説明

地中埋設箱

【課題】安価に製作可能で、しかも保管性、輸送性、施工性に優れた地中埋設箱を提供する。
【解決手段】底面パネル11Lと上面パネル11Uと4枚の側面パネル11Sとを備え、少なくとも4枚の側面パネル11Sとして、軽量セメントからなるパネル本体と、パネル本体の表面に一体に被覆した合成樹脂からなる表面樹脂層と、表面樹脂層に埋設状に設けた表面補強シートとを備えた軽量セメントパネルを用いた。地中埋設箱10を構成する6枚のパネル11を予め工場等において製作して、地中埋設箱10をパネル11の状態で工場等に保管し、必要に応じてパネル11の状態で施工現場へ輸送して、施工現場において箱状に組み立てることができるので、工場での保管スペースを小さくでき、しかも現場への輸送時に、大型車での搬入が不要で、輸送コストを削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば弱電線や光ケーブル、情報ケーブル、通信線などの地中埋設管同士を接続するマンホールやハンドホールなどの地中埋設箱に関する。
【背景技術】
【0002】
地中埋設管同士を接続するマンホールやハンドホールなどの地中埋設箱としては、鉄筋コンクリート製のものが広く実用化されている。通常、この鉄筋コンクリート製の地中埋設箱は、工場において製作して、これを現場へ輸送して施工しているが、中空の嵩高な構造物なので工場における保管性や現場への輸送性があまりよくないこと、大きさにもよるが、例えば500kg〜2000kgもの重量物なので、施工部位への据付作業にどうしても重機が必要になり、施工作業が大掛かりなものになること、鉄筋コンクリートで構成しているので、任意の位置に地中埋設管を接続するためのダクト口を形成できないこと、などの問題があった。
【0003】
そこで、ハンドホールとして、アングル材を直方体状に組み立ててなる骨格と、この骨格の6面に固定されるパネル材とを備え、施工現場において骨格を組み立てるとともに、組み立てた骨格にパネル材を固定することで、施工可能となしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−30044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記特許文献1記載のハンドホールにおいても、側面パネルとして、ポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂パネルや、発泡ウレタンをFRP板で挟んだ複合パネルや、SMC(シートモールディングコンパウンド)や、レジンコンクリート製のパネルを用いているので、パネルの製作コストが高くなること、パネルを十分に軽量に構成できず、人手による施工作業時に多大な労力を要すること、などの問題があった。
【0006】
本発明の目的は、安価に製作可能で、しかも保管性、輸送性、施工性に優れた地中埋設箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る地中埋設箱は、底面パネルと上面パネルと4枚の側面パネルとを備え、少なくとも4枚の側面パネルとして、軽量セメントからなるパネル本体と、パネル本体の表面に一体に被覆した合成樹脂からなる表面樹脂層と、表面樹脂層に埋設状に設けた表面補強シートとを備えた軽量セメントパネルを用いたものである。
【0008】
この地中埋設箱では、例えば施工現場において、4枚の側面パネルを角筒状に組み立てるとともに、その上下両側に上面パネルと底面パネルを固定して地中埋設箱を組み立てることができる。したがって、地中埋設箱を構成する6枚のパネルを予め工場等において製作して、地中埋設箱をパネルの状態で工場等に保管し、必要に応じてパネルの状態で施工現場へ輸送できるので、工場での保管スペースを小さくでき、しかも現場への輸送時に、大型車での搬入が不要で、輸送コストを削減できる。また、施工現場では、パネルを結合して組み立てるだけでよいので、現場における施工作業を大幅に軽減できる。更に、少なくとも4枚の側面パネルは、軽量セメントからなるパネル本体の表面に合成樹脂からなる表面樹脂層を一体に被覆し、この表面樹脂層に表面補強シートを埋設状に設けたものであり、軽量に構成できるので、人手による側面パネルの持ち運びや現場への施工時における作業者の負担を大幅に軽減できる。しかも、施工現場での養生時間が不要であり工期を短縮できる。また、鉄筋コンクリート製の地中埋設箱と比較して、大きさの異なる軽量セメントパネルを容易に製作できるので、特殊サイズの地中埋設箱にも容易に対応でき、各サイズのキットを在庫することにより、受注から出荷までの納期を短縮することができる。また、このような軽量セメントパネルは、加工性が良いので、例えば現場において側面パネルの任意の位置にダクト口を形成することが可能となる。更に、軽量セメントパネルの表面を合成樹脂からなる表面樹脂層により被覆しているので、パネル表面からの吸水が防止され、吸水による重量増加や強度の低下といった問題を防止できる。更にまた、表面樹脂層に埋設状に設けた表面補強シートにより、軽量セメントパネルの曲げや捩じりに対する強度剛性を一層向上でき、しかもパネル表面の損傷も効果的に防止できる。尚、底面パネル及び上面パネルに関しても、側面パネルと同様に、軽量セメントパネルで構成することができる。
【0009】
前記パネル本体が、セメント、水、補強繊維及び起泡剤をプレフォームした泡を混練した混練物を、密閉したセメント用成形型内に充填し、養生固化した多孔質成形体からなり、該成形体中に前記補強繊維及び泡を分散状態で含有してなり、比重が0.5〜2.0の範囲内、さらには0.5〜1.0の範囲内であることが好ましい実施の形態である。このような構成のパネル本体は、鋸等で容易に加工することができ、現場合わせでの寸法調整も容易なので、パネル製造時や組付時における取扱性を向上できる。また、パネル本体を多孔質成形体で構成しているので、パネル本体における断熱性及び保温性を一層向上することができ、しかも軽量セメントパネルを極力軽量に構成することができる。また、パネル本体は、それに分散状態で含有した補強繊維の絡み合いにより補強された構造を有することから、高強度であるし、釘打ち等も可能で加工性、施工性に優れる。
【0010】
前記混練物中に、セメント100重量部に対して、前記補強繊維を0.5〜5重量部を配合してなるものが好ましい。このように構成することで、成形体中に分散状態で含有する補強繊維の絡み合いによる補強構造が形成され、軽量セメント板の強度剛性を向上できる。また、補強繊維としては、ポリビニルアルコール繊維、即ちビニロンが好ましい。前記補強繊維の繊維長は、4〜35mmの範囲であることが好ましい。
【0011】
前記表面補強シートとして、織布又は不織布を用いることができる。特に、前記表面補強シートとして、目付50〜1000g/m2のガラス繊維製の不織布を用いることが好ましい。このようなガラス繊維製の不織布は、安価に入手可能で、しかも軽量セメントパネルの強度剛性を大幅に向上できるので好ましい。
【0012】
前記軽量セメントパネルの表面を非発泡合成樹脂からなる表面保護シートで一体に被覆することも好ましい実施の形態である。このように構成すると、軽量セメントパネルの表面からの吸水を一層効果的に防止でき、しかもパネル表面の破損等を一層効果的に防止できるので好ましい。
【0013】
前記隣接する側面パネルの接続部分の内側にアングル材を高さ方向の全長にわたって固定することもできる。また、前記隣接する側面パネルの接続部分の外側にアングル材を高さ方向の全長にわたって固定することもできる。これらの場合には、アングル材により側面パネル同士の結合強度を高めて、地中埋設箱の強度剛性を一層向上することができる。また、外側のアングル材により、他物と接触することによる側面パネルの側縁の破損を防止することができる。
【0014】
前記底面パネルの上面外周縁に側面パネルの下端部を固定する嵌合溝を設けたり、前記上面パネルの下面外周縁に側面パネルの上端部を固定する嵌合溝を設けたりすることもできる。このように、底面パネルに嵌合溝を形成すると、該嵌合溝に側面パネルの下端部を差し込んで底面パネルの周囲に側面パネルを立て込むようにして、4枚の側面パネルを筒状に組み立てることで、底面パネルと側面パネルとの位置合わせ、組み立て作業などが容易になるとともに、底面パネルと側面パネルとの接合部の強度や防水性も向上する。また、上面パネルに嵌合溝を形成すると、底面パネル上に組み立てた4枚の側面パネルに、該側面パネルの上縁が嵌合溝に嵌合するように、側面パネルに対してその上側から上面パネルを移載することで、上面パネルと側面パネルとの位置合わせ、組み立て作業などが容易になるとともに、上面パネルと側面パネルとの接合部の強度や防水性も向上する。特に、上面パネル及び底面パネルとして、嵌合溝をそれぞれ形成したものを用いると、両パネルにより4枚の側面パネルを筒状に保持できるので、地中埋設箱の強度剛性を容易に向上できる。また、前記底面パネルや上面パネルとして、金属製や鉄筋コンクリート製のものを用いることで、地中埋設箱の強度を十分に確保できる。
【0015】
前記地中埋設箱を構成する6枚のパネルにおける隣接するパネル間に吸水膨張性材料からなる防水材を介装したり、前記地中埋設箱を構成するパネル間にシーリング材を介装したりすることも好ましい。このように構成すると、パネル間の隙間を防水材やシーリング材により封止して、該隙間を通って地中埋設箱内へ雨水等が浸入することを効果的に防止できる。つまり、軽量セメントパネルの木口面はどうしてもその表面性を高めることが困難で、隣接する軽量セメントパネル同士の接続部分には隙間が形成されやすいが、本発明のように吸水膨張性材料からなる防水材を設けると、パネル間の隙間に浸入した雨水や地下水等により防水材が膨張して、確実なシール性能を確保でき、またやシーリング材を設けると、軽量セメントパネルのように木口に凹凸が形成されている場合でも、該凹凸に沿ってシーリング材が充填されることで、十分なシール性能を確保できる。特に、前述のように上面パネルや底面パネルに嵌合溝を形成する場合には、嵌合溝内にシーリング材を充填してから、側面パネルを嵌合溝に嵌合させることで、シーリング材により、パネル間をシールするとともにパネル同士を結合できるので、ボルトやタップネジなどを用いることなく、地中埋設箱を組み立てることも可能となるので、組み立て作業が一層容易になり、しかも部品点数を少なくできる。
【0016】
前記地中埋設箱の底部に外方へ突出して、地下水圧による地中埋設箱の浮上を防止するアンカー材を埋設状に設けることが好ましい実施の形態である。本発明の地中埋設箱は軽量であることから、大雨などにより地下水位が上昇すると浮上することが考えられる。このため本発明のようにアンカー材を設けることで、これを防止することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る地中埋設箱によれば、地中埋設箱を構成する6枚のパネルを予め工場等において製作して、地中埋設箱をパネルの状態で工場等に保管し、必要に応じてパネルの状態で施工現場へ輸送できるので、工場での保管スペースを小さくでき、しかも現場への輸送時に、大型車での搬入が不要で、輸送コストを削減できる。また、施工現場では、パネルを結合して組み立てるだけでよいので、現場における施工作業を大幅に軽減できる。更に、少なくとも4枚の側面パネルは、軽量セメントからなるパネル本体の表面に合成樹脂からなる表面樹脂層を一体に被覆し、この表面樹脂層に表面補強シートを埋設状に設けたものであり、軽量に構成できるので、人手による側面パネルの持ち運びや現場への施工時における作業者の負担を大幅に軽減できる。しかも、施工現場での養生時間が不要であり工期を短縮できる。また、鉄筋コンクリート製の地中埋設箱と比較して、大きさの異なる軽量セメントパネルを容易に製作できるので、特殊サイズの地中埋設箱にも容易に対応でき、各サイズのキットを在庫することにより、受注から出荷までの納期を短縮することができる。また、このような軽量セメントパネルは、加工性が良いので、例えば現場において側面パネルの任意の位置にダクト口を形成することが可能となる。更に、軽量セメントパネルの表面を合成樹脂からなる表面樹脂層により被覆しているので、パネル表面からの吸水が防止され、吸水による重量増加や強度の低下といった問題を防止できる。更にまた、表面樹脂層に埋設状に設けた表面補強シートにより、軽量セメントパネルの曲げや捩じりに対する強度剛性を一層向上でき、しかもパネル表面の損傷も効果的に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1〜図3に示すように、ハンドホールやマンホールなどの地中埋設箱10は、底面パネル11Lと、上面パネル11Uと、4つの側面パネル11Sを備え、6枚のパネル11を結合することによって立方体状に組み立てられている。但し、地中埋設箱10の形状は、本実施の形態では立方体状としたが、直方体状やその他の形状に形成することもできる。
【0019】
上面パネル11Uの中央部には上部開口部12が形成され、上面パネル11U上には上部開口部12の口縁に沿ったリング部13aと、リング部13aから上面パネル11Uの側縁付近まで延びるフランジ部13bとを有する蓋枠13が取り付けられている。蓋枠13のリング部13aには蓋部材14が開閉自在に取り付けられ、この蓋部材14を開放することによって、地中埋設箱10内における地中埋設管のケーブルや電線等を点検できるように構成されている。
【0020】
側面パネル11Sには、図1に仮想線で示すように、図示外の地中埋設管が挿通するダクト口15が形成されている。このダクト口15は、予め工場等において形成することも可能であるが、本発明では側面パネル11Sの加工性が良いことから、施工現場において必要に応じて形成することもできる。
【0021】
底面パネル11Lと上面パネル11Uと4枚の側面パネル11Sとはタッピングネジ等からなるネジ部材16A、16Bで連結可能な軽量セメントパネルで構成されている。尚、本実施の形態のように6枚のパネル11を軽量セメントパネルで構成することが最も好ましいが、少なくとも4枚の側面パネル11Sを軽量セメントパネルで構成してあれば、底面パネル11L又は上面パネル11Uは、鉄筋コンクリートパネルやプレキャストコンクリート板、あるいはステンレスなどの金属パネルで構成することも可能である。例えば、後述するように、底面パネルを金属パネルや鉄筋コンクリートパネルで構成することで、地中埋設箱の強度を向上させることができる。
【0022】
図1〜図5に示すように、4枚の側面パネル11Sを角筒状の側面パネル組立体11SKに組み立てるため、隣接する側面パネル11Sの接続部分の内側には断面L字形の金属製アングル材17が高さ方向の全長にわたって設けられ、接続部分の外側には上下1対のL字金具18が設けられている。そして、4枚の側面パネル11Sは、隣接する側面パネル11S間に防水材19を配置させた状態で、隣接する側面パネル11Sの接続部分にアングル材17とL字金具18とをそれぞれ位置させてネジ部材16Aで固定することで、角筒状に連結されている。尚、本実施の形態では、アングル材17とL字金具18とをネジ部材16Aでそれぞれ別個に側面パネル11Sに固定したが、アングル材17と側面パネル11SとL字金具18とを挿通するボルトやビスなどで、これら3者を結合することもできる。また、接着剤を併用して4枚の側面パネル11Sを角筒状に連結することも可能であるし、比較的小型な地中埋設箱においては、ネジ部材16Aのみにより隣接する側面パネル11Sを結合してもよいし、ネジ部材16Aと接着剤とを併用して隣接する側面パネル11Sを結合してもよい。更に、図例のアングル材17やL字金具18以外の連結具、例えば断面L字形のアングル材17に代えて金属製の角パイプなどを用いて、隣接する側面パネル11Sを連結することもできる。
【0023】
底面パネル11Lは、角筒状に組み立てた側面パネル組立体11SKの下側に、防水材19を介在させた状態で、ネジ部材16Bにより結合され、上面パネル11Uは、角筒状に組み立てた側面パネル組立体11SKの上側に、防水材19を介在させた状態で載置し、更にその上側に蓋枠13を位置決め載置して、ネジ部材16Bにより蓋枠13のフランジ部13bとともに側面パネル組立体11SKに結合されている。尚、側面パネル組立体11SKに対する底面パネル11L及び上面パネル11Uの結合は、ネジ部材16Bのみにより行うこともできるし、ネジ部材16Bと接着剤とを併用して行うこともできる。
【0024】
防水材19としては、ブチルゴムなどを採用することも可能であるが、吸水膨張性不織布や吸水膨張性ゴムパッキンなどのように、吸水により膨張して隙間をシール可能な吸水膨張性樹脂からなるものを好適に採用できる。吸水膨張性樹脂としては、ポリアクリル酸塩、澱粉・ポリアクリル酸塩、酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、ポリエチレンオキサイド、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール・無水マレイン酸共重合体、アクリル酸塩・アクリルアミド共重合体、カルボキシメチルセルロースの単独または2種以上混合したものを採用できる。また、防水材19をパネル11に仮止めできるように、防水材19として、その一方の表面に剥離紙で被覆した粘着層を形成したものを採用することが好ましい。
【0025】
側面パネル11Sなどのパネル11を構成する軽量セメントパネルは、図6に示すように、軽量セメントからなるパネル本体20と、パネル本体20の表面に一体に被覆した合成樹脂からなる表面樹脂層21と、表面樹脂層21に埋設状に設けた表面補強シート22とを備えている。
【0026】
前記軽量セメントからなるパネル本体20は、例えば、補強繊維23と多数の気泡(図示せず)を分散状態で含有する多孔質成形体24からなる。多孔質成形体24は、例えば、セメント、水、補強繊維23及び起泡剤をプレフォームした泡を混練した混練物をセメント用成形型内に充填し、養生固化することで得られる。
【0027】
前記セメントは特に限定されず、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント等、各種セメントを使用できる。
【0028】
セメントと水との配合割合は、セメント100重量部に対して水が20〜100重量部、更には20〜50重量部の範囲が好ましい。水が多すぎると強度が低下する傾向にあり、水が少なすぎると成形時にセメント混練物の流動性が低下して成形性を阻害する傾向にある。
【0029】
前記補強繊維23としては、ポリビニルアルコール繊維(ビニロン)、ポリプロピレン繊維やポリエチレン繊維等のポリオレフィン系繊維、アラミド繊維、炭素繊維、鋼繊維、ガラス繊維等が挙げられる。これらの繊維のなかでも、ビニロン繊維は耐久性が高く、しかもセメントとの親和性に優れるので好ましい。補強繊維23の繊維長は特に限定されないが、4〜35mmの範囲が好ましい。補強繊維23の繊維長が4mm未満では補強効果が不足する傾向がみられる。補強繊維23の繊維長が長い方が補強効果の点では有利であるが、その一方で、繊維長が長くなるほど分散性が低下し、成形体内で補強繊維23が偏在して、かえってパネル強度を低下させる場合もある。また、補強繊維23の太さにも特に限定はないが、通常、10μm〜100μmのものが用いられる。
【0030】
前記パネル本体20は、セメント混練時にビニロンやガラスチョップ等の補強繊維23を均一に分散させるだけで、図6に示すような補強繊維23の絡み合いによる補強構造が得られる。従って、パネルの製造に際して、網状補強材等の補強材を埋設する場合の位置決め操作等の煩雑な作業も不要で、強度にバラツキのないパネルを容易に製造できる。
【0031】
補強繊維23の配合量は、前記セメント100重量部に対して0.5〜5重量部とすることが好ましい。補強繊維23の配合量が少ないと、補強効果も低く、パネル強度も低くなる。補強繊維23の配合量が多いほどパネル補強効果においては有利であるものの、補強繊維23の配合量が過剰であるとセメント混練物中での分散性が悪くなり、補強繊維23が偏在して、パネルの強度が不均一になり、かえってパネルの強度を低下させるおそれがある。このような観点から、補強繊維23の配合量のより好ましい範囲は、セメント100重量部に対して0.5〜3重量部である。
【0032】
前記起泡剤は特に限定されず、セメント用、コンクリート用の起泡剤、例えば、タンパク質系、界面活性剤系、樹脂系等の公知の各種の起泡剤を使用できる。更に、前記起泡剤とともに、アルミニウム粉等の金属系発泡剤を使用することもできる。起泡剤の添加量や添加方法は特に限定されないが、通常はセメント100重量部に対して0.1〜3重量部の範囲で、得られるパネルの比重が、2.0以下、好ましくは1.0以下の、目標値となるように適宜調整すればよい。パネルの比重は、好ましくは0.5〜1.0であり、更に好ましくは0.6〜0.9の範囲、特に好ましくは木質合板と同じ0.7〜0.8程度である。比重が小さいほどパネルは軽量となり、取り扱い性の面では有利である。しかし、比重が小さくなるほど気孔率が大きくなり、パネルの強度が低下する。一方、比重が大きくなるほどパネルが重くなり、取り扱い性が低下する。
【0033】
前記セメント、水、補強繊維23及び起泡剤をプレフォームした泡、その他の添加剤等からなる混練物の混練に際しては、従来公知のセメントミキサーやコンクリートミキサーなどを使用できるが、混練物中の起泡剤をプレフォームした泡(気泡)の状態や補強繊維23にダメージを与えることなく、かつ全体を均一に混練することが必要である。混練時に起泡剤の泡(気泡)がダメージを受けると、成形後のパネルにおける気泡の大きさが不均一となり、パネル強度にバラツキが生じることがある。また、補強繊維23がダメージを受けると折損して所期の補強効果が得られないおそれがある。
【0034】
パネル本体20は、上記のようなセメント、水、補強繊維23および起泡剤をプレフォームした泡を混練し、セメント用成形型に充填して使用目的に応じた大きさの板状に成形するか、又はそれより大きなブロック状に成形した後、養生することで、気泡を含んだセメントミルクが、セメントと水との水和反応により硬化して、補強繊維23と多数の気泡を分散状態で含有する軽量な多孔質成形体24が得られる。
【0035】
軽量セメントからなるパネル本体20の具体的な製造法の一例を挙げると、セメントに水及び減水剤を混合し、これに補強繊維23を加えて混練する。一方、起泡剤に空気を導入し、所定の倍率、例えば20倍程度にプレフォームする。この起泡剤をプレフォームした泡を、前記混練物に加えて混練する。なお、混練の途中で混練物の比重を適宜測定し、目標値に近づけるよう、起泡剤をプレフォームした泡を更に追加して混練してもよい。このセメント混練物を、例えば、金属製の耐圧成形型に充填し、これを養生、固化させる。これにより、図6に示すような、セメントが固化した多孔質成形体24からなり、成形体24中に分散した補強繊維23の絡み合いにより補強された軽量セメントからなるパネル本体20が得られる。また、図7に示すように、大きなブロック状の成形体20Aに成形し、養生固化した後、所望の厚さ、大きさの板状に切り出すようにしてもよい。なお、養生は、通常の養生でもよいし、蒸気養生でもよいし、両者を組み合わせてもよい。また、養生はセメント用成形型内で完了させるのではなく、セメント用成形型内で蒸気養生し、ある程度固化した段階、通常は数時間後、型から取り出して更に養生することで、セメント用成形型での成形サイクルが短くなり、生産性が向上する。
【0036】
パネル本体20に対して表面補強シート22を一体に被覆させる方法としては、図6に示すように、パネル本体20の表面を表面樹脂層21にて一体に被覆して、この表面樹脂層21に表面補強シート22を埋設状に設け、表面樹脂層21を構成する合成樹脂により表面補強シート22をパネル本体20に接着して一体に被覆させる方法が好ましい。この場合には、表面補強シート22と表面樹脂層21とで、軽量セメントパネルの強度が増大するとともに、表面性、耐水性が向上する。表面樹脂層21及び表面補強シート22はパネル本体20の表裏両面を被覆するように設けることが好ましいが、一方の表面のみを被覆するように設けたものも本発明の範疇である。
【0037】
表面補強シート22としては、ポリビニルアルコール繊維(ビニロン)、ポリプロピレン繊維やポリエチレン繊維等のポリオレフィン系繊維、アラミド繊維、炭素繊維、鋼繊維、ガラス繊維等などの繊維材からなる織布又は不織布であって、表面補強シート22を挟んで両側の表面樹脂層21が一体化するように、比較的大きな多数の貫通孔を有するメッシュ状の織布又は不織布を採用できる。特に、目付が50〜1000g/m2、好ましくは200〜300g/m2のガラス繊維からなるチョップドストランドマットは、安価に入手が可能で、しかも軽量セメントパネルの強度剛性を大幅に向上できるので好ましい。表面補強シート22は、表面樹脂層21に埋設状に設けてあればよく、表面樹脂層21の厚さ方向の途中部に埋設状に設けることが好ましいが、表面樹脂層21の表面部やパネル本体20側部分に埋設状に設けることもできる。表面樹脂層21に表面補強シート22を埋設状に設けると、軽量セメントパネルの曲げや捩じりに対する強度剛性を一層高めることができるとともに、パネル本体20の保護性能を一層向上できる。また、表面補強シート22を織布又は不織布で構成しているので、表面補強シート22の表面側及び裏面側に配置される表面樹脂層21の密着性を十分に確保することができる。
【0038】
表面樹脂層21を構成する合成樹脂は特に限定されるものではないが、例えばポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、硬質塩化ビニルフォーム、ユリアフォーム、フェノールフォーム、アクリルフォーム、酢酸セルロースフォーム、その他の発泡合成樹脂が例示できる。また、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、硬質ポリウレタン樹脂、軟質ポリウレタン樹脂、硬質塩化ビニル樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、酢酸セルロース樹脂、その他の非発泡の合成樹脂を採用することも可能である。
【0039】
発泡合成樹脂を用いて表面樹脂層21を成形する方法としては、一般的に公知な方法が適用可能である。このうち、ポリウレタンフォーム、ユリアフォーム、フェノールフォームの3種類の発泡方法を、その代表例として以下に例示する。
【0040】
ポリウレタンフォームは、ポリオール、過剰のジイソシアネート、架橋剤、発泡剤、触媒、気泡サイズ調整剤等の原料によって得られ、発泡剤として水とイソシアネートとの反応による二酸化炭素、メチレンジクロライド、ペンタン、機械混合時に入れる空気等、その他分解型の有機系発泡剤が用いられる。気泡サイズ調整剤にはシリコーン樹脂や乳化剤が、触媒にはアミン類や有機スズ化合物等が使用できる。
【0041】
ユリアフォームは、粘度が1000cp程度の粘稠なユリア−ホルムアルデヒド水溶液(樹脂分50〜90%)100部に、プロパン、ブタン、ブテン、ヘキサン、塩化メチルのような発泡剤を2〜30部低温または密閉容器中で分散させ、乳化剤の存在下で酸触媒を加えた後、15〜115℃に温度を上げて得る。また乳化剤を含んだユリア樹脂初期縮合物を、現場発泡機によって塩酸液を混合しながら機械的に起泡しながら吐出させてもよい。
【0042】
フェノールフォームは、レゾール型初期縮合物に泡立機で空気を吹き込みながらクリーム状としつつ、攪拌下で硬化剤を混合して対象部分に被着あるいは充填することによって得る。さらに、クリーム状とする時に重炭酸ソーダを1%程度加えて発泡を助けてもよい。この方法によれば、硬化剤の添加後速やかに硬化する。酸化触媒にはベンゼンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、硫酸、リン酸等が用いられる。また、揮発性発泡剤を配合しておくと、反応熱で起泡するので初めの泡立ては必要ない。発泡用に適したフェノール樹脂も市販されているが、レゾール85部にアジピン酸とヘキサメチレンジアミンから得られたポリアミド5部を共重合させて強靱な発泡体を作製することもでき、ポリビニルアルコール、塩化ビニル樹脂を5〜20部程度配合して強靱性、弾性などを補うこともできる。
【0043】
表面樹脂層21の発泡倍率に特に限定はないが、通常は2〜10倍程度でよい。表面樹脂層21の発泡倍率が小さいほどパネル強度は増大するが、その一方でパネル重量も増大する。また、表面樹脂層21の発泡倍率が大きくなるほどパネルは軽量化されるが、その一方でパネル強度が低下する傾向が見られる。従って、表面樹脂層21の発泡倍率は、パネルの軽量性、強度、耐衝撃性などの観点から適宜決定される。また、表面補強シート22の表裏に配置される表面樹脂層21の厚さは、0.5〜2mm程度に設定されている。
【0044】
表面樹脂層21は、連続気泡の少ない、または連続気泡のない独立気泡からなるものが、耐水性、表面性に優れることから好ましい。
【0045】
軽量セメントパネルの製造方法としては、密閉可能な製品用成形型の下部内に発泡性合成樹脂を充填するとともに、パネル本体20とほぼ同じ広さ(平面形状)の表面補強シート22をこの発泡性合成樹脂に埋設状に設け、次にパネル本体20を製品用成形型の位置決め載置し、次にパネル本体20の上側に発泡性合成樹脂を充填するとともに、パネル本体20の上側の発泡性合成樹脂に表面補強シート22を埋設状に設け、次に製品用成形型を密閉した状態で、充填した発泡性合成樹脂を発泡硬化させることで、パネル本体20を表面樹脂層21にて一体に被覆させることで製作できる。このように、密閉した製品用成形型内で発泡性合成樹脂を発泡硬化させて表面樹脂層21を設けることで、表面樹脂層21は、その表面が気泡のないスキン層に覆われた平滑面に形成されるとともに、多孔質成形体24からなるパネル本体20表面の気孔も封止され、パネル表面からの吸水が防止される。
【0046】
軽量セメントパネルの厚さは土圧に耐え得る任意の厚さに設定することができ、例えば内寸650mmの立方体状の地中埋設箱10では、パネル本体20の厚さを24mm、表裏の表面樹脂層21の厚さをそれぞれ0.5mmとして、全体の厚さを25mmに設定することができる。
【0047】
尚、軽量セメントパネルの表面に非発泡合成樹脂からなる表面保護シートを設けることもできる。表面保護シートを構成する非発泡合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂の他、ABS、MMA等が好ましいものとして挙げられる。表面保護シートの表面をコロナ放電加工したり、それらの表面を酸で表面処理したりする等して、表面保護シートと表面樹脂層21との接着性を高めるようにしてもよい。表面保護シートは単層であってもよいし、多層であってもよい。このように、軽量セメントパネルの最外層に、非発泡合成樹脂からなるフィルム、シート又はボードを接着したり、合成樹脂を塗布したりして表面保護シートを設けることで、パネル表面からの吸水を確実に防止できる。
【0048】
また、前記表面樹脂層21や表面保護シートがその端部から剥離しないように、軽量セメントパネルの側端部に端部保護層を設けることもできる。具体的には、軽量セメントパネルの側端部に、水密性を有する封止テープを貼着したり、合成樹脂製のフィルム、シートを接着や熱融着したり、パネル本体20の外周端部に合成樹脂を塗布して、端部保護層を形成することができる。また、合成樹脂製の断面コ字状のフレーム材を軽量セメントパネルの側端部に沿って嵌合し、接着剤で固定することで端部保護層を設けることもできる。端部保護層を構成する合成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂の他、ABS、MMA等が好ましいものとして挙げられる。
【0049】
次に、地中埋設箱10の組立方法について説明する。
先ず、図8(a)、(b)に示すように、平行配置される1対の側面パネル11Sの対向面の縦方向の側端部に沿って2本の防水材19をそれぞれ付着させた状態で、隣接する側面パネル11S間に防水材19がそれぞれ配置されるように、アングル材17とL字金具18を用いて、4枚の側面パネル11Sをネジ部材16Aで角筒状に結合して、側面パネル組立体11SKを組み立てる。
【0050】
次に、図8(c)に示すように、底面パネル11Lの下面の側端部に沿って4本の防水材19を付着させた状態で、角筒状の側面パネル組立体11SKと底面パネル11L間に防水材19が配置されるように、底面パネル11Lを側面パネル組立体11SKの上側に位置決め載置して、ネジ部材16Bにより底面パネル11Lを側面パネル組立体11SKに組み付ける。
【0051】
次に、図8(d)に示すように、底面パネル11Lを組み付けた側面パネル組立体11SKを、底面パネル11Lが下側になるように適正姿勢に回転させ、上面パネル11Uの底面の側端部に沿って防水材19を付着させた状態で、側面パネル組立体11SKの上面に上面パネル11Uを位置決め載置し、更にその上側に蓋枠13を位置決め載置して、ネジ部材16Bにより、上面パネル11Uを蓋枠13のフランジ部13bとともに側面パネル組立体11SKに結合して、地中埋設箱10を組み立てが完了する。
【0052】
こうして、地中埋設箱10を組み立ててから、地中埋設管に対応させて側面パネル11Sにダクト口15を形成し、ダクト口15にベルマウスなどの接続部材を取り付けて、地中埋設管をダクト口15から地中埋設箱10内に導入し、必要な配線を行ってから、掘削孔を埋め戻して、地中埋設箱10の埋設施工が完了する。
【0053】
尚、この地中埋設箱10の組立および埋設作業は、施工場所に形成した掘削孔内へ、パネル11やアングル材17などの地中埋設箱10の構成部材を人手により順次移動させて行うことが、重機等を用いることなく地中埋設箱10を組み立てることができるので好ましいが、掘削孔外で組み立ててから、クレーン等で掘削孔内に移載することも可能である。また、側面パネル組立体11SKの組立時、隣接する側面パネル11Sの接続部分にアングル材17を固定する前に、両側面パネル11Sの接続部分に沿ってその内面側に図示外のコーキング材を付着させて、側面パネル11Sの接続部分の防水性を高めたり、側面パネル組立体11SKに底面パネル11Lを組み付けた後、側面パネル組立体11SKと底面パネル11Lとの接続部分に沿ってその内面側にコーキング材26を付着させて、側面パネル組立体11SKと底面パネル11Lとの接続部分における防水性を高めたりすることも好ましい構成である。
【0054】
また、地中埋設箱10が地下水で浮上するおそれがある場合などには、図3に仮想線で示すように、掘削孔の底面に地中埋設箱10よりも平面寸法の大きなアンカー板25を固定し、その上に地中埋設箱10を設置して、両者を接着剤等で結合することが好ましい。アンカー板25としては、合成樹脂板や金属板やセメント板など任意の素材からなるものを採用することができる。軽量セメントパネルで構成することも可能で、この場合には底面パネル11Lの平面サイズを大きく設定して、地中埋設箱10の浮上を防止するように構成することもできる。アンカー板25の大きさは、地中埋設箱10の重量などに応じて適宜に設定することができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、図9〜図11は、本発明に係る地中埋設箱における側面パネルと底面パネルとの第2実施形態を示すものである。こ第2実施形態の地中埋設箱30では、隣接する側面パネル31Sの接続部分の外側にアングル材38を高さ方向のほぼ全長にわたって固定してある。また、底面パネル40の上面外周縁には、側面パネル31Sの下端部を固定する嵌合溝41を設けてある。
【0056】
以下、第2実施形態における地中埋設箱30を更に詳細に説明する。この地中埋設箱30も底面パネル40、上面パネル31Uおよび4枚の側面パネル31Sを備えている。上面パネル31Uおよび側面パネル31Sは、前記第1実施形態の地中埋設箱10におけるパネル11と同様に軽量セメントパネルから構成されている。一方、底面パネル40は、例えばステンレスその他の金属板製であり、図例の実施形態では、上面板40aと下面板40bとを、補強片40cを介して所定の間隔で溶接などにより固着した中空構造のパネルを用いている。この底面パネル40の4辺を塞ぐ側面板40dは、その上端縁を上面板40aより上方にまで延設して嵌合溝41の外周壁部分となる突縁42を形成している。また、上面板40aの上面には、前記突縁42との間に所定の間隔をおいて、嵌合溝41の内周壁部分となる断面L字形のガイドプレート43を溶接などにより固着して、突縁42とガイドプレート43との間に側面パネル31Sの下端部を固定する嵌合溝41を設けてある。第2実施形態では、前記のように底面パネル40の側面板40dを上方に延設した突縁42と底面パネル40の上面板40aに固着したガイドプレート43にて嵌合溝41を設けてあるが、これに限定されるものではなく、底面パネル40の上面に嵌合溝41を凹設したり、あるいは底面パネル40の上面に断面コ字形の部材を、その開口部を上に向けて固着することで嵌合溝41を形成してもよい。
【0057】
また、この地中埋設箱30では、隣接する側面パネル31Sの接続部分の内側に断面L字形で金属製の内側アングル材37を高さ方向のほぼ全長にわたって設けるとともに、となりあう内側アングル材37間には、アングル補強プレート44が架設してある。また、側面パネル31Sの接続部分の外側にも内側アングル材37と同様に断面L字形で金属製の外側アングル材38を高さ方向のほぼ全長にわたって設けてある。そして、4枚の側面パネル31Sは、隣接する側面パネル31S間にブチルゴムなどの防水材あるいは吸水膨張性不織布や吸水膨張性ゴムパッキンなどを適宜介在させた状態で、接続部分を内外面から内側アングル材37と外側アングル材38とで挟んだ状態でボルト・ナット等のネジ部材36で固定することで、角筒状に連結固定されるとともに、嵌合溝41を構成する突縁42およびガイドプレート43と側面パネル31Sとの間も、それらを貫通するボルト・ナット等のネジ部材36で固定することで、側面パネル31Sが底面パネル40に固定されている。尚、第2実施形態では、内側アングル材37と外側アングル材38、あるいは嵌合溝41を構成する突縁42とガイドプレート43とは、ボルト・ナットなどのネジ部材36で同時に側面パネル31Sに固定してあるが、タッピングネジ等によりそれぞれ別個に側面パネル31Sに固定してもよい。また、側面パネル31S同士の固着や、側面パネル31Sと底面パネル40との固着には、ネジ部材36に加えて接着剤を併用してもよい。更に、図例の断面L字形の内側アングル材37に代えて、金属製の角パイプなどのほかのアングル材を用いて、隣接する側面パネル31S間を連結することもできる。
【0058】
地中埋設箱30の組立方法について説明する。まず、底面パネル40の嵌合溝41に側面パネル31Sを差し込んで底面パネル40の周囲に4枚の側面パネルを立て込むようにして筒状に組み立てる。このとき、ブチルゴム等の防水材39あるいは吸水膨張性不織布や吸水膨張性ゴムパッキンなどを嵌合溝41内底面に適宜介在させてもよい。次いで、内側角部に位置する側面パネル31Sの接合部に内側アングル材37を配置し、該内側アングル材37及び側面パネル31Sを内側から外側へ貫通するボルト36aなどにより仮止めする。このとき、隣接する内側アングル材37の上部間にアングル補強プレート44も合わせてボルト36aにより仮止めしておく。次に、側面パネル31Sの接合部の外面に外側アングル材38を、必要に応じて側面パネル31Sとの間にブチルゴム等の防水材あるいは吸水膨張性不織布や吸水膨張性ゴムパッキンなどを介在させた状態で同じく前記ボルト36aにより仮止めする。その後、外側からナット36bを取り付け、ボルト36aを締め付ける。その後、第1実施形態と同様にして、上面パネル31U、蓋枠33などを側面パネル31Sの上から取り付けて、地中埋設箱30の組み立てが完了する。なお、この地中埋設箱30の施工方法については、第1実施形態と同様でよいので説明を省略する。
【0059】
上記のような実施の形態に係る地中埋設箱30によれば、外側アングル材38により側面パネル31S同士の結合強度をより高めて、地中埋設箱30の強度剛性を一層向上することができる。更に、底面パネル40の上面外周縁に側面パネル31Sの下端部を固定する嵌合溝41を設け、側面パネル31の下端部を差し込んで底面パネル40の周囲に側面パネル31Sを立て込むように組み立てるようにしたので、底面パネル40と側面パネル31Sとの位置合わせ、組み立て作業などが容易になるとともに、底面パネル40と側面パネル31Sとの接合部の強度や防水性が更に向上する。また、底面パネル40を金属製とすることで、地中埋設箱30の強度を更に向上させることができる。なお、図示しないが、各アングル材37、38や底面パネル40と側面パネル31Sとの境界部にコーキング材などを適宜塗布することで、地中埋設箱30の防水性をより向上させることができる。
【0060】
(第3実施形態)
次に、図12〜図18は、本発明に係る地中埋設箱の第3実施形態を示すものである。
図12〜図17に示すように、第3実施形態の地中埋設箱50は、前記第1実施形態と同様に、底面パネル51と、上面パネル52と、4つの側面パネル53を備え、これら6枚のパネル51〜53を結合することによって立方体状に組み立てられている。
【0061】
側面パネル53は、第1実施形態の地中埋設箱50におけるパネル11と同様に軽量セメントパネルで構成されているが、底面パネル51及び上面パネル52は、第1実施形態の地中埋設箱10の底面パネル11L及び上面パネル11Uとは異なり、鉄筋コンクリートで構成されている。底面パネル51及び上面パネル52においてコンクリート51a、52aに埋設される鉄筋51b、52bは、両パネル51、52の強度を考慮して適宜に配筋したものを採用することができる。例えば一辺が900mmの標準寸法の立方体状の地中埋設箱50では、図15、図16に示すように、格子状に配筋したものを採用できるが、一辺が600mmの小型な地中埋設箱では、上面パネル52Aに関しては図18に示すように、鉄筋52Aaを配筋することになる。なお、符号54は、パネル51、52を型枠内で製作するときに、鉄筋51b、52bを所望の位置に保持するためのスペーサである。
【0062】
図13、図14、図16、図17に示すように、底面パネル51の上面外周縁には上方へ向けて開口する方形枠状の嵌合溝55Lが形成されている。この嵌合溝55Lは、それに対する側面パネル53の挿入性を高めるため、上方へ行くにしたがって開口幅が広くなるように構成されている。また、底面パネル51の平行配置される2組の側部の一方には1対の埋込ナット56Lが相互に間隔をあけてそれぞれ設けられ、この埋込ナット56Lに図示外のアイボルトを螺合させて、底面パネル51や組み立てた地中埋設箱50を容易に吊り上げて所望の作業場所へ移載できるように構成されている。
【0063】
図14、図15に示すように、上面パネル52の下面外周縁には下方へ向けて開口する方形枠状の嵌合溝55Uが形成され、上面パネル52の中央部には上部開口部58が形成され、上面パネル52上には上部開口部58の口縁に沿った開口部59を有する蓋枠60が接着剤で固定されている。蓋枠60には蓋部材61が開閉自在に取り付けられ、この蓋部材61を開放することによって、地中埋設箱50内における地中埋設管のケーブルや電線等を点検できるように構成されている。
【0064】
上面パネル52の嵌合溝55Uは、それに対する側面パネル53の挿入性を高めるため、下方へ行くにしたがって開口幅が広くなるように構成されている。また、上面パネル52の平行配置される2組の側部の一方には相互に間隔をあけて1対の埋込ナット56Uがそれぞれ設けられ、この埋込ナット56Uに図示外のアイボルトを螺合させて、上面パネル52を容易に吊り上げて移載できるように構成されている。
【0065】
隣接する側面パネル53の接合部分の外側には合成樹脂材料や金属材料などからなる横断面略L形のアングル材62が高さ方向の略全長にわたって設けられ、このアングル材62により側面パネル53の側縁が覆われて、側面パネル53の側縁に他物が接触することによる側面パネル53の破損が防止されている。アングル材62はタップネジや接着剤などにより側面パネル53に固定することもできるが、底面パネル51及び上面パネル52に形成した嵌合溝55L、55Uに側面パネル53とともに端部を挿入して固定すると、地中埋設箱50の組立作業を簡単にできるとともに部品点数を少なくできるので好ましい。また、アングル材62と側面パネル53間にシーリング材を介装させ、側面パネル53の接合部の止水性を高めるように構成することもできる。尚、隣接する側面パネル53の接合部分は、本実施形態では、一方の側面パネル53の側面の側縁に、他方の側面パネル53の端面を付き合わせて接続したが、合いじゃくり等により接合することも可能であるし、隣接する2面に高さ方向の延びる溝部を形成した角柱状の縦フレームを設け、この縦フレームの溝部に側面パネル53の端部を嵌合させて接合することも可能である。
【0066】
次に、地中埋設箱50の組立方法について説明する。まず、図17(a)に示すように、嵌合溝55Lを上側にして底面パネル51を設置し、該底面パネル51の嵌合溝55Lの底面にシーリング材57を途切れないように連続的に塗布してから、図17(b)に示すように、側面パネル53を嵌合溝55Lに差し込み、底面パネル51の周囲に4枚の側面パネル53を立て込むようにして筒状に組み立てる。また、側面パネル53を筒状に組み立てるときに、隣接する側面パネル53の接合部の一方の面或いは両方の面にシーリング材57を塗布し、隣接する側面パネル53の接合部間にシーリング材57を介装することになる。なお、図17(c)に示すように、筒状に組み立てた側面パネル53の内側角部や側面パネル53と底面パネル51の接続部分の内側及び外側の角部に追加のシーリング材57aを充填して、シール性能を高めるように構成することが好ましい。また、シーリング材57に代えて、ブチルゴム等の防水材あるいは吸水膨張性不織布や吸水膨張性ゴムパッキンなどを嵌合溝55Lの底面と側面パネル53の下端面間に介装したり、隣接する側面パネル53間に介装したりしてもよい。
【0067】
次に、図13に示すように、側面パネル53の接合部の外面側にアングル材62を配置させ、アングル材62の下端部を側面パネル53とともに嵌合溝55Lに差し込んで固定する。ただし、アングル材62はタップネジ等の固定具や接着剤により、あるいはタップネジ等の固定具や接着剤を併用して固定することも可能である。また、アングル材62の内側面や側面パネル53の接合部の外面に、シーリング材を塗布した状態で、アングル材62を側面パネル53の接合部の外側に取り付けることも好ましく、この場合には接合部の止水性を一層高めることができる。
【0068】
次に、筒状に組み立てた側面パネル53の上端面にシーリング材57を途切れないように連続的に塗布してから、上面パネル52をその嵌合溝55Uに側面パネル53の上端部が嵌合するように筒状に組み立てた側面パネル53上に載置する。このとき、アングル材62の上端部を側面パネル53とともに嵌合溝55U内に嵌合させて、アングル材62を側面パネル53の角部に固定することになる。なお、底面パネル51と同様に、筒状に組み立てた側面パネル53と上面パネル52との接続部分の内側及び外側の角部に追加のシーリング材57aを充填して、シール性能を高めるように構成することが好ましい。また、シーリング材57に代えて、ブチルゴム等の防水材あるいは吸水膨張性不織布や吸水膨張性ゴムパッキンなどを嵌合溝55Uの底面と側面パネル53の上端面間に介装したり、隣接する側面パネル53間に介装したりしてもよい。
【0069】
次に、上面パネル52上に蓋枠60を接着剤により固定して、地中埋設箱50の組み立てが完了する。なお、この地中埋設箱50の施工方法については、第1実施形態と同様でよいので説明を省略する。
【0070】
上記のような実施の形態に係る地中埋設箱50によれば、底面パネル51の上面外周縁に側面パネル53の下端部を固定する嵌合溝55Lを設け、側面パネル53の下端部を差し込んで底面パネル51の周囲に側面パネル53を立て込むように組み立てるようにしたので、底面パネル51と側面パネル53との位置合わせ、組み立て作業などが容易になるとともに、底面パネル51と側面パネル53との接合部の強度や防水性が更に向上する。しかも、上面パネル52に嵌合溝55Uを形成しているので、底面パネル51上に筒状に組み立てた4枚の側面パネル53に、該側面パネル53の上縁が嵌合溝55Uに嵌合するように上面パネル52を載置することで、上面パネル52と側面パネル53との位置合わせ、組み立て作業などが容易になるとともに、上面パネル52と側面パネル53との接合部の強度や防水性も向上する。また、タップネジや接着剤を用いることなく組み立てることができるので、地中埋設箱50に組み立て作業が一層容易になる。更に、アングル材62により、側面パネル53の側端部が他物に接触して破損することを確実に防止したり、側面パネル53の接合部の止水性を向上したりすることができる。更にまた、底面パネル51及び上面パネル52を鉄筋コンクリート製とすることで、地中埋設箱50の強度を更に向上させることができる。
【0071】
上記のような本発明に係る地中埋設箱によれば、地中埋設箱を構成する6枚のパネルを予め工場等において製作して、パネルの状態で工場等に保管し、かつ必要に応じてパネルの状態で施工現場へ輸送できるので、工場での保管スペースを小さくでき、また現場への輸送時に、大型車での搬入が不要で、輸送コトを削減できる。更に、施工現場では、ボルトや釘や接着剤などにより、パネルを結合して組み立てるだけでよいので、現場における施工作業を大幅に軽減できる。また、各パネルは人手により容易に持ち運びが可能な重さに構成できるので、現場における施工作業を大幅に軽減できる。しかも、鉄筋コンクリート製の従来の地中埋設箱とは異なり、施工現場での養生時間が不要であることから、工期も短縮することができる。また、鉄筋コンクリート製の従来の地中埋設箱とは異なり、大きさの異なる軽量セメントパネルを容易に製作できるので、特殊サイズの地中埋設箱にも容易に対応でき、各サイズのキットを在庫することにより、受注から出荷までの納期を短縮することができる。また、軽量セメントパネルは、加工性が良いので、例えば現場において側面パネルの任意の位置にダクト口等を形成する加工も容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】地中埋設箱の斜視図
【図2】地中埋設箱の分解斜視図
【図3】地中埋設箱の縦断面図
【図4】側面パネル組立体と上面パネルとの接続部分の縦断面図
【図5】側面パネル組立体と底面パネルとの接続部分の縦断面図
【図6】軽量セメントパネルの縦断面図
【図7】パネル本体の製造方法の説明図
【図8】(a)〜(d)は地中埋設箱の組立方法の説明図
【図9】第2実施形態の地中埋設箱の斜視図
【図10】同地中埋設箱における側面パネルと底面パネルとの分解斜視図
【図11】同地中埋設箱における側面パネルと底面パネルとの縦断面図
【図12】第3実施形態の地中埋設箱の斜視図
【図13】同地中埋設箱における側面パネルと底面パネルとの分解斜視図
【図14】同地中埋設箱の縦断面図
【図15】同地中埋設箱の上面パネルの(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A線断面図
【図16】同地中埋設箱の底面パネルの(a)は縦断面図、(b)は(a)のB−B線断面図
【図17】(a)〜(c)は同地中埋設箱の底面パネルに対する側面パネルの組み付け方法の説明図
【図18】同地中埋設箱を小型に構成した場合の上面パネルの図15(b)相当図
【符号の説明】
【0073】
10 地中埋設箱 11 パネル
11L 底面パネル 11S 側面パネル
11SK 側面パネル組立体 11U 上面パネル
12 上部開口部 13 蓋枠
13a リング部 14 蓋部材
15 ダクト口 16A ネジ部材
16B ネジ部材 17 アングル材
18 L字金具 19 防水材
20 パネル本体 20A 成形体
21 表面樹脂層 22 表面補強シート
23 補強繊維 24 多孔質成形体
25 アンカー板 26 コーキング材
30 地中埋設箱 31S 側面パネル
31U 上面パネル 33 蓋枠
34 蓋部材 36 ネジ部材
36a ボルト 36b ナット
37 内側アングル材 38 外側アングル材
40 底面パネル 40a 上面板
40b 下面板 40c 補強片
40d 側面板 41 嵌合溝
42 突縁 43 ガイドプレート
44 アングル補強プレート
50 地中埋設箱 51 底面パネル
51a コンクリート 51b 鉄筋
52 上面パネル 52a コンクリート
52b 鉄筋
52A 上面パネル 52Aa 鉄筋
53 側面パネル 54 スペーサ
55L 嵌合溝 55U 嵌合溝
56L 埋込ナット 56U 埋込ナット
57 シーリング材 57a シーリング材
58 上部開口部 59 開口部
60 蓋枠 61 蓋部材
62 アングル材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面パネルと上面パネルと4枚の側面パネルとを備え、少なくとも4枚の側面パネルとして、軽量セメントからなるパネル本体と、パネル本体の表面に一体に被覆した合成樹脂からなる表面樹脂層と、表面樹脂層に埋設状に設けた表面補強シートとを備えた軽量セメントパネルを用いたことを特徴とする地中埋設箱。
【請求項2】
前記パネル本体が、セメント、水、補強繊維及び起泡剤をプレフォームした泡を混練した混練物を、密閉したセメント用成形型内に充填し、養生固化した多孔質成形体からなり、該成形体中に前記補強繊維及び泡を分散状態で含有してなり、比重が0.5〜2.0の範囲内である請求項1記載の地中埋設箱。
【請求項3】
前記混練物中に、セメント100重量部に対して、前記補強繊維を0.5〜5重量部を配合してなる請求項2記載の地中埋設箱。
【請求項4】
前記補強繊維がポリビニルアルコール繊維である請求項2又は3記載の地中埋設箱。
【請求項5】
前記補強繊維の繊維長が、4〜35mmの範囲である請求項2〜4のいずれか1項記載の地中埋設箱。
【請求項6】
前記表面補強シートとして、織布又は不織布を用いた請求項1〜5のいずれか1項記載の地中埋設箱。
【請求項7】
前記表面補強シートとして、目付50〜1000g/m2のガラス繊維製の不織布を用いた請求項1〜6のいずれか1項記載の地中埋設箱
【請求項8】
前記軽量セメントパネルの表面を非発泡合成樹脂からなる表面保護シートで一体に被覆した請求項1〜7のいずれか1項記載の地中埋設箱。
【請求項9】
前記隣接する側面パネルの接続部分の内側にアングル材を高さ方向の全長にわたって固定した請求項1〜8のいずれか1項記載の地中埋設箱。
【請求項10】
前記隣接する側面パネルの接続部分の外側にアングル材を高さ方向の全長にわたって固定した請求項1〜9のいずれか1項記載の地中埋設箱。
【請求項11】
前記底面パネルの上面外周縁に側面パネルの下端部を固定する嵌合溝を設けてなる請求項1〜10のいずれか1項記載の地中埋設箱。
【請求項12】
前記上面パネルの下面外周縁に側面パネルの上端部を固定する嵌合溝を設けてなる請求項1〜11のいずれか1項記載の地中埋設箱。
【請求項13】
前記地中埋設箱を構成するパネル間に吸水膨張性材料からなる防水材を介装した請求項1〜12のいずれか1項記載の地中埋設箱。
【請求項14】
前記地中埋設箱を構成するパネル間にシーリング材を介装した請求項1〜13のいずれか1項記載の地中埋設箱。
【請求項15】
前記地中埋設箱の底部に外方へ突出して、地下水圧による地中埋設箱の浮上を防止するアンカー材を埋設状に設けた請求項1〜14のいずれか1項記載の地中埋設箱。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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