説明

埋め立て材製造システム

【課題】土砂、セメント及び分離防止剤を混合して埋め立て材を形成するに際し、土砂やセメントを計量する機器や所定比率で混合する制御を簡略化し得る埋め立て材製造システムを提供する。
【解決手段】土砂を供給する土砂フィーダ装置20と、第1ベルトコンベア10に所定量のセメントを落下させるセメント供給装置30と、土砂とセメントを混合して土砂混合物を形成する混合装置40と、土砂混合物に分離防止剤溶解液を噴霧して埋め立て材を形成するノズルスプレー60と、ロードセル11により計量した土砂及びセメントの合計重量からセメント供給装置に設定したセメントの供給量を差し引いて土砂の含水重量を算出し、含水重量と土砂の含水比とから土砂の乾燥重量を算出し、乾燥重量とセメントの供給量との比率が所定値となるように土砂フィーダ装置20から供給される土砂の量を調節する制御装置80とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂混合物に安定材を連続的に混合して水中に投下するための埋め立て材を製造する埋め立て材製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陸上の掘削土、水底の浚渫土などに安定材等を混合して埋め立て材を形成し、この埋め立て材を用いて、例えば人工島の造成や護岸の裏埋めなどの埋立工事が行われている。
【0003】
このような埋め立て材を形成する方法としては、事前混合処理工法がある(例えば、特許文献1参照)。この工法は、埋立に先立って、土砂に安定材(セメント)と分離防止剤を事前に添加・混合して埋め立て材を形成し、その後、埋め立て材を所定の場所に運搬・投入しそのまま固化させて地盤を造成するものである。この工法により形成された地盤は、液状化し難く、且つ土圧が低減されたものとなる。また、埋め立て造成後の地盤改良工事が不要になるので、工期の短縮やコストの削減も可能となる。
【0004】
埋め立て材の形成は、次のように行われる。例えば、土砂フィーダ装置からベルトコンベアの始端部に土砂を落下させる一方、テーブルフィーダ等を介してベルトコンベアに安定材を落下させる。そして、ベルトコンベアの終端部から落下する土砂及び安定材を混合装置に投入して土砂混合物を形成し、最後に、土砂混合物に分離防止剤を噴霧して埋め立て材を形成する。
【0005】
このとき、良質な埋め立て材を得るべく、土砂、安定材、及び分離防止剤を所定の比率で混合する必要があるため、土砂、安定剤、及び分離防止剤をそれぞれ計量し、この計量した結果に基づいて、所定の比率となるように土砂フィーダ装置から供給される土砂やテーブルフィーダから供給される安定材の供給量を調節している。
【0006】
しかしながら、土砂フィーダ装置及びテーブルフィーダから供給される土砂及び安定材をそれぞれ計量することは、土砂及び安定材のそれぞれについて計量機器を導入する必要がある。このため、各計量機器に係る費用が生じるし、各計量機器から得た情報に基づいて土砂フィーダ装置及びテーブルフィーダを制御する機構も複雑になる。
【0007】
また、土砂は、岩石を含んでいたり、粘度にバラツキがあるため土砂フィーダ装置から供給される土砂を計量しても、誤差は大きい。このため、土砂フィーダ装置から土砂の計量結果に基づいて土砂フィーダ装置の土砂の供給量を制御しようとしても、土砂と安定材との比率を安定させることが難しい。
【特許文献1】特公平6−17571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑み、土砂、安定材、及び分離防止剤を所定の比率で混合して埋め立て材を形成するに際し、土砂や安定材を計量する機器や所定比率で混合する制御を簡略化し得る埋め立て材製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、土砂と安定材とを混合した土砂混合物に分離防止剤を連続的に混合して、水中に投下する埋め立て材を製造する埋め立て材製造システムであって、前記土砂と前記安定材とを搬送する第1ベルトコンベアと、前記第1ベルトコンベアの始端部に土砂を供給する土砂フィーダ装置と、前記第1ベルトコンベアの上方から該第1ベルトコンベアの途中に所定量の安定材を落下させる安定材供給装置と、前記第1ベルトコンベアの終端部から落下する土砂及び安定材を受け入れると共にこれらの土砂及び安定材を混合して土砂混合物を形成する混合装置と、前記混合装置から排出される土砂混合物を搬送する第2ベルトコンベアと、前記第2ベルトコンベアの終端部から落下する土砂混合物に分離防止剤を溶解した分離防止剤溶解液を噴霧して埋め立て材を形成する噴霧手段と、前記第1ベルトコンベアの前記土砂が落下される領域よりも終端側に配設されると共に土砂及び安定材の合計重量を計量する計量装置と、土砂及び安定材の前記合計重量から前記安定材供給装置に設定した安定材の供給量を差し引いて土砂の含水重量を算出し、該含水重量と前記土砂の含水比とに基づき土砂の乾燥重量を算出し、該乾燥重量と前記安定材の供給量との比率が所定値となるように前記土砂フィーダ装置から供給される土砂の量を調節する制御装置とを具備することを特徴とする埋め立て材製造システムにある。
【0010】
かかる第1の態様では、土砂及び安定材を纏めて計量し、その結果に基づき土砂と安定材とが所定比率となるように土砂の供給量を制御する。これにより、土砂及び安定材を個別に計量する機器を簡略化できる。また、所定比率に混合するための制御も簡略化することができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載する埋め立て材製造システムにおいて、前記安定材供給装置は、安定材が貯蔵されるサイロと、前記サイロから供給された安定材を蓄えるホッパと、前記ホッパの安定材を外部へ所定量排出するフィーダとから構成され、前記フィーダは、前記第1ベルトコンベアの前記計量装置よりも始端側に安定材を落下させる位置に配設されたことを特徴とする埋め立て材製造システムにある。
【0012】
かかる第2の態様では、所定量の安定材を第1ベルトコンベアに供給することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載する埋め立て材製造システムにおいて、前記制御装置は、前記ホッパに蓄えられる安定材が一定量を下回ったとき、前記サイロから前記ホッパに安定材を供給させることを特徴とする埋め立て材製造システムにある。
【0014】
かかる第3の態様では、所定量の安定材を連続的に第1ベルトコンベアに供給することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、第1〜第3の何れか一つの態様に記載する埋め立て材製造システムにおいて、土砂の前記乾燥重量に対して予め設定された質量の分離防止剤が水に対して所定濃度となるように分離防止剤を水に溶解させて分離防止剤溶解液を形成する分離防止剤溶解槽と、前記分離防止剤溶解槽から分離防止剤溶解液を貯留する分離防止剤溶解液貯槽と、前記分離防止剤溶解液貯槽から前記噴霧手段に分離防止剤溶解液を圧送するポンプとを具備し、前記分離防止剤溶解液貯槽に貯留されている分離防止剤溶解液が所定量以下となったとき、前記分離防止剤溶解槽に分離防止剤と水とを供給して所定濃度の分離防止剤溶解液を形成させることを特徴とする埋め立て材製造システムにある。
【0016】
かかる第4の態様では、所定濃度の分離防止剤溶解液を連続的に土砂混合物に噴霧できる。
【0017】
本発明の第5の態様は、第1〜第4の何れか一つの態様に記載する埋め立て材製造システムにおいて、前記制御装置は、前記計量装置から土砂及び安定材の合計重量、前記安定材供給装置から安定材の供給量、及び前記噴霧手段により噴霧された分離防止剤溶解液の量とから構成される情報を取得して記録すると共に該情報に基づいて埋め立て材製造システムの稼働状況を表示するよう構成されたことを特徴とする埋め立て材製造システムにある。
【0018】
かかる第5の態様では、作業員等が埋め立て材製造システムの稼働状況を一目して把握することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、土砂、安定材、及び分離防止剤を所定の比率で混合して埋め立て材を形成することができると共に、土砂や安定材を計量する機器を簡略化でき、また所定比率で混合するための制御も簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
【0021】
図1は、本実施形態に係る埋め立て材製造システムの概略構成図である。
【0022】
図1に示すように、第1ベルトコンベア10が搬送方向に向けて上昇するように傾斜して配設されている。第1ベルトコンベア10には、その始端部に、後述する土砂フィーダ装置20から土砂が供給され、その下流側にセメント供給装置(安定材供給装置)30から安定材の一例であるセメントが供給される。そして、これらの土砂及びセメントを第1ベルトコンベア10の終端部から落下させて混合装置40に供給する。また、第1ベルトコンベア10には、ロードセル11が設けられており、ロードセル11は、第1ベルトコンベア10により搬送される土砂及びセメントの重量を計測する。
【0023】
なお、本実施形態では単一のベルトコンベアから構成されているが、このような構成に限定されず、複数のベルトコンベアを直列的に連結して第1のベルトコンベアとしてもよい。また、第1ベルトコンベア10は、搬送方向に向けて上昇している必要はなく、水平であってもよい。
【0024】
図2(a)は、土砂フィーダ装置の正面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A線断面図である。
【0025】
図示するように、土砂フィーダ装置20は、上部開口23を介して土砂100が供給される土砂ホッパ21と、土砂ホッパ21内の土砂100を外部へ搬送するベルトフィーダ22と備えている。土砂ホッパ21には、側面に排出口24が設けられ、土砂ホッパ21の底部には開口部が設けられている。ベルトフィーダ22は、当該開口部を介して土砂100を受け止め、排出口24を介して外部に土砂100を搬送するように配設されている。ベルトフィーダ22の終端部は、第1ベルトコンベア10の始端部の上方に位置しており、ベルトフィーダ22により搬送された土砂は、終端部から落下して第1ベルトコンベア10の始端部に供給される。
【0026】
ベルトフィーダ22は、後述する制御装置70によりその搬送速度が調節される。すなわちベルトフィーダ22の搬送速度を調節することで、土砂フィーダ装置20から第1ベルトコンベア10に供給される土砂の量を調節可能となっている。
【0027】
図1に戻り、セメント供給装置30は、粉末状のセメントを貯蔵するセメントサイロ31と、セメントサイロ31から供給されたセメントを蓄えるセメントホッパ32と、セメントホッパ32からのセメントを第1ベルトコンベア10上に落下させるテーブルフィーダ33とから構成されている。
【0028】
セメントホッパ32には、常に所定量のセメントが貯蔵されるようにセメントサイロ31からセメントが供給されている。また、テーブルフィーダ33には、セメントホッパ32からセメントが供給される。テーブルフィーダ33は、単位時間当たりの排出量が一定となるようにセメントを外部へ排出する。この排出量は、制御装置70により設定されている。
【0029】
また、テーブルフィーダ33は、次に説明するように、テーブルフィーダ33から排出されるセメントが第1ベルトコンベア10に配設されたロードセル11よりも始端側になるように配設されている。
【0030】
図3(a)は、第1ベルトコンベアとセメント供給装置との位置関係を示す上面図であり、図3(b)は、図3(a)のA−A線矢視図である。
【0031】
図3(a)及び図3(b)に示すように、テーブルフィーダ33には、テーブルフィーダ33から排出されるセメントの出口となる排出口34が設けられている。排出口34は、第1ベルトコンベア10の上方に位置し、第1ベルトコンベア10上にセメントを落下させるように配設されている。また、排出口34は、第1ベルトコンベア10のロードセル11よりも始端側に配設されている。これにより、土砂フィーダ装置20から第1ベルトコンベア10の始端側に供給された土砂と、テーブルフィーダ33から供給されたセメントとの合計重量がロードセル11によって計量されることになる。
【0032】
なお、本実施形態ではセメントを所定量供給するものとしてテーブルフィーダ33を用いたが、これに限定されない。例えば、スクリューフィーダ、ロータリーフィーダ等、設定値に基づいて所定量のセメントを供給できるものであればよい。
【0033】
混合装置40は、円筒状の筐体41内で高速回転するチェーン45により、土砂及びセメントを破砕・混合するものである。詳言すると、筐体41には上部に、開口部である供給口42が設けられており、供給口42を介して第1ベルトコンベア10の終端部から落下した土砂及びセメントを受け入れるようになっている。また、筐体41内には回動軸44が回動自在に設けられている。回動軸44には、複数本のチェーン45が取り付けられている。
【0034】
回動軸44が回動すると、チェーン45も回動軸44を中心に回動する。この状態で、供給口42から土砂及びセメントが供給されると、土砂及びセメントが筐体41内を落下する間に、チェーン45により破砕・混合される。以降、混合装置40により混合された土砂及びセメントを土砂混合物と称する。土砂混合物は、混合装置40から混合装置40の下方に配設された第2ベルトコンベア50上に排出される。
【0035】
なお、本実施形態では、混合装置として高速回転するチェーン45により破砕・混合したが、これに限定されず、土砂及びセメントを混合できるものであればよい。
【0036】
第2ベルトコンベア50は、混合装置40から排出される土砂混合物を所定の場所へ搬送するように配設されている。また、第2ベルトコンベア50の終端部の下方には、該終端部から落下する土砂混合物に対して分離防止剤溶解液を噴霧する噴射手段の一例であるノズルスプレー60が2つ配設されている。各ノズルスプレー60は、落下する土砂混合物を挟みこむように両側から分離防止剤溶解液を噴霧している。これにより土砂混合物と分離防止剤溶解液とが満遍なく混合するようになっている。
【0037】
ノズルスプレー60から噴射される分離防止剤溶解液は、土砂混合物に含まれる土砂の乾燥重量に対して所定比率の分離防止剤が溶解されている。これにより、第2ベルトコンベア50から落下する土砂混合物に分離防止剤溶解液が噴霧されることにより、土砂、セメント、及び分離防止剤が所定の比率で混合された埋め立て材が形成される。
【0038】
ここで分離防止剤は、水中における土砂とセメントとの分離を防止する水溶性高分子材料であり、例えば、セルロース系、アクリル系等の水溶性高分子が挙げられる。分離防止剤溶解液は、次のように形成される。
【0039】
図4は、本実施形態に係る埋め立て材製造システムの概略構成図である。
【0040】
図示するように、海水槽80は、水汲み上げポンプ81により汲み上げられた海水101を貯留する。また、分離防止剤給粉機82は、粉末状の分離防止剤を貯蔵している。
【0041】
分離防止剤溶解槽83には、海水槽80から給水ポンプ84を介して海水101が供給され、分離防止剤給粉機82から分離防止剤が供給される。これにより、海水101に分離防止剤が溶解して分離防止剤溶解液が形成される。なお、分離防止剤溶解槽83には、攪拌機85が設けられており、攪拌機85は、攪拌により、海水101への分離防止剤の溶解を促進させる。分離防止剤溶解槽83で形成された分離防止剤溶解液は、分離防止剤溶解液ポンプ86を介して分離防止剤溶解液貯槽87に供給される。
【0042】
分離防止剤溶解液貯槽87とノズルスプレー60とは、定量ポンプ88を介して接続されており、分離防止剤溶解液貯槽87に貯留された分離防止剤溶解液は、定量ポンプ88によって所定圧力にまで昇圧されて、ノズルスプレー60を介して、第2ベルトコンベア50から落下する土砂混合物に噴射される。なお、定量ポンプ88とノズルスプレー60との間には電磁流量計89が取り付けられており、電磁流量計89が計測した分離防止剤の流量は、制御装置70に伝達される。
【0043】
また、分離防止剤溶解液貯槽87は、内部に貯留されている分離防止剤溶解液の量が一定となるように、分離防止剤溶解槽83から分離防止剤溶解液が供給されている。また、分離防止剤溶解槽83も同様に、内部に貯留されている分離防止剤溶解液の量が一定となるように、海水槽80から海水101が供給され、分離防止剤給粉機82から分離防止剤が供給されている。
【0044】
なお、本実施形態では、分離防止剤溶解液の溶媒として海水を用いたが、水を用いてもよい。
【0045】
制御装置70は、ロードセル11から土砂及びセメントの合計重量を取得し、土砂フィーダ装置20のベルトフィーダ22の搬送速度を調節するよう構成されている。制御装置70は、例えば、シーケンサやインバータ、情報処理機器から構成されている。例えば、シーケンサは、ロードセル11から合計重量を取得し、この合計重量に基づいて所定の計算を行い、この計算結果に基づいて、インバータを介してベルトフィーダ22の搬送速度を調節する。
【0046】
詳言すると、制御装置70は、まず合計重量からセメント供給装置30に設定したセメントの供給量を差し引く。この差し引いた結果を含水重量と称する。そして、別途測定した土砂の含水比を制御装置70に予め入力しておき、この含水比と含水重量から、土砂の乾燥重量を算出する。次に、乾燥重量とセメントの供給量との比率が所定値となるように、ベルトフィーダ22の搬送速度を調節して、土砂フィーダ装置20から第1ベルトコンベア10に供給される土砂の量を調節する。
【0047】
他にも、制御装置70は、セメントホッパ32に常に所定量のセメントが供給されるように制御している。具体的には次の通りである。図1に示すように、セメントホッパ32の上部には上側レベルメータ32Hが設けられ、下部には下側レベルメータ32Lが設けられている。上側レベルメータ32H及び下側レベルメータ32Lは、共に、セメントホッパ32内部に蓄えられたセメントの高さを計測するものである。これらの上側レベルメータ32H、及び下側レベルメータ32Lにより計測された高さは制御装置70に伝達される。制御装置70は、セメントホッパ32内のセメントの高さが、下側レベルメータ32Lの高さを下回ったときに、セメントサイロ31からセメントホッパ32にセメントを供給させ、セメントホッパ32内のセメントの高さが、上側レベルメータ32Hの高さに達したとき、供給を停止させる。なお、同様に、セメントサイロ31の上部には上側レベルメータ31Hが設けられ、下部には下側レベルメータ31Lが設けられている。上側レベルメータ31H及び下側レベルメータ31Lは、共に、セメントサイロ31内部に蓄えられたセメントの高さを計測するものである。これらの上側レベルメータ31H、及び下側レベルメータ31Lにより計測された高さは制御装置70に伝達され、例えば、セメントサイロ31内のセメントが所定量を下回ったら、その旨を作業員等に知らせるようになっている。
【0048】
また、制御装置70は、土砂フィーダ装置20、セメント供給装置30等の各種機器から各種情報を得て、情報処理機器によりこれらの情報を記録している。各種機器から得る情報としては、例えば、ロードセル11で計量された土砂及びセメントの合計重量、セメント供給装置30から供給されているセメントの量、セメントサイロ31・セメントホッパ32に貯留されているセメントの残量、分離防止剤溶解液貯槽87に貯留されている分離防止剤溶解液の残量、混合装置40の状態、電磁流量計89で計測された分離防止剤溶解液の流量などである。これらの各種情報は、時系列にプロットされてグラフ表示されたり、所定期間内に形成された埋め立て材の合計量など統計処理されて表示・出力される。他にも、情報処理機器には、各種情報を、埋め立て材製造システムに係る各種機器を模した画像と共に表示させることで、埋め立て材製造システムの全体構成と各種機器の稼働状況とを監視できる機能も備わっている。要するに、情報処理機器は、作業員等が埋め立て材製造システムの稼働状況を把握できるように、各種情報を処理・表示している。
【0049】
以上に説明した埋め立て材の製造システムによれば、第1ベルトコンベア10には、土砂フィーダ装置20から土砂が供給され、セメント供給装置30からセメントが供給され、これらの土砂及びセメントを混合装置40に搬送する。そして混合装置40では土砂及びセメントから土砂混合物を形成される。土砂混合物は、第2ベルトコンベア50から落下する際に、ノズルスプレー60から分離防止剤溶解液が噴射され、これにより土砂混合物と分離防止剤溶解液が混合して埋め立て材が形成される。
【0050】
このように形成された埋め立て材は、埋め立て材を用いた人工島等の造成に適用して有用なものである。なぜならば、土砂混合物に分離防止剤が添加されているので、水中に投下されても、土砂からセメントが分離することはなく、また、分離防止剤の添加により土砂に粘着力が付加されるので、埋め立て材を用いた人工島等で液状化が発生することを防止でき、地滑りや土圧に対しても安定しているからである。
【0051】
上述したように、土砂、セメント、及び分離防止剤をそれぞれ所定の比率となるように混合して埋め立て材を形成するに際し、土砂、セメントのそれぞれの供給量を測定するのではなく、ロードセル11で土砂及びセメントの合計重量を計測した。
【0052】
これは、特にセメント(安定材)は粒形状にバラツキが少ないので、一度、制御装置70がセメント供給装置30に所定量のセメントを供給するよう設定すれば、その設定どおりに所定量のセメントが排出されるからである。したがって、制御装置70は、土砂及びセメントの合計重量をロードセル11を介して取得すれば、この合計重量からセメント供給装置30に設定した供給量を差し引いて含水重量を算出でき、更にこの含水重量と土砂の含水比とから第1ベルトコンベア10に搬送されている土砂の量が算出できる。
【0053】
これにより、セメント供給装置30から供給されているセメントの量と、土砂フィーダ装置20から供給される土砂の量とを個別に計量する必要がないので、計量に係る機器が不要となり、コストの削減や埋め立て材製造システムの構成を簡略化できる。
【0054】
また、特に、土砂フィーダ装置20にロードセルを設けて土砂の供給量を計測するのは変動が大きく、この計測値に基づいて供給量を一定にすべく制御するのは困難であるが、本発明では、第1ベルトコンベア10で土砂及びセメントを纏めて計量するので、このような土砂の供給量の変動に影響されるような問題も起こりえない。
【0055】
更に、制御装置70は、一度セメント供給装置30から供給されるセメントの量を設定してしまえば、後は、土砂フィーダ装置20の土砂の供給量を調節するだけでよいので、土砂及びセメントを所定比率にする制御を簡略化することができる。
【0056】
また、テーブルフィーダ33は、ロードセル11に土砂及びセメントを計量させるために、第1ベルトコンベア10のロードセル11よりも始端側に配設されている。一方、第1ベルトコンベア10の始端側は低く、終端側は高くなっているので、テーブルフィーダ33は比較的低い場所に配設されることになる。すなわちテーブルフィーダ33を高所に配設する必要がなくなるので、テーブルフィーダ33を支持する部材に係るコストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態に係る埋め立て材製造システムの概略構成図である。
【図2】土砂フィーダ装置の正面図及び断面図である。
【図3】第1ベルトコンベアとセメント供給装置との位置関係を示す上面図及び矢視図である。
【図4】実施形態に係る埋め立て材製造システムの概略構成図である。
【符号の説明】
【0058】
10 ベルトコンベア
11 ロードセル
20 土砂フィーダ装置
21 土砂ホッパ
22 ベルトフィーダ
23 上部開口
24 排出口
30 セメント供給装置
31 セメントサイロ
31L 下側レベルメータ
31H 上側レベルメータ
32 セメントホッパ
32L 下側レベルメータ
32H 上側レベルメータ
33 テーブルフィーダ
34 排出口
40 混合装置
41 筐体
42 供給口
44 回動軸
45 チェーン
50 ベルトコンベア
60 ノズルスプレー
70 制御装置
80 海水槽
81 水汲み上げポンプ
82 分離防止剤給粉機
83 分離防止剤溶解槽
84 給水ポンプ
85 攪拌機
86 分離防止剤溶解液ポンプ
87 分離防止剤溶解液貯槽
88 定量ポンプ
89 電磁流量計
100 土砂
101 海水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂と安定材とを混合した土砂混合物に分離防止剤を連続的に混合して、水中に投下する埋め立て材を製造する埋め立て材製造システムであって、
前記土砂と前記安定材とを搬送する第1ベルトコンベアと、
前記第1ベルトコンベアの始端部に土砂を供給する土砂フィーダ装置と、
前記第1ベルトコンベアの上方から該第1ベルトコンベアの途中に所定量の安定材を落下させる安定材供給装置と、
前記第1ベルトコンベアの終端部から落下する土砂及び安定材を受け入れると共にこれらの土砂及び安定材を混合して土砂混合物を形成する混合装置と、
前記混合装置から排出される土砂混合物を搬送する第2ベルトコンベアと、
前記第2ベルトコンベアの終端部から落下する土砂混合物に分離防止剤を溶解した分離防止剤溶解液を噴霧して埋め立て材を形成する噴霧手段と、
前記第1ベルトコンベアの前記土砂が落下される領域よりも終端側に配設されると共に土砂及び安定材の合計重量を計量する計量装置と、
土砂及び安定材の前記合計重量から前記安定材供給装置に設定した安定材の供給量を差し引いて土砂の含水重量を算出し、該含水重量と前記土砂の含水比とに基づき土砂の乾燥重量を算出し、該乾燥重量と前記安定材の供給量との比率が所定値となるように前記土砂フィーダ装置から供給される土砂の量を調節する制御装置と
を具備することを特徴とする埋め立て材製造システム。
【請求項2】
請求項1に記載する埋め立て材製造システムにおいて、
前記安定材供給装置は、安定材が貯蔵されるサイロと、前記サイロから供給された安定材を蓄えるホッパと、前記ホッパの安定材を外部へ所定量排出するフィーダとから構成され、
前記フィーダは、前記第1ベルトコンベアの前記計量装置よりも始端側に安定材を落下させる位置に配設された
ことを特徴とする埋め立て材製造システム。
【請求項3】
請求項2に記載する埋め立て材製造システムにおいて、
前記制御装置は、前記ホッパに蓄えられる安定材が一定量を下回ったとき、前記サイロから前記ホッパに安定材を供給させる
ことを特徴とする埋め立て材製造システム。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する埋め立て材製造システムにおいて、
土砂の前記乾燥重量に対して予め設定された質量の分離防止剤が水に対して所定濃度となるように分離防止剤を水に溶解させて分離防止剤溶解液を形成する分離防止剤溶解槽と、
前記分離防止剤溶解槽から分離防止剤溶解液を貯留する分離防止剤溶解液貯槽と、
前記分離防止剤溶解液貯槽から前記噴霧手段に分離防止剤溶解液を圧送するポンプと
を具備し、
前記分離防止剤溶解液貯槽に貯留されている分離防止剤溶解液が所定量以下となったとき、前記分離防止剤溶解槽に分離防止剤と水とを供給して所定濃度の分離防止剤溶解液を形成させる
ことを特徴とする埋め立て材製造システム。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか一項に記載する埋め立て材製造システムにおいて、
前記制御装置は、前記計量装置から土砂及び安定材の合計重量、前記安定材供給装置から安定材の供給量、及び前記噴霧手段により噴霧された分離防止剤溶解液の量とから構成される情報を取得して記録すると共に該情報に基づいて埋め立て材製造システムの稼働状況を表示するよう構成された
ことを特徴とする埋め立て材製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−209660(P2009−209660A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56883(P2008−56883)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【出願人】(000219406)東亜建設工業株式会社 (177)
【出願人】(000222668)東洋建設株式会社 (131)
【出願人】(000231198)日本国土開発株式会社 (51)