説明

地図情報提供装置、地図情報提供方法、及びプログラム

【課題】 散在する地図情報を有効に活用する地図情報提供システムを提供する。
【解決手段】 3D地図提供サーバ10は、ネットワークを介して、複数の地図提供システム90に接続している。複数の地図提供システム90それぞれは、互いに異なる地図情報を提供しており、3D地図提供サーバ10は、これらの地図提供システム90から提供される地図情報を合成して3D地図情報を生成し、生成された3D地図情報をユーザ端末30に提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上で様々な地図情報提供サービスが行われている。その際に、同一の地域について、それぞれ独立に地図情報を提供している場合がある。また、地図情報提供サービスのサービス主体によって、都市部が得意であったり、山間部が得意であったり、河川及び海岸線が得意であったりする。
なお、特許文献1には、道路台帳、地下埋設物台帳、施設台帳等に含まれる図形データを複合化する地域情報統合システムが開示されている。
また、特許文献2には、実際の測位特性値と各地図情報提供サービスサーバが有する地図特定値を比較して、複数の地図情報提供サービスサーバの中から、最適な地図情報提供サービスサーバを選択する空間情報提供システムが開示されている。
【特許文献1】特開2003−77000号公報
【特許文献2】特開2004−177330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、散在する地図情報を有効に活用する地図情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかる地図情報提供装置は、解像度が異なる複数の地図情報の中から、少なくとも1つの地図情報を抽出する地図抽出手段と、前記地図抽出手段により抽出された地図情報に基づいて、三次元の地図情報を生成する地図生成手段と、ユーザから、地球上の領域の指定を受け付ける領域指定手段と、前記領域指定手段により受け付けた領域指定に応じて、前記地図生成手段により生成された地図情報を前記ユーザに提供する提供手段とを有する。
【0005】
好適には、前記地図抽出手段は、解像度の異なる複数の三次元地図情報が存在する場合に、これら複数の三次元地図情報を抽出し、前記地図生成手段は、抽出された複数の三次元地図情報に基づく補間処理により、1つの三次元の地図情報を生成する。
【0006】
好適には、前記提供手段は、インターネットを介して、前記ユーザに地図情報を提供し、前記提供手段により提供される地図情報のデータ量に応じて、前記ユーザに対する課金情報を生成する課金情報生成手段をさらに有する。
【0007】
好適には、地図情報を記録する記録手段と、外部にある地図情報提供システムに対して既定のタイミングでアクセスし、この地図情報提供システムから取得した地図情報を用いて、前記記録手段に記録されている地図情報の少なくとも一部を更新する更新手段とをさらに有し、前記地図情報抽出手段は、前記記録手段から、地図情報を抽出する。
【0008】
好適には、前記地図生成手段により生成された三次元の地図情報に基づいて、災害のシミュレーションを行うためのシミュレーション情報を生成するシミュレーション情報生成手段をさらに有し、前記提供手段は、前記シミュレーション情報生成手段により生成されたシミュレーション情報を、前記地図生成手段により生成された三次元の地図情報に付加して提供する。
【0009】
また、本発明にかかる地図情報提供方法は、地図情報を提供する複数の地図情報提供システムそれぞれに対して既定のタイミングでアクセスして地図情報を取得し、取得された地図情報をデータベースに登録し、前記データベースに登録されている複数の地図情報の中から、少なくとも1つの地図情報を抽出し、抽出された地図情報に基づいて、三次元の地図情報を生成し、生成された地図情報をユーザに提供する。
【0010】
また、本発明にかかるプログラムは、地図情報を提供する複数の地図情報提供システムそれぞれに対して既定のタイミングでアクセスして地図情報を取得するステップと、取得された地図情報をデータベースに登録するステップと、前記データベースに登録されている複数の地図情報の中から、複数の地図情報を抽出するステップと、抽出された複数の地図情報に基づいて、三次元の地図情報を生成するステップと、生成された地図情報をユーザに提供するステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、散在する地図情報を有効に活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[システム構成]
まず、地図提供システム1の全体構成を説明する。
図1は、地図提供システム1の構成を例示する図である。
図1に例示するように、地図提供システム1は、3D地図提供サーバ10、編集サーバ20、及びユーザ端末30を有する。
3D地図提供サーバ10は、コンピュータ端末であり、図1に例示するように、インターネット等のネットワークを介して、複数の地図提供システム90に接続している。複数の地図提供システム90それぞれは、互いに異なる地図情報を提供している。地図情報とは、例えば、三次元空間または二次元平面における座標を特定するための情報である。本例では、第1の地図提供システム90Aが90mメッシュの3D地図情報(すなわち、地表面の空間座標)を提供し、第2の地図提供システム90Bが30mメッシュの3D地図情報(すなわち、地図提供システム90Aとは解像度の異なる空間座標)を提供し、第3の地図提供システム90Cが2Dの地図情報を提供し、本例の3D地図提供サーバ10は、これらの地図提供システム90から提供される地図情報を利用して、ユーザ端末30に所望の3D地図情報を提供する。なお、複数の地図提供システム90から提供される地図情報の組合せは任意である。
編集サーバ20は、コンピュータ端末であり、地図情報を表示する表示ウインドウの編集を行う。本例では、編集サーバ20は、LAN等のネットワークを介して、ユーザ端末30に接続している。
ユーザ端末30は、コンピュータ端末であり、編集サーバ20に対して、表示ウインドウの編集を依頼する。また、ユーザ端末30は、編集サーバ20により作成された表示ウインドウを介して、3D地図提供サーバ10又は地図提供システム90から提供される地図情報を表示する。
【0013】
図2(A)は、3D地図提供サーバ10(図1)にインストールされる地図提供プログラム5の機能構成を例示し、図2(B)は、3D地図提供サーバ10により蓄積される地図情報を例示する図である。
図2(A)に例示するように、地図提供プログラム5は、更新部500、地図情報データベース(地図情報DB)510、地図抽出部520、地図生成部530、領域指定部540、シミュレーション部550、提供部560、課金情報生成部570、及び課金情報データベース(課金情報DB)580を有する。また、地図生成部530は、補間合成部532及びレイヤ合成部534を含む。
地図提供プログラム5の各機能構成は、例えば、CD−ROM等の記録媒体に記録されており、この記録媒体を介して3D地図提供サーバ10(図1)にインストールされる。また、地図提供プログラム5の機能構成は、ネットワークを介して、3D地図提供サーバ10にインストールされてもよい。
【0014】
地図提供プログラム5において、更新部500は、既定のタイミングで地図提供システム90(図1)にアクセスし、これらの地図提供システム90から提供される地図情報に基づいて、地図情報DB510に記録されている地図情報の少なくとも一部を更新する。ここで、既定のタイミングとは、例えば、直前のアクセスから既定時間経過したタイミング、又は、地図提供システム90における地図情報の更新を検知したタイミングなどである。本例の更新部500は、一定の時間間隔で各地図提供システム90にアクセスして、各地図提供システム90から提供される更新履歴に基づいて、更新された地図情報を地図提供システム90から取得し、取得された地図情報を地図情報DB510に登録する。
【0015】
地図情報DB510は、外部にある複数の地図提供システムそれぞれから提供された地図情報を記録する。本例の地図情報DB510は、図2(B)に例示するように、各地図提供システムから提供される地図情報(例えば、座標値、標高値、土地利用のパラメータなど)を、地図ID(地図提供システムを識別する情報)、地図情報が存在する領域、標高データの有無(すなわち、2D地図情報であるか3D地図情報であるかの区別)、地図の種類(例えば、座標のみからなる地形図、各座標点における植生が示された植生図、各座標点における土地の利用情報が示された土地利用図)、各地図情報の解像度(すなわち、地図の座標値が存在する間隔(メッシュサイズ))、及び、地図情報の最終更新日に対応付けて記録し、更新部500から入力される地図情報に基づいて、これらの情報を更新する。
【0016】
地図抽出部520は、解像度が異なる複数の地図情報の中から、少なくとも1つの地図情報を抽出し、抽出された地図情報を地図生成部530に出力する。本例の地図抽出部520は、地図情報DB510に記録されている複数の地図情報の中から、処理対象となる地域に関する地図情報を探索し、この地域に関して複数の地図情報が存在する場合には、これら複数の地図情報を抽出して地図生成部530に出力し、この地域に関して1つの地図情報しか存在しない場合には、この地図情報を抽出して地図生成部530に出力する。
【0017】
地図生成部530は、地図抽出部520により抽出された地図情報に基づいて、三次元の地図情報(3D地図情報)を生成し、生成された3D地図情報を地図情報DB510に登録する。より具体的には、地図抽出部520が処理対象となる地域に関して複数の3D地図情報を抽出した場合には、補間合成部532は、抽出された複数の3D地図情報を補間処理により合成する。補間処理は、例えば、線形補間法又は高次曲線により補間法により実現される。また、地図抽出部532が処理対象となる地域に関して1つの3D地図情報と少なくとも1つの2D地図情報(ニ次元地図情報)とを抽出した場合には、レイヤ合成部534は、抽出された3D地図情報に、抽出された2D地図情報をレイヤとして合成する。例えば、レイヤ合成部534は、領域指定部540からレイヤの合成を要求されると、要求されたレイヤの2D地図情報を地図抽出部520に抽出させ、抽出された2D地図情報を、3D地図情報に合成する。
【0018】
領域指定部540は、ユーザから、地球上の領域の指定を受け付け、指定された領域の3D地図情報を地図情報DB510から読み出し、読み出された3D地図情報を提供部560に出力する。本例の領域指定部540は、ニ次元の地図情報をユーザ端末30に表示させ、指定領域の範囲をユーザに指定させ、指定された領域の3D地図情報を地図情報DB510から読み出す。
【0019】
シミュレーション部550は、ユーザからシミュレーションを行うよう指示されている場合に、ユーザの指示に応じて、3D地図情報を用いたシミュレーションを行い、シミュレーション結果を3D地図情報に付加する。この場合、領域指定部540は、シミュレーション結果が付加された3D地図情報を提供部560に出力する。本例のシミュレーション部550は、領域指定部540が地図情報DB510から読み出した3D地図情報(すなわち、ユーザにより指定された領域の3D地図情報)を用いて、地すべりのシミュレーションを行い、シミュレーション結果を3D地図の表面に合成する。
【0020】
提供部560は、領域指定部540により受け付けた領域指定に応じて、地図情報DB510から読み出された3D地図情報(すなわち、地図生成部530により生成された地図情報)をユーザに提供する。本例の提供部560は、領域指定部540から入力された3D地図情報(シミュレーション結果が付与されている場合もある)をユーザ端末30に送信し、送信された3D地図情報のデータ量を課金情報生成部570に出力する。
【0021】
課金情報生成部570は、提供部560により提供された地図情報のデータ量に応じて、ユーザに対する課金情報を生成する。本例の課金情報生成部570は、提供部560により提供された3D地図情報から、3D地形図を構成する標高データ(DEMデータ)の数、及び、3D地形図に重ねたレイヤ(2D地図情報)の数を特定し、特定されたDEMデータ数及びレイヤ数から、地図情報の料金を算出し、算出された料金をユーザに対応付けて課金情報DB580に出力する。
課金情報DB580は、課金情報生成部570から入力された各料金(課金情報)をユーザに対応付けて記録する。課金情報DB580に記録された課金情報は、請求書の発行などに用いられる。
【0022】
図3及び図4は、補間合成部532による合成処理を説明する図である。
図3に例示するように、処理対象となる地域について、複数の3D地図情報(本図では、90mメッシュの地図と30mメッシュの地図)が重なり合うことなく存在している場合には、補間合成部532は、これらの3D地図情報の境界領域を、補間処理で合成する。例えば、図3の補間算出地点(2つの地図の境界領域にある地点)の標高データを算出する場合に、補間合成部532は、この補間算出地点の近傍にある標高データ(標高データA〜D)と、補間算出地点から各標高データの地点までの距離とに基づいて、この補間算出地点の標高データを算出する。すなわち、補間合成部532は、図3に例示するように、処理対象となる地域について、複数の3D地図情報が排他的に存在する場合に、これらの3D地図情報の境界領域を補間処理により連結させる。なお、本例の補間合成部532は、上記のような境界領域における補間処理だけでなく、処理対象となる地域全体において標高データが均等に並ぶように、それぞれの3D地図情報の領域内でも補間処理を行う。例えば、補間合成部532は、90mメッシュの地図の領域において、標高データが存在する点の間に、2点の標高データを補間処理によって追加して、90mメッシュの地図を30mメッシュの地図に変換してもよいし、30mメッシュの地図の領域において、標高データを間引くことにより、30mメッシュの地図を90mメッシュの地図に変換してもよい。また、標高データが存在する位置の位相が複数の地図でずれている場合には、補間合成部532が、補間処理によって、複数の地図について、位相を一致させてもよい。
また、図4に例示するように、処理対象となる地域について、複数の3D地図情報(本図では、白丸の座標データからなる3D地図情報と、黒丸の座標データからなる3D地図情報)が重なり合って存在している場合には、補間合成部532は、これら複数の3D地図情報を重ね合わせ、座標点以外の領域を補間処理で補間する。例えば、図4の補間算出地点(2つの地図が重なっている領域にある地点)の標高データを算出する場合に、補間合成部532は、この補間算出地点の近傍にある標高データ(2つの黒丸の標高データ及び2つの白丸の標高データ)と、補間算出地点から各標高データの地点までの距離とに基づいて、この補間算出地点の標高データを算出する。すなわち、補間合成部532は、図3に例示するように、処理対象となる地域について、複数の3D地図情報が重なって存在する場合に、これらの3D地図情報を用いて補間処理を行う。
【0023】
図5は、地図情報DB510の地図情報を更新する処理(S10)を説明するフローチャートである。
図5に示すように、ステップ100(S100)において、更新部500(図2)は、定期的に各地図提供システム90(図1)にアクセスして、地図情報が更新されているか否かを判断する。地図提供プログラム5は、地図情報が更新されていると判断された場合に、S110の処理に移行し、地図情報が更新されていないと判断された場合に、次のアクセスまで待機する。
【0024】
ステップ110(S110)において、更新部500は、更新を行った地図提供システム90から、地図情報をダウンロードし、ダウンロードした地図情報を地図情報DB510に出力する。
ステップ120(S120)において、地図抽出部520は、地図情報が更新された領域を含む既定サイズの地域を処理対象として、この地域の地図情報を地図情報DB510から抽出し、抽出された地図情報を地図生成部530に出力する。
【0025】
ステップ130(S130)において、地図生成部530は、地図抽出部520により抽出された地図情報が複数存在するか否かを判断し、抽出された地図情報が複数存在する場合に、S140の処理に移行し、抽出された地図情報が複数存在しない場合に、S150の処理に移行する。
ステップ140(S140)において、補間合成部532は、地図抽出部520により抽出された複数の地図情報を、補間処理により合成する。
ステップ150(S150)において、地図生成部530は、補間合成部532により合成された地図情報、又は、地図抽出部520から入力された地図情報を地図情報DB510に登録する。
【0026】
図6は、ユーザ端末30に地図情報を提供する処理(S20)を説明するフローチャートである。
図6に示すように、ステップ200(S200)において、領域指定部540(図2)は、ユーザ端末30(図1)から、アクセス要求を受信するまで待機している。
領域指定部540は、ユーザ端末30からアクセス要求を受信すると、S210の処理に移行する。
ステップ210(S210)において、領域指定部540は、ユーザ端末30にニ次元の地図を表示させて、領域指定を受け付ける。ユーザが、ユーザ端末30上に表示された地図において所望の範囲を指定すると、ユーザ端末30は、指定された範囲(指定領域)の座標を3D地図提供サーバ10(図1)の領域指定部540(図2)に送信する。
【0027】
ステップ220(S220)において、領域指定部540は、ユーザ端末30から指定領域の座標を受信すると、受信した指定領域の3D地図情報を地図情報DB510から読み出す。ここで、読み出される3D地図情報は、地図生成部530により生成された3D地図情報、又は、地図提供システム90から提供された地図情報(元の地図情報)である。
【0028】
ステップ230(S230)において、ユーザは、指定領域について、レイヤの追加や、地すべりのシミュレーションなどを指示することができる。
ユーザ端末30は、ユーザがレイヤの追加又はシミュレーションを指示する操作を行うと、この操作に応じて、レイヤの追加又はシミュレーションの要求を3D地図提供サーバ10に送信する。
3D地図提供サーバ10の地図提供プログラム5(図2)は、レイヤの追加又はシミュレーションの要求を受信した場合に、S240の処理に移行し、これらの要求を受信しない場合に、S250の処理に移行する。
【0029】
ステップ240(S240)において、レイヤ(土地利用のレイヤなど)の追加が要求された場合に、領域指定部540は、読み出された3D地図情報をレイヤ合成部534に出力し、レイヤ合成を行うよう指示する。レイヤ合成部534は、領域指定部540からの指示に応じて、要求されたレイヤに対応する2D地図情報を地図抽出部520に抽出させ、抽出された2D地図情報(レイヤ)を、領域指定部540から入力された3D地図情報に合成し、領域指定部540に返す。
また、地すべりのシミュレーションが要求された場合に、領域指定部540は、読み出された3D地図情報をシミュレーション部550に出力し、地すべりのシミュレーションを行うよう指示する。シミュレーション部550は、領域指定部540からの指示に応じて、入力された3D地図情報を用いて、地すべりのシミュレーションを行い、シミュレーション結果を、入力された3D地図情報に合成し、領域指定部540に返す。
【0030】
ステップ250(S250)において、領域指定部540は、地図情報DB510から読み出された3D地図情報、レイヤ合成部534により土地利用などのレイヤが合成された3D地図情報、又は、シミュレーション部550によりシミュレーション結果が合成された3D地図情報を提供部560に出力する。
提供部560は、領域指定部540から入力された3D地図情報を、ユーザ端末30(図1)に送信する。
【0031】
ステップ260(S260)において、提供部560は、ユーザ端末30に送信した3D地図情報のDEMデータ数及びレイヤ数を課金情報生成部570に出力する。
課金情報生成部570は、提供部560から入力されたDEMデータ数及びレイヤ数に基づいて、代金を算出する。
ステップ270(S270)において、課金情報生成部570は、課金情報DB580からユーザの課金情報を読み出し、読み出された課金情報(累計金額)に、算出された代金を加算して、課金情報を更新し、更新された課金情報を課金情報DB580に登録する。
【0032】
次に、編集サーバ20(図1)について説明する。
図7(A)は、編集サーバ20にインストールされる編集プログラム6の機能構成を例示し、図7(B)は、属性データベース620により管理される属性データを例示する図である。
図7(A)に例示するように、編集プログラム6は、表示領域決定部600、属性選択部610、属性データベース(属性DB)620、詳細設定部630、及び、ユーザインタフェース編集部(UI編集部)640を有する。
編集プログラム6において、表示領域決定部600は、ユーザの操作に応じて、既定の表示領域を複数の表示領域に分割する。換言すると、表示領域決定部600は、ユーザからの指示に応じて、複数の表示領域を決定する。UI編集部640は、表示領域決定部600により決定された表示領域それぞれを独立した表示領域とする。
【0033】
属性選択部610は、ユーザの操作に応じて、予め用意された複数の属性の中から、表示領域決定部600により決定された各表示領域に適用すべき属性を選択する。属性とは、表示領域に備えられる性質又は機能であり、例えば、全体地図を表示する機能、詳細地図を表示する機能、地図の縮尺を変更する変倍操作を受け付ける機能、タイトルを表示する機能などである。
属性DB620は、各属性を実現するための情報を格納する。本例の属性DB620は、図7(B)に例示するように、予め定められた複数の属性の識別情報(全体地図、詳細地図、変倍操作、タイトル表示など)に対応付けて、各属性を実現するためのプログラムのデータファイル、ユーザが設定すべき設定項目、及び、属性を実現するプログラムが外部と通信するためのインタフェース情報を格納する。設定項目とは、例えば、表示領域の属性のうち、ユーザが任意に設定できる項目である。また、インタフェース情報とは、例えば、地図情報を提供するウェブサイトへのリンク情報(URLなど)、他の表示領域とのリンク情報などである。
本例の属性選択部610は、属性DB620に用意されている複数の属性の中から、ユーザの操作に応じて、表示領域に適用すべき属性を選択し、UI編集部640は、属性選択部610により選択された属性を、各表示領域に組み込む。
【0034】
詳細設定部630は、ユーザの操作に応じて、属性の設定項目を設定する。UI編集部640は、詳細設定部630による設定に応じて、表示領域の機能を決定する。
UI編集部640は、表示領域決定部600により決定された各表示領域の範囲、属性選択部610により選択された属性、及び、詳細設定部630により設定された設定内容に基づいて、地図を表示する表示画面を作成する。本例のUI編集部640は、ユーザからの指示に応じて、地図を表示するウェブ画面を作成し、作成されたウェブ画面をウェブサーバにアップロードする。
【0035】
図8は、表示画面の編集処理(S30)のフローチャートである。
図9〜11は、編集処理(S30)において表示される編集画面900を例示する図である。
図8に示すように、ステップ300(S300)において、表示領域決定部600は、ユーザ端末30からの指示に応じて、表示領域を分割する。具体的には、ユーザは、ユーザ端末30(図1)を操作して、表示画面の編集を編集サーバ20に要求すると、編集サーバ20は、この要求に応じて、図9(A)に例示する編集画面900をユーザ端末30に表示させる。編集画面900には、図9(A)に例示するように、矩形の設計台紙902と、分割ツールアイコン904と、選択ツールアイコン906と、編集画面切替領域908とが設けられている。設計台紙902は、地図などを表示する表示領域に相当する。分割ツールアイコン904は、設計台紙902(表示領域)を分割するためのツールであり、水平方向の分割ツールアイコン904a、垂直方向の分割ツールアイコン904b、及び、垂直水平方向の分割ツールアイコン904cを含む。選択ツールアイコン906は、設計台紙902の特定の領域を編集対象として選択するためのツールである。編集画面切替領域908には、メインブラウザの編集画面を表示させるラジオボタン908a、メインブラウザのプレビュー画面を表示させるラジオボタン908b、ポップアップブラウザの編集画面を表示させるラジオボタン908c、及び、ポップアップブラウザのプレビュー画面を表示させるラジオボタン908dが設けられている。
ユーザは、所望の分割ツールアイコン904を選択して、設計台紙902(表示領域)を分割する。すなわち、図9(B)に例示するように、水平方向の分割ツールアイコン904aが選択されると、表示領域決定部600は、水平な分割線910を設計台紙902上に表示させ、ユーザがこの分割線910の位置を決定すると、決定された位置で設計台紙902(表示領域)を分割する。水平方向及び垂直方向に設計台紙902が分割されると、図10(A)に例示するように、設計台紙902(すなわち、表示領域)が複数に分割される。
【0036】
ステップ310(S310)において、属性選択部610は、ユーザ端末30からの指示に応じて、分割された表示領域の中から、編集対象となる対象領域を選択する。具体的には、図10(A)に例示するように、選択ツールアイコン906が選択されると、分割された設計台紙902の各領域が対象領域として選択可能になる。
属性選択部610は、ユーザがいずれかの領域を対象領域として選択すると、図10(B)に例示するように、選択された領域に対する編集を可能にし、編集リスト912を表示させる。本例の編集リスト912には、対象領域に対するプロパティ(属性)を設定するための「プロパティ」と、対象領域を削除するための「削除」とが設けられている。
【0037】
ステップ320(S320)において、属性選択部610は、ユーザ端末30からの指示に応じて、対象領域の属性を選択し、UI編集部640は、選択された属性を対象領域に設定する。具体的には、ユーザが図10(B)の編集リスト912の中から「プロパティ」を選択すると、属性選択部612は、図10(C)に例示する属性設定ウインドウ914をユーザ端末30に表示させる。属性設定ウインドウ914には、属性DB620に予め格納されている属性のリスト(タイトル、マップ全体、表示条件、移動コントロール、マップ、縮尺コントロールなど)が表示される。ユーザが属性設定ウインドウ914においていずれかの属性を選択すると、属性選択部612は、選択された属性のデータを属性DB620から読み出し、読み出されたデータをUI編集部640に出力し、UI編集部640は、属性選択部612から入力されたデータに基づいて、対象領域に属性を設定する。
なお、いずれかの領域に対して属性が設定されると、図11(A)に例示するように、設定された属性のプレビューが可能になる。具体的には、ラジオボタン908bを選択すると、図11(A)のようにプレビュー画面が表示される。図11(A)のプレビュー画面の分割位置は、図10の編集台紙902の分割位置に対応しており、図10(B)の領域902aに対して、「タイトル」の属性が選択されたため、図11(A)の領域902aには、タイトルが表示されている。また、図11(A)の領域902bには、全体地図(マップ全体)が表示され、領域902cには、詳細地図(マップ)が表示されている。
【0038】
ステップ330(S330)において、詳細設定部630は、ユーザ端末30からの指示に応じて、ユーザが任意に設定可能な設定項目を設定する。この設定項目は、対象領域に設定された属性に関するものであり、設定された属性によって異なる。例えば、図11(A)に例示する領域902C(マップ属性が設定された領域)に関して、シンボルの配置が可能である。ユーザが、図11(B)に例示するように、編集画面900の「シンボル」と表示されたプルダウンメニュー916を選択し、メニューから「配置」を選択すると、詳細設定部630は、図11(C)に例示するように、シンボルの配置を行うためのユーザ設定ウインドウ920をユーザ端末30に表示させる。このユーザ設定ウインドウ920には、シンボルの配置位置を表示し、かつ、配置されたシンボルのプレビュー表示を行う地図表示領域922と、地図表示領域922に表示された地図を操作する地図操作領域924と、シンボルに対する操作を行うシンボル操作領域926と、シンボルの名称を入力する名称入力ボックス928と、シンボルのリンク情報を編集するリンク編集領域930とが設けられている。地図表示領域922には、対象領域に表示される地図と、配置されたシンボル922aとが表示される。地図操作領域924には、地図表示領域922に表示された地図の縮尺を操作するためのボタン、及び、この地図の表示位置を操作するためのボタンが設けられている。シンボル操作領域926には、シンボルを配置するためのボタン、配置されたシンボルを編集対象として選択するためのボタン、配置されたシンボルを地図表示領域922内で移動させるためのボタン、及び、配置されたシンボルを削除するためのボタンが設けられている。リンク編集領域930には、シンボルに関連付けて表示させる情報(例えば、シンボル上にポインタを置くと表示される文字情報)を入力するための情報入力ボックス、及び、シンボルにリンクさせるウェブページ(例えば、シンボルがクリックされるとポップアップ表示されるウェブページ)を入力するためのリンク先設定領域が設けられている。詳細設定部630は、図11(C)のユーザ設定ウインドウ920におけるユーザの入力に応じて、シンボルの設定情報を生成してUI編集部640に出力し、UI編集部640は、詳細設定部630から入力された設定情報に応じて、直ちに対象領域の地図にシンボルを配置する。配置されたシンボルは、地図表示領域922に直ちに反映される。
【0039】
ステップ340(S340)において、編集プログラム6は、ユーザ端末30から編集完了の指示を受信すると、S350の処理に移行し、これ以外の場合に、S310の処理に戻って、他の表示領域に対する編集処理を実行する。
ステップ350(S350)において、UI編集部640は、ユーザ端末30から編集完了の指示を受信すると、生成されて表示画面(ウェブ画面)のデータをウェブサーバにアップロードする。
【0040】
このように、ユーザは、編集サーバ20にアクセスして、地図を表示するための表示画面を容易に編集することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】地図提供システム1の構成を例示する図である。
【図2】(A)は、3D地図提供サーバ10(図1)にインストールされる地図提供プログラム5の機能構成を例示し、(B)は、3D地図提供サーバ10により蓄積される地図情報を例示する図である。
【図3】標高データが存在しない領域の補間処理を説明する図である。
【図4】2種類の標高データが混在する領域の補間処理を説明する図である。
【図5】地図情報DB510の地図情報を更新する処理(S10)を説明するフローチャートである。
【図6】ユーザ端末30に地図情報を提供する処理(S20)を説明するフローチャートである。
【図7】(A)は、編集サーバ20にインストールされる編集プログラム6の機能構成を例示し、B)は、属性データベース620により管理される属性データを例示する図である。
【図8】表示画面の編集処理(S30)のフローチャートである。
【図9】表示領域の分割処理(S300)における編集画面900を例示する図である。
【図10】対象領域の選択処理(S310)及び属性の選択処理(S320)における編集画面900を例示する図である。
【図11】表示画面のプレビュー処理及びシンボルの配置処理(S330)における編集画面900を例示する図である。
【符号の説明】
【0042】
1・・・地図提供システム
10・・・3D地図提供サーバ
20・・・編集サーバ
5・・・地図提供プログラム
6・・・編集プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解像度が異なる複数の地図情報の中から、少なくとも1つの地図情報を抽出する地図抽出手段と、
前記地図抽出手段により抽出された地図情報に基づいて、三次元の地図情報を生成する地図生成手段と、
ユーザから、地球上の領域の指定を受け付ける領域指定手段と、
前記領域指定手段により受け付けた領域指定に応じて、前記地図生成手段により生成された地図情報を前記ユーザに提供する提供手段と
を有する地図情報提供装置。
【請求項2】
前記地図抽出手段は、解像度の異なる複数の三次元地図情報が存在する場合に、これら複数の三次元地図情報を抽出し、
前記地図生成手段は、抽出された複数の三次元地図情報に基づく補間処理により、1つの三次元の地図情報を生成する
請求項1に記載の地図情報提供装置。
【請求項3】
前記提供手段は、インターネットを介して、前記ユーザに地図情報を提供し、
前記提供手段により提供される地図情報のデータ量に応じて、前記ユーザに対する課金情報を生成する課金情報生成手段
をさらに有する請求項1に記載の地図情報提供装置。
【請求項4】
地図情報を記録する記録手段と、
外部にある地図情報提供システムに対して既定のタイミングでアクセスし、この地図情報提供システムから取得した地図情報を用いて、前記記録手段に記録されている地図情報の少なくとも一部を更新する更新手段と
をさらに有し、
前記地図情報抽出手段は、前記記録手段から、地図情報を抽出する
請求項1に記載の地図情報提供装置。
【請求項5】
前記地図生成手段により生成された三次元の地図情報に基づいて、災害のシミュレーションを行うためのシミュレーション情報を生成するシミュレーション情報生成手段
をさらに有し、
前記提供手段は、前記シミュレーション情報生成手段により生成されたシミュレーション情報を、前記地図生成手段により生成された三次元の地図情報に付加して提供する
請求項1に記載の地図情報提供装置。
【請求項6】
地図情報を提供する複数の地図情報提供システムそれぞれに対して既定のタイミングでアクセスして地図情報を取得し、
取得された地図情報をデータベースに登録し、
前記データベースに登録されている複数の地図情報の中から、少なくとも1つの地図情報を抽出し、
抽出された地図情報に基づいて、三次元の地図情報を生成し、
生成された地図情報をユーザに提供する
地図情報提供方法。
【請求項7】
地図情報を提供する複数の地図情報提供システムそれぞれに対して既定のタイミングでアクセスして地図情報を取得するステップと、
取得された地図情報をデータベースに登録するステップと、
前記データベースに登録されている複数の地図情報の中から、複数の地図情報を抽出するステップと、
抽出された複数の地図情報に基づいて、三次元の地図情報を生成するステップと、
生成された地図情報をユーザに提供するステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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