説明

地域エネルギー管理システムおよび需給調整量の補正方法

【課題】
異なる機器管理体系のエネルギー管理システムが同一機器を別の機器として地域エネルギー管理システムと連携したとしても、同一機器であることを検出して、地域の需給調整量を補正する地域エネルギー管理システムを提供する。
【解決手段】
地域需給調整サーバ101にて、需要家管理サーバ102,103が機器を登録してきた時に、同じ需要家内もしくは同じ位置に属しているあらかじめ地域需給調整サーバ101に登録されている機器の中から、同じ機器であるかどうかを検出して、同じ機器があれば、需要家単位の実績情報を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバへの同一機器の二重登録を検出して、適切な地域内の需給調整量を把握することができる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地域のエネルギー管理を実現するために、ICT技術を活用して、需要家側にある多様なエネルギー管理システム(HEMS:Home Energy Management System、BEMS:Building and Energy Management Systemなど)と連携して、地域単位で総合的に管理し、需給の調整を行う地域エネルギー管理システムが注目を集めている。
【0003】
需要家側エネルギー管理システムは、システムごとに管理体系が異なり、たとえば、HEMSの場合は、機器通信をとってもEchonet(登録商標)やZigBee(登録商標)やJEM−Aなど様々な規格があり、規格毎に機器の管理体系が異なる。地域エネルギー管理システムはこれら多様な需要家側エネルギー管理システムと連携する必要がある。
【0004】
ここで、需要家側エネルギー管理システムが、1つの需要家に複数あり、それぞれのエネルギー管理システムが独自の管理体系で機器のもとエネルギー管理を行っているが、たまたま同じ機器をそれぞれのエネルギー管理システムが管理してしまった場合、地域エネルギー管理システムでは、それぞれのエネルギー管理システムが別々に連携するため、別機器として管理してしまうという問題が発生する。
【0005】
このような場合、地域エネルギー管理システムで管理するエネルギー量の総量が、事実とは異なるため、正確な地域需給調整ができなくなる。
【0006】
これを解決するために特許文献1に記載の技術では、需要家側の機器すべてにIPv6アドレスを割り当て、別の需要家側エネルギー管理システムが同じ機器を管理していたとしても、IPv6アドレスを見て、地域エネルギー管理システム側で同一であることを判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−171823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、需要家側の機器全てにIPv6が導入されるかどうかは不明であり、仮に導入されるとしても、すぐには導入は進まず、何年も先となってしまう。そのため、機器が二重登録されていても検出できないという課題が生じる。二重登録が検出できないため、登録された機器に基づいて需給量を算出する場合、需給量が2倍に算出されてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためのものであり、電力機器の二重登録を検出する地域需給調整サーバであって、各需要家に設置された需要家管理サーバから、需要家の需要家ID及び需要家が使用を開始する電力機器の機器種別IDを含む機器登録情報を受信する機器登録/削除処理部と、受信した機器登録情報を記憶する需要家機器登録情報記憶部と、新たに登録した機器登録情報と、同一の需要家IDであり、かつ同一の機器種別IDである関連機器登録情報を機器登録情報から検索する関連機器検索部と、検索した結果、関連機器登録情報を取得した場合、新に登録した機器登録情報と、関連機器登録情報とを監視対象として記憶する監視対象一時保持記憶部と、新に登録した機器登録情報と、検索した機器登録情報との実績情報を取得し、実績情報を比較し、相関があるかを判断する関連機器実績比較部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1つの機器を複数の需要家側エネルギー管理システムが別の管理体系で地域エネルギー管理システムと連携しても、地域としての需給調整量を正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】エネルギーマネジメントシステムの全体概略を示す図
【図2(a)】地域需給調整サーバの需要家登録情報テーブルの一例を表す図
【図2(b)】地域需給調整サーバの需要家機器登録情報テーブルの一例を表す図
【図3(a)】地域需給調整サーバの需要家実績情報テーブルの一例を表す図
【図3(b)】地域需給調整サーバの監視対象機器一時保持テーブルの一例を表す図
【図4(a)】需要家管理サーバの機器登録情報テーブルの一例を表す図
【図4(b)】需要家管理サーバのサーバ接続情報テーブルの一例を表す図
【図5】地域需給調整サーバに機器を登録するシーケンス図
【図6】地域需給調整サーバへ実績情報を送信するシーケンス図
【図7】関連機器の実績情報を比較する処理を表すシーケンス図
【図8】地域需給調整サーバから機器を削除するシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以降、本発明を実施するための最良の形態(「本実施形態」という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。図1〜図8は実施形態を示す図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表し、基本的な構成および動作は同様であるものとする。
【0013】
図1は、本発明で想定しているエネルギーマネジメントシステムの全体構成の概略図である。
【0014】
エネルギーマネジメントシステムは、地域需給調整サーバ101と、地域需給調整サーバ101とネットワーク150を介して接続する同じ需要家内になる複数の需要家管理サーバ102、103と、需要家管理サーバ102と機器ネットワーク151を介して接続する家電やエネルギー関連機器(たとえば、分電盤106、TV107、エアコン108、PCS109)と、もう一方の需要家管理サーバ103と機器ネットワーク150を介して接続する家電やエネルギー関連機器(たとえば、エアコン108、PCS109、EV110)とで構成される。
【0015】
地域需給調整サーバ101は、地域内にある需要家と需要家内にある機器を管理して、さらに、需要家ごとの電力情報や機器の状態を管理することで、地域内の電力需給を把握し、電力ひっ迫時やピークシフトなどを行うために需要家に対して制御情報を送信する機能を有するサーバであり、需要家機器登録/削除受信部113、実績情報受信部114、需要家制御情報送信部115、データ管理部116とネットワーク通信部121、地域需給調整処理部122から構成される。また、本発明の課題である、機器の二重登録に関して、検出するために、関連機器検索部111、関連機器実績比較処理部112を有する。
【0016】
関連機器検索部111は、需要家が機器登録/削除時に、同じ需要家内に同じ機器がないかどうかを検索して、同じ機器らしい機器を特定したら、監視対象機器一時保持テーブル120に機器の情報を一時的に格納する機能であり、図5の機器登録シーケンスで処理フローについて述べる。
【0017】
関連機器実績比較処理部112は、関連機器検索部111にて特定した監視対象機器一時保持テーブル120に格納されている機器に対して、需要家実績情報テーブル119に格納されている実績情報を比較して、同様らしいと特定した場合に、さらに需要家管理サーバ102,103に対して、制御コマンドを送信して、制御コマンド送信後に実績情報を比較して、監視対象機器一時保持テーブル120に格納されている機器が同じかどうかを特定する機能であり、図7の関連機器実績比較処理部で処理フローについて述べる。
【0018】
需要家機器登録/削除受信部113は、需要家管理サーバ102,103が送信した機器登録情報および機器削除情報を受信して、需要家機器登録情報テーブル118を更新する機能である。
【0019】
実績情報受信部114は、需要家管理サーバ102,103が送信した需要家および機器の実績情報を受信して、需要家実績情報テーブル119に登録する機能である。
【0020】
需要家制御情報送信部115は、関連機器実績比較処理部112もしくは地域需給調整処理部122が制御コマンドを需要家管理サーバ宛てに送信する機能である。
【0021】
データ管理部116は、地域需給調整サーバ101が保持するデータを管理する機能であり、需要家登録情報テーブル117、需要家機器登録情報118、需要家実績情報テーブル119、監視対象機器一時保持テーブル120を有する。
【0022】
需要家登録情報テーブル117は、需要家管理サーバ102、103や機器がある需要家の情報を格納するテーブルである。内容は図2(a)にて後述する。
【0023】
需要家機器登録情報テーブル118は、需要家管理サーバ102、103にて管理している機器の情報を格納するテーブルである。内容は図2(b)にて後述する。
【0024】
需要家実績情報テーブル119は、需要家管理サーバ102、103が送信した実績情報を格納するテーブルである。内容は図3(a)にて後述する。
【0025】
監視対象機器一時保持テーブル120は、関連機器検索部111が特定した、同じ需要家内で同じ機器らしいと特定した機器の情報を格納するテーブルである。内容は図3(b)にて後述する。
【0026】
ネットワーク通信部121は、ネットワーク150を介して需要家管理サーバ102,103と通信するための機能である。
【0027】
地域需給調整処理部122は、需要家登録情報テーブル119、需要家機器登録情報テーブル118、需要家実績情報テーブル119の情報と、電力会社の需給供給予測や、電気予報、天気予報などを加味して、地域内の需給調整を行い、必要に応じて、需要家管理サーバ102,103に対して、制御コマンドを送信する機能である。
【0028】
需給情報提示部123は、各需要家の電力需給量をディスプレイなどに表示する。需給情報提示部は、需給情報の提示要求を受信した場合は、同一の前記関連機器IDが付与された機器は、一つの機器としてカウントし、実績情報を補正し、地域の実績情報として需給量を出力する。
【0029】
需要家管理サーバ102、103は、自身が接続している機器の状態を管理し、機器の状態を機器から取得して、地域需給調整サーバ101に送信する機能と、また地域需給調整サーバ101から制御情報を受信すると、機器に対して制御情報を送信する機能を有するサーバであり、ネットワーク通信部131、機器登録/削除処理部132、実績情報送信部133、サーバ制御受信部134、機器情報取得処理部135、機器制御部136、データ管理部137、機器通信部140から構成される。
【0030】
ネットワーク通信部131は、ネットワーク150を介して地域需給調整サーバ101と通信するための機能である。
【0031】
機器登録/削除処理部132は、需要家管理サーバ102、103が接続可能な機器を機器登録情報テーブル131に格納/削除し、さらに地域需給調整サーバ101に対して、登録/削除した機器情報を通知する機能である。
【0032】
実績情報送信部133は、機器情報取得処理部135が取得した機器の実績情報を地域需給調整サーバ101に通知する機能である。
【0033】
サーバ制御受信部134は、地域需給調整サーバ101からの制御コマンドを受信して、機器制御部136と機器通信部140を介して、機器を制御する機能である。
【0034】
機器情報取得処理部135は、機器通信部140を介して機器から実績情報を取得する機能である。
【0035】
機器制御部136は、機器通信部140を介して機器を制御する機能である。
【0036】
データ管理部137は、需要家管理サーバ102、103が保持するデータを管理する機能であり、機器情報登録テーブル138、サーバ接続情報テーブル139を管理する機能である。
【0037】
機器情報登録テーブル138は、需要家管理サーバ102、103が管理する機器の情報を格納するテーブルである。内容は図4(a)にて後述する。
【0038】
サーバ接続情報テーブル139は、需要家管理サーバ102、103が地域需給調整サーバ101と接続するための情報を格納するテーブルである。内容は図4(b)にて後述する。
【0039】
機器通信部140は、機器ネットワーク151,152を介して機器と接続するための機能である。
【0040】
ネットワーク150は、情報をやり取りするための通信網であり、主にインターネットである。
【0041】
機器ネットワーク151、152は、需要家機器を接続するためのネットワークであり、LAN(Local Area Network)や、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、電力線通信、特定小電力無線、Echonet(登録商標)などがある。
【0042】
需要家管理サーバ102、103は、別の機器ネットワーク151、152を用いて家電やエネルギー関連機器と接続し、それぞれの需要家管理サーバ102、103が、独自の管理体系で家電やエネルギー関連機器を管理することが想定される。よって、図1に示すように、エアコン108やPCS109が2つのネットワークを保持していると、別の需要家管理サーバ102、103と接続でき、同じ機器が別の管理体系で管理される場合がある。
【0043】
1つの機器が2の機器ネットワークに属する場合として、エアコン108の場合は、エアコン108が機器ネットワークとしてECHONET通信機能を有し、電力や状態監視ができる場合と、電力センサなどを外付けにしてエアコン108の消費電力を管理し、その電力センサはZigBeeにより機器ネットワークを形成する場合が考えられる。
【0044】
このように、1つの機器が複数の需要家管理サーバ102、103に管理され、それぞれの需要家管理サーバ102、103が実績情報を地域需給調整サーバ101に送信すると、同じ機器であるにもかかわらず、別の機器として地域需給調整サーバ101に登録され、実際の実績情報よりも多い値となってしまう。地域需給調整サーバ101が需給調整を行う場合、計画した需給調整量とは異なる量しか調整されないため、正確な需給調整ができなくなる。
【0045】
本発明は、上記問題を解決するものである。
【0046】
次に、地域需給調整サーバ101と需要家管理サーバ102,103で保持しているテーブルの内容について図2〜図5に示す。
【0047】
図2(a)は地域需給調整サーバ101内の需要家登録情報テーブル117の一例を示す図である。
【0048】
需要家登録情報テーブル117は、需要家を一意に識別する需要家欄201と、需要家に属している需要家管理サーバを一意に識別する需要家サーバID欄202と、需要家の位置を格納する位置欄203と、その他の需給調整に必要な情報を格納する需要家オプション情報欄204から構成される。
【0049】
これらの登録方法は、あらかじめ需要家が需要家管理サーバ102、103を購入時に、地域需給調整サーバ101と連携するために登録する際に、需要家から情報を取得して登録する方法がある。
【0050】
図2(b)は地域需給調整サーバ101内の需要家機器登録情報テーブル118の一例を示す図である。
【0051】
需要家機器登録情報テーブル118は、需要家を一意に識別する需要家欄211と、需要家に属している需要家管理サーバを一意に識別する需要家サーバID欄212と、機器を一意に識別する機器ID欄223と、機器の種類を識別する機器種別欄224と、その機器で制御可能なコマンドを格納する制御可能コマンド欄225と、同じ需要家内で別の需要家サーバIDで同じ機器種別の中で、同じであると判断された機器を格納する関連機器ID欄226から構成される。
【0052】
これらの登録方法は、需要家管理サーバ102,103が機器登録/削除処理部から送信してきた機器登録情報を地域需給調整サーバ101で受信し、登録する。
【0053】
図3(a)は地域需給調整サーバ101内の需要家実績情報テーブル119の一例を示す図である。
【0054】
需要家実績情報テーブル119は、需要家を一意に識別する需要家欄301と、機器を一意に識別する機器ID欄302と、機器の種類を識別する機器種別欄303と、実績情報を取得した時刻を格納する取得時刻欄304と、実績情報の種別を表すデータ種別欄305と、実績情報の実際の値を格納するデータ欄306と、実績情報の単位を格納するデータ単位欄307から構成される。
【0055】
これらの登録方法は、需要家管理サーバ102、103が送信する実績情報を地域需給調整サーバ101が受信し、登録する。
【0056】
図3(b)は地域需給調整サーバ101内の監視対象機器一時保持テーブル120の一例を表す図である。
【0057】
監視対象機器一時保持テーブル120は、機器を一意に識別する機器ID欄312と、機器の種類を識別する機器種別欄312、同じらしい機器のIDを格納する関連機器ID欄313と、機器が登録された時刻を格納する登録時刻欄314から構成される。
【0058】
これらの登録方法は、関連機器検索部111が機器登録時に関連機器IDを検索して登録する。また、削除方法は、関連機器実績比較処理部112にて、関連機器の比較を行った後に削除する。
【0059】
図4(a)は需要家管理サーバ102,103内の機器登録情報テーブル138の一例を示す図である。
【0060】
機器登録情報テーブル138は、機器を一意に識別する機器ID欄401と、機器の種類を識別する機器種別欄402と、その機器で制御可能なコマンドを格納する制御可能コマンド欄403で構成される。
【0061】
これらの登録方法は、機器登録時にユーザが機器の特徴を見て登録することとし、特に機器IDに関しては、ユーザが機器のIDをかぶらないように採番することとする。
【0062】
図4(b)は需要家管理サーバ102,103内のサーバ接続情報テーブル139の一例を示す図である。
【0063】
サーバ接続情報テーブル139は、需要家を一意に識別する需要家欄411と、需要家管理サーバを一意に識別する需要家サーバID欄412と、地域需給調整サーバ101に接続するためのアドレスを格納する地域需給調整サーバアドレス欄413から構成される。
【0064】
これらの登録方法は、地域需給調整サーバ101と契約時に登録することを想定する。
【0065】
次に、需要家管理サーバ102、103が地域需給調整サーバ101に機器情報を登録するシーケンスを図5に示す。
【0066】
まず、ユーザが機器に機器の種別やその機器が保持している制御コマンドを手動で入力し、機器がユーザが入力した機器登録情報を取得し、更に機器が機器登録情報を需要家管理サーバ102,103に送信する(ステップ501)。
機器から受信した機器登録情報に、需要家管理サーバ102,103の需要家機器登録/削除受信部113が機器IDを採番する(ステップ502)。なお、機器IDはユーザが採番してもよい。
これらの機器登録情報に加え、事前に需要家管理サーバ102,103のサーバ接続情報テーブル139に登録している需要家IDと需要家サーバIDを需要家管理サーバ102,103の需要家機器登録/削除受信部113が地域需給調整サーバ101に送信する(ステップ503)。
そして、送信後に需要家管理サーバ102,103は、機器登録情報を機器登録情報テーブル138に格納する(ステップ504)。
需要家管理サーバ102,103が送信した機器登録情報を地域需給調整サーバ101の機器登録/削除処理部132が受信すると(ステップ505)、需要家機器登録情報テーブル118に需要家ID毎に機器登録情報を格納する(ステップ506)。
機器登録情報を格納後、地域需給調整サーバ101の機器登録/削除処理部132は、需要家機器登録情報テーブル118に需要家管理サーバ102,103から取得した需要家IDと同じ需要家IDで、かつ、機種種別224も同一であり、かつ取得した需要家管理サーバIDとは異なる需要家管理サーバIDの機器を検索して(ステップ507)、同じ需要家ID、同じ機器種別、異なる需要家管理サーバIDに該当するもの(関連機器IDの候補)があれば(ステップ508)、新に登録した機器IDと検索した機器IDとを監視対象機器一時保持テーブル120に登録する(ステップ509)。もし、同じ機器種別のものがなければ、終了する。
ここで、ステップ507の同じ需要家の機器の検索方法として、もし需要家IDが別であるが、同じ家に需要家管理サーバがある場合を想定して、別の需要家IDでも、同じ住所の機器に関しては、検索対象としてもよい。
【0067】
次に、需要家管理サーバ102、103が地域需給調整サーバ101に実績情報を送信するシーケンスを図6に示す。
まず、需要家管理サーバ102,103の機器情報取得処理部135は、機器が定期的に送信する電力や状態などの機器情報を受信し、需要家管理サーバ102,103に送信する(ステップ601)。ここで、需要家管理サーバ102,103が定期的に機器に対して実績情報取得要求を行い、機器が要求に応じて、電力や状態などの機器情報を送信しても良い。
需要家管理サーバ102,103の実績情報送信部133は、機器から実績情報を取得すると、サーバ接続情報テーブル139に登録している情報をもとに、地域需給調整サーバ101に送信する(ステップ602)。
地域需給調整サーバ101は、実績情報を受信すると(ステップ603)、需要家実績情報テーブル119に需要家毎に実績情報を格納する(ステップ604)。
【0068】
次に、地域需給調整サーバ101のシーケンスを図7に示す。
このシーケンスは、監視対象機器一時保持テーブル120に登録されている機器が同一機器であるかどうかを確認するためのシーケンスである。
まず、関連機器実績比較処理部は、監視対象機器一時保持テーブル120から監視対象の機器IDと登録時刻を読み込む(ステップ701)。関連機器実績比較処理部は、読み込んだ登録時刻から一定時間経過してから(ステップ702)、需要家実績情報テーブル119に蓄積されている監視対象の機器IDの実績情報を取得して、相関があるかどうかを比較する(ステップ703)。
相関の比較方法は、各機器IDに基づく実績情報の推移を最小二乗法により計算し、最小二乗法により求められた係数の誤差範囲が、ある一定範囲内かどうかを判断する方法などがある。
【0069】
ここで、上記のように相関があるかを比較する機器を絞り込まなくても、新に登録した機器登録情報と、需要家機器登録情報記憶部に記憶された複数の機器登録情報とにおいて相関を比較しても良い。この場合は、新に登録した機器登録情報と、需要家機器登録情報記憶部に記憶された複数の機器登録情報との実績情報を前記需要家管理サーバから取得し、複数の前記実績情報を比較し、相関があるかを判断する。
【0070】
もし、相関があれば、監視対象の機器のうち、制御可能な機器を選択して、需要家制御情報送信部は、需要家管理サーバ102,103に制御コマンドを送信する。制御コマンドは、電源のON/OFFを変更する、エアコンの場合は、設定温度を変更するなど、利用者になるべく影響の少ない範囲で制御コマンドを送ることとする。もしくは影響の少ない時間帯(たとえば深夜、平日の誰もいない昼間など)に制御コマンドを送信する。また、需要家管理サーバ102,103に制御コマンドを送信する方法として、需要家管理サーバ102,103がグローバルIPを保持していれば、地域需給調整サーバ101は直接グローバルIPを指定して送信することができるが、ローカルIPしか持っていない場合は、需要家管理サーバ102,103が実績情報や機器登録を送信してきた際の応答として、制御コマンドを送信するなどにより、送信することができる。
需要家管理サーバ102,103が制御コマンドを受信すると(ステップ704)、需要家管理サーバ102,103は所定の機器宛てに制御コマンドを送信する(ステップ706)。
【0071】
機器は、制御コマンドを受信すると(ステップ707)、制御コマンドに従い状態を変化させる(ステップ708)。
地域需給調整サーバ101の関連機器実績比較処理部は、制御コマンドが機器まで到達して状態変化し、その情報が実績情報として需要家管理サーバ102,103から送信されるまで待機する(ステップ709)。
需要家管理サーバ102,103からの実績情報を受信すると、再び関連機器実績比較処理部は、実績情報を比較し相関の有無を比較する(ステップ710)。
この時の相関の比較方法は、最小二乗法による係数誤差に加えて、変化した時刻などのタイミングの誤差がある一定範囲以内である、などの判断基準も加味する。
ここで、相関ありと判断した場合、監視対象の機器は同一機器と判断し、需要家機器登録情報テーブル118の関連機器ID欄に226に関連機器IDとして登録する(ステップ711)。最後に、監視対象機器一時保持テーブル120から特定した機器IDを削除して終了する。更に、需給情報提示部は、外部から送信される需給情報の提示要求を受信した場合は、同一の前記関連機器IDが付与された機器は、一つの機器としてカウントし、実績情報を補正し、地域の実績情報として需給量を出力しても良い。
もし、相関なしと判断すれば、別の機器と判断して、何もせず監視対象機器一時保持テーブル120から機器IDを削除して終了する。
【0072】
次に、需要家管理サーバ102、103が地域需給調整サーバ101に機器情報を削除するシーケンスを図8に示す。
【0073】
まず、需要家管理サーバ102,103は、機器から機器削除要求を受信する(ステップ801)。たとえば、ユーザが削除したい機器IDを手動で入力する方法がある。ステップ801により入力した機器削除情報を地域需給調整サーバ101に送信し(ステップ802)、送信後に機器登録情報テーブル138から機器登録情報を削除する(ステップ803)。機器削除情報送信の際は、需要家IDと需要家サーバIDも付加して送信することとする。
【0074】
地域需給調整サーバ101は、需要家管理サーバ102,103が送信した機器削除情報を受信すると(ステップ804)、需要家機器登録情報テーブル118から機器登録情報を削除する(ステップ805)。
【0075】
機器登録情報を削除する際、需要家機器登録情報テーブル118に関連需要家IDが登録されていれば(ステップ806)、関連機器IDの登録情報が格納されている需要家機器登録情報テーブル118のレコードから、関連機器IDを削除する。
【0076】
以上より、1つの機器が複数の需要家管理サーバ102、103で管理され、それぞれの需要家管理サーバ102、103が別の機器として実績情報を地域需給調整サーバ101に送信してきても、地域需給調整サーバ101内では、需要家管理サーバ102,103が機器を登録してきた時に、同じ需要家内もしくは同じ位置に属しているあらかじめ地域需給調整サーバ101に登録されている機器の中から、同じ機器であるかどうかを検出して、同じ機器の場合に、需要家単位の実績情報を補正し、正確な需給調整を行えるようにする。
【0077】
また、一方の需要家管理サーバに対して、実績情報送信不要の通知を行うことで、必要以上の実績情報の登録を防ぎ、需要家実績情報テーブル119の使用量削減を行え、通信トラフィックの軽減、地域需給調整サーバ101の受信処理負荷軽減にもつながる。
【0078】
実績情報送信不要の通知を行う需要家管理サーバの選択方法は、実績情報の精度や需要家管理サーバの実績情報送信頻度、需要家管理サーバが管理している機器の数などから、より負荷が軽減できて、実績情報の精度が良いものを選択することとする。
【0079】
また、実績情報の送信頻度、またはタイミングをずらすようにそれぞれの需要家管理サーバに通知することで、地域需給調整サーバ101では実績情報を細かく監視することができ、需給調整の際の精度向上につなげることもできる。
【符号の説明】
【0080】
101 地域需給調整サーバ
102、103 需要家管理サーバ
106 分電盤
107 TV
108 エアコン
109 PCS(PV)
110 EV
111 関連機器検索部
112 関連機器実績比較処理部
113 需要家機器登録/削除受信部
114 実績情報受信部
115 需要家制御情報送信部
116 データ管理部
117 需要家登録情報テーブル
118 需要家機器登録情報テーブル
119 需要家実績情報テーブル
120 監視対象機器一時保持てーブル
121 ネットワーク通信部
122 地域需給調整処理部
131 ネットワーク通信部
132 機器登録/削除処理部
133 実績情報送信部
134 サーバ制御受信部
135 機器情報取得処理部
136 機器制御部
137 データ管理部
138 機器登録情報テーブル
139 サーバ接続情報テーブル
140 機器通信部
150 ネットワーク
151、152 機器ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力機器の二重登録を検出する地域需給調整サーバであって、
各需要家に設置された需要家管理サーバから、需要家の需要家ID及び需要家が使用を開始する電力機器の機器種別IDを含む機器登録情報を受信する機器登録/削除処理部と、
受信した前記機器登録情報を記憶する需要家機器登録情報記憶部と、
前記新に登録した機器登録情報と、前記需要家機器登録情報記憶部に記憶された複数の機器登録情報との実績情報を前記需要家管理サーバから取得し、複数の前記実績情報を比較し、相関があるかを判断する関連機器実績比較部を備える地域需給調整サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の地域需給調整サーバであって、
新たに登録した機器登録情報と、同一の需要家IDであり、かつ同一の機器種別IDである関連機器登録情報を前記機器登録情報から検索する関連機器検索部と、
検索した結果、前記関連機器登録情報を取得した場合、前記新に登録した機器登録情報と、前記関連機器登録情報とを監視対象として記憶する監視対象一時保持記憶部とを新に備え、
前記関連機器実績比較部は、前記新に登録した機器登録情報と、検索した機器登録情報との実績情報を前記需要家管理サーバから取得し、前記実績情報を比較し、相関があるかを判断する地域需給調整サーバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の地域需給調整サーバであって、
更に需要家制御情報送信部を備え、
前記実績情報を比較し、相関があると判断した場合、
前記需要家制御情報送信部は、前記監視対象のうち、制御可能である機器を選択し、前記需要家管理サーバに制御コマンドを送信し、
更に、前記関連機器実績比較部は、
前記需要家管理サーバから実績情報を取得し、前記実績情報を比較し、相関があるかを判断する地域需給調整サーバ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の地域需給調整サーバであって、
更に需給情報提示部を備え、
相関があると判断した場合は、前記需要家機器登録情報記憶部に、前記新に登録した機器と前記相関がある機器とに関連機器IDを更に付与し、記憶し、
前記需給情報提示部は、需給情報の提示要求を受信した場合は、同一の前記関連機器IDが付与された機器は、一つの機器としてカウントし、実績情報を補正し、地域の実績情報として需給量を出力する地域需給調整サーバ。
【請求項5】
電力機器の二重登録を検出する地域需給調整方法であって、
地域需給調整サーバの機器登録/削除処理部が、各需要家に設置された需要家管理サーバから、需要家の需要家ID及び需要家が使用を開始する電力機器の機器種別IDを含む機器登録情報を受信するステップと、
地域需給調整サーバの需要家機器登録情報記憶部が、受信した前記機器登録情報を記憶するステップと、
地域需給調整サーバの関連機器実績比較部が、前記新に登録した機器登録情報と、前記需要家機器登録情報記憶部に記憶された複数の機器登録情報との実績情報を前記需要家管理サーバから取得し、複数の前記実績情報を比較し、相関があるかを判断するステップとを備える地域需給調整方法。
【請求項6】
請求項5に記載の地域需給調整方法であって、
地域需給調整サーバの関連機器検索部が、新たに登録した機器登録情報と、同一の需要家IDであり、かつ同一の機器種別IDである関連機器登録情報を前記機器登録情報から検索するステップと、
検索した結果、前記関連機器登録情報を取得した場合、
地域需給調整サーバの監視対象一時保持記憶部が、前記新に登録した機器登録情報と、前記関連機器登録情報とを監視対象として記憶するステップとを新に備え、
地域需給調整サーバの前記関連機器実績比較部は、前記新に登録した機器登録情報と、検索した機器登録情報との実績情報を前記需要家管理サーバから取得し、前記実績情報を比較し、相関があるかを判断する地域需給調整方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の地域需給調整方法であって、
前記実績情報を比較し、相関があると判断した場合、
地域需給調整サーバの前記需要家制御情報送信部が、前記監視対象のうち、制御可能である機器を選択し、前記需要家管理サーバに制御コマンドを送信するステップを更に備え、
更に、前記関連機器実績比較部が、
前記需要家管理サーバから実績情報を取得し、前記実績情報を比較し、相関があるかを判断するステップを備える地域需給調整方法。
【請求項8】
請求項5から7のいずれか一つに記載の地域需給調整サーバであって、
地域需給調整サーバの需給情報提示部が、
相関があると判断された場合は、前記需要家機器登録情報記憶部に、前記新に登録した機器と前記相関がある機器とに関連機器IDを更に付与し、記憶し、
需給情報の提示要求を受信した場合は、同一の前記関連機器IDが付与された機器は、一つの機器としてカウントし、実績情報を補正し、地域の実績情報として需給量を出力するステップを備える地域需給調整方法。

【図1】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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