説明

地中熱採熱システム

【課題】継続して地中熱を採熱可能な地中熱採熱システムを提供すること。
【解決手段】地中熱採熱システム1は、第1の地中熱採熱ユニット10と、第2の地中熱採熱ユニット20と、第1の搬出管13、33、14と、第2の搬出管23、33、24とを備える。第1の地中熱採熱ユニット10は、原地下水面S0よりも上方に地下水を揚水する第1の揚水井戸11と、第1の地下水枯渇領域T1(揚水によって低下した第1の低下水面S1と原地下水面S0とで囲まれた領域)に主に配設された第1の地中熱採熱管12とを有する。第2の地中熱採熱ユニット20は、第1の地下水枯渇領域T1の外側に設けられ、第1の地中熱採熱ユニット10と同様に構成されている。第1搬出管13〜14は第1揚水井戸11から揚水した地下水を第1地下水枯渇領域T1の外側に導き、第2搬出管23〜24は第2揚水井戸21から揚水した地下水を第2地下水枯渇領域の外側に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地中熱採熱システムに関し、特に継続して地中熱を採熱可能な地中熱採熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる地球環境問題を背景に、自然エネルギー活用の一形態として、地中熱を採取し利用するシステムが近年採用され始めている。地中熱を採取する手法として、内部に流体の熱媒体を流す地中熱採熱管を地中に埋設し、熱媒体と地中とで熱交換させるものがある。このような手法で地中熱を採熱する際、地中熱の採取が進むにつれて熱媒体と地中との温度差が小さくなり、やがて地中熱が採取できなくなる熱飽和の状態が生じ得る。この、熱飽和により地中熱の採熱が不能になることを回避するべく、地中熱採熱管周辺の地下水を揚水し、その地中熱採熱管の上方に放出して、地中熱採熱管まわりの地下水を流動させた地中熱採熱システムがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−24342号公報(図9等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の地中熱採熱システムでは、地下水を流動させた当初はよいものの、最終的には熱飽和してしまう場合があった。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑み、継続して地中熱を採熱可能な地中熱採熱システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る地中熱採熱システムは、例えば図1に示すように、揚水する前の地下水面である原地下水面S0よりも上方に地下水Gwを揚水する第1の揚水井戸11と、第1の揚水井戸11からの地下水Gwの揚水によって低下した地下水面である第1の低下水面S1と原地下水面S0とで囲まれた第1の地下水枯渇領域T1に主に配設された第1の地中熱採熱管12であって、地中熱と熱交換する熱媒体Hmを内部に流す第1の地中熱採熱管12と、を有する第1の地中熱採熱ユニット10と;地表から見て第1の地下水枯渇領域T1の外側に設けられた第2の地中熱採熱ユニット20であって、原地下水面S0よりも上方に地下水Gwを揚水する第2の揚水井戸21と、第2の揚水井戸21からの地下水Gwの揚水によって低下した地下水面である第2の低下水面S2(例えば図3参照)と原地下水面S0とで囲まれた第2の地下水枯渇領域T2(例えば図3参照)に主に配設された第2の地中熱採熱管22であって、地中熱と熱交換する熱媒体Hmを内部に流す第2の地中熱採熱管22と、を有する第2の地中熱採熱ユニット20と;第1の揚水井戸11から揚水した地下水Gwを、地表から見て第1の地下水枯渇領域T1の外側に導く第1の搬出管13、33、14と;第2の揚水井戸21から揚水した地下水Gwを、地表から見て第2の地下水枯渇領域T2(例えば図3参照)の外側に導く第2の搬出管23、33、24とを備える。
【0007】
このように構成すると、第1の地中熱採熱管における熱媒体と地中との交換熱量が少なくなったときに、第1の地中熱採熱管の周囲の地下水を第1の揚水井戸から揚水して、地表から見て第1の地下水枯渇領域の外側に導くことにより、新たな地下水を第1の地下水枯渇領域に誘導することができて再び第1の地中熱採熱管における熱媒体と地中との交換熱量を増加させることができると共に、第1の地下水枯渇領域が新たな地下水で満たされるまでは第2の地中熱採熱管において熱媒体と地中との熱交換を行わせることができて、継続して地中熱を採熱することができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様に係る地中熱採熱システムは、例えば図4に示すように、上記本発明の第1の態様に係る地中熱採熱システムにおいて、第1の揚水井戸11が複数本あり、複数の第1の揚水井戸11A、11Bの間に第1の地中熱採熱管12が配設されている。
【0009】
このように構成すると、複数の第1の揚水井戸から同時に地下水を揚水することで、第1の地下水枯渇領域の深部側をより拡大することが可能になり、第1の地中熱採熱管まわりの地下水の入れ替えをより確実に行うことが可能になる。
【0010】
また、本発明の第3の態様に係る地中熱採熱システムは、例えば図1に示すように、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る地中熱採熱システム1において、原地下水面S0よりも上方の、地表から見て第1の地下水枯渇領域T1の外側に設けられた浸透水槽25であって、導入した地下水を地中に浸透させる浸透水槽25を備え;第1の搬出管14の末端が浸透水槽25に接続されている。
【0011】
このように構成すると、浸透水槽に導入された地下水のヘッドで地下水を地中へ浸透させることができると共に、地下水を地中に戻すこととなって地下水の汲み上げによって生じる地盤沈下等の悪影響を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1の地中熱採熱管における熱媒体と地中との交換熱量が少なくなったときに、第1の地中熱採熱管の周囲の地下水を第1の揚水井戸から揚水して、地表から見て第1の地下水枯渇領域の外側に導くことにより、新たな地下水を第1の地下水枯渇領域に誘導することができて再び第1の地中熱採熱管における熱媒体と地中との交換熱量を増加させることができると共に、第1の地下水枯渇領域が新たな地下水で満たされるまでは第2の地中熱採熱管において熱媒体と地中との熱交換を行わせることができて、継続して地中熱を採熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る地中熱採熱システムの、一方の地中熱採熱ユニット側の地下水面が低下した状態を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る地中熱採熱システムの構成要素の図であり、(a)は地中熱採熱ユニットの平面図、(b)は地中熱採熱管の透視斜視図、(c)は変形例に係る地中熱採熱管の透視斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る地中熱採熱システムの、他方の地中熱採熱ユニット側の地下水面が低下した状態を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態の変形例に係る地中熱採熱システムを構成する地中熱採熱ユニットの部分概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
まず、図1を参照して、本発明の実施の形態に係る地中熱採熱システム1を説明する。図1は、地中熱採熱システム1の概略構成図である。地中熱採熱システム1は、第1の地中熱採熱ユニットとしての第1採熱ユニット10と、第2の地中熱採熱ユニットとしての第2採熱ユニット20と、第1の搬出管を構成する第1搬出管13、14と、第2の搬出管を構成する第2搬出管23、24と、共通搬出管33と、第1水槽15と、第2水槽25とを備えている。共通搬出管33は、第1の搬出管の一部及び第2の搬出管の一部を兼ねるものである。本実施の形態では、第1採熱ユニット10と第2採熱ユニット20とが、同様の構成となっている。
【0016】
第1採熱ユニット10は、第1の揚水井戸としての第1揚水井戸11と、第1の地中熱採熱管としての第1採熱管12とを有している。第1採熱ユニット10は、地表Gsよりも下部である地中に設置されている。本実施の形態では、第1揚水井戸11及び第1採熱管12が帯水層に埋設されている。帯水層は、地層を構成する粒子の間隙が大きく、地下水によって飽和されている透水層である。地下水は、地質(地層)に応じて被圧地下水又は自由地下水となっている。本実施の形態では、地中に原地下水面S0が存在している。原地下水面S0は、地下水Gwが揚水井戸を介して揚水される前の地下水面である。本実施の形態の第1採熱ユニット10は、1本の第1揚水井戸11と複数本の第1採熱管12とを有している。
【0017】
第1揚水井戸11は、揚水ポンプ11p及びこれに接続された揚水管11vがスリーブ11sの中に配設されて構成されている。スリーブ11sは、典型的には円筒状の部材でその軸線が鉛直になるように配設されている。スリーブ11sは、典型的には、地下水Gwは通すが土を通さないスリット状の細孔が側面に形成されているが、細孔はなくてもよい。スリーブ11sの内部は、土が入らずに地下水Gwが充填されており、原地下水面S0が現れるようになっている。本実施の形態では、スリーブ11sの上端が第1水槽15の底面により塞がれている。揚水ポンプ11pは、原地下水面S0よりも深部の帯水層に設置されており、例えば原地下水面S0から30m〜60mの深さに設置されている。揚水管11vは、一端が揚水ポンプ11pの吐出側に接続されており、他端が第1水槽15の底面を貫通している。
【0018】
第1揚水井戸11が1本である本実施の形態では、揚水ポンプ11pの起動により地下水Gwが揚水されると、第1揚水井戸11まわりの地下水面が低下して、第1揚水井戸11上のある点を頂点とする逆円錐状の地下水面が現れる。この、第1揚水井戸11からの地下水Gwの揚水によって低下した地下水面を第1の低下水面S1といい(以下「第1低下水面S1」という。)、原地下水面S0と第1低下水面S1とによって囲まれた領域を第1の地下水枯渇領域である第1枯渇領域T1ということとする。原地下水面S0と第1低下水面S1とは、同時に現れずに時間差で現れるが、第1枯渇領域T1の概念における原地下水面S0は揚水開始前のものとして考える。第1枯渇領域T1は、第1揚水井戸11からの地下水Gwの揚水によって出現し、揚水前には出現していない。
【0019】
第1採熱管12は、地中熱を利用場所に搬送する熱媒体Hmを内部に流す部材であり、典型的には軸線を鉛直に向けて、第1枯渇領域T1に主に配設されている。「主に配設され」とは、表面積の少なくとも半分以上が、好ましくは70%以上が、より好ましくは90%以上が第1枯渇領域T1に存在する状態である。第1採熱管12の全体が第1枯渇領域T1に存在(つまり表面積の100%が第1枯渇領域T1に存在)していてもよい。
【0020】
ここで図2を参照して第1採熱管12の詳細を説明する。図2は、地中熱採熱システム1の構成要素である第1採熱管12まわりを説明する図であり、(a)は第1採熱ユニット10の平面図、(b)は第1採熱管12が透明であると仮定したときの透視斜視図である。まず、図2(a)を参照して第1採熱管12の平面的な配置について説明する。本実施の形態では、地表から見て(平面視において)正方形の第1水槽15を囲むように、8本の第1採熱管12が配設されている。第1水槽15の中央(対角線の交点)には第1揚水井戸11が配設されている。隣り合う第1採熱管12の間の距離L1は、隣接する第1採熱管12における熱媒体Hmと地中との熱交換に影響を与えない距離以上とすることが好ましい。また、第1揚水井戸11と第1採熱管12との距離は、第1低下水面S1(図1参照)が逆円錐状となることに鑑みて、第1採熱管12の表面積が第1枯渇領域T1(図1参照)に極力多く存在することとなる距離にとどめることが好ましい。これらの事情を考慮して、本実施の形態では、隣り合う第1採熱管12の軸線間の距離L1を4〜5m、第1揚水井戸11を中心とする半径L2が7.1mの仮想円の中にすべての第1採熱管12の軸線が含まれる態様で、第1採熱管12を配設している。なお、距離L1は、地質の熱伝導率によって適宜調節することができ(例えば熱伝導率が小さければ間隔を狭くする)、それに応じて半径L2も調節することができる。
【0021】
図2(b)に示すように、第1採熱管12は、地中に接する外管12sと、外管12s内に配設されて外管12sに熱媒体Hmを導入する導入管12cと、外管12sの上部側壁に接続されて外管12s内の熱媒体Hmを第1採熱管12の外に導出する導出管12dとを有している。本実施の形態では、導入管12cが外管12sと同軸に配設されている。導入管12cは、外管12s内の下部であって外管12sの底面のやや上方で下端が開口しており、上端は外管12sの上端に設けられた蓋(不図示)又は外管12sの上部側面を貫通して外管12sの外側に延びている。外管12sは、地中との熱伝達率を向上させる観点から比較的熱伝導率が高い材料である鋼管を用いるとよい。導入管12cは、導入管12c内外における熱媒体Hm間の熱伝達を抑制する観点から樹脂管を用いるのが好ましいが、強度を向上させる観点から鋼管を用いてもよい。図2(a)の平面図に示すように、複数の第1採熱管12のそれぞれは、導入管12cの上端が導入枝管41cに接続され、導出管12dが導出枝管46dに接続されている。各導入枝管41cは第1往管41に接続されており、1つの流路を構成する第1往管41から各導入枝管41cに熱媒体Hmが分配されるように構成されている。各導出枝管46dは第1還管46に接続されており、1つの流路を構成する第1還管46に各導出枝管46dからの熱媒体Hmが集合するように構成されている。熱媒体Hmは典型的には水であり、熱媒体Hmの系統は地中の地下水Gwと混合しないように構成されている。
【0022】
なお、図2(c)に示す変形例に係る第1採熱管12Aのように、第1採熱管12(図2(b)参照)における導出管12dに相当する導出管12eを、外管12sの側壁に接続することに代えて、外管12s内に導入管12cと並べて配設してもよい。このとき、導出管12eの下端は、導入管12cの下端よりも上方で、典型的には外管12s内の極力上部で開口することが好ましい。また、導出管12eの上端は外管12sを貫通して外管12sの外側に延びている。
【0023】
再び図1に戻って、適宜図2を参照して、地中熱採熱システム1の構成の説明を続ける。第1水槽15は、導入した地下水Gwを地中に浸透させる浸透水槽である。第1水槽15は、例えば地中と接する面に透水シートや浸透孔を有していて内部の地下水Gwを外側の地中に浸透させることができるように構成されているが、その他公知の地下水を浸透可能な構造が採用されていてもよい。第1水槽15は、原地下水面S0よりも上方に設置されている。本実施の形態では、第1水槽15の底面も含めて全体が原地下水面S0よりも上方に設置されている。このように構成されていると、内部の地下水Gwを帯水層に拡散する際の位置ヘッドを大きくとることができる。第1水槽15の底面には上述のようにスリーブ11sが接触しているが、揚水管11vは第1水槽15の底面を貫通して第1水槽15内に配設された第1搬出管13に接続されている。
【0024】
第2採熱ユニット20は、本実施の形態では、上述のように第1採熱ユニット10と同一構造に構成されている。具体的には、第2採熱ユニット20は、第1採熱ユニット10の第1揚水井戸11及び第1採熱管12に対応する構成として、第2揚水井戸21及び第2採熱管22を有している。第2揚水井戸21は、第1揚水井戸11の揚水ポンプ11p、揚水管11v及びスリーブ11sに対応する、揚水ポンプ21p、揚水管21v及びスリーブ21sをそれぞれ有している。第2採熱管22は、第1採熱管12の外管12s、導入管12c及び導出管12dに対応する、外管22s、導入管22c及び導出管22dをそれぞれ有している。第2採熱ユニット20と第1採熱ユニット10とが、揚水ポンプ11p、21pの容量や浸透水槽のサイズ等も含めて同一構造(対称の配置も含む)であると、設計が共通となり、施工も容易になる。
【0025】
図3も併せて参照して理解されるように、第2採熱ユニット20においては、第1採熱ユニット10における第1低下水面S1及び第1枯渇領域T1に対応する概念として、第2の低下水面S2(第2揚水井戸21からの地下水Gwの揚水によって低下した地下水面であり、以下「第2低下水面S2」という。)及び第2の地下水枯渇領域である第2枯渇領域T2が存在する。第2枯渇領域T2は、原地下水面S0と第2低下水面S2とによって囲まれた領域である。また、スリーブ21sの上方の原地下水面S0よりも上方には、第2水槽25が設置されている。第2水槽25の底面にはスリーブ21sが接触しているが、揚水管21vは第2水槽25の底面を貫通して第2水槽25内に配設された第2搬出管23に接続されている。また、地表Gsから見て(平面視において)、第1採熱ユニット10は第2枯渇領域T2の外側に設けられており、第2採熱ユニット20は第1枯渇領域T1の外側に設けられている。
【0026】
第2採熱管22は、本実施の形態では、平面視において正方形の第2水槽25を囲むように8本が、典型的には軸線を鉛直に向けて、第2枯渇領域T2に主に配設されている。複数の第2採熱管22のそれぞれは、導入管22cの上端が導入枝管42cに接続され、導出管22dが導出枝管47dに接続されている。各導入枝管42cは第2往管42に接続されており、1つの流路を構成する第2往管42から各導入枝管42cに熱媒体Hmが分配されるように構成されている。各導出枝管47dは第2還管47に接続されており、1つの流路を構成する第2還管47に各導出枝管47dからの熱媒体Hmが集合するように構成されている。
【0027】
第1水槽15を通った第1搬出管13は、共通搬出管33及び第2搬出管24に接続されている。第2搬出管24の他端(末端)は第1水槽15内で開口している。第2搬出管24には、内部を流れる地下水Gwの流路を遮断可能な開閉弁24vが配設されている。共通搬出管33の他端は、第2水槽25側で第2搬出管23及び第1搬出管14に接続されている。第1搬出管14の他端は第2水槽25内で開口している。第1搬出管14には、内部を流れる地下水Gwの流路を遮断可能な開閉弁14vが配設されている。開閉弁14vを開けて開閉弁24vを閉じることで第1揚水井戸11から揚水された地下水Gwを第2水槽25に流入させることができ、開閉弁24vを開けて開閉弁14vを閉じることで第2揚水井戸21から揚水された地下水Gwを第1水槽15に流入させることができるように構成されている。このとき、共通搬出管33は第1の搬出管と第2の搬出管とを兼ねるので、イニシャルコストの低減及び施工の簡素化を図ることができる。
【0028】
地中熱採熱システム1は、熱源機器としてのヒートポンプチラー51をも備えている。ヒートポンプチラー51は、熱媒体Hmを熱源として冷温水CHの温度を調節する機器である。冷温水CHは、典型的には二次側配管49を介して冷房や暖房が行われる熱利用場所とヒートポンプチラー51との間を循環する。冷温水CHは、二次側ポンプ49pの起動により熱利用場所へ搬送されて利用され、熱が利用された後に再びヒートポンプチラー51に戻る。ヒートポンプチラー51には、二次側配管49のほか、熱媒体Hmを導出する主往管43と、熱媒体Hmを導入する主還管48とが接続されている。主還管48には、熱媒体Hmを流動させる熱媒体ポンプ48pが配設されている。なお、地中熱採熱システム1で用いられるヒートポンプチラー51は汎用品で足りる。
【0029】
主往管43の他端には、第1往管41及び第2往管42が接続されている。第1往管41は主往管43と各導入枝管41cとを仲介する配管であり、第2往管42は主往管43と各導入枝管42cとを仲介する配管である。第1往管41には、内部を流れる熱媒体Hmの流路を遮断可能な開閉弁41vが配設されている。第2往管42には、内部を流れる熱媒体Hmの流路を遮断可能な開閉弁42vが配設されている。主還管48の他端には、第1還管46及び第2還管47が接続されている。第1還管46は主還管48と各導出枝管46dとを仲介する配管であり、第2還管47は主還管48と各導出枝管47dとを仲介する配管である。第1還管46には、内部を流れる熱媒体Hmの流路を遮断可能な開閉弁46vが配設されている。第2還管47には、内部を流れる熱媒体Hmの流路を遮断可能な開閉弁47vが配設されている。
【0030】
引き続き図1乃至図3を参照して地中熱採熱システム1の作用を説明する。地中の帯水層の温度は、年間を通じて約15℃〜18℃程度で安定している。以下に、地中から冷熱を採取する例を説明する。当初、地下水Gwの水面は原地下水面S0にあり、原地下水面S0より上方の第1揚水井戸11及び第2用水井戸21は内部が空になっており、第1水槽15及び第2水槽25の内部が空になっている。第1採熱管12及び第2採熱管22は、熱媒体Hmの流路を構成するクローズド流路であるため、地下水Gwの水面変動にかかわらず熱媒体Hmが充満している。
【0031】
まず、第1採熱ユニット10側から冷熱を採取する場合を説明する。第1採熱ユニット10から地中熱を採熱する場合は、開閉弁41v及び開閉弁46vを開にし、開閉弁42v及び開閉弁47vを閉にする。この状態で熱媒体ポンプ48pを起動すると、熱媒体Hmは流動する。このとき、ヒートポンプチラー51の熱媒体Hmは、主往管43を介して第1往管41を流れ、各導入枝管41cに分配される。導入枝管41cに流入した熱媒体Hmは、第1採熱管12の導入管12cに流入する。このときの熱媒体Hmは、地中の温度よりも高い温度になっている。導入管12cを流れる熱媒体Hmは、下端の開口から外管12s内に流出し、上部に接続されている導出管12dに向かって上昇する。
【0032】
熱媒体Hmは、外管12s内を上昇しているときに地中と熱交換することにより地中熱を採熱する。ここでは、両者の熱交換により熱媒体Hmの温度が低下して地中の温度が上昇する。つまり、ここでの熱媒体Hmは、地中から冷熱を採熱する。冷熱を採取して温度が低下した熱媒体Hmは、導出管12dを介して第1採熱管12から流出し、導出枝管46dを流れて第1還管46に至る。第1還管46には、各導出枝管46dから熱媒体Hmが集合する。第1還管46を流れる熱媒体Hmは、主還管48を介してヒートポンプチラー51に流入する。ヒートポンプチラー51に流入した熱媒体Hmは、ヒートポンプチラー51内で冷凍サイクルを行う冷媒(不図示)を冷却し、自身は温度が上昇して、ヒートポンプチラー51から導出される。温度が上昇した熱媒体Hmは、上述の要領で、第1採熱管12に搬送され、地中との熱交換により冷却された後に再びヒートポンプチラー51に戻されるという作用を繰り返す。なお、ヒートポンプチラー51内で熱媒体Hmに冷却された冷媒(不図示)は、液体の状態で減圧されたうえで冷温水CHと熱交換し、蒸発する際の潜熱を冷温水CHから奪うことにより冷温水CHを冷却する。冷却された冷温水CHは、熱利用場所に搬送されて冷房等の利用(蓄熱を含む)に供される。地中熱の採熱は、地質にもよるが、およそ1日〜5日程度かけて、長い場合は半月程度かけて、さらに長い場合は1月程度かけて行われる。
【0033】
さて、上述の要領で熱媒体Hmが地中の冷熱を採取していると、地中の温度が次第に上昇して行き、地中と熱媒体Hmとの温度差が小さくなって、期待するほど地中の冷熱を採取することができなくなる。それでも地中熱の採熱を続けると、最終的には地中が熱的に飽和してしまい、地中の冷熱で熱媒体Hmを冷却することができなくなってしまう。このような不都合を回避するために、地中熱採熱システム1では、地中と熱媒体との交換熱量が低下してきたら、地中熱の採取先を第1採熱ユニット10から第2採熱ユニット20へと切り替える。地中熱の採取先を切り替えるタイミングは、ヒートポンプチラー51に流入する熱媒体Hmの温度を計測する温度センサ(不図示)を設け、その温度センサ(不図示)で計測した温度が所定の温度以下になったときに行ってもよく、あるいは熱媒体ポンプ48pを起動してから予め決められた時間が経過したときに行ってもよい。
【0034】
地中熱の採取先を切り替える際は、開閉弁42v及び開閉弁47vを開にし、次いで開閉弁41v及び開閉弁46vを閉にする。すると、ヒートポンプチラー51から流出して主往管43を流れる熱媒体Hmは、第2往管42を流れ、各導入枝管42cに分配される。導入枝管42cに流入した熱媒体Hmは、第2採熱管22の導入管22cに流入する。導入管22cを流れる熱媒体Hmは、下端の開口から外管22s内に流出し、上部に向かって上昇する。熱媒体Hmは、外管22s内を上昇しながら地中と熱交換し、熱媒体Hmの温度が低下して地中の温度が上昇する。冷熱を採取して温度が低下した熱媒体Hmは、導出管22dを介して第2採熱管22から流出し、導出枝管47dを流れて第2還管47に至る。各導出枝管47dから第2還管47に熱媒体Hmが集合し、第2還管47を流れる熱媒体Hmは、主還管48を介してヒートポンプチラー51に流入する。ヒートポンプチラー51に流入した熱媒体Hmは、ヒートポンプチラー51内で冷凍サイクルを行う冷媒(不図示)を冷却し、自身は温度が上昇して、ヒートポンプチラー51から導出され、以下同様の作用を繰り返す。
【0035】
このように、地中熱の採取先を第1採熱ユニット10から第2採熱ユニット20へ適切に切り替えることにより、継続して地中熱を採熱することができる。ところで、上述のように、熱媒体Hmとの交換熱量が減少した第1採熱ユニット10から、地中熱を採熱可能な第2採熱ユニット20に地中熱の採取先を切り替えた後、第1採熱ユニット10の第1採熱管12まわりの地中温度が元通りの地中熱を採熱可能な温度(例えば15℃〜18℃)に戻るまでには、相当の時間を要することが多い。第1採熱管12まわりの地中温度が地中熱を採熱可能な温度に戻る前に、第2採熱ユニット20の第2採熱管22まわりの地中が熱飽和してしまうと、継続した地中熱の採熱が困難になる。そこで、地中熱採熱システム1では、地中熱の採取先を第1採熱ユニット10から第2採熱ユニット20へと切り替えた後の適切な時期(典型的には第2採熱管22まわりの地中が熱飽和する前に第1採熱ユニット10の第1採熱管12まわりの地中温度が元通りになるタイミング)に、以下のような運転を行う。
【0036】
まず、開閉弁24vを閉じ、開閉弁14vを開けたうえで、揚水ポンプ11pを起動する。すると、揚水ポンプ11pによって揚水された地下水Gwは、第1採熱ユニット10側の第1搬出管13、共通搬出管33、第2採熱ユニット20側の第1搬出管14を流れて第2水槽25に流入する。これにより、地下水Gwの水面が、原地下水面S0から第1揚水井戸11を中心として徐々に低下して行き、いずれ図1に示すように第1低下水面S1となる。本実施の形態では、およそ1日〜2日程度かけて原地下水面S0から第1低下水面S1に低下する流量で揚水ポンプ11pを運転することとしている。地質にもよるが、一般に帯水層における地下水の含有率は10〜15%であるため、揚水ポンプ11pの吐出流量は比較的少なく、本実施の形態の揚水ポンプ11pは1.5kW〜2.2kW程度のもので足りる。さらに地下水Gwの流動速度を考慮して、第1枯渇領域T1分の地下水Gwを約1日〜2日程度かけて第1水槽15に搬送する。揚水ポンプ11pの起動により比較的温度が高い地下水Gwが第1搬出管14から第2水槽25に流入するが、第1搬出管14から第2水槽25に流入する地下水Gwの流量が少ないため、第2採熱管22まわりの地中熱の採熱に影響を及ぼさない。
【0037】
地下水Gwの水面が第1低下水面S1まで低下することで、第1採熱管12の主な部分のまわりの地下水Gwが一旦取り除かれて第1枯渇領域T1が現れる。このとき、揚水ポンプ11pで揚水された地下水Gwの搬送先である第2水槽25が、平面視において第1枯渇領域T1の外側に設置されているので、揚水ポンプ11pで揚水された地下水Gwが直ちに第1枯渇領域T1へとショートサーキットすることがない。第1採熱管12の主な部分のまわりの地下水Gwが取り除かれたら、揚水ポンプ11pを停止する。すると、第1低下水面S1まで低下した地下水Gwの水面は原地下水面S0まで戻ろうとし、第1枯渇領域T1の外側の地下水Gwが被圧により第1枯渇領域T1内に流入してくる。このとき、第2水槽25周辺は第2水槽25内の水位だけ位置ヘッドが加わっているが、一般にこの位置ヘッドよりも被圧の方が大きいため、第1枯渇領域T1外側の地下水Gwが第1枯渇領域T1内に入る。第2水槽25内の地下水Gwは、周囲の地中にゆっくりと拡散して行く過程で地中の温度(例えば15℃〜18℃)に近づいて行き、いずれ元の地中温度となる。地下水Gwが地中を流動する速度は地質により異なるが、本実施の形態では、揚水ポンプ11pを停止してからおよそ2日〜4日程度かけて、地下水Gwの水面が第1低下水面S1から原地下水面S0に戻る。新たに流入してきた第1採熱管12まわりの地下水Gwは、先に第1採熱管12まわりで行われた熱交換の影響を受けていないものなので、元の地中温度に戻っている。このように熱交換が行われた地下水Gwを入れ替えることで、入れ替えない場合に比べて早く地中温度を元の温度に戻すことができる。
【0038】
このように、第1採熱ユニット10側の地中温度が元に戻っていると、現在地中熱を採取している第2採熱ユニット20側の採取冷熱量が減少してきたときに、地中熱の採取先を第2採熱ユニット20から第1採熱ユニット10へと切り替えることにより、継続して地中熱を採熱することができる。そして、今度は第2採熱ユニット20側の地中温度を元に戻すべく、開閉弁14vを閉じ、開閉弁24vを開けたうえで、揚水ポンプ21pを起動して、揚水ポンプ21pで揚水した地下水Gwを第1水槽15に搬送し、地下水Gwの水面を図3に示すように第2低下水面S2まで低下させて、第2採熱管22の主な部分のまわりの地下水Gwを一旦取り除く。第2採熱管22の主な部分のまわりの地下水Gwが取り除かれたら、揚水ポンプ21pを停止して、第2枯渇領域T2の外側の地下水Gwを第2枯渇領域T2内に流入させ、第2採熱ユニット20側の地中温度を早期に元に戻す。このように、地中熱の採取先の切り替え及び地下水Gwの入れ替えを、第1採熱ユニット10側と第2採熱ユニット20側とで適宜行うことにより、安定的に継続して地中熱を採熱することが可能となる。なお、地下水Gwの入れ替えを考慮すると、地中熱の採取先を切り替えるタイミングは、上述した、温度センサ(不図示)で計測した温度が所定の温度以下になったときや、熱媒体ポンプ48pを起動してから予め決められた時間が経過したときのほか、揚水ポンプ11p(又は揚水ポンプ21p)を停止してから、第1枯渇領域T1(又は第2枯渇領域T2)に地中熱を採熱可能な程度に再び地下水Gwが満たされるまでの時間を予め計測しておいた、当該時間が経過したときとしてもよい。
【0039】
これまで説明したように、本発明の本実施の形態に係る地中熱採熱システム1は、従来のように単に地中熱採熱管まわりで地下水を循環させるのではなく、地中熱の採取先の切り替え及び地下水Gwの入れ替えを、第1採熱ユニット10側と第2採熱ユニット20側とで適宜行うので、安定的に継続して地中熱を採熱することができる。また、地下水Gwを直接ヒートポンプチラー51に導入せずに熱媒体Hmを介して地中熱を利用しているので、地下水Gwの揚水流量とヒートポンプチラー51への熱媒体Hmの導入流量とを個別に制御することができて安定した地中熱の採熱ができると共に、異物が混入した水がヒートポンプチラー51に導入されることを回避することができて熱源機器の長寿命化を図ることができる。
【0040】
以上では冷熱を採取する場合で説明したが、温熱を採取する場合も適用できることはいうまでもない。温熱を採取する際は、導入管12c、22cから外管12s、22sに流入する熱媒体Hmの温度が地中の温度よりも低くなっており、地中熱を採熱して温度が上昇した熱媒体Hmは、ヒートポンプチラー51においてヒートポンプサイクルを行う冷媒(不図示)に温熱を与えて自身は温度が低下することとなる。
【0041】
以上の説明では、地中熱採熱システム1は第1水槽15と第2水槽25とを備えているとしたが、第1(第2)揚水井戸11(12)から揚水した地下水Gwを第1(第2)枯渇領域T1(T2)の外側に導くこととすれば、第1水槽15及び/又は第2水槽25を設けずに、揚水した地下水Gwを直接地中に戻してもよく、あるいは揚水した地下水Gwを地中に戻す必要がない場合は生活用水等として使用してもよい。また、第1水槽15及び/又は第2水槽25を設ける場合も、例えば第1(第2)枯渇領域T1(T2)の外側に位置する建物のピットを第1(第2)水槽15(25)として用いてもよい。
【0042】
以上の説明では、スリーブ11s(21s)及び第1(第2)採熱管12(22)が、その軸線が鉛直になるように配設されているとしたが、軸線が斜めあるいは水平になるように配設されていてもよい。しかしながら、第1(第2)採熱管12(22)の主な部分のまわりの地下水Gwを取り除くのが容易となるように平面における地下水除去部分の面積を小さくする観点から及び地中熱採熱システム1の設置面積を小さくする観点から、軸線が鉛直になるように配設されていることが好ましい。
【0043】
以上の説明では、複数の第1採熱管12が地表から見て正方形に設置されているとしたが、第1揚水井戸11を中心とした半径L2の円周上に設置されていてもよく、あるいは第1枯渇領域T1内に主な部分が存在することとなれば熱汚染(ここでは、ある第1採熱管12が他の第1採熱管12によって地中との熱交換が阻害されることをいう。)を生じない範囲でランダムに設置されていてもよい。
【0044】
以上の説明では、地中熱採熱システム1がヒートポンプチラー51を備えることしたが、熱媒体Hmが保有する冷熱又は温熱を直接利用してもよい。また、熱源機器がヒートポンプチラー51であるとしたが、冷凍機等その他の熱源機器であってもよい。
【0045】
以上の説明では、第1採熱ユニット10が、地表から見て(平面視において)、1本の第1揚水井戸11を複数本の第1採熱管12が囲んで配置されているとしたが、以下のように構成されていてもよい。
図4は、本発明の実施の形態の変形例に係る地中熱採熱システムを構成する地中熱採熱ユニット(以下「第1採熱ユニット10A」という。)の部分概略構成図である。第1採熱ユニット10Aの、第1採熱ユニット10(図1〜3参照)と異なる点は、第1揚水井戸11(図1〜3参照)と同様の構成の揚水井戸を2つ備え(第1揚水井戸11A、11B)、2つの第1揚水井戸11A、11Bの間に第1採熱管12が設置されている点である。なお、図4では第1採熱管12が1本になっているが、図示されているのは最低限設置される第1採熱管12であり、実際には図示していない第1採熱管12も設置されている。このとき、典型的には、各第1揚水井戸11A、11Bをそれぞれ囲むように複数の第1採熱管12が設置されており、複数設置された第1採熱管12のうちの少なくとも1つ(典型的には複数)が2つの第1揚水井戸11A、11Bの間に設置される第1採熱管12となる。2つの第1揚水井戸11A、11Bの間隔は、距離L1(図2(a)参照)の1.3〜3倍程度、好ましくは2倍とするとよい。上記以外の第1搬出管13等の構成は第1採熱ユニット10(図1〜3参照)と同様である。
【0046】
上記のように構成された第1採熱ユニット10Aでは、熱媒体Hmと地中との交換熱量が減少して地中熱の採取先を第2の地中熱採熱ユニット側に切り替えたときに、2つの第1揚水井戸11A、11Bがそれぞれ有する揚水ポンプ11pA、11pBを同時に起動する。両揚水ポンプ11pA、11pBで地下水Gwが揚水されることによって、地下水Gwの水面が、原地下水面S0から徐々に低下して行き、いずれ図4に示すような第1低下水面S1Aとなる。第1採熱ユニット10Aにおける第1低下水面S1Aは、図4に示すように、2つの第1揚水井戸11A、11Bの間で水平に近い上方に凸のアーチ状となる。図4から明らかなように、第1採熱ユニット10Aでは、2つの第1揚水井戸11A、11Bの間の第1枯渇領域T1が、当該間の第1低下水面S1Aが下がる分だけ大きくなる。これにより、当該部分に設置された第1採熱管12のまわりの地下水Gwを取り除く部分を大きくすることができ、第1採熱管12のまわりの地下水Gwの入れ替えを確実に行うことが可能になる。なお、第2の地中熱採熱ユニット側も、第1採熱ユニット10Aと同様の構成の第2採熱ユニット20Aとしてもよい。
【0047】
以上の説明では、地中熱採熱システム1は第1採熱ユニット10(10A)と第2採熱ユニット20(20A)とが同様の構成となっているとしたが、第1(第2)揚水井戸11(21)及び/又は第1(第2)採熱管12(22)の配置や数、あるいは周囲の第1(第2)水槽15(25)の有無、第1(第2)搬出管13、14(23、24)の構成等を適宜変更して、第1採熱ユニット10(10A)と第2採熱ユニット20(20A)とが異なる構成となることとしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 地中熱採熱システム
10 第1採熱ユニット
11 第1揚水井戸
12 第1採熱管
13、14 第1搬出管
15 第1水槽
20 第2採熱ユニット
21 第2揚水井戸
22 第2採熱管
23、24 第2搬出管
25 第2水槽
33 共通搬出管
Hm 熱媒体
S0 原地下水面
S1 第1低下水面
S2 第2低下水面
T1 第1枯渇領域
T2 第2枯渇領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚水する前の地下水面である原地下水面よりも上方に地下水を揚水する第1の揚水井戸と、
前記第1の揚水井戸からの地下水の揚水によって低下した地下水面である第1の低下水面と前記原地下水面とで囲まれた第1の地下水枯渇領域に主に配設された第1の地中熱採熱管であって、地中熱と熱交換する熱媒体を内部に流す第1の地中熱採熱管と、
を有する第1の地中熱採熱ユニットと;
地表から見て前記第1の地下水枯渇領域の外側に設けられた第2の地中熱採熱ユニットであって、
前記原地下水面よりも上方に地下水を揚水する第2の揚水井戸と、
前記第2の揚水井戸からの地下水の揚水によって低下した地下水面である第2の低下水面と前記原地下水面とで囲まれた第2の地下水枯渇領域に主に配設された第2の地中熱採熱管であって、地中熱と熱交換する熱媒体を内部に流す第2の地中熱採熱管と、
を有する第2の地中熱採熱ユニットと;
前記第1の揚水井戸から揚水した地下水を、地表から見て前記第1の地下水枯渇領域の外側に導く第1の搬出管と;
前記第2の揚水井戸から揚水した地下水を、地表から見て前記第2の地下水枯渇領域の外側に導く第2の搬出管とを備える;
地中熱採熱システム。
【請求項2】
前記第1の揚水井戸が複数本あり、複数の前記第1の揚水井戸の間に前記第1の地中熱採熱管が配設された;
請求項1に記載の地中熱採熱システム。
【請求項3】
前記原地下水面よりも上方の、地表から見て前記第1の地下水枯渇領域の外側に設けられた浸透水槽であって、導入した地下水を地中に浸透させる浸透水槽を備え;
前記第1の搬出管の末端が前記浸透水槽に接続された;
請求項1又は請求項2に記載の地中熱採熱システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−80644(P2011−80644A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231855(P2009−231855)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(307018405)株式会社エコ・パワー (19)
【Fターム(参考)】