説明

地下足袋

【課題】長時間着用したときや力強く踏ん張ったとき、足の指間を痛める恐れがなく履き心地のよい地下足袋を提供する。
【解決手段】外側布片11と内側布片12とを縫い合わせて甲布13とし、この甲布13の裾縁を、中底、外底に接合一体化した地下足袋10において、上記甲布13の親指と他の四指間の股割れ部で連続して幅布17を巡らせて縫い合わせ、この幅布17を介して中底18・外底19に接合一体化したもので、上記接合手段として接着の他、縫合と接着を併用することができ、上記幅布17は、踵部分から両側に分かれて土踏まず部分に至る後部幅布17eと、上記股割れ部分から爪先を経て両側に分かれ土踏まず部分に至る前部幅布17tとからなり、上記前部幅布17tは後部幅布17eの上に重なり、重なった幅布17の前方上縁から後方下縁に至る傾斜線に沿って縫合17sされてなり、上記幅布の踵回りと、親指側部と、土踏まず部分と、小指側部を包む部分外面に補強ゴム被覆21を施してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、親指と他の四指との間で股割れ部分を形成し、この股割れ部分に縫い目ができないようにして履き心地をよくした地下足袋に関する。
【背景技術】
【0002】
地下足袋の先行技術として特許文献1がある。
【0003】
【特許文献1】特開昭62−224301号公報(図面および実施例の説明)
【0004】
上記特許文献1の地下足袋は、甲布が内側部分と外側部分とに分かれており、両者が縫合され、縫合された縫い目が親指と他の四指との間にできる股割れ部分に位置しているため履き心地が悪く、力を入れて踏ん張り、また長時間着用していると縫い目の存在によって親指と人差し指との間を擦過して痛めてしまう恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑みこの発明は、長時間着用したときや力強く踏ん張ったとき、足の指間を痛める恐れがなく履き心地のよい地下足袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明は、親指を除く四指の爪先から外側甲部、外側足首部、足首後部を包む外側布片と、親指の爪先から内側甲部、内側足首部、足首後部を包む内側布片とを縫い合わせて甲布とし、この甲布の裾縁を中底・外底に接合一体化した地下足袋において、上記甲布の裾縁に親指と他の四指間の股割れ部で連続して幅布を巡らせて縫い合わせ、この幅布を介して中底・外底に接合一体化した(請求項1)もので、上記接合一体化の手段は、縫合と接着を併用する(請求項2)ことができ、上記幅布は、踵部分から両側に分かれて土踏まず部分に至る後部幅布と、上記股割れ部分から爪先を経て両側に分かれ土踏まず部分に至る前部幅布とからなり、上記前部幅布は後部幅布の上に重なり、重なった幅布の前方上縁から後方下縁に至る傾斜線に沿って縫合されてなる(請求項3)もので、上記幅布の踵回りと、親指側部と、土踏まず部分と、小指側部を包む部分外面に補強ゴム被覆を施してなる(請求項4)ものである。
【発明の効果】
【0007】
上記の如く構成するこの発明に係る地下足袋は、着用したとき足の親指と他の四指との間にできる股割れ部に縫い目が存在しないので履き心地がよく、長時間着用したときや力強く踏ん張ったときでも親指と四指の指股を擦過して痛める恐れがない。また、接合手段として、縫合と接着を併用することにより一層強度を上げることができる。
【0008】
また、幅布を土踏まずの部分で重ね合わせ、その前方上縁から後方下縁に至る傾斜線に沿って縫合することにより、強く踏ん張ったとき、足と地下足袋との一体性が向上して捻挫を防止する効果を発揮する。
【0009】
また、幅布の踵回りと、親指側部と、土踏まず部分と、小指側部を包む部分外面に補強ゴム被覆を施すことにより着用時の一体感が一層向上して長時間の着用にも疲労を感じず捻挫防止効果が一層大きくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。親指を除く四指の爪先から外側甲部、外側足首部、足首後部を包む外側布片11と、親指の爪先から内側甲部から内側足首部、足首後部を包む内側布片12とを縫い合わせて甲布13とし、上記外側布片11の後端に内側布片12の後端に重なる合わせ布片14を縫い合わせ、この合わせ布片14に小ハゼ15を縫い付け、上記内側布片11の後端に撚り糸を縫いつけて小ハゼ掛け16を形成する
【0011】
上記合わせ布片14を含む甲布13の下縁後方(踵部分)から両側に分かれて土踏まず部分まで後部幅布17eを巡らせて縫合し、上記甲布13の下縁前端、股割れ部分から爪先を経て両側に分かれ土踏まず部分まで前部幅布17tを巡らせて縫合し、こうして重なり合った前・後幅布17の前方上縁から後方下縁に向け傾斜線に沿って縫合17sし一体にしている。
【0012】
上記の如く甲布13の下縁に巡らせた幅布の下縁は、中底18と外底19の間に接着剤20と共に差し込まれ、図示しない内型・外型を用いて所定の温度・圧力で、加熱・加圧されて中底18、外底19が一体になるとともに、甲布は幅布17を介して接着一体化されて地下足袋10が完成する。
【0013】
なお、上記製造工程において甲布13と幅布17の下縁を中底18の裏側に曲げ回して縫合し、その上で外底19、甲布13と幅布17の下縁、および中底18とを接着一体化すれば一層強度を大きくすることができる。
【0014】
また、上記中底18、外底19に幅布17を介しての甲布13を接合一体化する工程において、踵回り、親指側部、土踏まず両側部分および小指側部を包む甲布13の外面に補強ゴム被覆21が同時に施される。
【産業上の利用可能性】
【0015】
以上説明したようにこの発明品は、甲布裾縁に幅布を巡らせ、この幅布を介して中底、外底に接合一体化しているので、履き心地が良くなり、長時間着用し、力強く踏ん張ったときでも親指と四指の指股を痛めることがなく、足によくフィットするので捻挫を防止する効果を発揮するもので、新しい市場が開け産業上の利用可能性が極めて高い物である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明に係る地下足袋の前部斜視図
【図2】同後部斜視図
【図3】(a)指股部切り欠き平面図、(b)指股部断面図
【図4】地下足袋の前部分解図
【符号の説明】
【0017】
10 地下足袋
11 外側布片
12 内側布片
13 甲布
14 合わせ布片
15 小ハゼ
16 小ハゼ掛け
17 幅布
17e 後部幅布
17t 前部幅布
17s 縫合
18 中底
19 外底
20 接着剤
21 補強ゴム被覆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親指を除く四指の爪先から外側甲部、外側足首部、足首後部を包む外側布片と、親指の爪先から内側甲部、内側足首部、足首後部を包む内側布片とを縫い合わせて甲布とし、この甲布の裾縁を中底・外底に接合一体化した地下足袋において、前記甲布の裾縁に、親指と他の四指間の股割れ部で連続して幅布を巡らせて縫い合わせ、この幅布を介して中底・外底に接合一体化したことを特徴とする地下足袋。
【請求項2】
上記接合一体化の手段は、縫合と接着を併用したことを特徴とする請求項1に記載の地下足袋。
【請求項3】
上記幅布は、踵部分から両側に分かれて土踏まず部分に至る後部幅布と、上記股割れ部分から爪先を経て両側に分かれ土踏まず部分に至る前部幅布とからなり、前記前部幅布は前記後部幅布の上に重なり、重なった幅布の前方上縁から後方下縁に至る傾斜線に沿って縫合されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の地下足袋。
【請求項4】
上記幅布の踵回りと、親指側部と、土踏まず部分と、小指側部を包む部分外面に補強ゴム被覆を施したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の地下足袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−81583(P2006−81583A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−266540(P2004−266540)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(504347902)
【出願人】(502340745)
【出願人】(596183240)兵庫シューズ株式会社 (1)
【出願人】(504347913)株式会社ダイヨーセンコー (1)
【出願人】(500282427)東レインターナショナル株式会社 (27)
【Fターム(参考)】