説明

地震観測井、地震観測井における地震計の設置方法

【課題】地震計がそれぞれ設置された地震計設置部を多段に亘って吊り降ろして台座に容易に係合させ、しかもその地震計の方位を正確に合わせることができる地震計の設置方法を提供する。
【解決手段】深部側設置部40bを降下させる際には、深部側案内溝43を浅部側方位設定キー51に通過させるとともに、通過溝45を浅部側係止片52に通過させることにより、浅部側台座50a内を通過させ、更に深部側案内溝43を深部側方位設定キー53により案内されて方位を設定するとともに、深部側係止溝44を深部側係止片54により係止させることにより、これを深部側台座50bに係止させ、浅部側設置部40aを降下させる際には、浅部側案内溝41を浅部側方位設定キー51により案内させて方位を設定するとともに、浅部側係止溝42を浅部側係止片52により係止させることにより、これを浅部側台座50aに係止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震観測井内に地震計を設置して地震を計測するための地震観測井、地震観測井における地震計の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地震観測井に対して多連方式で地震計を設置する際には、坑井内に降下させたケーシングパイプの上部を台座として地震計を設置するか、地震計をアームにより外側のケーシングパイプに押し付けて計測することが行われてきた(例えば、特許文献1〜8参照。)。このケーシングパイプの上部を台座として地震計を設置する方法では、地震計を設置できる箇所は、ケーシングパイプの上部のみである。
【0003】
このため、1段のケーシングパイプに対して、1箇所しか地震計を設置することができない。このため、地震計をケーシングパイプの任意の高さに設置して計測を行いたい旨のニーズに応えることができないという問題点があった。
【0004】
また、一般的にその方位を設定するための方位設定キーを下段の掘削前にケーシングパイプ内壁に設置しておくが、下段のケーシングパイプの設置時において、方位設定キーが掘削用のビットや当該下段のパイプに当たって破損してしまうという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−142490号公報
【特許文献2】特開昭62−108182号公報
【特許文献3】特開昭62−108183号公報
【特許文献4】特開2001−21656号公報
【特許文献5】特開2001−21657号公報
【特許文献6】特開2001−133558号公報
【特許文献7】特開2001−318161号公報
【特許文献8】特開2009−97869号公報
【特許文献9】特願2009−217873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、特許文献9には、方位設定キーがケーシングパイプ内面に取り付けられていない構成とすることにより、地震計をケーシングパイプの任意の高さに設置して計測を行うことができ、方位設定キーが破損してしまう等の問題点が生じることなく、さらに地震波の減衰やアームの破損といった問題点が生じることなく、高精度に地震波を計測する技術が提案されている。
【0007】
この特許文献9の開示技術によれば、地震計の上端にロープが取り付けられ、ロープを介して坑内を下降させることを前提としている。地震計の取り付け角度は、嵌合溝に嵌合される方位設定キーの取り付け位置によって決められる。この方位設定キーがいかなる方位にあるのか事前に分からないため、地震計を単にスリーブへ下降させ、挿入穴に挿入するのみでは、この嵌合溝に方位設定キーを嵌合させることができない。このため、地震計を実際に取り付ける前に方位設定キーの方位を識別することを行う。この方位設定キーの識別は、溝が形成された筒状体で構成されてなり、さらに溝の方位を示すための方位計が内部に設けられている方位測定器を利用して行う。
【0008】
ところで、この特許文献9の開示技術によれば、地中に設置されたケーシングパイプの内周壁にそれぞれ取り付けられた管状の台座を多段に亘り設け、地震計がそれぞれ設置された地震計設置部を多段に亘って吊り降ろして台座に係合させることが必要となる。即ち、より浅部側に設けられた浅部側台座に浅部側設置部を係合させるとともに、より深部側に設けられた深部側台座に深部側設置部を係合させることが必要となる。
【0009】
このとき、地震計の方位を正確に合わせつつ、深部側設置部を管状の浅部側台座を通過させて深部側台座に係合可能な構成とし、浅部側設置部を浅部側台座に係合可能な構成とする必要があるが、かかる構成は、従来において提案されていなかった。
【0010】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、地震計がそれぞれ設置された地震計設置部を多段に亘って吊り降ろして台座に容易に係合させ、しかもその地震計の方位を正確に合わせることが可能な地震観測井、地震観測井における地震計の設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明を適用した地震観測井は、上述した課題を解決するために、地中に設置されたケーシングパイプと、上記ケーシングパイプにそれぞれ取り付けられた管状の浅部側台座並びに深部側台座と、地震計がそれぞれ設置されるとともに、上から順に吊下げられた浅部側設置部並びに深部側設置部とを備え、上記浅部側台座は、浅部側方位設定キーと、複数からなる径小の浅部側係止片とが管体内側に突設され、上記深部側台座は、深部側方位設定キーと、複数からなる径大の深部側係止片とが管体内側に突設され、上記浅部側設置部は、上下に貫通した浅部側案内溝と、より径小の浅部側係止溝とを有し、上記浅部側案内溝が浅部側方位設定キーにより案内されて方位が設定されるとともに、上記浅部側係止溝が上記浅部側係止片により係止され、上記深部側設置部は、上下に貫通した深部側案内溝と、より径大の深部側係止溝並びに上記深部側係止溝の上端から上下に貫通したより径小の通過溝とを有し、上記深部側案内溝が深部側方位設定キーにより案内されて方位が設定されるとともに、上記深部側係止溝が上記深部側係止片により係止されることを特徴とする。
【0012】
本発明を適用した地震観測井における地震計の設置方法は、上述した課題を解決するために、地中にケーシングパイプを設置し、上記ケーシングパイプの内周壁に、浅部側方位設定キーと複数からなる径小の浅部側係止片とが管体内側に突設された浅部側台座、並びに深部側方位設定キーと複数からなる径大の深部側係止片とが管体内側に突設された深部側台座をそれぞれ取り付け、地震計がそれぞれ設置され、上下に貫通した浅部側案内溝並びにより径小の浅部側係止溝とを有する浅部側設置部と、上下に貫通した深部側案内溝、径大の深部側係止溝並びに上記深部側係止溝の上端から上下に貫通したより径小の通過溝とを有する深部側設置部とを、上から順に吊下げ、上記深部側設置部を降下させる際には、深部側案内溝を上記浅部側方位設定キーに通過させるとともに、上記通過溝を上記浅部側係止片に通過させることにより、上記浅部側台座内を通過させ、更に上記深部側案内溝を深部側方位設定キーにより案内されて方位を設定するとともに、上記深部側係止溝を上記深部側係止片により係止させることにより、これを深部側台座に係止させ、上記浅部側設置部を降下させる際には、上記浅部側案内溝を上記浅部側方位設定キーにより案内させて方位を設定するとともに、上記浅部側係止溝を上記浅部側係止片により係止させることにより、これを浅部側台座に係止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上述した構成からなる本発明によれば、地震計がそれぞれ設置された地震計設置部を多段に亘って吊り降ろして台座に容易に係合させ、しかもその地震計の方位を正確に合わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】鋼管として構成されるケーシングパイプを地中に貫入した状態を示す図である。
【図2】ライナーハンガーシステムを地震観測井内に吊り下げた例を示す図である。
【図3】ライナーハンガーシステムの詳細な構成を示す図である。
【図4】地震計をライナーハンガーシステムに取り付けた状態を示す図である。
【図5】(a)は、浅部側台座の平面図を、また(b)は、浅部側台座の側面図を示す図である。
【図6】(a)は、深部側台座の平面図を、また(b)は、深部側台座の側面図を示す図である。
【図7】、台座をケーシングパイプ内に取り付けた例を示す図である。
【図8】(a)は、浅部側設置部の側面図であり、(b)は、浅部側係止溝を中心とした側面図であり、(c)は、(a)におけるA−A´断面図である。
【図9】(a)は、深部側設置部の側面図であり、(b)は、深部側係止溝を中心とした側面図であり、(c)は、(a)におけるB−B´断面図である。
【図10】浅部側設置部、深部側設置部を互いにロープにより連結した例を示す図である。
【図11】浅部側設置部を浅部側台座に、深部側設置部を深部側台座に取り付けた例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態として、地震観測井内に地震計を設置して地震を計測するための地震観測井における地震計の設置方法について、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0016】
本発明を適用した地震観測井における地震計の設置方法は、ライナーハンガー法を実現する上で適用されるものである。このライナーハンガー法は、ライナーケーシングを設置するために使用されるライナーハンガーシステムを任意の地震計設置予定深度の下部にセットして、セッティングスリーブの上部に地震計を載せると共にセッティングスリーブ取付けた方位設定キーを用いて、地震計の方位を設定する工法である。ライナーハンガーシステムの大きさを変えることにより、地震計の多連設置が可能となるものである。
【0017】
先ず、図1に示すように、地震観測井を設置すべき地盤に対してケーシングを行う。このケーシングは、鋼管として構成されるケーシングパイプ1a〜1cを地中に貫入していくことにより行うものである。このケーシングパイプ1a〜1cの一連をケーシング・ストリングという。ケーシング・ストリングと坑井との間は通常セメントによって閉塞、固定される(以下、これをセメンチングと称する)。ケーシングはこのセメンチングと相俟って、坑壁の崩壊の防止効果、圧力の高い地層の流体が圧力の低い地層に移動するのを防止する効果を発現させることができる。また、油やガスを生産する場合に、油とガスのみを選択的に採取できるように、水層と油、ガス層を隔離する役割も果たすことができ、ケーシングパイプ1の頂部にケーシング・ヘッド、防噴装置等の坑口装置を取り付けることにより、地層圧力をコントロールできるようにすることもできる。さらに、ケーシングパイプ1の内部にチュービングやパッカー等の油・ガス採取用装置を取り付けることもできる。なお、このケーシングパイプ1は、方位設定キーが内面に取り付けられていないことを前提としている。
【0018】
実際のケーシングを行う上では、その強度や長さを決めるために、過去の物理探査データや記録を参照してケーシングプログラムを案出していくことになる。このケーシングプログラムを大きく左右するものは、坑の直径、目的層の深さ、そしてその潜在産出能力等である。
【0019】
またケーシングパイプ1a〜1c間は、互いに螺子により螺着することにより強固に固定している。なお、このケーシングは、地下3000m程度まで掘削する場合を想定しているが、これに限定されるものではなく、いかなる深度であってもよい。
【0020】
次に、図2に示すように、ライナーハンガーシステム4を坑内に設置する。このライナーハンガーシステム4の設置方法は、従来の如何なる手法を用いてもよい。このライナーハンガーシステム4は、坑口やケーシングパイプ1の連結部分のみならず、ケーシングパイプ1の中間からも吊り下げるための装置である。このライナーハンガーシステム4は、ライナーを保持させるためスリップが取付けられており、機械的に、或いははハイドロリックでスリップを利かせる。また上部には必要に応じてタイバックレセプタクルが取付けられる。
【0021】
図3(a)は、このライナーハンガーシステム4の詳細な構成を示している。このライナーハンガーシステム4は、ライナーハンガー11と、スリップ12と、L字状の溝13と、軸14と、スリップ15とを備えている。図3(b)は、このスリップ15の詳細を示した図であり、外側に向けて傾斜状に加工されたスリップ戻り防止加工21が施されている。
【0022】
このようなライナーハンガーシステム4によれば、軸14を、溝13内において図中矢印方向に向けて移動させる。その結果、ライナーハンガー11を上方へシフトさせることができ、またスリップ12を図3(c)に示すようにスリップ戻り防止加工21の外面に沿わせることが可能となる。その結果、スリップ12の歯は外側に向けて突出されることになり、ひいては外側に位置するケーシングパイプ1にスリップ12の歯をせり込ませることが可能となる。このスリップ12の歯をせり込ませることにより、ライナーハンガーシステム4をケーシングパイプ1の内壁に強固に固定することが可能となる。
【0023】
図4は、地震計30をライナーハンガーシステム4に対して取り付けた状態を示している。上述した方法により地震計30をライナーハンガーシステム4に取り付けることができることから、当該ライナーハンガーシステム4は、ケーシングパイプ1における坑口や連結部分のみならず、ケーシングパイプ1の中間等、任意の位置に設置することが可能となる。
【0024】
このライナーハンガーシステム4に地震計30を取り付ける際には、図8、9に示すような地震計設置部40を介して、図5、6に示すような台座50へ設けることとなる。台座50は、上述したライナーハンガーシステム4に対して取り付けられる。換言すれば、この台座50は、ケーシングパイプ1内に取り付けられることとなる。
【0025】
図7は、この台座50を実際にケーシングパイプ1内に取り付けた例を示している。台座50は、最も浅部側に取り付けられる浅部側台座50aと、浅部側台座50aよりも深部側に取り付けられる深部側台座50bとからなる。浅部側台座50aは一箇所に取り付けられるのに対して、深部側台座50bは、浅部側台座50aより深部側に複数個に亘って設けられる場合もあるが、図7の例では、浅部側台座50a、深部側台座50bそれぞれに対して一箇所に亘って設けられる場合を例に挙げている。また、この図7では、あくまで浅部側台座50a、深部側台座50bのみを描いているが、これら浅部側台座50a、深部側台座50bは、ライナーハンガーシステム4により坑内に設置されていることが前提であり、かかるライナーハンガーシステム4は、この図7において省略している。
【0026】
図5(a)は、浅部側台座50aの平面図を、また図5(b)は、浅部側台座50aの側面図を示している。浅部側台座50aは、浅部側方位設定キー51と、複数からなる径小の浅部側係止片52a〜52cとが管体46内側に突設されている。浅部側方位設定キー51は、浅部側係止片52と比較してその突出高が高く構成されていてもよい。また、浅部側係止片52は、120°間隔で3箇所に亘り突設されており、浅部側方位設定キー51は、一の浅部側係止片52bと対向する側に設けられているが、これに限定されるものではない。
【0027】
浅部側方位設定キー51並びに浅部側係止片52a〜52cは、それぞれ上下方向に向けて延長されているリブ形状とされている。この浅部側方位設定キー51は、浅部側係止片52a〜52cに対して、その上下方向の延長長さを長く構成している。
【0028】
図6(a)は、深部側台座50bの平面図を、また図5(b)は、深部側台座50bの側面図を示している。深部側台座50bは、深部側方位設定キー53と、複数からなる径小の深部側係止片54a〜54cとが管体47内側に突設されている。深部側方位設定キー53は、深部側係止片54と比較してその突出高が高く構成されていてもよい。また、深部側係止片54は、120°間隔で3箇所に亘り突設されており、深部側方位設定キー53は、一の深部側係止片54bと対向する側に設けられているが、これに限定されるものではない。
【0029】
深部側方位設定キー53並びに深部側係止片54a〜54cは、それぞれ上下方向に向けて延長されているリブ形状とされている。この深部側方位設定キー53は、深部側係止片54a〜54cに対して、その上下方向の延長長さを長く構成している。
【0030】
図8は、浅部側台座50aにより係止される浅部側設置部40aの構成を示している。図8(a)は、浅部側設置部40aの側面図を、図8(b)は、後述する浅部側係止溝42bを中心とした側面図を示しており、図8(c)は、図8(a)におけるA−A´断面図を示している。
【0031】
浅部側設置部40aは、上下に貫通した浅部側案内溝41と、より径小の浅部側係止溝42a〜42cとが本体部39に形成されている。浅部側係止溝42a〜42cは、120°間隔で3箇所に亘り突設されており、浅部側案内溝41は、一の浅部側係止溝42bと対向する側に設けられているが、これに限定されるものではない。ちなみに、この浅部側案内溝41、浅部側係止溝42a〜42cの角度配置は、上述した浅部側方位設定キー51並びに浅部側係止片52a〜52cと同一とされていることが前提となる。この浅部側設置部40aには図示しない地震計が上方から、又は下方から設置されることになる。
【0032】
図9は、深部側台座50bにより係止される深部側設置部40bの構成を示している。図9(a)は、深部側設置部40bの側面図を、図9(b)は、後述する浅部側係止溝42bを中心とした側面図を示しており、図9(c)は、図9(a)におけるB−B´断面図を示している。
【0033】
深部側設置部40bは、上下に貫通した深部側案内溝43と、より径大の深部側係止溝44a〜44c並びに深部側係止溝44a〜44cの上端から上下に貫通したより径小の通過溝45a〜45cとが本体部39に形成されている。深部側係止溝44a〜44cは、120°間隔で3箇所に亘り突設されており、深部側案内溝43は、一の深部側係止溝44bと対向する側に設けられているが、これに限定されるものではない。ちなみに、この浅部側案内溝41、浅部側係止溝42a〜42cの角度配置は、上述した浅部側方位設定キー51並びに浅部側係止片52a〜52c、並びに深部側方位設定キー53並びに深部側係止片54a〜54cと同一とされていることが前提となる。この深部側設置部40bには図示しない地震計が上方から、又は下方から設置されることになる。
【0034】
図10に示すように、実際に浅部側設置部40a、深部側設置部40bを設置する際には、ロープ33により互いを連結した上でケーシングパイプ1a〜1c内へと吊下げていく。ケーシングパイプ1a〜1cには、図7に示すように浅部側から深部側にかけて浅部側台座50a、深部側台座50bが順に設けられている。このため、深部側設置部40bは、浅部側台座50aを通過させて深部側台座50bに係止させる必要があり、浅部側設置部40aは、浅部側台座50aに係止させる必要がある。
【0035】
深部側設置部40bを降下させる場合について以下説明をする。
【0036】
深部側設置部40bは、先ず深部側台座50bに到達する。このとき、深部側設置部40bにおける深部側案内溝43を浅部側方位設定キー51に通過させる。この深部側案内溝43は上下に貫通されているものであることから、これに嵌め込まれた浅部側方位設定キー51を通過させることが可能となる。また、径大の深部側係止溝44a〜44cは、それぞれ浅部側係止片52a〜52cに嵌め込まれることになる。深部側設置部40bをさらに降下させることにより、浅部側係止片52a〜52cが深部側係止溝44a〜44cの上端まで到達し、さらに通過溝45a〜45cを通過させることが可能となる。
【0037】
このように深部側設置部40bは、径小の浅部側方位設定キー51、浅部側係止片52a〜52cについてはいずれも通過可能な深部側案内溝43、通過溝45a〜45cが設けられている。このため、深部側設置部40bは、浅部側台座50aを通過させることが可能となる。
【0038】
更にこの深部側設置部40bを降下させると、深部側台座50bへと到達する。このとき、深部側案内溝43を深部側方位設定キー53により案内されて方位を設定するとともに、深部側係止溝44a〜44cを深部側係止片54a〜54cにより係止させることにより、これを深部側台座50bに係止させる。この深部側係止溝44a〜44cは、径大となっており、しかも深部側係止片54a〜54cも同様に径大とされていることから互いに係止させることが可能となる。
【0039】
浅部側設置部40aを降下させる場合について以下説明をする。
【0040】
浅部側設置部40aが先ず浅部側台座50aに到達する。このとき、浅部側案内溝41を浅部側方位設定キー51により案内されて方位を設定するとともに、浅部側係止溝42a〜42cを浅部側係止片52a〜52cにより係止させることにより、これを浅部側台座50aに係止させる。この浅部側係止溝42a〜42cは、径小となっており、しかも浅部側係止片52a〜52cも同様に径大とされていることから互いに係止させることが可能となる。
【0041】
図11は、最終的に、浅部側設置部40aを浅部側台座50aに、また深部側設置部40bを深部側台座50bに取り付けた例を示している。本発明では、このようにして地震計がそれぞれ設置された浅部側設置部40a、深部側設置部40bを多段に亘って吊り降ろして、それぞれ台座50a、50bに容易に係合させ、しかもその地震計の方位を正確に合わせることが可能となる。
【符号の説明】
【0042】
1 ケーシングパイプ
4 ライナーハンガーシステム
11 ライナーハンガー
12 スリップ
13 溝
14 軸
15 スリップ
21 スリップ戻り防止加工
30 地震計
39 本体部
40a 浅部側設置部
40b 深部側設置部
41 浅部側案内溝
42 浅部側係止溝
43 深部側案内溝
44 深部側係止溝
45 通過溝
46 管体
50 台座
50a 浅部側台座
50b 深部側台座
51 浅部側方位設定キー
52 浅部側係止片
53 深部側方位設定キー
54 深部側係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に設置されたケーシングパイプと、
上記ケーシングパイプにそれぞれ取り付けられた管状の浅部側台座並びに深部側台座と、
地震計がそれぞれ設置されるとともに、上から順に吊下げられた浅部側設置部並びに深部側設置部とを備え、
上記浅部側台座は、浅部側方位設定キーと、複数からなる径小の浅部側係止片とが管体内側に突設され、
上記深部側台座は、深部側方位設定キーと、複数からなる径大の深部側係止片とが管体内側に突設され、
上記浅部側設置部は、上下に貫通した浅部側案内溝と、より径小の浅部側係止溝とを有し、上記浅部側案内溝が浅部側方位設定キーにより案内されて方位が設定されるとともに、上記浅部側係止溝が上記浅部側係止片により係止され、
上記深部側設置部は、上下に貫通した深部側案内溝と、より径大の深部側係止溝並びに上記深部側係止溝の上端から上下に貫通したより径小の通過溝とを有し、上記深部側案内溝が深部側方位設定キーにより案内されて方位が設定されるとともに、上記深部側係止溝が上記深部側係止片により係止されること
を特徴とする地震観測井。
【請求項2】
地中にケーシングパイプを設置し、
上記ケーシングパイプの内周壁に、浅部側方位設定キーと複数からなる径小の浅部側係止片とが管体内側に突設された浅部側台座、並びに深部側方位設定キーと複数からなる径大の深部側係止片とが管体内側に突設された深部側台座をそれぞれ取り付け、
地震計がそれぞれ設置され、上下に貫通した浅部側案内溝並びにより径小の浅部側係止溝とを有する浅部側設置部と、上下に貫通した深部側案内溝、径大の深部側係止溝並びに上記深部側係止溝の上端から上下に貫通したより径小の通過溝とを有する深部側設置部とを、上から順に吊下げ、
上記深部側設置部を降下させる際には、深部側案内溝を上記浅部側方位設定キーに通過させるとともに、上記通過溝を上記浅部側係止片に通過させることにより、上記浅部側台座内を通過させ、更に上記深部側案内溝を深部側方位設定キーにより案内されて方位を設定するとともに、上記深部側係止溝を上記深部側係止片により係止させることにより、これを深部側台座に係止させ、
上記浅部側設置部を降下させる際には、上記浅部側案内溝を上記浅部側方位設定キーにより案内させて方位を設定するとともに、上記浅部側係止溝を上記浅部側係止片により係止させることにより、これを浅部側台座に係止させること
を特徴とする地震観測井における地震計の設置方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−215088(P2011−215088A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85585(P2010−85585)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(592003441)帝石削井工業株式会社 (2)
【出願人】(000121844)応用地質株式会社 (36)