説明

地図印刷装置

【課題】経路を含む地図を複数枚に分割して印刷するときに、地図を必要最小限の用紙枚数で印刷する地図印刷装置を提供する。
【解決手段】この地図印刷装置は、出発地から目的地までの経路を含む地図画像データおよび経路データを記憶する地図情報記憶部と、印刷する用紙サイズを入力する入力部と、前記地図画像データを前記用紙サイズのページに分割する分割部と、前記経路データに基づいて、経路を含むページを判定する判定部と、前記地図画像データに経路を合成した経路付きの地図画像データから前記経路を含むページを切り出して印刷する印刷部と、を備え、出発地から目的地までの経路を合成した地図を印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地までの経路の地図を印刷する地図印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地図情報を利用するユーザは、書籍としての携帯地図を利用するよりも、地図ソフトウェアを使用して、あるいはインターネットを介して地図情報を提供するWebサービスを使用して出発地から目的地までの経路を検索し、検索結果を印刷して利用する機会が増えている。
【0003】
例えば、特許文献1では、道案内システムのサーバから転送された目的地までの経路を含む地図情報と各交差点/分岐点における情報に基づいて、1画面上にレイアウトして印刷出力している。
【0004】
また、地図情報を提供するWebサービスとしては、例えば、Google(登録商標)マップなどがあり、インターネット上で出発地と目的地とを入力することによって経路を検索し、その経路を含む地図を印刷できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−337192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のシステムでは、出発地から目的地までの経路を含む地図を印刷する場合、その地図が用紙サイズより大きければ、用紙内に入るように大縮尺に変更して印刷するか、または、地図を分割して複数の分割地図を印刷することになる。
【0007】
しかし、大縮尺に変更して印刷すると、小縮尺にあった詳細な情報が少なくなるという問題がある。
また、検索結果の地図を分割して印刷すると、詳細な情報は印刷されるが、経路を全く含まない無駄なページの印刷が増えるという問題がある。
【0008】
本発明は、上述の実情を考慮してなされたものであって、経路を含む地図を複数枚に分割して印刷するときに、地図を必要最小限の用紙枚数で印刷する地図印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の地図印刷装置は、出発地から目的地までの経路を含む地図画像データおよび経路データを記憶する地図情報記憶部と、印刷する用紙サイズを入力する入力部と、前記地図画像データを前記用紙サイズのページに分割する分割部と、前記経路データに基づいて、経路を含むページを判定する判定部と、前記地図画像データに経路を合成した経路付きの地図画像データから前記経路を含むページを切り出して印刷する印刷部と、を備え、出発地から目的地までの経路を合成した地図を印刷する。
【0010】
前記印刷部において、印刷するページの隣接関係を示す接続マークを前記経路付きの地図画像データの隣接する各ページ端に合成して印刷するようにし、ページのつながりが分かりにくくなった全体の地図を復元し易くなる。
【0011】
さらに、前記地図画像データを所定の縮小率で縮小した地図画像データに対して、経路を含むページ数が縮小前よりも減少した場合、前記縮小した地図画像データを印刷するか否かを問い合わせ、ユーザの指定に応じて、前記縮小した地図画像データまたは縮小前の地図画像データを印刷する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、経路を含む地図を複数枚に分割して印刷するときに、経路を含まないページを印刷しないので、地図を必要最小限の用紙枚数で印刷することができ、用紙やトナー(インク)を節約することができる。
また、各ページのつながりを示すためのマークを付加したので、印刷後の地図を便利に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】地図の座標系およびページ分割を説明する図である。
【図2】地図を分割印刷したときの印刷イメージを示す図である。
【図3】実施形態に係る地図印刷装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】分割ページ情報記憶部の内容を説明する図である。
【図5】接続番号を設定した分割ページ情報記憶部の内容を説明する図である。
【図6】実施形態に係る地図印刷装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】地図を縮小し分割印刷したときの印刷イメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の地図印刷装置に係る好適な実施形態について説明する。
【0015】
(処理概要)
本発明の地図印刷装置の処理概要について説明する。
予め、ユーザは、既存の経路検索システム等によって、出発地、目的地や経由地等を設定して経路探索を行い、その結果の地図情報を本地図印刷装置の記憶部に記憶させる。
この経路検索システムでは、経由地を含む地図画像イメージおよび経路データ等を地図情報として出力する。
【0016】
ユーザが記憶部に記憶されている地図情報の印刷を地図印刷装置に指示すると、地図印刷装置は、例えば、図1のように地図画像を印刷用紙サイズで複数のページに分割し、出発地、経路、目的地を含むページだけを抽出して、各ページの接続が分かるように接続マークを合成して印刷する。この接続マークは、どのページがどのページ端で隣接しているかを示すマークであり、そのマークには同じ接続番号を付けてある(図2参照)。
する。
【0017】
図1の場合には、ページ1,2,8には、出発地、経路、目的地のいずれも含まれていないため、図2に示すようにページ3,4,5,6,7が印刷される。この印刷された各ページには、隣接したページが印刷されていることを示す接続マークが追加されて印刷される。
例えば、ページ3とページ4とは隣接するため、同じ接続番号(3)を持った接続マークがページ端のつながり部分に印刷される。
【0018】
このように、経路を含まないページを印刷しないので、必要最小限の用紙枚数で地図を印刷することができ、用紙やトナー(インク)を節約することができる。
また、各ページのつながりを示すための接続マークを付加したので、印刷後の地図の利用に便利である。
【0019】
(地図印刷装置のハード構成)
本発明の実施形態に係る地図印刷装置は、図3に示すように、制御部1、操作部2、記憶部3、印刷部4を備え、バスを介して各部が接続されている。
【0020】
制御部1は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、記憶部3から各種制御プログラムや設定情報を読み込んで実行することにより、当該地図印刷装置の備える諸機能を実現する。
【0021】
操作部2は、ユーザの操作入力を受付けるための複数の操作キーと、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等で構成され、操作キーにより印刷指示、選択指示、印刷のための各種設定が行われ、LCDにより途中経過や処理結果等が表示される。
【0022】
記憶部3は、ハードディスク等の大容量の記憶装置で構成され、当該地図印刷装置の各種制御プログラム、各種制御プログラムで使用される固定情報、印刷対象となる地図情報(後述)、当該地図印刷装置を使用した時のユーザが設定した設定情報、あるいは、当該地図印刷装置の実行状態における状態情報等を記憶する。
印刷部4は、プリンタ等で構成され、制御部1が生成した複数のページに分割された地図を用紙に印刷する。
【0023】
(地図印刷装置の機能構成)
以下、本発明の実施形態に係る地図印刷装置について詳細に説明する。
尚、本実施形態で印刷される地図は、図1に示したように複数のページに分割されるものとし、このページの番号は、左から右へ、上から下へ1から順番に振られるものとする。
また、座標系は、印刷する地図画像の左上隅を原点座標(0,0)とし、それぞれ右方向をX軸の正方向、下方向をY軸の正方向とする。
また、用紙のサイズや向きは、ユーザによって指定されるが、用紙の向きを縦方向、用紙サイズを横wピクセル、縦hピクセルとして表現する。
【0024】
本実施形態の地図印刷装置の機能構成は、図3に示した通り、経路情報取得部1a、地図分割部1b、接続マーク計算部1c、地図印刷部1d、地図情報記憶部3a、分割ページ情報記憶部3bを備えている。
【0025】
まず、記憶部3に記憶される内容について説明する。
地図情報記憶部3aは、ユーザが経路検索システムから取得した地図情報を記憶する。この地図情報は、印刷対象の地図全体の画像イメージ、この画像イメージの縦および横のピクセル数、地図の縮尺、地図画像の左上隅の緯度および経度、地図画像の右下隅の緯度および経度、出発地および目的地を含めた経路データである。この経路データは、例えば、緯度と経度で表わされる始点と終点の対の情報のリストからなっている。
【0026】
分割ページ情報記憶部3bは、上記の地図画像イメージを印刷用紙サイズで印刷用紙の向きにあわせて分割したときの、各ページのページ領域を示す座標値、ページを印刷するか否かのフラグおよびそのページに隣接したページ等を管理するテーブルであり、次のようなデータ項目を記憶する(図4参照)。
【0027】
ID:分割されたページに対応する番号であり、本実施形態では、左から右へ、上から下へ1から順番に付番する。
ページ領域:ページの左上隅のX、Y座標値と右下隅のX、Y座標値である。この座標値は、地図画像の座標系の原点からの相対座標値で表現されるピクセル値である。
フラグ:ページが出発地、経路、目的地の何れかを含んでいる場合は、1が設定され、何れも含んでいない場合にはゼロが設定される。
隣接ページID:ページの4方向(上、下、左、右)に隣接するページのIDが設定される。この値がゼロのときには、隣接するページが存在しないか、または、印刷されないページであることを示す。また、この隣接ページIDとフラグを用いて接続マークに付される接続番号が算出される。
【0028】
次に、制御部1の各処理部の機能について説明する。
経路情報取得部1aは、ユーザが印刷したい出発地から目的地までの経路を含む地図情報、印刷用紙のサイズ(例えば、A6,A5,A4,B5等)、用紙の向き(縦または横)および出力解像度(dpi)を指定する。
【0029】
地図分割部1bは、経路情報取得部1aで指定された地図情報と指定された用紙サイズと向きと出力解像度(dpi)に基づいて、地図画像イメージの分割結果を分割ページ情報記憶部3bに記憶する。
【0030】
分割は、地図画像イメージの縦および横のピクセル数を印刷用紙の縦および横のピクセル数で除算して、縦方向および横方向に必要なページ数を算出する。
このページ数をもとにして、左から右へ、上から下へ1から順番にページ番号をIDとして振るとともに、各ページの左上隅の座標値と右下隅の座標値を計算して、分割ページ情報記憶部3bに記憶する。
【0031】
また、分割された各ページについて、ページの4方向(上下左右)に隣接したページのIDを設定し、隣接するページが存在しない場合には、ゼロを設定する。
次に、経路データから経路の始点および終点を表わす緯度と経度に該当するX,Y座標値を含むページのフラグに1を設定し、経路を含まないページのフラグにはゼロを設定する。
以上により、図1の地図データに対して、分割ページ情報記憶部3bは図4のように設定される。
【0032】
接続マーク計算部1cは、隣接したページがわかり易いように、接続マークに振られる接続番号が同じ番号になるように分割ページ情報記憶部3bの隣接ページIDを再設定する。
この再設定は、分割ページ情報記憶部3bのフラグが1のページに対して、左右に隣接したページの隣接ページIDおよび上下に隣接したページの隣接ページIDをそれぞれページ番号の小さい方のページ番号(ID)に置き換える。このとき、隣接するページが印刷対象となっていない場合には、隣接ページIDにゼロを設定する。
【0033】
例えば、ページ3とページ4とは左右に隣接しているので、それらの左右の隣接ページIDを3とする。同様にして、ページ3とページ7とは上下に隣接しているので、それらの上下の隣接ページIDを3とする。
これにより、分割ページ情報記憶部3bは、図5のように再設定される。
【0034】
尚、上記の方法で再設定すると、上下の接続番号と左右の接続番号が同じになるので、異なる番号を振ってもよい。この場合、印刷用紙が正方形のときに、全体地図を復元し易くなる。
【0035】
地図印刷部1dは、地図画像イメージに経路データに基づいて経路を書き込み、分割ページ情報記憶部3bを参照して、フラグが1のページ領域に該当する部分を切り出し、隣接ページID(接続番号)がゼロでない方向(上下左右のいずれか)のページ端のつながりの部分に予め設定された形式で接続番号を持つ接続マークを合成し、印刷部4により印刷用紙に印刷する。
【0036】
このように、接続マークに接続番号を合成してあるので、同じ番号の接続マークをつなげれば、分割前の地図を再現することができる。
【0037】
次に、図6のフローチャートを用いて、本実施形態に係る地図印刷装置の動作を説明する。
まず、ユーザが印刷したい経路を含む地図情報、印刷用紙のサイズ、用紙の向きおよび出力解像度(dpi)を指定する(ステップS1)。
【0038】
指定された地図情報と用紙サイズと向きと出力解像度(dpi)に基づいて、地図画像イメージを分割し、地図画像イメージにおける各ページが存在する領域の座標と、ページの隣接関係を設定する(ステップS2)。
【0039】
次いで、すべての経路の始点と終点について、この始点と終点を含むページを判別する(ステップS3)。
経路を含むページについて、隣り合ったページ同士に振られる接続番号を同じ番号に置き換える(ステップS4)。
地図画像イメージにすべての経路を書き込んで、経路を含むページをすべて切り出し、これらのページに接続番号を持つ接続マークを合成し、印刷用用紙に印刷する(ステップ5)。
【0040】
以上のように実施形態を構成することによって、経路を含まないページを印刷しないので、必要最小限の用紙枚数で地図を印刷することができ、用紙やトナー(インク)を節約することができる。
また、各ページのつながりを示すための接続マークを付加したので、印刷後に全体の地図を復元しやすくなる。
【0041】
<変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。例えば、以下のような変形例が可能である。
【0042】
変形例1:上記の実施形態の場合、図1の例では、図2のようにページ4には経路の一部分が印刷されることになるが、図7のように少しだけ縮小すれば、そのページ4に印刷された経路の一部分が他のページ(この場合は、ページ3)に含まれ、印刷ページ数が少なくなるときがある。
【0043】
この場合には、ユーザの指定した地図画像イメージを所定の縮小率(例えば、90%の固定値またはユーザによる指定)によって縮小した地図画像イメージに対して、上記の地図分割部1bと同様の処理によってページに分割し、経路を含む印刷ページ数を算出し、印刷ページ数の少ない分割地図を印刷する。
【0044】
あるいは、縮小後の印刷ページ数が縮小前の印刷ページ数より少ない場合には、この印刷ページ数の差分と縮小後の地図全体を表示し、いずれの地図を印刷するかを問い合わせ、指定された縮小後または縮小前のいずれかの分割地図を印刷するようにしてもよい。
【0045】
変形例2:ユーザから経路付きの地図画像イメージと経路データを受け取って、経路データに基づいて経路を含むページを判定しながら切り出して印刷するようにしてもよい。
【0046】
変形例3:上記の実施形態では、本装置外で経路探索を行うものとしたが、経路検索を含めて本装置内で行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1…制御部、1a…経路情報取得部、1b…地図分割部、1c…接続マーク計算部、1d…地図印刷部、2…操作部、3…記憶部、3a…地図情報記憶部、3b…印刷ページ情報記憶部、4…印刷部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発地から目的地までの経路を含む地図画像データおよび経路データを記憶する地図情報記憶部と、印刷する用紙サイズを入力する入力部と、前記地図画像データを前記用紙サイズのページに分割する分割部と、前記経路データに基づいて、経路を含むページを判定する判定部と、前記地図画像データに経路を合成した経路付きの地図画像データから前記経路を含むページを切り出して印刷する印刷部と、を備えることを特徴とする出発地から目的地までの経路を合成した地図を印刷する地図印刷装置。
【請求項2】
前記印刷部は、印刷するページの隣接関係を示す接続マークを前記経路付きの地図画像データの隣接する各ページ端に合成して印刷することを特徴とする請求項1に記載の地図印刷装置。
【請求項3】
前記地図画像データを所定の縮小率で縮小した地図画像データに対して、経路を含むページ数が縮小前よりも減少した場合、前記縮小した地図画像データを印刷するか否かを問い合わせることを特徴とする請求項1または2に記載の地図印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−107525(P2011−107525A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264162(P2009−264162)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】