説明

地中埋設コンクリートブロックとその施工方法

【課題】既設管のある地中を掘削した掘削孔に据付けることができる地中埋設コンクリートブロックを提供する。
【解決手段】上面部11と左右側面部12,12とを有し、下面に下部開口部13を有するブロック本体1と、下部開口部に設ける下面部2と、ブロック本体1の長さ方向端部に設ける端面部とを備え、この端面部を上端面部21と下端面部22に分割し、上端面部21の下縁21Aに既設管4を挿通する端面凹部24を設ける。これにより掘削孔5に既設管4がある場合でも、ブロック本体1の下部が開口しているため、その下部開口部13に既設管4を通すようにしてブロック本体1を掘削孔5の底部に設置し、設置後、下部開口部13に下面部2を設けることができる。しかも、端面凹部24に既設管4を挿通するようにして上端面部21をブロック本体に接合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中埋設コンクリートブロックとその施工方法に関し、電力線や通信線などのケーブルなどを収納する地中埋設コンクリートブロックとその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、既設の道路に沿って共同溝を敷設し、その中に電線や通信線を通して電線などを地中化する工事が盛んに行われており、分岐用などとして適当なピッチでコンクリート製のボックス(例えば特許文献1)が施工されている。また、上壁と、底壁と、側壁とを有するコンクリートブロックであって、さらに、前記上壁を貫通する切欠きまたは貫通孔であって、当該コンクリートブロックを設置する際に吊るためのロープまたは当該ロープを吊り下げるフックが通過する程度のサイズの切欠きまたは貫通孔と、前記ロープを当該コンクリートブロックの内側から取り付けるように設置された取付具またはその取付具を固定するアンカーとを有するコンクリートブロック(例えば特許文献2)が提案され、このコンクリートブロックでは、マンホールのないコンクリートブロックであっても吊り代が短く、周りの障害物を取り除かなくても吊り込みが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−136543号公報
【特許文献2】特開2004−285568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2のコンクリートブロックでは、周りの障害物を取り除かなくても吊り込みが容易となる。ところで、地中には水道管,ガス管,通信線等を収納した管などの各種の既設管が埋設されており、既設管のある場所では既設管が邪魔になって新設のコンクリートブロックを据付けることが困難であった
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、既設管のある地中を掘削した掘削孔に据付けることができる地中埋設コンクリートブロックとその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、上面部と左右側面部とを有し、下面に下部開口部を有するブロック本体と、前記下部開口部に設ける下面部と、前記ブロック本体の長さ方向端部に設ける端面部とを備え、前記端面部を上端面部と下端面部に分割し、前記上端面部の下縁に既設管を挿通する端面凹部を設けたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る発明は、前記下部開口部に着脱可能に設ける左右方向の間隔保持材を備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る発明は、複数の前記ブロック本体を長さ方向に接合し、長さ方向に隣合う左右側面部の接合縁に、既設管を挿通する側面凹部を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る発明は、前記下端面部の上縁と側縁に吊り受具を設けたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る発明は、請求項1記載の地中埋設コンクリートブロックの施工方法において、既設管が埋設された地中を掘削して掘削孔を形成する掘削工程と、前記ブロック本体を吊り上げ、前記既設管を下部開口部に通して該ブロック本体を掘削孔の底部に設置し、設置後、前記下部開口部に前記下面部を設けるブロック本体の据付工程と、前記下端面部を吊り上げ、前記既設管の下部に配置した後、前記ブロック本体の端部に接合し、前記上端面部を吊り上げ、前記端面凹部に前記既設管を挿通して該上端面部を前記ブロック本体と前記下端面部に接合し、前記端面凹部を塞ぐ端面部の据付工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る発明は、前記下部開口部に左右方向の間隔保持材を取り付け、前記下部開口部に前記既設管を通す前に前記間隔保持材を取り外すことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る発明は、前記下部開口部に前記既設管を通した後、前記下部開口部に前記間隔保持材を取り付け、コンクリートを打設して前記下面部を形成することを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に係る発明は、前記ブロック本体を設置する前に、前記下端面部を前記掘削孔の長さ方向側面の底部に仮置きすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に記載の地中埋設コンクリートブロックによれば、掘削孔に既設管がある場合でも、ブロック本体の下部が開口しているため、その下部開口部に既設管を通すようにしてブロック本体を掘削孔の底部に設置し、設置後、下部開口部に下面部を設けることができる。しかも、長さ方向端部においては、下端面部を既設管の下部でブロック本体の端面に接合し、端面凹部に既設管を挿通するようにして上端面部をブロック本体に接合することができる。
【0014】
また、本発明の請求項2に記載の地中埋設コンクリートブロックによれば、間隔保持材により左右側面部の下部間の変形を防止できる。
【0015】
また、本発明の請求項3に記載の地中埋設コンクリートブロックによれば、既設管が分岐管を有し、平面略T字状に配管されている場合でも、側面凹部に分岐管を通すことができる。
【0016】
また、本発明の請求項4に記載の地中埋設コンクリートブロックによれば、上縁の吊り受具により吊り上げ、狭い掘削孔内において、側縁の吊り受具を用いて、吊り上げ状態の下端面部を旋回して既設管の下部に配置することができる。これによりコンクリートブロックに対して掘削孔を必要以上に大きく形成する必要がなくなる。
【0017】
また、本発明の請求項5に記載の地中埋設コンクリートブロックの施工方法によれば、掘削孔に既設管がある場合でも、プレキャストコンクリート製のブロック本体と端面部に既設管を通して設置することができる。
【0018】
また、本発明の請求項6に記載の地中埋設コンクリートブロックの施工方法によれば、設置前の下部開口部の変形を防止できる。
【0019】
また、本発明の請求項7に記載の地中埋設コンクリートブロックの施工方法によれば、コンクリートを打設するまで下部開口部の変形を防止でき、さらに、間隔保持材が下面部のコンクリートの補強材となる。
【0020】
また、本発明の請求項8に記載の地中埋設コンクリートブロックの施工方法によれば、ブロック本体を設置する前のスペースのある掘削孔に予め下端面部を仮置きすることにより、下端面部の吊下ろし作業を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施例の実施例1を示す施行途中の掘削孔の断面図である。
【図2】同上、ブロック本体と端面版を据付後で埋戻し前の掘削孔の断面図である。
【図3】同上、ブロック本体の要部の拡大断面図である。
【図4】同上、下端面部の据付工程を説明する断面図である。
【図5】同上、ブロック本体の据付工程を説明する断面図であり、ブロック本体を吊り下ろす状態を示す。
【図6】同上、ブロック本体の据付工程を説明する断面図であり、ブロック本体を掘削孔の底部に載置下状態を示す。
【図7】同上、上端面部の据付工程を説明する断面図である。
【図8】本実施例の実施例2を示す斜視図である。
【図9】同上、ブロック本体と端面版を据付後で埋戻し前の掘削孔の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。各実施例では、従来とは異なる新規な構成を採用することにより、従来にない機能を付加した地中埋設コンクリートブロックとその施工方法が得られ、その地中埋設コンクリートブロックとその施工方法を夫々記述する。
【実施例1】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施例1について説明する。図1〜図7に示すように、本実施例の地中埋設コンクリートブロックは、例えば内部でケーブルなどを接続する接続枡として使用され、プレキャストコンクリート製のブロック本体1と、現場打ちコンクリート又はプレキャストコンクリート製の下面部2と、プレキャストコンクリート製で板状をなす端面部3とを有する。
【0024】
また、地中埋設コンクリートブロックは、既設管4が埋設された地中に設置され、その地中を開削して掘削孔5を形成する。尚、前記既設管4には、水道管やガス管などが例示される。
【0025】
前記ブロック本体1は、上面部11と左右側面部12,12とを有し、これら左右側面部12,12の下部間に下部開口部13を有し、この下部開口部13に前記下面部2が設けられる。前記左右側面部12の下部内面には、内側に膨出する肉厚部14を設け、この肉厚部14の内面14Aにインサート成形によりナット体15を埋設固定し、前記肉厚部14の上部には、肉厚部14を上方に向かって徐々に薄くする傾斜面14Bが設けられている。尚、下部開口部13は複数の既設管4,4を下方から挿通可能な間隔を有する。
【0026】
前記下部開口部13には、溝形鋼などからなる間隔保持材16が複数(3箇所)設けられ、これら間隔保持材16は圧縮力に対向する梁であって、ブロック本体1の左右方向に配置され、図3に示すように、その間隔保持材16の端部には、板材からなる連結部17を設け、この連結部17に連結手段であるボルト18を挿通し、このボルト18を前記ナット体15に螺合することにより、下部開口部13に取付けられる。また、前記間隔保持材16の少なくとも一方の端部には、必要に応じて、板材などからなるスペーサ19が設けられ、このスペーサ19は前記連結部17と前記内面14Aとの間に挿入され、前記ボルト18が挿通される。そして、間隔保持材16にスペーサ19を用いることにより、左右の内面14A,14A間の寸法に合わせるように調整することができる。
【0027】
前記端面部3は、ブロック本体1の長さ方向の端部を塞ぐものであって、上下に分割された上端面部21と下端面部22とからなり、この下端面部22は前記既設管4の下部に設置される。また、上端面部21の下縁21Aには、前記既設管4を挿通する端面凹部24が切欠き状に形成され、この端面凹部24は下部が開口し、その端面凹部24の左右には下縁21Aが残されている。
【0028】
さらに、前記下端面部22の上縁22Aには複数の吊り受具25を設け、この吊り受具25は上縁22Aの左右方向中央と両側に設けられている。また、前記下端面部22の側縁22Bの上部には、吊り受具25が設けられている。前記吊り受具25は、凹部に金具が収納されたデーハアンカなどが用いられる。また、前記上面部11には、複数の吊り受具25が設けられ、前記上端面部21の上縁には、複数の吊り受具25が設けられている。
【0029】
また、前記側面部12,12及び端面部3,3の適宜箇所には、それら側面部12,12及び端面部3,3の内外面に凹部を形成してなる薄肉部34が複数形成され、これら薄肉部34は、削ったり打ち破ったりして開口するノックアウト部である。
【0030】
図1及び図3などに示すように、前記掘削孔5は、ブロック本体1の長さ方向の左右壁面5A,5Aと、ブロック本体1の左右方向の前後壁部5B,5Bを備え、平面略長方形形状をなし、左右壁面5A,5Aの間隔は、前記端面部3の左右方向幅の1.5倍以下とすることができる。また、前記掘削孔5の高さ方向中央側で、前記前後壁面5B,5B間に前記既設管4が横架されている。
【0031】
また、前記掘削孔5の底面5Cには、該底面5Cの中央に本体基礎31が設けられ、この本体基礎31は、砕石により形成した透水性を有する基礎砕石層32と、この基礎砕石層32の上に設けたコンクリート版などからなる敷板33とからなり、モルタルにより形成された敷きモルタル34が設けられ、この敷きモルタル34の上面35が高さの基準になる基準面に形成されている。
【0032】
次に、前記地中埋設コンクリートブロックの施工方法について説明する。上述したように掘削孔5を開削(掘削工程)し、この掘削孔5の底面5Cに本体基礎31を形成する。掘削孔5を形成した後、図4に示すように、端面部3の据付工程として、吊り受部25にフックなどの吊り具(図示せず)を係止し、この吊り具に連結した吊り条41により下端面部22を吊り上げる。既設管4と左右側面5Bとの間隔K,K´は、下端面部22の左右幅より狭く、間隔Kに対応する既設管4と左右側面5Bとの図中右側の間から、下端面部22を掘削孔5の長さ方向に合わせて吊り下ろす。この場合、間隔Kは掘削孔5の左右幅の1/2以上あり、下端面部22を既設管4の下方に吊り下ろしたら、中央の吊り受具25に連結した吊り索41を中心に、ほぼ90度回転し、図1に示すように、前後側面5Aに立掛けた状態で底面5Cに仮置きする。このよう下端面部22を回転する場合、側部上方に位置する側縁22Bの吊り受具25に、吊り索41を連結し、この吊り索41により下端面部22を回すようにしてもよい。上記は、本体基礎31の施工後における下端面部22の吊り上げ・仮置き作業を説明したが、本体基礎31を形成する前、或いは施工中に下端面部22を仮置きしてもよく、この場合、一方の間隔K,K´から下端面部22を底面5Cに吊り下ろし、底面5Cにおいて下端面部22を回しながら移動し、前後側面5Aに立掛けた状態で底面5Cに仮置きすることができる。
【0033】
このように両側の下側面部22,22を前後側面5B,5B側に仮置きした後、ブロック本体1の据付け(ブロック本体の据付工程)を行う。このブロック本体1には、工場で間隔保持材16が取付られており、設置まで下部の寸法が保持されている。そして、図6に示すように、地面に載置部材である角材42,42などを置き、これら角材42,42に肉厚部14,14の下面を載置してブロック本体1を仮置きしておく。ブロック本体1の据付工程において、吊り下ろし作業では、下部開口部13に既設管4を通すため、この前に間隔保持材16を取り外しておき、好ましくは、吊り上げ前で仮置きした状態で、全ての間隔保持材16を取り外す。吊り受具25と吊り索41を用いてブロック本体1を吊り上げ、下部開口部13に既設管4を通すようにして本体基礎31の所定位置に吊り下し、設置する。下部開口部13に既設管4を通した後、好ましくは本体基礎31に設置した後、再度、下部開口部13に間隔保持材16を取付ける。
【0034】
このようにして本体基礎31にブロック本体1を設置した後、端面部3の据付工程として、吊り受具25と吊り索41を用いて下端面部22,22をブロック本体1の長さ方向端面に接合し、この接合にはボルト51が用いられる。前記下端面部22,22とブロック本体1との接合と前記間隔保持材16の取付が終り、且つ下端面部22の薄肉部26及びこの下部端面部22の上縁22Aの高さ位置より下方の薄肉部26を用いた配管(図示せず)が終了したら、下部端面部22の上縁22Aの高さ位置より下方の掘削孔5を埋め戻すことができる。この場合、下面部2の完成前、即ち、下面部2がプレキャストコンクリート製の場合は、下部開口部13に下面部2を設ける前、下面部2を現場打ちコンクリートにより形成する場合は、現場打ちコンクリートを打設する前、又は、打設した現場打ちコンクリートが所定の強度になる前でも、間隔保持材16が切り梁となるため、埋戻しにより左右側面部12,12に土圧が加わっても下部開口部13の寸法が保持される。
【0035】
また、下端面部22をブロック本体1に接合した後、吊り受具25と吊り索41を用いて上端面部21を吊上げ、端面凹部24に既設管4を収納するように上端面部21の下縁21Aを下端面部22の上縁22Aに接合し、さらに、上端面部21をブロック本体1の長さ方向端面に接合し、これら接合にはボルト51が用いられる。
【0036】
さらに、下面部2の施行において、現場打ちコンクリートを用いる場合は、早強ポルトランドセメントを配合したコンクリートを用い、複数の前記間隔保持材16上に、補強材たるワイヤメッシュ43を配置した後、下部開口部13にコンクリート52を打設して下面部2を形成する。このようにコンクリート52内にワイヤメッシュ53を埋設することにより下面部2のコンクリート52におけるヒビ割れを防止することができる。
【0037】
また、既設管4を挿通した端面凹部24の内外面に型枠パネル(図示せず)を配置し、早強ポルトランドセメントを配合した現場打ちコンクリート52を打設し、端面凹部24をコンクリート52により塞ぐ。
【0038】
端面凹部24のコンクリートが硬化して所定の強度になったら、掘削孔5を埋め戻すことができる。尚、外面側の型枠パネルが土圧に対抗する強度を持つ場合は、コンクリート52が硬化する前に掘削孔5を埋め戻すことができる。
【0039】
このように本実施例では、請求項1に対応して、上面部11と左右側面部12,12とを有し、下面に下部開口部13を有するブロック本体1と、下部開口部13に設ける下面部2と、ブロック本体1の長さ方向端部に設ける端面部3,3とを備え、端面部3を上端面部21と下端面部22に分割し、上端面部21の下縁21Aに既設管4を挿通する端面凹部24を設けたから、掘削孔5に既設管4がある場合でも、ブロック本体1の下部が開口しているため、その下部開口部13に既設管4を通すようにしてブロック本体1を掘削孔5の底部に設置し、設置後、下部開口部13に下面部2を設けることができる。しかも、長さ方向端部においては、下端面部22を既設管4の下部でブロック本体1の端面に接合し、端面凹部24に既設管4を挿通するようにして上端面部21をブロック本体に接合することができる。
【0040】
また、このように本実施例では、請求項2に対応して、下部開口部13に着脱可能に設ける左右方向の間隔保持材16を備えるから、間隔保持材16により左右側面部12,12の下部間の変形を防止できる。
【0041】
また、このように本実施例では、請求項4に対応して、下端面部21の上縁22Aと側縁22Bに吊り受具25を設けたから、上縁22Aの吊り受具25により吊り上げ、狭い掘削孔5内において、側縁22Bの吊り受具25を用いて、吊り上げ状態の下端面部22を旋回して既設管4の下部に配置することができる。これによりコンクリートブロックに対して掘削孔5を必要以上に大きく形成する必要がなくなる。
【0042】
また、このように本実施例では、請求項5に対応して、請求項1記載の地中埋設コンクリートブロックの施工方法において、既設管4が埋設された地中を掘削して掘削孔5を形成する掘削工程と、ブロック本体1を吊り上げ、既設管4を下部開口部13に通して該ブロック本体1を掘削孔5の底部に設置し、設置後、下部開口部13に下面部2を設けるブロック本体の据付工程と、下端面部22を吊り上げ、既設管4の下部に配置した後、ブロック本体1の端部に接合し、上端面部21を吊り上げ、端面凹部24に既設管4を挿通して該上端面部22をブロック本体1と下端面部22に接合し、端面凹部24を塞ぐ端面部3の接合工程とを備えるから、掘削孔5に既設管4がある場合でも、プレキャストコンクリート製のブロック本体1と端面部3に既設管4を通して設置することができる。
【0043】
また、このように本実施例では、請求項6に対応して、下部開口部13に左右方向の間隔保持材16を取り付け、下部開口部13に既設管4を通す前に間隔保持材16を取り外すから、設置前の下部開口部13の変形を防止できる。
【0044】
また、このように本実施例では、請求項7に対応して、下部開口部13に既設管4を通した後、下部開口部13に間隔保持材16を取り付け、コンクリート52を打設して下面部2を形成するから、コンクリート52を打設するまで下部開口部13の変形を防止でき、さらに、間隔保持材16が下面部2のコンクリート52の補強材となる。
【0045】
また、このように本実施例では、請求項8に対応して、ブロック本体1を設置する前に、下端面部22を掘削孔5の幅方向側面である前後側面5Bの底部に仮置きするから、ブロック本体1を設置する前のスペースのある掘削孔5に予め下端面部22を仮置きすることにより、下端面部22の吊下ろし作業を簡便に行うことができる。
【0046】
また、実施例上の効果として、上端面部21の下縁21Aには、該下縁21Aの途中を開口するようにして端面凹部24が形成され、この端面凹部24の左右には下縁21Aが残されているため、下端面部22の上縁22Aと上端面部21の下縁21Aとを接合して両者間の取付寸法精度を確保することができる。また、吊り受具25が上縁22Aの左右方向中央と両側に設けられているから、吊下げ状態で中央の吊り受具25を用いて容易に旋回することができる。また、複数の前記間隔保持材16上に、補強材たるワイヤメッシュ43を配置した後、下部開口部13にコンクリート52を打設して下面部2を形成し、このようにコンクリート52内にワイヤメッシュ53を埋設することにより下面部2のコンクリート52におけるヒビ割れを防止することができる。また、下面部2に他の鉄筋を配筋してからコンクリート52を打設してもよく、埋設された前記間隔保持材16は鉄筋と同様にコンクリートの強度に貢献する。
【実施例2】
【0047】
図8及び図9は、本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述する。この例では、2つの前記ブロック本体1,1を長さ方向に接合し、これら2つのブロック本体1,1の長さ方向端面に、前記端面部3,3を接合している。尚、図9の斜視図では、薄肉部26などを図示省略している。
【0048】
この例では、前記既設管4は既設の分岐管4Aを有し、これら既設管4と分岐管4Aは掘削孔5内において、略T字状に配管されている。前記ブロック本体1には、隣合うブロック本体1と接合する側面部12の接合縁12Fに、前記分岐管4Aを挿通する側面凹部61を形成する。この側面凹部61は切欠き状に形成され、この側面凹部61は接合縁12F側が開口し、その側面凹部61の上下には接合縁12Aが残されている。
【0049】
そして、実施例1と同様にブロック本体1,1を設置し、この際、一方のブロック本体1の側面凹部61と他方のブロック本体1の接合縁12F間に分岐管4Aを通すようにし、一方のブロック本体1は分岐管4Aに触れないように下しながら、本体基礎31の近傍で他方のブロック本体1に近付けるようにして据え付ける。尚、一方のブロック本体1を本体基礎31に下した後、適宜手段により他方のブロック本体1に近付けるようにしてもよい。
【0050】
また、前記分岐管4Aを通した側面凹部61は前記コンクリート52を打設して塞ぐ。
【0051】
尚、側面凹部61は、側面部の下端まで開口するようにしてもよいが、側面部12の接合縁12Fに部分的に形成することにより、側面開口部61の上部と下部に接合縁12Fがあるため、隣合うブロック本体1との接合における寸法精度を確保することができる。
【0052】
このように本実施例では、請求項1に対応して、上面部11と左右側面部12,12とを有し、下面に下部開口部13を有するブロック本体1と、下部開口部13に設ける下面部2と、ブロック本体1の長さ方向端部に設ける端面部3,3とを備え、端面部3を上端面部21と下端面部22に分割し、上端面部21の下縁21Aに既設管4を挿通する端面凹部24を設けたから、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。
【0053】
また、このように本実施例では、請求項3に対応して、複数のブロック本体1,1を長さ方向に接合し、長さ方向に隣合う左右側面部12,12の接合縁12F,12Fに、既設管4を挿通する側面凹部61を設けたから、既設管4が分岐管4Aを有し、平面略T字状に配管されている場合でも、側面凹部61に分岐管4Aを通すことができる。
【0054】
また、実施例上の効果として、側面部12の接合縁12Fには、側面部12の接合縁12Fの途中を開口するようにして側面凹部61が形成され、この側面凹部61の上下には接合縁12Fが残されているため、隣合う側面部12,12同士を接合して両者間の取付寸法精度を確保することができる。
【0055】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、ブロック本体の据付工程と端面部の据付工程は部分的に平行して行うことができる。また、実施例1において、実施例2と同様に複数のブロック本体を長さ方向に接合してもよい。また、実施例では、平板状の端面部を示したが、端面部に、ブロック本体より短い上面部と左右側面部を設けてもよい。さらに、端面凹部及び側面凹部の対応部分に薄肉部を形成し、この薄肉部を現場で削ったり打ち破ったりして端面凹部及び側面凹部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 ブロック本体
2 下面部
3 端面部
4 既設管
5 掘削孔
5B 前後側面(幅方向側面)
12 左右側面部
12F 接合縁
13 下部開口部
16 間隔保持材
21 上端面部
21A 下縁
22 下端面部
22A 上縁
22B 側縁
24 端面凹部
25 吊り受具
41 吊り索
52 コンクリート
61 側面凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面部と左右側面部とを有し、下面に下部開口部を有するブロック本体と、
前記下部開口部に設ける下面部と、
前記ブロック本体の長さ方向端部に設ける端面部と、
を備え、
前記端面部を上端面部と下端面部に分割し、前記上端面部の下縁に既設管を挿通する端面凹部を設けたことを特徴とする地中埋設コンクリートブロック。
【請求項2】
前記下部開口部に着脱可能に設ける左右方向の間隔保持材を備えることを特徴とする請求項1記載の地中埋設コンクリートブロック。
【請求項3】
複数の前記ブロック本体を長さ方向に接合し、長さ方向に隣合う左右側面部の接合縁に、既設管を挿通する側面凹部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の地中埋設コンクリートブロック。
【請求項4】
前記下端面部の上縁と側縁に吊り受具を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の地中埋設コンクリートブロック。
【請求項5】
請求項1記載の地中埋設コンクリートブロックの施工方法において、
既設管が埋設された地中を掘削して掘削孔を形成する掘削工程と、
前記ブロック本体を吊り上げ、前記既設管を下部開口部に通して該ブロック本体を掘削孔の底部に設置し、設置後、前記下部開口部に前記下面部を設けるブロック本体の据付工程と、
前記下端面部を吊り上げ、前記既設管の下部に配置した後、前記ブロック本体の端部に接合し、前記上端面部を吊り上げ、前記端面凹部に前記既設管を挿通して該上端面部を前記ブロック本体と前記下端面部に接合し、前記端面凹部を塞ぐ端面部の据付工程と、
を備えることを特徴とする地中埋設コンクリートブロックの施工方法。
【請求項6】
前記下部開口部に左右方向の間隔保持材を取り付け、前記下部開口部に前記既設管を通す前に前記間隔保持材を取り外すことを特徴とする請求項5記載の地中埋設コンクリートブロックの施工方法。
【請求項7】
前記下部開口部に前記既設管を通した後、前記間隔保持材を取り付け、コンクリートを打設して前記下面部を形成することを特徴とする請求項6記載の地中埋設コンクリートブロックの施工方法。
【請求項8】
前記ブロック本体を設置する前に、前記下端面部を前記掘削孔の長さ方向側面の底部に仮置きすることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の地中埋設コンクリートブロックの施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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