説明

地山補強用鋼管の連結構造

【課題】容易に地山補強用鋼管を連結することのできる連結構造を提供する。
【解決手段】地山補強用鋼管1の端部2に、最端縁部60から長手方向へ細長状スリット61を複数形成すると共に、ラジアル孔63を複数形成し、さらにジョイント3が、軸心方向中間部に内フランジ10を有し、内フランジ10には鋼管1の端部2が差込まれる周状凹溝13が形成され、かつ、鋼管1の端部2が周状凹溝13に差込まれた状態で鋼管1の端部2の内周面2aに対向する複数の支持突片70を内フランジ10から起立状として設け、細長状スリット61に差し込まれる連結壁部74をジョイント3の内周面11と支持突片70の内の所定数のものの外周面70aを連結するように形成し、さらに、残りの支持突片70に螺合孔51を貫設し、かつ、螺合孔51と同一軸心上にジョイント3の筒壁部12に貫通孔50を形成し、ネジ杆体90を該貫通孔50と上記ラジアル孔63と上記螺合孔51に串挿状として螺着して、固着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地山補強用鋼管の連結構造に係り、具体的には、例えば、トンネル断面の掘削に先立って、地山補強用の先受け工として切羽の上方に打設する地山補強用鋼管を順次連結する構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなトンネルの掘削に先立って打設される鋼管(有孔管)の長さを延長するために、溶接にて一体状に連結したり、あるいは、鋼管端部外周面にネジを形成し、内部にネジ孔を有するジョイント(短筒体)にて、連結していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−97272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、2本の鋼管(有孔管)を溶接にて連結するには連結作業に時間がかかったり、溶接作業者の技術によって溶接強度等にばらつきがある問題があった。また、溶接に必要な電力を確保したり、施工現場に溶接機を運び込んだりしなければならず、面倒であり、また、火災の虞れもあった。また、上記特許文献1のものでは、螺退方向の回転トルクが作用した場合に、鋼管相互のジョイントが分離する虞もあり、あるいは、強度的に不安があった。
【0004】
そこで、本発明は、容易に鋼管を連結することのできる鋼管連結構造を提供することを目的とする。さらに、溶接やネジ結合の連結構造に比べて、鋼管の薄肉化を図ることを、他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明に係る地山補強用鋼管の連結構造は、2本の円管状の地山補強用鋼管の端部を、短筒状のジョイントにて、相互に連結する連結構造であって、上記鋼管の端部に、最端縁部から長手方向へ細長状スリットを複数形成すると共に、ラジアル孔を複数形成し、さらに上記ジョイントが、軸心方向中間部に内フランジを有し、該内フランジには上記鋼管の端部が差込まれる周状凹溝が形成され、かつ、上記鋼管の端部が上記周状凹溝に差込まれた状態で上記鋼管の端部の内周面に対向する複数の支持突片を上記内フランジから起立状として設け、上記細長状スリットに差し込まれる連結壁部を上記ジョイントの内周面と上記支持突片の内の所定数のものの外周面を連結するように形成し、さらに、残りの上記支持突片に螺合孔を貫設し、かつ、該螺合孔と同一軸心上に上記ジョイントの筒壁部に貫通孔を形成し、ネジ杆体を該貫通孔と上記ラジアル孔と上記螺合孔に串挿状として螺着して、固着されるものである。
【0006】
また、本発明に係る地山補強用鋼管の連結構造は、2本の円管状の地山補強用鋼管の端部を、短筒状のジョイントにて、相互に連結する連結構造であって、上記鋼管の端部に、最端縁部から長手方向へ細長状スリットを形成すると共に、該細長状スリットと180°反対側の上記端部にラジアル孔を形成し、さらに、上記ジョイントが、軸心方向中間部に内フランジを有し、該内フランジには上記鋼管の端部が差込まれる周状凹溝が形成され、かつ、上記鋼管の端部が上記周状凹溝に差込まれた状態で上記鋼管の端部の内周面に対向する一対の支持突片を180°の対称位置に上記内フランジから起立状として設け、上記細長状スリットに差込まれる連結壁部が上記ジョイントの内周面と一つの上記支持突片の外周面を連結するように形成し、残りの上記支持突片に螺合孔を貫設し、かつ、該螺合孔を同一軸心上に上記ジョイントの筒壁部に貫通孔を形成し、ネジ杆体を該貫通孔と上記ラジアル孔と上記螺合孔に串挿状として螺着して、固着されるものである。
【0007】
また、本発明に係る地山補強用鋼管の連結構造は、2本の円管状の地山補強用鋼管の端部を、短筒状のジョイントにて、相互に連結する連結構造であって、上記鋼管の端部に、最端縁部から長手方向へ細長状スリットを複数形成すると共に、該細長状スリットの側端縁から円周方向へ横切欠部を形成し、さらに、上記ジョイントが、軸心方向中間部に内フランジを有し、該内フランジには上記鋼管の端部が差込まれる周状凹溝が形成され、かつ、上記鋼管の端部が上記周状凹溝に差込まれた状態で上記鋼管の端部の内周面に対向する複数の支持突片を上記内フランジから起立状として設け、上記細長状スリットに差込まれる連結壁部を上記ジョイントの内周面と複数の上記支持突片の外周面を連結するように形成すると共に、螺合孔を貫設し、かつ、該螺合孔と同一軸心上に上記ジョイントの筒壁部に貫通孔を形成し、ネジ杆体を該貫通孔と上記横切欠部と上記螺合孔に串挿状として螺着して、固着されるものである。
【0008】
また、本発明に係る地山補強用鋼管の連結構造は、2本の円管状の地山補強用鋼管の端部を、短筒状のジョイントにて、相互に連結する連結構造であって、上記鋼管の端部に、ラジアル孔を複数形成し、さらに、上記ジョイントが、軸心方向中間部に内フランジを有し、該内フランジには上記鋼管の端部が差込まれる周状凹溝が形成され、かつ、上記鋼管の端部が上記周状凹溝に差込まれた状態で上記鋼管の端部の内周面に対向する複数の支持突片を上記内フランジから起立状として設け、複数の該支持突片に螺合孔を貫設し、かつ、該螺合孔と同一軸心上に上記ジョイントの筒壁部に貫通孔を形成し、ネジ杆体を該貫通孔と上記ラジアル孔と上記螺合孔に串挿状として螺着して、固着されるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一対の地山補強用鋼管をジョイントを介して容易に連結することができ、従来のように、鋼管同士を溶接する必要がなくなる。このことにより、鋼管の連結作業を簡素化して作業時間を大幅に短縮することができる。また、溶接に必要な電力や設備を用意する必要はなく、さらに、火災の虞れもないので、特に、トンネル内の施工に好適である。また、鋼管の肉厚を薄くすることもできる。そして、一対の鋼管をジョイントとネジ杆体で機械的構造により連結するので、連結強度を均一にすることができ、取り外しも可能である。さらに、ネジ杆体は両持梁状に支持されているので、強度上有利であり、破損しにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に於て、トンネル6の掘削時に切羽から切羽前方までの地山7を改良するため注入材を矢印Z方向に注入している状態を示す。削孔機8によって、掘削孔9を地山7に向かって斜め上方向に掘削すると共に、掘削孔9内に地山補強用鋼管(注入用有孔管)1を挿入する。しかも、3はジョイントを示し、定尺の鋼管1,1を、このジョイント3によって、順次連結(継ぎ足し)して、長さを延長して、地山7へ打込む。
また、地山補強用鋼管(注入用有孔管)1内に注入用パッカー26を設置し、このパッカー26と掘削孔9の孔底28との間に注入材を注入して、地山7を改良している。(いわゆる注入材の浸透注入工法の一例を示している。)
【0011】
図14に於て、この工法に好適な地山補強用鋼管(注入用有孔管)1の一例を示す。この鋼管1は、一端から長手方向に所定範囲にわたり孔29が貫設され、この所定範囲を越すと他端にまで逆止弁付き孔34が配設される。この逆止弁付き孔34は、地山補強用鋼管1の内部から所定圧力以上の圧力が作用すると開放し、かつ、地山側からの圧力(外圧)に対しては、閉鎖するように弁体が付設されている。
なお、本発明は、(図1に示したような)トンネル掘削時の切羽から切羽前方までの地山を改良する工法に限られず、他山を改良する工事一般にも広く適用可能である(図示省略)。さらに、図1のように斜め上方向に限らず、水平方向や垂直(上下)方向として地山へ打込むことも自由である(図示省略)。
【0012】
そして、図2(a)の展開図と図3及び図7に於て、本発明の第1の実施の形態を示す。本発明の連結構造は、2本の円管状地山補強用鋼管1の端部2を、短筒状のジョイント3にて、相互に連結する構造であって、例えば、鋼管1の端部2は最端縁部60から長手方向へ細長状スリット61を円周方向に180°間隔で2箇所設けると共に、一つの細長状スリット61から円周方向に90°と270°の位置にラジアル孔63を設けている。
【0013】
次に、ジョイント3は、短筒状で軸心方向の中間部に内フランジ10を有し、地山補強用鋼管1の端部2が差込み可能な周状凹溝13が形成されている。また、地山補強用鋼管1がジョイント3に差し込まれた状態で鋼管1の端部2の内周面2aに対面状に内フランジ10から起立状として円周方向に90°間隔で支持突片70を4つ設けている。また、周状凹溝13の底面13aに鋼管1の端部2の最端縁部60が当たるように差込まれた状態で2つの支持突片70の外周面70aとジョイント3の内周面11を連結するように細長状スリット61を差込可能な連結壁部74を設けると共に、残り2つ支持突片には鋼管1の端部2のラジアル孔63と同一軸心上の螺合孔51を設けている。また、ジョイント3の筒壁部12には、螺合孔51と同一軸心上に貫通孔50を設けている。
【0014】
即ち、鋼管1の端部2の2箇所の細長状スリット61を2箇所の連結壁部74に各々に差し込みつつ、鋼管1の端部2の最端縁部60をジョイント3の周状凹溝13の底面13aに当たるまで差し込み、次に、ネジ杆体90を用いてジョイント3の筒壁部12の貫通孔50と鋼管1の端部2のラジアル孔63と支持突片70の螺合孔51を串挿状として螺着して鋼管1とジョイント3を固着することが可能な構造となっている。
【0015】
次に、図2(b)の展開図と図4及び図8に於て、本発明の第2の実施の形態を示す。本発明の連結構造は、同様に地山補強用鋼管1をジョイント3にて相互に連結する構造であって、例えば、鋼管1の端部2は最端縁部60から長手方向へ細長状スリット61を設けると共に、円周方向に180°反対側の端部2にラジアル孔63を設けている。
【0016】
次に、ジョイント3は、第1の実施の形態と同様に内フランジ10を有し、周状凹溝13が形成されている。また、ジョイント3に差し込まれた状態で地山補強用鋼管1の端部2の内周面2aに対面状に内フランジ10から起立状として180°対称位置に一対の支持突片70を設けている。また、周状凹溝13の底面13aに鋼管1の端部2の最端縁部60が当たるように差込まれた状態で一つの支持突片70の外周面70aとジョイント3の内周面11を連結するように細長状スリット61を差込可能な連結壁部74を設けると共に、残り一つ支持突片70には、鋼管1の端部2のラジアル孔63と同一軸心上の螺合孔51を設けている。また、ジョイント3の筒壁部12には、螺合孔51と同一軸心上に貫通孔50を設けている。
【0017】
即ち、鋼管1の端部2の細長状スリット61を連結壁部74に差し込みつつ、鋼管1の端部2の最端縁部60をジョイント3の周状凹溝13の底面13aに当たるまで差し込み、次に、ネジ杆体90を用いてジョイント3の筒壁部12の貫通孔50と鋼管1の端部2のラジアル孔63と支持突片70の螺合孔51を串挿状として螺着して鋼管1とジョイント3を固着することが可能な構造となっている。
【0018】
次に、図2(c)の展開図と図5及び図9に於て、本発明の第3の実施の形態を示す。本発明の連結構造は、同様に地山補強用鋼管1をジョイント3にて相互に連結する構造であって、例えば、鋼管1の端部2は、最端縁部60から長手方向へ細長状スリット61を設けると共に、細長状スリット61の側端縁61aから掘削回転方向Nとは逆方向の円周方向へ横切欠部62を設け、さらに、円周方向に180°反対側の端面にも端部2の最端縁部60から長手方向へ細長状スリット61を設けると共に、細長状スリット61の側端縁61aから掘削回転方向Nとは逆方向の円周方向へ横切欠部62を設けている。
【0019】
次に、ジョイント3は、第1の実施の形態と同様に内フランジ10を有し、周状凹溝13が形成されている。また、地山補強用鋼管1がジョイント3に差し込まれた状態で鋼管1の端部2の内周面2aに対面状に内フランジ10から起立状として180°対称位置に支持突片70を2つ設けている。また、周状凹溝13の底面13aに鋼管1の端部2の最端縁部60が当たるように差込まれた状態で2つの支持突片70の外周面70aとジョイント3の内周面11を連結するように細長状スリット61を差込可能な連結壁部74を設けると共に、2つの支持突片70はネジ杆体90が横切欠部62に貫通可能な螺合孔51を設けている。また、ジョイント3の筒壁部12には、螺合孔51と同一軸心上に貫通孔50を設けている。
【0020】
即ち、鋼管1の端部2の細長状スリット61を各々連結壁部74に差込みつつ、鋼管1の端部2の最端縁部60をジョイント3の周状凹溝13の底面13aに当たるまで差し込み、次に、ネジ杆体90を用いてジョイント3の筒壁部12の貫通孔50と鋼管1の端部2の横切欠部62と支持突片70の螺合孔51を串挿状として螺着して鋼管1とジョイント3を固着することが可能な構造となっている。
【0021】
また、図2(d)の展開図と図6及び図10に於て、本発明の第4の実施の形態を示す。本発明の連結構造は、同様に地山補強用鋼管1をジョイント3にて相互に連結する構造であって、例えば、鋼管1の端部2はラジアル孔63を円周方向に90°間隔で4箇所設けている。
【0022】
次に、ジョイント3は、第1の実施の形態と同様に内フランジ10を有し、周状凹溝13が形成されている。また、地山補強用鋼管1がジョイント3に差し込まれた状態で鋼管1の端部2の内周面2aに対面状に内フランジ10から起立状として円周方向に90°間隔で支持突片70を4つ設けている。また、周状凹溝13の底面13aに鋼管1の端部2の最端縁部60が当たるように差込まれた状態で、4つの支持突片には鋼管1の端部2のラジアル孔63と同一軸心上の螺合孔51を設けている。また、ジョイント3の筒壁部12には、螺合孔51と同一軸心上に貫通孔50を設けている。
【0023】
即ち、鋼管1の端部2の最端縁部60をジョイント3の周状凹溝13の底面13aに当たるまで差し込み、次に、ネジ杆体90を用いてジョイント3の筒壁部12の貫通孔50と鋼管1の端部2のラジアル孔63と支持突片70の螺合孔51を串挿状として螺着して鋼管1とジョイント3を固着することが可能な構造となっている。
【0024】
また、上述した地山補強用鋼管の連結構造の第1 ,2,4の実施の形態では、図11(a)のように回転トルクTを与えて地山補強用鋼管1がN方向へ回転されると、図11(b)のように鋼管1の端部2のラジアル孔63の内面63aが支持突片70の螺合孔51に螺着されたネジ杆体90に強く押し付けられて、図11(c)のように、鋼管1のラジアル孔63の(受圧側)内端縁63aが圧潰し、かつ、肉厚が増大する方向(内径方向及び外径方向)へ塑性変形して、極めて高い面圧で、筒壁部12の内周面11、及び、支持突片70の外周面70aに接触する(押圧される)。図11(c)の符号S,Tは極めて高い面圧にて接触している当接部を示し、この当接部S,Tに於ける極めて高い接触面圧によって摩擦抵抗が増大し、鋼管1と筒壁部12、及び、鋼管1と支持突片70との間で伝達される回転トルクTは極めて大となる。
【0025】
また、上述した地山補強用鋼管の連結構造の第3の実施の形態に於ては、図12に示す如く、同図(a)から(b)及び(c)と順次、矢印N方向の回転トルクTによって、横切欠部62の内端縁(内面)62aが圧潰して(肉厚が増大する塑性変形を起こし)、当接部S,Tに於て極めて高い接触面圧で、筒壁部12の内周面11、及び、支持突片70の外周面70aに接触・押圧され摩擦抵抗が増大して、大きな回転トルクが伝達される。なお、連結壁部74にスリット61の側端縁61aを強く当接させて、この連結壁部74にて、力を受けるのも望ましい場合(ネジ杆体90が細径のとき等)がある。
【0026】
また、上述した地山補強用鋼管の連結構造の実施の形態では、ネジ杆体90にて鋼管1とジョイント3は固着されているので、ネジ杆体90の取り外しによって、鋼管1とジョイント3はそれぞれ取り外しも容易となっている。また、内フランジ10に凹溝を設け鋼管1の端部2を差込状として固着することで、回転する際の鋼管1の内径方向への変形を規制し、回転トルクTの力が鋼管1の変形方向へ分散されず、円周方向へ効率良く力を伝達できる。
【0027】
なお、本発明は上述の図示の実施の形態以外にも種々に設計変更自由であり、例えば、図13(a)のように、ネジ杆体90の頭部90aを筒壁部12の外周面12bに突出して螺着しても、図13(b)のように、貫通孔50をネジ頭部90aより大きく設定し、ネジ頭部90aを筒壁部12に埋没するように螺着しても良い。なお、図2(b)のように構成すれば、ネジ杆体90が(回転中に)摩耗や破損しにくいという利点がある。また、細長状スリット61やラジアル孔63及び支持突片70の数の増減は自由である。また、地山補強用鋼管1としては、注入用有孔管以外に、他の工法に用いられる鋼管、あるいは、孔無しの鋼管とすることも可能である。
ところで、地山補強用鋼管1の端部に、図2(a)〜(d)に示したようなスリット61,横切欠部62あるいはラジアル孔63を加工するには、未加工パイプ材(有孔管1)の端部の内部に受け金具を挿入し、油圧等のアクチュエータで直線作動する雄金型又はポンチにて、外周側から軸心直交方向に、押圧して、プレス加工やポンチ加工等の塑性加工にて形成するのが望ましい。
【0028】
以上のように、本発明は、2本の円管状の地山補強用鋼管1の端部2を、短筒状のジョイント3にて、相互に連結する連結構造であって、鋼管1の端部2に、最端縁部60から長手方向へ細長状スリット61を複数形成すると共に、ラジアル孔63を複数形成し、さらにジョイント3が、軸心方向中間部に内フランジ10を有し、内フランジ10には鋼管1の端部2が差込まれる周状凹溝13が形成され、かつ、鋼管1の端部2が周状凹溝13に差込まれた状態で鋼管1の端部2の内周面2aに対向する複数の支持突片70を内フランジ10から起立状として設け、細長状スリット61に差し込まれる連結壁部74をジョイント3の内周面11と支持突片70の内の所定数のものの外周面70aを連結するように形成し、さらに、残りの支持突片70に螺合孔51を貫設し、かつ、螺合孔51と同一軸心上にジョイント3の筒壁部12に貫通孔50を形成し、ネジ杆体90を貫通孔50とラジアル孔63と螺合孔51に串挿状として螺着して、固着することを特徴とする地山補強用鋼管の連結構造なので、一対の鋼管1をジョイント3を介して容易に連結することができ、従来のように、鋼管同士を溶接する必要がなくなる。このことにより、鋼管1の連結作業を簡素化して作業時間を大幅に短縮することもできる。また、溶接に必要な電力や設備を用意する必要はなく、さらに、火災の虞れもない。また、鋼管1を薄肉にできる。一対の鋼管1をジョイント3とネジ杆体90により機械的構造によって連結するので、連結強度を均一にすることができ、取り外しも可能である。また、細長状スリット61を連結壁部74へ差し込むことで、円周方向の位置決めの役目を果たし、ジョイント3の貫通孔50と鋼管1のラジアル孔63を略同一軸心上とできるためネジ杆体90の螺着が容易である。また、ジョイント3の複数の連結壁部74に各々細長状スリット61を差込むことで連結壁部74がガイドの役目を果たし、ジョイント3の軸心と鋼管1の軸心が略同一軸心上となるため大口径の鋼管1や重い鋼管1が斜めに拗れず、鋼管1をジョイント3へ容易に差し込める。また、ネジ杆体90を用いて複数の箇所で固着するため、深い掘削や、固い地盤の掘削など、回転トルクが必要な施工に対応できる。
【0029】
また、本発明は、2本の円管状の地山補強用鋼管1の端部2を、短筒状のジョイント3にて、相互に連結する連結構造であって、鋼管1の端部2に、最端縁部60から長手方向へ細長状スリット61を形成すると共に、細長状スリット61と180°反対側の端部2にラジアル孔63を形成し、さらに、ジョイント3が、軸心方向中間部に内フランジ10を有し、内フランジ10には鋼管1の端部2が差込まれる周状凹溝13が形成され、かつ、鋼管1の端部2が周状凹溝13に差込まれた状態で鋼管1の端部2の内周面2aに対向する一対の支持突片70を180°の対称位置に内フランジ10から起立状として設け、細長状スリット61に差込まれる連結壁部74がジョイント3の内周面11と一つの支持突片70の外周面70aを連結するように形成し、残りの支持突片70に螺合孔51を貫設し、かつ、螺合孔51を同一軸心上にジョイント3の筒壁部12に貫通孔50を形成し、ネジ杆体90を貫通孔50とラジアル孔63と螺合孔51に串挿状として螺着して、固着することを特徴とする地山補強用鋼管の連結構造なので、一対の鋼管1をジョイント3を介して容易に連結することができ、従来のように、鋼管同士を溶接する必要がなくなる。このことにより、鋼管1の連結作業を簡素化して作業時間を大幅に短縮することもできる。また、溶接に必要な電力や設備を用意する必要はなく、さらに、火災の虞れもない。また、一対の鋼管1をジョイント3とネジ杆体90により機械的構造によって連結するので、連結強度を均一にすることができ、取り外しも可能である。また、鋼管1を薄肉にできる。細長状スリット61を連結壁部74へ差し込むことで、円周方向の位置決めの役目を果たし、ジョイント3の貫通孔50と鋼管1のラジアル孔63を略同一軸心上とできるためネジ杆体90の螺着作業が容易である。また、ジョイント3の連結壁部74へ細長状スリット61を差し込む箇所を一箇所にすることで、ジョイント3の軸心と鋼管1の軸心が略同一軸心上に容易かつ迅速にできると共に、ネジ杆体90の螺着作業も一箇所のため連結作業の時間が短縮され作業効率が上がる。よって、大量の鋼管を埋設する施工や、時間の限られた緊急の施工に対応できる。また、支持突片70を2箇所しか必要としないため、ジョイント3が小型・軽量化でき、安価で製作できる。また、鋼管1の端部2の加工面積が少ない為、表面積の少ない細い鋼管1にも対応できる。
【0030】
また、本発明は、2本の円管状の地山補強用鋼管1の端部2を、短筒状のジョイント3にて、相互に連結する連結構造であって、鋼管1の端部2に、最端縁部60から長手方向へ細長状スリット61を複数形成すると共に、細長状スリット61の側端縁61aから円周方向へ横切欠部62を形成し、さらに、ジョイント3が、軸心方向中間部に内フランジ10を有し、内フランジ10には鋼管1の端部2が差込まれる周状凹溝13が形成され、かつ、鋼管1の端部2が周状凹溝13に差込まれた状態で鋼管1の端部2の内周面2aに対向する複数の支持突片70を内フランジ10から起立状として設け、細長状スリット61に差込まれる連結壁部74をジョイント3の内周面11と複数の支持突片70の外周面70aを連結するように形成すると共に、螺合孔51を貫設し、かつ、螺合孔51と同一軸心上にジョイント3の筒壁部12に貫通孔50を形成し、ネジ杆体90を貫通孔50と横切欠部62と螺合孔51に串挿状として螺着して、固着することを特徴とする地山補強用鋼管の連結構造なので、一対の鋼管1をジョイント3を介して容易に連結することができ、従来のように、鋼管同士を溶接する必要がなくなる。このことにより、鋼管1の連結作業を簡素化して作業時間を大幅に短縮することもできる。また、溶接に必要な電力や設備を用意する必要はなく、さらに、火災の虞れもない。また、鋼管1を薄肉にできる。一対の鋼管1をジョイント3とネジ杆体90により機械的構造によって連結するので、連結強度を均一にすることができ、取り外しも可能である。また細長状スリット61を連結壁部74へ差し込むことで、円周方向の位置決めの役目を果たし、ジョイント3の貫通孔50から差し込んだネジ杆体90が鋼管1の横切欠部62に貫通可能な位置に決定できるため、螺着作業が容易である。また、ジョイント3の複数の連結壁部74に各々細長状スリット61を差込むことで連結壁部74がガイドの役目を果たし、ジョイント3の軸心と鋼管1の軸心が略同一軸心上となるため、鋼管1をジョイント3へ容易に差し込める。また、細長状スリット61と横切欠部62を一形状とすることで、一工程で成形可能なため、効率的な鋼管1の端部2の加工ができる。
【0031】
また、本発明は、2本の円管状の地山補強用鋼管1の端部2を、短筒状のジョイント3にて、相互に連結する連結構造であって、鋼管1の端部2に、ラジアル孔63を複数形成し、さらに、ジョイント3が、軸心方向中間部に内フランジ10を有し、内フランジ10には鋼管1の端部2が差込まれる周状凹溝13が形成され、かつ、鋼管1の端部2が周状凹溝13に差込まれた状態で鋼管1の端部2の内周面2aに対向する複数の支持突片70を内フランジ10から起立状として設け、複数の支持突片70に螺合孔51を貫設し、かつ、螺合孔51と同一軸心上にジョイント3の筒壁部12に貫通孔50を形成し、ネジ杆体90を貫通孔50とラジアル孔63と螺合孔51に串挿状として螺着して、固着することを特徴とする地山補強用鋼管の連結構造なので、一対の鋼管1をジョイント3を介して容易に連結することができ、従来のように、鋼管同士を溶接する必要がなくなる。このことにより、鋼管1の連結作業を簡素化して作業時間を大幅に短縮することもできる。また、溶接に必要な電力や設備を用意する必要はなく、さらに、火災の虞れもない。また、一対の鋼管1をジョイント3とネジ杆体90により機械的構造によって連結するので、連結強度を均一にすることができ、取り外しも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】使用状況を示す実施の一形態の断面側面説明図である。
【図2】実施の形態を示す展開図である。
【図3】第1の実施の形態を示す要部断面図である。
【図4】第2の実施の形態を示す要部断面図である。
【図5】第3の実施の形態を示す要部断面図である。
【図6】第4の実施の形態を示す要部断面図である。
【図7】使用状態説明図である。
【図8】使用状態説明図である。
【図9】使用状態説明図である。
【図10】使用状態説明図である。
【図11】作用説明図である。
【図12】作用説明図である。
【図13】要部拡大断面図である。
【図14】鋼管の一例の要部斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 地山補強用鋼管(注入用有孔管)
2 端部
2a 内周面
3 ジョイント
10 内フランジ
11 内周面
12 筒壁部
13 周状凹溝
50 貫通孔
51 螺合孔
60 最端縁部
61 細長状スリット
61a 側端縁
62 横切欠部
63 ラジアル孔
70 支持突片
70a 外周面
74 連結壁部
90 ネジ杆体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の円管状の地山補強用鋼管(1)の端部(2)を、短筒状のジョイント(3)にて、相互に連結する連結構造であって、
上記鋼管(1)の端部(2)に、最端縁部(60)から長手方向へ細長状スリット(61)を複数形成すると共に、ラジアル孔(63)を複数形成し、
さらに上記ジョイント(3)が、軸心方向中間部に内フランジ(10)を有し、該内フランジ(10)には上記鋼管(1)の端部(2)が差込まれる周状凹溝(13)が形成され、かつ、上記鋼管(1)の端部(2)が上記周状凹溝(13)に差込まれた状態で上記鋼管(1)の端部(2)の内周面(2a) に対向する複数の支持突片(70)を上記内フランジ(10)から起立状として設け、上記細長状スリット(61)に差し込まれる連結壁部(74)を上記ジョイント(3)の内周面(11)と上記支持突片(70)の内の所定数のものの外周面(70a)を連結するように形成し、さらに、残りの上記支持突片(70)に螺合孔(51)を貫設し、かつ、該螺合孔(51)と同一軸心上に上記ジョイント(3)の筒壁部(12)に貫通孔(50)を形成し、ネジ杆体(90)を該貫通孔(50)と上記ラジアル孔(63)と上記螺合孔(51)に串挿状として螺着して、固着することを特徴とする地山補強用鋼管の連結構造。
【請求項2】
2本の円管状の地山補強用鋼管(1)の端部(2)を、短筒状のジョイント(3)にて、相互に連結する連結構造であって、
上記鋼管(1)の端部(2)に、最端縁部(60)から長手方向へ細長状スリット(61)を形成すると共に、該細長状スリット(61)と180°反対側の上記端部(2)にラジアル孔(63)を形成し、
さらに、上記ジョイント(3)が、軸心方向中間部に内フランジ(10)を有し、該内フランジ(10)には上記鋼管(1)の端部(2)が差込まれる周状凹溝(13)が形成され、かつ、上記鋼管(1)の端部(2)が上記周状凹溝(13)に差込まれた状態で上記鋼管(1)の端部(2)の内周面(2a) に対向する一対の支持突片(70)を180°の対称位置に上記内フランジ(10)から起立状として設け、上記細長状スリット(61)に差込まれる連結壁部(74)が上記ジョイント(3)の内周面(11)と一つの上記支持突片(70)の外周面(70a)を連結するように形成し、残りの上記支持突片(70)に螺合孔(51)を貫設し、かつ、該螺合孔(51)を同一軸心上に上記ジョイント(3)の筒壁部(12)に貫通孔(50)を形成し、ネジ杆体(90)を該貫通孔(50)と上記ラジアル孔(63)と上記螺合孔(51)に串挿状として螺着して、固着することを特徴とする地山補強用鋼管の連結構造。
【請求項3】
2本の円管状の地山補強用鋼管(1)の端部(2)を、短筒状のジョイント(3)にて、相互に連結する連結構造であって、
上記鋼管(1)の端部(2)に、最端縁部(60)から長手方向へ細長状スリット(61)を複数形成すると共に、該細長状スリット(61)の側端縁(61a)から円周方向へ横切欠部(62)を形成し、
さらに、上記ジョイント(3)が、軸心方向中間部に内フランジ(10)を有し、該内フランジ(10)には上記鋼管(1)の端部(2)が差込まれる周状凹溝(13)が形成され、かつ、上記鋼管(1)の端部(2)が上記周状凹溝(13)に差込まれた状態で上記鋼管(1)の端部(2)の内周面(2a) に対向する複数の支持突片(70)を上記内フランジ(10)から起立状として設け、上記細長状スリット(61)に差込まれる連結壁部(74)を上記ジョイント(3)の内周面(11)と複数の上記支持突片(70)の外周面(70a)を連結するように形成すると共に、螺合孔(51)を貫設し、かつ、該螺合孔(51)と同一軸心上に上記ジョイント(3)の筒壁部(12)に貫通孔(50)を形成し、ネジ杆体(90)を該貫通孔(50)と上記横切欠部(62)と上記螺合孔(51)に串挿状として螺着して、固着することを特徴とする地山補強用鋼管の連結構造。
【請求項4】
2本の円管状の地山補強用鋼管(1)の端部(2)を、短筒状のジョイント(3)にて、相互に連結する連結構造であって、
上記鋼管(1)の端部(2)に、ラジアル孔(63)を複数形成し、
さらに、上記ジョイント(3)が、軸心方向中間部に内フランジ(10)を有し、該内フランジ(10)には上記鋼管(1)の端部(2)が差込まれる周状凹溝(13)が形成され、かつ、上記鋼管(1)の端部(2)が上記周状凹溝(13)に差込まれた状態で上記鋼管(1)の端部(2)の内周面(2a) に対向する複数の支持突片(70)を上記内フランジ(10)から起立状として設け、複数の該支持突片(70)に螺合孔(51)を貫設し、かつ、該螺合孔(51)と同一軸心上に上記ジョイント(3)の筒壁部(12)に貫通孔(50)を形成し、ネジ杆体(90)を該貫通孔(50)と上記ラジアル孔(63)と上記螺合孔(51)に串挿状として螺着して、固着することを特徴とする地山補強用鋼管の連結構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−102845(P2009−102845A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−274024(P2007−274024)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(000221638)東尾メック株式会社 (60)
【Fターム(参考)】