報も各レコードには格納されている。
【0020】
在庫管理マスタ14には、商品管理マスタ16に格納されたレコードのなかから抽出された、消費期限が設定されたレコードの不要な情報が省かれたものが格納される。そのレコードの消費期限は、そのレコードの部門コードを用いて消費期限管理マスタ15から特定される消費期間により算出されたものである。部門コードから消費期間が特定できないレコード(商品)には、消費期限として、その期限が存在しないことを示す値が追加される。
【0021】
図5は、廃棄管理マスタ17のデータ構成を説明する図である。この管理マスタ17は、消費期限切れ等の理由により廃棄すべきとされた商品(廃棄対象商品)を管理するためのものである。各レコードには、レコード番号、スキャンコード、及び廃棄日時の各情報が格納されている。
【0022】
上述したようなデータ構成の各種マスタ14〜17を管理するサーバ10は、各種マスタ14〜17を管理し、必要に応じて更新するマスタ管理部11、在庫管理マスタ14を定期的に参照することにより、廃棄対象商品を特定する監視部12、及びLAN1を介した通信を行うための通信部13を備えている。本実施形態による在庫管理装置は、このサーバ10上で実現されている。
【0023】
通信部13は、クライアントPOS20での商品販売を可能とするために、商品管理マスタ16の少なくとも一部を、予め定めたタイミング、或いは要求に応じてクライアントPOSに送信する。
【0024】
クライアントPOS20は、サーバ10から受信した商品管理マスタ16のデータを用いて、登録、つまり例えばバーコードを読み取った商品の単価を特定し、顧客に請求すべき金額を算出する。代金の徴収により商品の販売が終了すると、販売した商品の種類毎に、そのスキャンコードや数量を示す販売情報をサーバ10に送信する。
【0025】
この販売情報は、通信部13を介してマスタ管理部11に渡される。それによりマスタ管理部11は、販売情報を参照して、在庫管理マスタ14及び商品管理マスタ16等を更新する。そのようにして、商品販売の結果を直ちに反映させる。
【0026】
在庫管理マスタ14では、販売された商品の数量を販売された数分、減算する。その減算の結果、数量が0となった場合、例えば現在日時を販売日時として対応するレコードに格納する。販売日時が格納されたレコードは、対応する商品が存在しないことから、例えば定期的に行う更新時に削除される。同様の理由から、廃棄日時が格納されたレコードも削除の対象となる。
【0027】
生産した商品には、スキャンコードをバーコードの形でプリントしたラベルを貼り付けるようにしている。ラベラー40は、そのラベルを発行するためのものである。ラベラー40は、例えばラベルを発行する毎に、そのラベルにバーコードとしてプリントしたスキャンコード、発行枚数、部門コード等をサーバ10に通知する。
【0028】
この通知は、通信部13を介してマスタ管理部11に渡される。それによりマスタ管理部11は、この通知に対応して、在庫管理マスタ14及び商品管理マスタ16等を更新する。在庫管理マスタ14では、通常、新たにレコードを追加する形で更新が行われる。これは、同じ商品が既に存在していても、消費期限が異なれば異なるスキャンコードを割り当てるからである。
【0029】
このラベラー40では、生産時間等の入力が可能である。商品の生産からラベルの貼り付けまでの時間が消費期間に対して非常に小さいような場合には、その入力をより迅速に行えるように、ラベルの発行時間を生産時間とみなすようにしても良い。
【0030】
図7は、ラベラー40が実行するラベル発行処理のフローチャートである。ここで図7を参照して、この発行処理について詳細に説明する。この発行処理は、オペレータの指示により、そのオペレータが望むラベルを望む枚数、発行するために実行される処理であり、オペレータの要求に応じて、随時、実行される。
【0031】
先ず、ステップS11では、オペレータの指示に従い、各種情報の入力、入力された情報に応じたラベルの発行を行う。次のステップS12では、発行したラベルにバーコードの形でプリントしたスキャンコード、バーコードをプリントしたラベル数、部門コード等をサーバ10に送信する。その後、一連の処理を終了する。そのような情報の送信により、サーバ10のマスタ管理部11による商品管理マスタ16や在庫管理マスタ14等に対する更新が実現される。
【0032】
サーバ10の説明に戻る。
監視部12は、上記のようにして随時、更新される在庫管理マスタ14を例えば定期的に参照し、販売日時、或いは廃棄日時が格納されていないレコードのなかから消費期限が現在日時より前となっているレコードを抽出する。抽出したレコードに対応する商品は、廃棄の対象となる商品(廃棄対象商品)である。レコードを抽出できた場合、そのレコードが示す商品を種類毎、消費期限毎に示す廃棄確認画面を作成し、その画面を予め指定された端末装置、つまりクライアントPOS20、或いはHHT30に送信する。それにより、廃棄確認画面上に示す廃棄対象商品の廃棄を店員(廃棄作業を行う対象者)に促す。
【0033】
図6は、この廃棄確認画面の例を説明する図である。図6に示すように、廃棄対象商品は、商品の種類毎、消費期限毎に分けて、商品名、消費期限、その個数(数量)により示されている。各商品名の左側に配置された枠は、チェックボックスである。画面の下方には、「キャンセル」「送信」の2つのボタンが配置されている。このため、店員にとっては、サーバ10から送信される廃棄確認画面により、廃棄対象商品を把握することができ、陳列された商品のなかから廃棄対象商品を特定する必要性は回避される。その結果、廃棄対象商品の迅速な廃棄がより容易に行えることとなる。
【0034】
チェックボックスは、それが対応する商品を全て廃棄したか否かを入力するためのものである。何れかのチェックボックスにチェックマークを表示させた後、「送信」ボタンを店員が操作した場合、そのチェックマークを表示させた商品を示す情報、例えばスキャンコードがサーバ10に送信される。サーバ10のマスタ管理部11は、送信したスキャナコードに従って、在庫管理マスタ14及び廃棄管理マスタ17を更新する。それにより、店員にとっては、廃棄対象商品のバーコード等を読み取ることなく、必要なマスタの更新を行わせることができる。このことからも、店員は廃棄対象商品を廃棄する作業をより迅速に行えるようになる。
【0035】
図6では、同じ商品名が複数、商品名「商品A」が二つ、存在する。これは、同じ商品であっても消費期限が異なればスキャンコード(商品コード)は同じとしないためである。
【0036】
マスタ管理部11は、端末装置から受信したスキャンコードをキーに、在庫管理マスタ14を検索することにより、それを格納したレコードを抽出する。抽出したレコードには、廃棄日時として現在日時を格納する。廃棄管理マスタ17でも同様に、受信したスキャンコードを格納したレコードの検索を行い、その検索によって抽出できたレコードに、廃棄日時として現在日時を格納する。そのようにして、1つ以上のスキャンコードを受信した場合には、在庫管理マスタ14及び廃棄管理マスタ17を更新する。店員が「キャンセル」ボタンを操作した場合、スキャンコードは送信されない。このため、それらマスタ14及び17の更新は行われない。
【0037】
図11は、本発明を適用可能なコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。ここで図11を参照して、サーバ10として使用可能なコンピュータ、言い換えれば上記各部11〜14を実現させる機能を備えたプログラム(在庫管理プログラム)を実行させることでサーバ10として用いることが可能なコンピュータの構成について具体的に説明する。
【0038】
図11に示すコンピュータは、CPU61、メモリ62、入力装置63、出力装置64、外部記憶装置65、媒体駆動装置66、及びネットワーク接続装置67を有し、これらがバス68によって互いに接続された構成となっている。同図に示す構成は一例であり、これに限定されるものではない。
【0039】
CPU61は、当該コンピュータ全体の制御を行う。
メモリ62は、プログラム実行、データ更新等の際に、外部記憶装置65(あるいは可搬型の記録媒体70)に記憶されているプログラムあるいはデータを一時的に格納するRAM等のメモリである。CPU61は、プログラムをメモリ62に読み出して実行することにより、全体の制御を行う。
【0040】
入力装置63は、例えば、キーボード、マウス等の操作装置と接続されたインターフェースである。操作装置に対するユーザの操作を検出し、その検出結果をCPU61に通知する。
【0041】
出力装置64は、例えば表示装置と接続された表示制御装置である。ネットワーク接続装置67は、例えば複数の振分対象サーバ30及びSLB20と通信ネットワークを介して通信を行うためのものである。外部記憶装置65は、例えばハードディスク装置である。主に各種データやプログラムの保存に用いられる。
【0042】
媒体駆動装置66は、光ディスクや光磁気ディスク等の可搬型の記録媒体70にアクセスするものである。
在庫管理プログラムは、外部記憶装置65、若しくは記録媒体70に記録されているか、或いは通信ネットワークを介してネットワーク接続67により取得される。その管理プログラムをメモリ62に読み出してCPU61が実行することにより、サーバ10は実現される。より具体的には、例えば在庫管理プログラム、及び各マスタ14〜17が外部記憶装置65に格納されている想定では、マスタ管理部11及び監視部12はCPU61、メモリ62、外部記憶装置65、及びバス68によって実現され、通信部13は、CPU61、メモリ62、外部記憶装置65、ネットワーク接続装置67及びバス68によって実現される。
【0043】
図8は、監視処理のフローチャートである。この監視処理は、在庫管理マスタ14を定期的に参照して、廃棄対象商品の廃棄を店員に促し、その商品の廃棄に対応するための処理であり、CPU61が在庫管理プログラムを実行することで実現される。監視部12、並びにマスタ管理部11及び通信部13それぞれの一部は、この監視処理を実行することにより実現される。次に図8を参照して、上記サーバ10の動作について詳細に説明する。
【0044】
先ず、ステップS21では、開局、つまり業務を開始する。その開局後、定期的に在庫管理マスタ14を監視するためのステップS22の処理ループに移行する。
この処理ループでは、先ず、在庫管理マスタ14から廃棄対象商品のレコードを抽出するための廃棄対象抽出処理を実行する。この廃棄対象抽出処理は図9に示すように、先ず、在庫管理マスタ14を参照し(ステップS31)、次に消費期限が格納(設定)されたレコードのなかから販売日時、或いは廃棄日時が格納されていないレコードを抽出するものである。それにより、そのレコードの抽出が終了した後、ステップS32に移行する。
【0045】
ステップS32では、消費期限切れのレコードがあるか否か判定する。廃棄対象抽出処理の実行により、レコードが抽出できた場合、判定はYESとなってステップS33に移行する。そうでない場合には、判定はNOとなって次にステップS34に移行する。
【0046】
ステップ33では、図6に示すような廃棄確認画面を作成して廃棄作業を促すための廃棄処理を実行する。次に移行するステップS34では、販売業務を終了する閉局の開始を判定する。閉局の開始と判定した場合、ここでステップS22の処理ループを終了し、ステップS23に移行する。閉局の開始と判定しなかった場合には、一定時間の経過、或いは予め定めた時刻の到来により、上記ステップS31から処理を開始する。それにより、定期的な監視を実現させる。
【0047】
ステップS23では、再度、廃棄対象抽出処理を実行する。続くステップS24では、消費期限切れのレコードがあるか否か判定する。廃棄対象抽出処理の実行により、レコードが抽出できた場合、判定はYESとなってステップS25に移行し、再度、廃棄処理を実行した後、この監視処理を終了する。レコードを抽出できなかった場合には、判定はNOとなり、ここでこの監視処理を終了する。
【0048】
図10は、上記ステップS33、或いはS25として実行される廃棄処理、並びにこの廃棄処理の実行によってクライアントPOS20及びHHT30がそれぞれ実行する処理のフローチャートである。ここでは、廃棄処理の実行により図6に示すような廃棄確認画面の送信によってクライアントPOS20及びHHT30がそれぞれ実行する処理のフローチャートも併せて示している。それにより、クライアントPOS20及びHHT30の動作も併せて詳細に説明する。
【0049】
サーバ10は、ステップS41において、廃棄データ、つまり抽出したレコードから、商品の種類毎、消費期限毎に廃棄対象商品の情報を配置した廃棄確認画面を作成する。次のステップS42では、その廃棄データの送信対象(図10中「アラーム表示対象」と表記)はクライアントPOS20か否か判定する。廃棄データの送信対象は、予め設定したものか、大型の店舗であれば、例えば廃棄対象商品のスキャンコードに対応付けた端末装置である。予め設定された、或いは廃棄対象商品の何れかのスキャンコードに対応付けられたクライアントPOSが存在する場合、判定はYESとなり、ステップS43でそのクライアントPOS20に廃棄データを送信した後、ステップS44に移行する。送信対象となるクライアントPOS20が存在しない場合には、判定はNOとなってそのステップS44に移行する。
【0050】
ステップS44及びS45では、ステップS42及びS43と同様の処理が実行される。それにより、送信すべきHHT30に廃棄データが送信される。ステップS44でのNOの判定、或いはステップS45の処理の実行によりステップS46に移行する。
【0051】
廃棄データが送信されたクライアントPOSでは、ステップS51でその廃棄データを受信する。次にステップS52でその廃棄データを受信した旨を通知するためのアラーム表示を表示装置に表示させる。その表示により、廃棄データの表示を店員(オペレータ)が指示した場合には、ステップS53に移行して、廃棄データ、つまり廃棄確認画面を表示装置に表示させる。
【0052】
表示させた廃棄表示画面は、「送信」或いは「キャンセル」ボタンの操作により消去する。このことから、ステップS54では、店員の操作に応じた処理を実行しつつ、それらの何れのボタンが操作されたかの判定を行う。それにより、「送信」ボタンを店員が操作した場合には、その旨が判定されてステップS55に移行し、チェックマークを入力した廃棄対象商品のデータ(スキャンコード)を廃棄済データとしてサーバ10に送信する。その送信により、廃棄データの受信による一連の処理を終了する。「キャンセル」ボタンを店員が操作した場合には、その旨が判定され、ここでこの一連の処理を終了する。
【0053】
廃棄データが送信されたHHT30では、クライアントPOS20におけるステップS51〜S55と同様の処理がステップS61〜S65として実行される。このことから、詳細な説明は省略する。
【0054】
サーバ10の説明に戻る。
ステップS46では、クライアントPOS20或いはHHT30からの廃棄済データの受信に応じて、廃棄管理マスタ17の更新を行う。次のステップS47では、在庫管理マスタ14の更新を行う。その更新を行った後、この廃棄処理を終了する。
【0055】
サーバ10から送信した廃棄データを店員が直ちに表示させるとは限らない。廃棄対象商品の廃棄作業には或る程度の時間が必要である。このようなことから、クライアントPOS20及びHHT30のそれぞれで示す処理のフローチャートは、廃棄データの受信によって実行される処理を抽出し、その流れの例を便宜的に示したものである。同様に、サーバ10が実行する廃棄処理では、ステップS46及びS47による各マスタ14及び17の更新は、廃棄済みデータを何時、受信するか予め特定できないため、例えば受信した廃棄済みデータを保存しておくことにより、廃棄データを送信してから一定時間が経過した後に行われる。
【0056】
なお、本実施形態では、在庫管理を行うために各種マスタ14〜17を用いているが、用いるマスタの数やそのデータ構成は特に限定されるものではない。つまり必要な情報を管理できるのであれば、情報を格納する形態や格納場所等は任意に決定すれば良いものである。これは、廃棄対象商品の提示や、実際に廃棄した廃棄対象商品の指定(入力)等も同様である。
【符号の説明】
【0057】
1 LAN
2 アクセスポイント
10 サーバ
11 マスタ管理部
12 監視部
13 通信部
14 在庫管理マスタファイル
15 消費期限管理マスタファイル
16 商品管理マスタファイル
17 廃棄管理マスタファイル
20 POS端末装置(クライアントPOS)
30 HHT(携帯型端末装置)
40 ラベラー
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗で販売する商品の在庫、特に消費期限が存在する商品の在庫を管理するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
食品や飲料といった食料品のように、商品のなかには消費期限、或いは賞味期限といった期限が設定されているものがある。周知のように、消費期限は、期限切れとなった場合に、安全性を欠くこととなる恐れがあると認められる期限(年月日)であり、賞味期限は、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限(年月日)である。そのような定義であることから、消費期限が設定されている商品(食料品)は、期限切れとなる前に店舗から除去するようにしているのが普通である。
【0003】
現在、多くの店舗には、商品販売の売上実績を商品単位で集計できるように、販売時点情報管理(POS:Point Of Sale。以下「POS」と呼ぶ)システムが導入されている。
【0004】
このPOSシステムでは、商品単位に、その商品の商品名、識別情報、価格、数量、生産日時などの商品に係わる商品情報がサーバによって管理される。その管理は、データベース化して行われる。そのようにして管理される商品情報は、商品の販売、或いは販売対象とする商品の追加等によって更新される。例えば数量は、商品の販売により減算され、商品の追加(例えば生産)により加算される。
【0005】
消費期限、或いは賞味期限が設定される商品では、その期限が切れる日時を特定するための情報が商品情報に含まれることとなる。識別情報は通常、商品にバーコードの形で付される。販売した商品、その数量等の販売に係わる情報は、POSレジスタ等からサーバに通知される。バーコードが形成されたラベルの発行と共に、商品情報を更新する技術としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【0006】
消費期限により販売すべきでないとされる商品(以降「廃棄対象商品」)は、従来、その商品が陳列されている場所で店員が在庫を確認し、廃棄するようにしていた。その廃棄の際、例えば商品の識別情報を端末装置(例えばHHT(携帯型端末装置))に読み取らせ、その読み取った識別情報をサーバに送信することにより、管理する商品情報にその廃棄分を反映させるようにしていた。
【0007】
しかし、そのように店員による在庫(廃棄対象商品)の確認では、対象となる商品の廃棄を確実に行えない可能性が高い。また、識別情報の読み取り等により、迅速な作業を行うのが困難な面があった。このようなことから、廃棄対象商品の廃棄をより確実、且つ迅速に行えるようにすることも重要と考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−180426号公報
【特許文献2】特開2002−74518号公報
【特許文献3】特開2003−67835号公報
【特許文献4】特開2002−140511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、消費期限により廃棄すべき商品の廃棄をより確実、且つ迅速に行えるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明を適用した1システムでは、商品単位に、商品を表す識別情報、及び商品の消費期限を示す期限情報を含む商品情報を格納する情報格納手段と、商品の販売、及び該商品の生産により、情報格納手段に格納された商品情報を更新する情報更新手段と、情報格納手段に格納された商品情報を監視し、消費期限が切れることにより廃棄の対象となる消費期限切れ商品を抽出する商品抽出手段と、商品抽出手段が抽出した消費期限切れ商品を対象者に通知するための通知手段と、を具備する。
【0011】
消費期限が切れることにより廃棄の対象となる商品、つまり消費期限が切れている、或いは消費期限切れが近いといった理由から販売の対象とすべきでない商品は、そのような商品の廃棄作業を行う対象者に自動的に通知(提示)される。このことから、対象者にとっては、陳列された商品のなかから廃棄の対象となる商品を特定する作業を行うことなく、言い換えれば、陳列された商品のなかから指定された商品を探すのみで廃棄を行えるようになる。商品毎に廃棄すべきか否か確認しなくとも済むことから、廃棄作業はより容易、且つ迅速に行えることとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明を適用した場合には、消費期限により廃棄すべき商品の廃棄をより確実、且つ迅速に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態による在庫管理装置が適用されたPOSシステムの構成図である。
【図2】在庫管理マスタのデータ構成を説明する図である。
【図3】消費期限管理マスタのデータ構成を説明する図である。
【図4】商品管理マスタのデータ構成を説明する図である。
【図5】廃棄管理マスタのデータ構成を説明する図である。
【図6】廃棄確認画面の例を説明する図である。
【図7】ラベル発行処理のフローチャートである。
【図8】監視処理のフローチャートである。
【図9】廃棄対象抽出処理のフローチャートである。
【図10】廃棄処理、並びにこの廃棄処理の実行によってクライアントPOS及びHHTがそれぞれ実行する処理のフローチャートである。
【図11】本発明を適用可能なコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態による在庫管理装置が適用されたPOSシステムの構成図である。このPOSシステムは、消費期限が設定される商品の生産・販売を行う店舗に導入されたものである。図1に示すように、無線通信用のアクセスポイント2が接続されたLAN1を介して、サーバ10、POSレジスタ等のPOS端末装置(図1中「クライアントPOS」と表記。以降「クライアントPOS」と呼ぶ)、及びラベラー40が通信可能な構成となっている。クライアントPOS20及びHHT30はそれぞれ一つのみ示しているが、これは混乱を避けるためであり、通常、それらは複数、存在する。
【0015】
サーバ10は、商品管理、商品販売等の業務用に設置されたものである。それらの業務を支援するために、在庫管理マスタファイル14、消費期限管理マスタファイル15、商品管理マスタファイル16及び廃棄管理マスタファイル17を管理する。各マスタファイル(以降「マスタ」と略記)は、例えばレコード単位でデータを格納するものであり、以下のようなデータが各レコードに格納される。図2〜図5の各説明図を参照して具体的に説明する。
【0016】
図2は、在庫管理マスタ14のデータ構成を説明する図である。この在庫管理マスタ14は、商品単位に在庫管理を行うためのものである。各レコードには、そのレコードに割り当てられた識別用のレコード番号(図中「SEQNo」と表記)、対応する商品に割り当てられた識別情報であるスキャンコード(商品コード)、その商品の生産日時、消費期限、販売日時、及び廃棄日時の各情報が格納されている。特には図示していないが、他に商品の在庫数量(個数)も格納されている。
【0017】
図3は、消費期限管理マスタ15のデータ構成を説明する図である。この管理マスタ15は、部門毎に消費期限を設定すべき1商品を生産する場合を例にとった場合のものである。各レコードには、レコード番号、部門コード、及び消費期間(例えば生産してから販売すべきでないとする時間)の各情報が格納されている。
【0018】
生産した商品には、バーコードをプリントしたラベルを貼り付けるようにしている。ラベラー40は、そのラベルを発行するためのものであり、生産時間等の入力が可能である。商品の生産からラベルの貼り付けまでの時間が消費期間に対して非常に小さいような場合には、その入力をより迅速に行えるように、ラベルの発行時間を生産時間とみなすようにしても良い。
【0019】
図4は、商品管理マスタ16のデータ構成を説明する図である。この管理マスタ16は、主に商品販売を支援するためのものである。各レコードには、レコード番号、スキャンコード、及び部門コードの各情報が格納されている。特には図示していないが、他に、商品単価、消費期限等の商品の販売のために必要な情報も各レコードには格納されている。
【0020】
在庫管理マスタ14には、商品管理マスタ16に格納されたレコードのなかから抽出された、消費期限が設定されたレコードの不要な情報が省かれたものが格納される。そのレコードの消費期限は、そのレコードの部門コードを用いて消費期限管理マスタ15から特定される消費期間により算出されたものである。部門コードから消費期間が特定できないレコード(商品)には、消費期限として、その期限が存在しないことを示す値が追加される。
【0021】
図5は、廃棄管理マスタ17のデータ構成を説明する図である。この管理マスタ17は、消費期限切れ等の理由により廃棄すべきとされた商品(廃棄対象商品)を管理するためのものである。各レコードには、レコード番号、スキャンコード、及び廃棄日時の各情報が格納されている。
【0022】
上述したようなデータ構成の各種マスタ14〜17を管理するサーバ10は、各種マスタ14〜17を管理し、必要に応じて更新するマスタ管理部11、在庫管理マスタ14を定期的に参照することにより、廃棄対象商品を特定する監視部12、及びLAN1を介した通信を行うための通信部13を備えている。本実施形態による在庫管理装置は、このサーバ10上で実現されている。
【0023】
通信部13は、クライアントPOS20での商品販売を可能とするために、商品管理マスタ16の少なくとも一部を、予め定めたタイミング、或いは要求に応じてクライアントPOSに送信する。
【0024】
クライアントPOS20は、サーバ10から受信した商品管理マスタ16のデータを用いて、登録、つまり例えばバーコードを読み取った商品の単価を特定し、顧客に請求すべき金額を算出する。代金の徴収により商品の販売が終了すると、販売した商品の種類毎に、そのスキャンコードや数量を示す販売情報をサーバ10に送信する。
【0025】
この販売情報は、通信部13を介してマスタ管理部11に渡される。それによりマスタ管理部11は、販売情報を参照して、在庫管理マスタ14及び商品管理マスタ16等を更新する。そのようにして、商品販売の結果を直ちに反映させる。
【0026】
在庫管理マスタ14では、販売された商品の数量を販売された数分、減算する。その減算の結果、数量が0となった場合、例えば現在日時を販売日時として対応するレコードに格納する。販売日時が格納されたレコードは、対応する商品が存在しないことから、例えば定期的に行う更新時に削除される。同様の理由から、廃棄日時が格納されたレコードも削除の対象となる。
【0027】
生産した商品には、スキャンコードをバーコードの形でプリントしたラベルを貼り付けるようにしている。ラベラー40は、そのラベルを発行するためのものである。ラベラー40は、例えばラベルを発行する毎に、そのラベルにバーコードとしてプリントしたスキャンコード、発行枚数、部門コード等をサーバ10に通知する。
【0028】
この通知は、通信部13を介してマスタ管理部11に渡される。それによりマスタ管理部11は、この通知に対応して、在庫管理マスタ14及び商品管理マスタ16等を更新する。在庫管理マスタ14では、通常、新たにレコードを追加する形で更新が行われる。これは、同じ商品が既に存在していても、消費期限が異なれば異なるスキャンコードを割り当てるからである。
【0029】
このラベラー40では、生産時間等の入力が可能である。商品の生産からラベルの貼り付けまでの時間が消費期間に対して非常に小さいような場合には、その入力をより迅速に行えるように、ラベルの発行時間を生産時間とみなすようにしても良い。
【0030】
図7は、ラベラー40が実行するラベル発行処理のフローチャートである。ここで図7を参照して、この発行処理について詳細に説明する。この発行処理は、オペレータの指示により、そのオペレータが望むラベルを望む枚数、発行するために実行される処理であり、オペレータの要求に応じて、随時、実行される。
【0031】
先ず、ステップS11では、オペレータの指示に従い、各種情報の入力、入力された情報に応じたラベルの発行を行う。次のステップS12では、発行したラベルにバーコードの形でプリントしたスキャンコード、バーコードをプリントしたラベル数、部門コード等をサーバ10に送信する。その後、一連の処理を終了する。そのような情報の送信により、サーバ10のマスタ管理部11による商品管理マスタ16や在庫管理マスタ14等に対する更新が実現される。
【0032】
サーバ10の説明に戻る。
監視部12は、上記のようにして随時、更新される在庫管理マスタ14を例えば定期的に参照し、販売日時、或いは廃棄日時が格納されていないレコードのなかから消費期限が現在日時より前となっているレコードを抽出する。抽出したレコードに対応する商品は、廃棄の対象となる商品(廃棄対象商品)である。レコードを抽出できた場合、そのレコードが示す商品を種類毎、消費期限毎に示す廃棄確認画面を作成し、その画面を予め指定された端末装置、つまりクライアントPOS20、或いはHHT30に送信する。それにより、廃棄確認画面上に示す廃棄対象商品の廃棄を店員(廃棄作業を行う対象者)に促す。
【0033】
図6は、この廃棄確認画面の例を説明する図である。図6に示すように、廃棄対象商品は、商品の種類毎、消費期限毎に分けて、商品名、消費期限、その個数(数量)により示されている。各商品名の左側に配置された枠は、チェックボックスである。画面の下方には、「キャンセル」「送信」の2つのボタンが配置されている。このため、店員にとっては、サーバ10から送信される廃棄確認画面により、廃棄対象商品を把握することができ、陳列された商品のなかから廃棄対象商品を特定する必要性は回避される。その結果、廃棄対象商品の迅速な廃棄がより容易に行えることとなる。
【0034】
チェックボックスは、それが対応する商品を全て廃棄したか否かを入力するためのものである。何れかのチェックボックスにチェックマークを表示させた後、「送信」ボタンを店員が操作した場合、そのチェックマークを表示させた商品を示す情報、例えばスキャンコードがサーバ10に送信される。サーバ10のマスタ管理部11は、送信したスキャナコードに従って、在庫管理マスタ14及び廃棄管理マスタ17を更新する。それにより、店員にとっては、廃棄対象商品のバーコード等を読み取ることなく、必要なマスタの更新を行わせることができる。このことからも、店員は廃棄対象商品を廃棄する作業をより迅速に行えるようになる。
【0035】
図6では、同じ商品名が複数、商品名「商品A」が二つ、存在する。これは、同じ商品であっても消費期限が異なればスキャンコード(商品コード)は同じとしないためである。
【0036】
マスタ管理部11は、端末装置から受信したスキャンコードをキーに、在庫管理マスタ14を検索することにより、それを格納したレコードを抽出する。抽出したレコードには、廃棄日時として現在日時を格納する。廃棄管理マスタ17でも同様に、受信したスキャンコードを格納したレコードの検索を行い、その検索によって抽出できたレコードに、廃棄日時として現在日時を格納する。そのようにして、1つ以上のスキャンコードを受信した場合には、在庫管理マスタ14及び廃棄管理マスタ17を更新する。店員が「キャンセル」ボタンを操作した場合、スキャンコードは送信されない。このため、それらマスタ14及び17の更新は行われない。
【0037】
図11は、本発明を適用可能なコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。ここで図11を参照して、サーバ10として使用可能なコンピュータ、言い換えれば上記各部11〜14を実現させる機能を備えたプログラム(在庫管理プログラム)を実行させることでサーバ10として用いることが可能なコンピュータの構成について具体的に説明する。
【0038】
図11に示すコンピュータは、CPU61、メモリ62、入力装置63、出力装置64、外部記憶装置65、媒体駆動装置66、及びネットワーク接続装置67を有し、これらがバス68によって互いに接続された構成となっている。同図に示す構成は一例であり、これに限定されるものではない。
【0039】
CPU61は、当該コンピュータ全体の制御を行う。
メモリ62は、プログラム実行、データ更新等の際に、外部記憶装置65(あるいは可搬型の記録媒体70)に記憶されているプログラムあるいはデータを一時的に格納するRAM等のメモリである。CPU61は、プログラムをメモリ62に読み出して実行することにより、全体の制御を行う。
【0040】
入力装置63は、例えば、キーボード、マウス等の操作装置と接続されたインターフェースである。操作装置に対するユーザの操作を検出し、その検出結果をCPU61に通知する。
【0041】
出力装置64は、例えば表示装置と接続された表示制御装置である。ネットワーク接続装置67は、例えば複数の振分対象サーバ30及びSLB20と通信ネットワークを介して通信を行うためのものである。外部記憶装置65は、例えばハードディスク装置である。主に各種データやプログラムの保存に用いられる。
【0042】
媒体駆動装置66は、光ディスクや光磁気ディスク等の可搬型の記録媒体70にアクセスするものである。
在庫管理プログラムは、外部記憶装置65、若しくは記録媒体70に記録されているか、或いは通信ネットワークを介してネットワーク接続67により取得される。その管理プログラムをメモリ62に読み出してCPU61が実行することにより、サーバ10は実現される。より具体的には、例えば在庫管理プログラム、及び各マスタ14〜17が外部記憶装置65に格納されている想定では、マスタ管理部11及び監視部12はCPU61、メモリ62、外部記憶装置65、及びバス68によって実現され、通信部13は、CPU61、メモリ62、外部記憶装置65、ネットワーク接続装置67及びバス68によって実現される。
【0043】
図8は、監視処理のフローチャートである。この監視処理は、在庫管理マスタ14を定期的に参照して、廃棄対象商品の廃棄を店員に促し、その商品の廃棄に対応するための処理であり、CPU61が在庫管理プログラムを実行することで実現される。監視部12、並びにマスタ管理部11及び通信部13それぞれの一部は、この監視処理を実行することにより実現される。次に図8を参照して、上記サーバ10の動作について詳細に説明する。
【0044】
先ず、ステップS21では、開局、つまり業務を開始する。その開局後、定期的に在庫管理マスタ14を監視するためのステップS22の処理ループに移行する。
この処理ループでは、先ず、在庫管理マスタ14から廃棄対象商品のレコードを抽出するための廃棄対象抽出処理を実行する。この廃棄対象抽出処理は図9に示すように、先ず、在庫管理マスタ14を参照し(ステップS31)、次に消費期限が格納(設定)されたレコードのなかから販売日時、或いは廃棄日時が格納されていないレコードを抽出するものである。それにより、そのレコードの抽出が終了した後、ステップS32に移行する。
【0045】
ステップS32では、消費期限切れのレコードがあるか否か判定する。廃棄対象抽出処理の実行により、レコードが抽出できた場合、判定はYESとなってステップS33に移行する。そうでない場合には、判定はNOとなって次にステップS34に移行する。
【0046】
ステップ33では、図6に示すような廃棄確認画面を作成して廃棄作業を促すための廃棄処理を実行する。次に移行するステップS34では、販売業務を終了する閉局の開始を判定する。閉局の開始と判定した場合、ここでステップS22の処理ループを終了し、ステップS23に移行する。閉局の開始と判定しなかった場合には、一定時間の経過、或いは予め定めた時刻の到来により、上記ステップS31から処理を開始する。それにより、定期的な監視を実現させる。
【0047】
ステップS23では、再度、廃棄対象抽出処理を実行する。続くステップS24では、消費期限切れのレコードがあるか否か判定する。廃棄対象抽出処理の実行により、レコードが抽出できた場合、判定はYESとなってステップS25に移行し、再度、廃棄処理を実行した後、この監視処理を終了する。レコードを抽出できなかった場合には、判定はNOとなり、ここでこの監視処理を終了する。
【0048】
図10は、上記ステップS33、或いはS25として実行される廃棄処理、並びにこの廃棄処理の実行によってクライアントPOS20及びHHT30がそれぞれ実行する処理のフローチャートである。ここでは、廃棄処理の実行により図6に示すような廃棄確認画面の送信によってクライアントPOS20及びHHT30がそれぞれ実行する処理のフローチャートも併せて示している。それにより、クライアントPOS20及びHHT30の動作も併せて詳細に説明する。
【0049】
サーバ10は、ステップS41において、廃棄データ、つまり抽出したレコードから、商品の種類毎、消費期限毎に廃棄対象商品の情報を配置した廃棄確認画面を作成する。次のステップS42では、その廃棄データの送信対象(図10中「アラーム表示対象」と表記)はクライアントPOS20か否か判定する。廃棄データの送信対象は、予め設定したものか、大型の店舗であれば、例えば廃棄対象商品のスキャンコードに対応付けた端末装置である。予め設定された、或いは廃棄対象商品の何れかのスキャンコードに対応付けられたクライアントPOSが存在する場合、判定はYESとなり、ステップS43でそのクライアントPOS20に廃棄データを送信した後、ステップS44に移行する。送信対象となるクライアントPOS20が存在しない場合には、判定はNOとなってそのステップS44に移行する。
【0050】
ステップS44及びS45では、ステップS42及びS43と同様の処理が実行される。それにより、送信すべきHHT30に廃棄データが送信される。ステップS44でのNOの判定、或いはステップS45の処理の実行によりステップS46に移行する。
【0051】
廃棄データが送信されたクライアントPOSでは、ステップS51でその廃棄データを受信する。次にステップS52でその廃棄データを受信した旨を通知するためのアラーム表示を表示装置に表示させる。その表示により、廃棄データの表示を店員(オペレータ)が指示した場合には、ステップS53に移行して、廃棄データ、つまり廃棄確認画面を表示装置に表示させる。
【0052】
表示させた廃棄表示画面は、「送信」或いは「キャンセル」ボタンの操作により消去する。このことから、ステップS54では、店員の操作に応じた処理を実行しつつ、それらの何れのボタンが操作されたかの判定を行う。それにより、「送信」ボタンを店員が操作した場合には、その旨が判定されてステップS55に移行し、チェックマークを入力した廃棄対象商品のデータ(スキャンコード)を廃棄済データとしてサーバ10に送信する。その送信により、廃棄データの受信による一連の処理を終了する。「キャンセル」ボタンを店員が操作した場合には、その旨が判定され、ここでこの一連の処理を終了する。
【0053】
廃棄データが送信されたHHT30では、クライアントPOS20におけるステップS51〜S55と同様の処理がステップS61〜S65として実行される。このことから、詳細な説明は省略する。
【0054】
サーバ10の説明に戻る。
ステップS46では、クライアントPOS20或いはHHT30からの廃棄済データの受信に応じて、廃棄管理マスタ17の更新を行う。次のステップS47では、在庫管理マスタ14の更新を行う。その更新を行った後、この廃棄処理を終了する。
【0055】
サーバ10から送信した廃棄データを店員が直ちに表示させるとは限らない。廃棄対象商品の廃棄作業には或る程度の時間が必要である。このようなことから、クライアントPOS20及びHHT30のそれぞれで示す処理のフローチャートは、廃棄データの受信によって実行される処理を抽出し、その流れの例を便宜的に示したものである。同様に、サーバ10が実行する廃棄処理では、ステップS46及びS47による各マスタ14及び17の更新は、廃棄済みデータを何時、受信するか予め特定できないため、例えば受信した廃棄済みデータを保存しておくことにより、廃棄データを送信してから一定時間が経過した後に行われる。
【0056】
なお、本実施形態では、在庫管理を行うために各種マスタ14〜17を用いているが、用いるマスタの数やそのデータ構成は特に限定されるものではない。つまり必要な情報を管理できるのであれば、情報を格納する形態や格納場所等は任意に決定すれば良いものである。これは、廃棄対象商品の提示や、実際に廃棄した廃棄対象商品の指定(入力)等も同様である。
【符号の説明】
【0057】
1 LAN
2 アクセスポイント
10 サーバ
11 マスタ管理部
12 監視部
13 通信部
14 在庫管理マスタファイル
15 消費期限管理マスタファイル
16 商品管理マスタファイル
17 廃棄管理マスタファイル
20 POS端末装置(クライアントPOS)
30 HHT(携帯型端末装置)
40 ラベラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売対象とする商品の在庫を管理する在庫管理装置において、
前記商品単位に、該商品を表す識別情報、及び該商品の消費期限を示す期限情報を含む商品情報を格納する情報格納手段と、
前記商品の販売、及び該商品の生産により、前記情報格納手段に格納された商品情報を更新する情報更新手段と、
前記情報格納手段に格納された商品情報を監視し、前記消費期限が切れることにより廃棄の対象となる消費期限切れ商品を抽出する商品抽出手段と、
前記商品抽出手段が抽出した消費期限切れ商品を対象者に通知するための通知手段と、
を具備することを特徴とする在庫管理装置。
【請求項2】
前記商品抽出手段は、前記商品の種類毎、及び前記消費期限毎に、前記消費期限切れ商品を抽出し、
前記通知手段は、前記消費期限の異なる商品の種類毎に、該種類の商品の消費期限、該商品の個数を通知する、
ことを特徴とする請求項1記載の在庫管理装置。
【請求項3】
前記情報更新手段は、前記消費期限切れ商品を表す識別情報を含む情報を対象となる端末装置に送信することにより該消費期限切れ商品を通知する場合に、該端末装置から受信する該識別情報によって特定される、前記情報格納手段に格納された商品情報を更新する、
ことを特徴とする請求項1記載の在庫管理装置。
【請求項4】
販売対象とする商品の在庫を管理する在庫管理装置として用いられるコンピュータに、
前記商品の販売、及び該商品の生産により、情報格納手段に格納された、該商品単位に、該商品を表す識別情報、及び該商品の消費期限を示す期限情報を含む商品情報を更新する情報更新機能と、
前記情報格納手段に格納された商品情報を監視し、前記消費期限が切れることにより廃棄の対象となる消費期限切れ商品を抽出する商品抽出機能と、
前記商品抽出機能により抽出した消費期限切れ商品を対象者に通知するための通知機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項1】
販売対象とする商品の在庫を管理する在庫管理装置において、
前記商品単位に、該商品を表す識別情報、及び該商品の消費期限を示す期限情報を含む商品情報を格納する情報格納手段と、
前記商品の販売、及び該商品の生産により、前記情報格納手段に格納された商品情報を更新する情報更新手段と、
前記情報格納手段に格納された商品情報を監視し、前記消費期限が切れることにより廃棄の対象となる消費期限切れ商品を抽出する商品抽出手段と、
前記商品抽出手段が抽出した消費期限切れ商品を対象者に通知するための通知手段と、
を具備することを特徴とする在庫管理装置。
【請求項2】
前記商品抽出手段は、前記商品の種類毎、及び前記消費期限毎に、前記消費期限切れ商品を抽出し、
前記通知手段は、前記消費期限の異なる商品の種類毎に、該種類の商品の消費期限、該商品の個数を通知する、
ことを特徴とする請求項1記載の在庫管理装置。
【請求項3】
前記情報更新手段は、前記消費期限切れ商品を表す識別情報を含む情報を対象となる端末装置に送信することにより該消費期限切れ商品を通知する場合に、該端末装置から受信する該識別情報によって特定される、前記情報格納手段に格納された商品情報を更新する、
ことを特徴とする請求項1記載の在庫管理装置。
【請求項4】
販売対象とする商品の在庫を管理する在庫管理装置として用いられるコンピュータに、
前記商品の販売、及び該商品の生産により、情報格納手段に格納された、該商品単位に、該商品を表す識別情報、及び該商品の消費期限を示す期限情報を含む商品情報を更新する情報更新機能と、
前記情報格納手段に格納された商品情報を監視し、前記消費期限が切れることにより廃棄の対象となる消費期限切れ商品を抽出する商品抽出機能と、
前記商品抽出機能により抽出した消費期限切れ商品を対象者に通知するための通知機能と、
を実現させるためのプログラム。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図1】
【公開番号】特開2011−76385(P2011−76385A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227396(P2009−227396)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】
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