説明

地耐力試験装置および地耐力試験方法

【課題】 地盤の沈下量を正確に計測でき、しかも移動時に計測装置部分が障害物等に衝突するような事故を少なくし得る地耐力試験装置および地耐力試験方法を提供すること。
【解決手段】 移動体Dのブームdの端部側に取り付け可能な中間筒体2に、内部から上部に向かって伸縮円柱11を装着し、伸縮円柱11の頭部に、凸部19と凹部20からなる調整冠18を介して、ケーソンの天井スラブBの下面に当接可能に配置するとともに、伸縮円柱11に伸縮操作手段を設け、中間筒体2の下部に下部筒体21を取り付け、この下部筒体21に載荷重用の液圧ジャッキ22を嵌挿し、この液圧ジャッキ22の下部に、地耐力試験位置に設置可能に載荷板26を取り付け、下部筒体21と載荷板26間に、載荷板26の沈下量を計測する測長器27を直接的に取り付けて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーソンの作業室の底部の地盤を掘削し、ケーソンを沈下させた後、ケーソンの支持地盤の地耐力を試験するための地耐力試験装置と、前記地耐力試験装置を使用して行う地耐力試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、地耐力試験装置の従来技術としては、特許第2747896号公報に記載の技術がある。
【0003】
図10は、前掲特許公報に記載の地耐力試験装置の一例を示す一部縦断正面図である。
【0004】
この図10に示す従来の地耐力試験装置41は、支柱パイプ42と、第1の取り付け台44と、圧力センサ47と、載荷重用の油圧ジャッキ50と、載荷台57と、第2の取り付け台58と、計測棒59および測長計61と、作業室内の要所に設けられたカメラ(図示せず)と、地上等に設置された操作室内に配置されたコンピュータおよびモニタ(いずれも図示せず)等を備えて構成されている。
【0005】
前記支柱パイプ42の上端部には、パイプキャンバ43が一体に取り付けられている。
【0006】
第1の取り付け台44は、前記支柱パイプ42の下端部に固定されている。この第1の取り付け台44は、上部フランジ45と、下部フランジ46と、側部ブラケット(図示せず)とを有している。
【0007】
前記圧力センサ47は、前記下部フランジ46の下面に取り付けられている。
【0008】
前記油圧ジャッキ50は、圧力センサ47の下部にフランジ48,49を介して取り付けられている。この油圧ジャッキ50は、ピストン51と、ピストンロッド52とを備えている。また、この油圧ジャッキ50は油圧ホース53,54を介して油圧ユニット(図示せず)に接続されている。
【0009】
前記載荷台57は、スプレッダ55および取り付け板56を介して、前記油圧ジャッキ50のピストンロッド52の下端部に取り付けられている。
【0010】
前記第2の取り付け台58は、前記取り付け板56の上面に、円周方向に等間隔をおいて複数設けられており、それぞれ上方に延びている。
【0011】
前記計測棒59は、円周方向に等間隔をおいて配置され、かつ前記第2の取り付け台58上に設置されている。
【0012】
前記測長計61は、前記計測棒59に対応させて配置され、スタンド60を介して前記第1の取り付け台44の上部フランジ45上に設置されている。各測長計61の測定子62は、当該計測棒59の上面に接触している。
【0013】
前記カメラは、測長計61等の計測器の目盛りまたは諸部材の位置もしくは姿勢を撮影し、そのデータをコンピュータやモニタに送り込むようになっている。
【0014】
前記コンピュータは、前記カメラから送り込まれた測長計61による載荷台57の沈下量の計測データと、そのときの載荷重とを記憶するとともに、載荷重と、沈下量の関係を演算し、これも記憶するようになっている。また、コンピュータは他のカメラから送り込まれる諸部材の位置や姿勢に関するデータを取り込み、当該部材の制御量を演算し、当該制御手段を介して当該部材を制御するようになっている。
【0015】
前記モニタは、諸部材の位置や姿勢、載荷台57の沈下量、載荷重と沈下量の関係等を表示するようになっている。
【0016】
しかして、この地耐力試験装置41を使用するに当たっては、掘削機に掘削バケットに代えて次のように取り付ける。
【0017】
すなわち、地耐力試験装置41の第1の取り付け台44に設けられたブラケット(図示せず)を介して掘削機のジブとバケット操作用ジャッキ(図示せず)とに、地耐力試験装置41を着脱自在に取り付ける。
【0018】
そして、地耐力試験装置41を、油圧ジャッキ50を収縮させた状態で掘削機により試験位置に向かって運び、地盤G上に予め決められた地耐力試験位置G’上に載荷台57を載置し、地耐力試験装置41を略鉛直に立てる。ついで、油圧ジャッキ50を伸長側に作動させ、支柱パイプ42の上端部に取り付けられたパイプキャンバ43をケーソンの天井スラブBの下面に突き当て、地耐力試験装置41を試験可能な状態にセットする。
【0019】
かかる地耐力試験装置41を使用状態にセットするときは、支柱パイプ42に鉛直方向指示器(図示せず)を取り付け、この鉛直方向指示器をカメラで撮影し、このカメラで撮影した画像をコンピュータやモニタに送り込み、画像処理してモニタに表示し、その画像を見ながら地耐力試験装置41を略鉛直に立てるようにしている。
【0020】
続いて、油圧ジャッキ50を伸長させ、天井スラブBに反力を取って載荷台57に荷重を掛け、地盤G上の地耐力試験位置G’に載荷台57を押し込み、このときの載荷台57の沈下量を、計測棒59を介して測長計61により計測する。そして、測長計61の目盛りをカメラで読み取り、その計測データをコンピュータに送り込み、記憶するとともに、モニタに表示する。また、コンピュータでは載荷重(kN/m)と沈下量(m)の関係を演算し、これも記憶する。
【0021】
前述の試験操作を載荷台57の沈下量が15mmに達するか、載荷重が現場で予想される最も大きい接地圧力の大きさ、または降伏点を超えるまで繰り返して行い、その試験結果をコンピュータにより載荷重−沈下量曲線にまとめ、記憶する。そして、コンピュータにより作成された載荷重−沈下量曲線から、ある沈下量の時の載荷重を求め、次の数1を用いて地盤係数Ks(kN/m)を算出する。
【0022】
【数1】

【0023】
また、前掲特許公報には前記支柱パイプ42を、アウタパイプとインナパイプとを組み合わせて二重パイプにより構成し、これらのパイプの内部に、パイプ長さ調節用の油圧ジャッキを装備した地耐力試験装置も記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
ところで、前掲特許公報に記載の地耐力試験装置41は、次のような改善すべき課題があった。
【0025】
(1)支柱パイプ42とパイプキャンバ43が一体化しているため、天井スラブBが傾斜している場合、地耐力試験装置41を略鉛直に設置することが困難であり、正確な計測結果を得ることができない。
(2)計測値は、沈下量と地耐力試験装置41の歪量が確認されていないので、歪量の補正ができず、計測値が不正確である。
(3)支柱パイプ42をアウタパイプとインナパイプとによる二重構造とし、油圧ジャッキにより伸縮させる型式のものでは、支柱パイプ42を伸縮操作する油圧ジャッキに与える油圧や油量の変動により、支柱パイプ42が伸縮する可能性があり、計測値の誤差が大きくなる可能性がある。
(4)地耐力試験装置41の鉛直度を確認する際、鉛直方向指示器をカメラで映した画像を見ながら行うようにしているため、デジタル表示により鉛直度を確認できない。
(5)載荷台57に取り付けられた第2の取り付け台58上に計測棒59を設置し、この計測棒59に測長計61を取り付け、載荷台57の沈下量を計測するようにしているため、計測装置部分が大きくなり、地耐力試験装置41の移動時に、前記計測装置部分が障害物等に衝突し、破損する危険性が大きい。
(6)ケーソンの掘削機に地耐力試験装置41を装着および撤去する場合、高気圧作業となり、作業環境が劣悪であった。
(7)前述のごとく、高気圧作業が発生するため、特に大深度では作業時間が大幅に制限され、工期が長くなり、コスト高になる。
(8)従来では、圧力センサ47に油圧ジャッキ50や載荷台57を固定接続しているために、圧力センサ47を傷め、計測精度に支障をきたしていた。特に、セット時に傾斜した状態で移動する場合、圧力センサ47に油圧ジャッキ50などの荷重が作用し、曲げモーメントや偏荷重が加わるため、圧力センサ47を損傷する恐れがある。
【0026】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、地盤の沈下量を正確に計測でき、しかも移動時に計測装置部分が障害物等に衝突するような事故を少なくなし得る地耐力試験装置を提供することにある。
【0027】
また、本発明の他の目的は地盤の沈下量をより一層正確に計測し得る地耐力試験装置を提供することにある。
【0028】
また、本発明の他の目的は鉛直方向に、より一層正確かつ迅速に設置し得る地耐力試験装置を提供することにある。
【0029】
さらに、本発明の他の目的は地盤の沈下量をより一層正確にかつ容易に計測し得る地耐力試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、請求項1の発明は、移動体Dに着脱自在な中間筒体2を設け、前記中間筒体2に伸縮自在な伸縮柱11を設け、前記伸縮柱11の頭部に、回転可能に天井スラブBを押圧する当接具を設け、前記中間筒体2の下部に下部筒体21を取り付け、前記下部筒体21内に載荷重用ジャッキ22を嵌挿し、前記載荷重用ジャッキ22の下部に、載荷板26を取り付け、前記下部筒体21に前記載荷板26の沈下量を計測する測長器27を取り付けたことを特徴とする地耐力試験装置である。
【0031】
請求項2の発明は、請求項1に記載の地耐力試験装置において、前記下部筒体21の上部に反力部21aを設け、前記載荷重用ジャッキ22と前記反力部21aとの間に圧力センサ25を設けたことを特徴とする。
【0032】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の地耐力試験装置において、前記伸縮柱11の伸縮操作手段を、前記中間筒体2に取り付けられた上部外筒10に形成された雌ねじ12と、前記伸縮柱11に設けられかつ前記雌ねじ12に螺合された雄ねじ13と、前記伸縮柱11を正逆回転操作する駆動モータ15とを備えて構成したことを特徴とする。
【0033】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の地耐力試験装置において、前記中間筒体2に傾斜計29を取り付け、この傾斜計29をデジタル傾斜表示装置35に接続するとともに、このデジタル傾斜表示装置35を通じて地耐力試験装置全体の傾斜を矯正可能に構成したことを特徴とする。
【0034】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の地耐力試験装置において、前記当接具は、前記伸縮柱11の頭部に、凸部19と凹部20からなる調整冠18を、前記天井スラブBの下面に当接可能に配置する構造であることを特徴とする。
【0035】
請求項6の発明は、移動体Dを用いて、遠隔操作で地耐力試験を行う地耐力試験方法であって、ケーソン作業室Aの地耐力試験位置G’をバケットで整地し、前記整地位置に前記バケットで砂を敷き均し、前記移動体Dを下部ロックEに移動し、前記下部ロックE内圧力を大気圧に調整し、前記移動体Dに地耐力試験装置を取り付け、前記下部ロックE内圧力を前記ケーソン作業室A内圧力とほぼ同圧に調整し、前記移動体Dを前記地耐力試験位置G’に移動し、前記地耐力試験装置を前記地耐力試験位置G’と天井スラブB間に略鉛直に設置し、載荷重用ジャッキにより地盤Gに荷重を加えることにより、地盤Gの地耐力を測定することを特徴とする地耐力試験方法である。
【0036】
請求項7の発明は、請求項6に記載の地耐力試験方法において、前記地耐力試験装置として、請求項1〜5のいずれかに記載の地耐力試験装置1を用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明の請求項1に記載の発明では、移動体Dに着脱自在な中間筒体2を設け、中間筒体2に伸縮自在な伸縮柱11を設け、伸縮柱11の頭部に、回転可能に天井スラブBを押圧する当接具を設け、また、請求項5では、当接具は、伸縮柱11の頭部に、凸部19と凹部20からなる調整冠18を、天井スラブBの下面に当接可能に取り付ける構造であるので、天井スラブBの下面が多少傾斜していたり、凹凸面になっていた場合であっても、これらの不具合を当接具により吸収できるため、地耐力試験装置全体を略鉛直に設置でき、したがって地耐力試験装置が傾斜状に設置されることによる計測誤差が発生せず、地盤Gの沈下量を正確に計測し得る効果がある。
【0038】
請求項1に記載の発明では、中間筒体2の下部に下部筒体21を取り付け、下部筒体21内に載荷重用ジャッキ22を嵌挿し、載荷重用ジャッキ22の下部に、載荷板26を取り付け、下部筒体21に載荷板26の沈下量を計測する測長器27を取り付けているので、この測長器27を含む計測装置部分をコンパクトにまとめることができ、したがって移動時に計測装置部分が障害物等に衝突するような事故を少なくなし得る効果もある。また、測長器27を下部筒体21の外側に取り付け、載荷板26に計測針28を直接当接して計測するために、地盤が傾斜しても測長器27の計測針が載荷板26から外れることがなく、確実な計測を行うことができる。
【0039】
本発明の請求項2に記載の発明では、下部筒体21の上部に反力部21aを設け、載荷重用ジャッキ22と反力部21aとの間に圧力センサ25を設けた。これにより、下部筒体21内に載荷重用ジャッキ22と圧力センサ25とを保持したため、両者の位置ずれが無く、載荷重用ジャッキ22の荷重は下部筒体21により保持でき、かつ、載荷重用ジャッキ22の荷重を圧力センサ25に伝えることができ、計測精度が向上し、圧力センサ25の破損を防止することができる。
【0040】
また、本発明の請求項3に記載の発明では、伸縮柱11の伸縮操作手段を、中間筒体2に取り付けられた上部筒体10に形成された雌ねじ12と、伸縮柱11に設けられた雄ねじ13とを螺合させ、かつ伸縮柱11を正逆回転操作する駆動モータ15を備えて構成しているので、支柱パイプを油圧ジャッキにより伸縮させる型式の従来技術では回避できなかった油圧や油量の変動による支柱パイプの伸縮によって生ずる計測値の誤差を解消でき、したがって地盤Gの沈下量をより一層正確に計測し得る効果がある。
【0041】
また、本発明の請求項4に記載の発明では、中間筒体2に傾斜計29を取り付け、この傾斜計29をデジタル傾斜表示装置35に接続し、このデジタル傾斜表示装置35を監視しながら地耐力試験装置全体の傾斜を矯正するようにしているので、デジタル表示により鉛直度を確認でき、地耐力試験装置全体を鉛直方向に、より一層正確にかつ迅速に設置し得る効果がある。
【0042】
また、本発明の請求項6に記載の発明は、移動体Dを用いて、遠隔操作で地耐力試験を行う地耐力試験方法であって、ケーソン作業室Aの地耐力試験位置G’をバケットで整地し、整地位置にバケットで砂を敷き均し、移動体Dを下部ロックEに移動し、下部ロックE内圧力を大気圧に調整し、移動体Dに地耐力試験装置を取り付け、下部ロックE内圧力をケーソン作業室A内圧力とほぼ同圧に調整し、移動体Dを地耐力試験位置G’に移動し、地耐力試験装置を地耐力試験位置G’と天井スラブB間に略鉛直に設置し、載荷重用ジャッキ22により地盤Gに荷重を加えるようにしている。したがって、この請求項6に記載の発明によれば、移動体Dに対して地耐力試験装置1を装着および撤去する際の、高気圧下での作業を回避できるので、作業員を高気圧下での苦渋作業から解放し得る効果を有する外、大深度での作業であっても、作業時間に制限を受けないので、工期を短縮し得る。
【0043】
さらに、本発明の請求項7に記載の発明は、地耐力試験装置として、請求項1〜5のいずれかに記載の地耐力試験装置1を用いたので、各請求項1〜5に記載した発明が達成することができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0045】
図1は本発明地耐力試験装置の一実施例を示す縦断側面図、図2は図1のII−II線切断拡大断面図である。
【0046】
これら図1および図2に示す実施例の地耐力試験装置1は、中間筒体2と、移動体Dに地耐力試験装置1を装着するためのブラケット7と、上部外筒10と、伸縮円柱11と、調整冠18と、伸縮円柱11と調整冠18の接合構造と、伸縮円柱用の伸縮操作手段と、下部筒体21と、載荷重用の液圧ジャッキ22と、圧力センサ25と、載荷板26と、測長器27と、傾斜計29等を備えている。さらに、この地耐力試験装置1は、液圧ユニット30と、操縦室33と、この操縦室33内に設置されたコンピュータ34およびデジタル傾斜表示装置35とを備えている。
【0047】
移動体Dは、ケーソンの掘削機のブーム先端部に取り付けられたバケットをブラケットに交換するなどし、掘削機の一部を改良してなるものである。
【0048】
前記中間筒体2には、上下方向に長いスリット3が形成されている。また、中間筒体2の内部には、上下方向に長い案内部材4が設けられている。また、中間筒体2には上板5が取り付けられている。さらに、中間筒体2の外周には円周方向に所要の間隔をおいて複数の補強板6が取り付けられている。
【0049】
前記ブラケット7は、中間筒体2の一側部に設けられている。このブラケット7は、図1に示すように、取り付けピン8を介して移動体Dのブームdの端部に取り付けられ、他の取り付けピン9を介して同移動体Dの起伏シリンダe1に嵌挿されたピストンロッドeの端部に取り付けられており、この取り付け構造を介して、地耐力試験装置1が移動体Dに着脱自在に装着されている。
【0050】
前記上部外筒10は、中間筒体2の上板5上に一体に取り付けられている。この上部外筒10の内部には、雌ねじ12が形成されている。
【0051】
前記伸縮円柱11は、中間筒体2の内部から上部外筒10の内部を経て上部に向かって装着されている。この伸縮円柱11の外周には、前記雌ねじ12に螺合する雄ねじ13が設けられている。
【0052】
前記中間筒体2の内部には、モータ取り付け台14を介して伸縮円柱用の駆動モータ15が設置されている。前記モータ取り付け台14は、中間筒体2の内部において、上下方向に長く設けられた前記案内部材4に沿って、上下方向に平行に移動可能に配置されている。前記駆動モータ15の回転軸16には、伸縮円柱11が回転軸16と一体となって回転し得るように連結されている。また、駆動モータ15は液圧配管17a,17bを介して液圧ユニット30に接続されていて、正逆回転し得るようになっている。
【0053】
前記上部外筒10に形成された雌ねじ12と、伸縮円柱11に設けられた雄ねじ13と、案内部材4に沿ってモータ取り付け台14を上下方向に移動させる手段と、正逆回転する駆動モータ15とにより、伸縮円柱11を上下方向に伸縮させる伸縮操作手段を構成している。
【0054】
前記調整冠18は、伸縮円柱11と分離している。また、調整冠18は伸縮円柱11から落下しないように、ワイヤやチェーン(いずれも図示せず)により取り付けられている。
【0055】
前記伸縮円柱11の上端部には、凸円弧の凸部19が設けられている。一方、前記調整冠18の下面には、凹円弧の凹部20が形成されている。これら凸部19と凹部20とは、伸縮円柱11と調整冠18の接合構造を構成している。そして、この接合構造は地耐力試験装置1を立てる際、調整冠18を天井スラブBの下面に当接させたとき、凸部19と凹部20は互いに接合し、天井スラブBの下面の傾斜や凹凸を吸収し、地耐力試験装置1を略鉛直に設置できるようにしている。なお、伸縮円柱11の上端部に凹部20を形成し、調整冠18の下面に凸部19を設けても良い。
【0056】
前記下部筒体21は、中間筒体2の下部に一体に取り付けられている。この下部筒体21は、載荷用の液圧ジャッキ22のシリンダを保持している。
【0057】
この液圧ジャッキ22の下端部には、載荷用のロッド23が突設されている。また、この液圧ジャッキ22は液圧配管24a,24bを介して液圧ユニット30に接続され、摺動操作される。
【0058】
前記圧力センサ25は、下部筒体21内において、ジャッキヘッド室側に設置されている。つまり、圧力センサ25は下部筒体21の底面である反力部21aと液圧ジャッキ22と間に設けられている。この圧力センサ25は、液圧ジャッキ22の載荷重を検出し、電気信号に変えてコンピュータ34に送り込むようになっている。
【0059】
前記載荷板26は、下部筒体21の下板21’にワイヤまたはチェーン(いずれも図示せず)により吊り下げられている。そして、この載荷板26は地耐力試験時に、ロッド23を介して液圧ジャッキ22により荷重を付与され、地盤G上の地耐力試験位置G’に押し込まれる。なお、載荷板26と液圧ジャッキ22との取り付け方法は、本実施例のような固定式、または、チェーンやピンのような可動式のどちらでもかまわない。測定地盤が平坦な場合は固定式でもよいが、傾斜した地盤や凹凸地盤では可動式が好ましい。
【0060】
前記測長器27は、円周方向に複数箇配置されており、それぞれ下部筒体21の外周に磁石等で固定されている。また、各測長器27には下方に向かって計測針28が設けられている。各計測針28は、地耐力試験時に載荷板26の上面に直接接して載荷板26の沈下量を計測し、その計測値を電気信号に変えてコンピュータ34に送り込む。なお、この測長器27にマイクロメータを用いたときは、そのマイクロメータの目盛りを函内カメラで読み取り、その読み取り値をコンピュータ34に送る。
【0061】
前記傾斜計29は、中間筒体2の上板5の上面に設置されている。この傾斜計29は、地盤G上の地耐力試験位置G’と天井スラブBの下面間に地耐力試験装置1を立てる際、地耐力試験装置1の傾斜状況を計測し、その計測値を電気信号に変えてデジタル傾斜表示装置35に送り込むようになっている。
【0062】
前記液圧ユニット30は、通常移動体Dの後部側に搭載されている。そして、この液圧ユニット30には地耐力試験装置1との関係では、伸縮円柱用の駆動モータ15と、載荷用の液圧ジャッキ22とが接続されている。前記駆動モータ15は、液圧ホース17a,17bと方向切り換え弁31を介して前記液圧ユニット30に接続されている。前記液圧ジャッキ22は、液圧配管24a,24bと方向切り換え弁32を介して同液圧ユニット30に接続されている。
【0063】
前記操縦室33は、地上または/および上スラブ上に設置されている。
【0064】
前記コンピュータ34は、操縦室33内に設置されている。そして、このコンピュータ34は地耐力試験装置1との関係では、少なくとも圧力センサ25から載荷重の検出値を取り込んで記憶し、測長器27から地耐力試験位置G’における載荷板26の沈下量の計測値を取り込んで記憶するとともに、地盤Gの地耐力を算出するようになっている。
【0065】
前記デジタル傾斜表示装置35は、傾斜計29から地耐力試験装置1の傾斜方向と傾斜角度とを取り込み、デジタル表示するようになっている。
【0066】
次に、この実施例における地耐力試験装置1の移動体Dへの装着および撤去方法と、この地耐力試験装置1を用いて行う地耐力試験方法とを説明する。
【0067】
図3は地耐力試験装置の移動体Dへの装着および撤去方法と、この地耐力試験装置を用いて行う地耐力試験方法のフローチャート、図4は地耐力試験装置の装着作業の説明図、図5は地耐力試験状態の説明図、図6は本発明の一実施例にかかる地耐力試験装置による地耐力試験を詳細に示した図、図7(a)は本発明地耐力試験方法の試験前の状態の説明図、図7(b)は地耐力試験において地盤の沈下量と他の値との関係を示す説明図である。
【0068】
まず、図3に示す実施例では、地耐力試験の実行に先立ち、準備段階100において、実際に使用する地耐力試験装置1の荷重に対する固有の歪量hを予め計測して置く。この地耐力試験装置1の歪量hは、実際に地耐力試験を行うときの荷重を地耐力試験装置1に加え、そのときの歪量hを計測して求める。
【0069】
そして、プロセス101で地耐力試験位置G’に床付け地盤を造成する。この床付け地盤を造成するには、移動体Dでケーソンの作業室Aの底部地盤を掘削し、ケーソンを所定の深さに沈下させた後、同移動体Dにより地耐力試験位置G’を少し掘り下げる。移動体Dを下部ロックE内に回収し、あらかじめ下部ロックE内に貯蔵しておいた砂をバケットに積み込み、移動体Dを地耐力試験位置G’まで移動し、運搬した砂を地耐力試験位置G’に敷き詰め、整地、転圧する。敷き均す砂は、土砂バケット(地盤掘削土の排土用)等を使用し、地上からマテリアルロックまたはマンロックを経由して作業室に運搬しても良い。
【0070】
次に、プロセス102で移動体Dを下部ロックE内に回収する。下部ロックE内に移動体Dを回収するときは、下部ロックEの下部に設けられたスライドハッチFを開け、このスライドハッチFを通じて移動体Dを引き上げる。ついで、スライドハッチFを閉じる。これらスライドハッチFの開閉および移動体Dの引き上げ作業を、全て遠隔操作により行う。
【0071】
前述のごとく、下部ロックEの下部に設けられたスライドハッチFを閉じ、下部ロックE内を密閉した後、プロセス103で下部ロックE内を大気圧まで減圧する。
【0072】
下部ロックE内を大気圧まで減圧した後、プロセス104で下部ロックE内に作業員が入り、移動体Dの掘削バケットを取り外し、代わりに地耐力試験装置1を装着する。このプロセス104では、移動体Dから掘削バケットを取り外し、地耐力試験装置1を装着する交換作業を大気圧下の下部ロックE内で行うようにしているので、作業員を高気圧下での苦渋作業から解放することができるし、作業時間の制限を受けないので、掘削バケットから地耐力試験装置1への交換作業を能率良く行うことができる。
【0073】
移動体Dに地耐力試験装置1を装着した後、プロセス105で下部ロックEから作業員が大気圧室Mに退室する。次ぎに、圧気扉Nを閉め、下部ロックE内をほぼ作業室A内の気圧まで増圧する。
【0074】
下部ロックE内を増圧した後、プロセス106で、下部ロックEの下部に設けられたスライドハッチFを開け、作業室A内に移動体Dと一緒に地耐力試験装置1を移動し、移動体Dを天井スラブBの下面に敷設された走行レールCに引き渡し、ついでスライドハッチFを閉じる。かかる移動体Dおよび地耐力試験装置1の作業室Aへの移動時には、伸縮円柱11および液圧ジャッキ22のロッド23を収縮させた状態で行う。また、このプロセス106における移動体Dと地耐力試験装置1の作業室Aへの移動、移動体Dの走行レールIへの引き渡しおよびスライドハッチFの開閉を全て遠隔操作により行う。
【0075】
次に、プロセス107では移動体Dにより地耐力試験装置1を地耐力試験位置G’上に移動させる。ついで、載荷板26を下方に向けて地耐力試験装置1を立てる。そして、液圧ユニット30から駆動モータ15の液圧ホース17aを通じて駆動モータ15に液圧を送り、駆動モータ15を順方向に回転させ、雌ねじ12と雄ねじ13のねじ作用により伸縮円柱11を伸長させ、調整冠18を天井スラブBの下面に当接させる。このとき、傾斜計29により地耐力試験装置1の傾斜方向と傾斜角度を計測し、その計測値をデジタル傾斜表示装置35に送り、デジタル表示する。そして、操縦室33内で、作業員がデジタル傾斜表示装置35に表示された傾斜方向と傾斜角度を確認し、移動体Dのブームdを操作し、地耐力試験位置G’と天井スラブB間に地耐力試験装置1を設置する。前述のごとく、この地耐力試験装置1では、傾斜計29により地耐力試験装置1の傾斜方向と傾斜角度を計測し、その計測値をデジタル傾斜表示装置35に送り、このデジタル傾斜表示装置35に前記傾斜方向と傾斜角度とをデジタル表示するようにしているので、作業者はそのデータを見ながら地耐力試験装置1を略鉛直に容易に立設することができる。また、この地耐力試験装置1では、伸縮円柱11の上端部と調整冠18の下面とを、凸部19と凹部20を介して接合しているので、かかる凸部19と凹部20とによる接合構造により、天井スラブBの傾斜や凹凸を吸収し、図5に示すように、地耐力試験装置1を略鉛直に、容易に設置することができる。
【0076】
そして、このプロセス107における駆動モータ15の制御、地耐力試験装置1を略鉛直に矯正するための移動体Dのブームdの制御共、遠隔操作により行う。
【0077】
続いて、プロセス108では地盤G上の地耐力試験位置G’と天井スラブBの下面間に略鉛直に設置された地耐力試験装置1を用いて地耐力試験を行う。かかる地耐力試験を行うには、地耐力試験位置G’に接地している載荷板26上に測長器27の計測針28の下端部を接触させて、載荷板26の沈下量計測の初期値を0にセットする。ついで、図6および図7(a)に示す状態から、液圧ユニット30により液圧配管24aを通じて下部筒体21内のジャッキヘッド室側に液圧を供給し、液圧ジャッキ22を押し下げ、ロッド23を介して載荷板26に荷重を掛け、地耐力試験位置G’に載荷板26を押し込み、沈下させる。そして、1回目の地耐力試験において、下部筒体21内に設置された圧力センサ25により載荷重を検出しつつ、載荷板26に予め決められた荷重を掛け、図7(b)に示すように、測長器27により載荷板26の沈下量を計測し、測長器27にマイクロメータを用いた場合は、そのマイクロメータの計測値としての目盛りを函内カメラで読み取り、その読み取り値をコンピュータ34に送る。
【0078】
ところで、図7(b)の地耐力試験状態を示す各値の関係から明らかなように、地盤の沈下量hは次の数2で与えられる。
[数2]
h=(h−h)−h
この数2の各値は次の通りである。
:初期値
:測長器の計測値(=h+h
:予め得ている本装置の荷重に対する歪量
【0079】
ここで、この実施例では前述のごとく、初期値hを0にセットしている。また、地耐力試験装置1の歪量hは、準備段階100で予め計測しているので、既値である。したがって、コンピュータ34は測長器27による載荷板26の沈下量の計測値hから、地盤Gの沈下量hを算出する。これにより、真の地盤Gの沈下量hを容易にかつ正確に求めることができる。
【0080】
さらに、このプロセス108では載荷板26に掛ける荷重を段階的に増して行き、そのときの載荷板26の沈下量を計測し、従来技術と同様、地盤Gの沈下量hが15mmに達するか、載荷重が現場で予想される最も大きい接地圧力の大きさ、または降伏点を超えるまで繰り返して行い、その試験結果をコンピュータ34で載荷重‐沈下量曲線にまとめ、記憶する。そして、コンピュータ34で作成した前記載荷重‐沈下量曲線から、ある沈下量のときの載荷重を求め、前記数1を用いて地盤係数Ks(kN/m)を算出する。
【0081】
所期の地耐力試験を終了したときは、プロセス109で移動体Dと地耐力試験装置1とを下部ロックEに回収し、移動体Dのブームdに地耐力試験装置1に代えて掘削バケットを装着し、全作業を終了する。このプロセス109で、移動体Dと地耐力試験装置1とを下部ロックEに回収するときは、液圧ユニット30からリターン側の液圧配管24bを通じて下部筒体21のロッド側室に液圧を送り、液圧ジャッキ22のロッド23を収縮させる。また、同液圧ユニット30からリターン側の液圧ホース17bを通じて駆動モータ15に液圧を供給し、駆動モータ15を逆方向に回転させ、雌ねじ12と雄ねじ13のねじ作用により伸縮円柱11を縮小させる。ついで、地耐力試験装置1を地耐力試験位置G’と天井スラブB間から外し、その地耐力試験装置1を少し傾けながら、移動体Dにより下部ロックEの下方に運ぶ。そして、スライドハッチFを開け、下部ロックE内に移動体Dと地耐力試験装置1とを一緒に引き上げ、回収する。ついで、スライドハッチFを閉じ、下部ロックE内を大気圧に減圧する。その後、下部ロックE内に作業員が入り、移動体Dとブームdと起伏シリンダのロッドeから地耐力試験装置1を取り外し、代わりに掘削バケットを装着する。ついで、下部ロックEから作業員が退去する。
【0082】
続いて、作業室Aの底部の地盤Gを掘削するときは、下部ロックE内を作業室A内の気圧まで増圧した後、スライドハッチFを開け、下部ロックEから作業室Aに移動体Dを送り出し、その移動体Dを走行レールCに懸架し、この走行レールCに沿って移動体Dを走行させ、掘削バケットにより地盤Gを掘削する。
【0083】
しかして、この実施例では下部筒体21に測長器27を直接的に、つまり従来技術のごとく色々な部材を介することなく取り付けているので、この測長器27を含む計測装置部分をコンパクトにまとめることができる。したがって、移動体Dと地耐力試験装置1とを一緒に下部ロックEから作業室Aに投下するとき、または作業室A内を運ぶとき、あるいは作業室Aから下部ロックE内に回収するとき等の移動時に際して、計測装置部分が障害物等に衝突するような事故を少なくすることができる。
【0084】
また、従来では、圧力センサにジャッキや載荷板を固定接続しているために、圧力センサを傷め、計測精度に支障をきたし、圧力センサを損傷する恐れがある。これに対して、本発明では、載荷重用ジャッキ22を下部筒体21に嵌挿固定し、圧力センサ25を載荷重用ジャッキ22と反力部21aとの間に当接している。このために、載荷重用ジャッキ22などの荷重は下部筒体21により保持されるので、圧力センサ25には、従来のような曲げモーメントや偏荷重が加わらず、圧力センサ25を破損する恐れがなく、精度の高い計測が可能となる。
【0085】
また、本発明では、測長器27を下部筒体21の外側に固定し、載荷板26に計測針28を直接当接して計測するために、温度変化の影響を受けることがなく、高精度の計測を可能にする。また、載荷板26に計測針28を直接当接して計測するために、地盤が傾斜しても計測針28は載荷板26から外れることがなく、確実な計測を行うことができる。
【実施例2】
【0086】
本実施例は載荷板26を取り付けるための具体例を示すものであり、取り付けの様子を図8に示す。なお、この実施例では、先に説明した実施例1と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。本実施例は、下部筒体21に対して載荷板26を揺動可能にする構造である。このために、本実施例ではガイド部70が設けられている。ガイド部70は、ガイド棒71と支持金具72とチェーン75とを備えている。
【0087】
本実施例では、ガイド部70のガイド棒71が載荷板26の上面に溶接等で固定されている。ガイド棒71は2個以上設けられている。一方、ガイド棒71に対応して支持金具72が下部筒体21に固定されている。支持金具72にはガイド棒71を通すための貫通穴72aが開けられている。貫通穴72aの直径はガイド棒71が嵌通可能な大きさであり、ガイド棒71が通された貫通穴72aには隙間がある。このために、支持地盤が傾斜して載荷板26が傾いても、下部筒体21が載荷板26に対して揺動可能な構造になっている。
【0088】
載荷板26はチェーン75等により下部筒体21に吊り下げられ、地耐力試験装置の移動時に載荷板26が落下しないようになっている。地耐力試験時は、液圧ジャッキ22のロッド23がガイド棒71に沿うように載荷板26を押圧する。
【実施例3】
【0089】
本実施例は載荷板26を取り付けるための他の具体例を示すものであり、取り付けの様子を図9に示す。なお、この実施例では、先に説明した実施例1、2と同一もしくは同一と見なされる構成要素には、それと同じ参照符号を付けて、その説明を省略する。本実施例は、実施例2と同様に、下部筒体21に対して載荷板26を揺動可能にする構造である。このために、本実施例では取付部80が設けられている。取付部80は、ロッドカバー81とブラケット82とボルト83とを備えている。
【0090】
本実施例では、ロッド23の外周に雄ねじ23aが設けられ、雄ねじ23aと螺接する雌ねじ81aがロッドカバー81の内周に設けられている。そして、雄ねじ23aと雌ねじ81aとにより、ロッドカバー81が液圧ジャッキ22のロッド23に螺合されている。
【0091】
ブラケット82は溶接等により載荷板26に固定され、ブラケット82には複数のボルト穴82aが開けられている。一方、ボルト穴82aと向かい合うように、ロッドカバー81には雌ねじ81bが設けられている。ブラケット82のボルト穴82aと、ロッドカバー81の雌ねじ81bと、ボルト83とにより、載荷板26は、ブラケット82のボルト穴82aを介してボルト83により、揺動可能にロッド23に係止されている。ブラケット82のボルト穴82aの外径は、ボルト83が嵌通可能な大きさであり、ボルト83が通されたボルト穴82aには隙間がある。このために、支持地盤が傾斜して載荷板26が傾いても、液圧ジャッキ22が取り付けられている下部筒体21が、載荷板26に対して揺動可能な構造になっている。
【0092】
なお、本実施例では、ロッドカバー81にはボルト83と取り付けるための雌ねじ81aが2箇所設けられている。また、地耐力試験前のロッドカバー81と載荷板26とは、ブラケット82のボルト穴82aに生じる前記の隙間により、接している場合もあるし、また、離れている場合もある。地耐力試験時は、液圧ジャッキ22のロッド23が載荷板26を押圧する。
【0093】
以上各実施例について説明した。前記の各実施例では、移動体Dがケーソン掘削機であったが、移動体としては他にケーソン刃口を突き崩すブレーカ等の建設機械を含む。また、前記の各実施例では、記載荷重用ジャッキが油圧ジャッキ22であったが、載荷重用ジャッキとしては他に空圧、電動、またはネジ式のジャーナルジャッキを含む。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明地耐力試験装置の一実施例を示す縦断側面図である。
【図2】図1のII−II線切断拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施例における地耐力試験装置の移動体への装着および撤去方法と、この地耐力試験装置を用いて行う地耐力試験方法のフローチャートである。
【図4】本発明の地耐力試験装置の装着作業の説明図である。
【図5】同地耐力試験装置による地耐力試験状態の説明図である。
【図6】同地耐力試験装置による地耐力試験の詳細を示す図である。
【図7】図7(a)は本発明にかかる地耐力試験方法の試験前の状態の説明図、図7(b)は地耐力試験において地盤の沈下量と他の値との関係を示す説明図である。
【図8】載荷板の取り付けを説明するための説明図である。
【図9】載荷板の取り付けを説明するための説明図である。
【図10】従来の地耐力試験装置の一例を示す一部縦断正面図である。
【符号の説明】
【0095】
1 地耐力試験装置
2 中間筒体
7 移動体のブームに地耐力試験装置を取り付けるブラケット
10 上部外筒
11 伸縮円柱
12 雌ねじ
13 雄ねじ
15 駆動モータ
16 回転軸
17a,17b 液圧ホース
18 調整冠
19 凸部
20 凹部
21 下部筒体
21a 反力部
22 液圧ジャッキ
23 液圧ジャッキに設けられたロッド
23a 雄ねじ
24a,24b 液圧配管
25 圧力センサ
26 載荷板
27 測長器
28 計測針
29 傾斜計
30 液圧ユニット
33 操縦室
34 コンピュータ
35 デジタル傾斜表示装置
70 ガイド部
71 ガイド棒
72 支持金具
72a 貫通穴
75 チェーン
80 取付部
81 ロッドカバー
81a、81b 雌ねじ
82 ブラケット
82a ボルト穴
83 ボルト
A 作業室
B 天井スラブ
D 移動体
d 移動体のブーム
E 下部ロック
G 作業室の底部の地盤
G’ 地耐力試験位置
M 大気圧室
N 圧気扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体(D)に着脱自在な中間筒体(2)を設け、
前記中間筒体(2)に伸縮自在な伸縮柱(11)を設け、
前記伸縮柱(11)の頭部に、回転可能に天井スラブ(B)を押圧する当接具を設け、
前記中間筒体(2)の下部に下部筒体(21)を取り付け、
前記下部筒体(21)内に載荷重用ジャッキ(22)を嵌挿し、
前記載荷重用ジャッキ(22)の下部に、載荷板(26)を取り付け、
前記下部筒体(21)に前記載荷板(26)の沈下量を計測する測長器(27)を取り付けたことを特徴とする地耐力試験装置。
【請求項2】
前記下部筒体(21)の上部に反力部(21a)を設け、前記載荷重用ジャッキ(22)と前記反力部(21a)との間に圧力センサ(25)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の地耐力試験装置。
【請求項3】
前記伸縮柱(11)の伸縮操作手段を、前記中間筒体(2)に取り付けられた上部外筒(10)に形成された雌ねじ(12)と、前記伸縮柱(11)に設けられかつ前記雌ねじ(12)に螺合された雄ねじ(13)と、前記伸縮柱(11)を正逆回転操作する駆動モータ(15)とを備えて構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の地耐力試験装置。
【請求項4】
前記中間筒体(2)に傾斜計(29)を取り付け、この傾斜計(29)をデジタル傾斜表示装置(35)に接続するとともに、このデジタル傾斜表示装置(35)を通じて地耐力試験装置全体の傾斜を矯正可能に構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の地耐力試験装置。
【請求項5】
前記当接具は、前記伸縮柱(11)の頭部に、凸部(19)と凹部(20)からなる調整冠(18)を、前記天井スラブ(B)の下面に当接可能に配置する構造であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の地耐力試験装置。
【請求項6】
移動体(D)を用いて、遠隔操作で地耐力試験を行う地耐力試験方法であって、
ケーソン作業室(A)の地耐力試験位置(G’)をバケットで整地し、
前記整地位置に前記バケットで砂を敷き均し、
前記移動体(D)を下部ロック(E)に移動し、
前記下部ロック(E)内圧力を大気圧に調整し、
前記移動体(D)に地耐力試験装置を取り付け、
前記下部ロック(E)内圧力を前記ケーソン作業室(A)内圧力とほぼ同圧に調整し、
前記移動体(D)を前記地耐力試験位置(G’)に移動し、
前記地耐力試験装置を前記地耐力試験位置(G’)と天井スラブ(B)間に略鉛直に設置し、
載荷重用ジャッキにより地盤(G)に荷重を加えることにより、地盤(G)の地耐力を測定することを特徴とする地耐力試験方法。
【請求項7】
前記地耐力試験装置として、請求項1〜5のいずれかに記載の地耐力試験装置(1)を用いたことを特徴とする請求項6に記載の地耐力試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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