説明

均一性補正のためのフロントレンズシャッター取り付け

レンズと、(例えば焦点面アレイなどの)検出器アレイと、信号処理モジュールと、シャッターを含むイメージングシステムであって、該シャッターは(該レンズと撮像されているシーンの間の)レンズの前に配置されている。このフロントレンズシャッター取り付け構成により、内部放射束及び従来のシステムに関連する他の欠陥を補うためのオフセット補正が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、全体が参照によりここに組み込まれる2002年9月20日に出願された米国仮出願第60/412,377号の利点を主張する。
【0002】
本発明はイメージングシステムに関し、より詳細には改善された均一性補正(uniformity correction)のためのシャッター位置選定技法に関する。
【背景技術】
【0003】
イメージングシステムには、軍事用の目標設定及び暗視システム、市販のデジタルカメラなどの多くの応用がある。典型的なイメージングシステムは、一般的に、絞りを介して焦点面アレイ(focal plane array)(FPA)の上に光または放射線を集中させるように構成されるレンズを含んでいる。シャッターは、レンズとFPAの間に挟まれ、FPA上で画面が撮像されるのを防ぐために動作する。該シャッターは、通常、ほとんど常に開いており、校正中の短期間閉じられる。
【0004】
背景雑音を削減するために、FPAは多くの場合低温、通常は150K未満に冷却される必要がある。隔壁からの背景信号を削減するため、隔壁は冷却されなければならないか、または隔壁をFPA検出器の視野から遮るために適切に配置される光常温抑制装置(optical cold stop)と連動して再イメージング光学設計を使用しなければならないかのどちらかである。このような技法により高い信号対雑音比を維持することができる。しかしながら低温冷却されたIRイメージングシステムは相対的に高価であり、低温状態の維持に関係する多くの困難に結び付いている。
【0005】
マイクロボロメータ(microbolometer)は室温近くで動作し、それによりシステムのコスト及び複雑さを削減するだけではなく、低温冷却に対するニーズを排除する別の型のIR FPAである。熱電冷却器はFPAの裏面に取り付けることができ、温度制御器及び検知方式はFPAの温度、及び室温(約22℃)でのその収納を安定化するために利用される。しかしながら、このようなマイクロボロメータは低温冷却式イメージャと同じ高感度を達成することはできない。光学系、シャッター、及び隔壁からのIR背景信号に起因した雑音は、ちょうど低温冷却(cryocooled)イメージャ内でのように存在している。さらに、冷却されていない(uncooled)イメージャは、冷却式FPA検出器を有するイメージャには存在していない周囲温度の未冷却検出器及びこれの読み出し回路のために雑音を増した。
【0006】
さらに、マイクロボロメータは、以下の4つの要因の結合によって引き起こされる過剰な空間的な不均一性を被る場合がある。つまり(1)マイクロボロメータ検出器はDC結合式である。(2)マイクロボロメータ検出器が見るステラディアンス(steradiance)は、アレイ内の検出器の空間位置に従って変化する。(3)その光学系、シャッター、FPA及び隔壁を含む撮像装置は等温性ではない。及び(4)セットアップ校正は、シャッターが不適切に配置された状態で実行される。
【0007】
さらに詳細には、IRシーンがない場合にFPAの各ピクセルにより提供されるDC背景信号は、低温冷却式システムと比べ、低温ではないシステムにおいて実質的にさらに高い。これらのDC背景信号は、より低い信号対雑音比及び圧縮されたダイナミックレンジにつながる。DC背景信号は、通常AC結合方法または控除法で除去できる。しかしながら、これは信号対雑音比を改善しない。事実、背景控除は多くの場合信号対雑音比を悪化させる。
【0008】
DC背景信号を補償するために、FPAがIRシーンから遮断され、DC背景信号がFPAの各ピクセルによって生成される場合に、校正プロセスを実行することができる。各ピクセルの平均的なDC背景信号により与えられるシステムDC背景信号は、ピクセル単位で提供される。IRシーンが撮像されるとき、既知のDC背景信号に起因するオフセットが原因とされ、撮像されたIRシーンに起因する実際の信号が計算され、それにより補正シーン画像信号を提供する。
【0009】
イメージングシステムのDC背景信号は、カメラの絞りを遮るためのシャッターを設けることにより視野内で周期的に決定できる。該校正手順は、通常、該イメージングシステムの電源が入れられるたびに実行され、その結果新しいシステムDC背景信号が電源投入セッションのたびに利用できる。イメージングシステムが、通常の撮像動作中の定期的な間隔でだけではなく、システムの撮像光学系のどれかが変更または修理されるたびに校正し直されることも、標準的である。
【0010】
従来、未冷却IRイメージングシステム内のシャッターの場所は、レンズブロックの後部にある。したがって、結果的に生じるオフセット補正は、内部フラックス(flux)を全く補正しない。それどころか、カメラからのいくつかの内部フラックスが、シャッター(shuttering)事象の間に遮られる。シャッターと内部ハウジングの間の温度差がシャッター動作後に(FPAのピクセル間の)不均一性を生じさせる。加えて、FPA検知ウィンドウの汚点(blemishes)染みまたは他の欠陥は、シャッターが物理的にレンズとFPAの間に位置しているときにより顕著である。
【発明の開示】
【0011】
したがって必要とされるのは、シャッター動作後の均一性の補正を強化するシャッター動作技法である。
【0012】
本発明の一実施形態は、複数のピクセルを有する焦点面アレイ(FPA)と、レンズの前のあるシーンからの放射線をレンズの後方のFPAの上に集中させるように適応されたレンズと、レンズの前に位置するシャッターを有するイメージングシステムを提供する。シャッターは、空間的に均一な基準画像信号を生成し、システムの内部放射束がFPAの検出器に達することができるようにする閉鎖状態と、外部シーンの放射線及びシステムからの内部放射束を含む開放状態画像信号がFPAの検出器に達することができるようにする開放状態を有する。信号処理モジュールはFPAに動作可能なように結合され、空間的に均一な基準画像信号に基づき開放状態画像信号を補正するように適応されている。
【0013】
システムはシャッターに動作可能なように結合されたシャッターコントローラをさらに含んでよく、その開放状態と閉鎖状態にシャッターを命令するように適応されている。システムは、シャッターコントローラ及び処理モジュールに通信で結合され、イメージングシステムの動作を制御するように適応されるシステムコントローラをさらに含んでよい。このような一実施形態では、システムコントローラはネットワークに通信で結合され、それによりイメージングシステムがやはりネットワークに通信で結合されている他のシステムと通信できるようにする。システムは、放射線でシーンを照明するために適応され、それにより反射された放射線がシステムによって受け取られるようにする(例えば温度サイクル装置またはレーザなどの)温度制御器をさらに含んでよい。しかしながら、シーンからの放射エネルギーはシステムが検出するものであるため、赤外線画像応用例が照明のためにこのような温度制御器を必要としないことに留意されたい。
【0014】
ある特定の実施形態では、シャッターは、(例えば、レンズの眼の入射瞳の1ミリメートル以内などの)レンズの前部の5ミリメートル以内に位置するレンズ側面を有する。イメージングシステム動作のどんな1セッションの間にも、複数の開放状態の画像信号のそれぞれが、閉鎖状態の画像信号に基づいて補正できることに留意されたい。さらに、閉鎖状態の画像信号はイメージングシステム内の変化を説明するために周期的に生成できる。
【0015】
本発明の別の実施形態はシーンを撮像するための方法を提供し、該方法はフロントレンズ取り付け式シャッターを有して構成されたイメージングシステムによって実行される。該方法は、外部シーンが撮像されるのを阻止されるようにフロントレンズ取り付け式シャッターを閉じることと、システムの内部放射束を含む閉鎖状態画像信号を発生することとを含む。該方法はフロントレンズ取り付け式シャッターを開き、それによりイメージングシステムが外部シーン放射線を受け取ることを可能にすることと、受け取られたシーンの放射線に基づき開放状態画像信号を生成することとに移る。該方法は、閉鎖状態画像信号に基づき開放状態画像信号を補正することをさらに含む。
【0016】
このような一実施形態では、開放状態画像信号を補正することは、イメージングシステムに含まれる検出器アレイのピクセル対ピクセル(pixel-to-pixel)単位の不均一性を補償すること、あるいはレンズの開放状態と閉鎖状態の間のオフセットを補償すること、あるいはピクセル対ピクセルの不均一性と開放状態と閉鎖状態のオフセットの両方を補償することを含む。ある特定の実施形態では、外部シーン放射線はIR放射線を含み、イメージングシステムは閉鎖状態画像信号及び開放状態画像信号を発生させるためのIR感知FPAを含む。
【0017】
本発明の別の実施形態はイメージングシステムを製造するための方法を提供する。該方法は、レンズの前のシーンからの放射線を、レンズの後方の検出器アレイの上に集中させるように適応されたレンズを提供することと、レンズの前に位置するシャッターを提供することとを含む。シャッターは、システムの内部の放射束を含む閉鎖状態画像信号を検出器アレイによって生成できるようにする閉鎖状態、及び外部シーン放射線を含む開放状態画像信号を検出器アレイによって生成できるようにする開放状態を有する。
【0018】
このような一実施形態では、該方法は、シーン放射線を検出するために複数のピクセルを有する検出器アレイを提出することと、検出器アレイに信号処理モジュールを動作可能なように結合することとをさらに含み、信号処理モジュールは閉鎖状態画像信号に基づき開放状態画像信号を補正するように適応されている。該方法は、さらにシャッターコントローラをシャッターに動作可能なように結合することを含み、該シャッターコントローラはその開放状態及び閉鎖状態にシャッターを命令するように適応される。ここで、該方法はシャッターコントローラ及び処理モジュールにシステムコントローラを動作可能なように結合することをさらに含んでよく、システムコントローラは(例えば、シャッターコントローラにシャッターを開く、または閉じるように命令を出すなど)イメージングシステムの動作を制御するように適応される。
【0019】
該方法は、さらに、放射線でシーンを照明し、それにより反射された放射線をシステムが受け取ることができるように適応されるレーザを提供することを含んでよい。レーザ(または他のシーン照明装置)もシステムコントローラで制御できることに留意されたい。しかしながら、いくつかの赤外線画像応用(例えば、3から5ミクロンまたは8から12ミクロンの範囲)が照明のためにレーザを必要としないことを想起されたい。シーンから自然に発生する放射エネルギーは、システムが検出するものである。ある特定の実施形態では、シャッターはレンズの前部の5ミリメートル内に位置するレンズ側面を有する。例えば、シャッターはレンズの前約1ミリに配置される。
【0020】
ここに説明されている特徴及び利点は包括的ではなく、特に多くの追加の特徴及び利点は、図面、明細書及び請求項を考慮して当業者にとって明らかになるであろう。さらに、明細書で使用される言語はおもに読みやすさ及び教育の目的のために選択され、本発明の主題の範囲に限定されていないことに留意する必要がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に従って構成されたイメージングシステムを描くブロック図である。システムは、シャッター110と、シャッターコントローラ115と、レンズ120と、焦点面アレイ(focal plane array)(FPA)125と、信号処理モジュール130と、システムコントローラ135を含んでいる。シーン105もまた描かれており、このケースでは該シーンの温度は温度制御器/シーン照明器145により制御されている。システムコントローラ135はバス140を介して、温度制御器/シーン照明器145だけではなくシャッターコントローラ115及び処理モジュール130にも通信的に結合される。
【0022】
(概要)
任意の温度でオブジェクトまたはシーンが熱エネルギーを放射していることが、一般的に知られている。放射による伝熱では、電磁波があるオブジェクトから別のオブジェクトにエネルギーを伝搬する。この種のエネルギー伝達は真空を通って発生できる。図1に描かれている例ではシーン105は黒体(blackbody)であるが、それは熱エネルギーを放射する任意のオブジェクトまたは表面積であるであろう。シーン105の温度は例えば0°Kから6000°Kなどの広範囲で変化できる。シーン105の温度は(例えば排気ジェットや人間のように)ほとんど一定のままとなる可能性があるか、あるいは(例えば温度制御器145の制御下で)遷移する場合がある。
【0023】
この例では、放射線はシーン105から発せられ、シャッター110がシャッターコントローラ115によりその開放状態を命令されるときにレンズ120に与えられる。一方、シーン105からの放射線は、シャッター110がコントローラ115によりその閉鎖状態を命令されるときにはレンズ120から阻止される。シャッター110により通過することが可能にされている放射線は、レンズ120によりFPA125上に集中する。FPAのピクセルはそれぞれ該受け取られた放射線からそれぞれの強度を検出し、対応する電気信号を提供する。これらの電気信号は次に、特定の撮像応用に従って信号を分析するように適応されている信号処理モジュール130に与えられる。
【0024】
システムコントローラ115は、シャッターコントローラ115、信号処理モジュール130、及び温度制御器145のそれぞれの動作を制御する。オプションの温度制御器145は、(例えば実験応用例または試験応用例のためのプログラマブル温度環境などの)シーン105の温度を制御するために使用できる。代わりに、温度制御器145は、(例えば、シーンに当たり、FPA135に反射して戻すことのできるレーザビームなどの)シーン105を効果的に照明するために使用できる。いずれにしても、シーン105はFPA125により捕捉される(自然に発生するのか、温度制御器145によって誘発されるのか)放射線を発する。次に、その結果生じる検出された信号が相応して処理される。システムはネットワークに通信で結合される。
【0025】
(フロントレンズシャッター取り付け)
レンズ120は、シーン105とFPA125の間に挟まれており、シャッター110はシーン105とレンズ120の間に位置している。従来、シャッター位置は、前述されたようにFPA125に近接する、レンズ120の反対側にある。このような従来のシャッター取り付けにより、シャッターは(内部の放射自己加熱から)レンズハウジングより高温になり、シャッターの開放状態と閉鎖状態の間の平均FPA出力データの大きな変化を生じさせる。
【0026】
本発明の原理に従ってシャッター110をレンズ120の前に配置することによって、シャッター110の開放状態と閉鎖状態の間の平均FPA出力データのデルタは、大幅に削減される。したがって、ピクセル対ピクセル(pixel-to-pixel)単位の反応の変動のために生じる不均一性は回避され、システムの内部放射束を補償するためにオフセット補正を決定できる。この構成に対する他の利点は、光スポットの排除、内部高温周囲温度での空間雑音の削減、及び(FPA125のピクセルに基づいた)広い面積での不均一性の縮小を含む。
【0027】
シャッター110をレンズ120の前に配置すると、シャッター校正の間に内部カメラフラックスがFPA125の検出器に達することを可能にすることを想起されたい。したがって、シャッター110はレンズ120のシーン側に、入射瞳の(図1に図示される)距離dの範囲内にある。ある特定の実施形態では、シャッター110及びレンズ120は、距離dが1から20ミリメートルであるサブハウジングの中に取り付けられる。しかしながら、距離dが実装及びシステムの所望される外形寸法に応じて変化可能であることが理解されるであろう。
【0028】
レンズ120とFPA125間の距離が、レンズ120の焦点距離及び(例えば固定位置レンズまたは可変位置レンズなどの)イメージングシステムの焦点合わせ機能などの要因に依存することに留意されたい。さらに、シャッター110がサブハウジングの中に入れられる必要がないことに留意されたい。しかしながら、このようにすることで、シャッター110は取り扱いの損傷及び環境から保護される。
【0029】
シャッターコントローラ115は、システムコントローラ135の制御下で動作し、その開放状態と閉鎖状態の間でシャッター110を動かす。シャッター速度及び開口のサイズなどの要因は特定の応用次第であり、本発明は任意の1つのこのような構成に限定されることを意図していない。むしろ、本発明は、シャッター110の開放状態と閉鎖状態に結び付いた平均FPA出力データのデルタを削減する、あるいはそれ以外の場合排除するように、シャッターをレンズの前に有益に配置することができ、それによりシステムの均一性を改善する、多くの撮像応用の任意の1つで動作できる。
【0030】
システムコントローラ135は、例えば、プログラマブルマイクロプロセッサ、メモリ、及び要求及び他の情報を受け取り、それぞれ制御信号を提供するための多くの入出力ポートと共に構成される、マイクロコントローラ装置(MCU)である場合がある。多くのプロセスはMCUの中にプログラミングし、MCUにより実行されてよい。例えば、シャッター110の開閉を達成するためにシャッターコントローラ115により実行されるプロセスはMCUの中にプログラミングできる。同様に、信号処理モジュール130はMCUの中にプログラミングできる。加えて、本発明の原理に従ってシーンを撮像するための方法はMCUの中にプログラミングできる。1つのこのような例の方法が図2に関して説明される。
【0031】
バス140が通信リンクを介してネットワークにさらに結合されることに留意されたい。このようなリンクは、例えば、(信号処理モジュール130により処理される受信された画像データが、誘導サブシステムを導くために使用される、搭載の目標設定応用においてのように)イメージングシステムが全体的な応用の中のサブシステムである場合には望ましい可能性がある。このような応用では、イメージングシステムは必要に応じて他のサブシステムからデータを送受信できる。通信リンクが有線または、無線であってよいことにさらに留意されたい。
【0032】
シャッター110、コントローラモジュール115、レンズ120、FPA125、信号処理モジュール130、システムコントローラモジュール135、及びシーン照明器モジュール145のそれぞれが、従来の技術(例えば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはその任意の組み合わせ)で実現できる。例えば、各モジュールは、マイクロプロセッサまたは他の適切な処理環境で実行する命令の集合として実現できる。シャッターコントローラモジュール115、信号処理モジュール130、及びシーン照明器モジュール145はそれぞれ、サブルーチンのようなシステムコントローラモジュール135の中に統合できる。代わりに、モジュールは(例えば、FPGAまたはASICなどの)専用の半導体で実現できる。
【0033】
図1に描かれている構成に対する変形は本開示を鑑みて明らかとなるであろう。例えば、多数のレンズタイプ、検出器タイプ及びシャッタータイプは本発明の原理を実施するために利用できる。同様に、多くのシーン放射照度、シャッター制御、信号処理、及び全体的なシステムの制御技法も、ここで同様に利用できる。本発明は、任意の1つのこのような構成に限定されることは意図されず、(例えば、システムを使用してシーンを撮像するための方法だけではなく、イメージングシステム及びイメージングシステムを製造する方法などの)多くの形式で具現化されてよい。
【0034】
(方法論)
図2は、本発明の一実施形態に従ってシーンを撮像するための方法を描いている。該方法は、図1の例のシステムにより図示されるように、レンズがシーンとレンズの間に取り付けられるフロントレンズ取り付け式シャッター付きで構成されるイメージングシステムにより実施される。方法は、外部シーンが撮像されるのを阻止されるようにフロントレンズ取り付け式シャッターを閉じる205ことで始まる。該方法はシステムの内部放射束を含む閉鎖状態画像信号を生成する210ことで続行する。この閉鎖状態画像信号は、ピクセル対ピクセル(pixel-to-pixel)の不均一性及び開放状態と閉鎖状態の間のオフセットを校正する、あるいはそれ以外の場合補償するために使用できる。
【0035】
この方法は、フロントレンズ取り付け式シャッターを開放し215、それによりイメージングシステムがシーン放射線(radiation)を受け取ることができるようにすることに移る。このような一実施形態では、イメージングシステムはIR感知FPAを含み、シーン放射線はIR放射線を含む。しかしながら、熱または光の形態での他のシーン放射線は多くの検出器のどれか1つにより受け取られ、検出できる。本発明は任意の1つのこのような構成に限定されることが意図されない。該方法は受け取られたシーン放射線に基づき開放状態画像信号を生成する220ことで続行する。
【0036】
該開放ステップ及び生成ステップが、所望される撮像結果に応じて、必要に応じた回数繰り返されてもよいことに留意されたい。さらに、それぞれの開放状態の露光時間は応用に応じて変化してよい。例えば、開放状態継続時間は、写真撮影応用の場合数ミリ秒、あるいは目標追跡または暗視の(night vision)応用の場合は長期間(数分から数時間)となる可能性がある。
【0037】
この方法は、閉鎖状態画像信号に基づいてそれぞれの開放状態画像信号を補正すること225に移る。該補正は、例えば、イメージングシステムに含まれる検出器アレイのピクセル対ピクセルの不均一性を補償すること、あるいはレンズの開放状態と閉鎖状態の間のオフセットを補償すること、あるいはピクセル対ピクセルの不均一性と開放状態と閉鎖状態の間のオフセットの両方を補償することを含んでよい。
【0038】
一実施形態では、補正は、プログラマブルデジタル信号処理モジュールによって、または図1に関して説明されるような検出器アレイに動作可能なように結合される(例えばマイクロプロセッサなどの)他の適切な処理環境によって実行される。しかしながら、ここではこの補正を実行し、それによりシステムの放射束を補償する校正された画像信号を提供するために、任意の数の従来の信号処理技法を使用できる。
【0039】
本発明の実施形態の前記説明は、例示及び説明のために提示された。包括的であること、あるいは開示されている正確な形式に本発明を限定することは、意図されていない。本開示を鑑みて多くの修正及び変形が考えられる。本発明の範囲がこの詳細な説明によってではなく、むしろこれに添付される特許請求の範囲によって制限されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に従って構成されたイメージングシステムのブロック図を描いている。
【図2】本発明の一実施形態に従ってシーンを撮像するための方法を描いている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステムであって、該システムは、
複数のピクセルを有する焦点面アレイ(FPA)と、
レンズであって、前記レンズの後方の前記FPA上に前記レンズの前のシーンからの放射線を集中させるように適応される前記レンズと、
前記レンズの前に位置するシャッターであって、空間的に均一な基準画像信号を生成し、前記システムの内部放射束が前記FPAの検出器に達することができるようにする閉鎖状態と、外部シーン放射線と前記システムからの内部放射束を含む開放状態画像信号が、前記FPAの検出器に達することができるようにする開放状態とを有する、前記シャッターと、
前記FPAに動作可能なように結合され、前記空間的に均一な基準画像信号に基づいて前記開放状態画像信号を補正するように適応された信号処理モジュールと、
を含む。
【請求項2】
前記シャッターに動作可能なように結合され、その開放状態及び閉鎖状態に前記シャッターを命令するように適応されたシャッターコントローラをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記シャッターコントローラ及び前記信号処理モジュールに通信で結合され、前記イメージングシステムの動作を制御するように適応されたシステムコントローラをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムコントローラが通信でネットワークに結合され、それにより前記イメージングシステムは、やはり通信で前記ネットワークに結合された他のシステムと通信できるようにする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
放射線で前記シーンを照明し、それにより前記システムが反射した放射線を受け取ることができるようにする温度制御器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記温度制御器は前記シーンを照明するためのレーザをさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記シャッターは、前記レンズの前部の5ミリメートルの範囲内に位置するレンズ側面をさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
イメージングシステムの動作の任意の1つのセッションの間、複数の開放状態画像信号のそれぞれが前記閉鎖状態画像信号に基づき補正される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記閉鎖状態画像信号は前記イメージングシステム内の変化を説明するために周期的に生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
シーンを撮像するための方法であって、該方法はフロントレンズ取り付け式シャッター付きで構成されたイメージングシステムにより実行され、該方法は、
外部シーンが撮像されるのを阻止されるように前記フロントレンズ取り付け式シャッターを閉じることと、
前記システムの内部放射束を含む閉鎖状態画像信号を生成することと、
前記フロントレンズ取り付け式シャッターを開放し、それにより前記イメージングシステムが外部シーン放射線を受け取ることができるようにすることと、
前記受け取られたシーン放射線に基づき開放状態画像信号を生成することと、
前記閉鎖状態画像信号に基づき前記開放状態画像信号を補正することと、
を含む。
【請求項11】
前記開放状態画像信号を補正することは、前記イメージングシステムに含まれる検出器アレイのピクセル対ピクセルの不均一性を補償することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記開放状態画像信号を補正することは、前記レンズの前記開放状態と閉鎖状態の間のオフセットを補償することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記開放状態画像信号を補正することは、前記レンズの前記開放状態と閉鎖状態の間のピクセル対ピクセルの不均一性及びオフセットを補償することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記外部シーン放射線はIR放射線を含み、前記イメージングシステムは前記閉鎖状態信号及び開放状態信号を生成するためのIR感知FPAを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
イメージングシステムを製造する方法であって、該方法は、
レンズの後方の検出器アレイの上に、前記レンズの前のシーンからの放射線を集中させるように適応されたレンズを提供することと、
前記レンズの前に位置し、前記システムの内部放射束を含む閉鎖状態画像信号が前記検出器アレイにより生成できるようにする閉鎖状態と、外部シーン放射線を含む開放状態画像信号が前記検出器アレイにより生成できるようにする開放状態とを有する、シャッターを提供することと、
を含む。
【請求項16】
シーン放射線を検出するための複数のピクセルを有する検出器アレイを提供することと、
閉鎖状態画像信号に基づいて開放状態画像信号を補正するように適応された信号処理モジュールを、前記検出器アレイに動作可能に結合することと、
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記シャッターにその開放状態及び閉鎖状態に命令するように適応されたシャッターコントローラを、前記シャッターに動作可能なように結合することをさらに備える、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記イメージングシステムの動作を制御するように適応されたシステムコントローラを、前記シャッターコントローラ及び処理モジュールに、動作可能なように結合することをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
シーンを放射線で照明するように適応されたレーザを提供し、それにより前記システムが反射した放射線を受け取ることができるようにすることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記シャッターは、前記レンズの前の5ミリメートル範囲内に位置するレンズ側面を有する、請求項15に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングシステムであって、該システムは、
複数のピクセルを有する焦点面アレイ(FPA)と、
レンズであって、前記レンズの後方の前記FPA上に前記レンズの前のシーンからの放射線を集中させるように適応される前記レンズと、
前記レンズの前に位置するシャッターであって、空間的に均一な基準画像信号を生成し、前記システムの内部放射束が前記FPAの検出器に達することができるようにする閉鎖状態と、外部シーン放射線と前記システムからの内部放射束を含む開放状態画像信号が、前記FPAの検出器に達することができるようにする開放状態とを有する、前記シャッターと、
前記FPAに動作可能なように結合され、前記空間的に均一な基準画像信号に基づいて前記開放状態画像信号を補正するように適応された信号処理モジュールと、
を含む。
【請求項2】
前記シャッターに動作可能なように結合され、その開放状態及び閉鎖状態に前記シャッターを命令するように適応されたシャッターコントローラをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記シャッターコントローラ及び前記信号処理モジュールに通信で結合され、前記イメージングシステムの動作を制御するように適応されたシステムコントローラをさらに含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムコントローラが通信でネットワークに結合され、それにより前記イメージングシステムは、やはり通信で前記ネットワークに結合された他のシステムと通信できるようにする、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
放射線で前記シーンを照明し、それにより前記システムが反射した放射線を受け取ることができるようにする温度制御器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記温度制御器は前記シーンを照明するためのレーザをさらに含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記シャッターは、前記レンズの前部の5ミリメートルの範囲内に位置するレンズ側面をさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
イメージングシステムの動作の任意の1つのセッションの間、複数の開放状態画像信号のそれぞれが前記閉鎖状態画像信号に基づき補正される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記閉鎖状態画像信号は前記イメージングシステム内の変化を説明するために周期的に生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
イメージングシステムを製造する方法であって、該方法は、
レンズの後方の検出器アレイの上に、前記レンズの前のシーンからの放射線を集中させるように適応されたレンズを提供することと、
前記レンズの前に位置し、前記システムの内部放射束を含む閉鎖状態画像信号が前記検出器アレイにより生成できるようにする閉鎖状態と、外部シーン放射線を含む開放状態画像信号が前記検出器アレイにより生成できるようにする開放状態とを有する、シャッターを提供することと、
を含む。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−500622(P2006−500622A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537701(P2004−537701)
【出願日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/027034
【国際公開番号】WO2004/027459
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(502397691)ビーエイイー・システムズ・インフォメーション・アンド・エレクトロニック・システムズ・インテグレイション・インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】