説明

地中杭の破砕処理工法及び破砕処理装置

【課題】小形軽量で且つ低コストの構造でありながら、高い破砕処理能力を得ることができる地中杭の破砕処理工法及び破砕処理装置を提案する。
【解決手段】掘削ヘッド4で地中杭Pの径方向外側の土を掘削しながら破砕ヘッド3で地中杭Pの頂部Paを破砕するとともに、破砕残材のうちケーシング1の内周と地中杭Pの外周との環状隙間7に落下する破砕残材M1を排出口2から該ケーシング1の外周側へ排出させながら地中杭Pの破砕処理を行なう。係る工法によれば、掘削ヘッド4が設けられたケーシング1と破砕ヘッド3が一体的に構成され、これらが一体的に回転駆動されるにもかかわらず、破砕残材M1が環状隙間7内に溜まって固結状態となり、ケーシング1の内周と地中杭Pの外周との間の摩擦力によって処理ユニットXの回転が阻害され、該処理ユニットXによる破砕処理が不能になることが未然に且つ確実に防止され、円滑で且つ高能率の破砕処理作業が実現される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、土中に埋設された杭を破砕処理によって除去する地中杭の破砕処理工法及び該工法の実施に供せられる破砕処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土中に埋設された杭、所謂「地中杭」の破砕処理工法及び破砕処理装置としては、例えば、特許文献1に示されるものが知られている。
【0003】
このものは、昇降可能に吊下支持されるオーガマシーンの下部に、その下端に掘削ヘッドを備えた長尺管体でなるケーシングと、該ケーシングの内側に収納配置され且つその下端に取付けられた破砕ヘッドを上記ケーシングの下端より所定寸法上方に位置させたオーガスクリューをそれぞれ取付け、上記ケーシングとオーガスクリューを上記オーガマシーンによって相互に反対方向に回転させ、上記ケーシングの破砕ヘッドによって地中杭の外周側の土を掘削して該地中杭の頂部を露出させるとともに、該頂部を上記オーガスクリュー側の破砕ヘッドで破砕するようにしたものであり、破砕残材は掘削土と共に上記オーガスクリューによって地上側へ順次排出されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2001−3363号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上掲公報に開示されるものでは、上記ケーシングとオーガスクリューが別体構成とされ、且つ上記ケーシングが上記オーガスクリューよりも更に長い長尺管体で構成されていることから、装置全体が大形大重量化し、製造コスト及び搬送等に伴う運転経費が高くつくという問題があった。
【0006】
また、別体構造の上記ケーシングと上記オーガスクリューをそれぞれ反対方向へ回転駆動する構成であることから、これらの駆動原である上記オーガマシーンの構造が複雑化するとともに大きな駆動能力が必要となり、これらによって更なるコストアップを招来するという問題もある。
【0007】
そこで本願発明では、小形軽量で且つ低コストの構造でありながら、高い破砕処理能力を得ることができる地中杭の破砕処理工法及び破砕処理装置を提案することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0009】
本願の第1の発明に係る地中杭の破砕処理工法では、回転及び昇降駆動されるオーガスクリュー56の下端部56aに、地中杭Pの径方向外側に嵌挿可能な内径寸法をもつ円管体で構成されるとともにその周壁1cには排出口2が設けられたケーシング1と、スクリュー32、33を備えるとともに該スクリュー32、33の下端縁32a,33aに複数の破砕用ビット36が設けられ且つ上記ケーシング1の上部1aの内周側にこれと同軸状に固定された破砕ヘッド3と、上記ケーシング1の下部1bにその周方向へ所定間隔で取付けられた複数の掘削用ビット41で成る掘削ヘッド4を備えた処理ユニットXを装着し、上記掘削ヘッド4で上記地中杭Pの径方向外側の土を掘削しながら上記破砕ヘッド3で上記地中杭Pの頂部Paを破砕するとともに、上記ケーシング1の内周と上記地中杭Pの外周との環状隙間7に侵入する破砕残材M1及び掘削土N2を上記排出口2から該ケーシング1の外周側へ排出させながら上記地中杭Pの破砕処理を行なうことを特徴としている。
【0010】
本願の第2の発明では、上記第1の発明に係る地中杭の破砕処理工法において、上記掘削ヘッド4の近傍の土に流体を噴射しながら掘削することを特徴としている。
【0011】
本願の第3の発明では、回転及び昇降駆動されるオーガスクリュー56の下端部56aに処理ユニットXを装着して構成される地中杭の破砕処理装置において、上記処理ユニットXを、地中杭Pの径方向外側に嵌挿可能な内径寸法をもつ円管体で構成されるとともにその周壁1cには排出口2が設けられたケーシング1と、スクリュー32、33を備え且つ該スクリュー32、33の下端縁32a,33aには複数の破砕用ビット36が設けられるとともに上記ケーシング1の上記排出口2に対応する部位の内周側に固定された破砕ヘッド3と、上記ケーシング1の下部1bにその周方向へ所定間隔で取付けられた複数の掘削用ビット41で成る掘削ヘッド4を備え、上記破砕ヘッド3を介して上記オーガスクリュー56の下端に着脱自在に取付け可能とされていることを特徴としている。
【0012】
本願の第4の発明では、上記第3の発明に係る破砕処理装置において、上記排出口2を、上記ケーシング1の軸方向において上記破砕ヘッド3と重合し且つその上端が上記ケーシング1の上端1dに開口する切欠き開口で構成したことを特徴としている。
【0013】
本願の第5の発明では、上記第3又は第4の発明に係る破砕処理装置において、上記処理ユニットXに、上記掘削ヘッド4の近傍に流体を噴射する噴射管5を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本願発明では次のような効果が得られる。
【0015】
(a)本願の第1の発明に係る地中杭の破砕処理工法によれば、上記掘削ヘッド4で上記地中杭Pの外側の土を掘削しながら上記破砕ヘッド3で上記地中杭Pの頂部Paを破砕するとともに、上記ケーシング1の内周と上記地中杭Pの外周との環状隙間7に侵入する破砕残材M1及び掘削土N2を上記排出口2から該ケーシング1の外周側へ排出させながら上記地中杭Pの破砕処理を行なうことから、上記掘削ヘッド4が設けられた上記ケーシング1と上記破砕ヘッド3が一体的に構成され、これらが一体的に回転駆動されるにもかかわらず、上記破砕残材M1等が上記環状隙間7内に溜まって固結状態となり、上記ケーシング1の内周と上記地中杭Pの外周との間の摩擦力によって上記処理ユニットXの回転が規制され、該処理ユニットXによる破砕処理が不能になることが未然に且つ確実に防止され、円滑で且つ高能率の破砕処理作業が実現される。
【0016】
(b)本願の第2の発明に係る地中杭の破砕処理工法によれば、上記掘削ヘッド4の近傍の土に流体を噴射しながら掘削するようにしていることから、噴流による掘削作用及び掘削土の軟化あるいは脆化作用によって、上記掘削ヘッド4による掘削作用が促進され、延いては地中杭Pの破砕処理作業の迅速化及び高能率化が実現され、上記(a)に記載の効果がより一層確実ならしめられる。
【0017】
(c)本願の第3の発明に係る地中杭の破砕処理装置によれば、上記ケーシング1が、上記オーガスクリュー56の下端に着脱自在に取付けられる上記破砕ヘッド3と一体化され、該破砕ヘッド3とともに上記オーガスクリュー56を介して回転駆動される構成であることから、
(c−1) 例えば、従来のように、ケーシングを破砕ヘッドと別体構成とし、オーガスクリューによって回転駆動される破砕ヘッド3とは別個に上記ケーシングを回転駆動させる構成とする場合に比して、駆動系の構造が簡略化されその低コスト化が図れる、
(C−2) 上記ケーシング1の軸長を可及的に短縮して処理ユニットXの小形軽量化を図ることができ、その結果、処理ユニットXの製造コストの低廉化が促進されるとともに、破砕処理作業における上記処理ユニットXの取り扱いが容易且つ簡便となり作業性及び作業能率の向上を図ることができる、
等の効果が得られる。
【0018】
また、上記ケーシング1に上記排出口2が設けられているため、該ケーシング1が上記破砕ヘッド3と一体化され一体的に回転駆動される構成であっても、上記破砕ヘッド3によって破砕された破砕残材M1及び上記掘削ヘッド4によって掘削された掘削土N2は上記排出口2から上記ケーシング1の外周側へ排出され、該破砕残材M1等が上記ケーシング1の内周面とその内側に存在する上記地中杭Pの外周面との間に溜まって固結して上記ケーシング1の回転、即ち、上記処理ユニットX全体の回転を阻止することが未然に且つ確実に防止され、上記処理ユニットXを用いた破砕処理作業が円滑に且つ高い信頼性をもって実現される。
【0019】
(d)本願の第4の発明に係る地中杭の破砕処理装置によれば、上記排出口2を、上記ケーシング1の軸方向において上記破砕ヘッド3と重合し且つその上端が上記ケーシング1の上端1dに開口する切欠き開口で構成しているので、上記破砕ヘッド3での破砕によって発生する破砕残材及び上記掘削ヘッド4によって掘削された掘削土N2の上記排出口2からの排出作用が上記ケーシング1の上端1dまでの上下方向に広い範囲で行なわれ、破砕残材等の固結に起因する上記処理ユニットXの回転阻害がより確実に防止されることから、上記(c)に記載の効果がより一層促進されることになる。
【0020】
(e)本願の第5の発明に係る地中杭の破砕処理装置によれば、上記処理ユニットXに、上記掘削ヘッド4の近傍に流体を噴射する噴射管5を備えているので、噴流による掘削作用及び掘削土の軟化あるいは脆化作用によって、上記掘削ヘッド4による掘削作用が促進され、延いては地中杭Pの破砕処理作業の迅速化及び高能率化が実現され、上記(c)に記載の効果がより一層確実ならしめられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0022】
図1には、本願発明の実施形態に係る地中杭の破砕処理装置Zを示している。この破砕処理装置Zは、作業車両50に立設されたリーダ51の前面に設けられたガイドレール52に、該ガイドレール52に沿って昇降操作されるオーガマシーン55を取付けるとともに、該オーガマシーン55の下端には回転筒体54を介してオーガスクリュー56を連結している。さらに、上記オーガスクリュー56の下端には、図2に示すように、次述の処理ユニットXが装着されている。そして、上記オーガスクリュー56は、上記オーガマシーン55により上記回転筒体54を介して回転駆動され、上記処理ユニットXによって土中に埋設された地中杭Pの破砕処理を行なう。
【0023】
以下、本願発明の要旨たる上記処理ユニットXについて、その構成及び作用効果等を詳述する。
【0024】
上記処理ユニットXは、図3及び図4に示すように、ケーシング1に破砕ヘッド3と掘削ヘッド4を取付けて構成される。
【0025】
上記ケーシング1は、上記地中杭Pの外径より所定寸法だけ大径の内径寸法を有する短管体で構成され、その周壁1cの軸心を挟んで径方向に対向する二位置には、排出口2がそれぞれ形成されている。この排出口2は、上記ケーシング1の下端1b近傍から上端1aに掛けて該ケーシング1の軸方向に沿って形成された切欠き開口で構成され、その下端2aから上端2b側に向けてその開口幅が次第に拡大し、上記ケーシング1の上端1d上において開口している。
【0026】
上記破砕ヘッド3は、上端部を六角軸状のジョイント部35とした支軸31の外周面に、180°の回転位相をもって一対のスクリュー32、33を取付けるとともに、該各スクリュー32、33の下端縁32a、33aには複数の破砕用ビット36が、該下端縁32a、33aの延出方向に所定ピッチで取付けられている。尚この破砕用ビット36は、上記スクリュー32、33に対して溶接にて固定的に、あるいはボルト締結によって着脱自在に、取付けられる。
【0027】
このように構成された上記破砕ヘッド3は、上記ケーシング1の上部内側に固定される。この場合、上記ケーシング1の周方向においては、上記破砕ヘッド3の各スクリュー32、33の下端縁32a、33aが上記ケーシング1の上記一対の排出口2、2の中間部位間に跨って直線状に延出するように、上記ケーシング1と破砕ヘッド3の周方向位置が相対的に設定されている。また、上記ケーシング1に軸方向においては、上記各スクリュー32、33の上端縁32c、33cが上記一対の上端1dに略合致し、上記ジョイント部35が上記ケーシング1の上端1dから上方へ突出するように、上記ケーシング1と破砕ヘッド3の軸方向位置が相対的に設定されている。そして、上記破砕ヘッド3は、上記各スクリュー32、33の外周縁32b、33bを上記ケーシング1の周壁1cの内面に対して溶接にて固定することで上記ケーシング1と一体化されている。
【0028】
尚、上記破砕ヘッド3の支軸31の下端部には噴射管5の一端5aが取付けられるとともに、該噴射管5は上記ケーシング1の周壁1cを貫通して外面側へ延出したのち、下方該へ折曲され、そのまま上記周壁1cに沿って下端1e側へ延出し、その他端5bは該下端1eの近傍において下方に向けて開口している。また、この噴射管5の一端5aは、上記破砕ヘッド3の支軸31の内部を通って上記ジョイント部35側へ延出し、該ジョイント部35側において該ジョイント部35に連結される上記オーガスクリュー56側に配置された供給管(図示省略)に連結され、該供給管側から送給される流体(具体的には、水と空気の混合流体)を上記噴射管5の他端5bから下方へ向けて噴流Jとして噴出するようになっている。
【0029】
上記掘削ヘッド4は、上記ケーシング1の下端1e部分の周囲に複数の掘削用ビット41を所定間隔で、且つ該掘削用ビット41の先端部分を上記下端1eから下方へ延出させた状態で、溶接にて固定的に、あるいはボルト締結により着脱自在に、取付けて構成される。
【0030】
以上のように上記ケーシング1と破砕ヘッド3と掘削ヘッド4を一体化して構成される上記処理ユニットXは、図2及び図4に示すように、上記破砕ヘッド3のジョイント部35を上記オーガスクリュー56の下端に着脱可能に取付けて使用される。従って、上記処理ユニットXは、上記オーガスクリュー56が上記オーガマシーン55によって回転駆動されることで、該オーガスクリュー56と共に一定方向(図2の矢印R方向)へ回転することになる。
【0031】
続いて、上記処理ユニットXを備えた上記破砕処理装置Zを使用して地中杭Pの破砕処理を行なう場合の作業手順、作用効果等について説明する。
【0032】
先ず、上記オーガマシーン55に上記回転筒体54を介して上記オーガスクリュー56を連結するとともに、該オーガスクリュー56の下端56bに上記処理ユニットXを装着し、且つ上記噴射管5を上記オーガスクリュー56側の供給管側に接続する。
【0033】
しかる後、上記オーガマシーン55を降下操作して、上記処理ユニットXを、土G中に埋設された地中杭Pの頂部側に被せる状態で対応させる。この状態で、上記オーガマシーン55を起動させて上記オーガスクリュー56と一体的に上記処理ユニットXを回転させるとともに、上記噴射管5から噴流Jを噴出させながら、上記オーガマシーン55を所要速度で降下させる。
【0034】
すると、上記処理ユニットXは、上記掘削ヘッド4の各掘削用ビット41による掘削作用と、上記噴射管5からの噴流Jによる掘削作用及び掘削土の軟化あるいは脆化作用等の相乗効果によって、上記地中杭Pの周囲の土Gが掘削されることで、次第に降下する。
【0035】
そして、上記破砕ヘッド3の破砕用ビット36が上記地中杭Pの頂部Paに到達した後は、該破砕用ビット36によって上記地中杭Pの頂部Paが破砕される。係る上記掘削ヘッド4による土Gの掘削作用と上記破砕ヘッド3による上記地中杭Pの破砕作用が同時進行し、上記地中杭Pはその頂部Pa側から先端Pb側に向かって順次破砕処理される。
【0036】
この場合、上記処理ユニットXの上記掘削ヘッド4による掘削で生じた掘削土のうち、上記ケーシング1の外周面とその外側に位置する掘削穴壁8の間の環状隙間9に生じた掘削土N1と、上記ケーシング1の内周面とその内側にある上記地中杭Pの外周面の間の環状隙間7に生じた後、上記排出口2を通って上記環状隙間9側へ排出される掘削土N2と、上記破砕ヘッド3による破砕により生じた破砕残材のうち、上記環状隙間7に落下した後、上記排出口2を通って上記環状隙間9側へ排出される比較的小塊の破砕残材M1の三者は、混合状態で上記環状隙間9内を上昇して上記処理ユニットXの上部側へ移動される。
【0037】
また、上記破砕ヘッド3による破砕により生じた破砕残材のうち、比較的大塊の破砕残材M2は該破砕ヘッド3のスクリュー32,33によって上記処理ユニットXの上部側へ移動される。
【0038】
そして、上記環状隙間9を通って上昇した掘削土N1、N2及び破砕残材M1の混合物と、上記破砕ヘッド3のスクリュー32,33によって上昇した破砕残材M2は、上記処理ユニットXの上部において更に混合して排出残材M0となり、上記オーガスクリュー56側に受け渡され、該オーガスクリュー56のスクリュー翼によって順次地上側へ排出される。係る作用によって、上記地中杭Pの破砕処理が順次進行されるものである。
【0039】
ここで、上記処理ユニットXは、上記ケーシング1と上記破砕ヘッド3及び上記掘削ヘッド4からなる一体構成とされ、上記オーガスクリュー56によって一体的に回転駆動される一方、上記ケーシング1の内側に存在する上記地中杭Pは非回転物であることから、上記ケーシング1の内周面とその内側にある上記地中杭Pの外周面の間の環状隙間7内に掘削土及び破砕残材が溜まってこれが固結すると回転摩擦力が増加し、それに伴って上記オーガマシーン55の回転負荷が増大し、場合によっては上記処理ユニットXの回転駆動力の不足により破砕処理作業そのものができなくなるという恐れがある。
【0040】
ところが、この実施形態の処理ユニットXにおいては、上記ケーシング1に上記排出口2が設けられ、上記環状隙間7に生じた破砕残材とか掘削土が上記排出口2を通して上記環状隙間9側へ排出されるようになっていることから、上記環状隙間7内での破砕残材等の固結が未然に且つ確実に防止され、延いては上記処理ユニットXの回転による上記地中杭Pの破砕処理作業が円滑に且つ継続的に行なわれ、延いては上記処理ユニットXによる破砕処理作業における信頼性が確保されるものである。
【0041】
また、この場合、上記排出口2を、上記ケーシング1の軸方向において上記破砕ヘッド3と重合し且つその上端が上記ケーシング1の上端1dに開口する切欠き開口で構成しているので、上記破砕ヘッド3での破砕によって発生する破砕残材の上記排出口2からの排出作用が上記ケーシング1の上端1dまでの上下方向に広い範囲で行なわれ、破砕残材の固結に起因する上記処理ユニットXの回転阻害がより確実に防止されることから、上述した上記排出口2を備えたことによる作用効果がより一層促進される。
【0042】
一方、上記処理ユニットXの形状面に着目すれば、上記ケーシング1が、上記オーガスクリュー56の下端に着脱自在に取付けられる上記破砕ヘッド3と一体化され、該破砕ヘッド3とともに上記オーガスクリュー56を介して回転駆動される構成であることから、
(イ) 例えば、従来のように、ケーシングを破砕ヘッドと別体構成とし、オーガスクリューによって回転駆動される破砕ヘッド3とは別個に上記ケーシングを回転駆動させる構成とする場合に比して、駆動系の構造が簡略化されその低コスト化が図れる、
(ロ) 上記ケーシング1の軸長を可及的に短縮して処理ユニットXの小形軽量化を図ることができ、その結果、処理ユニットXの製造コストの低廉化が促進されるとともに、破砕処理作業における上記処理ユニットXの取り扱いが容易且つ簡便となり作業性及び作業能率の向上を図ることができる、
等の効果が得られる。
【0043】
尚、上記実施形態においては、上記排出口2を上記ケーシング1の軸心を挟んだ対向位置にそれぞれ設けているが、この排出口2の形成個数は限定されるものではなく、例えば、土質とか地中杭Pのコンクリート質等の各種の条件に応じて任意に設定可能である。また、上記排出口2の形状についても同様である。
【0044】
また、この実施形態では、上記オーガマシーン55と上記オーガスクリュー56を、上記回転筒体54を介して連結したものを示しているが、本願発明は係る構成に限定されるものではなく、他の実施形態においては、例えば、上記回転筒体54を備えることなく上記オーガスクリュー56を直接上記オーガマシーン55に連結した構成とすることもできるものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本願発明の実施の形態に係る地中杭の破砕処理装置の全体図である。
【図2】図1のII部の拡大図である。
【図3】図2に示した破砕ユニットの斜視図である。
【図4】図3に示した破砕ユニットの一部断面側面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ・・ケーシング
2 ・・排出口
3 ・・破砕ヘッド
4 ・・掘削ヘッド
5 ・・噴射管
7 ・・環状隙間
8 ・・掘削穴壁
9 ・・環状隙間
31 ・・支軸
32 ・・第1スクリュー
33 ・・第2スクリュー
35 ・・ジョイント部
36 ・・破砕用ビット
41 ・・掘削用ビット
50 ・・作業車両
51 ・・リーダ
52 ・・ガイドレール
54 ・・回転筒体
55 ・・オーガマシーン
56 ・・オーガスクリュー
G ・・土
J ・・噴流
P ・・地中杭
X ・・処理ユニット
Z ・・破砕処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転及び昇降駆動されるオーガスクリュー(56)の下端部(56a)に、地中杭(P)の径方向外側に嵌挿可能な内径寸法をもつ円管体で構成されるとともにその周壁(1c)には排出口(2)が設けられたケーシング(1)と、スクリュー(32、33)を備えるとともに該スクリュー(32、33)の下端縁(32a,33a)に複数の破砕用ビット(36)が設けられ且つ上記ケーシング(1)の上部(1a)の内周側にこれと同軸状に固定された破砕ヘッド(3)と、上記ケーシング(1)の下部(1b)にその周方向へ所定間隔で取付けられた複数の掘削用ビット(41)で成る掘削ヘッド(4)を備えた処理ユニット(X)を装着し、
上記掘削ヘッド(4)で上記地中杭(P)の径方向外側の土(G)を掘削しながら上記破砕ヘッド(3)で上記地中杭(P)の頂部(Pa)を破砕するとともに、上記ケーシング(1)の内周と上記地中杭(P)の外周との環状隙間(7)に侵入する破砕残材(M1)及び掘削土(N1)を上記排出口(2)から該ケーシング(1)の外周側へ排出させながら上記地中杭(P)の破砕処理を行なうことを特徴とする地中杭の破砕処理工法。
【請求項2】
請求項1において、
上記掘削ヘッド(4)の近傍の土に流体を噴射しながら掘削することを特徴とする地中杭の破砕処理工法。
【請求項3】
回転及び昇降駆動されるオーガスクリュー(56)の下端部(56a)に処理ユニット(X)を装着して構成される地中杭の破砕処理装置であって、
上記処理ユニット(X)が、
地中杭(P)の径方向外側に嵌挿可能な内径寸法をもつ円管体で構成されるとともにその周壁(1c)には排出口(2)が設けられたケーシング(1)と、
スクリュー(32、33)を備え且つ該スクリュー(32、33)の下端縁(32a,33a)には複数の破砕用ビット(36)が設けられるとともに上記ケーシング(1)の上記排出口(2)に対応する部位の内周側に固定された破砕ヘッド(3)と、
上記ケーシング(1)の下部(1b)にその周方向へ所定間隔で取付けられた複数の掘削用ビット(41)で成る掘削ヘッド(4)と備え、
上記破砕ヘッド(3)を介して上記オーガスクリュー(56)の下端に着脱自在に取付け可能とされていることを特徴とする破砕処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
上記排出口(2)が、上記ケーシング(1)の軸方向において上記破砕ヘッド(3)と重合し且つその上端が上記ケーシング(1)の上端(1d)に開口する切欠き開口で構成されていることを特徴とする破砕処理装置。
【請求項5】
請求項3又は4において、
上記処理ユニット(X)には、上記掘削ヘッド(4)の近傍に流体を噴射する噴射管(5)が備えられていることを特徴とする破砕処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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