説明

坑井孔の環状空間内の圧力及び静電気蓄積制御

坑井孔内のケーシング系の環状空間内の液体の少なくとも一部分を、第二液体で置き代える方法が記載されている。第二液体は、少なくとも一種類の重合可能な単量体及び静電荷の蓄積を制御するための少なくとも一種類の静電防止剤を含む。第二流体は、環状空間内の圧力を、その空間内の流体が加熱されている間、制御する手段を与えるように予め選択されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、局限された空間(volume)内に入っている流体によって生ずる圧力を、その空間内の流体を加熱しながら制御する方法に関する。好ましい態様として、本発明は、坑井孔(Wellbore)内のケーシング・ストリング(casing string)組立体によって定められる環状空間(annular volume)内の圧力を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
油井のような坑井孔を穿孔する過程中、坑井孔の各区域(section)内に配置されるケーシング・ストリング又は保護用ジャケット(liner)を形成するため、比較的大きな直径の複数の金属管の夫々を長手方向に一緒に固定するのが典型的である。ケーシング・ストリングの各々は、地表近くの坑井頂部設備から吊り下げることができる。別法として、ケーシング・ストリングの幾つかを蛇腹状保護用ジャケット(liner string)の形態にし、それをケーシングの前の区域の設定深さ近くから伸ばす。この場合、蛇腹状保護用ジャケットは、ライナーハンガー上のケーシングの前の区域から吊るされるであろう。ケーシング・ストリングは、通常多数の節合管(joint)又は環節(segment)から通常構成され、夫々が40フィートの程度の長さをもち、互いにネジ付き継ぎ手又は他の接合手段により接続される。これらの接合部は金属パイプであるのが典型的であるが、複合体管のように非金属材料でもよい。このケーシング・ストリングを用いて、孔の壁が崩れないようにすることにより坑井孔の一体性を増大するのに用いられる。更に、ケーシング・ストリングは、坑井孔が通過する一つの地層から別の地層へ流体が移動するのを防ぐ。
【0003】
従来、ケーシング・ストリングの各区域は、坑井孔内にセメントで固定され、然る後、坑井孔の次の区域が穿孔される。従って、坑井孔の夫々の続く区域は、前の領域よりも小さい直径を持たなければならない。例えば、坑井孔の第一区域に20inの直径を有する表面(導体)ケーシング・ストリングを取り付けることがある。坑井孔の次の幾つかの区域に、夫々16in、13 3/8in及び9 5/8inの直径を夫々有する中間(又は保護)ケーシング・ストリングを取り付けることがある。坑井孔の最後の区域には、夫々7in及び4 1/2inの直径を有する生産ケーシング・ストリングを取り付けることができる。セメント導入操作が完了し、セメントが凝固したならば、各ケーシング・ストリングの外側表面によって定められる環状のセメントカラムが存在することになる。
【0004】
坑井孔によって貫通する地下の領域は、一般に水硬セメント組成物により密封される。この用途では、ケーシング・ストリング及びライナー・ストリングのようなパイプ・ストリングを、水硬セメント組成物を用いて坑井孔中に固定する。これらの主要なセメント固定操作を行う際に、水硬セメント組成物を坑井孔の壁及びその中に配置したパイプ・ストリングの外側表面によって定まる環状空間中にポンプで入れる。環状空間内でセメント組成物を凝固させ、実質的に不透過性の硬化セメントの環状鞘を形成し、それが坑井孔中のパイプ・ストリングを支持し、位置を定め、坑井孔の壁に対しパイプ・ストリングの外側表面を密封する。水硬セメント組成物は、地下領域中の高度に透過性の領域又は崩壊部を密封し、パイプ・ストリング中の亀裂又は孔を塞ぐ等のような種々の他のセメント固定操作でも用いられている。
【0005】
二つ以上のケーシング・ストリングを有するケーシング組立体は、坑井孔中の隣接する同心ケーシング・ストリング間の一つ以上の環状空間を定める。通常、各環状空間は、ケーシング・ストリングが設置されている場合、坑井孔中に存在する流体で、少なくとも或る程度まで満たされる。深い坑井の場合、環状空間内の流体(即ち、環状流体)の量はかなりのものになることがある。厚さ1in×長さ5000フィートの各環には、ケーシング・ストリングの直径により、凡そ50,000ガロン入るであろう。
【0006】
油井及びガス井では、地層の或る部分を残りの坑井から隔離しなければならないことは珍しいことではない。このことは、典型的には、前のケーシング・シュー(casing shoe)より上の環の内部でセメントカラムの頂部を続くストリングから持ち上げることにより達成される。これはその地層を隔離するが、セメントをケーシング・シュー内部で持ち上げることは、実際上自然の崩壊勾配により与えられる安全弁を塞ぐ。シューでの漏洩を無くす代わりに、蓄積するどのような圧力でも、それが表面から抜けない限りケーシングに作用するであろう。殆どの土地坑井及び或る沖合プラットホーム坑井には、どのケーシング環にも到達できる坑井頂部が配備され、圧力増大が観察されると迅速に抜き取ることができるようになっている。一方、殆どの海面下坑井頂部設備は、ケーシング環に到達できず、密封された環が形成されることがある。その環は密封されているので、温度の上昇に反応して、内部圧力が著しく増大することがある。
【0007】
ケーシング・ストリングを配備する間、環状空間中の流体は海底の周囲温度になるか、又はそれに近くなるのが一般的であろう。環状流体が加熱されると、それは膨張し、実質的な圧力増大が起きるであろう。この状態は全ての生産坑井で普通に存在するが、深水坑井では最も明白である。深水坑井は、生産中の生成流体の上昇した温度とは対照的に、置換される流体の冷たい温度のために環状圧力の蓄積を受け易いと思われる。密封された場合の環状空間内の流体の温度は、一般に周囲温度になり、それは0°F〜100°Fの範囲内(例えば、34°F)になることがあり、坑井の上にかなりの深さの水がある海面下の坑井では一層低い温度が最も頻繁に起きる。貯槽から生産する間、生成した流体はかなり高い温度で生産管を通過する。50°F〜300°Fの範囲の温度が予想され、125°F〜250°Fの範囲の温度に屡々遭遇する。
【0008】
生成した流体の比較的高い温度は、ケーシング・ストリング間の環状流体の温度を上昇し、夫々のケーシング・ストリングに対する圧力を増大する。環状空間内に用いられる慣用的液体は、一定の圧力で温度と共に膨張する。一定体積の環状空間では、流体温度の上昇によりかなりの圧力増大が起きる結果になる。実質的に圧縮できない水性流体は、一定圧力で周囲条件から生産条件への温度変化により5%以上の体積増大を起こすことがある。一定体積では、この温度上昇は10,000psigの程度までの圧力増大をもたらすことがある。増大した圧力は、ケーシング・ストリングの破損を起こす可能性を増大し、坑井の操作に破滅的な結果を与える。
【0009】
必要なことは、環状空間内で慣用的流体の少なくとも一部分を、流体の温度が上昇した時に比体積を減少する流体系で置き換える方法である。環状空間内のその流体系内での静電荷のどのような蓄積でも、スパークする危険を減少するように制御する方法も必要である。
【0010】
環状圧力蓄積(APB)問題は、石油穿孔/回収工業でよく知られている。B.モア(Moe)及びP.エルペルディング(Erpelding)、「環状圧力蓄積:それは何であるか、それについてすべきこと」(Annular pressure buildup:What it is and what to do about it,)、Deepwater Technology,p.21−23,August(2000)、及びP.オウデマン(Oudeman)及びM.ケレム(Kerem)、「HP/HT坑井中の環状圧力蓄積の一時的挙動」(Transient behavior of annular pressure buildup in HP/HT)、J.of Petroleum Technology,v.18,no.3,p.58−67(2005)参照。幾つかの可能性のある解決法が既に報告されている:(A)R.F.バルゴ(Vargo)Jr.その他による「マーリン・プロジェクトでの環状圧力蓄積防止の実際と成功」(Practical and Successful Prevention of Annular Pressure Buildup on the Marlin Project)、SPE年次技術協議会及び展示予稿集、第1235頁〜第1244頁、(2002年);(B)J.H.アゾラ(Azzola)その他、「環状圧力蓄積を減少するための真空絶縁管の適用」(Application of Vaccum Insulated Tubing to Mitigate Annular Pressure Buildup)、SPE年次技術協議会及び展示予稿集、第1899頁〜第1905頁、(2004年)に記載されている真空絶縁管;(C)C.P.リーチ(Leach)及びA.J.アダムズ(Adams)、「環状上昇圧力を解放するための新規な方法」(A New Method for the Relief of Annular Heat−up Pressure)、SPE年次技術協議会及び展示予稿集、第819頁〜第826頁、(1993年)に記載されている破壊性発泡スペーサー;(D)R.ウィリアムソン(Williamson)その他による、「含有環状流体圧力蓄積の制御」(Control of Contained−Annulus Fluid Pressure Buildup、SPE/IADC穿孔協議会予稿集、論文番号79875(2003年)に記載されているセメント不足、全高セメント接合、好ましい漏洩路又は抜き取り口、強化ケーシング(増強)、及び圧縮性流体の使用;及び(E)米国特許第6,457,528号(2002)及び米国特許第6,675,898号(2004)にJ.スタウト(Staudt)により記載されている破裂円板組立体の使用。これらの従来技術の例は、役立つ可能性はあるが、実施の困難性又は実現不可能なコスト、又はその両方のため、APB問題に対する充分な防御を与えるものではない。本出願人による発明は比較的実施し易く、費用効果もよい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
(発明の概要)
ここに記載するように、局限された空間内の圧力を制御し、静電荷のどのような蓄積でも制御する方法を与える。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一つの態様として、本発明は、局限された空間内の圧力を制御し、静電荷の蓄積を減少する方法において、
a) 第一圧力を有する第一流体の入った空間及びその空間内に第一温度を与えること;
b) 前記空間内の第一流体の少なくとも一部分を、(i)少なくとも一種類の重合可能な単量体、及び(ii)少なくとも一種類の静電防止剤、を含む第二流体で置き換えること;
c) 前記空間を密封して局限された空間を生成させること;及び
d) 前記局限された空間内の流体を加熱し、その流体が第二圧力及び第二温度になるようにすること;
を含み、然も、
前記単量体が前記第一温度と前記第二温度との間の温度で、前記局限された空間内の圧力を減少しながら重合し、その結果前記第二圧力が、前記第一流体の入った前記局限された空間が前記第二温度でのみ持っていた圧力よりも低くなる、方法に関する。
【0013】
上に記載した方法で、静電防止剤は親水性基と疎水性基を含むのが好ましい。静電防止剤は、中性及び/又はイオン性表面活性剤であるのが好ましい。一つの態様として、静電防止剤は陰イオン性燐酸エステルであるのが好ましい。別の態様として、静電防止剤は、ゼレック(ZELEC)TY(登録商標名)、ゼレックUN(登録商標名)、及びそれらの混合物からなる群から選択される。更に別の態様として、静電防止剤は第四級アンモニウム塩である。静電防止剤は、上に記載した方法で、第二流体の全体積の好ましくは約0.005体積%〜約5体積%の量、一層好ましくは第二流体の全体積の約0.1体積%〜約1体積%の量で添加される。
【0014】
別の態様として、坑井孔のケーシング構造体中の圧力を制御し、静電荷の蓄積を減少する方法で、前記圧力が坑井孔内の場所毎に変化してもよい場合の方法を与える。この態様では、圧力及び温度は、環状空間内の一つの位置に関係する。即ち、この方法は:
a) 坑井孔内の二本のケーシング・ストリングにより定められる環状空間で、その環状空間内の選択された位置で第一圧力と第一温度とを有する第一流体の入った環状空間を与えること;
b) 前記環状空間内の前記第一流体の少なくとも一部分を、(i)第二圧力及び第一温度と第二温度との間の温度で重合する単量体、及び(ii)少なくとも一種類の静電防止剤を含む第二流体で置き換えること;
c) 前記環状空間を密封して局限された空間を生成させること;
d) 前記局限された空間内の流体を加熱して、第二位置にある前記流体が第二圧力及び第二温度になるようにすること;
を含み、然も、
前記選択された位置にある前記第二圧力が、前記第一流体の入った前記局限された空間が前記第二温度でのみ持っていたであろう前記局限された空間内の前記選択された位置での圧力よりも低くなるように、前記第二流体を予め選択する、ことを含む。
【0015】
一つの態様として、環状空間内の選択された位置で第二温度で生ずる第二圧力は、その空間内の流体の上昇した温度にも拘わらず、その位置での第一圧力に等しい。別の態様として、選択された位置での第二圧力は、その選択された位置での第一圧力よりも50%以下高く、好ましくは30%以下高く、一層好ましくは15%以下高い。
【0016】
別の態様として、本方法は、環状空間内の最大圧力及び静電荷の蓄積を減少させることに関する。実質的な垂直方向の長さを有する環状空間については、環状流体によって発生した静水圧力は、垂直距離に亙って圧力勾配を生じ、環状空間内の最も深い位置での圧力が、坑井孔の頂部の圧力よりも大きく、この場合、それらの位置はその土地の中心に関する。このように、圧力が最大圧力になる環状空間内の位置が存在する。従って、この態様では、坑井孔のケーシング構造体中の最大圧力を制御し、静電荷の蓄積を減少する方法において;
a) 坑井孔内に二本のケーシング・ストリングにより定められる環状空間で、その環状空間内の第一温度で第一最大圧力を有する第一流体の入った環状空間を与えること;
b) 前記環状空間内の前記第一流体の少なくとも一部分を、(i)第一温度と第二温度との間の温度で重合する単量体、及び(ii)少なくとも一種類の静電防止剤、を含む第二流体で置き換えること;
c) 前記環状空間を密封して局限された空間を生成させること;
d) 前記局限された空間内の流体を、前記第一温度に対し上昇した温度に加熱し、前記流体の少なくとも一部分が第二最大圧力になるようにすること;
を含み、然も、
前記第二最大圧力が、前記第一流体の入った前記局限された空間が前記第二温度でのみ持っていたであろう前記局限された空間内の最大圧力よりも低くなるように、前記第二流体を予め選択する、
ことを含む方法が与えられる。
【0017】
一つの態様として、環状空間内の第二最大圧力は、第一最大圧力に等しい。この態様では、密封された環状空間内で、その空間内の流体の温度が上昇しているにも拘わらず、真の圧力増大は存在しない。別の態様として、第二最大圧力は、第一最大圧力よりも50%以下高く、好ましくは30%以下高く、一層好ましくは15%以下高い。
【0018】
更に別の態様として、局限された空間内の圧力を制御し、静電荷の蓄積を減少する方法において:
a) 第一圧力及び第一温度で、第一流体と、(i)前記第一温度と第二温度との間の温度で重合する単量体、及び(ii)少なくとも一種類の静電防止剤、を含む第二流体とが入った空間を与えること;
b) 前記空間を密封して局限された空間を生成させること;
c) 前記局限された空間内の前記第一流体及び前記第二流体を加熱し、前記第一流体と前記第二流体が第二圧力及び第二温度になるようにすること;
を含み、然も、
前記第二圧力が、前記第一流体の入った前記局限された空間が前記第二温度でのみ持っていた圧力よりも低くなるように、前記第二流体を予め選択すること、を含む方法が与えられる。
【0019】
特別な態様として、第二流体は、単量体と少なくとも一種類の静電防止剤を含み、この場合、密封された環状空間内の条件に従う温度及び圧力で、前記単量体が重合すると、体積が減少し、静電荷の蓄積が前記静電防止剤により消散する。従って、坑井孔内の環状空間内の圧力を制御し、静電荷の蓄積を減少する方法において:
a) 前記環状空間を第一流体で満すこと;
b) 前記第一流体の少なくとも一部分を、重合系及び少なくとも一種類の静電防止剤を含む第二流体で前記環状空間内で置き換えること;及び
c) 前記環状空間を密封すこと;
を含む方法が与えられる。
【0020】
上に記載した方法での静電防止剤は、親水性基と疎水性基とを含むのが好ましく、この場合、静電防止剤の疎水性基は、単量体及び/又は重合体を含む第二流体の方へ引き付けられ、前記静電防止剤の前記疎水性基は前記第二流体と、取り巻く空気との界面に留まり、その結果静電荷が伝導により消散し、それによりアークの発生が防止される。好ましい態様として、静電防止剤は中性及び/又はイオン性表面活性剤である。静電防止剤は、第二流体の全体積の好ましくは約0.05体積%〜約5体積%の量、一層好ましくは第二流体の全体積の約0.1体積%〜約1体積%の量で添加される。
【0021】
種々の因子の中で、就中、本発明は、異常な熱膨張性を有する流体系の発見に基づいており、それは、一定圧力でのそれら流体の膨張量が、圧縮不可能な流体に対して予想されるよりも少ないと言う点にある。本発明は、更に、上で述べたように、流体系に静電防止剤を添加することによりそれら流体系内に蓄積する静電荷を制御し、スパークの発生及び火災の危険を減少すると言う発見に基づいている。このように、本発明の流体は、密封された空間内に局限されていながら加熱されると、その密封された空間内で起こす圧力増大を、慣用的流体の場合に予想されるよりも小さくし、静電荷蓄積に対し一層よい制御を示す。
【0022】
(発明の詳細な説明)
定義
この詳細な説明に従って、次の省略記号及び定義を適用する。ここで用いられている単数形(“a”、“an”、及び“the”)は、内容が別のことを明確に示さない限り、複数の対象物も含むことに注意しなければならない。例えば、「化合物」と言う表現はそのような化合物の複数も含む。
【0023】
ここで論ずる公報は、単にそれらの開示が本願の出願日より前であると言うことから与えられている。先行発明の故に、本発明がそのような公報に先んずる資格はないことの承認と解釈されるべきものはここには無い。更に、与えられている公報日は、実際の公報日とは違っているかも知れないので、それは個々に確認される必要があるであろう。
【0024】
別のことが述べられていない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いられている次の用語の意味を、下に与える:
【0025】
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
「ニトロ」とは、−NO基を意味する。
「ニトロソ」とは、−NO基を意味する。
「ヒドロキシ」とは、−OH基を意味する。
「カルボキシ」とは、−COOH基を意味する。
【0026】
「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を有する一価アルキル基を指し、それには直鎖及び分岐鎖アルキル基が含まれる。この用語は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、等のような基によって例示される。
【0027】
「置換低級アルキル」とは、一つ以上の置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有するアルキル基を意味し、ここで置換基は、アミノ、ニトロソ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシルオキシ、アシル、アミノアシル、及びアミノカルボニルオキシからなる群から選択される。「低級アルケニル」とは、2〜6個の炭素原子を有する直鎖一価不飽和炭化水素ラジカル、又は3〜8個の炭素原子を有し、少なくとも一つの二重結合(−C=C−)を含む分岐鎖一価炭化水素ラジカルを意味する。アルケニル基の例には、アリル、ビニル、2−ブテニル、等が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0028】
「置換低級アルケニル」とは、一つ以上のの置換基、好ましくは1〜3個の置換基を有するアルケニル基を意味し、ここで置換基は、アミノ、ニトロソ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、アシルオキシ、アシル、アミノアシル、及びアミノカルボニルオキシからなる群から選択される。
【0029】
用語「シクロアルキル」とは、一つの環を有する3〜6個の炭素原子を有する環式アルキル基を指し、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが含まれる。
【0030】
「アルコキシ」とは、例としてメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、1,2−ジメチルブトキシ、等が含まれる「低級アルキル−O−」基を指す。
【0031】
「アミノ」とは、基、NR(式中、R及びRは、独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、及びシクロアルキルから選択される)を指す。
【0032】
「アシルオキシ」とは、基、H−C(O)O−、低級アルキル−C(O)O−、置換低級アルキル−C(O)O−、低級アルケニル−C(O)O−、置換低級アルケニル−C(O)O−、及びシクロアルキル−C(O)O−を指し、ここで低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、及びシクロアルキルは、ここに定義してある通りである。
【0033】
「アシル」とは、基、H−C(O)−、低級アルキル−C(O)−、置換低級アルキル−C(O)−、低級アルケニル−C(O)−、置換低級アルケニル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−を指し、ここで、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、及びシクロアルキルは、ここに定義してある通りである。
【0034】
「アミノアシル」とは、基、−NRC(O)低級アルキル、−NRC(O)置換低級アルキル、−NRC(O)シクロアルキル、−NRC(O)低級アルケニル、及び−NRC(O)置換低級アルケニルを指し、式中、Rは、水素又は低級アルキルであり、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、及びシクロアルキルは、ここに定義してある通りである。
【0035】
「アミノカルボニルオキシ」とは、基、−NRC(O)O−低級アルキル、−NRC(O)O−置換低級アルキル、−NRC(O)O−低級アルケニル、−NRC(O)O−置換低級アルケニル、−NRC(O)O−シクロアルキルを指し、式中、Rは、水素、又は低級アルキルであり、低級アルキル、置換低級アルキル、低級アルケニル、置換低級アルケニル、及びシクロアルキルは、ここに定義してある通りである。
【0036】
「脂肪族化合物」とは、炭素原子が、ベンゼン環ではなく、直鎖又は分岐鎖として一緒に結合された非芳香族有機化合物を指す。脂肪族化合物の一つの例はメタンである。脂肪族化合物には、脂肪酸及び他のパラフィン炭化水素(例えば、アルカン)の誘導体みならず、エチレン(例えば、アルケン)及びアセチレン(例えば、アルキン)のような不飽和化合物も含まれる。
【0037】
「静電防止剤」とは、ここに記載する重合可能な単量体に蓄積した静電荷を減少又は消散させるどのような化合物でも指す。本発明の好ましい態様として、静電防止剤は親水性基と疎水性基を有する。静電防止剤の疎水性基は単量体及び/又は重合体を含む第二流体の方へ引き付けられる。静電防止剤の親水性基は第二流体と取り巻く空気との界面に留まり、その結果、静電荷が伝導により消散し、それによりアーク形成が防止される。本発明の好ましい態様として、静電防止剤は表面活性剤である。
【0038】
「脂肪酸」とは、一般式、C2n+1COOHを有するカルボン酸誘導体を指し、それには、少なくとも四個の炭素原子、好ましくは少なくとも八個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族化合物が含まれる。
【0039】
「中性又はイオン性表面活性剤」とは、親水性基及び疎水性基を有する化合物を指す。表面活性剤の疎水性基は単量体及び/又は重合体を含む第二流体の方へ引き付けられ、表面活性剤の親水性基は第二流体と、取り巻く空気との界面に留まり、その結果、静電荷が伝導により消散し、それによりアーク形成が防止される。好ましい態様として、表面活性剤は、本発明の種々の態様で静電防止剤として働くことができる。
【0040】
「塩」とは、当分野でよく知られている種々の有機及び無機対イオンから誘導された塩を指し、単なる例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、等が含まれ、分子が塩基性官能基を含む場合、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩(mesylate)、酢酸塩、マレイン酸塩、蓚酸塩、等のような有機又は無機酸の塩が含まれる。塩は、塩化水素酸塩のような無機酸塩であるのが好ましい。
【0041】
「場合による」又は「場合により」とは、その後に記載される事項又は状況が起きるかも知れないが、その必要はなくてもよく、その事項又は状況が起きる場合と、起きない場合とを含むことを意味する。例えば、「場合によりアルキル基で一又は二置換されたアリール基」とは、アルキル基が存在していてもよいが、その必要はなくてもよく、その記述は、アリール基がアルキル基で一又は二置換されている場合と、アリール基がアルキル基で置換されていない場合を含むことを意味する。
【0042】
本発明は、局限された空間内で加熱されると、慣用的系の場合よりも低い値の圧力増大を示し、静電荷の蓄積の減少により、スパーク発生及び出火の危険が低下した流体系を与える。局限された空間は、流体が逃げないように密封される。従って、本発明は、密封又は局限された空間内で、その空間内の流体が上昇した温度へ加熱された時の圧力増大効果を減少する流体及び方法を与える。
【0043】
一つの態様として、その空間は、密封され、次に加熱される流体の入ったどのような空間でもよい。本発明の空間の例は、例えば、化学反応を行うための反応容器であるが、それに限定されるものではない。最初第一流体で満たされたその空間が開いているとは、流体がその空間から出入りすることができることを意味する。空間を密封する前に、第二流体をその空間に送り、その空間内の第一流体の少なくとも一部分と置き換える。次にその空間を、更に流体の流れがその空間を出入りしないように密封し、その空間内の流体を加熱する。そのような加熱は空間内の圧力を実質的な程度まで増大し、特に液相流体を用いた場合、一層特別には実質的に圧縮不可能な液相流体を用いた場合に圧力が増大する。従って、本発明は、密封された空間内に入れ、目標とする温度へ加熱した場合、その空間内の圧力が、その空間に第一流体だけが入っている場合の圧力よりも小さくなるような性質を有する第二流体を与える。局限された空間及び第二流体は静電荷を蓄積することがあるので、第二流体は、静電荷の蓄積を減少し、スパーク発生及び出火の危険を減少するために更に静電防止剤を含む。
【0044】
特別な態様として、本発明は、坑井孔内の圧力、特に、例えば、貯槽から資源を取り出すことを目的として、坑井孔内に設置されているケーシング組立体の環状空間内の圧力を制御する方法を与える。資源の例には原油、天然ガス液体、石油蒸気(例えば、天然ガス)、合成ガス(例えば、一酸化炭素)、他のガス(例えば、二酸化炭素、窒素)、及び水又は水溶液が含まれる。圧力の制御は、ここに記載するように第二流体を用いて達成される。これらの態様は、特にスパーク発生及び火災を受け易い。従って、第二流体に静電防止剤を添加することによりスパーク発生及び火災の危険を減少することができることが図らずも発見された。
【0045】
ケーシング組立体は、地中に穿孔することにより形成される坑井孔の側面を保護するためのケーシング・ストリングを含んでいる。環状空間は、そのケーシング組立体中の2本の隣り合った同心ケーシング・ストリングにより囲まれている。油井及びガス井の建設中、回転ドリルを用いて地下層構成物を通って孔を開け、坑井孔を形成するのが典型的である。回転ドリルが地層を通って孔を開けて行く間、工業的には「泥漿」として知られている穿孔流体を坑井孔を通って循環させる。泥漿は通常地表からドリルパイプの内部を通ってポンプで送られる。ドリルパイプを通って穿孔流体をポンプで連続的に送ることにより、穿孔流体はドリルパイプの底から坑井孔の壁とドリルパイプとの間の環状空間を通って坑井の地表へ送り返されて循環することができる。泥漿は、ある地質情報が望まれ、泥漿を再循環させるべき場合には、通常地表へ戻される。泥漿を用いてドリル先端の潤滑及び冷却を助け、坑井孔が穿孔される間、掘削物の除去を促進する。また、孔の中の泥漿カラムにより生じた静水圧が、さもなければ坑井孔内に生ずる高圧のため起きるであろう噴出を防ぐ。高圧によって起きる噴出を防ぐため、重い荷重を泥漿に加え、穿孔に予想されるどのような圧力よりも大きな静水圧を泥漿が持つようにする。
【0046】
異なった種類の泥漿を、異なった深さで用いなければならない。なぜなら、坑井孔の深さが増大するに従って、坑井孔内の圧力が増大するからである。例えば、2,500ftでの圧力は、1,000ftでの圧力よりも遥かに大きい。1,000ftで用いられる泥漿は、2,500ftの深さで用いるのに充分な重さを持たないであろうし、或は噴出が起きるかも知れない。海面下坑井の極端な深さでの泥漿の重量は、高圧に対抗するように特に重いものでなければならない。しかし、この特別に重い泥漿の静水圧は、泥漿を地層構成物内へ侵入又は漏洩させ始め、泥漿循環の損失を生ずる。ケーシング・ストリングを用いて坑井孔の保護をし、穿孔泥漿の漏洩を防ぐ。
【0047】
異なった種類の泥漿を用いることができるようにするため、異なったケーシング・ストリングを用いて、坑井孔に見出された広い圧力勾配を除くようにする。開始時、軽い泥漿を用いて、重い泥漿が必要になる深さまで坑井を穿孔する。これは一般には1,000ftを僅かに越えた所に起きるのが一般的である。この段階でケーシング・ストリングを坑井孔の中に挿入する。セメントスラリーをケーシングの中へポンプで入れ、穿孔泥漿又は水のような流体のプラグをポンプでセメントスラリーの背後に送り、ケーシングの外側と坑井孔の内部との間の環中へセメントを圧入する。セメントスラリーを形成するのに用いた水の量は、選択される水硬セメントの種類、スラリーに必要なコンシステンシー、特定の仕事のために必要な強度、及び手元にある一般的仕事条件により広い範囲に亙って変化するであろう。
【0048】
坑井孔内に坑井ケーシングを固定するのに水硬セメント、特にポートランドセメントを用いるのが典型的である。水硬セメントは、水の存在下でそれらを凝固又は硬化させる水和反応が起きることにより凝固し、圧縮強度を発生するセメントである。セメントスラリーを凝固し、硬化させてケーシングを適所に保持する。セメントは、地下構成物の帯状隔離を与え、坑井孔の抜け落ち又は腐食を防ぐのに役立つ。
【0049】
最初のケーシングを設定した後、一層重い泥漿が必要になる深さに坑井孔が再び穿孔されるまで穿孔を継続し、一般に約2,500ftの所で、その必要になった一層重い泥漿が地層構成物中に侵入し、漏洩し始めるであろう。再びケーシング・ストリングを、前に設置したストリングの内側の坑井孔内に挿入し、セメントスラリーを前と同じように追加する。
【0050】
複数のケーシング・ストリングを坑井孔内に用いて二つ以上の地層構成物を隔離することもできるが、それらの構成物は互いに流通していないのがよい。例えば、メキシコ湾で見出される独特の特徴は、約2,000ftの深さで流れる高圧淡水サンドである。高圧のためそのレベルでは特別なケーシング・ストリングが一般に必要になる。さもないとそのサンドが泥漿又は生産流体中に漏洩するであろう。
【0051】
海面下の坑井覆いは、海底に固定された外側ハウジングを有し、その外側坑井覆いハウジングの中に内側坑井覆いハウジングが取り付けてあるのが典型的である。沖合の坑井を完成する間、前記ハウジングの上に設置されたBOP積層体を通って、ケーシング及び管ハンガーを坑井覆いハウジング内の支持された位置中へ降下させる。坑井が完成した後、BOP積層体を、坑井流体の生産を制御するための適当な弁を有するクリスマスツリー(Christmas−tree)により置き換える。ケーシング・ハンガーをハウジング孔に対して密封し、管ハンガーをケーシング・ハンガー又はハウジング孔に対して密封し、ケーシングと管ストリングとの間の環中に流体障壁を効果的に形成するようにする。ケーシング・ハンガーを配置し、密封した後、ケーシング環の密封部を圧力制御のため設置する。もし地表の坑井頂部に密封部が存在する場合、その密封部はケーシング環と流通する口を持つことが屡々できる。しかし、海面下の坑井覆いハウジング中に大きな直径の低圧ハウジングと小さな直径の高圧ハウジングが存在する。高圧のため、高圧ハウジングは安全のためどのような口でも持っていてはならはない。高圧ハウジングを密封したならば、破裂防止の目的で、ケーシング・ハンガーより低い孔を持つ方法がない。
【0052】
図1に本発明の原理を具体化した方法が代表的に例示されている。方法及び他の装置及びここに記載する方法の次の説明において、「上」、「下」、「上方」、「下方」、等のような方向の用語は、単に便宜的に付図に関して用いられている。更に、ここに記載する本発明の種々の態様は、本発明の原理から離れることなく、傾いた、反転させた、水平、垂直、等のような種々の向き、及び種々の形態で用いることができることは理解されるべきである。ここに記載した方法は、陸上側と水面下側の坑井孔に適用することができる。坑井孔は、それが地面に入る場合、一つの末端で終わっていることを理解すべきである。水面下側の場合、終端部は水/土地界面の所にある。
【0053】
ここで用語「坑井孔」及び「ケーシング・ストリング」を用いることは、方法の特定の例示した要素に本発明を限定するものと取るべきではないことは理解されるべきである。坑井孔は、別の坑井孔の分岐部のようなどのような坑井孔でもよく、必ずしも地表へ直接伸びている必要はない。ケーシング・ストリングは、ライナーストリング等のようなどのような型の管状ストリングでもよい。用語「ケーシング・ストリング」及び「ライナー・ストリング」は、ここでは、非金属材料とを含めたどのような材料からでも作られた管状ストリング、又は区分された、又は区分されていない管状ストリングのような、どのような型の管状ストリングでも指すものとして用いられている。従って、読者はここで用いられているこれら及び他の説明用語は、本発明の例示した態様を明瞭に説明するのに便利なようにしてあるだけであり、本発明の範囲を限定するために用いられているのではないことを認めるであろう。
【0054】
図1は、本発明の一つの態様を例示している。坑井孔10は、既にドリル・ストリング50を用いて既に穿孔されており、ケーシング組立体20は、互いに同心状に配列された少なくとも二つのケーシング・ストリングを含み、既に設置されている。ドリル・ストリングを支持するための支持手段と共に、ケーシング・ストリングを設置し、坑井孔に流体を供給するためのドリル・リングは示されていない。図1では、ケーシング・ストリング22が設置されており、坑井孔10に対する一方の端の所又はその近くでセメントプラグ24により密封されている。
【0055】
次にケーシング・ストリング40に特別に注意を向けると、それは坑井孔終端部34の所まで伸びるように設置されている。終端部34は一時的な終端部であり、ケースストリング40が設置された後、坑井孔は更に伸ばすことができるようになっていることは明らかである。別法として、ケーシング・ストリング40は地層5中の最終深さの所まで伸びていてもよい。ケーシング・ストリング22の内側表面及びケーシング・ストリング40の外側表面により定められる環状空間42は流体で満たされ、一般にはケーシング・ストリング40が設置された時、坑井孔空間36内に存在する流体で満たされている。環状空間内に最初に存在することがある慣用的流体には、穿孔操作の状況により穿孔用流体又は完成用流体が含まれる。環状空間内に最初に存在する流体で、ここでは第一流体と呼ぶものの性質は、坑井を完成させるために穿孔する坑井孔穿孔業者の要求を満たすように選択されている。一つの態様として、第一流体は慣用的定義を用いて圧縮不可能な流体である。
【0056】
第一流体の組成は本発明にとっては重要ではなく、一般に、例えば、穿孔用流体又は完成流体を含めた坑井を穿孔及び完成させるのに用いられている種々の流体の一つであろう。穿孔用流体は水又は油系のものでもよく、更に表面活性剤、塩、加重付加剤、及びドリル先端の効果的な冷却、掘削物の除去、及び流体生産のための坑井孔の保護及び調整に必要などのような他の材料でも含むことができる。同様に、完成流体は、水又は油系でもよく、更に坑井孔及び設置した構造体をクリーニングするための材料を、地層構成物から流体を回収するための調製で更に含んでいてもよい。
【0057】
図1に例示した方法の段階では、環状空間42は、ケーシングの一方の端にある開口44を通って坑井孔空間36と流通している。46で指定した環状空間の他方の端は、穿孔リング(図示されていない)のような地表設備と流通しており、それは、46を通って環状空間を出る流体を回収するための手段を有する。環境問題は、46を通って環境へ失われる流体の量を最小限にするように促している。
【0058】
本発明の方法では、少なくとも一種類の重合可能な単量体及び少なくとも一種類の静電防止剤を含む第二流体を開口48を通って坑井孔空間36内へ導入し、環状空間42中の第一流体の少なくとも一部分と置き換える。開口48は、第二流体を供与するための手段と流通している。この目的ためのポンプ手段が、例えば、穿孔リング又は生産リング上に配置されていてもよい。第二流体はプラグ流又は断続流としてその空間内に供給され、比較的純粋な形態で坑井孔空間36を通って下方へ送られる。坑井孔終端部34の所では、第二流体が開口44を通り環状空間42に入り、上方へ送られ、環状空間42中に最初からあった第一流体を第二断続流体の前方へ押し、開口46を通って環状空間から押し出す。環状空間へ供給される第二流体の量は、密封された環状空間42内で許容することができる圧力の大きさに依存して技術的選択の問題である。例えば、その量は、坑井系の大きさ、環状空間へ供給された時の第二流体の温度、坑井内で生ずる流体の温度、生産中の環状空間内の流体の予想される温度、ケーシング・ストリングの設計及び仕様、等によって更に影響される。
【0059】
効果的の量の第二流体を環状空間42に加えてその中に存在していた第一流体の少なくとも一部分と置換した後、環状空間42を密封する。図2は、26で示したコンクリートプラグ、及び28で示したケーシング環状プラグにより密封された環状空間42を例示している。一般に、ケーシング環状密封部は坑井孔の頂部を密封し、坑井孔から環境へ流体が逃げるのを防ぐ。このようにしケーシング・ストリングの環境空間42により表される密封され局限された空間は、適所で局限され、その空間からどのような認め得る程度でも漏洩しないように防止された流体が入っている。
【0060】
図2に例示した態様では、環状空間42のような空間内に入っていて、その空間内の第一圧力及び第一温度を有する第一流体の少なくとも一部分を、少なくとも一種類の重合可能な単量体及び少なくとも一種類の静電防止剤を含む第二流体で置き換え、第一流体と第二流体との組合せでその空間を満たす。ケーシング・ストリング22と40との間の環状空間42を、コンクリートプラグ26及びケーシング環状プラグ28により密封する。第二流体を含む環状空間42内の流体の温度は、一般に0〜100°Fの範囲内にある。海面下の設備の場合、流体温度(即ち、第一温度)は、屡々60°Fより低く、或は40°Fより低く、例えば25°F〜35°Fの温度範囲内にある。
【0061】
炭化水素流体が生成され、生産導管52を通って上へ流れ、坑井孔10から出始めた時、それらの流体は一般に第一温度よりも高い温度にある。50°F〜300°Fの範囲の生産流体温度が予想され、125°F〜250°Fの範囲の温度に屡々遭遇する。導管52内の比較的熱い生産流体は、局限された環状空間42内の流体を加熱し、その流体を第二圧力及び第二温度にする。慣用的装置では、密封された環状空間内の流体圧力は、温度が上昇するにつれてかなり高い圧力へ上昇し始めるであろう。
【0062】
これとは対照的に、本発明に従い、少なくとも一種類の重合可能な単量体を含む第二流体を、局限された空間内の第二圧力が、その空間内の流体の温度が第二温度へ上昇した後、第一流体の入っていたその局限された空間が第二温度でのみ持つ圧力よりも低くなるように、予め選択する。そのようにすると、その空間内の流体の温度が第二温度へ上昇した後、第二流体中の重合可能な単量体が重合し、局限された空間内の圧力が減少し、第二圧力が、第一流体だけが入ったその局限された空間が第二温度で持っていた圧力よりも低くなる。第二流体は少なくとも一種類の静電防止剤も含み、それにより静電荷の蓄積を減少する。
【0063】
本発明の好ましい態様として、静電防止剤は親水性基と疎水性基を有する。静電防止剤の疎水性基は単量体及び/又は重合体を含む第二流体の方へ引き付けられる。静電防止剤の親水性基は第二流体と、取り巻く空気との界面に留まり、静電荷が伝導により放散し、それによりアーク形成が防止される。好ましい態様として、静電防止剤は表面活性剤である。
【0064】
親水性基と疎水性基を有する静電防止剤の例には、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジタロー(ditallow)ジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ビスドコシルジメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、臭化ジタロージメチルアンモニウム、水酸化ジオレオイルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージエチルアンモニウム、臭化ジタロージプロピルアンモニウム、フッ化ジタロージブチルアンモニウム、塩化セチルデシルメチルエチルアンモニウム、硫酸ビス−[ジタロージメチルアンモニウム]、燐酸トリス−[ジタロージメチルアンモニウム]、及びそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0065】
陰イオン性燐酸エステルは、ゼレックTY(登録商標名)、ゼレックUN(登録商標名)(両方共デラウエア州ウイルミントンのデュポンから入手できる)からなる群から選択されるのが好ましい。
【0066】
第二流体中の静電荷の蓄積が減少する結果として、スパーク発生及び出火を伴う危険を実質的に減少することができる。
【0067】
本発明の実施により得られる利点及び長所は、慣用的方法の欠陥とは対照的である。環状空間を最初第一流体で満たす。第一流体の温度はその第一流体の添加中の坑井孔の条件に依存して周囲温度以下であろう。海面下の坑井孔の場合、第一流体は、その第一流体が穿孔プラットホームにある源から坑井孔への途中で通る水によって冷却されることがある。これらの条件下で、第一流体は一般に0°F〜100°Fの範囲の温度になるであろう。海面下設備の場合、流体の温度(即ち、第一温度)は、屡々60°Fより低く、又は40°Fより低く、例えば25°F〜35°Fの温度範囲にある。流体を環状空間内に密封した後、坑井孔内の生産管52を通って上方へ送られる生産流体によりその流体は加熱される。その上昇した温度は従来圧力の増大をもたらし、時々破滅的なレベルまで増大する。更に、局限された空間内に静電荷が蓄積することによりスパーク発生及び出火の危険が生じ、それが壊滅的な損害を与える結果になることがある。
【0068】
環状圧力
それとは対照的に、本発明に従い、環状空間内のこの圧力は、ここに開示する方法により管理し易いレベルまで制御される。本発明を実施して、流体の入った局限された空間を加熱し、その局限空間内の流体を第二圧力及び第二温度にする。一つの態様として、第二圧力は局限空間全体に亙って均一である。別の態様として、第二圧力は空間内の場所毎に変化していてもよい。従って、この態様では、第二圧力(及び第二温度)は、環状空間内の選択された位置と呼ぶ特定の位置に関連している。例えば、坑井孔内のケーシング組立体内の環状空間は数百フィート、時には数千フィートになることさえある垂直長さを有することがある。このように、流体で満たされた坑井孔内の静水圧は、坑井孔の頂部よりも底部で高くなると予想される。従って、別の態様として、本発明の方法は、環状空間内の静水ヘッド及び他の因子を考慮に入れて、その空間内の最大圧力を制御することに関する。
【0069】
ここでの開示の目的から、目標の圧力は、本発明を実施中の環状空間内の希望の圧力である。一つの態様として、本発明の実施による目標圧力は、第一流体だけが入った局限空間が持っていた圧力よりも低い第二圧力である。別の態様では、第二圧力は、環状空間内の第一圧力に等しい。別の態様では、少なくとも一種類の重合可能な単量体を含む第二流体を、静電荷蓄積が減少し、密封環状空間内に入っている第二流体の第二温度での第二圧力が、第一流体だけが入った密封されていないその環状空間の第一温度での第一圧力よりも50%以下高く、好ましくは30%以下高く、一層好ましくは15%以下高くなるように、予め選択する。
【0070】
多くの場合、第一圧力、第一温度、第二圧力、及び第二温度は測定することができ、夫々の定量的値は知られているであろう。しかし、本発明は、これらのパラメーターの定量的値についての知識がなくてもその全体に亙って実施できることは当業者によって認められるであろう。流体の入った容器(例えば、ケーシング・ストリング)の一体性が許容できない程度になるまで妥協される圧力限界よりも低く維持されると言うことで本発明の実施にとっては充分である。
【0071】
第二流体系
本発明の実施により、環状空間内の第一流体を、少なくとも一部分第二流体で置き換える。環状空間内の圧力を制御するためその環状空間に添加される流体は、ここで用いているように、第二流体、又は別の呼び方として環状流体と呼ぶ。
【0072】
一般に、第二流体は、液体成分と、ここに記載するような希望の性質に寄与する付加的成分とを含む。本発明に従い、その付加的成分には少なくとも一種類の重合可能な単量体及び少なくとも一種類の静電防止剤が含まれる。液体成分は、例えば、穿孔流体の一種類以上の成分を含めた、水、炭化水素、又はそれらの両者を含んでいてもよい。溶解した有機及び/又は無機の塩、酸、又は塩基を含む水性溶液を第二流体系に含有させてもよい。穿孔流体又は完成流体中に典型的に見出される材料を含めた炭化水素混合物を含有させてもよい。それらの例には、ディーゼル燃料、C〜C20混合物、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、カルボニル、芳香族、パラフィン、及びシクロパラフィンが含まれる。連続的水性相及び不連続的有機相を有するエマルジョンを含有させてもよい。別法として、連続的有機相と不連続的水性相とを有するエマルジョンを含有させてもよい。
【0073】
更に、第二流体は、連続相として液相を含み、更に固体を含んでいてもよく、それら固体はスラリーとして、又は嵩張った粒子として存在していてもよい。或は、第二流体は蒸気相を持つ層状、又は液体中に気泡の形で蒸気相を含む連続的相として液体を含んでいてもよい。別の態様として、第二流体は、上に記載したどの形態又はそれら全ての形態として、液体、蒸気、及び固体の相を含んでいる。どの場合でも、第二流体は、その流体の温度の上昇に関連して予想外の膨張性を有する。
【0074】
局限空間内には静電荷の蓄積が起きることがある。更に、環状空間内の第一流体の一部分を第二流体で置き換えることにより、更に第二流体中に静電荷の蓄積をもたらすことがある。この静電荷の蓄積は、スパーク発生及び出火の危険を増大することになり、それは破滅的な結果を与えるであろう。
【0075】
本発明に従い、第二流体は、少なくとも一種類の重合可能な単量体と少なくとも一種類の静電防止剤を含む。第二流体は、実質的に圧縮不可能な流体で予想される圧力上昇よりも低い圧力上昇を環状空間内に起こす熱膨張性を有する。第二流体は、低下した静電荷蓄積性も有する。なぜなら、第二流体は少なくとも一種類の静電防止剤を含むからである。本発明の好ましい態様として、静電防止剤は親水性基と疎水性基を有する。静電防止剤の疎水性基は単量体及び/又は重合体を含む第二流体の方へ引き付けられる。静電防止剤の親水性基は第二流体と、取り巻く空気との界面に留まり、その結果、静電荷が伝導により放散し、それによりアーク形成が防止される。好ましい態様として、静電防止剤は表面活性剤である。
【0076】
第二流体に少なくとも一種類の静電防止剤を添加することにより、静電荷の蓄積に伴われる危険を減少する。
【0077】
重合可能な単量体
本発明に従い、第二流体は少なくとも一種類の重合可能な単量体を含む。そのため、本発明に従い、第二圧力及び第一温度と第二温度の間の範囲の温度で比体積の減少を伴って重合する単量体を含む第二流体を与えることにより、局限空間内の圧力を制御する方法が与えられる。従って、密封された環状空間内の圧力は、その空間を密封する前に環状流体に添加された単量体の重合により、加熱すると低下する。水溶性単量体と水不溶性単量体の両方を環状空間に添加すると、体積の減少(及びそれに付随する環状空間内の圧力減少)を伴って重合することができる。密封された環の局限空間内でのそのような体積の減少は、本発明の特定の単量体の重合がない同様な系に対して、その局限空間内で圧力の減少を与える結果になるであろう。
【0078】
本発明の単量体は、水、油、又は第二流体を調製する時の高密度成分を含めた、穿孔泥漿に特徴的な一層複雑な混合物と混合してもよい。単量体は第二流体中、1〜99体積%の範囲、一層好ましくは5〜75体積%の範囲、更に一層好ましくは10〜50体積%の範囲で存在するであろう。一例として、第二流体は、20体積%の単量体と、硫酸バリウムのような高密度材料及び水を含む第二成分を80体積%含む。
【0079】
メチルアクリレート及びメチルメタクリレートのようなアクリレートの重合を含めた単量体の重合により、その重合過程から液体単量体と固体重合体との間に25%程の体積減少を得ることができる。例えば、J.クロシュウィッツ(Kroschwitz)編集、エンサイクロペディア・オブ・ポリマー・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)、第2版〔ジョン・ウイリー・アンド・サンズ社(John Wiley&Sons,Inc.)1985年〕、第1巻、表20、第266頁の「アクリル及びメタクリルエステル重合体」(Acrylic and Methacrylic Ester Polymers)、及びD.A.ティルドブルック(Tildbrook)その他による「分子モデル作成を用いた重合収縮の予測」(Prediction of Polymerization Shrinkage Using Molecular Modeling)、J.Poly.Sci;Part B:Polymer Physics,41,528−548(2003)参照。本発明の好ましい態様として、単量体を、適当な重合開始剤(一種又は多種)と共に、水/油のような水中に(石鹸を用いて)懸濁又は乳化し、ポンプで環状空間内に送り、セメント固定した後、重合を起こし(この場合も殆ど凍結温度にある遅い反応温度を利用して)、合計5%までの体積減少を、単量体と水の20%(体積/体積)混合物を用いて達成することができる。
【0080】
アクリル単量体の例には、アクリルアミド、メタクリルアミド、それらの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、それらの塩、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート又はメタクリレートの酸塩及び第四級塩、ジアリルアミンの酸性塩、ジアリルジアルキルアンモニウム塩、スルホアルキルアクリレート又はメタクリレート、アクリルアミドアルキルスルホン酸及びそれらの塩、等が含まれるが、それらに限定されるものではない。一層好ましくは、アクリル単量体には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、及びそれらの混合物が含まれる。このその場での重合法にとって実用的であると思われる他のビニル単量体の例には、他のアクリルエステル、メタクリルエステル、ブタジエン、スチレン、塩化ビニル、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、又は他のそのような油及び/又は水可溶性単量体が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0081】
更に別の利点を、重合過程のための開始剤を選択することにより導くことができる。アゾ型開始剤は、重合過程中、副生成物として窒素ガスを生ずる。局限された環状空間内で発生して得られたその気相成分は、圧縮性流体であり、生産管を通過する生産物流体により環状流体が加熱される間に、その局限環状空間内の圧力を制御するのに貢献することができる。生産物流体の温度及び化学的制約に依存して、過酸化物開始剤を用いてもよい。別法として、過硫酸アンモニウム及び活性化剤N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、又は過硫酸カリウム及び活性化剤硫酸第一鉄/亜硫酸水素ナトリウムのようなレドックス開始剤系を、重合が起きるタイミングを制御するため上で言及したようにカプセル化されるならば、用いることができであろう。
【0082】
第二流体も、静電荷蓄積を減少する少なくとも一種類の静電防止剤を含む。
【0083】
静電防止剤
密封により局限された空間には静電荷が蓄積することがある。更に、単量体の取扱い中、及び単量体の重合中、静電荷が蓄積することがある。静電荷の蓄積は、スパーク発生の危険を増大し、火災及び爆発の危険を増大する。静電荷の蓄積は、重合される単量体を含む第二流体の電気伝導度を増大することにより調節することができる。電気伝導度の増大は、イオン又は電子伝導度を増大することにより達成することができる。静電荷蓄積は、湿分吸着により電気伝導度を増大することにより調節することもできる。湿分吸着は、一般に湿気を与える物質として言及されている吸湿性静電防止剤を使用することにより達成することができる。なぜなら、それらは、それらの効果性を大気中の湿分の吸着に依存しているからである。静電防止剤は更に静電荷が蓄積した時にそれを放散させる働きをし、従って、静電荷減少速度及び表面伝導度が、静電防止剤の効果性の一般的尺度である。本発明に従い、静電荷を放散させる働きをする静電防止剤を重合系に添加する。
【0084】
本発明に従い、静電防止剤とは、第二流体内の静電荷の蓄積を減少し、又はそれを放散させる化合物を指す。そのようなものとして、本発明に従い、重合可能な単量体を含む第二流体に静電防止剤を添加する。
【0085】
静電防止剤の例には、アミン、アミド、脂肪酸エステル、有機酸、ポリオキシエチレン誘導体、多価アルコール、中性又はイオン性表面活性剤、第四級アンモニウム塩、及びそれらの混合物が含まれる。静電防止剤の他の例には、脂肪酸塩と第三級アミンとの組合せ、脂肪アミド凝縮物、ヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、第四級アルキルアンモニウム化合物、アルキルプロピルアミン、エトキシル化アミン、及びそれらの混合物が含まれる。静電防止剤の更に別の例には:(i)N−(2−ヒドロキシアルキル)エタノールアミン;(ii)N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)高級脂肪族アミンと高級脂肪族アルコールとの組合せ;(iii)N−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)エタノールアミンとN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミンとの組合せ;(iv)テトラヒドロピリミジン;及び(v)それらの混合物;が含まれる。他の静電防止剤の例は、グリセロールモノステアレート、ステアルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ステアリン酸トリエタノールアミン、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0086】
静電防止剤の更に別の例には:(i)アシル基がラウリル、オレイルであるか、又は一緒にしたココナッツ油脂肪酸から誘導されている場合の、N−メチルグリシンのN−アシル誘導体;(ii)N−アシルサルコシネート及びそれらの塩;(iii)N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)高級脂肪族アミン;及び(iv)それらの混合物;が含まれるが、それらの各々は、米国特許第4,785,032号明細書に記載されている。N−アシルサルコシネートは、米国特許第2,063,987号、及び米国特許第2,729,657号、第3,074,980号、及び第3,836,551号明細書に記載されている方法を含めた種々の方法により製造することができる。
【0087】
本発明の好ましい態様として、静電防止剤は親水性基と疎水性基を有する。静電防止剤の疎水性基は単量体及び/又は重合体を含む第二流体の方へ引き付けられる。静電防止剤の親水性基は第二流体と、取り巻く空気との界面に留まり、静電荷が伝導により放散し、それによりアーク形成が防止される。好ましい態様として、静電防止剤は表面活性剤である。
【0088】
親水性基と疎水性基を有する静電防止剤の好ましい例には、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ビス−ドコシルジメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、臭化ジタロージメチルアンモニウム、水酸化ジオレオイルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージエチルアンモニウム、臭化ジタロージプロピルアンモニウム、フッ化ジタロージブチルアンモニウム、塩化セチルデシルメチルエチルアンモニウム、硫酸ビス−[ジタロージメチルアンモニウム]、燐酸トリス−[ジタロージメチルアンモニウム]、及びそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0089】
陰イオン性燐酸エステルは、ゼレックTY及び/又はゼレックUN(両方共デラウエア州ウイルミントンのデュポンから入手できる)からなる群から選択されるのが好ましい。ゼレックUNは、中性化されていない燐酸エステルで、水不溶性である陰イオン性燐酸エステルである。更にゼレックUNは、C〜C16脂肪アルコール主鎖を有する高分子量を有する。従って、ゼレックUNは中性化されていない水不溶性で、燐酸と脂肪アルコールとの陰イオン性C〜C16アルキルエステルである。ゼレックTYは、それより低い分子量の脂肪アルコールの主鎖を有する中和された水溶性陰イオン性燐酸エステルである。
【0090】
好ましい態様として、少なくとも一種類の静電防止剤を、約0.01体積%〜約10体積%の量で第二流体に添加する。一層好ましくは、少なくとも一種類の静電防止剤を、約0.05体積%〜約5体積%の量で第二流体に添加する。最も好ましくは、少なくとも一種類の静電防止剤を、約0.1体積%〜約1体積%の量で第二流体に添加する。
【実施例】
【0091】
実験室での実験は、エマルジョン重合法でメチルメタクリレートの混合物の体積が効果的に減少したことを実証し、下の例により、その方法が、加熱サイクル中の圧力を監視しながら体積を一定に保つ装置(例1)及び500フィートの試験坑井を用いた野外実験(例2)で通用することが証明された。メチルメタクリレート及び静電防止剤を含む第二流体を用いた野外実験を、500フィートの試験坑井を用いて行う(例3)。
【0092】
例1
圧力ボンベに、200psigの出発圧力で水性流体を満たした。次にボンベを密封し、ボンベから流体が逃げないようにし、24℃から100℃へ加熱した。図3に示すように、ボンベ内の流体の圧力は、加熱サイクル中14,000psigへ増大した。
【0093】
上で用いた圧力ボンベに、200psigの出発圧力で、導入量20体積%のメチルメタクリレートを(アゾ型開始剤と共に)含有する水性エマルジョン流体を満たした。次にボンベを密封し、ボンベから流体が逃げないようにし、24℃から100℃へ加熱した。図3に示すように、ボンベ内の流体の圧力は、約3000psigへ上昇したが、その水性流体単独の場合よりも上昇率は低かった。約70℃でメチルメタクリレート単量体の重合が開始し、ボンベ内の圧力は、そのボンベ内の初期圧力よりも低く減少した。
【0094】
例2
規模を拡大した野外実験も行なった。7inケーシングと9 5/8inケーシングにより局限された環状空間内の深さ500フィートの試験坑井中に水を用いた。流体を入れた後、その環状空間を予め500psigに加圧し、次に7inパイプの内部に熱水を循環させることにより加熱した。2時間に亙って温度入力は190°Fであり、温度出力は160°Fであった(熱を吸収する降下孔地層による)。得られた圧力は約2100psigであった(図4)。
【0095】
導入量20体積%のメチルメタクリレートを(アゾ型開始剤と共に)含有する、例1に記載したのと同様なエマルジョン流体を同じ試験坑井で用いた。最初予め500psigに加圧した後、数分で既に圧力が零に低下したことが認められたので、環を再び500psigまで加圧した。2時間に亙って温度は前と同じように上昇し、入力温度と出力温度は重合反応により発生した熱のため、実質的に同じであったことが認められた。圧力は再び零へ減少し、次にゆっくり240psigの最終安定圧力まで増大した(図4)。圧力のかなりの減少は、単量体が重合体へ収縮したことによる。実験が終わった時に収集した試料を単量体及び重合体について分析した。単量体は微量(<1%)であることが立証され、重合体はほぼ3百万の重量平均分子量を持っていた。
【0096】
例3
例1に記載したのと同様なエマルジョン流体であるが、静電防止剤も含む流体を用いて、規模を拡大した野外実験を行う。エマルジョン流体は、導入量20体積%のメチルメタクリレートを(アゾ型開始剤と共に)含有し、導入量1体積%のデュポンのゼレックTY又はゼレックUN(デラウエア州ウイルミントン、デュポン)を含有する。そのエマルジョン流体を7inケーシングと9 5/8inケーシングにより局限された環状空間内の深さ500フィートの試験坑井中に用いる。流体を入れた後、その環状空間を予め500psigに加圧し、次に7inパイプの内部に熱水を循環させることにより加熱した。2時間に亙って温度入力は上昇する。圧力は、単量体の重合体への収縮により減少する。静電防止剤は、どのような静電荷の蓄積に対しても保護する。
【0097】
本発明を、特別な態様に関して詳細に記述してきたが、本発明の本質及び範囲から離れることなく、種々の変更及び修正を行えることは、当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】図1は、第二流体を環状空間内に添加している時の、開口環状空間を示す本発明の方法の一つの態様を例示する図である。
【図2】図2は、本文中に開示したように、第二温度及び第二圧力にある第二流体の入った密封された環状空間を示す本発明の方法の一つの態様を示す図である。
【図3】図3は、本発明の一つの態様を試験することにより得られた実験結果を例示する図である。
【図4】図4は、本発明の一つの態様を試験することにより得られた実験結果を例示する図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局限された空間内の圧力を制御し、静電荷の蓄積を減少する方法において、
a) 第一圧力を有する第一流体の入った空間を与え、その空間内に第一温度を与えること;
b) 前記空間内の前記第一流体の少なくとも一部分を、(i)少なくとも一種類の重合可能な単量体、及び(ii)少なくとも一種類の静電防止剤、を含む第二流体で置き換えること;
c) 前記空間を密封して局限された空間を生成させること;及び
d) 前記局限された空間内の前記流体を加熱して、前記流体を第二圧力及び第二温度にすること;
を含み、然も、
前記重合可能な単量体が前記第一温度と前記第二温度との間の温度で重合し、そして
前記重合可能な単量体が重合して前記局限された空間内の圧力を減少し、その結果前記第二圧力が、前記第一流体の入った前記局限された空間が前記第二温度でのみ持っていた圧力よりも低くなる、
方法に関する。
【請求項2】
空間が環状空間である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
環状空間が、坑井孔内の二本の同心ケーシング・ストリングによって定められる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第一温度が、0°F〜100°Fの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第二温度が、50°F〜300°Fの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第二温度が、125°F〜250°Fの範囲にある、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(c)の局限された空間内の流体が、第一圧力及び第一温度にある、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第一圧力が、工程(a)の空間内の第一流体の最大圧力であり、第二圧力が、工程(d)の空間内の流体の最大圧力である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(a)の空間内の第一温度にある流体の第一圧力が、前記空間内の選択された位置にあり、工程(d)の空間内の第二温度にある流体第二圧力が、前記空間内の前記選択された位置にある、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
重合可能な単量体を、アクリレート及びメタクリレートからなる群から選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
重合可能な単量体の重合を、アゾ型開始剤、過酸化物開始剤、又は過硫酸アンモニウム/N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン レドックス開始剤系からなる群から選択された開始剤により開始する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
静電防止剤が親水性基及び疎水性基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
静電防止剤が中性及び/又はイオン性表面活性剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
静電防止剤が陰イオン性燐酸エステルである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
静電防止剤を、ゼレックTY、ゼレックUN、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
静電防止剤を、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ビス−ドコシルジメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、臭化ジタロージメチルアンモニウム、水酸化ジオレオイルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージエチルアンモニウム、臭化ジタロージプロピルアンモニウム、フッ化ジタロージブチルアンモニウム、塩化セチルデシルメチルエチルアンモニウム、硫酸ビス−[ジタロージメチルアンモニウム]、燐酸トリス−[ジタロージメチルアンモニウム]、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
静電防止剤を、第二流体の全体積の約0.05体積%〜約5体積%の量で第二流体に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
静電防止剤を、第二流体の全体積の約0.1体積%〜約1体積%の量で第二流体に添加する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
坑井孔のケーシング構造体中の圧力を制御し、静電荷の蓄積を減少する方法において:
a) 坑井孔内の二本のケーシング・ストリングにより定められる環状空間で、第一圧力と第一温度とを有する第一流体の入った環状空間を、その環状空間内の選択された位置に与えること;
b) 前記環状空間内の前記第一流体の少なくとも一部分を、(i)第二圧力及び第一温度と第二温度との間の温度で重合する単量体、及び(ii)少なくとも一種類の静電防止剤、を含む第二流体で置き換えること;
c) 前記環状空間を密封して局限された空間を生成させること;
d) 前記局限された空間内の流体を加熱して、第二位置にある前記流体を第二圧力及び第二温度にすること;
を含み、然も、
前記選択された位置にある前記第二圧力が、前記第一流体の入った前記局限された空間が前記第二温度でのみ持っていたであろう前記局限された空間内の前記選択された位置での圧力よりも低くなるように、前記第二流体を予め選択する、ことを含む方法。
【請求項20】
第二圧力が、第一圧力よりも50%以下高い、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第二圧力が、第一圧力よりも30%以下高い、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
第二圧力が、第一圧力よりも15%以下高い、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
第二圧力が第一圧力に等しい、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
静電防止剤が親水性基及び疎水性基を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
静電防止剤が中性及び/又はイオン性表面活性剤である、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
静電防止剤が陰イオン性燐酸エステルである、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
静電防止剤を、ゼレックTY、ゼレックUN、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
静電防止剤を、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ビス−ドコシルジメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、臭化ジタロージメチルアンモニウム、水酸化ジオレオイルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージエチルアンモニウム、臭化ジタロージプロピルアンモニウム、フッ化ジタロージブチルアンモニウム、塩化セチルデシルメチルエチルアンモニウム、硫酸ビス−[ジタロージメチルアンモニウム]、燐酸トリス−[ジタロージメチルアンモニウム]、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項19に記載の方法。
【請求項29】
静電防止剤を、第二流体の全体積の約0.05体積%〜約5体積%の量で第二流体に添加する、請求項19に記載の方法。
【請求項30】
静電防止剤を、第二流体の全体積の約0.1体積%〜約1体積%の量で第二流体に添加する、請求項19に記載の方法。
好ましくは30%未満高く、一層好ましくは15%未満高い。
【請求項31】
坑井孔のケーシング構造体中の圧力を制御し、静電荷の蓄積を減少する方法において;
a) 坑井孔内の二本のケーシング・ストリングにより定められる環状空間で、その環状空間内の第一温度で第一最大圧力を有する第一流体の入った環状空間を与えること;
b) 前記環状空間内の前記第一流体の少なくとも一部分を、(i)前記第一温度と第二温度との間の温度で重合する単量体、及び(ii)少なくとも一種類の静電防止剤を含む第二流体で置き換えること;
c) 前記環状空間を密封して局限された空間を生成させること;
d) 前記局限された空間内の流体を、前記第一温度に対し上昇した温度に加熱し、前記流体の少なくとも一部分を第二最大圧力にすること;
を含み、然も、
前記第二最大圧力が、前記第一流体の入った前記局限された空間が前記上昇した温度でのみ持っていたであろう前記局限された空間内の最大圧力よりも低くなるように、前記第二流体を予め選択する、
ことを含む方法。
【請求項32】
静電防止剤が親水性基及び疎水性基を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
静電防止剤が中性及び/又はイオン性表面活性剤である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
静電防止剤が陰イオン性燐酸エステルである、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
静電防止剤を、ゼレックTY、ゼレックUN、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
静電防止剤を、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ビス−ドコシルジメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、臭化ジタロージメチルアンモニウム、水酸化ジオレオイルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージエチルアンモニウム、臭化ジタロージプロピルアンモニウム、フッ化ジタロージブチルアンモニウム、塩化セチルデシルメチルエチルアンモニウム、硫酸ビス−[ジタロージメチルアンモニウム]、燐酸トリス−[ジタロージメチルアンモニウム]、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
静電防止剤を、第二流体の全体積の約0.05体積%〜約5体積%の量で第二流体に添加する、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
静電防止剤を、第二流体の全体積の約0.1体積%〜約1体積%の量で第二流体に添加する、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
局限された空間内の圧力を制御し、静電荷の蓄積を減少する方法において:
a) 第一圧力及び第一温度で、第一流体と、(i)前記第一温度と第二温度との間の温度で重合する単量体、及び(ii)少なくとも一種類の静電防止剤、を含む第二流体とが入った空間を与えること;
b) 前記空間を密封して局限された空間を生成させること;
c) 前記局限された空間内の前記第一流体及び前記第二流体を加熱し、前記第一流体と前記第二流体を第二圧力及び第二温度にすること;
を含み、然も、
前記第二圧力が、前記第一流体の入った前記局限された空間が前記第二温度でのみ持っていた圧力よりも低くなるように、前記第二流体を予め選択すること、を含む方法。
【請求項40】
静電防止剤が親水性基及び疎水性基を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
静電防止剤が中性及び/又はイオン性表面活性剤である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
静電防止剤が陰イオン性燐酸エステルである、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
静電防止剤を、ゼレックTY、ゼレックUN、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
静電防止剤を、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ビス−ドコシルジメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、臭化ジタロージメチルアンモニウム、水酸化ジオレオイルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージエチルアンモニウム、臭化ジタロージプロピルアンモニウム、フッ化ジタロージブチルアンモニウム、塩化セチルデシルメチルエチルアンモニウム、硫酸ビス−[ジタロージメチルアンモニウム]、燐酸トリス−[ジタロージメチルアンモニウム]、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
静電防止剤を、第二流体の全体積の約0.05体積%〜約5体積%の量で第二流体に添加する、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
静電防止剤を、第二流体の全体積の約0.1体積%〜約1体積%の量で第二流体に添加する、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
坑井孔内の環状空間内の圧力を制御し、静電荷の蓄積を減少する方法において:
a) 前記環状空間を第一流体で満すこと;
b) 前記第一流体の少なくとも一部分を、重合系及び少なくとも一種類の静電防止剤を含む第二流体で、前記環状空間内で置き換えること;及び
c) 前記環状空間を密封すること;
を含む方法。
【請求項48】
重合系が、アクリレート及びメタクリレートからなる群から選択された単量体を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
重合系が、アゾ型開始剤、過酸化物開始剤、又は過硫酸アンモニウム/N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン レドックス開始剤系からなる群から選択された開始剤を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
静電防止剤が親水性基及び疎水性基を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
静電防止剤が中性及び/又はイオン性表面活性剤である、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
静電防止剤が陰イオン性燐酸エステルである、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
静電防止剤を、ゼレックTY、ゼレックUN、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
静電防止剤を、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ビス−ドコシルジメチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、臭化ジタロージメチルアンモニウム、水酸化ジオレオイルジメチルアンモニウム、塩化ジタロージエチルアンモニウム、臭化ジタロージプロピルアンモニウム、フッ化ジタロージブチルアンモニウム、塩化セチルデシルメチルエチルアンモニウム、硫酸ビス−[ジタロージメチルアンモニウム]、燐酸トリス−[ジタロージメチルアンモニウム]、及びそれらの混合物からなる群から選択する、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
静電防止剤を、第二流体の全体積の約0.05体積%〜約5体積%の量で第二流体に添加する、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
静電防止剤を、第二流体の全体積の約0.1体積%〜約1体積%の量で第二流体に添加する、請求項47に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−509521(P2010−509521A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535248(P2009−535248)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/044608
【国際公開番号】WO2008/057102
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【出願人】(508214983)ルサイト インターナショナル (1)