説明

地下掘進機の円周方向可動型アンテナ

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、地下掘進機の円周方向可動型アンテナに係わり、特には、シールド機械等の外部に生じたボイドを検出する地下掘進機の円周方向可動型アンテナの改良に関する。
(従来の技術)
従来、シールド掘進機20などの地下掘削機においては、地表面沈下防止のために、掘削で生じたボイド21や地山22の中にあるボイド23を検出するのに探査装置を地下掘進機に搭載している。探査装置は地下掘進機の表面近時にアンテナ24を配設し、アンテナ24から電磁波を地山に向けて発信し、ボイドからの反射波をアンテナ24で受信してボイドの有無や大きさ等を検出している。アンテナ24は第4図のように地下掘進機の表面近傍に複数個固設されている。
(発明が解決しようとする課題)
しかしながら、上記従来の地下掘進機の固設されたアンテナによれば、アンテナの検出範囲はアンテナの近傍と、掘進機の前進方向に沿ったアンテナのある位置のみが測定可能位置であり、アンテナの間(E)にボイドがあっても測定が出来ないという問題がある。
本発明は上記問題に着目し、地下堀進機の周囲の広い範囲で測定ができる地下掘進機の円周方向可動型アンテナの提供を目的としている。
(課題を解決するための手段)
上記目的を達成するために、本発明に係わる地下掘進機の円周方向可動型アンテナの第1は、地下掘進機に送受信アンテナを配設し、送信アンテナから地山に電磁波を放射し、受信アンテナで地山の状態を検知する地下掘進機の円周方向可動型アンテナにおいて、地下掘進機2のスキンプレート4aの外周表面近傍上に、円周方向Pに往復動自在な送受信アンテナ11を設けたことを特徴としている。第2に、地下掘進機に送受信アンテナを配設し、送信アンテナから地山に電磁波を放射し、受信アンテナで地山の状態を検知する地下掘進機の円周方向可動型アンテナにおいて、地下掘進機2のスキンプレート4aの外周に円周状の穴を設け、その穴に沿ってガイドバー13を設け、ガイドバー13にガイドされて円周方向Pに往復動自在にした送受信アンテナ11を有し、かつ穴に誘電体6を嵌め込んだことを特徴としている。
(作用)
上記構成によれば、地下掘進機の外周表面の近傍に円周方向可動型アンテナを配設しているので、地下掘進機の周囲の広い範囲で測定ができる。また、アンテナの個数が少なく出来るため、それに付随する制御器も少なくなる。また、構造が簡単になるとともに安価にできる。具体的には次の通り。
第1、第2構成によれば共に、送受信アンテナ11を地下掘進機2のスキンプレート4aの外周表面近傍上に円周方向Pに往復動自在に設けてある。従って、地下堀進機の周囲の広い範囲で測定できる。またアンテナの個数を少なくできるため、それに付随する機器も少なくできる。また構造が簡素化され、コストも安価になる。
第2構成によれば、送受信アンテナ11の往復動自在化は、地下掘進機2のスキンプレート4aの外周に円周状の穴を設け、その穴に沿ってガイバー13を設け、ガイドバー13にガイドされた円周方向pへの往復動で達成される。しかも、この穴には誘電体6が嵌め込まれる。誘電体6は送受信アンテナ11を地山から保護すると共に、送信アンテナ11から地山へ放射される電磁波及び地山から受信アンテナ11へ戻る反射電磁波を透過し、もって高精度検出に寄与する。
(実施例)
以下に、本発明に係わる地下掘進機の円周方向可動型アンテナの実施例につき、図面を参照して詳細に説明する。第1図は本発明の実施例を示す地下掘進機の円周方向可動型アンテナの全体構成図、第2図は第1図の部分拡大図、第3図は第2図のA−A断面図である。第1図は地山1を堀進中のシールド掘進機2を示すもので、前部には図示しないモータによって回転駆動されるカッタヘッド3が配設されており、図示しないシールドジャッキの押圧力によって掘削しながら前進している。シールド掘進機2の本体4の後方のテール部4aでは、通常では、セグメント5が組み立てられ、セグメント5の背面と地山1のテールボイドには裏込め注入によって裏込め材が充填される。シールド掘進機2の本体4のスキンプレート4aの外周面近傍にはアンテナ装置10が配設してある。スキンプレート4aには誘電体6が固設され、誘電体6の内方にはアンテナ装置10の送受信アンテナ11が配設されている。送受信アンテナ11はプレート12に固設され、プレート12はガイドバー13によって円周方向(矢印P方向)に可動可能に架設されている。ガイドバー13の両端13aはスキンプレート4aに固設されている。プレート12にはモータ14が固設され、モータ14には歯車15が固設されている。歯車15はスキンプレート4aの内壁に固設されたラック歯車16と噛み合い、モータ14の駆動によってプレート12を円周方向(矢印P方向)に可動としている。なお、上記実施例では、円周方向(矢印P方向)の可動に歯車15とラック歯車16とを用いたが、摩擦車でも良く、またチェーン、ベルト等を用いても良い。
以上の構成において、次に作動について説明する。掘削によって生じたボイドや地山の中にあるボイドを検出するために、アンテナ装置10を左側端、または右側端まで往復させる。この位置で、送信アンテナ11より電磁波を地山1に向けて発信し、ボイドからの反射波を受信アンテナ11で受信してボイドの有無、大きさ等を検出する。次に、モータ14を回転させてアンテナ装置10を円周方向(矢印P方向)に少し往復動させる。その位置で止め、前と同様にボンドを測定する。これを順次繰り返すことにより、シールド掘進機2の上部を全域に渡り測定することができる。なお、上記説明では止めて測定したが、往復動しながら連続して測定しても良い。また、図示では上部のみを示した本案に捕らわれることなく、どの位置に配置しても良い。さらに、、アンテナ装置10を1個配置したが、2個配置して中心から両方向に向けて可動させ、測定しても良い。
(発明の効果)
以上説明したように、本発明によれば、地下堀進機の外周表面の近傍に円周方向可動型アンテナを配設したので、地下堀進機の周囲の広い範囲で測定ができる。また、アンテナが可動であるのでアンテナの個数が少なく出来るとともに、それに付随する制御器も少なくなり、構造が簡単になるとともにコストも安価にできるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例なる地下掘進機の円周方向可動型アンテナの全体構成図、第2図は第1図の部分拡大図、第3図は第1図のA−A断面図、第4図は従来のアンテナの配置を示す図である。
1:地山、2:シールド掘進機、4:本体、5:セグメント、10:アンテナ装置、11:送受信アンテナ、12:プレート、13:ガイドバー、14:モータ、15:歯車、16:ラック歯車。

【特許請求の範囲】
【請求項1】地下堀進機に送受信アンテナを配設し、送信アンテナから地山に電磁波を放射し、受信アンテナで地山の状態を検知する地下掘進機の円周方向可動型アンテナにおいて、地下掘進機(2)のスキンプレート(4a)の外周表面近傍上に円周方向(P)に往復動自在な送受信アンテナ(11)を設けたことを特徴とする地下掘進機の円周方向可動型アンテナ。
【請求項2】地下掘進機に送受信アンテナを配設し、送信アンテナから地山に電磁波を放射し、受信アンテナで地山の状態を検知する地下掘進機の円周方向可動型アンテナにおいて、地下掘進機(2)のスキンプレート(4a)の外周に円周状の穴を設け、その穴に沿ってガイドバー(13)を設け、ガイドバー(13)にガイドされて円周方向(P)に往復動自在にした送受信アンテナ(11)を設け、かつ穴に誘電体(6)を嵌め込んだことを特徴とする地下掘進機の円周方向可動型アンテナ。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【特許番号】第2852782号
【登録日】平成10年(1998)11月20日
【発行日】平成11年(1999)2月3日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平2−58390
【出願日】平成2年(1990)3月9日
【公開番号】特開平3−259765
【公開日】平成3年(1991)11月19日
【審査請求日】平成9年(1997)3月6日
【出願人】(999999999)株式会社小松製作所
【参考文献】
【文献】特開 平3−260291(JP,A)
【文献】特開 昭62−273393(JP,A)
【文献】特開 昭64−17992(JP,A)
【文献】実開 平1−164389(JP,U)