説明

地域エネルギー共有システム

地域エネルギー共有システム(DESS)10は、水中の熱エネルギーを循環し、かつ、格納する熱エネルギー循環路と、前記循環路と熱的に連結され、前記循環路から熱エネルギーを取り除いたり(“熱吸収源(ヒートシンク)”)、および/または、前記循環路に熱エネルギーを預けたりする(“熱源(ヒートソース)”)、少なくとも1つのクライアントの建物と、外部の熱源および/または熱吸収源(例えば、地熱源)と熱的に連結される、少なくとも1つの熱サーバー設備を含み、当該熱サーバー設備の機能は、DESS内の熱的なバランスを維持することである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバーとクライアント間の熱エネルギーを共有するための地域エネルギー共有システムに関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的なビルディング(建物)冷暖房システムは、空間に暖房および/または冷房を供給するため、および、建物で使用される水を温めたり冷やしたりするために、電気あるいは化石燃料などのような高位のエネルギー源を用いている。建物の空間および水を温めたり、冷やしたりする過程は、この高位のエネルギーを、高いエントロピーで低位の廃熱に変換し、そして、建物から離れ、自然環境に返される。例えば、シャワーまたは流し台からの温水は、下水管に排水され、過熱空気中の熱エネルギーは外壁を介して大気に放射および伝達する。
【0003】
ビル冷暖房システムは、大量の再生可能な資源を消費して、事実上地球温暖化をもたらしている。または、多くの産業プロセスは、さらに水流や大気の温暖化の原因となる大量の低位の熱エネルギーを排出している。
【0004】
建物を暖めたり冷やしたりする効率的で環境に易しいアプローチを提供するために、自然熱源(ヒートソース)や熱吸収源(熱吸収源)を利用する試みがなされてきている。例えば、図1(先行技術)に示されるように、地域における建物のそれぞれは、独立した地熱源(グランドソース)ヒートポンプシステムによって、個別に供給され得る。各自宅所有者が地熱グランドループ状にヒートポンプシステムを取り付ける必要があるので、このアプローチは、不幸にも、かなりのインフラコストを要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
典型的な建物の地域は、図2(先行技術)に概略的に示され、単管温水供給循環路にそれぞれ流動的に連結されたクライアントの建物(ビルディング)を含む。この概略図において、熱源(例えば、地熱グランドループを備える機械的プラント)は、熱交換器によって前記循環路に熱が伝わるように(熱的に)連結される。別の熱交換器は、前記循環路と隣接地区における別の流体供給循環路との熱的な連結を提供する。各建物は、循環路に熱的に連結されたヒートポンプを備えることができ、循環路からの熱エネルギーを家庭内の空間または水加熱ための有用な熱に変換する。そのような地域の特有の不利益は、各建物が連続的に循環路に連結され、それによって、すべての上流のヒートポンプが循環路から熱を引き出した場合、下流のヒートポンプがますます動作困難になるので、ビルディングヒートポンプ動作の全体的な効率が損なわれることである。あるビルディングヒートポンプは暖房、別のものは冷房のとき、循環路に沿って大きな温度変動を生じるので、効率的な動作もまた損なわれ、望ましい動作範囲で循環路の温度を維持するために、追加的な手段を採用する必要がある。
【0006】
したがって、建物の暖房および/または冷房のために、改善され、かつ、費用効率の高いシステムを提供することは有益であり、当該システムは、家庭内空間および水の加熱および冷却プロセスの結果として生じた、少なくとも低位の廃熱を再利用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの態様に従って、熱エネルギー循環路とヒートポンプアセンブリを含む地域エネルギー共有システムが提供される。前記熱エネルギー循環路は、第一温度でそれを通じて熱伝達液体を流すための温液体導管と、前記第一温度よりも低い第二温度でそれを通じて前記熱伝達液体を流すための冷液体導管とを含む。前記ヒートポンプアセンブリは、可逆ヒートポンプと、前記ヒートポンプと熱的に連結されて、クライアントの建物に熱的に連結するビルディング熱交換器と、前記ヒートポンプを前記熱エネルギー循環路に熱的に連結する循環路熱交換器と、前記循環路熱交換器を前記温液体および冷液体導管に流れが伝われるように(流動的に)連結する配管と、前記配管と連結された少なくとも1つの循環ポンプと、前記配管に連結され、加熱モードと冷却モードとの間で切り替え可能な少なくとも1つの制御バルブを含むバルブアセンブリとを含む。前記加熱モードでは、流体経路が、前記循環路熱交換器を介して前記温液体導管から前記冷液体導管へ前記熱伝達液体を流すための配管を通じて、定められる。前記冷却モードでは、流体経路が、前記循環路熱交換器を介して前記冷液体導管から前記温液体導管へ前記熱伝達液体を流すための配管を通じて、定められる。前記バルブアセンブリは、さらに、オフモードに切り替え可能であり、この場合、前記温液体および冷液体導管は、配管を介して前記熱交換器と液体のやり取りをしない。
【0008】
バルブアセンブリは、一対の三方向制御バルブを含むことができ、第一の三方向制御バルブは、温液体導管、冷液体導管、および、循環路熱交換器の出口と流動的に連結され、第二の三方向制御バルブは、温液体導管、冷液体導管、および、循環路熱交換器の入口と流動的に連結される。バルブアセンブリが加熱モードであるとき、第一の三方向制御バルブは、冷液体導管に対して閉じられ、温液体導管および循環路熱交換器の入口に対して開かれ、第二の三方向制御バルブは、温液体導管に対して閉じられ、冷液体導管および循環路熱交換器の出口に対して開かれる。
【0009】
バルブアセンブリは、4つのポートと1つのロータリーアクチュエータを有する単一の四方向制御バルブを含むことができる。4つのポートは、温流体導管に流動的に連結する第一ポートと、循環路熱交換器の入口に流動的に連結する第二ポートと、冷液体導管に流動的に連結する第三ポートと、循環路熱交換器の出口に流動的に連結する第四ポートとを含む。ロータリーアクチュエータは、加熱モードでは、第一および第二ポートに流動的に連結されて、第三および第四ポートに流動的に連結される。冷却モードでは、第一および第四ポートに流動的に連結されて、第二および第三ポートに流動的に連結される。
【0010】
本発明の別の態様によると、地域エネルギー共有システムは、熱エネルギー循環路および雑排水注水アセンブリを含む。雑排水注水アセンブリは、雑排水が温液体または冷液体導管に供給されるように、温液体または冷液体導管に流動的に連結され、雑排水源に流動的に連結する雑排水供給導管と、前記雑排水供給導管または前記熱エネルギー循環路と流動的に連結され、前記熱エネルギー循環路内の水圧を調整することができる圧力制御装置と、熱エネルギーが前記熱エネルギー循環路と前記クライアントの建物との間で伝達されるように、前記温液体または冷液体導管に流動的に連結され、クライアントの建物に熱的に連結するクライアントビルディング熱伝達装置と、雑排水が非飲料水用にクライアントの建物に供給されるように、前記温液体導管に流動的に連結され、前記クライアントの建物に流動的に連結される雑排水出発導管とを含む。
【0011】
さらに、前記雑排水注水アセンブリは、前記圧力制御装置の上流に、前記雑排水供給導管と流動的に連結されたろ過装置を含むことができる。前記圧力制御装置は、前記熱エネルギー循環路における水の圧力を超えて、雑排水の圧力を増やすことができる少なくとも1つのポンプを含むことができる。さらに、前記圧力制御装置は、少なくとも1つの制御バルブと、前記ポンプと流動的に連結され、前記温液体導管への雑排水の流量を変えられる緩衝タンクを含むことができる。
【0012】
本発明のさらに別の態様によると、地域エネルギー共有システムは、第一および第二の熱エネルギー循環路、前記第一および第二の熱エネルギー循環路に熱的に連結される熱エネルギー伝達ステーションを含む。前記第一および第二の熱エネルギー循環路はそれぞれ、第一温度でそれを通じて熱伝達液体を流すための温液体導管と、前記第一温度よりも低い第二温度で、それを通じで前記熱伝達液体を流すための冷液体導管と、それを通じて熱伝達液体を汲み上げるために、前記温液体および冷液体導管のうち少なくとも1つと連結された循環路ポンプとを含む。前記熱エネルギー伝達ステーションは、前記第一および第二の熱エネルギー循環路を流動的に連結し、それらの間に熱伝達流体を流すことのできるポンプを含む液体伝達アセンブリと、前記第一および第二の熱エネルギー循環路を熱的に連結して、流動的に分離する熱交換器アセンブリのうち少なくとも1つを含む。
【0013】
1つの態様では、前記熱エネルギー伝達ステーションは、単に液体伝送アセンブリを含み、さらに、第一および第二の熱エネルギー循環路の温液体導管を流動的に連結する温液体伝達導管と、第一および第二の熱エネルギー循環路の冷液体導管を流動的に連結する冷液体伝達導管と、前記温液体または冷液体伝達導管とポンプとに、流動的に連結された配管とを含む切り替えアセンブリと、前記配管と流動的に連結され、前記配管を介して、前記第一の熱エネルギー循環路から前記第二の熱エネルギー循環路への熱エネルギー流体経路を定める第一モードと、前記配管を介して、前記第二の熱エネルギー循環路から前記第一の熱エネルギー循環路への熱エネルギー流体経路を定める第二モードで動作可能な少なくとも1つの制御バルブとを含む。
【0014】
別の態様では、熱エネルギー伝達ステーションは、単に、熱交換器アセンブリを含み、さらに、第一熱伝達ゾーンと、第一熱伝達ゾーンから流動的に切り離されるが、第一熱伝達ゾーンと熱的には連結される第二熱伝達ゾーンとを備える、液体から液体式の熱交換器と、前記第一熱伝達ゾーンと第一の熱エネルギー循環路の温液体および冷液体導管とを流動的に連結する第一液体伝達管と、前記第二熱伝達ゾーンと第二の熱エネルギー循環路の温液体および冷液体導管とを流動的に連結する第二液体伝達管と、前記第一および第二液体伝達管にそれぞれ流動的に連結される一対の伝達ポンプであって、前記第一熱伝達ゾーンを介して前記第一の熱エネルギー循環路から液体を流すことができ、前記第二熱伝達ゾーンを介して前記第二の熱エネルギー循環路から液体を流すことができる一対の伝達ポンプとを含む。
【0015】
前記熱エネルギー伝達ステーションは、さらに、圧力制御装置と、第一および第二の液体伝達導管に流動的に連結され、前記第一および第二の熱エネルギー循環路間の圧力を調整するように動作可能な流体導管とを含むことができる。この場合において、圧力制御装置は、少なくとも1つの減圧制御バルブおよび加圧ポンプを含む。
【0016】
熱エネルギー伝達ステーションは、さらに、少なくも1つのサーバー設備(プラント)を含む。各サーバー設備は、第一または第二の液体伝達導管のうち1つを少なくとも一つの熱源および熱吸収源に、熱的に連結するヒートポンプアセンブリを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、独立したグランドソース(地熱源)ヒートポンプそれぞれ個別にサービスが提供される複数の建物の概略図である(先行技術)。
【図2】図2は、単管温水供給循環路にそれぞれ流動的に接続された複数の建物の概略図である(先行技術)。
【図3】図3は、温水導管および冷水導管を有する熱エネルギー循環路を含む1つの実施形態に従う地域エネルギー共有システムの概略図であり、両導管は、複数のクライアントの建物と地域における熱サーバー設備とに熱的に連結される。
【図4】図4は、複数のクライアントの建物と地域における熱サーバー設備とに熱的に連結された熱エネルギー循環路を含む別の実施形態に従う地域エネルギー共有システムの概略図であり、各建物およびサーバー設備における熱伝達装置が図示される。
【図5】図5(a)から(i)は、1つのクライアントの建物におけるヒートポンプアセンブリの概略図である。図5(a)から(c)は、可逆ヒートポンプと、加熱モード(図5(a))、冷却モード(図5(b))およびオフモード(図5(c))で動作するように構成された一対の三方向制御バルブとを有する1つの実施形態に従うヒートポンプアセンブリを示す。図5(d)から(f)は、可逆ヒートポンプと、加熱モード(図5(d))、冷却モード(図5(e))、オフモード(図5(f))で動作するように構成された単一の四方向制御バルブとを有する別の実施形態に従うヒートポンプアセンブリを示す。図5(g)から(i)は、可逆ヒートポンプと、4つの二方向制御バルブを有するさらに別の実施形態に従うヒートポンプアセンブリを示す。
【図6】図6は、熱エネルギー循環路と熱的に連結された熱サーバー設備と、当該熱エネルギー循環路に熱的に接続された、地域における複数のクライアントの建物に、サービスを提供する複数ユニットのローカル熱伝達設備(プラント)とを含む別の実施形態に従う地域エネルギー共有システムの概略図である。
【図7】図7は、熱サーバー設備と、それぞれ熱伝達装置を有して、熱エネルギー循環路の温水および冷水導管に熱的に直接接続された、複数のクライアントの建物とを含む別の実施形態に従う地域エネルギー共有システムの概略図である。
【図8】図8は、地域における複数のクライアントの建物にサービスを提供する組合された複数ユニットのローカル熱伝達設備と、熱サーバー設備を含む、さらに別の実施形態に従う地域エネルギー共有システムの概略図である。
【図9】図9(a)から(h)は、熱エネルギー伝達ステーションによって共に、熱的に接続された一対の熱エネルギー循環路を含む、さらに他の実施形態に従う地域熱エネルギー共有システムの概略図である。図9(a)は、複数のクライアントの建物に熱的に連結された各熱エネルギー循環路と、熱サーバー設備とを示す。図9(b)は、同じ圧力ゾーンを有する供給循環路に対する、1つの実施形態に従う伝達ステーションの詳細図である。図9(c)は、異なる圧力ゾーンを有する供給循環路に対する、別の実施形態に従う伝達ステーションの詳細図である。図9(d)は、異なる圧力ゾーンを有し、一対の熱サーバー設備を有する供給循環路に対する、さらに別の実施形態に従う伝達ステーションの詳細図である。図9(e)から(h)は、図9(b)に示される伝達ステーションの循環路間の熱伝達のための動作の異なるモードを示す。
【図10】図10は、撮影地域上に重ね合わせた地域エネルギー共有システムの1つの実施形態の説明で用いられる地域の写真である。
【図11】図11は、地域エネルギー共有システムの1つの実施形態内の熱エネルギーを共有するプロセスの概略図である。
【図12】図12は、さらに別の実施形態に従う雑排水注水アセンブリを有する地域エネルギー共有システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図3を参照すると、1つの実施形態に従って、地域エネルギー共有システム(DESS)10は、水中の熱エネルギーを循環し、かつ、格納する熱エネルギー循環路12と、前記循環路12と熱的に連結され、前記循環路12から熱エネルギーを取り除いたり(“熱吸収源(ヒートシンク)”)、および/または、前記循環路12に熱エネルギーを預けたりする(“熱源(ヒートソース)”)、少なくとも1つのクライアントの建物20と(注:この図に示されるクライアントの建物20は、循環路12から熱エネルギーを取り出すことのみが示されており、ゆえに、すべて熱吸収源として動作している)、外部の熱源および/または熱吸収源(例えば、地熱源)と熱的に連結されることができ、その機能はDESS10内の熱的なバランスを維持することである、少なくとも1つの熱サーバー設備21とを含む。また、DESS10は、システム動作中の熱エネルギーの伝達を調整、測定および最適化するための伝達網制御および監視システムも含むことができる(図示せず)。
【0019】
循環路12は、それぞれ異なる温度で水を流して、熱源と熱吸収源(それぞれ、“温”導管と“冷”導管)との間で熱エネルギーの伝達かつ格納の機能を果たす一対の水導管14,16を含む。各建物20における熱伝達装置30は、温水が、熱伝達装置30を介して温水導管14から冷水導管16の中に流れること(逆もまた同様)ができるように、流動的に温水および冷水導管14,16に相互接続される。前者の構成において、熱伝達装置30は、建物20を暖めるために、温水導管14から熱を取り出して、そして、冷水導管16に冷却された水を預けるように動作する。後者の構成において、熱伝達装置30は、建物20を冷やすために建物20から熱を抽出するように動作して、その抽出された熱を温水導管14に預ける。
【0020】
温水導管14および冷水導管16は、クライアントの建物20とサーバー設備21のみで、流動的に相互接続された、2つの独立しかつ並列した閉ループの配管である。この実施形態における配管システムは、熱伝達液体として淡水を用いており、配管は単層の断熱されてない高密度ポリエチレン(HDPE)である。しかしながら、循環路12は閉じた流体ループなので、他の液体が、別の実施形態に従って熱伝達液体として利用可能である。
【0021】
1つ以上の循環ポンプ22は配管に流動的に接続され、温水および冷水導管14,16を介して水を循環するように動作させる。特に、水は、第一温度(“温水”)で温水導管14を介してポンプで汲み上げられ、冷水は、温水の温度よりも低い第二の温度(“冷水”)で、冷水導管16を介してポンプで汲み上げられる。温水に対する適切な温度範囲は、10度から30度であり、冷水に対する適切な温度範囲は、5度から20度である。二管の配置は、全てのクライアントの建物20が、ヒートポンプへの供給のために同じ温度の水を得られるという保証を与える。
【0022】
図3は、温水および冷水導管14,16に、それぞれ流動的に接続された一対の循環ポンプ22を備えることを示すが、これらのポンプは、1つ以上のクライアントの建物における循環ポンプ24、または、循環路12全体にわたって水を循環するためのサーバー設備21(サーバーポンプ)における循環ポンプ24で置き換えるか、補うことが可能である。
【0023】
通常の使用において、実質的な加熱負荷を有する任意のクライアントの建物20は、温水導管14から水を抜き取り、それを冷水導管16に返す。実質的な冷却モードでの任意のクライアントの建物20は、冷水導管16から水を抜き取り、それを温水導管14に返す。温水導管から冷水導管または冷水導管から温水導管への水の伝達は、熱サーバー設備21を介して水を他の導管に戻すと、熱が加えられ、あるいは、熱が取り除かれて、受け入れの導管の圧力を増加させる。この伝達は自然の手段または循環ポンプ22,24の利用によって成し遂げられる。
【0024】
熱エネルギー循環路12は、温水および冷水導管14,16間の圧力差が、常に可能な限り低く維持されることを保証するように設計され、それにより、クライアントポンプ24は、大きな水頭(ヘッド)を越える必要がないことを保証し、クライアントへの流量を制限して、ポンプによる揚水の馬力を増加できる。これは、同等の摩擦損失を伴って水導管14,16中において低速を維持することにより、および、同じ方向で温水および冷水同感14,16中における流量を普通に維持することによって成し遂げられ、これにより、摩擦からの圧力損失は、循環路12の長さに沿って両導管14,16で同じである。
【0025】
また、熱エネルギー循環路12は、サイズを大きくした水導管14,16を介した蓄熱装置としても動作し、時間とともに水導管14,16中の温度を変化させる。蓄熱の第二の基準は、高負荷状態の間にわたり温度変化を改善する、導管を取り囲む土壌によって与えられる。さらに、導管14,16のサイズを大きくすることは、摩擦損失およびポンプによる揚水の馬力を減らせる。
【0026】
地域における1つの以上のクライアントの建物20を暖めるために、熱が、熱エネルギー循環路20から取り除かれ、および、当該地域における1つ以上の他のクライアントの建物20から取り除かれた熱が、熱エネルギー循環路12に伝達されるとき、これらのクライアントの建物20は、実質的に、それらの冷暖房プロセスにおいて、熱エネルギー循環路12における熱エネルギーを共有し、それは、冷暖房プロセスの独立した動作結果として、クライアントの建物20に、熱を自然環境に解放させるよりも非常にエネルギー効率が良い。熱エネルギー循環路12における熱エネルギーは、クライアント熱源建物20が、集合的に同じ量の熱エネルギーに関して取得や返却を行うように、DESS10を設計することによって、ほぼ一定に維持される可能性があり得るが、熱サーバー設備21は、熱平衡がDESS10において維持されることを保証するために備えられる。すなわち、クライアントの建物20によって循環路12から取り除かれた正味の熱エネルギー量は、熱サーバー設備21によって、連結された外部の熱源23から熱エネルギーを抽出することで、循環路12に返される。同様に、クライアントの建物20によって、循環路12中に預けられる正味の熱エネルギー量は、サーバー設備21によって取り出され、連結された外部の熱吸収源23中に格納される。サーバー設備21のための熱源または熱吸収源23は、地球の交換磁場、地下水、海洋、湖、下水管、汚水、冷却設備、太陽熱収集器、スケートリンク、または、産業プロセスとすることができる。サーバー設備の型に対するこれらの選択肢は、熱を発生する、または、熱を吸収することができ、熱を温水および冷水導管に伝達するか、当該導管から熱を伝達することができる任意のソースを含む。
【0027】
最適なサーバー熱源を選択することは、少なくともある程度は温度や発熱能力の分布図(プロフィール)ばかりではなく、熱源によって供給される熱の形態にも依存する。いくつかのサーバー熱源は、安定した発熱能力を提供できるが、他のものは、天候状況、時期、時刻およびその他の条件に基づいて、不安定な発熱能力を提供する。サーバー熱源の選択は、クライアントの負荷分布図(プロフィール)を満足させる能力に基づいており、コンピュータによる、発熱能力のプロフィールのモデリングは、見込み負荷のもので十分に動作できるシステムを設計するために実行され得る。
【0028】
最適なサーバー熱吸収源を選択することは、短期間あるいは長期間、熱エネルギーを格納するために、少なくとも熱吸収源の能力に依存するであろう。エネルギーを格納するための能力は、大量かつ特定の蓄熱媒体だけでなく、熱損失率または熱利得率にも基づいている。実行可能な大容量蓄熱システムは、相変化媒体を組み込むことができ、融解熱は、大きな温度変化なしに、比較的省スペースで大量のエネルギーを格納するために用いられ得る。共融温度は選択され、特定の温度で相変化を経る。
【0029】
短期間の保管は、典型的に数時間となり、日内変動に利用され得る。長期間の保管は、熱を保持するための媒体の能力に応じて、季節変動に利用され得る。熱劣化は、短期間の保管に対しては、長期間の保管に対する熱劣化よりも、それほど心配はいらない。たとえ保管庫が、劣化したとしても、浪費されるエネルギーによって充填されているなら、それは存続可能である。
【0030】
ここで、図4を参照すると、各建物20における熱伝達装置30は、温水導管14から低位(低温)のエネルギーを、より高位のエネルギーに変えるように構成され得る1つ以上のヒートポンプアセンブリを含むことができる。1つ以上の他のヒートポンプアセンブリは、建物20のために冷却を与えて、冷水導管16への副次的な熱を拒絶するように構成され得る。(図4に示され、その詳細は以下に説明される)バルブ切り替えアセンブリを備える、さらに他のヒートポンプアセンブリは、温水導管14から熱を抽出すること、または、冷水導管16中に熱を退けることによって、建物20に暖房または冷房を供給するように選択的に構成され得る。
【0031】
ヒートポンプアセンブリは、水から空気式、または、水から水式とすることができる。水から空気式のヒートポンプアセンブリは、一人部屋に使える典型的に小さなユニットであるヒートポンプを備え、DESS10、または、循環路熱交換器を通ってDESS10とやり取りする閉じた配管ループによって、直接供給を受けられる。建物20におけるヒートポンプは、加熱および/または冷却モードで動作でき、それにより、循環路12への熱伝達は、加熱負荷と冷却負荷との間の最終的な差異である。それゆえに、DESS10は、いくつかの建物に伝統的に存在するボイラーや冷却塔を置き換えることができる。
【0032】
各ヒートポンプアセンブリは、一対の熱交換器(それぞれ、“循環路熱交換器”32と“ビルディング熱交換器”33)と、両熱交換器32,33から流動的には分離され、熱的に連結されたヒートポンプ34とを含む。循環路熱交換器32は、温水導管14と冷水導管16の両方と流動的なやり取りをする。特に、循環路熱交換器32は、温水導管14と流動的なやり取りをする注入口と、水は温水導管14から熱交換器32を介して、冷水導管16に流れるように、冷水導管16と流動的なやり取りをする排出口とを備える。ヒートポンプ34は、その蒸発器が循環路熱交換器32と熱によるやり取りをするように配置され、熱交換器32を介して流れる温水中の熱エネルギーは、ヒートポンプ34中の作業流体によって救出され、それにより、循環路の水を冷却し、冷水導管16中に流す。また、ヒートポンプ34は、その復水器がビルディング熱交換器33と熱によるやり取りをするように配置され、循環路の水から吸収された熱エネルギーは、建物20の中に放出される。
【0033】
図4に示される実施形態では、屋内スケートリンク20(a)は、冷却を必要とし、それゆえに熱源としての機能を果たし、それに続く建物(住宅20(b)、低層集合住宅20(c)、高層集合住宅20(d))は加熱を必要とし、それゆえに熱吸収源としての機能を果たす。住宅20(b)は、暖房を必要とし、放射暖房によって加熱される。これらの建物20(a),20(b)のそれぞれにおける放射暖房システム36は、それぞれの熱交換装置30のビルディング熱交換器33に熱的に連結され、それぞれの建物20(a),20(b)において暖房を必要とする空間に熱的に連結される。さらに、低層集合住宅20(c)も、暖房を必要とし、強制空気システム40と放射暖房システム42の両方によって加熱される。強制空気システム40は、ビルディング熱交換器33に連結された放射熱温水ループからの熱を、集合住宅20(c)における空気路に伝達する、水から空気式のヒートポンプアセンブリを備える。高層集合住宅20(d)は、当該集合住宅20(d)に、局所暖房および家庭用温水暖房を提供するために、一連の熱伝達装置30を含む。局所暖房を提供する熱伝達装置30は、水から空気式のヒートポンプと、集合住宅20(d)における空気路と熱的に連結されるビルディング熱交換器33とを有する。家庭用温水暖房を提供する熱伝達装置30は、集合住宅20(d)における家庭用上水道に連結されるビルディング熱交換器を有する。
【0034】
図4に示された実施形態におけるサーバー設備21は、地熱グランドループ23(a)と衛生的な下水管23(b)に熱的に接続されるポンプ室44である。グランドループは、熱源および熱吸収源として動作することができ、衛生的な下水管23(b)は、熱源としての機能を果たすことができる。ポンプ室44は、一対の熱交換器と、両熱交換器から流動的には分離されるが、熱的に連結されるヒートポンプとを有するヒートポンプアセンブリ46を含む。循環路熱交換器は、熱エネルギー循環路12に流動的に連結され、グランドループ熱交換器は、地面に伸びるか、地面から伸びる流体ループに流動的に連結される。特に、循環路熱交換器は、冷水導管16に流動的に連結する注入口と、温水導管14に流動的に連結する排出口を有する。地中熱が熱源として利用されるとき、地熱エネルギーは、グランドループにポンプで通される流体によって吸収される。この熱エネルギーは、循環路熱交換器を介して、冷水導管16から流れる水に伝達される。追加の熱エネルギーは、衛生的な下水管23(b)から排出される温かい廃水から獲得され得る。衛生的な下水管熱伝達装置48は、廃水に熱的に連結され、冷水導管16に流動的に連結される注入口と温水導管14に流動的に連結される排出口とを有する熱交換器を含む。
【0035】
プログラマブル・コントローラ(図示せず)は、ヒートポンプアセンブリ46におけるヒートポンプの動作を制御するようにブログラムされ、それにより、十分な地熱エネルギーが、望ましい温水温度の範囲内で温水を維持するように、熱エネルギー循環路12に伝達される。
【0036】
ここで、別の実施形態による図5(a)から(i)を参照すると、地域における1以上のクライアントの建物20は、循環路12から熱を取り出すことも、循環路12に熱を預けることもできる可逆ヒートポンプアセンブリを備えることができる。ヒートポンプアセンブリ50は、可逆ヒートポンプ52と、当該ヒートポンプ52を循環路12に熱的に連結する循環路熱交換器56と、当該ヒートポンプ52をクライアントの建物20に熱的に連結するビルディング熱交換器58と、バルブアセンブリと、配管54によって温水および冷水導管14,16の両方と流動的に連結された循環ポンプ55とを含み、循環路熱交換器56を介して、冷水導管16からの冷水、または温水導管14からの温水を移動させるように構成される。ヒートポンプ52は、循環路熱交換器56とビルディング熱交換器58の両方から流動的には分離されているが、熱的に連結される。ヒートポンプアセンブリ50は、バルブアセンブリが、循環路熱交換器56を介して温水導管14からの水を、冷水導管16に移動させ、循環路熱交換器56を介して流れる水から熱を吸収し、ビルディング熱交換器58(この図では、建物の強制空気システムに連結されるが、当該技術分野において周知である、どの建物熱分配システムにも連結され得る)に熱を放出するように設定される場合、加熱モードで動作することができる。逆に、熱伝達装置50は、バルブアセンブリが、循環路熱交換器56を介して冷水導管16からの冷水を、温水導管14に移動させ、ビルディング熱交換器58から熱を吸収するようにヒートポンプ52を動作させ、循環路熱交換器56を介して流れる水に、この吸収された熱を放出するように設定される場合、冷却モードで動作することができる。
【0037】
図5(a)−(c)は、一対の三方向バルブ60,62を含むバルブアセンブリの1つの実施形態を図示する。第一の三方向バルブ60は、配管54によって、温水導管14、冷水導管16および循環路熱交換器56の注入口に流動的に連結される。第二の三方向バルブ62は、温水導管14、冷水導管16および循環路熱交換器56の排出口に流動的に連結される。熱伝達装置50は、図5(a)に示されるように、加熱モードにセットされているとき、第一の三方向制御バルブ60は、冷水導管16を閉じるが、温水導管14と循環路熱交換器56の注入口を開け、第二の三方向制御バルブ62は、温水導管14を閉じるが、冷水導管16と循環路熱交換器56の排出口を開ける。結果として、水経路は、温水導管14から、循環路熱交換器56を介して、冷水導管16に流れるように、水用の配管54を通して提供される。ヒートポンプアセンブリ50が、図5(b)に示されるように、冷却モードにセットされているとき、第一の三方向バルブ60は、温水導管14を閉じるが、冷水導管16と循環路熱交換器56の注入口を開け、第二の三方向バルブ62は、冷水導管16を閉じるが、温水導管14と循環路熱交換器56の排出口を開ける。結果として、水経路は、冷水導管16から、循環路熱交換器56を介して、温水導管14に流れるように、水用の配管54を通して提供される。循環ポンプ55は、循環路熱交換器56の注入口における配管54に連結され、そのような流れを生じさせるように動作する。
【0038】
一対の三方向制御バルブ60,62は、冷却モード設定および加熱モード設定で、それぞれ制御バルブ60,62を設定するためにプログラムされたコントローラと通信する電磁弁とすることができる。一方、一対の三方向制御バルブ60,62は、冷却モード設定と加熱モード設定との間で手動的に調節可能である。
【0039】
ヒートポンプが図5(c)に示されるようにオフであるとき、両制御バルブ60,62は、温水の流れを止めるようにそれらのポートのうち1つを閉じて、それにより配管54を介して冷水を流す。一方、両制御バルブ60,62は、冷水の流れを止めるようにそれらのポートのうち1つを閉じて、それにより温水を流す。いずれの設定においても、水は残りの開ポートを介して、配線54を通って循環することができる。
【0040】
制御バルブ60,62は、ヒートポンプ52への給水管中の温度センサ(図示せず)によって調節することが可能な調節バルブとすることができ、または、流入水の最大温度または最大冷媒圧力を維持するために、ヒートポンプ52から排出される冷水を温水導管14からの温水と混合する冷媒圧力コントローラとすることができる。一対の三方向制御バルブの代わりに、同様の機能は、別の実施形態に従って、図5(d)から(f)に示されるように、単一の四方向制御バルブ63によって成し遂げることができる。四方向制御バルブ63は、四つのポートA,B,CおよびDを有し、バルブのあるポジションで、ポートAとポートBおよびポートCとポートDを接続するように流れを切り替えるロータリーアクチュエータを備える。当該バルブが他のポジションに切り替わるとき、ポートAとポートCおよびポートBとポートDを接続する。配管54は、循環路熱交換器56の注入口ポートがポートAに連結され、温水導管14がポートBに連結され、冷水導管16がポートCに連結され、循環路熱交換器56の排出口ポートがポートDに連結されるように備えられる。制御バルブ63の第一ポジションで、温水は配管54を介して循環路熱交換器56に流れ込み、冷水循環路熱交換器56から冷水導管16に排出される。制御バルブ63の第二ポジションでは、冷水は循環路熱交換器56の中に導かれ、温水は温水導管14に排出される。
【0041】
ヒートポンプを通る流れを停止するために、ヒートポンプがオフである場合に閉じる二方向制御バルブ65は、温水給水管と冷水給水管のいずれにも設置される。
【0042】
図5(g)から(i)に見ることができるように、二組のペアの二方向制御バルブ64,66は、熱伝達装置を冷却モードと加熱モードの両モードで動作できるように、一対の三方向制御バルブ60,62と同様のペアで動作され得る。これらの図では、開いている制御バルブ64,66は、外郭線で示されて、閉じている制御バルブは、黒で塗りつぶして示される。図5(g)中の矢印によって示されるように、配管54を通る流体経路は、温水が温水導管14から循環路熱交換器56を通って冷水導管16に流れるように、開かれた制御バルブ64,66と閉じられた制御バルブ64,66によって定められる。同様に、図5(h)中の矢印によって示される流体経路は、冷水導管16からの水が循環路熱交換器56を通って温水導管14に流れることを示す。図5(i)では、全ての制御バルブ64,66が閉じられ、それにより配管54を通る流れが止められる。
【0043】
ここで、さらに別の実施形態による図6を参照すると、DESS10は、複数のクライアントの建物20に熱供給を行う1つの熱伝達装置30を用いて設計され得る(以下、ローカル熱伝達設備70と呼ぶ)。ローカル熱伝達設備70は、一対の熱交換器74,76と、これら2つの熱交換器74,76に熱的に接続されたヒートポンプ78とを備えるヒートポンプアセンブリ72を含む。これらのうち一方の熱交換器74は、前述した方法と同じ方法で、すなわち、温水導管14に連結された注入口と冷水導管16に連結された排出口とを用いて、温水および冷水導管14,16を流動的に相互にやり取りする循環路熱交換器である。他方の熱交換器は、独立した水循環路と流動的に連結されたビルディング熱交換器76である(以下、“ビルディング水循環路”80という)。ヒートポンプ78の蒸発器は、循環路熱交換器74と熱によるやり取りを行い、ヒートポンプ78の復水器は、ビルディング熱交換器76と熱によるやり取りを行い、それにより、ヒートポンプ78は、熱エネルギー循環路12からビルディング水循環路80に熱を伝達するように動作し得る。ビルディング水循環路80の中の水は、ローカル熱伝達設備70におけるポンプによって、各建物20(e),20(f),20(g)における暖房システムに循環される。それらシステムは、建物20(e)に示されるようなファンコイル暖房システムとすることができ、または、建物20(f),20(g)に示されるような放射暖房システムとすることができる。バッファータンク84は、ビルディング水循環路80に流動的に連結され、小さな負荷しかないときでも、短サイクルを十分に回避できるように、ヒートポンプを機能させる。また、ビルディング水循環路80も、家庭用温水熱交換器86に流動的に連結され、当該家庭用温水熱交換器86は、家庭用温水循環路88に熱的に接続される。家庭用温水循環路88は、家庭内温水タンク90、および、所帯内での温水使用のために、熱せられた水を各建物20(e),20(f),20(g)に供給する配管91を含む。熱エネルギー循環路12における熱エネルギーは、ビルディング水循環路80に伝達されて、その後、暖房を提供するために建物の暖房システムに伝達され、かつ、家庭用の熱せられた水を供給するために、ビルディング水循環路80から家庭用温水循環路に伝達されることが分かる。
【0044】
この実施形態における熱サーバー設備は、地熱変換(geo-exchange)サーバー設備94が地熱源だけに熱的に連結されていることを除いては、図4に示されたポンプ室44と同様である地熱変換サーバー設備94である。
【0045】
ここで、さらに別の実施形態に従った、図7を参照すると、DESS10は、地域における各建物20(h),20(i),20(j)が、独自の熱伝達装置30を有するように構成され、熱サーバー設備は、図6の実施形態で示されて説明されたような地熱変換サーバー設備94である。これらの建物20(h),20(i),20(j)のそれぞれにおける熱伝達装置30は、異なるタイプの暖房システムとすることができ、例えば、強制空気暖房システムで用いられる、建物20(h)における水から空気式のヒートポンプアセンブリや、放射暖房システムで用いられる、建物20(i)および20(j)における水から水式のヒートポンプアセンブリなどである。図示はしていないが、その他に、熱伝達装置30は、建物から熱を吸収して、吸収した熱を熱エネルギー循環路12に排出するように構成された循環路熱交換器を含む1つ以上の冷却システム(図示せず)も含むことができる。さらに、図示はしていないが、その他に、DESS10は、地域における他の建物に熱供給を行う、図6の実施形態中の設備70のようなローカル熱伝達設備を含むことができ、それにより、図におけるいくつかの建物は、ローカル熱伝達設備によって、集合的に熱供給を受けられ、いくつかの建物は、独自の熱伝達装置を備える。
【0046】
ここで、さらに別の実施形態に従う図8を参照すると、図6に示されるローカル熱伝達設備70および熱交換サーバー設備94は、複数のクライアントの建物20(k),20(l),20(m)に供給を行う単一複合設備100に併合され得る。これらクライアントの建物は、図6の実施形態における熱伝達設備70と同様に、複合設備100に熱的に連結された暖房システム102と、さらに複合設備100に熱的に連結された家庭用温水配管とをそれぞれ備えている。熱伝達設備70と熱サーバー設備94を組み合わせることで、ヒートポンプアセンブリ72は、熱エネルギー循環路12の代わりに、ヒートポンプ設備のウォーターループに熱的に連結されるようになる。このサーバー設備は、熱エネルギー循環路12およびサーバー設備のウォーターループと流体によりやり取りをする循環路熱交換器を管理する。それゆえに、熱エネルギー循環路12から熱交換器を介してサーバー設備のウォーターループに伝達する熱、または、地熱源の熱伝達装置を介して地熱源のウォーターループから伝達する熱は、暖房や家庭用温水を建物20(k),20(l),20(m)に提供するために、利用され得る。
【0047】
さらに別の実施形態に従う図9(a)を参照すると、一対のDESS10(a),10(b)(第一および第二のDESS AおよびB)は、熱的にかつ/または流動的に、熱エネルギー伝達ステーション110によって連結させられ得る。その実施形態は図9(b)から(d)に示される。
【0048】
各循環路12(ループAおよびループB)における温水および冷水導管14,16は、各導管14,16中のどの点においても同じ圧力を保つように、水が各導管14,16において同じ方向に進むように構成される。当該構成は、循環路12におけるすべてのクライアントの建物20を満足するサイズの1つ以上のサーバー設備21を通常備える各循環路12に基づいている。しかしながら、サーバー設備能力およびクライアントの建物負荷は、いずれか1つの循環路12が不均衡状態に陥り、加熱パイプや冷却パイプの温度が、設定点よりも上になったり、下になったりといったように、時間や季節によって異なる可能性がある。逆に、改良された性能を達成するために、操作者は、後で用いるために、エネルギーを格納するように、1つの循環路の温度を変更したい可能性がある。一方の循環路12から別の循環路に熱エネルギーを伝達する別の理由は、熱電池として機能することができる地熱変換サーバーにおける汚水処理場などのような、1つのサーバー設備からの余剰エネルギーを格納する必要性である。
【0049】
もし熱的不均衡があるときには、1つの循環路12(a)から別の循環路12(b)に、あるいは、一連の循環路12を通って伝達される熱エネルギー需要がある。これを達成するために、循環路12の間の交差接続が、熱エネルギー伝達ステーション110によって提供され、熱を一方の循環路12から他方の循環路に伝送する。
【0050】
熱伝達ステーション110の3つの異なる実施形態は、以下のように記載される:
1.同じ圧力ゾーンにおける循環路12(a),(b)間の熱伝達(図9(b))。
【0051】
2.異なる圧力ゾーンにおける循環路12(a),(b)間の熱伝達(図9(c))。
【0052】
3.異なる圧力ゾーンで、伝達ステーション110において少なくとも1つの熱サーバー設備を有する、循環路12(a),(b)間の熱伝達(図9(d))。
1.同じ圧力ゾーンにおけるループ間の熱伝達
図9(b)および(e)から(h)を参照すると、伝達ステーション110は、2つの熱エネルギー循環路12(a)の温水および冷水導管にそれぞれ連結した、温水および冷水移動導管120,122を含む。ポンプ124は、温水移動導管120に連結され、第一循環路12(a)から第二循環路12(b)に水を流すように動作することができる。当該ポンプ124は、可変速駆動(VSD)を有し、それにより流量が調節可能である。
【0053】
関連配管とともに一対の三方向制御バルブ126を含む切り替えアセンブリ125、および、温水伝達導管120と連結した遮断バルブは、水流の方向を逆にすることができる。三方向制御バルブ126のポジションに基づいて、4つのモードの動作がある(各バルブ126の開ポジションは外郭線で示され、閉ポジションは黒塗りで示される)。モード1は、第一循環路12(a)から第二循環路12(b)に水をくみ上げる(図9(e))。モード2は、第二循環路12(b)から第一循環路12(a)に水をくみ上げる(図9(f))。モード3は、ポンプをオフにしてどの方向にも自由に流れることを許容する(図9(g))、そして、モード4は一切の流れを許容しない(図9(h))。モード4は、循環路12(a),(b)に、熱エネルギー伝達を行うことなく、独立して動作させる。
【0054】
いくつかの循環路12(図示せず)を介して水を伝達させる場合に、1つの伝達ステーション110では、モード1または2で、1つだけのポンプ124を動作させることは可能であり、モード3では、他の伝達ステーション110を備えることになる。
【0055】
遮断制御バルブ128は、循環路12(a),(b)間の水の流れを止めるために、冷水伝達導管122上に備えられる。遮断制御バルブ128は、モード4において遮断する副次的な遮断手段であり、他のループと相互接続されるループ間の圧力の差異によって生じる冷水移動導管122を介する流れが、おこらないことを保証する。遮断制御バルブ128は、調節型であり、2つの循環路12(a),(b)における相対圧力に基づく流れを制御できる。
2.異なる圧力ゾーン間の熱伝達
異なる圧力において動作する循環路12(a),(b)に対して、図9(c)を参照すると、伝達ステーション110は、水を移動させることなく循環路12(a),(b)間の熱エネルギーを伝達する。伝達ステーション110は、流動的には分離しているが熱的に連結されている第一および第二の熱伝達ゾーンを用いる、液体から液体式の熱変換器112と、各循環路12(a),(b)の温水および冷水導管を、熱変換器112の第一および第二の熱伝達ゾーンに流動的に連結する配管とを含む。伝達ポンプ114,116は、各循環路12(a),(b)を熱交換器112に連結する配管に備えられており、熱交換器を介してそれぞれ各循環路12(a),(b)から水を流すために動作することができる。それにより、熱は、熱変換器112において温かい導管から冷たい導管に伝達され得る。
【0056】
熱変換器112は、スチール鋼製のクリーニング可能な逆流熱交換器であり、摂氏1度のアプローチを達成することができる。すなわち、ある流体は、他の流体の注入温度の摂氏1度以内で熱交換器112を出ていく。伝達ポンプ114,116は、冷水導管16から各循環路12(a),(b)における温水導管14に、流体を汲み上げる。伝達ポンプ114,116は、各循環路12(a),(b)において、冷水導管16から温水導管14に流体をくみ上げる。この流れは逆転することができ、それにより、伝達ポンプ114,116は、シナリオ1(図示せず)用に用いられるポンプのための切り替えアセンブリによって、温水導管14から冷水導管16に水を汲み上げる。
【0057】
システムの圧力制御は、一方のループで行い、他方のループでは行われないので、オプションとして、加圧ポンプ118と、圧力増加のための関連配管、または、圧力降下が必要とされるならPRVがある。
3.異なる圧力ゾーンと1つのステーションにおけるサーバーとの間の熱伝達
図9(d)を参照すると、図9(c)に示されたものと同様の伝達ステーション110は、熱交換器112の両側に供給する、個別の配管にそれぞれ連結された一対のサーバー設備130を追加的に備えている。この配置は、熱交換器112をサーバー設備ビルディングに統合し、設備の共有を通じてポンプによる吸水と制御を簡単なものにでき、熱源または吸収源といった設備を熱伝達に提供する。各サーバー設備は、模範的な地熱源と熱吸収源とともに示されるが、サーバー設備130は、上述したように、他の熱源および吸収源に熱的に結合され得る。
【0058】
典型的な配置は、高圧力上限ループAと直接連結される地熱交換ヒートポンプと低圧力下限ループBと直接連結される別の地熱交換ヒートポンプのような1つ以上のエネルギー熱源/熱吸収源とすることが可能である。1組のヒートポンプの能力を持つ、高圧力および低圧力ループA,B間の熱交換器は、全てのヒートポンプが、上限ループあるいは下限ループに供給することを可能にし得る。また、この配置は、2つのループが独立に動作すること、または、ヒートポンプの使用なしに、熱をループからループに伝達させることを可能にする。
【0059】
図10は、図に重ね合わせて示されるDESS10とともに、地域の写真を示す。DESS10は、廃水熱回収源23と、住宅20(クライアント熱吸収源)と、アイスアリーナ20(クライアント熱吸収源)と、学校、プールおよび温室負荷20とを含む。実線は、熱エネルギー循環路の温水および冷水導管を示す。破線は高温伝達導管を示す。
【0060】
図11は、どのようにして、エネルギーが管理され、DESS10を介する複数の熱源からのバランスを取り得るのか、どのようにして、水がDESS10の熱伝達媒体として利用可能なように再生利用されるかを説明するブロック図である。
【0061】
別の実施形態に従った図12を参照すると、DESS10は、雑排水源152から熱エネルギー循環路12に雑排水を流して、少なくともいくらかの当該水を、特定の家庭用水の用途で、クライアントの建物に伝達するための雑排水注水アセンブリ150を含む。
【0062】
用語“雑排水”は、飲料水の基準を満たさないが、トイレ洗浄、外観の洗浄または灌漑などの特定の用途で、クライアントの建物で使用可能な非飲料水を意味する。
【0063】
この実施形態では、熱エネルギー循環路12のほかに、クライアントの建物20に熱エネルギーを伝達することも、クライアントの建物20への雑排水の配水を提供することができる。雑排水は、トイレ洗浄や灌漑に利用でき、それにより、飲料水の消費を劇的に減らすことができる。DESS10は、通常閉ループであるが、雑排水注水アセンブリ150はDESS10を部分的に開かせる。それゆえに、である、プラスチック、非鉄金属、ステンレス鋼などの適切な材料を用いてオープンシステムに適した、循環路12における配管を必要とする。
【0064】
下水処理場からの汚れていない下水である雑排水は、循環路12において、特に、熱交換器において、汚れの蓄積や増殖を防止するために、特定の基準を満たさなければならない。健康上の理由のために満たされるべき基準もある。しかしながら、要求される基準は、飲料水に対する基準よりもかなり低いものである。
【0065】
雑排水の注水は、DESSにおける水の流れを増加されるが、水の需要量は、エネルギー伝達のために必要とされる流水量よりもかなり低いものである。したがって、配管サイズは、通常、雑排水の流入量を収容するために大きくする必要はない。
【0066】
雑排水注水装置150の構成要素は次のとおりである:
排水供給導管153は、雑排水源152を熱サーバー設備21における配管に流動的に連結する;この場合において、雑排水供給導管153は、雑排水が温かいので温水供給導管154に連結され、循環路12にいくらかの熱エネルギーを提供することができる;しかしながら、雑排水供給導管153は、もし雑排水が冷たければ、冷水供給導管153に択一的に連結され得る。
【0067】
雑排水供給導管153を流れる雑排水は、それが健康、微粒子濃度、および、微生物の増殖に対する必要な基準を保証するために、最初にろ過装置(図示せず)を流れる。圧力制御装置156は、ろ過装置の下流にある雑排水供給導管153に連結され、循環路12内の水圧を調節するように機能する。特に、圧力制御装置156は、標準圧力上昇ポンピングシステムを備え、該ポンピングシステムは、DESS10よりも高く、雑排水の圧力を増加させる。ポンピングシステムは、ポンプ制御バルブおよび緩衝タンクの装置から成り、設定圧力にまで、不定の流れの水を伝達させる。ポンピングシステムの設定圧力は、DESSに対して必要な圧力である。また、制御装置156は、循環路における水圧を減らすために、1つ以上のPRVを含むことができる。さらに、圧力制御装置は、少なくとも1つの制御バルブと、ポンプに流動的に連結され、温水導管への雑排水の流量を変えることができる緩衝タンクとを含むことができる。
【0068】
各クライアントの建物20に供給を行う温水供給導管14は、ヒートポンプの流れと同時に起こる雑排水の流れの両方を得られるようなサイズである。典型的な家屋(建物)に対して、DESSの供給は、1インチの直径で足り得え、雑排水が追加された場合には、それは1と1/4インチの直径となり得る。建物の温水供給導管159から分岐した埋設導管158は、雑排水の使用量を測定するために、水道メーター160に送り込まれ、そして、建物20の当該水は灌漑システムやトイレ洗浄システム(図示せず)に連結され得る。
【0069】
任意のクライアントの建物20による雑排水の使用は、循環路12全体における圧力を減らすことになり、圧力制御装置156は圧力降下を検出して、設定圧力を維持するために、DESS10に新たな雑排水を送り込む。
【0070】
上で述べたように、DESS10は、低温の水ベースの配管システムを介して、多様な熱源やクライアントに接続され、地域内の建物に暖房と冷房の両方を提供する、モジュール式の低位熱エネルギーネットワークである。DESS10は、住宅地区、公共機関地区、商業地区や工業地区に適用可能である。低温の水に伝達することのできる任意の熱源は、地熱、地熱交換、地下水、地表水、廃水、冷却システム、屋内スケートリンク、太陽熱収集器の排気流、ディーゼル発電機、および、煙突などの多様な熱源を含むDESS10に組み込まれ得る。DESS10は、これら熱源から低位熱を取り込み、それをクライアントに分配し、熱交換装置におけるヒートポンプを用いることで、低位熱エネルギーを建物の暖房や給水用により高位の熱エネルギーに変換したり、または、熱を空調用の低位システムに返したりもする。
【0071】
熱エネルギー循環路12は、エネルギー配給機能だけでなく、エネルギー貯蔵機能の両方を提供し、これら2つの機能は、熱資源の共有や、多様性によって必要とされる熱源サイズの減少を可能とする。DESS10の熱エネルギー循環路12で使用される配管の温度は地温に近く、従って、断熱する必要がない。配管は、他の配管システムに比べて非常に低コストの高密度ポリエチレン(HDPE)であり、低い動作温度であるがゆえに利用可能である。
【0072】
既存の道路や建物に従来の地域エネルギーソリューションを統合することは、統合が完成する前に、巨額の資本出資がしばしば必要となる、複雑な事業計画の挑戦となり得る。好都合にも、DESS10のモジュール機能と、HDPE配管への取り付けや分岐させることの相対的な容易さは、徐々に普及させることができ、出資した資本を簡単に回収することをもたらす。
【0073】
DESS10は、エネルギーが将来の使用のために引出すことができ、または格納することができる、例えば、地中、(不変の)地下水、湖および海洋などのソースおよび/またはシンクであるエネルギーの蓄えを利用するという特徴を持っている。他のソースは、制限された貯蔵能力、不定の出力範囲を有するそれらのソースを含み、短期間に再利用されなければならない。これらのソースは、大きなエネルギー再利用源を含むことができ、例えば、廃水放水、空調、屋内スケートリンク、工業プロセスおよび熱電併給プロセスなど、他の地域で使用されるために、暖房および冷房を得る必要がある。一旦、利用可能なソースの特性が示されると、負荷は当該ソースおよび多重ループ、ハイブリッドシステムに適合させる。当該ハイブリッドシステムは、DESS10に連結された建物の効率を最適化する住宅用、商業用、工業用を組合された用途のために開発され、環境にとって受け入れられない廃熱を最小化して、DESS10を予め調整することによって、最大負荷を減少させる。
【0074】
また、熱源23から獲得される熱は格納され、貯蔵庫の選択肢は多様であり、地表源、熱の水槽庫、システム基盤施設またはプールを含む。温水および冷水導管14,16は、をかなり増加させるために、DESS10において用いられる熱ポンプの効率を向上させるために温度差動を提供する。暖房のために温水導管14から温水を汲み上げて、大量のより冷たい水を冷水導管16に戻すことによって、負荷を相殺することは可能である。いくつかのシステムは、典型的に加熱モードで動作し、別のいくつかのシステムは冷却モードで動作する。DESS10は、地域に対する全体の要求を最小化して、これらの負荷を相殺する。本来の熱源または熱吸収源といった地熱交換ヒートポンプのような主なソースの代わりに、それらは、DESS10のエネルギー要求のバランスを取るためのツールとして、および、季節的負荷に対する大きな貯蔵庫として、より大きな役割を担う。
【0075】
図12に示されるように、DESS10は、廃水処理施設または水を再生するその他の工程からの再生水を移送する移送機として用いることもできる。これは、これらの熱源(ソース)からの熱回収の効率を増加させ、地域の健康および環境上の基準を満たす水質に応じて、再生水は、飲料水に対する需要を減らすために用いることができ、それは、トイレ洗浄、灌漑、水流の増加、および、飲料水を要しないその他の水サービスに用いられることによって、飲料水の需要量を低減する。
【0076】
DESS10は、雨水をろ過することで、雨水の管理に役立つ運搬手段としても用いることができ、その温度に応じて、温水または冷水導管14,16を通して雨水を送る。もし大きな高潮が発生したなら、DESS10は、地域のあるエリアにおける超過した雨水の進路を変えて、超過した雨水をうまく処理できる、その地域の別のエリアに送ることができる。DESS10は、比較対象となり得る温度システムの問題を処理して、拡張可能な地域システムに対する効率的なモデルを提供する。それは、主要な分配システムとしてループの形式で、比較的低い温度の温水導管14と冷水導管16を利用する。温度を変化させる多重ループは、1つのループまたはネットワークから別のものにエネルギーの効率的な伝達を最大にするために連結されて、均衡を保つことができる。大きな集中型の熱エネルギーシステムを開発することに加えて、図9に示されるような、より小さく局所的な熱エネルギー均衡伝達ステーション(“ミニプラント”)は、熱エネルギーの新しいソースを加えるために用いることができ、様々なループ間、ループの様々な部分間で、熱エネルギーを管理して、均衡を保つことができる。後者のアプローチは、DESS10の資本コストを開発の現段階または検討中の課税標準に合わせることができ役立つ。一方、もっと拡張可能できるDESS10を許容すると、それは容易に、開発とともに成長でき、すなわち、既存の地域社会において拡張することができる。大きなソースおよびシンクで、小さなミニプラントを用いることによって、環境または設備から低位熱を捕らえることが可能であり、温水および冷水導管14,16の均衡を保つことができる。このアプローチは、DESS10を容易に拡張することも可能し、それぞれの設備(プラント)は、DESS10のその他の部分にエネルギーをそらすことができる。相互接続性は、DESS10の安定性を増すことができ、容易な拡張を許容する。
【0077】
ミニプラントは、均衡を保ち、効率的な回収を制御するために、また、あるループから別のループに熱エネルギーを伝達して格納するために、いくつかのヒートポンプ、ポンプ、熱交換器、および、貯蔵タンクを含むことができる。これらのミニプラントは、循環路12の事前調整を行うことにも役立ち、循環路12の至る所にある貯蔵場所への超過熱エネルギーの伝達の効率を最大化することにも役立つ。その貯蔵場所は、加圧されていない、プラスチック、ガラス繊維、または金属製の貯蔵タンクとすることができ、ミニプラントの内部、あるいは、外部に埋設されて配置され得る。複数のヒートポンプは、要求最大容量の増加にともない、プラントを拡張することを可能にする。ミニプラントはモジュールで、工場組み立て式であり、試験済みであり、その機器は、(部分的に埋設された)コンクリート・チャンバーに収容でき、または、機器の上面と同様にアクセスパネルを備える、低い高さの金属薄板の筐体(エンクロージャ)に収容できる。複数世帯住居または商業ビルなどのような、より大きな建物の場合には、ミニプラントは当該建物に組み込まれ得る。
【0078】
最適化の観点から、有効なエネルギー源は、場所ごとに評価され、DESS10は、コストを最小化して、DESS10の持続可能性を最大するように、利用可能なエネルギー源の周辺に設計される。DESS10は、暖房に要するエネルギーと、冷房から廃棄されたエネルギーとの均衡を保つことによって、地域社会の暖房、冷房、および家庭内の温水に要する、全体的なエネルギーを減らすことにも用いることができ、それにより、インフラ全体のコストを減らすことができる。1つのエリアにおける建物から廃棄された熱、または、1つ以上のソースあるいは貯蔵場所から集められた熱は、暖房を必要とするところに伝達することができる。本方法では、負荷は地域の端から端まで共有される。同様に、加熱モードで建物から廃棄された冷水、または、1つ以上のソースあるいは貯蔵場所から集められた冷水は、より効率的に建物を冷やすために用いられる。加熱および冷却エネルギーの当該共有は、熱伝達網における全体的なエネルギー消費を減少させ、必要とされる追加的なエネルギー源(ソース)の量を減らせる。
【0079】
一連の特別な構成要素およびサブアセンブリは、DESS10の一部分を形成でき、以下のもののうち1つ以上のものを含み得る。
【0080】
・ローヘッド大流量インラインポンプ装置。
【0081】
・動的なエネルギーをDESSの本管の水流に伝えるため、かつ、1つの配管または2つの配管操作を許容するための、ソース又はクライアントの連結部用のHDPEベンチュリー注入T字管。
【0082】
・1つまたは2つの配管DESS操作を巧みに利用するための、2つまたは4つの配管ビルディング連結部およびバルブアセンブリ。
【0083】
・水、または、水および岩で満たされる地中非加圧型層状蓄熱タンク。
【0084】
・様々な負荷、ソースおよびDESSと連結され、エネルギーを送達し、引き出し、格納し、および、DESSネットワークにおける他のミニプラントやゾーンとのエネルギーの伝達を制御するミニプラント。
【0085】
・流量、加熱や冷却のためのエネルギー計測装置およびソフトウェア。
【0086】
・アクセス可能な、インラインの、遠隔温度および圧力監視装置。
【0087】
北アメリカでは、最も利用可能な熱エネルギー源は、典型的に低温の熱源であり、そのため、ヒートポンプは暖房または冷房のレベルを高めることを必要とする。多くのヒートポンプは、DESS10に置かれた場合に、5.5以上の成績係数を得ることができる。これは、冷暖房に対する建物の全エネルギー消費を80%以上低減し、建物全体のエネルギー消費を45%以上低減する効果を有している。地域における全体的な電気エネルギー消費を最小化することによって、他の代替的なエネルギーは、より実現可能になり、さらにプロジェクトの持続可能性を促進して向上させる。分散型のエネルギー源の中継や、柔軟な機械システムの維持管理を考慮すると、2つの選択肢がある:全てのエネルギー源を共通の高い温度に変換すること(小規模の低位エネルギー源に対しては実現可能ではないかもしれない)、または、周囲温度で分配することである。地域に追加設置する場合に、この後者の戦略は、最適な統合要件に応じて、ヒートポンプを含むミニプラントエネルギーセンターと組み合わせることができ、最高で135°Fから180°Fまでの出口温度(吐出し温度)を上げることに用いられ得る。
【0088】
この戦略は、高温供給システムを用いて、低コストかつ低エネルギー損失の周囲温度分配システムの効率を最大化し、それは、既存の機械室にスペースを見つけることができないときでも、統合することを容易にする。高い温度は、短区間に対してのみに用いられ、経路における損失は限定され、伝達されたエネルギーはより適切に維持され、DESS10の全体のライフサイクルコストを減少させると同時に、統合要件を単純化する。
【0089】
熱エネルギー循環路12は、潜在的に重要な熱エネルギー貯蔵システムを表し、結果として、超過熱エネルギーは、循環路12における水導管14,16のうち1つの平均温度を調整することによって、循環路12に格納することができる。水温を保存して調節するこの機能(すなわち、水温の事前調整)は、多くの潜在的利益を有する可能性があり、ピークシェービングおよび負荷整合を含む。負荷整合は、外気温度と建物の設計温度の両方を監視して、予想された過熱負荷と冷房負荷をより適切に調整するために循環路12の温度を上げ下げすることで行われる。それにより、機器がより効率的に稼動することを可能にして、ヒートポンプの性能を改善することができる。ピークシェービングは、商業用および/または住宅用電気料金に対するしきい値料金に達する前に、予想負荷に対応することを見据えて循環路12を事前調整することによって成し遂げられ、DESS10は、ピーク電気シェービングまたはピークシェービングを行うことができる。電気に対するピークエネルギーの費用がかかるより前に、循環路12を事前調整することによって、より薄くない数のポンプおよびヒートポンプが、この時間帯に稼動する必要があり、稼動するそれらのポンプは、より効率的に動作し得る。これは、請求負荷料金とともに建物に対するピーク負荷需要コストを減少させ、潜在的に大幅に動作コストを減らすことができる。
【0090】
循環路12は、熱エネルギーのための貯蔵タンクともいえるが、追加的な貯蔵庫は、地域における貯蔵タンクまたは建物における予熱タンクの観点からいえば、追加することができる。例えば、予熱タンクは、DESSの一部として提供され得る。
【0091】
DESS10のもう1つの重要な利点は、モジュール式地域エネルギーの使用である。DESS10は、インフラの一体化をもたらし、(資源や自然環境を保ちながら続けられるものと化石燃料の両方をベースとする)複数のソースを統合することができ、地域全体にわたる、全てのエネルギー需要およびエネルギー貯蔵要求を管理できる。そして、それは、複数の地域社会を統合し、全体の“グリッド”すなわち地域にわたって、需要量と貯蔵能力を管理する。分配伝達システムは、建物のシステムを後付けするコストを最小化するために、低強度/温度の分配と高温のビルディング連結要求を一体的に調和させる。それにより、より高い温度の調整に対する既存の建物のシステムのニーズに調和して、低い/周囲温度の分配の利益をもたらし、低位熱エネルギーまたは高位熱エネルギーに対する既存の建物のシステムのニーズを満足するための、建物の連結を提供する。
【0092】
DESS10は、ミニプラントが“鉄格子(グリッド)”のフレーム構造における、加熱冷却パイプシステムに組み合わされる際に、個々のミニプラントは、全体としてDESS10を損なうことなく、サービスに対する管路を遮断することができるという点において信頼性を提供する。DESS10内の相互接続されたモジュールは、信頼性の向上をもたらし、追加設置のコストは、建物の連結のタイプが建物のニーズに、最適にマッチすることで減少する。DESS10は、複数の圧力ゾーンと熱エネルギー伝達ゾーンを利用することができる。ミニプラントは、地域社会またはDESSネットワーク内の異なる圧力ゾーンを統合するために、理想的な設備を提供する。当該ネットワークの隣接エリアは、移送ポンプと交差接続され、2つ以上のゾーン間のループ(環状路)を備えている。軽量パイプの使用を許容する、妥当な水準にパイプ中の圧力を維持するために、隣接ループは実質的に異なる高度を有し、交差接続は熱交換器によってなされ得る。既に述べたように、さらに、ミニプラントは、一方のゾーンから他方のゾーンへの均衡、管理および伝達を可能にさせ、複数のゾーンに渡って熱エネルギーを送るために設置され、制御することができる。もし代替エネルギー源が日変動と季節変動の両方を有して、1つのソース(エネルギー源)だけに基づいて地域エネルギーシステム全体を構築するのが、非常に困難であり、桁違いの費用がかかるとするならば、エネルギーの平衡化が提供される。複数のソースを統合するための、DESSのモジュール特性とその機能は、地域社会の全エネルギー需要量を供給することで、与えられたどんなソースのコストも減らせる。供給されたエネルギーは、資源や自然環境を保ちながら持続でき、これら持続可能なソース(エネルギー源)は、潜在的な再開発地域の密集度を上げるために用いられる。
【0093】
高い温度は、短い距離でのみ用いられるので、経路損失は限定され、伝達されたエネルギーはより適切に維持され、DESSの全体のライフサイクルコストを減少させると同時に、統合要件を単純化する。これらの高い出力温度のヒートポンプの効率を最大化するために、それよりもわずかに高い入力温度を当該ヒートポンプに供給するように、DESS循環路の温度を事前調整することが必要となる。これは、既存の地域社会にDESSを後付けする際に、特に重要である。ただし、特定の加熱制約を有する既存の建物や、可能な限り多くの既存の建物の冷暖房システムを再利用するという要望がある。また、これは、全体的なループの温度が、個別の建物の冷暖房要求を反映するように、より動的に管理でき、それにより、エネルギー供給コストを減らし、エネルギーがネットワーク上の各建物に伝達される性能を最大化するということになる。ループ温度は、暖房または冷房のいずれかに対する建物のニーズを反映するために、より正確に制御できる。建物における機器は、必要なものだけを取るように制御され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギー循環路であって、
第一温度で熱伝達液体を流すための温液体導管と、
前記第一温度よりも低い第二温度で前記熱伝達液体を流すための冷液体導管と
を含む熱エネルギー循環路と、
ヒートポンプアセンブリであって、
可逆ヒートポンプと、
前記ヒートポンプと熱的に連結され、かつ、クライアントの建物に熱的に連結するビルディング熱交換器と、
前記ヒートポンプを前記熱エネルギー循環路に熱的に連結する循環路熱交換器と、
前記循環路熱交換器を前記温液体導管および前記冷液体導管に、流動的に連結する配管と、
前記配管と連結された少なくとも1つの循環ポンプと、
前記配管に連結され、加熱モードと冷却モードとの間で切り替え可能な少なくとも1つの制御バルブを含むバルブアセンブリとを含み、
前記加熱モードでは、前記温液体導管から前記循環路熱交換器を介して前記冷液体導管への、前記熱伝達液体の流れのための配管を通る流体経路が定められ、
前記冷却モードでは、前記冷液体導管から前記循環路熱交換器を介して前記温液体導管への、前記熱伝達液体の流れのための配管を通る流体経路が定められる
ヒートポンプアセンブリと
を含む地域エネルギー共有システム。
【請求項2】
前記バルブアセンブリは、さらに、オフモードに切り替え可能であり、前記オフモードでは、前記温液体導管および前記冷液体導管は、配管を介して前記熱交換器との液体のやり取りをしないこと
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの制御バルブは調節バルブであること
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記バルブアセンブリは、一対の三方向制御バルブを含み、
第一の三方向制御バルブは、温液体導管、冷液体導管、および、循環路熱交換器の入口と流動的に連結され、
第二の三方向制御バルブは、温液体導管、冷液体導管、および、循環路熱交換器の出口と流動的に連結され、
前記バルブアセンブリが加熱モードであるとき、前記第一の三方向制御バルブは、前記冷液体導管を閉じて前記温液体導管および前記循環路熱交換器の入口を開き、前記第二の三方向制御バルブは、前記温液体導管を閉じて前記冷液体導管および前記循環路熱交換器の出口を閉じること
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記バルブアセンブリは、4つのポートとロータリーアクチュエータを備える1つの四方向制御バルブを含み、
前記4つのポートは、前記温流体導管に流動的に連結する第一ポートと、前記循環路熱交換器の入口に流動的に連結する第二ポートと、前記冷液体導管に流動的に連結する第三ポートと、前記循環路熱交換器の出口に流動的に連結する第四ポートとを含み、
前記ロータリーアクチュエータは、前記加熱モードでは、前記第一ポートおよび第二ポートに流動的に連結されて、前記第三ポートおよび前記第四ポートに流動的に連結され、前記冷却モードでは、前記第一ポートおよび前記第四ポートに流動的に連結されて、前記第二ポートおよび前記第三ポートに流動的に連結されること
を特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
熱エネルギー循環路であって、
第一温度で熱伝達液体を流すための温液体導管と、
前記第一温度よりも低い第二温度で前記熱伝達液体を流すための冷液体導管と
水を汲み上げるために前記温液体導管および前記冷液体導管のうち少なくとも1つと連結された少なくとも1つの循環ポンプと
を含む熱エネルギー循環路と、
雑排水注水アセンブリであって、
雑排水が前記温液体導管または前記冷液体導管に供給されるように、前記温液体導管または前記冷液体導管に流動的に連結され、かつ、雑排水源に流動的に連結する雑排水供給導管と、
前記雑排水供給導管または前記熱エネルギー循環路と流動的に連結され、かつ、前記熱エネルギー循環路内の水圧を調整することができる圧力制御装置と
を含む雑排水注水アセンブリと、
熱エネルギーが前記熱エネルギー循環路とクライアントの建物との間で伝達されるように、前記温液体導管または前記冷液体導管に流動的に連結され、かつ、クライアントの建物に熱的に連結するクライアントビルディング熱伝達装置と、
雑排水が非飲料水用にクライアントの建物に供給されるように、前記温液体導管に流動的に連結され、かつ、前記クライアントの建物に流動的に連結される雑排水出発導管と
を含む地域エネルギー共有システム。
【請求項7】
前記雑排水注水アセンブリは、前記圧力制御装置の上流に、前記雑排水供給導管と流動的に連結されたろ過装置を含むこと
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記圧力制御装置は、前記熱エネルギー循環路における水の圧力を超えて、前記雑排水の圧力を増やすことができる、少なくとも1つのポンプを含むこと
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記圧力制御装置は、少なくとも1つの制御バルブと、前記ポンプと流動的に連結され、かつ、前記温液体導管への雑排水の流量を変えることができる緩衝タンクをさらに含むこと
を特徴とする請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記熱エネルギー循環路と熱的に連結され、かつ、熱源または熱吸収源とあるいはその両方と熱的に連結される循環路熱交換器と、
前記熱交換器を前記温液体導管および前記冷液体導管に流動的に連結する配管と
を含むサーバー設備をさらに含み、
前記雑排水供給導管は、流動的に前記配管に連結されること
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記雑排水は、前記第二温度の水よりも高い温度を有し、前記雑排水供給導管は前記温液体導管に流動的に連結されること
を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
第一温度で熱伝達液体を流すための温液体導管と、
前記第一温度よりも低い第二温度で、前記熱伝達液体を流すための冷液体導管と、
前記熱伝達液体を汲み上げるために、前記温液体導管および前記冷液体導管のうち少なくとも1つと連結された循環路ポンプと
をそれぞれ含む第一の熱エネルギー循環路および第二の熱エネルギー循環路と、
前記第一の熱エネルギー循環路および前記第二の熱エネルギー循環路に熱的に連結する熱エネルギー伝達ステーションであって、
前記第一の熱エネルギー循環路および前記第二の熱エネルギー循環路と流動的に連結し、かつ、それらの循環路間に前記熱伝達流体を流すことのできるポンプを含む液体伝達アセンブリと、前記第一の熱エネルギー循環路および前記第二の熱エネルギー循環路を熱的に連結し、かつ、流動的に独立した熱交換器アセンブリのうち
少なくとも1つを含む熱エネルギー伝達ステーションと、
を含む地域エネルギー共有システム。
【請求項13】
前記熱エネルギー伝達ステーションは、液体伝送アセンブリを含み、さらに、
前記第一の熱エネルギー循環路および前記第二の熱エネルギー循環路の温液体導管を流動的に連結する温液体伝達導管と、
前記第一の熱エネルギー循環路および前記第二の熱エネルギー循環路の冷液体導管を流動的に連結する冷液体伝達導管と、
前記温液体伝達導管または前期冷液体伝達導管と前記ポンプとに、流動的に連結された配管を含む切り替えアセンブリと、
前記配管と流動的に連結され、かつ、前記第一の熱エネルギー循環路から前記配管を介して前記第二の熱エネルギー循環路への流体経路を定める第一モードと、前記第二の熱エネルギー循環路から前記配管を介して前記第一の熱エネルギー循環路への流体経路を定める第二モードとで動作可能な、少なくとも1つの制御バルブとを含むこと
を特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記熱エネルギー伝達ステーションは、熱交換器アセンブリを含み、
第一熱伝達ゾーンと、前記第一熱伝達ゾーンから流動的に分離されるが、前記第一熱伝達ゾーンと熱的に連結される第二熱伝達ゾーンとを有する、液体から液体式の熱交換器と、
前記第一熱伝達ゾーンを前記第一の熱エネルギー循環路の前記温液体導管および前記冷液体導管に流動的に連結する第一液体伝達管と、
前記第二熱伝達ゾーンを前記第二の熱エネルギー循環路の前記温液体導管および前記冷液体導管に流動的に連結する第二液体伝達管と、
前記第一液体伝達管および前記第二液体伝達管にそれぞれ流動的に連結され、かつ、前記第一熱伝達ゾーンを介して前記第一の熱エネルギー循環路から液体を流すことができ、前記第二熱伝達ゾーンを介して前記第二の熱エネルギー循環路から液体を流すことができる、一対の伝達ポンプとを含むこと
を特徴とする請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記熱エネルギー伝達ステーションは、さらに、
圧力制御装置と、
前記第一液体伝達導管および前記第二液体伝達導管と流動的に連結され、かつ
前記第一の熱エネルギー循環路と第二の熱エネルギー循環路との間の圧力を調整することができる液体導管とを含み、
前記圧力制御装置は、少なくとも1つの減圧制御バルブと加圧ポンプとを含むこと
を特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記熱エネルギー伝達ステーションは、さらに、
少なくも1つのサーバー設備を含み、
各サーバー設備は、前記第一の液体伝達導管または前記第二の液体伝達導管のうち1つを、少なくとも一つの熱源および熱吸収源に、熱的に連結するヒートポンプアセンブリを含むこと
を特徴とする請求項14に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図5(d)】
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【図5(e)】
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【図5(f)】
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【図5(g)】
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【図5(h)】
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【図5(i)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図9(c)】
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【図9(d)】
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【図9(e)】
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【図9(f)】
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【図9(g)】
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【図9(h)】
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【図11】
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【図12】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−530237(P2012−530237A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515305(P2012−515305)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000969
【国際公開番号】WO2010/145040
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511307177)ディーイーシー デザイン メカニカル コンサルタンツ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】