地盤情報提供装置
【課題】利用者による簡単な操作で、電子地図上の所望の位置およびその周辺地域における各種の地盤情報を、利用者に迅速に提供できる地盤情報提供装置を提供する。
【解決手段】サーバー2がクライアント4からの要求に応じて地盤地図Mgを送信し、クライアント4が送信された地盤地図Mgを受信し、表示することにより、地盤に関する情報を提供する地盤情報提供装置1であって、サーバー2の地図読出し手段12は、指示データに含まれる選択された種類の地盤情報を含む地盤地図Mgを読み出し、サーバー2の地図補正手段13は、読み出された地盤地図Mgを、指示データに含まれる中心座標に対応する位置が中心となるように補正し、クライアント4の地図表示手段7は、補正された地盤地図Mgが受信されたときに、地図表示領域42に表示されている基本地図Mbまたは地盤地図Mgに代えて、受信された地盤地図Mgを地図表示領域42に表示する。
【解決手段】サーバー2がクライアント4からの要求に応じて地盤地図Mgを送信し、クライアント4が送信された地盤地図Mgを受信し、表示することにより、地盤に関する情報を提供する地盤情報提供装置1であって、サーバー2の地図読出し手段12は、指示データに含まれる選択された種類の地盤情報を含む地盤地図Mgを読み出し、サーバー2の地図補正手段13は、読み出された地盤地図Mgを、指示データに含まれる中心座標に対応する位置が中心となるように補正し、クライアント4の地図表示手段7は、補正された地盤地図Mgが受信されたときに、地図表示領域42に表示されている基本地図Mbまたは地盤地図Mgに代えて、受信された地盤地図Mgを地図表示領域42に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子地図を用い、その電子地図上の所望の位置およびその周辺地域における地盤に関する情報を提供する地盤情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の地盤情報提供装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この地盤情報提供装置は、不同沈下(建物が不揃いに沈下を起こすことで、一方向に傾斜する状態)の発生を防止するために、建物の基礎の工法を決定するのに利用されるものである。具体的には、この地盤情報提供装置は、データベースを備えたサーバーに、インターネットなどの通信ネットワークを介して、複数のパソコンが接続されることによって構成されている。サーバーのデータベースには、電子地図のほか、その電子地図に対応する地形データ、および地盤調査によって得られた地盤データなどが記憶されている。この地盤データは、家屋やビルなどの建物を建築しようとする土地における地盤の硬度であり、建築に先立って行われる地盤調査(サウンディング試験)によって得られたものである。
【0003】
上記の地盤情報提供装置を利用する場合、その利用者が、パソコンを操作して、サーバーにアクセスし、所望の土地の位置を検索することにより、パソコンの表示画面上に、検索した土地の位置を含む電子地図が表示される。そして、その電子地図上には、地盤データおよび地形データが重ね合わせた状態で表示される。具体的には、地盤データについては、電子地図上の前記地盤調査が行われた位置に、地盤の硬度に対応する所定の色が付されたアイコンが表示される。また、マウスなどでアイコンを選択することにより、地盤データの詳細が表示される。この地盤情報提供装置により、その利用者、例えば、地盤データが表示される土地に建物を建築しようとする建築業者は、電子地図上に表示された地盤データを参照して、建物の基礎の工法を決定することが可能となる。
【0004】
しかし、土地取引を頻繁に行う事業者、例えば、住宅メーカやマンションデベロッパー、不動産業者、建築業者などにとって、上記の地盤情報提供装置で得られる地盤データおよび地形データだけでは、土地取引を行う際の地盤に関するリスク評価(以下単に「地盤リスク評価」という)を適切に行うための地盤情報としては不十分である。すなわち、土地を購入しようとする場合には、その土地や周辺地域の地盤リスク評価を適切に行った上で、購入すべきか否かを決定することが好ましく、地盤の硬度や地形以外の多種類の地盤情報、例えば、特定地域を震源とする震度分布、液状化危険度、建物倒壊危険度、土砂災害危険箇所、浸水想定区域、地盤沈下危険度、火災危険度、活断層、土壌・地下水汚染区域、文化財埋蔵区域などを調査することで、土地の地盤リスク評価を適切に行うことが可能となる。特に近年、日本国内では、地震や洪水、土砂災害などの自然災害が多発しており、土地取引のリスク管理上、地盤情報の重要性がより一層高くなっている。
【0005】
また、近年のインターネットの普及およびGIS技術の進展により、国や地方自治体などは、自身のwebサイト上で、各種の地盤情報が表記された電子地図の公開を始めている。例えば、国土交通省のwebサイトでは、国土交通省が保有する地域(例えば関東地方や九州地方など)のボーリングデータが公開され、また、東京都のwebサイトでは、東京都が保有する都内のボーリングデータのほか、都内の特定地域を震源とする地震が発生したときの東京都全域の震度分布図や液状化分布図などが公開されている。さらに、東京都所管の部局、例えば都市整備局のwebサイトでは建物倒壊危険度が、建設局のwebサイトでは土砂災害危険箇所が公開されている。さらにまた、国土交通省所管の河川事務所のwebサイトでは、その河川事務所が管轄する河川周辺の浸水想定区域図が公開されている。
【0006】
以上のように、国や地方自治体などによって、各種の地盤情報を含む電子地図が公開されているものの、それらの電子地図は、地盤情報の種類ごとに異なるwebサイト上で独自に公開されている。そのため、利用者が、インターネットを利用して、特定の土地や地域における各種の地盤情報を得ようとすると、所望の種類の地盤情報を公開するwebサイトにそれぞれアクセスしなければならない。また、地盤情報を公開するwebサイトへのリンクは、国や地方自治体のホームページ(トップページ)上に設けられていることが少なく、そのため、上記のホームページから所望のwebサイトにたどり着くまでに、手間がかかってしまう。さらに、所望のwebサイトにたどり着いたとしても、そのwebサイトのトップページには通常、管轄区域全体の電子地図が表示されるため、所望の土地や地域が詳細に表示されるよう、絞り込みや選択などの更なる操作が必要になることが多い。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、利用者による簡単な操作で、電子地図上の所望の位置およびその周辺地域における各種の地盤情報を、利用者に迅速に提供できる地盤情報提供装置を提供することを目的とする。
【0008】
【特許文献1】特許第4086122号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、サーバーと、このサーバーに通信ネットワークを介して接続されたクライアントとで構成され、サーバーが、クライアントからの要求に応じて電子地図を送信し、クライアントが、送信された電子地図を受信し、表示することにより、地盤に関する情報を提供する地盤情報提供装置であって、サーバーは、緯度・経度が関連付けられるとともに所定の複数種類の地盤情報をそれぞれ含む複数の電子地図の各々を、地盤地図として記憶する地盤地図記憶手段と、クライアントからの要求に基づく指示データを受信するサーバー側受信手段と、受信した指示データに応じ、地盤地図記憶手段から地盤地図を読み出す地図読出し手段と、読み出された地盤地図を、受信した指示データに応じて補正する地図補正手段と、補正された地盤地図をクライアントに送信するサーバー側送信手段と、を備え、クライアントは、サーバーから送信された地盤地図を受信するクライアント側受信手段と、経度・緯度が関連付けられた電子地図である基本地図を表示させるために、基本地図の所望の位置を指定するための位置指定手段と、受信した地盤地図または基本地図を表示するための地図表示領域を有し、基本地図の表示時に、指定された位置が地図表示領域の中心に位置するように表示する地図表示手段と、複数種類の地盤情報から所望の種類を選択するための地盤情報選択手段と、地図表示領域に表示された基本地図または地盤地図において、地図表示領域の中心に対応する緯度・経度を、中心座標として取得する中心座標取得手段と、選択された地盤情報の種類および取得された中心座標を含む指示データを、サーバーに送信するクライアント側送信手段と、を備え、サーバーの地図読出し手段は、指示データが受信されたときに、指示データに含まれる選択された種類の地盤情報を含む地盤地図を読み出し、サーバーの地図補正手段は、読み出された地盤地図を、指示データに含まれる中心座標に対応する位置が中心となるように補正し、クライアントの地図表示手段は、補正された地盤地図が受信されたときに、地図表示領域に表示されている基本地図または地盤地図に代えて、受信された地盤地図を地図表示領域に表示することを特徴とする。
【0010】
この地盤情報提供装置では、サーバーに、通信ネットワークを介してクライアントが接続されており、利用者によるクライアントの操作により、そのクライアントからの要求に応じて、サーバーが、地盤情報を含む電子地図である地盤地図を送信する。そして、この送信された地盤地図を、クライアントが受信し、表示することにより、地盤に関する情報を利用者に提供する。
【0011】
クライアントは、地図表示領域を有する地図表示手段を備えており、この地図表示領域には、クライアント側受信手段で受信した地盤地図、または緯度・経度が関連付けられた電子地図である基本地図が表示される。また、地図表示領域における基本地図の表示時には、利用者によって位置指定手段で指定された所望の位置が、地図表示領域の中心に位置するように表示される。これにより、利用者は、所望の位置を指定するだけで、その位置が地図表示領域の中心となるように表示された基本地図を得ることができる。
【0012】
また、上記のように、基本地図が地図表示領域に表示された状態において、利用者が、所望の種類の地盤情報を得ようとする場合には、地盤情報選択手段で複数種類の地盤情報から所望の種類を選択する。そうすると、中心座標取得手段により、地図表示領域に表示された基本地図において、地図表示領域の中心に対応する緯度・経度を、中心座標として取得し、上記選択された地盤情報の種類および取得された中心座標を含む指示データが、クライアント側送信手段によって、サーバーに送信される。
【0013】
サーバーは、サーバー側受信手段によって、クライアントから送信された指示データを受信し、その指示データに応じて、地図読出し手段により、地盤地図記憶手段から地盤地図を読み出す。すなわち、指示データに含まれる種類の地盤情報を含む地盤地図を読み出す。次いで、読み出された地盤地図を、地図補正手段により、指示データに応じて補正する。すなわち、読み出された地盤地図には、緯度・経度が関連付けられているので、その地盤地図を、指示データに含まれる中心座標の緯度・経度に対応する位置が中心となるように補正する。その後、この補正された地盤地図を、サーバー側送信手段により、クライアントに送信する。
【0014】
そして、クライアントでは、上記補正された地盤地図が受信されたときに、地図表示領域に表示されている基本地図に代えて、その受信された地盤地図を表示する。この場合、その地盤地図は、先に表示されていた基本地図に対し、中心が一致した状態で、地図表示領域に表示される。これにより、利用者は、自身が指定した位置およびその周辺地域における地盤情報を得ることができる。また、地盤地図が地図表示領域に表示された状態において、利用者が、他の種類の地盤情報を得ようとする場合には、地盤情報選択手段で他の種類の地盤情報を選択することにより、その地盤情報を含む地盤地図は、上述した場合と同様、先に表示されていた地盤地図に対し、中心が一致した状態で、地図表示領域に表示される。
【0015】
以上のように、本発明の地盤情報提供装置によれば、利用者が、基本地図の所望の位置を指定するとともに所望の種類の地盤情報を選択するという簡単な操作で、電子地図上の所望の位置およびその周辺地域における各種の地盤情報を、利用者に迅速に提供することができる。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の地盤情報提供装置において、各地盤地図には、地盤地図の地盤情報に基づく所定の複数のレベルおよび/または区分に応じ、互いに異なる複数の色彩が付されており、サーバーは、地盤地図ごとに、地盤地図に付される複数の色彩、および複数の色彩に対応する複数のレベルおよび/または区分を表記した一覧表を、凡例として記憶する凡例記憶手段と、受信した指示データに応じて、凡例記憶手段から凡例を読み出す凡例読出し手段と、をさらに備え、クライアントは、凡例表示を指示するための凡例表示指示手段と、凡例を表示する凡例表示手段と、をさらに備え、クライアント側送信手段は、凡例表示指示手段による凡例表示の指示があったときに、地図表示手段が表示する地盤地図の種別を含む指示データを、サーバーに送信し、サーバーの凡例読出し手段は、指示データが受信されたときに、指示データに含まれる地盤地図の種別に対応する凡例を読み出し、サーバー側送信手段が、読み出された凡例を送信し、クライアント側受信手段が、送信された凡例を受信し、クライアントの凡例表示手段は、凡例が受信されたときに、受信された凡例を表示することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、各地盤地図には、当該地盤地図の地盤情報に基づく所定の複数のレベルおよび/または区分に応じ、互いに異なる複数の色彩が付されている。このため、クライアントの地図表示手段によって地盤地図が表示される場合、その地盤情報に基づく複数のレベルおよび/または区分に応じた色彩が付された状態で表示される。しかし、地盤地図に色彩が付された状態で表示されただけでは、利用者は、各色彩がどのような意味を有しているのか、すなわち、地盤情報のどのようなレベルや区分を意味しているのかを理解するのは困難である。そのため、サーバーは、凡例記憶手段を備えており、この凡例記憶手段が、地盤地図ごとに、当該地盤地図に付される複数の色彩、およびそれらの複数の色彩に対応する複数のレベルおよび/または区分を表記した一覧表を、凡例として記憶している。
【0018】
地図表示手段によって地盤地図が表示された状態において、利用者が、その地盤地図の凡例を得ようとする場合には、凡例表示指示手段によって、凡例表示を指示する。この指示があったときには、クライアント側送信手段により、前記表示されている地盤地図の種別を含む指示データを、サーバーに送信する。サーバーでは、その指示データが受信されたときに、凡例読出し手段により、指示データに含まれる地盤地図の種別に対応する凡例を読み出す。次いで、読み出された凡例を、サーバー側送信手段により、クライアントに送信する。そして、クライアントでは、その凡例が受信されたときに、その受信した凡例を凡例表示手段によって表示する。これにより、利用者は、地図表示手段によって表示されている地盤地図の凡例を得ることができ、その地盤地図に付された色彩の意味、すなわち色彩に対応する地盤情報のレベルや区分の意味を容易に理解することができる。
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の地盤情報提供装置において、サーバーは、地盤地図ごとに、地盤地図に付される複数の色彩を、対応する複数のレベルおよび/または区分に関連付けて記憶するレベル・区分色彩記憶手段と、指示データに含まれる種別の地盤地図において、指示データに含まれる中心座標に対応する位置の色彩を取得する色彩取得手段と、取得した色彩と、レベル・区分色彩記憶手段に記憶されている色彩とを比較する色彩比較手段と、この色彩比較手段による比較結果に応じ、地盤地図の中心座標に対応する位置におけるレベルまたは区分を判定するレベル・区分判定手段と、をさらに備え、サーバー側送信手段がレベル・区分判定手段による判定結果を送信し、クライアント側受信手段が送信された判定結果を受信し、クライアントは、受信した判定結果を表示する判定結果表示手段を、さらに備えていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、サーバーのレベル・区分色彩記憶手段により、地盤地図ごとに、当該地盤地図に付される複数の色彩が、対応する複数のレベルおよび/または区分に関連付けて記憶されている。前述したように、サーバーが受信した指示データには、地図表示手段によって表示されている地盤地図の種別および前記中心座標が含まれており、サーバーの色彩取得手段により、前記種別の地盤地図の中心座標に対応する位置の色彩が取得される。そして、色彩比較手段により、取得された色彩と、レベル・区分色彩記憶手段に記憶されている色彩とが比較され、その比較結果に応じ、レベル・区分判定手段により、上記地盤地図の中心座標に対応する位置における地盤情報のレベルまたは区分が判定される。この判定結果は、サーバー側送信手段によって送信され、クライアント側受信手段によって受信される。そして、受信された判定結果が、クライアントの判定結果表示手段によって表示される。
【0021】
以上のように、本発明によれば、クライアントの地図表示手段によって表示された地盤地図において、利用者が指定した位置における地盤情報のレベルまたは区分が自動的に判定され、利用者は、その判定結果を容易に得ることができる。
【0022】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の地盤情報提供装置において、サーバーは、判定結果に基づき、中心座標に対応する位置の地盤に関する評価を行う地盤評価手段を、さらに備え、サーバー側送信手段が地盤評価手段による評価結果を送信し、クライアント側受信手段が送信された評価結果を受信し、クライアントは、受信した評価結果を表示する評価結果表示手段を、さらに備えていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、サーバーの地盤評価手段により、前記判定結果に基づいて、中心座標に対応する位置の地盤に関する評価が行われる。この評価結果は、サーバー側送信手段によって送信され、クライアント側受信手段によって受信される。そして、受信された評価結果が、クライアントの評価結果表示手段によって表示される。これにより、利用者は、自身が指定した位置の地盤に関する評価を、容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。本発明の地盤情報提供装置を適用した地盤リスク評価支援システム(以下、適宜「本システム」という)は、利用者に、所望の土地やその周辺地域における地盤のリスクに関する各種情報(以下「地盤情報」という)を提供し、それにより、地盤リスク評価を適切に行えるよう、支援するためのものである。なお、本システムは、例えば住宅メーカやマンションデベロッパー、不動産業者、建築業者など、土地取引を頻繁に行う事業者のほか、一般の人々も利用可能である。
【0025】
図1は、この地盤リスク評価支援システム1のハードウェア構成を示している。同図に示すように、本システム1は、サーバー2と、このサーバー2に、インターネットなどの通信ネットワーク3を介して接続された複数のクライアント4とを備えている。
【0026】
サーバー2は、Webサーバーとして機能するコンピュータであり、図2に示すように、各種の機能を有するソフトウェアが組み込まれるとともに、各種のデータを蓄積したデータベース10(地盤地図記憶手段、凡例記憶手段、およびレベル・区分色彩記憶手段)を備えている。このデータベース10には、後述する基本地図Mb(図7〜9参照)および複数種類の地盤地図Mg(図10、12および13参照)などが登録されており、これらの地図MbおよびMgは、日本全土を対象としている。
【0027】
基本地図Mbは、一般的な地図と同様に描かれた電子地図であり、所定サイズの矩形状の画像データに細分化され、それらの各々に緯度・経度が関連付けられた状態で、データベース10に登録されている。具体的には、各画像データが、その画像の左下および右上の緯度・経度を関連付けた状態で、データベース10に登録されている。
【0028】
一方、複数種類の地盤地図Mgは、国や地方自治体などが提供し、各種の地盤情報がそれぞれ表記された複数の電子地図である。具体的には、これらの地盤地図Mgはそれぞれ、地盤情報として、地形分類、特定地域(例えば、東京湾北部や多摩地区)を震源とする震度分布、液状化危険度、地盤の揺れやすさ、建物倒壊危険度、火災危険度、総合危険度、土砂災害危険箇所、活断層、浸水想定区域、地盤沈下危険度、土壌・地下水汚染区域、および文化財埋蔵区域などが表記されている。
【0029】
また、各地盤地図Mgには、その地盤情報に基づく複数のレベルや区分に応じて、互いに異なる複数の色彩が付されている。そして、各地盤地図Mgは、基本地図Mbと同様、所定サイズの矩形状の画像データに細分化され、それらの各々に緯度・経度が関連付けられた状態で、データベース10に登録されている。また、データベース10には、地盤地図Mgごとに、その地盤地図Mgに付される複数の色彩、およびそれらの色彩に対応する複数のレベルや区分を表記した一覧表が、凡例として登録されている。加えて、地盤地図Mgごとに、複数の色彩が、対応する複数のレベルや区分に関連付けて、ピクセル情報によって登録されている。なお、データベース10には、明治時代や大正時代などの古地図も、地盤地図の一種として登録されている。
【0030】
さらに、データベース10には、地盤のボーリング調査が実施された箇所、およびその調査結果も登録されている。なお、このボーリング調査に関するデータは、国や地方自治体が提供したもののほか、民間企業が保有するものや、利用者が登録したものも含まれている。
【0031】
また、図2に示すように、サーバー2に組み込まれた各種のソフトウェアは、その機能として、例えば、クライアント4との間でデータの送受信を行うデータ送受信機能11(サーバー側送信手段およびサーバー側受信手段)、データベース10から基本地図Mbや地盤地図Mgを検索する地図検索機能12(地図読出し手段)、検索した基本地図Mbや地盤地図Mgに補正処理を施す地図補正処理機能13(地図補正手段)、データベース10から凡例を検索する凡例検索機能14(凡例読出し手段)、地盤地図Mg上の所定位置の色彩を取得する色彩取得機能15(色彩取得手段)、取得した色彩とデータベース10に登録されている色彩とを比較する色彩比較機能16(色彩比較手段)、地盤地図Mg上の所定位置における地盤情報のレベルや区分を判定するレベル・区分判定機能17(レベル・区分判定手段)、および地盤に関する評価を行う地盤評価機能18(地盤評価手段)などを有している。
【0032】
一方、クライアント4は、図1に示すように、パソコン4Aなどのコンピュータのほか、PDA4Bや携帯電話4Cなどである。各クライアント4は、文字や記号を入力するためのキーボードなどの入力部6、サーバー2から送信された電子地図などを表示するためのディスプレイなどの表示部7(地図表示手段、凡例表示手段、判定結果表示手段および評価結果表示手段)、および、表示部7に表示される各種のボタンやアイコンなどを選択するためのマウス8aなどの選択部8(位置指定手段、地盤情報選択手段、および凡例表示指示手段)を備えている。
【0033】
また、クライアント4には、図2に示すように、サーバー2との間でデータを送受信しながら、Webページを閲覧するためのWebブラウザー19(クライアント側送信手段、クライアント側受信手段および中心座標取得手段)を含む各種のソフトウェアが組み込まれている。
【0034】
次に、図3〜図14を参照しながら、地盤リスク評価支援システム1の使用方法について説明する。なお、以下の説明では、クライアント4として、パソコン4Aを用いたときの使用方法について説明するものとする。
【0035】
図3は、利用者がクライアント4を操作することにより、そのクライアント4がWebブラウザー19を介してサーバー2にアクセスし、クライアント4の表示部7にウィンドウ表示された本システム1へのログインページを示している。このログインページ20のID入力欄21およびパスワード入力欄22にそれぞれ、所定のIDおよびパスワードを入力した後、「Enter」ボタン23をマウスポインターPで指し、マウス8aをクリックする。入力されたIDおよびパスワードは、サーバー2に送信され、あらかじめ登録されているIDおよびパスワードと照合される。そして、両者がいずれも適正であるときには、図4に示すように、日本地図を表記した都道府県選択ページ31が表示される。
【0036】
この日本地図には、都道府県名および都道府県の境界線が表記されている。この地図上において、マウスポインターPを移動させ、所望の都道府県を指した状態で、マウス8aをクリックすることにより、その選択された都道府県が拡大表示される。図6は、「東京都」が選択されたときの状態であり、東京都およびその周囲の県を拡大して示している。そして、この地図上において、東京都内の所望の位置をマウスポインターPで指し、マウス8aをクリックすることにより、その選択された位置を中心とする詳細な地図、すなわち、前述した基本地図Mbが表示される。
【0037】
なお、図4に示す都道府県選択ページ31には、所望の位置を住所から検索するためのボタン32が設けられており、このボタン32を選択すると、図5に示す住所検索ページ33がポップアップ表示される。この住所検索ページ33の都道府県名入力欄34、市区町村名入力欄35、町名入力欄36および番地入力欄37に、住所の対応する項目をそれぞれ入力した後、「位置移動」ボタン38を選択した場合も、マウス8aで選択した場合と同様、その住所を中心とする基本地図Mbが表示される。なお、上記各欄34〜37の右端部の「▼」ボタンを上段から順に選択することにより、各欄34〜37に入力すべき住所の項目がリスト表示され、そのリストから選択することで、各欄34〜37に住所を入力することも可能である。
【0038】
図7は、上述した図6または図5において所望の位置を選択したときの地図表示ページ41の一例を示している。図7に示すように、この地図表示ページ41には、その大部分を占める矩形状の地図表示領域42が設けられており、この地図表示領域42に、同図に示す基本地図Mbが表示されたり、後述するようにして、地盤地図Mgが表示されたりする。図7の基本地図Mbは、東京都内の港区の位置(同図では慶応大学の所在地)が選択されたときの状態を示している。なお、上記の基本地図Mbおよび地盤地図Mgはいずれも、カラー表示されるが、図面の記載上の制約のため、グレースケールで表示するものとする。
【0039】
地図表示領域42の周縁部には、上下左右および四隅に、外向きの三角形状の△アイコン43が設けられており、これらの△アイコン43のいずれかを選択することにより、地図表示領域42内の基本地図Mb全体が、選択された△アイコン43の向きに所定量、移動するようになっている。また、地図表示領域42の中心部には、「○」と「+」を重ね合わせた形状の中心位置マーク44が表記されている。
【0040】
また、図8(a)に示すように、地図表示領域42内において、マウスポインターPで所望の位置(同図では品川駅の所在地)を選択すると、基本地図Mb全体が移動し、同図(b)に示すように、選択した位置が地図表示領域42の中心となるように表示される。
【0041】
図7に示すように、地図表示ページ41の地図表示領域42の左方には、地盤情報を選択するための地盤情報選択欄45が設けられている。この地盤情報選択欄45をマウスポインターPで指し、マウス8aをクリックすると、図9に示すように、地盤情報選択欄45の下側に、各種の地盤情報(地盤地図の名称を含む)がリスト表示される。そして、このリストから所望の種類の地盤情報を選択すると、その地盤情報を含む地盤地図Mgが、基本地図Mbに代えて地図表示領域42に表示される。
【0042】
図10(a)は、地盤情報として、東京湾北部を震源とする震度分布が選択され、地盤地図Mgとしての震度分布図Mg1が地図表示領域42に表示された状態を示している。この震度分布図Mg1は、図9に示す基本地図Mbに対し、中心が一致した状態で、地図表示領域42に表示される。
【0043】
ここで、図9〜11を参照して、上記の震度分布図Mg1が地図表示領域42に表示される際のサーバー2およびクライアント4の内部処理、および両者2、4間のデータの送受信について説明する。
【0044】
図9に示す地盤情報選択欄45のリスト表示された地盤情報から、「東京湾北部地震 震度」(リストの上から3つ目)を選択すると、クライアント4では、基本地図Mb上の中心位置マーク44が位置する緯度・経度を、中心座標として取得する。そして、この中心座標および選択された地盤情報(地盤地図)の種類を表す種別コードを含む指示データを、サーバー2に送信する(図11(a)の(1))。
【0045】
この指示データを受信したサーバー2では、指示データに基づき、データベース10から所定の震度分布図Mg1を検索する。具体的には、種別コードに対応する、東京湾北部を震源とする震度分布図Mg1のうち、中心座標の緯度・経度を含む画像データを読み出す。次いで、読み出した画像データに対し、中心座標に対応する位置が中心となるよう、補正処理を施す。そして、この補正処理後の画像データを、クライアント4に送信する(図11(a)の(2))。
【0046】
この画像データを受信したクライアント4では、先に表示していた基本地図Mbに代えて、受信した画像データを地図表示領域42に表示する。以上により、図10(a)に示すように、地図表示ページ41の地図表示領域42には、先に表示されていた基本地図Mbに対し、中心の緯度・経度が一致した状態で、震度分布図Mg1が表示される。
【0047】
前述したように、この震度分布図Mg1は、カラー表示されており、震度(レベル)に応じて、互いに異なる色彩が付されている。利用者が、これらの色彩の意味を知ろうとする場合には、地図表示ページ41の「凡例表示」ボタン46を選択する。それにより、図10(b)に示すように、上記の震度分布図Mg1の凡例表示ページ51がポップアップ表示される。
【0048】
同図に示すように、この凡例表示ページ51には、凡例欄に、各色彩が上下方向に並んだ状態で表示され、その右側の説明欄に、震度が記載されている。ちなみに、凡例欄の各色彩は、上から順に、赤色、オレンジ色、黄色、および緑色が表示されており、これらの色彩は、説明欄に記載されているように、「震度7」、「震度6強」、「震度6弱」および「震度5強」を意味する。
【0049】
また、この凡例表示ページ51では、地図表示領域42に表示された震度分布図Mg1の中心部の震度を自動判定して表示するとともに、表示された判定結果を、利用者自身が修正可能になっている。
【0050】
震度の自動判定については、地図表示領域42に表示された震度分布図Mg1の中心部の色彩を、その震度分布図Mg1の凡例の各色彩と比較することにより、候補順位欄に、最も近い色彩から順に、「1」および「2」を表示する。この自動判定は次のようにして行われる。
【0051】
すなわち、図10(a)に示す状態において、「凡例表示」ボタン46を選択すると、クライアント4では、地図表示領域42に表示された震度分布図Mg1上の中心位置マーク44が位置する緯度・経度を、中心座標として取得する。そして、この中心座標および震度分布図Mg1の種別コードを含む指示データを、サーバー2に送信する(図11(b)の(1))。
【0052】
この指示データを受信したサーバー2では、指示データに含まれる種別コードおよび中心座標に基づいて、データベース10から種別コードに対応する震度分布図Mg1の画像データを検索し、中心座標の緯度・経度に対応する位置の色彩を、ピクセル情報として取得する。次いで、この取得したピクセル情報を、データベース10に登録されている上記震度分布図Mg1の凡例の各色彩のピクセル情報と比較し、差異の小さい順に、凡例の色彩に候補順位として、「1」および「2」を設定する。そして、種別コードに対応する凡例データを、上記のように設定された候補順位とともにクライアント4に送信する(図11(b)の(2))。
【0053】
上記の凡例データを受信したクライアント4では、前述した図10(b)に示すように、凡例表示ページ51には、上述した自動判定による候補順位とともに凡例が表示される。したがって、利用者は、震度分布図Mg1の中心部、すなわち利用者自身が指定した位置における震度を、容易に知ることができる。
【0054】
また、上記の自動判定では、震度分布図Mg1の画像データにおける所定位置のピクセル情報に基づいて判定するため、データベース10に登録された震度分布図Mg1によっては、判定ミスを生じることがある。これは、例えば、震度分布図によっては、震度ごとの色彩に加えて、ハッチング模様などが表記されることがあり、そのようなハッチング模様のある位置のピクセル情報を取得すると、震度に対応する本来の色彩と異なるピクセル情報を取得するおそれがあるからである。したがって、利用者自身が、上記の自動判定結果を修正したい場合には、選択欄のチェックボックス52をマウスポインターPで指し、マウス8aをクリックすることで、そのチェックボックス52にチェックを入れた後、「選択終了」ボタン53を選択する。それにより、チェックを入れた凡例の色彩、および中心座標の経度・緯度がサーバー2に送信され、データベース10に登録(反映)される。その結果、次回、同一位置を指定した状態で、「凡例表示」ボタン46を選択した場合、凡例表示ページ51が表示されたときには、チェックを入れた上記の凡例の色彩が、候補順位の「1」として表示される。
【0055】
次に、震度分布以外の地盤情報の種類を選択した場合について説明する。図12(a)、図13(a)および図14(a)はそれぞれ、地盤情報として、土砂災害危険箇所、浸水想定区域およびボーリング位置図が選択された状態を示している。
【0056】
例えば、地図表示ページ41の地図表示領域42に、図9に示す基本地図Mbが表示された状態、または他の地盤地図Mgが表示された状態(例えば図10(a)に示す震度分布図Mg1が表示された状態)から、地盤情報選択欄45において、土砂災害危険箇所が選択されると、図12(a)に示すように、地図表示領域42に、土砂災害危険箇所図Mg2が表示される。また、地盤情報選択欄45において、浸水想定区域またはボーリング位置図が選択されると、図13(a)または図14(a)に示すように、浸水想定区域図Mg3またはボーリング位置図が、地図表示領域42に表示される。これらの土砂災害危険箇所図Mg2、浸水想定区域図Mg3およびボーリング位置図はいずれも、先に表示されていた基本地図Mbまたは他の地盤地図Mgに対し、中心が一致した状態で表示される。
【0057】
また、図12、13(a)に示す「凡例表示」ボタン46が選択されると、図12、13(b)に示すように、地図表示領域42に表示されている土砂災害危険箇所図Mg2や浸水想定区域図Mg3に対応する凡例表示ページ51がポップアップ表示される。
【0058】
なお、図12(a)に示す土砂災害危険箇所図Mg2には、その地盤情報に基づき、複数の区分、具体的には同図(b)の凡例表示ページ51に示すように、「土石流危険箇所」や「急傾斜地崩壊危険箇所」、「地滑り危険箇所」などが、互いに異なる色彩を用いて表記される。一方、図13(a)に示す浸水想定区域図Mg3には、その地盤情報に基づき、複数のレベルや区分、具体的には同図(b)の凡例表示ページ51に示すように、「0.2〜0.5m」や「0.5〜1.0m」などの浸水時のレベル、および「対象とした地域」や「流域界」などの区分が、互いに異なる色彩を用いて表記される。
【0059】
以上のような土砂災害危険箇所図Mg2や浸水想定区域図Mg3の表示、およびそれぞれの凡例表示を行う場合におけるサーバー2およびクライアント4の内部処理、および両者2、4間のデータの送受信は、前述した震度分布図Mg1およびその凡例表示を行う場合と同様である。
【0060】
また、図14(a)に示すボーリング位置図では、地図表示領域42に表示された基本地図Mb上に、ボーリング調査が実施された箇所が重ね合わせた状態で表示される。具体的には、ボーリング位置の緯度・経度に基づき、基本地図Mb上の位置に、所定の色彩を付した円形の○アイコン60が表示される。また、各○アイコン60を選択することにより、図14(b)に示すように、ボーリング柱状図を含むボーリング調査結果表示ページ61がポップアップ表示される。
【0061】
なお、上記の○アイコン60を色分けして表示し(例えば、○アイコン60Aを赤色、60Bを青色)、利用者のIDに応じて、ボーリング調査結果の閲覧の可否を設定することも可能である。
【0062】
以上詳述したように、本実施形態の地盤リスク評価支援システム1によれば、利用者が、基本地図Mbの所望の位置を指定するとともに地盤情報の所望の種類を選択するという簡単な操作で、所望の位置およびその周辺地域における各種の地盤情報を、利用者に迅速に提供することができる。その結果、本システム1を利用する利用者に対し、地盤リスク評価の支援を効果的に行うことができる。また、従来、国や地方自治体などが自身のWebサイトで提供する各種の地盤情報を含む地盤地図Mgをデータベース10に蓄積しているので、本システム1のサーバー2が提供するWebサイトを、地盤情報のポータルサイトとして利用することができる。
【0063】
また、図示は省略するが、本システム1は、利用者が指定した位置の地盤に関する評価を行う機能を備えている。前述したように、サーバー2において、各地盤地図Mgの利用者が指定した位置におけるレベルや区分が、その位置に付された色彩に基づいて判定されるので、この判定結果に基づき、指定した位置の地盤に関する評価を行う。具体的には例えば、震度分布図Mg1における判定結果に基づき、地震発生時の揺れによる危険度合を評価したり、土砂災害危険箇所図Mg2における判定結果に基づき、土砂災害が発生する危険度合を評価したり、さらには、浸水想定区域図Mg3における判定結果に基づき、洪水発生時に浸水する危険度合を評価したりする。また、各評価結果に基づき、総合的な評価を行う。
【0064】
利用者が、指定した位置における地盤の評価を得ようとする場合には、地図表示ページ41上の所定のボタンを選択することなどにより、上記のような評価結果が、サーバー2からクライアント4に送信され、ポップアップ表示される。これにより、利用者は、指定した位置の地盤に関する評価を容易に得ることができる。
【0065】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、地図表示ページ41の地図表示領域42に表示する地盤地図Mgとして、震度分布図Mg1、土砂災害危険箇所図Mg2および浸水想定区域図Mg3を例示したが、これら以外の地盤地図、すなわちデータベース10に登録されている地形分類図、液状化危険度図、地盤の揺れやすさ図、建物倒壊危険度図、火災危険度図、総合危険度図、活断層図、地盤沈下危険度図、土壌・地下水汚染区域図、文化財埋蔵区域図、および古地図も、もちろん表示することができる。また、上記以外の地盤地図をデータベース10に登録することで、その地盤地図を地図表示領域42に表示させることも可能である。また、実施形態で示した地盤リスク評価支援システム1の細部の構成、ならびに地図表示ページ41および凡例表示ページ51などの各Webページのデザインなどは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態による地盤情報提供装置を適用した地盤リスク評価支援システムのハードウェア構成の概要を示す図である。
【図2】サーバーおよびクライアントに組み込まれたソフトウェアを説明するためのブロック図である。
【図3】クライアントの表示部にウィンドウ表示されたログインページを示す図である。
【図4】クライアントの表示部にウィンドウ表示された都道府県選択ページを示す図である。
【図5】都道府県選択ページ上でポップアップ表示された住所検索ページを示す図である。
【図6】都道府県選択ページにおいて「東京都」が選択されたときの状態であり、東京都およびその周囲の県を拡大して示す図である。
【図7】地図表示ページにおいて、地図表示領域に基本地図が表示された状態を示す図である。
【図8】地図表示領域に表示された地図の中心位置の変更を説明するための図であり、(a)は表示された基本地図の中心と異なる位置にマウスポインターを移動した状態、(b)は基本地図の中心位置が変更した状態を示す。
【図9】地図表示ページにおいて、地盤情報がリスト表示された状態を示す。
【図10】(a)は、地図表示ページにおいて、地図表示領域に震度分布図が表示された状態、(b)は、震度分布図の凡例がポップアップ表示された状態を示す。
【図11】(a)は、地図表示領域に地盤地図が表示される際のサーバーとクライアント間のデータの送受信を説明するための図であり、(b)は、凡例表示ページが表示される際のサーバーとクライアント間のデータの送受信を説明するための図である。
【図12】(a)は、地図表示ページにおいて、地図表示領域に土砂災害危険箇所図が表示された状態、(b)は、土砂災害危険箇所図の凡例がポップアップ表示された状態を示す。
【図13】(a)は、地図表示ページにおいて、地図表示領域に浸水想定区域図が表示された状態、(b)は、浸水想定区域図の凡例がポップアップ表示された状態を示す。
【図14】(a)は、地図表示ページにおいて、地図表示領域にボーリング位置図が表示された状態を示し、(b)は、ボーリング柱状図を含むボーリング調査結果がポップアップ表示された状態を示す。
【符号の説明】
【0067】
1 地盤リスク評価支援システム
2 サーバー
3 通信ネットワーク
4 クライアント
7 表示部(地図表示手段、凡例表示手段、判定結果表示手段、評価結果表示手段)
8 選択部(位置指定手段、地盤情報選択手段、凡例表示指示手段)
10 データベース(地盤地図記憶手段、凡例記憶手段、レベル・区分色彩記憶手段)
11 サーバーのデータ送受信機能(サーバー側送信手段およびサーバー側受信手段)
12 地図検索機能(地図読出し手段)
13 地図補正処理機能(地図補正手段)
14 凡例検索機能(凡例読出し手段)
15 色彩取得機能(色彩取得手段)
16 色彩比較機能(色彩比較手段)
17 レベル・区分判定機能(レベル・区分判定手段)
18 地盤評価機能(地盤評価手段)
19 Webブラウザー(クライアント側送信手段、クライアント側受信手段、中心
座標取得手段)
41 地図表示ページ
42 地図表示領域
44 中心位置マーク
45 地盤情報の選択欄
51 凡例表示ページ
Mb 基本地図
Mg 地盤地図
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子地図を用い、その電子地図上の所望の位置およびその周辺地域における地盤に関する情報を提供する地盤情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の地盤情報提供装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この地盤情報提供装置は、不同沈下(建物が不揃いに沈下を起こすことで、一方向に傾斜する状態)の発生を防止するために、建物の基礎の工法を決定するのに利用されるものである。具体的には、この地盤情報提供装置は、データベースを備えたサーバーに、インターネットなどの通信ネットワークを介して、複数のパソコンが接続されることによって構成されている。サーバーのデータベースには、電子地図のほか、その電子地図に対応する地形データ、および地盤調査によって得られた地盤データなどが記憶されている。この地盤データは、家屋やビルなどの建物を建築しようとする土地における地盤の硬度であり、建築に先立って行われる地盤調査(サウンディング試験)によって得られたものである。
【0003】
上記の地盤情報提供装置を利用する場合、その利用者が、パソコンを操作して、サーバーにアクセスし、所望の土地の位置を検索することにより、パソコンの表示画面上に、検索した土地の位置を含む電子地図が表示される。そして、その電子地図上には、地盤データおよび地形データが重ね合わせた状態で表示される。具体的には、地盤データについては、電子地図上の前記地盤調査が行われた位置に、地盤の硬度に対応する所定の色が付されたアイコンが表示される。また、マウスなどでアイコンを選択することにより、地盤データの詳細が表示される。この地盤情報提供装置により、その利用者、例えば、地盤データが表示される土地に建物を建築しようとする建築業者は、電子地図上に表示された地盤データを参照して、建物の基礎の工法を決定することが可能となる。
【0004】
しかし、土地取引を頻繁に行う事業者、例えば、住宅メーカやマンションデベロッパー、不動産業者、建築業者などにとって、上記の地盤情報提供装置で得られる地盤データおよび地形データだけでは、土地取引を行う際の地盤に関するリスク評価(以下単に「地盤リスク評価」という)を適切に行うための地盤情報としては不十分である。すなわち、土地を購入しようとする場合には、その土地や周辺地域の地盤リスク評価を適切に行った上で、購入すべきか否かを決定することが好ましく、地盤の硬度や地形以外の多種類の地盤情報、例えば、特定地域を震源とする震度分布、液状化危険度、建物倒壊危険度、土砂災害危険箇所、浸水想定区域、地盤沈下危険度、火災危険度、活断層、土壌・地下水汚染区域、文化財埋蔵区域などを調査することで、土地の地盤リスク評価を適切に行うことが可能となる。特に近年、日本国内では、地震や洪水、土砂災害などの自然災害が多発しており、土地取引のリスク管理上、地盤情報の重要性がより一層高くなっている。
【0005】
また、近年のインターネットの普及およびGIS技術の進展により、国や地方自治体などは、自身のwebサイト上で、各種の地盤情報が表記された電子地図の公開を始めている。例えば、国土交通省のwebサイトでは、国土交通省が保有する地域(例えば関東地方や九州地方など)のボーリングデータが公開され、また、東京都のwebサイトでは、東京都が保有する都内のボーリングデータのほか、都内の特定地域を震源とする地震が発生したときの東京都全域の震度分布図や液状化分布図などが公開されている。さらに、東京都所管の部局、例えば都市整備局のwebサイトでは建物倒壊危険度が、建設局のwebサイトでは土砂災害危険箇所が公開されている。さらにまた、国土交通省所管の河川事務所のwebサイトでは、その河川事務所が管轄する河川周辺の浸水想定区域図が公開されている。
【0006】
以上のように、国や地方自治体などによって、各種の地盤情報を含む電子地図が公開されているものの、それらの電子地図は、地盤情報の種類ごとに異なるwebサイト上で独自に公開されている。そのため、利用者が、インターネットを利用して、特定の土地や地域における各種の地盤情報を得ようとすると、所望の種類の地盤情報を公開するwebサイトにそれぞれアクセスしなければならない。また、地盤情報を公開するwebサイトへのリンクは、国や地方自治体のホームページ(トップページ)上に設けられていることが少なく、そのため、上記のホームページから所望のwebサイトにたどり着くまでに、手間がかかってしまう。さらに、所望のwebサイトにたどり着いたとしても、そのwebサイトのトップページには通常、管轄区域全体の電子地図が表示されるため、所望の土地や地域が詳細に表示されるよう、絞り込みや選択などの更なる操作が必要になることが多い。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、利用者による簡単な操作で、電子地図上の所望の位置およびその周辺地域における各種の地盤情報を、利用者に迅速に提供できる地盤情報提供装置を提供することを目的とする。
【0008】
【特許文献1】特許第4086122号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、サーバーと、このサーバーに通信ネットワークを介して接続されたクライアントとで構成され、サーバーが、クライアントからの要求に応じて電子地図を送信し、クライアントが、送信された電子地図を受信し、表示することにより、地盤に関する情報を提供する地盤情報提供装置であって、サーバーは、緯度・経度が関連付けられるとともに所定の複数種類の地盤情報をそれぞれ含む複数の電子地図の各々を、地盤地図として記憶する地盤地図記憶手段と、クライアントからの要求に基づく指示データを受信するサーバー側受信手段と、受信した指示データに応じ、地盤地図記憶手段から地盤地図を読み出す地図読出し手段と、読み出された地盤地図を、受信した指示データに応じて補正する地図補正手段と、補正された地盤地図をクライアントに送信するサーバー側送信手段と、を備え、クライアントは、サーバーから送信された地盤地図を受信するクライアント側受信手段と、経度・緯度が関連付けられた電子地図である基本地図を表示させるために、基本地図の所望の位置を指定するための位置指定手段と、受信した地盤地図または基本地図を表示するための地図表示領域を有し、基本地図の表示時に、指定された位置が地図表示領域の中心に位置するように表示する地図表示手段と、複数種類の地盤情報から所望の種類を選択するための地盤情報選択手段と、地図表示領域に表示された基本地図または地盤地図において、地図表示領域の中心に対応する緯度・経度を、中心座標として取得する中心座標取得手段と、選択された地盤情報の種類および取得された中心座標を含む指示データを、サーバーに送信するクライアント側送信手段と、を備え、サーバーの地図読出し手段は、指示データが受信されたときに、指示データに含まれる選択された種類の地盤情報を含む地盤地図を読み出し、サーバーの地図補正手段は、読み出された地盤地図を、指示データに含まれる中心座標に対応する位置が中心となるように補正し、クライアントの地図表示手段は、補正された地盤地図が受信されたときに、地図表示領域に表示されている基本地図または地盤地図に代えて、受信された地盤地図を地図表示領域に表示することを特徴とする。
【0010】
この地盤情報提供装置では、サーバーに、通信ネットワークを介してクライアントが接続されており、利用者によるクライアントの操作により、そのクライアントからの要求に応じて、サーバーが、地盤情報を含む電子地図である地盤地図を送信する。そして、この送信された地盤地図を、クライアントが受信し、表示することにより、地盤に関する情報を利用者に提供する。
【0011】
クライアントは、地図表示領域を有する地図表示手段を備えており、この地図表示領域には、クライアント側受信手段で受信した地盤地図、または緯度・経度が関連付けられた電子地図である基本地図が表示される。また、地図表示領域における基本地図の表示時には、利用者によって位置指定手段で指定された所望の位置が、地図表示領域の中心に位置するように表示される。これにより、利用者は、所望の位置を指定するだけで、その位置が地図表示領域の中心となるように表示された基本地図を得ることができる。
【0012】
また、上記のように、基本地図が地図表示領域に表示された状態において、利用者が、所望の種類の地盤情報を得ようとする場合には、地盤情報選択手段で複数種類の地盤情報から所望の種類を選択する。そうすると、中心座標取得手段により、地図表示領域に表示された基本地図において、地図表示領域の中心に対応する緯度・経度を、中心座標として取得し、上記選択された地盤情報の種類および取得された中心座標を含む指示データが、クライアント側送信手段によって、サーバーに送信される。
【0013】
サーバーは、サーバー側受信手段によって、クライアントから送信された指示データを受信し、その指示データに応じて、地図読出し手段により、地盤地図記憶手段から地盤地図を読み出す。すなわち、指示データに含まれる種類の地盤情報を含む地盤地図を読み出す。次いで、読み出された地盤地図を、地図補正手段により、指示データに応じて補正する。すなわち、読み出された地盤地図には、緯度・経度が関連付けられているので、その地盤地図を、指示データに含まれる中心座標の緯度・経度に対応する位置が中心となるように補正する。その後、この補正された地盤地図を、サーバー側送信手段により、クライアントに送信する。
【0014】
そして、クライアントでは、上記補正された地盤地図が受信されたときに、地図表示領域に表示されている基本地図に代えて、その受信された地盤地図を表示する。この場合、その地盤地図は、先に表示されていた基本地図に対し、中心が一致した状態で、地図表示領域に表示される。これにより、利用者は、自身が指定した位置およびその周辺地域における地盤情報を得ることができる。また、地盤地図が地図表示領域に表示された状態において、利用者が、他の種類の地盤情報を得ようとする場合には、地盤情報選択手段で他の種類の地盤情報を選択することにより、その地盤情報を含む地盤地図は、上述した場合と同様、先に表示されていた地盤地図に対し、中心が一致した状態で、地図表示領域に表示される。
【0015】
以上のように、本発明の地盤情報提供装置によれば、利用者が、基本地図の所望の位置を指定するとともに所望の種類の地盤情報を選択するという簡単な操作で、電子地図上の所望の位置およびその周辺地域における各種の地盤情報を、利用者に迅速に提供することができる。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の地盤情報提供装置において、各地盤地図には、地盤地図の地盤情報に基づく所定の複数のレベルおよび/または区分に応じ、互いに異なる複数の色彩が付されており、サーバーは、地盤地図ごとに、地盤地図に付される複数の色彩、および複数の色彩に対応する複数のレベルおよび/または区分を表記した一覧表を、凡例として記憶する凡例記憶手段と、受信した指示データに応じて、凡例記憶手段から凡例を読み出す凡例読出し手段と、をさらに備え、クライアントは、凡例表示を指示するための凡例表示指示手段と、凡例を表示する凡例表示手段と、をさらに備え、クライアント側送信手段は、凡例表示指示手段による凡例表示の指示があったときに、地図表示手段が表示する地盤地図の種別を含む指示データを、サーバーに送信し、サーバーの凡例読出し手段は、指示データが受信されたときに、指示データに含まれる地盤地図の種別に対応する凡例を読み出し、サーバー側送信手段が、読み出された凡例を送信し、クライアント側受信手段が、送信された凡例を受信し、クライアントの凡例表示手段は、凡例が受信されたときに、受信された凡例を表示することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、各地盤地図には、当該地盤地図の地盤情報に基づく所定の複数のレベルおよび/または区分に応じ、互いに異なる複数の色彩が付されている。このため、クライアントの地図表示手段によって地盤地図が表示される場合、その地盤情報に基づく複数のレベルおよび/または区分に応じた色彩が付された状態で表示される。しかし、地盤地図に色彩が付された状態で表示されただけでは、利用者は、各色彩がどのような意味を有しているのか、すなわち、地盤情報のどのようなレベルや区分を意味しているのかを理解するのは困難である。そのため、サーバーは、凡例記憶手段を備えており、この凡例記憶手段が、地盤地図ごとに、当該地盤地図に付される複数の色彩、およびそれらの複数の色彩に対応する複数のレベルおよび/または区分を表記した一覧表を、凡例として記憶している。
【0018】
地図表示手段によって地盤地図が表示された状態において、利用者が、その地盤地図の凡例を得ようとする場合には、凡例表示指示手段によって、凡例表示を指示する。この指示があったときには、クライアント側送信手段により、前記表示されている地盤地図の種別を含む指示データを、サーバーに送信する。サーバーでは、その指示データが受信されたときに、凡例読出し手段により、指示データに含まれる地盤地図の種別に対応する凡例を読み出す。次いで、読み出された凡例を、サーバー側送信手段により、クライアントに送信する。そして、クライアントでは、その凡例が受信されたときに、その受信した凡例を凡例表示手段によって表示する。これにより、利用者は、地図表示手段によって表示されている地盤地図の凡例を得ることができ、その地盤地図に付された色彩の意味、すなわち色彩に対応する地盤情報のレベルや区分の意味を容易に理解することができる。
【0019】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の地盤情報提供装置において、サーバーは、地盤地図ごとに、地盤地図に付される複数の色彩を、対応する複数のレベルおよび/または区分に関連付けて記憶するレベル・区分色彩記憶手段と、指示データに含まれる種別の地盤地図において、指示データに含まれる中心座標に対応する位置の色彩を取得する色彩取得手段と、取得した色彩と、レベル・区分色彩記憶手段に記憶されている色彩とを比較する色彩比較手段と、この色彩比較手段による比較結果に応じ、地盤地図の中心座標に対応する位置におけるレベルまたは区分を判定するレベル・区分判定手段と、をさらに備え、サーバー側送信手段がレベル・区分判定手段による判定結果を送信し、クライアント側受信手段が送信された判定結果を受信し、クライアントは、受信した判定結果を表示する判定結果表示手段を、さらに備えていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、サーバーのレベル・区分色彩記憶手段により、地盤地図ごとに、当該地盤地図に付される複数の色彩が、対応する複数のレベルおよび/または区分に関連付けて記憶されている。前述したように、サーバーが受信した指示データには、地図表示手段によって表示されている地盤地図の種別および前記中心座標が含まれており、サーバーの色彩取得手段により、前記種別の地盤地図の中心座標に対応する位置の色彩が取得される。そして、色彩比較手段により、取得された色彩と、レベル・区分色彩記憶手段に記憶されている色彩とが比較され、その比較結果に応じ、レベル・区分判定手段により、上記地盤地図の中心座標に対応する位置における地盤情報のレベルまたは区分が判定される。この判定結果は、サーバー側送信手段によって送信され、クライアント側受信手段によって受信される。そして、受信された判定結果が、クライアントの判定結果表示手段によって表示される。
【0021】
以上のように、本発明によれば、クライアントの地図表示手段によって表示された地盤地図において、利用者が指定した位置における地盤情報のレベルまたは区分が自動的に判定され、利用者は、その判定結果を容易に得ることができる。
【0022】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の地盤情報提供装置において、サーバーは、判定結果に基づき、中心座標に対応する位置の地盤に関する評価を行う地盤評価手段を、さらに備え、サーバー側送信手段が地盤評価手段による評価結果を送信し、クライアント側受信手段が送信された評価結果を受信し、クライアントは、受信した評価結果を表示する評価結果表示手段を、さらに備えていることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、サーバーの地盤評価手段により、前記判定結果に基づいて、中心座標に対応する位置の地盤に関する評価が行われる。この評価結果は、サーバー側送信手段によって送信され、クライアント側受信手段によって受信される。そして、受信された評価結果が、クライアントの評価結果表示手段によって表示される。これにより、利用者は、自身が指定した位置の地盤に関する評価を、容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。本発明の地盤情報提供装置を適用した地盤リスク評価支援システム(以下、適宜「本システム」という)は、利用者に、所望の土地やその周辺地域における地盤のリスクに関する各種情報(以下「地盤情報」という)を提供し、それにより、地盤リスク評価を適切に行えるよう、支援するためのものである。なお、本システムは、例えば住宅メーカやマンションデベロッパー、不動産業者、建築業者など、土地取引を頻繁に行う事業者のほか、一般の人々も利用可能である。
【0025】
図1は、この地盤リスク評価支援システム1のハードウェア構成を示している。同図に示すように、本システム1は、サーバー2と、このサーバー2に、インターネットなどの通信ネットワーク3を介して接続された複数のクライアント4とを備えている。
【0026】
サーバー2は、Webサーバーとして機能するコンピュータであり、図2に示すように、各種の機能を有するソフトウェアが組み込まれるとともに、各種のデータを蓄積したデータベース10(地盤地図記憶手段、凡例記憶手段、およびレベル・区分色彩記憶手段)を備えている。このデータベース10には、後述する基本地図Mb(図7〜9参照)および複数種類の地盤地図Mg(図10、12および13参照)などが登録されており、これらの地図MbおよびMgは、日本全土を対象としている。
【0027】
基本地図Mbは、一般的な地図と同様に描かれた電子地図であり、所定サイズの矩形状の画像データに細分化され、それらの各々に緯度・経度が関連付けられた状態で、データベース10に登録されている。具体的には、各画像データが、その画像の左下および右上の緯度・経度を関連付けた状態で、データベース10に登録されている。
【0028】
一方、複数種類の地盤地図Mgは、国や地方自治体などが提供し、各種の地盤情報がそれぞれ表記された複数の電子地図である。具体的には、これらの地盤地図Mgはそれぞれ、地盤情報として、地形分類、特定地域(例えば、東京湾北部や多摩地区)を震源とする震度分布、液状化危険度、地盤の揺れやすさ、建物倒壊危険度、火災危険度、総合危険度、土砂災害危険箇所、活断層、浸水想定区域、地盤沈下危険度、土壌・地下水汚染区域、および文化財埋蔵区域などが表記されている。
【0029】
また、各地盤地図Mgには、その地盤情報に基づく複数のレベルや区分に応じて、互いに異なる複数の色彩が付されている。そして、各地盤地図Mgは、基本地図Mbと同様、所定サイズの矩形状の画像データに細分化され、それらの各々に緯度・経度が関連付けられた状態で、データベース10に登録されている。また、データベース10には、地盤地図Mgごとに、その地盤地図Mgに付される複数の色彩、およびそれらの色彩に対応する複数のレベルや区分を表記した一覧表が、凡例として登録されている。加えて、地盤地図Mgごとに、複数の色彩が、対応する複数のレベルや区分に関連付けて、ピクセル情報によって登録されている。なお、データベース10には、明治時代や大正時代などの古地図も、地盤地図の一種として登録されている。
【0030】
さらに、データベース10には、地盤のボーリング調査が実施された箇所、およびその調査結果も登録されている。なお、このボーリング調査に関するデータは、国や地方自治体が提供したもののほか、民間企業が保有するものや、利用者が登録したものも含まれている。
【0031】
また、図2に示すように、サーバー2に組み込まれた各種のソフトウェアは、その機能として、例えば、クライアント4との間でデータの送受信を行うデータ送受信機能11(サーバー側送信手段およびサーバー側受信手段)、データベース10から基本地図Mbや地盤地図Mgを検索する地図検索機能12(地図読出し手段)、検索した基本地図Mbや地盤地図Mgに補正処理を施す地図補正処理機能13(地図補正手段)、データベース10から凡例を検索する凡例検索機能14(凡例読出し手段)、地盤地図Mg上の所定位置の色彩を取得する色彩取得機能15(色彩取得手段)、取得した色彩とデータベース10に登録されている色彩とを比較する色彩比較機能16(色彩比較手段)、地盤地図Mg上の所定位置における地盤情報のレベルや区分を判定するレベル・区分判定機能17(レベル・区分判定手段)、および地盤に関する評価を行う地盤評価機能18(地盤評価手段)などを有している。
【0032】
一方、クライアント4は、図1に示すように、パソコン4Aなどのコンピュータのほか、PDA4Bや携帯電話4Cなどである。各クライアント4は、文字や記号を入力するためのキーボードなどの入力部6、サーバー2から送信された電子地図などを表示するためのディスプレイなどの表示部7(地図表示手段、凡例表示手段、判定結果表示手段および評価結果表示手段)、および、表示部7に表示される各種のボタンやアイコンなどを選択するためのマウス8aなどの選択部8(位置指定手段、地盤情報選択手段、および凡例表示指示手段)を備えている。
【0033】
また、クライアント4には、図2に示すように、サーバー2との間でデータを送受信しながら、Webページを閲覧するためのWebブラウザー19(クライアント側送信手段、クライアント側受信手段および中心座標取得手段)を含む各種のソフトウェアが組み込まれている。
【0034】
次に、図3〜図14を参照しながら、地盤リスク評価支援システム1の使用方法について説明する。なお、以下の説明では、クライアント4として、パソコン4Aを用いたときの使用方法について説明するものとする。
【0035】
図3は、利用者がクライアント4を操作することにより、そのクライアント4がWebブラウザー19を介してサーバー2にアクセスし、クライアント4の表示部7にウィンドウ表示された本システム1へのログインページを示している。このログインページ20のID入力欄21およびパスワード入力欄22にそれぞれ、所定のIDおよびパスワードを入力した後、「Enter」ボタン23をマウスポインターPで指し、マウス8aをクリックする。入力されたIDおよびパスワードは、サーバー2に送信され、あらかじめ登録されているIDおよびパスワードと照合される。そして、両者がいずれも適正であるときには、図4に示すように、日本地図を表記した都道府県選択ページ31が表示される。
【0036】
この日本地図には、都道府県名および都道府県の境界線が表記されている。この地図上において、マウスポインターPを移動させ、所望の都道府県を指した状態で、マウス8aをクリックすることにより、その選択された都道府県が拡大表示される。図6は、「東京都」が選択されたときの状態であり、東京都およびその周囲の県を拡大して示している。そして、この地図上において、東京都内の所望の位置をマウスポインターPで指し、マウス8aをクリックすることにより、その選択された位置を中心とする詳細な地図、すなわち、前述した基本地図Mbが表示される。
【0037】
なお、図4に示す都道府県選択ページ31には、所望の位置を住所から検索するためのボタン32が設けられており、このボタン32を選択すると、図5に示す住所検索ページ33がポップアップ表示される。この住所検索ページ33の都道府県名入力欄34、市区町村名入力欄35、町名入力欄36および番地入力欄37に、住所の対応する項目をそれぞれ入力した後、「位置移動」ボタン38を選択した場合も、マウス8aで選択した場合と同様、その住所を中心とする基本地図Mbが表示される。なお、上記各欄34〜37の右端部の「▼」ボタンを上段から順に選択することにより、各欄34〜37に入力すべき住所の項目がリスト表示され、そのリストから選択することで、各欄34〜37に住所を入力することも可能である。
【0038】
図7は、上述した図6または図5において所望の位置を選択したときの地図表示ページ41の一例を示している。図7に示すように、この地図表示ページ41には、その大部分を占める矩形状の地図表示領域42が設けられており、この地図表示領域42に、同図に示す基本地図Mbが表示されたり、後述するようにして、地盤地図Mgが表示されたりする。図7の基本地図Mbは、東京都内の港区の位置(同図では慶応大学の所在地)が選択されたときの状態を示している。なお、上記の基本地図Mbおよび地盤地図Mgはいずれも、カラー表示されるが、図面の記載上の制約のため、グレースケールで表示するものとする。
【0039】
地図表示領域42の周縁部には、上下左右および四隅に、外向きの三角形状の△アイコン43が設けられており、これらの△アイコン43のいずれかを選択することにより、地図表示領域42内の基本地図Mb全体が、選択された△アイコン43の向きに所定量、移動するようになっている。また、地図表示領域42の中心部には、「○」と「+」を重ね合わせた形状の中心位置マーク44が表記されている。
【0040】
また、図8(a)に示すように、地図表示領域42内において、マウスポインターPで所望の位置(同図では品川駅の所在地)を選択すると、基本地図Mb全体が移動し、同図(b)に示すように、選択した位置が地図表示領域42の中心となるように表示される。
【0041】
図7に示すように、地図表示ページ41の地図表示領域42の左方には、地盤情報を選択するための地盤情報選択欄45が設けられている。この地盤情報選択欄45をマウスポインターPで指し、マウス8aをクリックすると、図9に示すように、地盤情報選択欄45の下側に、各種の地盤情報(地盤地図の名称を含む)がリスト表示される。そして、このリストから所望の種類の地盤情報を選択すると、その地盤情報を含む地盤地図Mgが、基本地図Mbに代えて地図表示領域42に表示される。
【0042】
図10(a)は、地盤情報として、東京湾北部を震源とする震度分布が選択され、地盤地図Mgとしての震度分布図Mg1が地図表示領域42に表示された状態を示している。この震度分布図Mg1は、図9に示す基本地図Mbに対し、中心が一致した状態で、地図表示領域42に表示される。
【0043】
ここで、図9〜11を参照して、上記の震度分布図Mg1が地図表示領域42に表示される際のサーバー2およびクライアント4の内部処理、および両者2、4間のデータの送受信について説明する。
【0044】
図9に示す地盤情報選択欄45のリスト表示された地盤情報から、「東京湾北部地震 震度」(リストの上から3つ目)を選択すると、クライアント4では、基本地図Mb上の中心位置マーク44が位置する緯度・経度を、中心座標として取得する。そして、この中心座標および選択された地盤情報(地盤地図)の種類を表す種別コードを含む指示データを、サーバー2に送信する(図11(a)の(1))。
【0045】
この指示データを受信したサーバー2では、指示データに基づき、データベース10から所定の震度分布図Mg1を検索する。具体的には、種別コードに対応する、東京湾北部を震源とする震度分布図Mg1のうち、中心座標の緯度・経度を含む画像データを読み出す。次いで、読み出した画像データに対し、中心座標に対応する位置が中心となるよう、補正処理を施す。そして、この補正処理後の画像データを、クライアント4に送信する(図11(a)の(2))。
【0046】
この画像データを受信したクライアント4では、先に表示していた基本地図Mbに代えて、受信した画像データを地図表示領域42に表示する。以上により、図10(a)に示すように、地図表示ページ41の地図表示領域42には、先に表示されていた基本地図Mbに対し、中心の緯度・経度が一致した状態で、震度分布図Mg1が表示される。
【0047】
前述したように、この震度分布図Mg1は、カラー表示されており、震度(レベル)に応じて、互いに異なる色彩が付されている。利用者が、これらの色彩の意味を知ろうとする場合には、地図表示ページ41の「凡例表示」ボタン46を選択する。それにより、図10(b)に示すように、上記の震度分布図Mg1の凡例表示ページ51がポップアップ表示される。
【0048】
同図に示すように、この凡例表示ページ51には、凡例欄に、各色彩が上下方向に並んだ状態で表示され、その右側の説明欄に、震度が記載されている。ちなみに、凡例欄の各色彩は、上から順に、赤色、オレンジ色、黄色、および緑色が表示されており、これらの色彩は、説明欄に記載されているように、「震度7」、「震度6強」、「震度6弱」および「震度5強」を意味する。
【0049】
また、この凡例表示ページ51では、地図表示領域42に表示された震度分布図Mg1の中心部の震度を自動判定して表示するとともに、表示された判定結果を、利用者自身が修正可能になっている。
【0050】
震度の自動判定については、地図表示領域42に表示された震度分布図Mg1の中心部の色彩を、その震度分布図Mg1の凡例の各色彩と比較することにより、候補順位欄に、最も近い色彩から順に、「1」および「2」を表示する。この自動判定は次のようにして行われる。
【0051】
すなわち、図10(a)に示す状態において、「凡例表示」ボタン46を選択すると、クライアント4では、地図表示領域42に表示された震度分布図Mg1上の中心位置マーク44が位置する緯度・経度を、中心座標として取得する。そして、この中心座標および震度分布図Mg1の種別コードを含む指示データを、サーバー2に送信する(図11(b)の(1))。
【0052】
この指示データを受信したサーバー2では、指示データに含まれる種別コードおよび中心座標に基づいて、データベース10から種別コードに対応する震度分布図Mg1の画像データを検索し、中心座標の緯度・経度に対応する位置の色彩を、ピクセル情報として取得する。次いで、この取得したピクセル情報を、データベース10に登録されている上記震度分布図Mg1の凡例の各色彩のピクセル情報と比較し、差異の小さい順に、凡例の色彩に候補順位として、「1」および「2」を設定する。そして、種別コードに対応する凡例データを、上記のように設定された候補順位とともにクライアント4に送信する(図11(b)の(2))。
【0053】
上記の凡例データを受信したクライアント4では、前述した図10(b)に示すように、凡例表示ページ51には、上述した自動判定による候補順位とともに凡例が表示される。したがって、利用者は、震度分布図Mg1の中心部、すなわち利用者自身が指定した位置における震度を、容易に知ることができる。
【0054】
また、上記の自動判定では、震度分布図Mg1の画像データにおける所定位置のピクセル情報に基づいて判定するため、データベース10に登録された震度分布図Mg1によっては、判定ミスを生じることがある。これは、例えば、震度分布図によっては、震度ごとの色彩に加えて、ハッチング模様などが表記されることがあり、そのようなハッチング模様のある位置のピクセル情報を取得すると、震度に対応する本来の色彩と異なるピクセル情報を取得するおそれがあるからである。したがって、利用者自身が、上記の自動判定結果を修正したい場合には、選択欄のチェックボックス52をマウスポインターPで指し、マウス8aをクリックすることで、そのチェックボックス52にチェックを入れた後、「選択終了」ボタン53を選択する。それにより、チェックを入れた凡例の色彩、および中心座標の経度・緯度がサーバー2に送信され、データベース10に登録(反映)される。その結果、次回、同一位置を指定した状態で、「凡例表示」ボタン46を選択した場合、凡例表示ページ51が表示されたときには、チェックを入れた上記の凡例の色彩が、候補順位の「1」として表示される。
【0055】
次に、震度分布以外の地盤情報の種類を選択した場合について説明する。図12(a)、図13(a)および図14(a)はそれぞれ、地盤情報として、土砂災害危険箇所、浸水想定区域およびボーリング位置図が選択された状態を示している。
【0056】
例えば、地図表示ページ41の地図表示領域42に、図9に示す基本地図Mbが表示された状態、または他の地盤地図Mgが表示された状態(例えば図10(a)に示す震度分布図Mg1が表示された状態)から、地盤情報選択欄45において、土砂災害危険箇所が選択されると、図12(a)に示すように、地図表示領域42に、土砂災害危険箇所図Mg2が表示される。また、地盤情報選択欄45において、浸水想定区域またはボーリング位置図が選択されると、図13(a)または図14(a)に示すように、浸水想定区域図Mg3またはボーリング位置図が、地図表示領域42に表示される。これらの土砂災害危険箇所図Mg2、浸水想定区域図Mg3およびボーリング位置図はいずれも、先に表示されていた基本地図Mbまたは他の地盤地図Mgに対し、中心が一致した状態で表示される。
【0057】
また、図12、13(a)に示す「凡例表示」ボタン46が選択されると、図12、13(b)に示すように、地図表示領域42に表示されている土砂災害危険箇所図Mg2や浸水想定区域図Mg3に対応する凡例表示ページ51がポップアップ表示される。
【0058】
なお、図12(a)に示す土砂災害危険箇所図Mg2には、その地盤情報に基づき、複数の区分、具体的には同図(b)の凡例表示ページ51に示すように、「土石流危険箇所」や「急傾斜地崩壊危険箇所」、「地滑り危険箇所」などが、互いに異なる色彩を用いて表記される。一方、図13(a)に示す浸水想定区域図Mg3には、その地盤情報に基づき、複数のレベルや区分、具体的には同図(b)の凡例表示ページ51に示すように、「0.2〜0.5m」や「0.5〜1.0m」などの浸水時のレベル、および「対象とした地域」や「流域界」などの区分が、互いに異なる色彩を用いて表記される。
【0059】
以上のような土砂災害危険箇所図Mg2や浸水想定区域図Mg3の表示、およびそれぞれの凡例表示を行う場合におけるサーバー2およびクライアント4の内部処理、および両者2、4間のデータの送受信は、前述した震度分布図Mg1およびその凡例表示を行う場合と同様である。
【0060】
また、図14(a)に示すボーリング位置図では、地図表示領域42に表示された基本地図Mb上に、ボーリング調査が実施された箇所が重ね合わせた状態で表示される。具体的には、ボーリング位置の緯度・経度に基づき、基本地図Mb上の位置に、所定の色彩を付した円形の○アイコン60が表示される。また、各○アイコン60を選択することにより、図14(b)に示すように、ボーリング柱状図を含むボーリング調査結果表示ページ61がポップアップ表示される。
【0061】
なお、上記の○アイコン60を色分けして表示し(例えば、○アイコン60Aを赤色、60Bを青色)、利用者のIDに応じて、ボーリング調査結果の閲覧の可否を設定することも可能である。
【0062】
以上詳述したように、本実施形態の地盤リスク評価支援システム1によれば、利用者が、基本地図Mbの所望の位置を指定するとともに地盤情報の所望の種類を選択するという簡単な操作で、所望の位置およびその周辺地域における各種の地盤情報を、利用者に迅速に提供することができる。その結果、本システム1を利用する利用者に対し、地盤リスク評価の支援を効果的に行うことができる。また、従来、国や地方自治体などが自身のWebサイトで提供する各種の地盤情報を含む地盤地図Mgをデータベース10に蓄積しているので、本システム1のサーバー2が提供するWebサイトを、地盤情報のポータルサイトとして利用することができる。
【0063】
また、図示は省略するが、本システム1は、利用者が指定した位置の地盤に関する評価を行う機能を備えている。前述したように、サーバー2において、各地盤地図Mgの利用者が指定した位置におけるレベルや区分が、その位置に付された色彩に基づいて判定されるので、この判定結果に基づき、指定した位置の地盤に関する評価を行う。具体的には例えば、震度分布図Mg1における判定結果に基づき、地震発生時の揺れによる危険度合を評価したり、土砂災害危険箇所図Mg2における判定結果に基づき、土砂災害が発生する危険度合を評価したり、さらには、浸水想定区域図Mg3における判定結果に基づき、洪水発生時に浸水する危険度合を評価したりする。また、各評価結果に基づき、総合的な評価を行う。
【0064】
利用者が、指定した位置における地盤の評価を得ようとする場合には、地図表示ページ41上の所定のボタンを選択することなどにより、上記のような評価結果が、サーバー2からクライアント4に送信され、ポップアップ表示される。これにより、利用者は、指定した位置の地盤に関する評価を容易に得ることができる。
【0065】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、地図表示ページ41の地図表示領域42に表示する地盤地図Mgとして、震度分布図Mg1、土砂災害危険箇所図Mg2および浸水想定区域図Mg3を例示したが、これら以外の地盤地図、すなわちデータベース10に登録されている地形分類図、液状化危険度図、地盤の揺れやすさ図、建物倒壊危険度図、火災危険度図、総合危険度図、活断層図、地盤沈下危険度図、土壌・地下水汚染区域図、文化財埋蔵区域図、および古地図も、もちろん表示することができる。また、上記以外の地盤地図をデータベース10に登録することで、その地盤地図を地図表示領域42に表示させることも可能である。また、実施形態で示した地盤リスク評価支援システム1の細部の構成、ならびに地図表示ページ41および凡例表示ページ51などの各Webページのデザインなどは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態による地盤情報提供装置を適用した地盤リスク評価支援システムのハードウェア構成の概要を示す図である。
【図2】サーバーおよびクライアントに組み込まれたソフトウェアを説明するためのブロック図である。
【図3】クライアントの表示部にウィンドウ表示されたログインページを示す図である。
【図4】クライアントの表示部にウィンドウ表示された都道府県選択ページを示す図である。
【図5】都道府県選択ページ上でポップアップ表示された住所検索ページを示す図である。
【図6】都道府県選択ページにおいて「東京都」が選択されたときの状態であり、東京都およびその周囲の県を拡大して示す図である。
【図7】地図表示ページにおいて、地図表示領域に基本地図が表示された状態を示す図である。
【図8】地図表示領域に表示された地図の中心位置の変更を説明するための図であり、(a)は表示された基本地図の中心と異なる位置にマウスポインターを移動した状態、(b)は基本地図の中心位置が変更した状態を示す。
【図9】地図表示ページにおいて、地盤情報がリスト表示された状態を示す。
【図10】(a)は、地図表示ページにおいて、地図表示領域に震度分布図が表示された状態、(b)は、震度分布図の凡例がポップアップ表示された状態を示す。
【図11】(a)は、地図表示領域に地盤地図が表示される際のサーバーとクライアント間のデータの送受信を説明するための図であり、(b)は、凡例表示ページが表示される際のサーバーとクライアント間のデータの送受信を説明するための図である。
【図12】(a)は、地図表示ページにおいて、地図表示領域に土砂災害危険箇所図が表示された状態、(b)は、土砂災害危険箇所図の凡例がポップアップ表示された状態を示す。
【図13】(a)は、地図表示ページにおいて、地図表示領域に浸水想定区域図が表示された状態、(b)は、浸水想定区域図の凡例がポップアップ表示された状態を示す。
【図14】(a)は、地図表示ページにおいて、地図表示領域にボーリング位置図が表示された状態を示し、(b)は、ボーリング柱状図を含むボーリング調査結果がポップアップ表示された状態を示す。
【符号の説明】
【0067】
1 地盤リスク評価支援システム
2 サーバー
3 通信ネットワーク
4 クライアント
7 表示部(地図表示手段、凡例表示手段、判定結果表示手段、評価結果表示手段)
8 選択部(位置指定手段、地盤情報選択手段、凡例表示指示手段)
10 データベース(地盤地図記憶手段、凡例記憶手段、レベル・区分色彩記憶手段)
11 サーバーのデータ送受信機能(サーバー側送信手段およびサーバー側受信手段)
12 地図検索機能(地図読出し手段)
13 地図補正処理機能(地図補正手段)
14 凡例検索機能(凡例読出し手段)
15 色彩取得機能(色彩取得手段)
16 色彩比較機能(色彩比較手段)
17 レベル・区分判定機能(レベル・区分判定手段)
18 地盤評価機能(地盤評価手段)
19 Webブラウザー(クライアント側送信手段、クライアント側受信手段、中心
座標取得手段)
41 地図表示ページ
42 地図表示領域
44 中心位置マーク
45 地盤情報の選択欄
51 凡例表示ページ
Mb 基本地図
Mg 地盤地図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバーと、このサーバーに通信ネットワークを介して接続されたクライアントとで構成され、前記サーバーが、前記クライアントからの要求に応じて電子地図を送信し、当該クライアントが、当該送信された電子地図を受信し、表示することにより、地盤に関する情報を提供する地盤情報提供装置であって、
前記サーバーは、
緯度・経度が関連付けられるとともに所定の複数種類の地盤情報をそれぞれ含む複数の電子地図の各々を、地盤地図として記憶する地盤地図記憶手段と、
前記クライアントからの要求に基づく指示データを受信するサーバー側受信手段と、
前記受信した指示データに応じ、前記地盤地図記憶手段から前記地盤地図を読み出す地図読出し手段と、
前記読み出された地盤地図を、前記受信した指示データに応じて補正する地図補正手段と、
前記補正された地盤地図を前記クライアントに送信するサーバー側送信手段と、を備え、
前記クライアントは、
前記サーバーから送信された前記地盤地図を受信するクライアント側受信手段と、
経度・緯度が関連付けられた電子地図である基本地図を表示させるために、当該基本地図の所望の位置を指定するための位置指定手段と、
前記受信した地盤地図または前記基本地図を表示するための地図表示領域を有し、当該基本地図の表示時に、前記指定された位置が前記地図表示領域の中心に位置するように表示する地図表示手段と、
前記複数種類の地盤情報から所望の種類を選択するための地盤情報選択手段と、
前記地図表示領域に表示された前記基本地図または前記地盤地図において、当該地図表示領域の中心に対応する緯度・経度を、中心座標として取得する中心座標取得手段と、
前記選択された地盤情報の種類および前記取得された中心座標を含む前記指示データを、前記サーバーに送信するクライアント側送信手段と、を備え、
前記サーバーの前記地図読出し手段は、前記指示データが受信されたときに、当該指示データに含まれる前記選択された種類の地盤情報を含む前記地盤地図を読み出し、
前記サーバーの前記地図補正手段は、当該読み出された地盤地図を、前記指示データに含まれる前記中心座標に対応する位置が中心となるように補正し、
前記クライアントの前記地図表示手段は、前記補正された地盤地図が受信されたときに、前記地図表示領域に表示されている前記基本地図または前記地盤地図に代えて、当該受信された地盤地図を前記地図表示領域に表示することを特徴とする地盤情報提供装置。
【請求項2】
前記各地盤地図には、当該地盤地図の地盤情報に基づく所定の複数のレベルおよび/または区分に応じ、互いに異なる複数の色彩が付されており、
前記サーバーは、
前記地盤地図ごとに、当該地盤地図に付される複数の色彩、および当該複数の色彩に対応する前記複数のレベルおよび/または区分を表記した一覧表を、凡例として記憶する凡例記憶手段と、
前記受信した指示データに応じて、前記凡例記憶手段から前記凡例を読み出す凡例読出し手段と、をさらに備え、
前記クライアントは、
凡例表示を指示するための凡例表示指示手段と、
前記凡例を表示する凡例表示手段と、をさらに備え、
前記クライアント側送信手段は、前記凡例表示指示手段による凡例表示の指示があったときに、前記地図表示手段が表示する前記地盤地図の種別を含む前記指示データを、前記サーバーに送信し、
前記サーバーの前記凡例読出し手段は、前記指示データが受信されたときに、当該指示データに含まれる前記地盤地図の種別に対応する前記凡例を読み出し、
前記サーバー側送信手段が、前記読み出された凡例を送信し、前記クライアント側受信手段が、当該送信された凡例を受信し、
前記クライアントの前記凡例表示手段は、前記凡例が受信されたときに、当該受信された凡例を表示することを特徴とする請求項1に記載の地盤情報提供装置。
【請求項3】
前記サーバーは、
前記地盤地図ごとに、当該地盤地図に付される複数の色彩を、対応する前記複数のレベルおよび/または区分に関連付けて記憶するレベル・区分色彩記憶手段と、
前記指示データに含まれる前記種別の地盤地図において、当該指示データに含まれる前記中心座標に対応する位置の色彩を取得する色彩取得手段と、
前記取得した色彩と、前記レベル・区分色彩記憶手段に記憶されている色彩とを比較する色彩比較手段と、
この色彩比較手段による比較結果に応じ、前記地盤地図の前記中心座標に対応する位置における前記レベルまたは区分を判定するレベル・区分判定手段と、をさらに備え、
前記サーバー側送信手段が前記レベル・区分判定手段による判定結果を送信し、前記クライアント側受信手段が当該送信された判定結果を受信し、
前記クライアントは、前記受信した判定結果を表示する判定結果表示手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の地盤情報提供装置。
【請求項4】
前記サーバーは、
前記判定結果に基づき、前記中心座標に対応する位置の地盤に関する評価を行う地盤評価手段を、さらに備え、
前記サーバー側送信手段が前記地盤評価手段による評価結果を送信し、前記クライアント側受信手段が当該送信された評価結果を受信し、
前記クライアントは、前記受信した評価結果を表示する評価結果表示手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の地盤情報提供装置。
【請求項1】
サーバーと、このサーバーに通信ネットワークを介して接続されたクライアントとで構成され、前記サーバーが、前記クライアントからの要求に応じて電子地図を送信し、当該クライアントが、当該送信された電子地図を受信し、表示することにより、地盤に関する情報を提供する地盤情報提供装置であって、
前記サーバーは、
緯度・経度が関連付けられるとともに所定の複数種類の地盤情報をそれぞれ含む複数の電子地図の各々を、地盤地図として記憶する地盤地図記憶手段と、
前記クライアントからの要求に基づく指示データを受信するサーバー側受信手段と、
前記受信した指示データに応じ、前記地盤地図記憶手段から前記地盤地図を読み出す地図読出し手段と、
前記読み出された地盤地図を、前記受信した指示データに応じて補正する地図補正手段と、
前記補正された地盤地図を前記クライアントに送信するサーバー側送信手段と、を備え、
前記クライアントは、
前記サーバーから送信された前記地盤地図を受信するクライアント側受信手段と、
経度・緯度が関連付けられた電子地図である基本地図を表示させるために、当該基本地図の所望の位置を指定するための位置指定手段と、
前記受信した地盤地図または前記基本地図を表示するための地図表示領域を有し、当該基本地図の表示時に、前記指定された位置が前記地図表示領域の中心に位置するように表示する地図表示手段と、
前記複数種類の地盤情報から所望の種類を選択するための地盤情報選択手段と、
前記地図表示領域に表示された前記基本地図または前記地盤地図において、当該地図表示領域の中心に対応する緯度・経度を、中心座標として取得する中心座標取得手段と、
前記選択された地盤情報の種類および前記取得された中心座標を含む前記指示データを、前記サーバーに送信するクライアント側送信手段と、を備え、
前記サーバーの前記地図読出し手段は、前記指示データが受信されたときに、当該指示データに含まれる前記選択された種類の地盤情報を含む前記地盤地図を読み出し、
前記サーバーの前記地図補正手段は、当該読み出された地盤地図を、前記指示データに含まれる前記中心座標に対応する位置が中心となるように補正し、
前記クライアントの前記地図表示手段は、前記補正された地盤地図が受信されたときに、前記地図表示領域に表示されている前記基本地図または前記地盤地図に代えて、当該受信された地盤地図を前記地図表示領域に表示することを特徴とする地盤情報提供装置。
【請求項2】
前記各地盤地図には、当該地盤地図の地盤情報に基づく所定の複数のレベルおよび/または区分に応じ、互いに異なる複数の色彩が付されており、
前記サーバーは、
前記地盤地図ごとに、当該地盤地図に付される複数の色彩、および当該複数の色彩に対応する前記複数のレベルおよび/または区分を表記した一覧表を、凡例として記憶する凡例記憶手段と、
前記受信した指示データに応じて、前記凡例記憶手段から前記凡例を読み出す凡例読出し手段と、をさらに備え、
前記クライアントは、
凡例表示を指示するための凡例表示指示手段と、
前記凡例を表示する凡例表示手段と、をさらに備え、
前記クライアント側送信手段は、前記凡例表示指示手段による凡例表示の指示があったときに、前記地図表示手段が表示する前記地盤地図の種別を含む前記指示データを、前記サーバーに送信し、
前記サーバーの前記凡例読出し手段は、前記指示データが受信されたときに、当該指示データに含まれる前記地盤地図の種別に対応する前記凡例を読み出し、
前記サーバー側送信手段が、前記読み出された凡例を送信し、前記クライアント側受信手段が、当該送信された凡例を受信し、
前記クライアントの前記凡例表示手段は、前記凡例が受信されたときに、当該受信された凡例を表示することを特徴とする請求項1に記載の地盤情報提供装置。
【請求項3】
前記サーバーは、
前記地盤地図ごとに、当該地盤地図に付される複数の色彩を、対応する前記複数のレベルおよび/または区分に関連付けて記憶するレベル・区分色彩記憶手段と、
前記指示データに含まれる前記種別の地盤地図において、当該指示データに含まれる前記中心座標に対応する位置の色彩を取得する色彩取得手段と、
前記取得した色彩と、前記レベル・区分色彩記憶手段に記憶されている色彩とを比較する色彩比較手段と、
この色彩比較手段による比較結果に応じ、前記地盤地図の前記中心座標に対応する位置における前記レベルまたは区分を判定するレベル・区分判定手段と、をさらに備え、
前記サーバー側送信手段が前記レベル・区分判定手段による判定結果を送信し、前記クライアント側受信手段が当該送信された判定結果を受信し、
前記クライアントは、前記受信した判定結果を表示する判定結果表示手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の地盤情報提供装置。
【請求項4】
前記サーバーは、
前記判定結果に基づき、前記中心座標に対応する位置の地盤に関する評価を行う地盤評価手段を、さらに備え、
前記サーバー側送信手段が前記地盤評価手段による評価結果を送信し、前記クライアント側受信手段が当該送信された評価結果を受信し、
前記クライアントは、前記受信した評価結果を表示する評価結果表示手段を、さらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の地盤情報提供装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−54702(P2010−54702A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218235(P2008−218235)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000210908)中央開発株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000210908)中央開発株式会社 (25)
【Fターム(参考)】
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