説明

地震加速度の検出方法

【課題】従来の地震加速度の検出方法は、地震加速度を加速度計のみで検出しているので、地震による地面の歪みによって加速度計の加速度入力軸が水平方向に対して傾斜した場合に、検出される加速度に重力加速度成分が含まれてしまう。
【解決手段】本発明による地震加速度の検出方法は、演算部によって、加速度入力軸2aの水平方向11に対する傾斜角度θをジャイロによって検出された角速度から求めるとともに、加速度計の出力加速度20に含まれる重力加速度成分22を傾斜角度θから求め、出力加速度20から重力加速度成分22を減算することで水平方向11に沿う地震加速度21を求める構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震加速度の検出方法に関し、特に、ジャイロによって検出された角速度から加速度入力軸の水平方向に対する傾斜角度を求めるとともに、加速度計の出力加速度に含まれる重力加速度成分を傾斜角度から求め、出力加速度から重力加速度成分を減算することで水平方向に沿う地震加速度を求めるように構成することで、検出される加速度から重力加速度成分を除去でき、より高精度で地震加速度を検出できるようにするための新規な改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の地震加速度の検出方法としては、例えば特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、地震加速度の検出方法は、地震加速度を加速度計のみで検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−198813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の地震加速度の検出方法では、地震加速度を加速度計のみで検出しているので、地震による地面の歪みによって加速度計の加速度入力軸が水平方向に対して傾斜した場合に、検出される加速度に重力加速度成分が含まれてしまう。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、検出される加速度から重力加速度成分を除去でき、より高精度で地震加速度を検出できる地震加速度の検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る地震加速度の検出方法は、地震発生時の揺れによって生じる加速度を加速度計によって検出するとともに、前記加速度計の加速度入力軸に直交する軸回りの角速度をジャイロによって検出し、前記加速度計及び前記ジャイロに接続された演算部によって、前記加速度入力軸の水平方向に対する傾斜角度を前記角速度から求めるとともに、前記加速度計の出力加速度に含まれる重力加速度成分を前記傾斜角度から求め、前記出力加速度から前記重力加速度成分を減算することで水平方向に沿う地震加速度を求める構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の地震加速度の検出方法によれば、演算部によって、加速度入力軸の水平方向に対する傾斜角度を角速度から求めるとともに、加速度計の出力加速度に含まれる重力加速度成分を傾斜角度から求め、出力加速度から重力加速度成分を減算することで水平方向に沿う地震加速度を求める構成であるので、検出される加速度から重力加速度成分を除去でき、より高精度で地震加速度を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1による地震加速度検出器を示すブロック図である。
【図2】図1の加速度計とジャイロとの関係を示す斜視図である。
【図3】地震時の図1の地震加速度検出器の状態を示す説明図である。
【図4】図1の地震加速度検出器による地震加速度の検出方法の具体例を示す説明図である。
【図5】4の例とは異なる地震加速度の検出方法の具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による地震加速度検出器1を示すブロック図であり、図2は、図1の加速度計2及びジャイロ3の入力軸の関係を示す斜視図である。図1において、地震加速度検出器1の筐体内には、加速度計2、ジャイロ3、及び演算部4が一体に設けられている。図2に示すように、加速度計2は、1軸の加速度入力軸2aに沿う加速度を検出するセンサである。ジャイロ3は、加速度入力軸2aに直交するジャイロ入力軸3a回りの角速度を検出するセンサである。演算部4は、加速度計2及びジャイロ3に接続されており、これら加速度計2及びジャイロ3の出力信号に基づいて地震加速度を検出するものである。
【0010】
次に、図3は、地震時の図1の地震加速度検出器1の状態を示す説明図である。図において、地震加速度検出器1は、地面10上に設置されている。周知のように、地震が発生した際には、地面10は僅かながら歪む。この地面10の歪みによって、加速度計2の加速度入力軸2aが水平方向11に対して傾斜してしまう。このため、加速度計2の出力加速度20には、水平方向11に沿う地震加速度21に加えて、重力加速度成分22が含まれる。
【0011】
図1の演算部4は、加速度入力軸2aの水平方向11に対する傾斜角度θを、ジャイロ3によって検出された角速度から求める。また、演算部4は、出力加速度20に含まれる重力加速度成分22を、求めた傾斜角度θから求める。さらに、演算部4は、出力加速度20から重力加速度成分22を減算することで水平方向に沿う地震加速度21を求める。これにより、地面10の歪みによって生じる誤差である重力加速度成分22を除去して、地震加速度21のみを検出できる。
【0012】
次に、図4は、図1の地震加速度検出器1による地震加速度の検出方法の具体例を示す説明図である。図において、地震発生時の揺れによって生じる加速度が加速度計2によって検出されるとともに(ステップS1)、加速度計2の加速度入力軸2aに直交するジャイロ入力軸3a回りの角速度がジャイロ3によって検出される(ステップS2)。
【0013】
ジャイロ3からの角速度信号は、ハイパスフィルタを通過される(ステップS3)。これにより、角速度信号に含まれるバイアス誤差が除去される。その次に、ハイパスフィルタを通過された角速度信号が時間積分されて、傾斜角度θが求められる(ステップS4)。傾斜角度θが求められると、g×sinθの演算が行われて、重力加速度成分22が求められる(ステップS5)。但し、gは重力加速度である。その次に、求められた重力加速度成分22が出力加速度20から減算されて、地震加速度21が求められる(ステップS6)。
【0014】
次に、図5は、図4の例とは異なる地震加速度の検出方法の具体例を示す説明図である。図に示すように、フィードバックループを使用して地震加速度21を求めることもできる。但し、図中のgは重力加速度であり、Rは地球の半径であり、K1,K2は所与の定数である。
【0015】
このような地震加速度の検出方法によれば、演算部4によって、加速度入力軸2aの水平方向11に対する傾斜角度θを角速度から求めるとともに、加速度計2の出力加速度20に含まれる重力加速度成分22を傾斜角度θから求め、出力加速度20から重力加速度成分22を減算することで水平方向11に沿う地震加速度21を求めるので、検出される加速度から重力加速度成分22を除去でき、より高精度で地震加速度21を検出できる。
【符号の説明】
【0016】
2 加速度計
2a 加速度入力軸
3 ジャイロ
4 演算部
11 水平方向
20 出力加速度
21 地震加速度
22 重力加速度成分
θ 傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震発生時の揺れによって生じる加速度を加速度計(2)によって検出するとともに、前記加速度計(2)の加速度入力軸(2a)に直交する軸回りの角速度をジャイロ(3)によって検出し、
前記加速度計(2)及び前記ジャイロ(3)に接続された演算部(4)によって、前記加速度入力軸(2a)の水平方向(11)に対する傾斜角度(θ)を前記角速度から求めるとともに、前記加速度計(2)の出力加速度(20)に含まれる重力加速度成分(22)を前記傾斜角度(θ)から求め、前記出力加速度(20)から前記重力加速度成分(22)を減算することで水平方向(11)に沿う地震加速度(21)を求める
ことを特徴とする地震加速度の検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−242246(P2011−242246A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114309(P2010−114309)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)