説明

地質構造評価方法及び装置

【課題】不陸を有する層理構造が圧密沈下に起因するものであるか否かを簡便に判定することを提供する。
【解決手段】地質構造評価方法1は、境界面高低差hと層理面高低差hとを夫々計算するステップS1と、ステップS1を所定の回数繰り返して、境界面高低差hと層理面高低差hとのデータ16を収集するステップS2と、データ16に基づいて、境界面高低差hと、境界面高低差hから層理面高低差hを差引いた差との相関係数とその相関関係の傾きを求めるステップS3と、堆積層7の地質年代から層厚変化率を求めるステップS4と、ステップS3で求めた相関係数が所定値以上であり、かつ、その相関関係の傾きと層厚変化率とが同等であるか否かに基づいて、不陸層理構造が圧密沈下によるものか否かを判定するステップS5とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地質構造評価方法及び装置に係り、特に、不陸を有する堆積層の層理構造が圧密沈下によるものか否かを判定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、発電所施設などのように、規模が大きく、かつ機能を失うと社会に及ぼす影響が大きい構造物を構築する際には、地震に備え、その立地予定地が地震頻度の少ない適切な場所であるか、また万が一、地震が発生した場合にどのくらいの規模のものであるか、或いは、発生しうる地震に対してどの程度まで耐震設計を施すべきかなどを事前に把握しておくために、立地予定地周辺の活断層調査を行う場合がある。
【0003】
かかる活断層調査では、物理探査、ボーリング又はトレンチ調査などの地下の構造を把握するための地下構造調査を行う場合があり、例えば、非特許文献1には、上記の調査方法が具体的な調査例とともに解説されている。
【0004】
そして、これらの調査結果に基づいて求められた地質構造断面から、層理の切断形状を示す断層変位を検出し、その断層変位の累積性から地震の時期、頻度及び規模などを判読することで、将来また地震を引き起こす可能性のある活断層であるか否かを判断している。
【非特許文献1】池田他「活断層とは何か」東京大学出版会(1996)、p72−p109
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、過去に地震が生じたことを示唆する地質構造には、上述したような断層変位以外に撓曲といわれるものがある。図7は、撓曲を有する堆積層及びその周辺地質の地質構造を示す模式断面図である。
【0006】
図7に示すように、撓曲は、深部の基盤岩に存在する断層がその上位に沖積層などのような未固結の堆積層から厚く覆われている場合に、地震によってその断層に生じた変位が、地表に到達する前に堆積層で拡散してしまい、堆積層の層理形状が緩やかに撓んだ構造となる現象である。
【0007】
一方、堆積層には、見かけ上、撓曲と類似した地質構造を示す圧密沈下といわれる現象がある。図8は、圧密沈下を有する堆積層及びその周辺地質の地質構造を示す模式断面図である。
【0008】
図8に示すように、圧密沈下は、堆積層が自重によって圧密され、層中の間隙水を徐々に排出しながら体積を減少していき、沈下を引き起こすものであり、不陸を有する基盤岩上面の堆積層は、岩盤との境界面に沿うように、堆積層の層理が緩やかに撓んだものとなる。圧密沈下による堆積層のたわみは地震とは無関係である。
【0009】
そこで、評価対象となる地質構造断面に不陸層理構造がある場合には、一般に、その下位の地質構造に累積性を有する断層変位があるか否かを確認することによって、不陸層理構造の成因が撓曲によるものであるか否かを判断する。
【0010】
しかしながら、地質構造断面によってはその下位の地質構造が、断層変位が小さいため累積性を有するか否かを判読できなかったり、また、調査手法の一つである物理探査による地質構造断面図は深度が深くなるにつれて空間分解能が劣ってくることにより、下位領域の地質構造が不鮮明なものとなって、同様に断層に起因する構造を判読できなかったり、さらに、下位の地質構造の領域が調査対象深度外となっていたりする場合もある。
【0011】
このような場合、不陸層理構造の成因が撓曲によるものであるのか、あるいは圧密沈下によるものであるのかを判定することが困難であった。このため、調査による地質構造断面に不陸層理構造が認められる場合には、撓曲によるもの、すなわち断層の存在を示唆する構造である可能性を否めないとして、構造物の耐震設計を安全側に反映させていた。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、不陸を有する層理構造が圧密沈下に起因するものであるか否かを簡便に判定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本発明は、不陸岩盤の上位に堆積する堆積層が不陸層理構造を有すること示す地質構造断面と、前記堆積層の地質年代と、前記堆積層についての地質年代と層厚変化率との関係を示す情報とに基づき、前記不陸層理構造が圧密沈下によるものか否かを判定する地質構造評価方法であって、
前記不陸岩盤と前記堆積層との境界面上の点のうち高低差のある任意の二地点を選択すると共に、前記堆積層内の任意の一層理面を選択して、前記選択された二地点における高低差である境界面高低差と、前記選択された層理面における前記選択された二地点の高低差である層理面高低差とを夫々計算する第1のステップと、
前記第1のステップを所定の回数繰り返して、前記任意に選択された二地点における、前記境界面高低差と前記層理面高低差のデータを収集する第2のステップと、
前記収集されたデータに基づいて、前記境界面高低差と、前記境界面高低差から前記層理面高低差を差引いた差との関係を求める第3のステップと、
前記堆積層の地質年代から、前記堆積層についての地質年代と層厚変化率との関係を示す情報を参照して、前記堆積層の地質年代に対応する層厚変化率を求める第4のステップと、
前記第3のステップで求めた関係が線形関係であり、かつ、その線形関係の傾きと前記層厚変化率とが同等であるか否かに基づいて、前記不陸層理構造が圧密沈下によるものか否かを判定する第5のステップとからなることを特徴とする(第1の発明)。
【0014】
本発明による地質構造評価方法によれば、不陸岩盤の上位に堆積した堆積層が不陸層理構造を有する場合に、その不陸層理構造の成因が圧密沈下によるものか否かを判定できる。すなわち、圧密沈下によるものと判定される場合には、不陸層理構造が活断層によるものではないことの根拠となるため、構造物を立地するにあたっての安全性の確度が向上し、構造物の合理的な耐震設計が図れる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、前記境界面高低差と、前記境界面高低差から前記層理面高低差を差引いた差との相関係数が所定値以上であるときに、前記第3のステップで求めた関係が線形関係であるとすることを特徴とする。
【0016】
第3の発明は、不陸岩盤の上位に堆積する堆積層が不陸層理構造を有すること示す地質構造断面と、前記堆積層の地質年代と、前記堆積層についての地質年代と層厚変化率との関係を示す情報とに基づき、前記不陸層理構造が圧密沈下によるものか否かを判定する地質構造評価装置であって、前記不陸岩盤と前記堆積層との境界面上の点のうち高低差のある任意の二地点を選択すると共に、前記堆積層内の任意の一層理面とを選択して、前記選択された二地点における高低差である境界面高低差と、前記選択された層理面おける前記選択された二地点の高低差である層理面高低差とを夫々計算する手段と、前記任意に選択された二地点における前記境界面高低差と前記層理面高低差の計算を所定の回数繰り返して収集されたデータを記憶する手段と、前記記憶されたデータに基づいて、前記境界面高低差と、前記境界面高低差から前記層理面高低差を差引いた差との関係を求める手段と、前記堆積層の地質年代から、前記堆積層についての地質年代と層厚変化率との関係を示す情報を参照して、前記堆積層の地質年代に対応する層厚変化率を求める手段と、前記境界面高低差と、前記境界面高低差から前記層理面高低差を差引いた差との関係が線形関係であり、かつ、その線形関係の傾きと前記層厚変化率とが同等であるか否かに基づいて、前記不陸層理構造が圧密沈下によるものか否かを判定する手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、不陸を有する層理構造が圧密沈下に起因するものであるか否かを簡便に判定することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0019】
本実施形態の地質構造評価方法は、堆積層に作用する圧密沈下が、圧縮ひずみと圧縮にともなって排水される間隙水の流れの方向が鉛直(一次元的)であるという一次元圧密の条件に基づいたものである。圧密沈下量Sは、式(1)で与えられる。
S=H・Cc/(1+eo)・log10((po+Δp)/po) ・・・(1)
なお、Hは初期層厚、Ccは材料種別、po及びΔpは上載荷重(ただし、poは初期荷重、Δpは増加荷重)、そしてeoは初期間隙比である。
【0020】
ここで上記の材料種別Cc、上載荷重(po、Δp)及び初期間隙比eoが場所によらず一定であれば、圧密沈下量Sは初期層厚Hと線形関係にある。したがって、初期層厚Hと圧密沈下量Sを生じた現在の層厚H’(=H−S)との関係は、式(2)で与えられる。
H’=K・H ・・・(2)
なお、Kは定数である。
【0021】
すなわち、地質構造評価方法は、堆積層の圧密沈下現象では、初期層厚Hと、初期層厚Hから圧密沈下量Sを差し引いた差(=H’;以下、差ΔHという)とが線形関係にあることを利用したものである。
【0022】
図1は、本実施形態に係る地質構造評価方法により評価される地質構造断面2の一例である。
【0023】
図1に示すように、地質構造断面2として、不陸岩盤6の上位に堆積層7が堆積して、不陸岩盤6と堆積層7との境界面8が確認でき、かつ、複数の層理面10(例えば、10a〜10cなど)に不陸が認められる構造を有するものを対象とする。ここで、不陸岩盤6は、例えば、十分に固結した上面に凹凸を有する火成岩や貫入岩などの基盤岩であり、堆積層7は、例えば、粘土やシルトなどの未固結地層である。そして、このような不陸岩盤6及び堆積層7の構造を示す地質構造断面2においては、例えば、地震探査、音波探査又は地中レーダなどの物理探査、又は複数のボーリング調査、或いはトレンチ調査などの地下構造調査により、少なくとも境界面8及び層理面10が検出されているものとする。
【0024】
また、堆積層7の地質年代が予め測定されており、堆積層7についての地質年代と層厚変化率との関係を示す情報が得られているものとする。ここでいう層厚変化率とは、上述した初期層厚Hに対する現在の層厚H’の比、すなわち、上記(2)式における定数Kである。
【0025】
図2は、本実施形態に係る地質構造評価方法1の解析手順を示すフローチャートである。
図2に示すように、地質構造評価方法1は、入力情報である地質構造断面2に基づいて、ステップS1からステップS5の工程を行うことによって、地質構造断面2内の堆積層の不陸層理構造が圧密沈下によるものか否かの判定をするものである。なお、本実施形態の地質構造評価方法1で行う各種処理は、例えば、コンピューターに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0026】
図2に示すように、ステップS1は、前述した地質構造断面2に基づいて境界面高低差を計算するステップS11と、同じく地質構造断面2に基づいて層理面高低差を計算するステップS12とから構成される。
【0027】
ステップS11では、図1に示すように、地質構造断面2内の不陸岩盤6と堆積層7との境界面8上の点のうち高低差のある任意の二地点である、例えば、地点A及び地点Bの選択を行い、地点Aと地点Bとの間の高低差を境界面高低差hとして計算する。
【0028】
ステップS12では、層理面10のうち任意の層理面(例えば、層理面10a)を選択しこの層理面上での地点Aと地点Bとの間の高低差を層理面高低差hとして計算する。
【0029】
次に、ステップS2では、ステップS1を所定の回数繰り返して、境界面高低差hと層理面高低差hとのデータ16を収集する。図3は、データ16のデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、データ16には、ステップS1で計算された境界面高低差h及び層理面高低差hが含まれている。
【0030】
ステップS3では、ステップS2で収集されたデータ16に基づき、境界面高低差hと、境界面高低差hから層理面高低差hを差引いた差ΔHとの関係を線形近似したときの近似直線の傾きと相関係数とを計算する。
【0031】
図4は、データ16に基づき、横軸に境界面高低差h、縦軸に差ΔHをプロットした図であり、(a)は圧密沈下が生じた層理構造の場合、(b)は圧密沈下が生じていない層理構造の場合の例を夫々示したものである。
【0032】
図4(a)に示すように、圧密沈下を生じた層理構造の場合は、プロット点が近似直線19の近傍に集中して分布し、境界面高低差hと差ΔHとは正の相関が強くなる。一方、図4(b)に示すように、層理構造が圧密沈下を生じていない場合は、プロット点は分散して境界面高低差hと差ΔHとの相関は弱くなる。上記ステップS3により、例えば、図4(a)の場合では、相関係数値が大きいc1及び傾きa1が、また、図4(b)の場合では、相関係数値が小さいc2及び傾きa2が計算される。
【0033】
ステップS4では、堆積層7の地質及び地質年代から、堆積層7についての地質年代と層厚変化率との関係を参照して、堆積層7の地質年代に対応する層厚変化率を求める。図5は、ステップS4で参照される堆積層についての地質年代と層厚変化率との関係の一例を示す図である(出典:堀田(1989)「堆積岩の圧密を考慮した地層変形の一考察」、日本応用地質学会研究発表会予稿集、p67−p70)。
【0034】
ステップS4では、例えば、堆積層7の地質が粘土であり、その地質年代が更新世後期の10年であったとすると図5を参照して、層厚変化率は0.7と求められる。なお、堆積層7の構成する地質の年代に幅のある、例えば、更新世後期〜末期などの場合には、それに対応する層厚変化率も幅のあるものとして、例えば、0.69〜0.85の範囲であるとしてもよい。
【0035】
最後に、ステップS5では、ステップS3で計算された相関係数が所定のしきい値以上であり、かつ、近似直線の傾きとステップS4で求められた層厚変化率とが同等である場合に、地質構造断面2の不陸層理構造が圧密沈下によるものと判定し、それ以外の場合に圧密沈下によるものでないと判定する。
【0036】
図6は、ステップS5の詳細な判定過程を示すフローチャートである。
図6に示すように、先ず、ステップS3で計算された相関係数がしきい値(例えば、0.8)以上であるか否かの判定を行う(ステップS51)。この結果、図4(a)のように相関が高く相関係数c1が所定のしきい値以上であれば、次のステップS52へと進む。一方、図4(b)のように相関が低く、相関係数c2が所定のしきい値未満であれば、層理面10の不陸の成因が圧密沈下によるものではないと判定されて、地質構造評価方法1は終了する。
【0037】
ステップS52では、ステップS3で求められた近似直線の傾きと、ステップS4で求められた層厚変化率とが同等であるか否かを判定する。
【0038】
例えば、相関係数がしきい値以上である図4(a)の場合の近似直線の傾きa1が、ステップS4で求められた層厚変化率である0.7と実質的に等しい(或いは、0.69〜0.85の範囲内である)場合には、層理面10の不陸の成因が圧密沈下によるものであると判定され、一方、それ以外の場合には、圧密沈下によるものではないと判定されて、地質構造評価方法1は終了する。
【0039】
以上説明した本実施形態の地質構造評価方法1によれば、地質構造断面2に基づいて、上述したS1〜S5までのステップを行うことにより、堆積層7の層理面10の不陸の成因が圧密沈下によるものか否かを判定できる。すなわち、圧密沈下によるものと判定される場合には、調査対象地区に断層が存在しないことの根拠となるため、構造部を立地するにあたっての安全性の確度が向上し、構造物の合理的な耐震設計が図れる。
【0040】
図9は、地質構造評価方法1を、地下構造に活断層が存在するか否かの判定に適用した場合の処理手順を示すフローチャートである。
【0041】
図9に示すように、先ず、ステップS101では、評価対象とする地下構造の堆積層内に層理に切断形状があるか否かを判定する。その結果、層理に切断形状がある場合にはステップS103へ進み、一方、切断形状がない場合にはステップS102へ進む。
【0042】
ステップS102では、上述した地質構造評価方法1により、層理の変形が圧密沈下によるものであるか否かを判定する。そして層理の変形が圧密沈下によるものであると判定されれば、評価対象とする地下構造には活断層が存在しないと判断して、判定フローは終了する。一方、層理の変形が圧密沈下でないと判定された場合には、ステップS103へ進む。
【0043】
ステップS103では、層理の変位又は変形に累積性があるか否かの判定を行う。累積性とは、層理の変位又は変形において下位の地層ほど見かけ上大きなずれを生じる性質である。すなわち、ステップS103では、この累積性が、層理の切断形状、或いは不陸層理構造の位置を挟んで両側の地層構造に生じているか否かを判定する。これにより、累積性が生じている場合には、その成因が活断層によるものと判断し、累積性が生じていない場合には、浸食や地滑りなどの活断層以外の地質現象と判断する。
【0044】
このように、本実施形態の地質構造評価方法1を利用することにより、評価対象とする地下構造に活断層が存在するか否かを判定できると共に、活断層の存在の判定のみならず、活断層によるものでない場合にも、圧密沈下又は浸食・地滑りなどの層理の変位又は変形の成因を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る地質構造評価方法により評価される地質構造断面2の一例である
【図2】本実施形態に係る地質構造評価方法1の解析手順を示すフローチャートである。
【図3】データ16のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】データ16に基づき、横軸に境界面高低差h、縦軸に差ΔHをプロットした図であり、(a)は圧密沈下が生じた層理構造の場合、(b)は圧密沈下が生じていない層理構造の場合の例を夫々示したものである。
【図5】ステップS4で参照される堆積層についての地質年代と層厚変化率との関係の一例を示す図である
【図6】ステップS5の詳細な判定過程を示すフローチャートである。
【図7】撓曲を有する堆積層及びその周辺地質の地質構造を示す模式断面図である。
【図8】圧密沈下を有する堆積層及びその周辺地質の地質構造を示す模式断面図である。
【図9】地質構造評価方法1を、地下構造に活断層が存在するか否かの判定に適用した場合の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1 地質構造評価方法
2 地質構造断面
6 不陸岩盤
7 堆積層
8 境界面
10、10a、10b、10c 層理面
16 データ
19 近似直線
A、B 地点
a1、a2 傾き
層理面高低差
境界面高低差
S1、S11、S12、S2、S3、S4、S5、S51、S52、S101、S102、S103 ステップ
ΔH 境界面高低差hから層理面高低差hを差引いた差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不陸岩盤の上位に堆積する堆積層が不陸層理構造を有すること示す地質構造断面と、前記堆積層の地質年代と、前記堆積層についての地質年代と層厚変化率との関係を示す情報とに基づき、前記不陸層理構造が圧密沈下によるものか否かを判定する地質構造評価方法であって、
前記不陸岩盤と前記堆積層との境界面上の点のうち高低差のある任意の二地点を選択すると共に、前記堆積層内の任意の一層理面を選択して、前記選択された二地点における高低差である境界面高低差と、前記選択された層理面における前記選択された二地点の高低差である層理面高低差とを夫々計算する第1のステップと、
前記第1のステップを所定の回数繰り返して、前記任意に選択された二地点における、前記境界面高低差と前記層理面高低差のデータを収集する第2のステップと、
前記収集されたデータに基づいて、前記境界面高低差と、前記境界面高低差から前記層理面高低差を差引いた差との関係を求める第3のステップと、
前記堆積層の地質年代から、前記堆積層についての地質年代と層厚変化率との関係を示す情報を参照して、前記堆積層の地質年代に対応する層厚変化率を求める第4のステップと、
前記第3のステップで求めた関係が線形関係であり、かつ、その線形関係の傾きと前記層厚変化率とが同等であるか否かに基づいて、前記不陸層理構造が圧密沈下によるものか否かを判定する第5のステップとからなることを特徴とする地質構造評価方法。
【請求項2】
前記境界面高低差と、前記境界面高低差から前記層理面高低差を差引いた差との相関係数が所定値以上であるときに、前記第3のステップで求めた関係が線形関係であるとすることを特徴とする請求項1に記載の地質構造評価方法。
【請求項3】
不陸岩盤の上位に堆積する堆積層が不陸層理構造を有すること示す地質構造断面と、前記堆積層の地質年代と、前記堆積層についての地質年代と層厚変化率との関係を示す情報とに基づき、前記不陸層理構造が圧密沈下によるものか否かを判定する地質構造評価装置であって、
前記不陸岩盤と前記堆積層との境界面上の点のうち高低差のある任意の二地点を選択すると共に、前記堆積層内の任意の一層理面とを選択して、前記選択された二地点における高低差である境界面高低差と、前記選択された層理面おける前記選択された二地点の高低差である層理面高低差とを夫々計算する手段と、
前記任意に選択された二地点における前記境界面高低差と前記層理面高低差の計算を所定の回数繰り返して収集されたデータを記憶する手段と、
前記記憶されたデータに基づいて、前記境界面高低差と、前記境界面高低差から前記層理面高低差を差引いた差との関係を求める手段と、
前記堆積層の地質年代から、前記堆積層についての地質年代と層厚変化率との関係を示す情報を参照して、前記堆積層の地質年代に対応する層厚変化率を求める手段と、
前記境界面高低差と、前記境界面高低差から前記層理面高低差を差引いた差との関係が線形関係であり、かつ、その線形関係の傾きと前記層厚変化率とが同等であるか否かに基づいて、前記不陸層理構造が圧密沈下によるものか否かを判定する手段とを備えることを特徴とする地質構造評価装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−107252(P2008−107252A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291798(P2006−291798)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】