説明

均一な光供給源を提供するシステムおよび方法

均一な光供給源を提供するシステムである。このシステムは、光源からの光を受ける入力表面、および光を発する出力表面を有するライト・パイプを備える。このシステムはまた、光を受けるようにライト・パイプの出力表面に隣接して位置決めされた入口表面、および光を発する出口表面を有する光学要素を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年5月21日に提出され、その内容を本明細書に参照として援用する、前の米国仮特許出願第60/472499号の優先権の利益に基づき、これを請求するものである。
【0002】
本発明は概して、プロジェクション・ディスプレイ装置の照明システムおよび方法に関し、より詳細には、均一な光供給源を提供するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プロジェクション・ディスプレイ装置はしばしば、光学要素と、光学要素を照らす均一な光供給源を備えている。しかし、多くの光源は、プロジェクション・ディスプレイ装置を照らすのには空間的に十分均一ではない。このような非均一光源によって生成される光の均一性を改善するのにライト・パイプが普通は使用され、それによってプロジェクション・ディスプレイ装置内に照明光学素子用の均一な光源が作り出される。ライト・パイプは一般に、(1)管が高反射内壁を有する(例えば、その内壁に高反射コーティングを有する)中空トンネルとして、または(2)中実ガラス棒が光学的に透明な媒体を有する中実部材としての2つの普通の形態の1つで構成されている。形態(2)では、ライト・パイプは中実部材内に光を入れるように、全反射(TIR)によるものである。ライト・パイプはまた、(3)クラッド・ライト・パイプであってもよい。クラッド・ライト・パイプは、(端部を除いて)ライト・パイプを囲む材料(例えば、ガラスまたはプラスチック)の薄いコーティングまたは層を有するライト・パイプである。そのコーティングまたは層は、ライト・パイプと比べて、低い屈折率を有する。
【0004】
ライト・パイプは、非均一光を与える光源からの光を受けるように構成された入力端部(または入力面)と、発光するように構成された出力端部(または出力面)とを有することができる。入力および出力端部は、ライト・パイプの伝導効率を良くするように反射防止コーティングを有することができる。光が入力端部から出力端部まで通過するので、ライト・パイプは光を多数の反射を通して干渉または混合することを可能にするように構成することができる。その結果、ライト・パイプの出力端部から出る光は実質的に、ライト・パイプの入力端部に入る光よりも空間的に均一とすることができる。したがって、ライト・パイプは光源によって供給される光の均一性を実質的によくすることができ、その結果、高い均一性を有する光源になる。プロジェクション・ディスプレイ装置では、ライト・パイプの出力端部は普通はマイクロディスプレイ装置にイメージ化される。マイクロディスプレイ装置はその後、視聴者が観る画面上にプロジェクション・レンズによって再びイメージ化される。
【0005】
中実なライト・パイプを使用するいくつかの欠点は、出力面は構造的欠陥(例えば、かき傷、縁部チップ、または穴)、コーティング欠陥(例えば、変色)、または表面汚染物質(例えば、塵、油、汚れ、指紋など)を得る可能性があり、それらの全ては画面上に示される画像を変える可能性があることである。すなわち、縁部チップは、光の漏れ、「カラスの足跡」加工物、画像加工物および結合の問題を引き起こす可能性がある。また、塵は暗い領域が画面上に現れる可能性がある。例えば、塵はライト・パイプの入力および出力面の温度が高いことにより、出力面の上に集まるおよび/またはこれに融合することがある。塵は、ライト・パイプの出力面上に暗い領域を作り出し、最終的に暗い領域が画面上に現れ、それによって視聴者が観る画像の品質に悪影響を与える可能性がある。従来、ライト・パイプの入力および出力面に塵のない環境を作り出すことによって、暗い領域は最小限に抑えられてきた。しかし、この解決法は普通は不都合であり、ライト・パイプ、光学要素、およびプロジェクション・ディスプレイ装置全体周辺の装置にかなりの費用および複雑さを加える可能性がある。
【0006】
従来のライト・パイプ解決法を使用する別の欠点は、デジタル・マイクロミラー装置(DMD)などのマイクロディスプレイ装置(例えば、デジタル光処理(DLP)プロジェクタに見られるようなTexas InstrumentsからのDMD)を使用した場合に、照明が間接的に行われるということである。このようなシステムでは、DMD平面は入射照明光および照明システムの光学軸に対して傾斜している。効果的には、これはライト・パイプの出力面の画像がDMD平面に対して傾斜しており、2つの平面は共通の焦点の単一の線だけを共有しているということである。理想的な状況では、2つの平面は一致する。このような傾斜した照明システムおよび非一致焦点による望ましくない影響としては、ライトボックスに対する不鮮明な縁部、悪化した照明均一性、および効率損失が挙げられる。
【0007】
したがって、均一な光供給源を提供するシステムおよび方法の必要性があることを理解すべきである。本発明は、この必要性およびその他のことを実現する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、中実なライト・パイプの端部における塵およびコーティング欠陥の問題をなくすシステムおよび方法を提供することである。また、本発明の目的は傾斜またはオフ−アクシス(off−axis)・ディスプレイ装置を効率的に照明する、または傾斜した角度でディスプレイ装置を効率的に照明するシステムおよび方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の照明システムは、マイクロディスプレイへの光源からの光学要素を含むことができる。光学要素はこれに限らないが、マイクロディスプレイ、リレー光学素子、フィルタ、プリズム、ミラー、リターダ、および分極構成要素を含むことができる。
【0010】
本発明の一実施形態は、均一な光供給源を提供するシステムである。システムは、光源から光を受ける入力表面、および光を発する出力表面を有するライト・パイプを備える。システムはまた、光を受けるライト・パイプの出力表面に隣接して位置決めされた入口表面、および光を発する出口表面を有する光学要素を備える。ライト・パイプの出口表面は、マイクロディスプレイ装置の上にイメージ化される。
【0011】
本発明の一実施形態は、第1の平面を画定し、光を受けるように構成された入力表面、および光を伝搬するように構成された出力表面を有するライト・パイプを備える照明システムである。照明システムはまた、ライト・パイプの出力表面に連結された入口表面、および第1の平面に実質的に平行な第2の平面を画定する出口表面を有する光学要素を備える。
【0012】
本発明の一実施形態は、光ビームを作る光源と、光源からの光ビームを受ける入力平面を画定する入力表面、および出力平面を画定する出力表面を有するライト・パイプとを備える光学システムである。光学システムはまた、ライト・パイプの出力表面に接触する入口表面、および出力平面が出口平面に対して傾斜する、出口平面を画定する出口表面を有する光学装置を備える。したがって、出力平面は出口平面と交差する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の正確な性質と、その目的および利点は、添付の図面と合わせて以下の明細書を考慮して、すぐに明らかになるだろう。同様の参照番号は、図面全体を通して同様の部品を示す。
【0014】
次に、本発明の好ましい実施形態に言及する。その例は、添付の図面に示されている。本発明は好ましい実施形態と合わせて説明するが、これらの実施形態は本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解するものとする。これに対して、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定された本発明の精神および範囲内に含まれ得る、代替形態、変更形態、および同等物を含むことを意図している。以下の詳細な説明では、本発明の徹底的な理解を与えるため、いくつかの特定の詳細が記載されている。しかし、本発明をこれらの特定の詳細なしで実施できることは、当業者は理解するだろう。他の例では、本発明の重要な態様を不必要に曖昧にしないように、よく知られているシステム、構成部品、方法、および手順は詳細には説明しない。分かるように、本発明の様々な実施形態を本明細書で説明し、図に示す。
【0015】
図1Aは、ライト・パイプ105、およびライト・パイプ105に取り付けられた、またはそれに隣接して位置決めされた板110を備える照明システム100の側面図である。ライト・パイプ105は、光源からの光を受ける入力表面115と、発光する出力表面120とを有する。入力表面115は入力平面を画定する。光は、入力表面115でライト・パイプ105に入り、多数の内部反射によりライト・パイプ105の内側で混合し、出力表面120でライト・パイプ105から出る。ライト・パイプ105は、TIRを示すことができ、屈折率を有するガラス、プラスチック、または他の光学材料などの中実な光透過材料で作製することができる。ライト・パイプ105は、多角形(例えば、4辺多角形)、台形、平行四辺形、六角形、四角形、矩形、円筒形、楕円形、円形、または光を透過することが可能なあらゆる他の形状に形成することもできる。
【0016】
板110は、ライト・パイプ105の出力表面120から光を受ける入口表面125、および発光する出口表面130を有する。ライト・パイプ105の出力表面120は、マイクロディスプレイ装置の上にイメージ化される。板110の入口表面125は、ライト・パイプ105の出力表面120に隣接して位置決めされており、好ましくはこれに光学接触している。出口表面130は、ライト・パイプ105を通って進む光によって画定された光学軸に実質的に垂直である出口平面を画定する。出力表面120は出力平面を画定する。いくつかの実施形態では、出力平面は入力平面および/または出口平面に対して傾斜していてもよいし、またはこれと平行であってもよい。いくつかの実施形態では、入力平面は出力平面および/または出口平面に対して傾斜していてもよいし、またはこれと平行であってもよい。
【0017】
板110は、TIRを示すことが可能であり、屈折率を有するガラス、プラスチック、または他の光学材料などの中実な光透過材料で作製することができる。板110はライト・パイプ105と同じ材料でできていることが好ましい。一実施形態では、板110の屈折率は、ライト・パイプ105の屈折率と実質的に同じである。2つの要素の屈折率が実質的に同じであることにより、ライト・パイプ105と板110の間のインターフェイスでのフレネル反射損失が最小限に抑えられる。板110は、多角形(例えば、4辺多角形)、台形、平行四辺形、六角形、四角形、矩形、円筒形、楕円形、円形、または光を透過することが可能なあらゆる他の形状に形成することもできる。
【0018】
出力表面120は、熱的に頑丈な光透過接着剤135を使用して、入口表面125に結合することができる。一実施形態では、結合は「光学接触」によって形成することができる。一実施形態では、Connecticut州、TorringtonのDYMAX社が製造する光透過接着剤135を使用して、入口表面125を出力表面120に接着または取り付けることができる。光透過接着剤135は、紫外線(UV)硬化光学セメントまたは熱光学セメントなどの透明な光学セメントであってもよい。普通は、光透過接着剤135は、出力表面120と入口表面125の間に塗布され、光または画像を遮断、破壊、または実質的に変更することなく、光または画像を光透過接着剤135を(すなわち、ライト・パイプ105から板110まで)通過させることが可能である薄い透明なコーティングである。光透過接着剤135は、ライト・パイプ105の出力表面120に現れるあらゆるかき傷、縁部チップ、または穴内に充填することができる。
【0019】
板110は有利には、構造的欠陥および被覆欠陥がライト・パイプ105の出力表面120上に現れないようにすることによって、視聴者が観る画像の品質を改善する。例えば、板110は実質的に、塵がライト・パイプ105の出力表面120上に集まらないようにする。したがって、塵はマイクロディスプレイ装置または画面の結合平面ではない、板110の出口表面130上に集まるだけである。出力表面120上に現れる光または画像は、マイクロディスプレイ装置または画面の上でイメージ化される。板110は最小厚さ(例えば、約1.0mmの最小厚さ)を有するので、板110の出口表面130上に現れるあらゆる構造的欠陥および被覆欠陥は、視聴者にはほとんど見分けがつかないように、焦点外から外れている。
【0020】
加えて、反射防止コーティングは、ライト・パイプ105の出力表面120から板110の出口表面130に移動されることができ、それによって最終画像上に見える不完全な加工物の一部または全てを取り除くこともできる。したがって、板110により1つまたは複数の反射防止コーティング(例えば、出力表面120上のもの、および入口表面125上のもの)をなくすことが可能になる。板110は、ライト・パイプ105を正確に位置決めするように照明システム100の機械部(図示せず)に取り付けることが可能であり、それによってライト・パイプ105の出力表面120を離れる光または画像が、マイクロディスプレイ装置または画面の上に適切にイメージ化される。これにより、ライト・パイプ105のTIRに影響を与える、またはこれを破壊する可能性のある、機械部をライト・パイプ105に連結する必要がなくなる。
【0021】
図1Bは、ライト・パイプ105の出力表面120、および板110の出口表面130を示す、図1Aの照明システム100の端面図である。図1Bに示すように、出力表面120は矩形の形状であり、出口表面130は楕円形の形状である。出力表面120はライト・パイプ105と同じまたは異なる形状に形成することができ、出口表面130は板110と同じまたは異なる形状に形成することができる。例えば、ライト・パイプ105は四角形の形状に形成することができ、出力表面120は矩形の形状に形成することができる。また、ライト・パイプ105の形状は板110の形状と同じであってもよい。一実施形態では、出力表面120の表面積は、出口表面130の表面積より小さい。一実施形態では、出力表面120の周囲長さは出口表面130の周囲長さより短い。
【0022】
図2Aは、ライト・パイプ205、およびライト・パイプ205に取り付けられた、またはこれに隣接して位置決めされたプリズム210を備える照明システム200の側面図である。プリズム210の特徴、特性、および機能のいくつかは、板110と同じまたは同様である。光を、機械的または幾何的システムの制約によって曲げる必要があり、空気中に置かれた高反射鏡などの他の方法を使用して曲げることができない、f/1以下のf数で光ビームを急速に収束または分岐する曲げを可能にする状況で、プリズム210を使用することができる。したがって、プリズム210により光を曲げることが可能になり、さらに本発明の利点が維持される。光がプリズム210に入ると、出口表面230に向かってかつそれを通して表面240から反射される。表面240は、加えられる高反射コーティングを有することができ、またはいくつかの場合では、反射がTIRによって達成される。図2Bは、ライト・パイプ205の出力表面220、およびプリズム210の表面240を示す、図2Aの照明システム200の端面図である。
【0023】
図3Aは、ライト・パイプ305、およびライト・パイプ305に取り付けられた、またはこれに隣接して位置決めされたレンズ310を備える照明システム300の側面図である。レンズ310の特徴、特性、および機能のいくつかは、板110と同じまたは同様である。レンズ310の1つの利点は、板110およびリレー・レンズの光学要素の機能を組み合わせて単一の構成部品にすることである。これにより、照明システム300内の1つまたは複数の反射防止コーティングの必要がなくなり、それによってシステム効率がよくなり、費用が少なくなる。図3Bは、ライト・パイプ305の出力表面320、およびレンズ310の出口表面330を示す、図3Aの照明システム300の端面図である。
【0024】
図4Aは、ライト・パイプ405、およびライト・パイプ405に取り付けられた、またはこれに隣接して位置決めされた楔410を備える照明システム400の側面図である。例示的実施形態として図4Aに示すように、ライト・パイプ405の出力表面420は、ライト・パイプ405を通って進む光によって画定された光学軸に対して切られ、角度付けされ、または傾斜している。傾斜した出力表面420は、傾斜したまたは傾斜して照らされた画像平面の上での最適なイメージ化用の傾斜した対象平面として働くこともできる。楔410の入口表面425は、ライト・パイプ405の出力表面420と実質的に同じ角度で切られ、角度付けされ、または傾斜している。すなわち、楔410は、楔410の入口表面425がライト・パイプ405の出力表面420と同じ角度で傾斜するように設計されている。角度は、約0度から約90度のまでであってもよく、好ましくはTexas Instruments Mustang HD−2 DLPマイクロディスプレイでは、約3度から約8度である。出力表面420が傾斜しない場合、入口表面425は同様にかつ実質的には傾斜しない。ライト・パイプ405は楔410に結合されることができる。
【0025】
楔410の出口表面430は傾斜していなくてもよく、ライト・パイプ405を通って進む光の光学軸に実質的に垂直なままであってもよい。すなわち、入力表面415は第1の平面を画定し、出口表面430が第2の平面を画定し、第1の平面は第2の平面に実質的に平行である。出口表面430は反射防止コーティングまたは材料で覆うこともできる。楔410の特徴、特性、および機能のいくつかは、板110と同様である。ライト・パイプ405の出力表面420は、マイクロディスプレイの上でイメージ化される。傾斜した出力表面420により、画面をマイクロディスプレイの平面に一致させることが可能である。楔410の1つの利点は、照明システム400内でシャインプルーク(Scheimpflug)補正を行うことである。図4Bは、ライト・パイプ405の出力表面420、および楔410の出口表面430を示す、図4Aの照明システムの端面図である。図4Bに示すように、出力表面420は多角形形状をしており、それによって有利には、マイクロディスプレイ平面での最適な照明が可能になる。
【0026】
光損失を少なくするように、入力表面415を反射防止コーティングで被覆することができる。したがって、光はTIRによってライト・パイプ405を下って進むように制限され、このようなTIRにより、混合または均質化される、あるいは入力表面415でライト・パイプ405に入る光よりも実質的により空間的に均一になる。したがって、その切られた出力表面420でライト・パイプ405を離れる光は発光がより均一である。出力表面420は多角形形状をしている。一実施形態では、ライト・パイプ405の出力表面420は被覆されていなくてもよい。一実施形態では、ライト・パイプ405の断面は、ライト・パイプ405の出力表面420の画像をマイクロディスプレイ装置の側面と平行にするように、ある角度で傾斜した1つまたは複数の辺を有する多角形の形状に構成されている。傾斜した出力表面420は有利には、TIRプリズムを使用しても、使用しなくても、DLPプロジェクタで見られるものなどの、傾斜画像平面の上で画像をイメージ化するための最適かつ改善された条件を提供する。
【0027】
図5Aは、ライト・パイプ505、およびライト・パイプ505に取り付けられ、またはこれに隣接して位置決めされた楔形レンズ510を備える照明システム500の側面図である。一実施形態では、光学パワーを有する要素(例えば、プリズム210、レンズ310、または楔形レンズ510)を、光学パワーがない要素(例えば、板110)を使用する代替形態として、ライト・パイプ505の出力表面520に隣接して、またはこれに接触するように位置決めすることができる。パワーのある要素を出力表面520に隣接して、またはこれに接触するように位置決めすることにより、ライト・パイプ505は有利には、板110、レンズ310、および楔410の利点を組み合わせて単一の構成部品とし、照明光学リレーを単純化および/または短縮することが可能になり、また画像品質を良くすることができる。当業者は、板110、プリズム210、レンズ310、楔410、および楔形レンズ510の1つまたは複数を組み合わせることができる。図5Bは、ライト・パイプ505の出力表面520、および楔形レンズ510の出口表面530を示す、図5Aの照明システム500の端面図である。
【0028】
図6は、この開示で説明するような、本発明のライト・パイプおよび光学要素の何れかで使用できる、例示的な照明システム600を示す。照明システム600は、光源605からプロジェクション画面640への要素を備えることができる。要素としてはこれに限らないが、光源605、ライト・パイプ405、楔410、リレー・レンズ610、620、光学止め615、プリズム625(例えば、TIRプリズム)、マイクロディスプレイ平面を画定するマイクロディスプレイ630(例えば、DMD)、プロジェクションレンズ635、およびプロジェクション画面640を挙げることができる。光学リレー、フィルタ、ミラー、リターダ、および分極構成要素などの他の要素も、照明システム600内で使用できる。
【0029】
図7Aは、ライト・パイプ105の出力表面120の断面図である。図示するように、出力表面120は矩形の形状をしている。図7Bは、ライト・パイプ105の出力表面120が矩形の形状をしている場合のマイクロディスプレイ平面700での照明領域710の形状と、マイクロディスプレイ630の動的領域705とを示す。マイクロディスプレイ630の動的領域705は全体的に矩形の形状をしている。出力表面120が矩形である場合、マイクロディスプレイ平面700上に現れる画像710は不規則な形状をしており、画像710の外部は焦点外である。マイクロディスプレイ630の斜め照明によって、不規則な形状および焦点の問題が起こる。したがって、画像の動的(すなわち、焦点)部705の光度が、画像710の外部で損失した光により小さくなる。
【0030】
図8Aは、ライト・パイプ505の出力表面520の断面図である。図示するように、出力表面520は角度付けされており、矩形の形状をしている。図8Bは、ライト・パイプ505の出力表面520が角度付けされ、矩形の形状をしている場合の、マイクロディスプレイ平面800での照明領域810の形状と、マイクロディスプレイ630の動的領域805とを示す。マイクロディスプレイ630の動的領域805は全体的に矩形の形状をしている。出力表面520が角度付けされている場合、マイクロディスプレイ平面800上に現れる画像810は不規則な形状をしているが、実質的には焦点内にある。角度付けされた出力表面520は有利には、マイクロディスプレイ平面800上に画像810のオーバーフィル(overfill)をあまり提供しない。したがって、焦点部から外れていることによりあまり光が失われず、それによって画像がより大きなコントラストを有することになる。
【0031】
図9Aは、ライト・パイプ405の出力表面420の断面図である。図示するように、出力表面420は角度付けされており、多角形の形状をしている。図9Bは、ライト・パイプ405の出力表面420が角度付けされ、多角形の形状をしている場合の、マイクロディスプレイ平面900での照明領域910の形状と、マイクロディスプレイ630の動的領域905とを示す。マイクロディスプレイ630の動的領域905は全体的に矩形の形状をしている。出力表面420が角度付けされ、多角形の断面をしている場合、マイクロディスプレイ平面900上に現れる画像910は矩形の形状をしており、画像は実質的に焦点内にある。角度付けされた多角形の出力表面420は、有利にはマイクロディスプレイ平面900上に矩形に形成された画像を提供し、画像のオーバーフィルはあまり提供しない。したがって、角度付けされた多角形の出力表面420のおかげで、焦点部外であることによる光があまり失われず、それによって潜在的により均一で、より効率的で、より高いコントラストの照明システムが得られる。
【0032】
本発明のいくつかの利点としては、(1)イメージャを斜めに照明した場合のイメージ化性能の度合がより高いこと、(2)照明リレーにおける傾斜および偏心光学要素が少なくなり、設計が単純化し、費用が少なくなること、(3)塵加工物抑制、(4)反射防止コーティング表面の数が少なくなったこと、(4)板がライト・パイプを取り付けるのに適した表面であること、(5)イメージャに中継されたコーティング欠陥加工物がなくなったこと、(6)ライト・パイプから出る光がテレセントリックなままであること、(7)TIRプリズムを備えているのと、備えていない両方のDLPプロジェクション・システムの適用性、および(8)DLPプロジェクション・システムのルーメン出力が大きいことが挙げられる。したがって、本発明により使用者は、傾斜したまたは斜めに照らされた画像をより効率的に照明し、同時に従来のライト・パイプによって作られた照明加工物を最小限に抑えることが可能になる。本発明は、コンピュータ・プレゼンテーションで使用される前面プロジェクション・システムにおける応用例と、TIRプリズムを備えているのと、備えていない両方のDLPプロジェクタを含む新しい背面プロジェクション・モニタおよびテレビ製品で使用される応用例を有する。また、デジタル映画で使用されるような、高輝度プロジェクション・システムに対する応用例を有する。したがって、本発明は利用可能なプロジェクション・システムの品質を良くする。加えて、本発明は前面および背面プロジェクション応用例用のDLPおよび他の斜めに照らされたマイクロディスプレイにテレセントリックで均一な光供給源を提供する。本発明はまた、照明光学素子を軸上にあるままにすることを可能にすることによって、照明リレー・オプトメカニカル設計を単純化する。傾斜または軸外照明要素の数を最小限に抑えながら、傾斜画像で使用するのに最適であるライト・パイプ設計は、よりルーメン効率が良いだけでなく、照明光学素子の費用を少なくする。他の利点は当業者には自明であろう。
【0033】
本発明の例示的実施形態をよく示し、説明したが、上記パラグラフに記載したものに加えて、多くの他の変更、組み合わせ、省略、変形、および置換を、必ずしも本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者は行うことができる。したがって、本発明は好ましい実施形態によって制限されるものではなく、添付の特許請求の範囲の言及によって規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1Aは、本発明の実施形態による、ライト・パイプ、およびライト・パイプに取り付けられた、またはこれに隣接して位置決めされた平面を備える照明システムの側面図である。 図1Bは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの出力表面、および平面の出口表面を示す、図1Aの照明システムの端面図である。
【図2】図2Aは、本発明の実施形態による、ライト・パイプ、およびライト・パイプに取り付けられた、またはこれに隣接して位置決めされたプリズムを備える照明システムの側面図である。 図2Bは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの出力表面、およびプリズムの表面を示す、図2Aの照明システムの端面図である。
【図3】図3Aは、本発明の実施形態による、ライト・パイプ、およびライト・パイプに取り付けられた、またはこれに隣接して位置決めされたレンズを備える照明システムの側面図である。 図3Bは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの出力表面、およびレンズの出口表面を示す、図3Aの照明システムの端面図である。
【図4】図4Aは、本発明の実施形態による、ライト・パイプ、およびライト・パイプに取り付けられた、またはこれに隣接して位置決めされた楔を備える照明システムの側面図である。 図4Bは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの出力表面、および楔の出口表面を示す、図4Aの照明システムの端面図である。
【図5】図5Aは、本発明の実施形態による、ライト・パイプ、およびライト・パイプに取り付けられた、またはこれに隣接して位置決めされた楔形レンズを備える照明システムの側面図である。 図5Bは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの出力表面、および楔形レンズの出口表面を示す、図5Aの照明システムの端面図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態による、ライト・パイプおよび光学要素のどれと共にでも使用され得る例示的な照明システムを示す図である。
【図7】図7Aは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの出力表面の断面図である。 図7Bは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの出力表面が矩形の形状をしている場合の、マイクロディスプレイ平面の照明領域の形状と、マイクロディスプレイの動的領域を示す図である。
【図8】図8Aは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの角度付けされた出力表面の断面図である。 図8Bは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの出力表面が角度付けされ、矩形の形状を有する場合の、マイクロディスプレイ平面の照明領域の形状と、マイクロディスプレイの動的領域を示す図である。
【図9】図9Aは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの角度付けされた多角形出力表面の断面図である。 図9Bは、本発明の実施形態による、ライト・パイプの出力表面が角度付けされ、多角形形状を有する場合の、マイクロディスプレイ平面の照明領域の形状と、マイクロディスプレイの動的領域を示す図である。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図4A】

【図4B】

【図5A】

【図5B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源からの光を受ける入力表面、および前記光を発する出力表面を有するライト・パイプと、
前記光を受けるために前記ライト・パイプの前記出力表面に隣接して位置決めされた入口表面、および前記光を発する出口表面を有する光学要素とを備える、均一な光供給源を提供するシステム。
【請求項2】
前記ライト・パイプは第1の屈折率を有し、前記光学要素は前記第1の屈折率と実質的に同じ第2の屈折率を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ライト・パイプの前記出力表面は、前記光学要素の前記入口表面と接触している、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記出口表面は、前記ライト・パイプを通して進む前記光によって画定された光学軸に実質的に垂直である平面を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記光学要素は、板、プリズム、レンズ、楔、および楔形レンズからなる群から選択された、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記出口表面はダイクロイック・フィルタ・コーティングを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記出口表面は分極化材料を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記光学要素の前記出口表面は、反射防止コーティングを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記出力表面は第1の表面積を有し、前記出口表面は前記第1の表面積より大きい第2の表面積を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記出力表面は第1の周囲長さを有し、前記出口表面は前記第1の周囲長さより大きな第2の周囲長さを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
第1の平面を画定し、光を受けるように構成された入力表面、および前記光を伝搬するように構成された出力表面を有するライト・パイプと、
前記ライト・パイプの前記出力表面に連結された入口表面、および前記第1の平面に実質的に平行な第2の平面を画定する出口表面を有する光学要素とを備える照明システム。
【請求項12】
前記光学要素は、板、プリズム、レンズ、楔、および楔形レンズからなる群から選択された、請求項11に記載の照明システム。
【請求項13】
前記ライト・パイプの前記出力表面は、前記ライト・パイプによって画定された軸に対して第1の角度をした平面を画定する、請求項11に記載の照明システム。
【請求項14】
前記入口表面は、前記第1の角度と実質的に同じである第2の角度をした平面を画定する、請求項13に記載の照明システム。
【請求項15】
前記ライト・パイプの前記出力表面は、前記ライト・パイプを通って進む前記光によって画定された軸に対して第1の角度をした平面を画定する、請求項11に記載の照明システム。
【請求項16】
前記入口表面は、前記第1の角度と実質的に同じである第2の角度をした平面を画定する、請求項15に記載の照明システム。
【請求項17】
前記光学要素の前記入口表面は、光透過接着剤を使用して、前記ライト・パイプの前記出力表面に連結される、請求項11に記載の照明システム。
【請求項18】
前記光学要素は光学パワーを有する、請求項11に記載の照明システム。
【請求項19】
光ビームを作る光源と、
前記光源からの前記光ビームを受ける入力平面を画定する入力表面、および出力平面を画定する出力表面を有するライト・パイプと、
前記ライト・パイプの前記出力表面に接触する入口表面、および前記出力平面が出口平面に対して傾斜している前記出口平面を画定する出口表面を有する光学装置とを備える光学システム。
【請求項20】
さらに、前記出力平面に結合したディスプレイ平面を画定するマイクロディスプレイ装置を備える、請求項19に記載の光学システム。
【請求項21】
さらに、前記光学装置と前記マイクロディスプレイ装置の間に光学的に位置決めされた光学リレーを備える、請求項20に記載の光学システム。
【請求項22】
前記出力表面は多角形の形状をしており、それによって前記マイクロディスプレイ装置上に現れる前記出力表面の画像は実質的に矩形の形状をしている、請求項20に記載の光学システム。
【請求項23】
前記光学装置は、板、プリズム、レンズ、楔、および楔形レンズからなる群から選択された、請求項19に記載の光学システム。
【請求項24】
さらに、前記マイクロディスプレイ装置に隣接して位置決めされたプリズムを備える、請求項19に記載の光学システム。
【請求項25】
前記プリズムは全反射プリズムである、請求項23に記載の光学システム。
【請求項26】
前記入力平面は前記出口平面に実質的に平行である、請求項19に記載の光学システム。

【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公表番号】特表2007−502453(P2007−502453A)
【公表日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533200(P2006−533200)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/015608
【国際公開番号】WO2004/106980
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(502151820)ジェイディーエス ユニフェイズ コーポレーション (90)
【氏名又は名称原語表記】JDS Uniphase Corporation
【住所又は居所原語表記】1768 Automation Parkway,San Jose,California,USA,95131
【Fターム(参考)】