説明

埋設可能な装置に用いる酸素増大膜システム

本発明は埋設可能な装置における酸素の効率を高めるシステム及び方法に広く係るものである。好ましい実施形態は装置を生物学的な環境から保護し、及び/または酵素反応の触媒を提供する膜システムであって、前記膜システムは高い酸素溶解性材料から形成されるポリマーを含む。前記高い酸素溶解性を有するポリマー材料は、酸素欠乏下でも酸素利用源での酸素の効率が動的に高く保持されるように、埋設可能な装置上の酸素利用源近傍に配置される。前記膜システム(18)は細胞破壊ドメイン(40)、細胞不浸透性ドメイン(42)、抵抗ドメイン(44)、酵素ドメイン(46)、妨害ドメイン(48)、及び電気化学反応表面に近接した電解質ドメイン(50)を備えていてもよい。好ましい実施形態における膜システムは、酵素ベースの電気化学センサー等酸素利用源を備えた埋設可能な装置に有効であり、及び/または低酸素の状況でも機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は埋設可能な装置における酸素の効率を高めるシステム及び方法に広く係るものである。
【背景技術】
【0002】
電気化学センサーは化学及び医学において、生物学的分析物の存在や濃度を決定するために有用である。そのようなセンサーは、例えば糖尿病患者におけるグルコースの監視や重症者管理における乳酸の監視に有用である。
【0003】
(真性)糖尿病は、すい臓が十分なインシュリンを作ることができない(I型またはインシュリン依存型)、及び/またはインシュリンが有効なものではない(II型または非インシュリン依存型)という疾患である。糖尿の状態では、患者は高い血糖値を経験するが、これは細い血管の悪化と結びついて多くの生理的な障害の原因となる(腎臓不全、肌の潰瘍、または眼の硝子液への出血)。低血糖反応(低血糖)は、インシュリンの不注意な過剰摂取、またはインシュリンの通常の摂取、または極端な運動と同時のグルコース低下剤摂取、または食物摂取が不十分であることにより引き起こされる。
【0004】
通常、糖尿病の人は血中グルコースの自己監視モニター(SMBG)を持ち歩いており、それは一般的には不愉快な、指からの血液採取法(finger pricking methods)を利用するものである。快適さや利便性に欠けているため、糖尿病の人は通常一日2から4回の本人のグルコースレベルを測るにすぎない。不幸なことに、これらの時間間隔が広くばらついているため、気づくのが大変遅くなり、時として高血糖症または低血糖症といった危険な副作用を招くこともある。実は従来の方法に基づいた場合、糖尿病の人がちょうど良いタイミングにSMBG値を測定することが考えにくいばかりではなく、彼らの血糖値が上がっているか(より高く)、下がっているか(より低く)を知ることもない。
【特許文献1】米国特許第6,015,572号明細書
【特許文献2】米国特許第5,964,745号明細書
【特許文献3】米国特許第6,083,523号明細書
【特許文献4】米国特許第5,458,631号明細書
【特許文献5】米国特許第5,820,589号明細書
【特許文献6】米国特許第5,972,369号明細書
【特許文献7】米国特許第6,001,067号明細書
【特許文献8】米国特許第6,702,857号明細書
【特許文献9】米国特許第6,212,416号明細書
【特許文献10】米国特許第6,119,028号明細書
【特許文献11】米国特許第6,400,974号明細書
【特許文献12】米国特許第6,595,919号明細書
【特許文献13】米国特許第6,141,573号明細書
【特許文献14】米国特許第6,122,536号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第1153571号明細書
【特許文献16】米国特許第6,512,939号明細書
【特許文献17】米国特許第5,605,152号明細書
【特許文献18】米国特許第4,431,004号明細書
【特許文献19】米国特許第4,703,756号明細書
【特許文献20】米国特許第6,514,718号明細書
【特許文献21】米国特許第5,985,129号明細書
【特許文献22】国際公開第2004/021877号パンフレット
【特許文献23】米国特許第5,494,562号明細書
【特許文献24】米国特許第6,120,676号明細書
【特許文献25】米国特許第6,542,765号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第10/838,912号明細書
【特許文献27】米国特許出願公開第10/838,912号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第10/789,359号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第10/633,367号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第10/685,636号明細書
【特許文献31】米国特許第6,702,857号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第10/647,065号明細書
【特許文献33】米国特許第6,702,857号明細書
【特許文献34】米国特許出願公開第10/647,065号明細書
【特許文献35】米国特許第4,803,243号明細書
【特許文献36】米国特許第4,686,044号明細書
【特許文献37】米国特許第6,413,396号明細書
【特許文献38】米国特許第6,565,509号明細書
【特許文献39】米国特許第6,514,718号明細書
【特許文献40】米国特許出願公開第10/842,716号明細書
【特許文献41】米国特許出願公開第10/838,912号明細書
【特許文献42】米国特許出願公開第10/789,359号明細書
【特許文献43】米国特許出願公開第10/685,636号明細書
【特許文献44】米国特許出願公開第10/648,849号明細書
【特許文献45】米国特許出願公開第10/646,333号明細書
【特許文献46】米国特許出願公開第10/647,065号明細書
【特許文献47】米国特許出願公開第10/633,367号明細書
【特許文献48】米国特許第6,702,857号明細書
【特許文献49】米国特許出願公開第09/916,711号明細書
【特許文献50】米国特許出願公開第09/447,227号明細書
【特許文献51】米国特許出願公開第10/153,356号明細書
【特許文献52】米国特許出願公開第09/489,588号明細書
【特許文献53】米国特許出願公開第09/636,369号明細書
【特許文献54】米国特許出願公開第09/916,858号明細書
【特許文献55】米国特許第6,001,067号明細書
【特許文献56】米国特許第4,994,167号明細書
【特許文献57】米国特許第4,757,022号明細書
【特許文献58】米国特許出願公開第60/489,615号明細書
【特許文献59】米国特許出願公開第60/490,010号明細書
【特許文献60】米国特許出願公開第60/490,208号明細書
【特許文献61】米国特許出願公開第60/490,007号明細書
【非特許文献1】Diabetes Care 5:207−21(1982)
【非特許文献2】Anal.Chem.,66:1520−1529(1994)
【非特許文献3】Measurement of Dissolved Oxygen. In Chemical Analysis;Elving,P.,Winefordner,J.,Eds.;John Wiley & Sons:New York,1978;Vol.49,pp.63−70
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、血糖値を連続的に検出及び/または定量化するための様々な経皮的及び埋設可能な電気化学センサーが開発されている。多くの埋設可能なグルコースセンサーは体内で複雑な状況下にあり、単に短期間のまたは不正確な血糖値の検出を与えるのみである。同様に、経皮的なセンサーは長期にわたって連続的に正確に検出することにおいて、及び血糖値を報告することにおいて問題を有している。埋設可能な装置から血糖値のデータを得るため、及び解析のため血糖値の傾向を過去に遡って確定するための努力がされてきた;しかし、これらの努力は、リアルタイムの血糖値の情報を測定するという点では糖尿病患者の支援にはならなかった。経皮的な装置から将来のデータ解析のために血糖のデータを得るための努力もまた行われてきたが、同様の問題が起こった。
【0006】
そのため、虚血の状況下でも正確な、リアルタイムの情報を提供するセンサーが望まれる。
【0007】
従って、第1の実施形態として、流体中の分析物の存在または濃度を決定する電気化学センサーが提供され、前記センサーは膜システムを備え、前記膜システムは酵素を含む酵素ドメインを備え、流体中の前記分析物が前記酵素ドメインを通過するときに前記酵素が前記分析物と反応するところの膜システムと;導電性の材料を含む作用電極であって、前記作用電極は前記酵素と前記分析物の反応生成物を測定するよう構成されているところの前記作用電極とを備えたものであって、前記膜システムは酸素溶解性が高いポリマー材料を含むものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の他の実施形態としては、前記酵素ドメインは酸素溶解性が高いポリマー材料を含む。
【0009】
第1の他の実施形態としては、前記ポリマー材料はシリコン、フルオロカーボン、及びパーフルオロカーボンからなるグループから選択される。
【0010】
第1の他の実施形態としては、前記センサーはさらに抵抗ドメインを更に備え、前記抵抗ドメインは前記分析物が内部を通過する際の流れを制限するよう構成され、前記抵抗ドメインは前記作用電極からの距離が前記酵素ドメインよりも遠い位置に配置され、且つ前記抵抗ドメインは酸素溶解性が高いポリマー材料を含む。
【0011】
第1の他の実施形態としては、前記抵抗ドメインはシリコン、フルオロカーボン、及びパーフルオロカーボンからなるグループから選択される。
【0012】
第1の他の実施形態としては、前記センサーはさらに細胞不浸透性ドメインを含み、前記細胞不浸透性ドメインは前記酵素ドメインと比較して前記作用電極からより遠くに位置し、且つ前記細胞不浸透性ドメインは高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含む。
【0013】
第1の他の実施形態としては、前記細胞不浸透性ドメインはシリコン、フルオロカーボン、及びパーフルオロカーボンからなるグループから選択される。
【0014】
第1の他の実施形態としては、前記センサーはさらに実質的に多孔質の構造を有する細胞破壊ドメインを含み、前記細胞破壊ドメインは前記酵素ドメインと比較して前記作用電極からより遠くに位置し、且つ前記細胞破壊ドメインは高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含む。
【0015】
第1の他の実施形態としては、前記細胞破壊ドメインはシリコン、フルオロカーボン、及びパーフルオロカーボンからなるグループから選択される。
【0016】
第1の他の実施形態としては、前記センサーはさらに妨害物質を制限または遮断するよう構成された妨害ドメインを含み、前記妨害ドメインは前記酵素ドメインと比較して前記作用電極からより隣接する位置にあり、且つ前記妨害ドメインは高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含む。
【0017】
第1の他の実施形態としては、前記妨害ドメインはシリコン、フルオロカーボン、及びパーフルオロカーボンからなるグループから選択される。
【0018】
第1の他の実施形態としては、前記センサーはさらに前記作用電極において親水性を与えるように構成された電解質ドメインを含み、前記電解質ドメインは前記酵素ドメインと比較して前記作用電極からより隣接する位置にあり、且つ前記電解質ドメインは高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含む。
【0019】
第1の他の実施形態としては、前記電解質ドメインはシリコン、フルオロカーボン、及びパーフルオロカーボンからなるグループから選択される。
【0020】
第2の他の実施形態としては、ホストの組織内に埋設するよう構成された分析物検出装置が提供され、前記装置は、酸素利用源と;膜システムであって、生物学的環境からの前記装置の保護;分析物の拡散抵抗;酵素反応を可能にする触媒;及び妨害物質の制限;からなるグループから選択される少なくとも一つの機能を提供するよう構成された膜システムとを含み、前記膜システムは高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含み、前記膜システムは酸素利用源に近接している。
【0021】
第2の他の実施形態としては、前記酸素利用源は酵素を含む。
【0022】
第2の他の実施形態としては、前記膜システムは高い酸素溶解性を有する前記ポリマー材料を含むものであって、前記ポリマー材料は前記酵素と前記組織との間で実質的に連続である。
【0023】
第2の他の実施形態としては、前記酸素利用源は電気活性表面を含む。
【0024】
第2の他の実施形態としては、前記膜システムは高い酸素溶解性を有する前記ポリマーを含むものであって、前記ポリマー材料は前記酵素と前記組織との間で実質的に連続である。
【0025】
第2の他の実施形態としては、前記酸素利用源は電池である。
【0026】
第2の他の実施形態としては、前記膜システムは高い酸素溶解性を有する前記ポリマー材料を含むものであって、前記ポリマー材料は前記電池と前記組織との間で実質的に連続である。
【0027】
第2の他の実施形態としては、前記ポリマー材料はシリコン、フルオロカーボン、及びパーフルオロカーボンからなるグループから選択される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
前記好ましい実施形態の詳細な説明
以下の記述及び例示は開示された発明の実施形態を詳細に説明するものである。当業者は、その範囲の中で行われる本発明の様々な変更及び修正があることを認めるであろう。従って、実施形態の例示に関する記載は、本発明の範囲を制限すると考えられるべきではない。
【0029】
定義
ここで使われる“分析物”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、生物学的流体中(例えば、血液、組織液、脳脊髄液、リンパ液または尿)の分析可能な物質または化学成分を参照するための用語を含むものである。分析物は自然に発生する物質、人工的な物質、新陳代謝に必要な物質、及び/または反応生成物を含んでいてもよい。ある実施形態では、前記検出領域、装置、及び方法による測定の対象となる分析物はグルコースである。しかしながら、他の分析物についても同様に考えられていて、アカルボキシプロトロンビン(acarboxyprothrombin)に制限されず、以下を含む;アシルカルニチン、アデニンリボースリン酸転移酵素(adenine phosphoribosyl transferase);アデノシン デアミナーゼ(adenosine deaminase);アルブミン(albumin);アルファ−フェトプロテイン(alpha−fetoprotein);アミノ酸プロファイル(amino acid profiles)(アルギニン(クレブズ回路)、ヒスチジン/ウロカニン酸、ホモシステイン、フェニルアラニン/チロシン、トリプトファン);アンドレノステンジオン(andrenostenedione);アンチピリン(antipyrine);アラビニトール エナンチオマー(arabinitol enantiomers);アルギナーゼ(arginase);ベンゾイルエクゴニン(benzoylecgonine);ビオチニダーゼ(biotinidase);ビオプテリン(biopterin);C−反応性蛋白質(c−reactive protein);カルニチン(carnitine);カルノシナーゼ(carnosinase);CD4;セルロプラスミン(ceruloplasmin);ケノデオキシコール酸(chenodeoxycholic acid);クロロキン(chloroquine);コレステロール(cholesterol);コリンエステラーゼ(cholinesterase);共役型1−βヒドロキシコール酸(conjugated 1−beta hydroxy−cholic acid);コルチゾール(cortisol);クレアチンキナーゼ(creatine kinase);クレアチンキナーゼ MM イソ酵素(creatine kinase MM isoenzyme);シクロスポリン A(cyclosporin A);d−ペニシラミン(d−penicillamine);デエチルクロロキン(deethylchloroquine);デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(dehydroepiandrosterone sulfate;DNA(アセチレーター多形(acetylator polymorphism)、アルコールデヒドロゲナーゼ(alcohol dehydrogenase)、α1―アンチトリプシン(alpha 1−antitrypsin)、嚢胞性繊維症(cystic fibrosis)、デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー(Duchenne/Becker muscular dystrophy)、グルコース 6−フォスフェート デヒドロゲナーゼ(glucose− 6−phosphate dehydrogenase)、ヘモグロビン A(hemoglobin A)、ヘモグロビン S(hemoglobin S)、ヘモグロビンC(hemoglobin C)、ヘモグロビンD(hemoglobin D)、ヘモグロビンE(hemoglobin E)、ヘモグロビンF(hemoglobin F)、D−パンジャブ(D−Punjab)、β―タラセミア(beta−thalassemia)、ヘパティティス B ウィルス(hepatitis B virus)、HCMV、HIV−1、HTLV−1,レーバー遺伝性視神経障害(Leber hereditary optic neuropathy)、MCAD,RNA,PKU, 三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、性分化(sexual differentiation)、21−デオキシコーチソル(21−deoxycortisol));デスブチルハロファントリン(desbutylhalofantrine); ジヒドロプテリジン還元酵素(dihydropteridine reductase); ジフテリア/破傷風抗毒素(diptheria/tetanus antitoxin); 赤血球中アルギナーゼ(erythrocyte arginase); 赤血球中プロトポルフィリン(erythrocyte protoporphyrin);エステラーゼ D(esterase D); 脂肪酸/アシルグリシン(fatty acids/acylglycines);ヒト絨毛性ゴナドトロピン(free B−human chorionic gonadotropin);赤血球ポルフィリン(free erythrocyte porphyrin);チロキシン(free thyroxine (FT4));トリヨードチロニン(free tri−iodothyronine (FT3));フマリルアセトアセターゼ(fumarylacetoacetase);ガラクトース/ガラクトース1リン酸(galactose/gal−1−phosphate); ガラクトース1リン酸 ウリジルトランスフェラーゼ(galactose−l−phosphate uridyltransferase); ゲンタマイシン(gentamicin);グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ(glucose−6−phosphate dehydrogenase);グルタチオン(glutathione);グルタチオン ペリオキシダーゼ(glutathione perioxidase);グリココール酸(glycocholic acid); グリコシル化ヘモグロビン(glycosylated hemoglobin);ハロファントリン(halofantrine);ヘモグロビン変異体(hemoglobin variants);ヘキソサミニダーゼ A(hexosaminidase A);ヒト赤血球炭酸脱水酵素l(human erythrocyte carbonic anhydrase I);17−α―ヒドロキシプロゲステロン(17−alpha− hydroxyprogesterone);ヒポキサンチンホスホリボシル転移酵素(hypoxanthine phosphoribosyl transferase);免疫活(または反応)性トリプシン(immunoreactive trypsin);ラクテート(lactate);鉛(lead);リポプロテイン (a)、B/A−1、R(lipoproteins( (a), B/A−1, R));リゾチーム(lysozyme);メフロキン(mefloquine);ネチルミシン(netilmicin);フェノバルビトン(phenobarbitone);フェニトイン(phenytoin);フィタニック/プリスタニック酸(phytanic/pristanic acid);プロゲステロン(progesterone);プロラクチン(prolactin);プロリダーゼ(prolidase);プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(purine nucleoside phosphorylase);キニーネ(quinine);逆位トリヨードチロニン(reverse tri−iodothyronine (rT3));セレン(selenium);血清膵臓リパーゼ(serum pancreatic lipase);シソミシン(sissomicin);ソマトメジンC(somatomedin C);特異抗体(specific antibodies)(アデノウィルス(adenovirus),抗核抗体(anti−nuclear antibody),アンチーゼータ抗体(anti−zeta antibody),アルボウイルス(arbovirus), オーエスキー病ウィルス(Aujeszky’s disease virus),デングウィルス(dengue virus),メジナ虫(Dracunculus medinensis),蝟粒条虫(Echinococcus granulosus),エントアメーバヒストリティカ(Entamoeba histolytica),エンテロウイルス(enterovirus),ジアルジア症(Giardia duodenalisa),ヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori),B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus),ヘルペスウイルス(herpes virus), HIV−1,免疫グロブリンE(IgE(アトピー性疾患(atopic disease))),インフルエンザウィルス(influenza virus),ドノバン・リーシュマニア(Leishmania donovani),レプトスピラ(leptospira),麻疹/おたふくかぜ/風疹(measles/mumps/rubella),らい病マイコバクテリア(Mycobacterium leprae),肺炎マイコプラスマ(Mycoplasmapneumoniae),ミオグロビン(Myoglobin),回施糸状虫(Onchocerca volvulus),パラインフルエンザウイルス(parainfluenza virus),熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum),ポリオウイルス(poliovirus), 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa),呼吸器合胞体ウイルス(respiratory syncytial virus),リケッチア(rickettsia(恙虫病(scrub typhus))),マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni),トキソプラスマ(Toxoplasma gondii), トレポネーマパラディウム(Trepenoma pallidium), トリパノソーマ クルジ/ランゲリ(Trypanosoma cruzi/rangeli),ベシキュラストマチスウィルス(vesicular stomatis virus),バンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti),黄熱病ウイルス(yellow fever virus));特異抗原(specific antigens)(B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus),HIV−1);サクシニルアセトン(succinylacetone);スルファドキシン(sulfadoxine);テオフィリン(theophylline);チロトロピン(thyrotropin(TSH));サイロキシン(thyroxine(T4));サイキロキシン結合性グロブリン(thyroxine−binding globulin);痕跡元素(trace elements);トランスフェリン(transferrin);UDP−ガラクトース−4−エピメラーゼ(UDP−galactose−4−epimerase);尿素(urea);ウロポルフィリノーゲン I シンターゼ(uroporphyrinogen I synthase);ビタミンA(vitamin A);白血球(white blood cells);及び亜鉛プロトポルフィリン(zinc protoporphyrin)。血液中または組織液中で自然に発生する、塩類(Salts),糖質(sugar),蛋白質(protein),脂肪(fat),ビタミン(vitamins)及び副腎皮質ホルモン(hormones)も実施形態によっては分析物を構成する。
【0030】
前記分析物は生物学的流体中に自然に存在するものかまたは内因性のものであってもよく、例えば,代謝生成物,ホルモン,抗原,抗体,及び同様のものであってよい。また,前記分析物は体内に取り入れられても、または外因性のものであってもよく、例えば,撮像のためのコントラスト剤,放射性同位元素,化学薬品,フルオロカーボンベースの合成血液(fluorocarbon−based synthetic blood),またはドラッグ(drug)または製薬化合物(pharmaceutical composition)で、インシュリン;エタノール;大麻(マリファナ,テトラヒドロカナビノール(tetrahydrocannabinol),ハシシュ(hashish));吸入薬(亜酸化窒素(nitrous oxide),亜硝酸アミル(amyl nitrite), 亜硝酸ブチル(butyl nitrite),塩化炭化水素(chlorohydrocarbons),炭化水素(hydrocarbon));コカイン(cocaine クラックコカイン((crack cocaine));覚せい剤(stimulants)(アンフェタミン(amphetamines),メタンフェタミン(methamphetamines),リタリン(Ritalin),サイラート(Cylert),プレルジン(Preludin),ジドレックス(Didrex),プレステート(PreState),ボラニル(Voranil),サンドレックス(Sandrex),プレジン(Plegine));鎮静剤(depressants)(バービチュエート(barbituates),メタカロン(methaqualone),(例えばバリウム(Valium),リブリウム(Librium),ミルタウン(Miltown),セラックス(Serax),イコアニル(Equanil),トランキセン(Tranxene))等の精神安定剤(tranquilizers);ハルシノゲン(hallucinogens)(フェンシクリジン(phencyclidine),リゼルギン酸(lysergic acid),メスカリン(mescaline),ペヨーテ(peyote),プシロシビン(psilocybin));麻酔薬(narcotics)((ヘロイン(heroin),コデイン(codeine),モルヒネ(morphine),アヘン(opium),メペリジン(meperidine),パーコセット(Percocet),パーコダン(Percodan),タシオネックス(Tussionex),フェンタニル(Fentanyl),ダルボン(Darvon),タルウィン(Talwin),ロモティル(Lomotil));デザイナードラッグ(designer drugs)(フェンタニル(fentanyl),メペリジン(meperidine),アンフェタミン(amphetamines),メタンフェタミン(methamphetamines)及びフェンシクリジン(phencyclidine)の類似物、例えば、エクスタシー(Ecstasy));アナボリックステロイド(anabolic steroids);及びニコチン(nicotine)を含むが、これらに制約されることはない。前記ドラッグ(drug)または製薬化合物(pharmaceutical composition)の代謝生成物もまた、予想される分析物である。例えば、アスコルビン酸,尿酸,ドーパミン,ノルアドレナリン,3−メトキシチラミン(3− methoxytyramine (3MT)),3,4−ジヒドロキシフェニル酢酸(3,4−dihydroxyphenylacetic acid (DOPAC)),ホモバニリン酸(homovanillic acid (HVA)),5−ヒドロキシトリプタミン(5− hydroxytryptamine (5HT),及び5−ヒドロキシインドール酢酸(5−hydroxyindoleacetic acid(FHIAA))等、身体内部で生成される神経化学物質及び他の化学物質もまた分析物となりうる。
【0031】
ここで使われる“操作可能な接続”、“操作可能な状態で接続された”及び“操作可能な状態で連結された”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、前記構成要素間の信号の伝達が可能となるように他の一つ(複数の)構成要素に連結された、一つまたはより多くの構成要素を含むものである。例えば、サンプル中の分析物の量を検出するために、及びその情報を信号に変換するために一つまたはそれ以上の電極が使われてもよい;その後信号は回路に伝達されてもよい。この場合には、電極は電子回路の回路構成要素に“操作可能な状態で接続”されている。
【0032】
ここで使われる“ホスト”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに哺乳類、特に人類を含むものである。
【0033】
“電気化学的に反応性の表面”及び“電気的に活性な表面”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、電気化学反応が起こる前記電極表面を含むものである。一つの例としては、作用電極では、前記分析物による酵素触媒反応により生成された検出対象の過酸化水素が反応し、電流を生成するのを測定する(例えば、グルコースオキシダーゼを利用したグルコース分析物の検出では、副生成物としてHが生成され、Hが前記作用電極の表面と反応して二つのプロトン(2H)、検出電流を発生する二つの電子(2e)と一つの酸素分子(O)を生成する)。前記対向電極の場合には、作用電極によって生成される電流との平衡をとるため、還元種、例えばOが電極表面で還元される。
【0034】
“検出領域”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、特定の分析物を検出する能力を有する監視装置の領域を含むものである。前記検出領域は一般的に非導電性の本体と、本体を突き通って且つ本体中に保護され、本体に電気化学的反応表面を形成し前記本体上の他の場所で電子装置と接続する、作用電極と、参照電極と、及び/または対向電極(任意)と、本体に固定され電気化学的反応表面を覆うマルチドメインの膜システムとを備える。
【0035】
“生データの流れ”及び“データの流れ”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、測定された分析物に直接関連する前記グルコースセンサーからのアナログまたはデジタル信号を含むものである。一つの例としては、生データの流れは、A/Dコンバータによってグルコース濃度に対応するアナログ信号(例えば、ボルト数またはアンペア数)から変換され“カウント”単位で示されたデジタルデータである。前記用語は、実質的に連続なグルコースセンサーからのある時間間隔の多数のデータ点を広く包含するもので、1秒の何分の1から、例えば1、2、または5分、またはそれ以上までの時間間隔の個々の測定点を含むものである。
【0036】
“カウント”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、デジタル信号の測定の単位を含むものである。一つの例としては、カウント単位で測定された生データの流れは、直接電位(例えば、A/Dコンバーターで変換されたもの)に関連し、前記作用電極からの電流に直接関連する。他の例では、カウント単位で測定された対向電極電位は、直接電位に関連する。
【0037】
“電気的な電位”または“電位”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、電流の流れの原因となる回路内の2点間の電気的な電位差を含むものである。
【0038】
“虚血”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、ある部分(例えば、センサー)への循環の妨害によって起こる局所的かつ一時的な血液供給の欠乏を含むものである。虚血は、例えば血液供給の機械的な妨害(例えば、動脈が狭くなる、または破裂)によっても起こりうる。
【0039】
“システムノイズ”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、例えば、ガウシアン、モーションリレーテッド(motion−related)、フリッカ(flicker)、キネティック(kinetic)またはホワイト(white) ノイズを含んでいても良い、望まれない電子関連または拡散関連のノイズを含むものである。
【0040】
“偽信号”または“非−グルコースに関連した一過性の偽信号”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、例えば虚血、pHの変化、温度変化、圧力、及びストレス等の、実質的な非−グルコース反応による律速現象に起因する信号のノイズを含むものである。ここで記述したような偽信号は一般的には一過性のものであり、システムノイズよりも大きいことによって特徴付けられる。
【0041】
“低ノイズ”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、実質的に信号の大きさを減少させるノイズを含むものである。
【0042】
“高ノイズ”または“高スパイク”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、実質的に信号の大きさを増大させるノイズを含むものである。
【0043】
“シリコン化合物”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、主鎖に少なくともシリコン及び酸素原子を有するポリマーを含む材料の化合物を含むものである。
【0044】
“遠くに”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、様々な要素と特定の参照位置との空間的な関係を含むものである。例えば、ある装置の実施形態では、細胞破壊ドメイン及び細胞不浸透性ドメインを有する膜システムが備えられる。もし前記センサーが参照点であり、細胞不浸透性ドメインが前記センサーのより遠くに位置していると考えるならば、そのドメインはセンサーに対して遠くにある。
【0045】
“隣接して”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、様々な要素と特定の参照位置との空間的な関係を含むものである。例えば、ある装置の実施形態では、細胞破壊ドメイン及び細胞不浸透性ドメインを有する膜システムが備えられている。もし前記センサーが参照点であり、細胞不浸透性ドメインが前記センサーのより近くに位置していると考えるならば、そのドメインはセンサーに対して隣接している。
【0046】
“妨害物質”または“妨害化学種”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、センサー内で興味ある分析物の測定を妨害し、前記分析物の測定結果を正確に表現しない信号を発生するような効果及び/または化学種を含むものである。電気化学センサーにおいては、妨害物質は測定すべき前記分析物と重なる酸化電位を有する化合物を含む可能性がある。
【0047】
ここで用いられるものとして、以下の省略形を適用する:Eq及びEqs(当量);mEq(ミリ当量);M(モル);mM(ミリモル);μM(マイクロモル);N(規定);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);Kg(キログラム);L(リットル);mL(ミリリットル);dL(デシリットル);μL(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメーター);μm(マイクロメーター);nm(ナノメーター);h及びhr(時間);min.(分);s及びsec.(秒);℃(摂氏度)。
【0048】
概要
好ましい実施形態の膜システムは生物学的流体に接した埋設可能な装置に利用するのに適当である。例えば、前記膜システムは生物学的流体中の分析物濃度、例えば糖尿病患者のグルコース濃度、を監視したり測定するための装置のような埋設可能な装置に利用されてもよい。ある実施形態では、前記分析物測定装置は連続的な装置である。また、前記装置は多数の断続的な生体サンプルを分析可能である。前記分析物測定装置は、酵素、化学的、物理的、電気化学的、分光測定法、偏光分析、熱量測定、放射分析、または同様の方法を含む、どのような分析測定方法を用いてもよい
【0049】
以下の記載は、開示する膜システム及びその使用方法を包含して、グルコース測定装置に直接関係するものであるが、これらの膜システムはグルコースを測定または監視する装置への使用に制限されるものではない。これらの膜システムは、例えば生物学的流体中に存在する他の分析物(コレステロール、アミノ酸、アルコール、ガラクトース及びラクテートを含むが、これらに限定はされない)を検出及び定量する装置、細胞移植装置(例えば、米国特許第6,015,572号明細書,米国特許第5,964,745号明細書,及び米国特許第6,083,523号明細書)、ドラッグデリバリー装置(例えば米国特許第5,458,631号明細書,米国特許第5,820,589号明細書,及び米国特許第5,972,369号明細書)、または同様の装置を含む、多くの装置における使用に適している。好ましくは、望ましい具体例における前記膜システムを含む埋設可能な装置は、例えば腹部、皮下、及び腹膜組織、脳、髄内、及び他の適当な器官または身体組織等、軟らかい組織に埋め込まれる。
【0050】
以下に開示するグルコース測定装置に加えて、好ましい実施形態の前記膜システムは、多くの既知のグルコース測定装置に使われうる。ある実施形態において、前記電極システムは例えばShultsらによる米国特許第6,001,067号明細書;Braukerらによる米国特許第6,702,857号明細書;Wardらによる米国特許第6,212,416号明細書;Schulmanらによる米国特許第6,119,028号明細書;Leshoによる米国特許第6,400,974号明細書;Bernerらによる米国特許第6,595,919号明細書;Kurnikらによる米国特許第6,141,573号明細書;Sunらによる米国特許第6,122,536号明細書;Varallらによる欧州特許出願公開第1153571号明細書;Colvinらによる米国特許第6,512,939号明細書;Slateらによる米国特許第5,605,152号明細書;Bessmanらによる米国特許第4,431,004号明細書;Goughらによる米国特許第4,703,756号明細書;Hellerらによる米国特許第6,514,718号明細書;Goughらによる米国特許第5,985,129号明細書;Caduffによる国際公開第2004/021877号パンフレット;Maleyらによる米国特許第5,494,562号明細書;Hellerらによる米国特許第6,120,676号明細書;及びGuyらによる米国特許第6,542,765号明細書に開示され、各内容は参考として全てここに組み込まれているような、どのような既知の生体内分析物センサーまたはモニターが使われていてもよい。一般的には、開示された実施形態は様々な連続的なグルコース測定装置の構成に応用可能だと理解される。
【0051】
図1は、グルコースを測定するための電流測定型の電気化学センサー技術を利用した埋設可能なグルコースセンサー(10)の一つの実施形態の分解透視図である。この実施形態では、検出領域(14)を有する本体(12)が、電極システム(16)及びセンサーの電子機器とを含むものであり、図2を参照してさらに詳しく記述される。
【0052】
この実施形態では、前記電極システム(16)は前記センサーの電子機器に操作可能な状態で接続されており(図2)、且つ電気的に活性な表面を備え、膜システム(18)で覆われている。前記膜システム(18)は前記電極システム(16)の前記電気的に活性な表面上に配置され、一つまたは複数の下記機能を提供する:1)前記露出した電極表面の、生物学的環境からの保護(細胞不浸透性ドメイン);2)前記分析物の拡散抵抗(制限)(抵抗ドメイン);3)酵素反応を可能にする触媒(酵素ドメイン);4)妨害物質の制限または遮断(妨害ドメイン);及び/または5)前記センサー界面の電気化学的な反応性表面の親水性(電解質ドメイン)、例えば同時係属の米国特許出願MEMBRANE ATTACHMENT及び“IMPLANTABLE ANALYTE SENSOR、”という名称の、2004年5月3日に出願された同時係属の米国特許出願公開第10/838,912号明細書に開示され、その内容はすべてここに組み込まれている。
【0053】
以下図4及び図5により詳細に記載された、好ましい実施形態における前記膜システム(18)は、少なくとも部分的には酸素溶解性が高い材料で形成される。これらの材料は酸素溶解性が高いドメインとして働き、酸素の効率を動的に高く保持し、一過性虚血の間局所的な酸素の欠乏を補うために利用可能とするが、このことは以下に図3を参照してより詳細に記載される。結果として、好ましい実施形態における前記膜システムは、グルコースセンサー及び、例えば細胞移植装置等、他の埋設可能な装置を局所的一過性虚血の間であっても皮下で機能させる。
【0054】
ある実施形態では、前記検出領域(14)内部または接して配置される前記電極システム(16)は、それらの間に露出された絶縁材料を有する作用電極と参照電極とを少なくとも備える。他の実施形態においては、さらなる電極が電極システム内部に備えられてもよく、例えば3電極システム(作用、参照及び対向電極)及び/またはさらなる作用電極(例えば、酸素生成、さらなる分析物の測定、またはベースライン サブトラクティング(baseline subtracting)電極のために用いられうる)が備えられても良い。
【0055】
図1の実施形態では、前記電極システムは三つの電極(作用、対向及び参照電極)を含み、前記対向電極は前記作用電極で測定される、化学種により生成される電流を平衡させるために与えられる。グルコースオキシダーゼベースのグルコースセンサーの場合、前記作用電極で測定されるのはHである。グルコースオキシダーゼ、GOXは、下記反応式に従って酸素およびグルコースを過酸化水素及びグルコン酸塩に転換する際の触媒となる。
〔化1〕
GOX+グルコース+O → グルコン酸塩+H+還元されたGOX
【0056】
各グルコース分子は代謝されるため、グルコース濃度の決定にはHの変化が監視されてもよく、前記生成物Hには比例的な変化がみられる。前記作用電極によるHの酸化は、前記対向電極において周囲の酸素、酵素が生成するH、または他の還元種が還元されることによって平衡となる。グルコースオキシダーゼ反応から生成される前記Hはさらに前記作用電極表面で反応し、二つのプロトン(2H)と二つの電子(2e)、及び一つの酸素分子(O)を生成する。そのような実施形態においては、前記対向電極が酸素を電子受容体として利用するため、この系においてもっとも考えられる還元種は酸素、または酵素が生成した過酸化水素である。前記対向電極において酸素が消費される場合二つの主な経路がある。これらの経路は、水酸化物を生成する4電子経路及び過酸化水素を生成する2電子経路を含む。前記対向電極に加えて、酸素は、前記酵素ドメイン内部の還元されたグルコースオキシダーゼによってさらに消費される。その結果、前記電極システム内には、前記酵素と前記対向電極の両方による酸素消費に帰すべき最終的な酸素の消費がある。理論的には、前記作用電極のドメイン内部では、前記対向電極の領域と比較して酸素の最終的な損失が非常に少ない。加えて、前記対向電極が電流の平衡を維持する前記能力とセンサーの機能との間に強い相関がある。
【0057】
一般的には、電気化学センサーであってその内部で酵素反応が共反応物としての酸素に依存するものにおいて、低酸素の環境、例えば生体内、で機能低下または不正確さがみられる場合がある。皮下に埋め込まれた装置は、特に装置の機能に障害を与えうる一過性虚血に影響されやすい;例えば、埋設可能な電流測定型グルコースセンサーに要求される前記酵素反応のために、前記センサーがグルコースセンサーとして効果的に機能するように酸素はグルコースに対して過剰でなければならない。もしグルコースが過剰になったならば、前記センサーは酸素に対して高感度な装置となる。生体内で、グルコース濃度は前記酸素濃度の約100倍またはそれ以上変化する可能性がある。その結果、酸素が電気化学反応における律速反応物となり、センサーに対して供給される酸素が不十分な場合には前記センサーはグルコース濃度を正確に測定することができない。当業者であれば、前記酵素及び/または対向電極における酸素の効率の問題から、酸素の制限が結果として機能低下または不正確さを生じることを解釈する。酸素の制限は、例えばある姿勢をとったとき、または埋設可能なセンサー周囲が圧迫され血液が細管を搾り出されるような状況下で起こる一過性の虚血が続く間にもみられる。埋設可能なセンサーでみられるそのような虚血の時間は数分または一時間またはそれ以上続くこともある。
【0058】
図2は一つの実施形態であるセンサーの電子機器を説明するブロック図である;しかしながら、当業者にとっては好ましい実施形態として様々なセンサー電子機器の形態が実行されうることは明らかである。この実施形態においては、ポテンショスタット(20)が示され、前記ポテンショスタットは電流の値を得るために電極システム(16)に操作可能な状態で接続され(図1)、且つ電流を電圧に変換するレジスター(図に示していない)を備える。前記A/D変換器(21)はアナログ信号をデータ処理のために、“カウント”値に変換する。従って、カウントで示された前記結果の生データ信号は、直接前記ポテンショスタットによって測定される前記電流に関連している。
【0059】
マイクロプロセッサ(22)は、EEPROM(23)及びSRAM(24)を収容する中心的な操作ユニットである。他の実施形態としては、データ処理にここで述べたようなマイクロプロセッサではなくコンピュータシステムを利用してもよい。他の実施形態としては、特定用途向け集積回路(ASIC)を一部またはすべての前記センサーの中央プロセッシングに用いてもよい。EEPROM(23)は半永久的にデータを蓄積し、例えばセンサーのID及びデータ信号を処理するのプログラム(例えば、ここで記述されるようなデータスムーシングのためのプログラム)等のデータを蓄積する。SRAM(24)は、例えばセンサーの新しいデータを一時的に蓄積するための、システムのキャッシュメモリに用いられる。
【0060】
前記電池(25)は操作可能な状態で前記マイクロプロセッサ(22)に接続され、前記センサーに電力を供給する。一つの実施形態としては、前記電池は二酸化マンガンリチウムであるが、適当なサイズ及び電力の電池が使われてよい。他の実施形態では、多数の電池がシステムに電力を供給するために使われてもよい。石英結晶(26)が操作可能な状態で前記マイクロプロセッサに接続され、且つコンピュータシステムのシステム時間を維持する。
【0061】
RFトランシーバ(27)は前記マイクロプロセッサ(22)に操作可能な状態で接続され、かつ前記センサーデータをセンサーからレシーバーに伝達する。ここではRFトランシーバーが示されているが、他の実施形態においては、レシーバーへの無線による接続のほかに有線による接続が含まれる。さらに他の実施形態では、前記センサーは例えば経皮的に誘導結合を経由して接続されてもよい。前記石英結晶(28)は、前記RFトランシーバからの前記データ伝達を同期させるためのシステム時間を与える。前記トランシーバ(27)は、一つの実施形態としては、送信機で置き換えられてもよい。
【0062】
図1から図2および関連する本文は埋設可能なグルコースセンサーの一つの実施形態を図示及び記載しているが、前記電極システム、電子機器及び以下に記載する好ましい実施形態の製造方法は、発明名称が“IMPLANTABLE ANALYTE SENSOR”である、2004年5月3日に出願された同時係属の米国特許出願公開第10/838,912号明細書、発明名称が“INTEGRATED DELIVERY DEVICE FOR A CONTINUOUS GLUCOSE SENSOR”である、2004年2月26日に出願された米国特許出願公開第10/789,359号明細書、“OPTIMIZED SENSOR GEOMETRY FOR AN IMPLANTABLE GLUCOSE SENSOR”;発明名称が“SYSTEM AND METHODS FOR PROCESSING ANALYTE SENSOR DATA”である、2003年8月1日に出願された米国特許出願公開第10/633,367号明細書(内容は参考として全てここに組み込まれている),に開示されたものを含む、どのような既知の電気化学センサーによって実施されてもよい。
【0063】
図3は、図1に記載されたような、既存の膜システムによるグルコースセンサーから得られた生データの流れを示すグラフである。x軸は分単位での時間を表す。y軸はカウント単位でセンサーデータを表す。この例では、カウント単位でのセンサー出力は30秒ごとに伝達される。前記生データの流れ(30)は、ある部分では実質的に滑らかなセンサー出力を含むが、他の部分においては誤った、または一過性の、グルコース以外のものに関連する偽信号(32)を示す。
【0064】
前記生データの流れ(30)は、ある部分では実質的に滑らかなセンサー出力を含むが、他の部分においては誤った、または一過性の、グルコース以外のものに関連する偽信号(32)を示す。特に、前記偽信号(32)を調べると、既存の技術によるグルコースセンサーにおける局所的な虚血の影響が、前記膜システム内部の前記酵素における、及び/または電極表面の前記対向電極における酸素の欠乏に帰すべき誤った(非グルコースの)信号の値を作り出すと考えられる。
【0065】
ある状況では、グルコースの量に対して酸素が欠乏しているとき、前記酵素反応はグルコースよりも酸素によって制限される。その結果、前記出力信号はグルコース濃度よりは酸素濃度を示すものとなり、誤った信号を生成する。加えて、酵素反応が酸素によって律速されるとき、グルコースは酸素欠乏下では代謝によって完全には分解されないので、前記膜内部に蓄積されると考えられる。酸素が再度過剰になるとき、酸素の一過性の欠乏による過剰なグルコースもまた存在している。前記酵素反応速度は前記過剰なグルコースが分解されるまでの短時間大きくなり、結果として、非グルコースに関連して増大したセンサー出力のスパイクを生じる。従って、過剰な酸素(グルコースと比較して)は適正なセンサー機能に必要であり、一過性虚血は前記センサーデータにおける信号の損失を生じさせる可能性がある。
【0066】
他の状況では、酸素欠乏は、還元に利用可能な酸素が不十分であるときに前記対向電極でみられ、それによって前記対向電極に、その内部で前記作用電極から来る電流との平衡をとることができないという影響を及ぼす。前記対向電極で利用される酸素が不十分な状態にあるとき、前記対向電極は電気化学的な電子探索において最も負の値まで駆動される可能性があり、それは接地状態または0.0Vである可能性があり、シフトの基準の原因となり、以下にさらに詳細に説明するようにバイアス電位を減少させる。言い換えると、虚血は通常グルコース濃度の関数としてのセンサー電流の落ち込み(例えば、感度の低下)を生じる。これは前記作用電極がバイアスの減少によって、もはやその表面にやってきたすべてのHを酸化させないことにより起こる。ある極端な状況では、グルコースの増加は電流の増加、または減少でさえも生じない可能性がある。
【0067】
ある状況では、一過性虚血は高いグルコースレベルで起こる可能性があって、その場合酸素は前記酵素反応を制限するようになる可能性があり、結果としてデータにグルコース以外のものに依存する下向きの傾向を生じる。ある状況では、患者がとるある動きまたは姿勢によって、血液が細管を搾り出され局所的な虚血を生じ且つ非グルコース依存の偽信号となるために、一過性の偽信号が起こる可能性がある。ある状況では、前記センサー界面の組織の拘縮により酸素がさらに一時的に制限される可能性がある。これは皮膚に圧力を与えたときに観察される、皮膚が青白くなる状態と同様のものである。そのような圧力下では、表皮及び皮下組織の双方において一過性虚血が起こりうる。一過性虚血は通常のことであり、皮下組織によって効果的に許容される。しかし、そのような虚血は埋設可能な装置における数分または一時間またはそれ以上続くような酸素欠乏の原因となりうる。
【0068】
既存技術のグルコースセンサーにおける一過性虚血の影響の例をいくつか記載してきたが、他の分析物、例えばアミノ酸(アミノ酸オキシダーゼ)、アルコール(アルコールオキシダーゼ)、ガラクトース(ガラクトースオキシダーゼ)、乳酸塩(乳酸塩オキシダーゼ)、コレステロール(コレステロールオキシダーゼ)、または類似のもの、を検出するため他の触媒を利用した分析物センサーに同様の効果がみられる。
【0069】
好ましい実施形態における膜システム
一過性虚血の影響を克服するため、好ましい実施形態における前記膜システム(18)は酸素溶解性が高い材料を含む。これらの材料は虚血の状況下で局所的な酸素の欠乏を補う助けとなるよう、局所的な酸素量を増大させる。結果として、好ましい実施形態における前記膜システムは、分析物センサー及び細胞移植装置等の他の装置が、局所的な一過性虚血の間であっても皮下で機能することを可能にする。
【0070】
ここで使われる“高い酸素溶解性”及び“高い酸素溶解性”という句は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、水性媒体と比較して高い酸素溶解性を有するため、前記膜システムを取り囲む生物学的流体から酸素を濃縮するドメインまたは材料の性質を含むものである。ある好ましい実施例では、酸素高溶解性ポリマーは水性媒体と比較して少なくとも約3倍酸素溶解性が高く、より好ましくは水性媒体と比較して少なくとも約4倍、5倍または6倍酸素溶解性が高く、もっとも好ましくは、水性媒体と比較して少なくとも約7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上酸素溶解性が高い。ある実施形態では、高い酸素溶解性とは、炭化水素ポリマー及びオキシハイドロカーボンポリマー(炭化水素ポリマーとは炭素及び水素原子からなるポリマー材料であり、オキシハイドロカーボンとは炭素、水素及び酸素原子からなるポリマー材料である)のうち少なくとも一方よりも高い酸素溶解性を有することとして定義される。酸素溶解性はどのような既知の技術を用いて測定されてもよく、例えば少なくとも3回凍結―ポンプー融解サイクルを実施して前記ポリマー(すなわち溶液)から酸素を取り除き、且つその後結果として得られる酸素を測定する(例えば、マノメータを使用)ことによって測定されてもよい。
【0071】
酸素透過性(Dk)は拡散と溶解性の積として計算される。酸素透過性には従来Barrer(バーラー)という単位が使用される(1Barrer=10−10cm(STP)cm/cmscmHg)。高い酸素透過性を有する、好ましい実施形態における絶縁材料は、一般的に1Barrerまたはそれ以下から約1000Barrersまたはそれ以上の酸素透過性を有し、好ましくは約、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100Barrersから約125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、550、600、650、700、750、800、850、900、または950Barrersである。
【0072】
一つの実施形態では、シリコンに固有の性質(及び/またはシリコン組成)は、シリコンから形成される材料を高酸素溶解性ドメインとして働かせる。電気化学センサーに高酸素溶解性材料を使用することは、酸素利用源(例えば、酵素及び/または電気化学電池の対向電極)に対する酸素の効率を動的に高く保つと考えられるため、その利用は強みとなる。
【0073】
図4を参照して以下に述べるように、前記膜システム(18)は埋設可能な装置、例えば埋設可能なグルコースセンサー、を覆う二つまたはそれ以上のドメインを備えてよい。埋設可能な酵素ベースの電気化学グルコースセンサーの例において、前記膜は生物学的流体サンプルが電極と直接接触することを防ぎ、一方で、酵素リッチドメインにおける反応とそれに続く前記電極で形成された生成物の電気化学反応のため、膜を通過する生物学的流体中に存在する選択された物質(例えば、酸素及びグルコース)の透過性を制御する。
【0074】
好ましい実施形態における前記膜システムは、二つまたはそれ以上のドメインから構成される。前記マルチドメイン膜は一つまたはそれ以上の異なる層から形成されてもよいし、同一のまたは異なる材料を含んでもよい。“ドメイン”という用語は広義の用語であり、通常の意味で使われており、制限なしに、単一の均一層、または、一つまたは複数のドメインが統合された機能を組み込んだ領域、または多数の層、または各々が一つまたは複数の様々なドメイン各々の機能を与えるような領域を含む。
【0075】
図4は好ましい実施形態における膜システムを図示したものである。前記膜システム(18)は図1を参照して上記に説明したようにグルコースセンサーとともに用いることができる。この実施形態では、前記膜システム(18)は電気化学的反応性表面に対して全てのドメイン中で最も遠くに位置する細胞破壊ドメイン(40)と、細胞破壊ドメインと比較して電気化学的反応性表面から若干近い位置にある細胞不浸透性ドメイン(42)、細胞不浸透性ドメインと比較して電気化学的反応性表面から若干近い位置にある抵抗ドメイン(44)、抵抗ドメインと比較して電気化学的反応性表面から若干近い位置にある酵素ドメイン(46)、酵素ドメインと比較して電気化学的反応性表面から若干近い位置にある妨害ドメイン(48)、電気化学的反応性表面に近接した電解質ドメイン(50)を含む。しかしながら、前記膜システムは他の装置での使用に際して、単に二つまたはそれ以上のドメインのみを含むことによって、または上記に引用していないさらなるドメインを含むことによって、変更されてもよいと理解される。
【0076】
ある実施形態では、前記膜システムは均一な膜、すなわち膜の一方の端から他方の端まで実質的に均一な性質を有する膜として形成される。しかしながら膜は、例えばブロックコポリマー(例えば、同じモノマーユニットからなる異なるブロックが各々交互に存在するポリマー)の利用から結果として生じたドメインのような、しかし上記各ドメイン全体が均一な膜を通過する物質の好ましい拡散によって機能するよう均一なものとして定義されうるような、不均一構造のドメインを有していてもよい。
【0077】
好ましい実施形態においては、一つまたは複数の上記ドメインは酸素溶解性が高い材料から形成される。高い酸素溶解性を有する材料を利用することは、それが酸素量を動的により高く保持し、選択された位置(例えば、前記酵素及び/または対向電極)で酸素の効率を高く維持すると考えられるために有利である。ある実施形態では、酸素溶解性が高い材料は、シリコン、フルオロカーボン、パーフルオロカーボンまたは同様のものを含む。ある実施形態では、一つまたは複数のドメインはグルコースや他の水溶性分子(例えば、薬品)を輸送可能とするシリコン化合物から形成され、その内容は、例えば発明名称が“SILICONE COMPOSITION FOR MEMBRANE SYSTEM,”である、2003年10月28日に出願された、同時係属の米国特許出願公開第10/685,636号明細書により詳細に開示されており、内容は参考として全てここに組み込まれている。
【0078】
細胞破壊ドメイン
前記細胞破壊ドメイン(40)は埋設可能な装置の最も遠くに配置され、組織が内側に伸びるのを支援するよう設計され、異物カプセル内にみられる収縮力を阻害し、前記膜中の血管質を助長し、及び/またはバリア細胞層の形成を阻害する。ある実施形態では、前記細胞破壊ドメイン(40)は相互に連結した孔及び固体部分を持つ開放された配置を有し、前記固体部分と細胞破壊ドメインの孔の分布は実質的に共連続な固体ドメインを含み、且つ前記最初のドメイン全体を貫通する一つ以上の3次元的な孔を含む。前記孔は、例えば細胞や分子を含む、多くの物質を通過させる。“MEMBRANE FOR USE WITH IMPLANTABLE DEVICES”という発明名称の、2001年7月27日に出願された米国特許第6,702,857号明細書及び“POROUS MEMBRANES FOR USE WITH IMPLANTABLE DEVICES”という発明名称の、2003年8月22日に出願された、米国特許出願公開第10/647,065号明細書には、細胞破壊ドメインを有する膜が開示されている。
【0079】
前記細胞破壊ドメイン(40)は好ましくは、例えばシリコン、フルオロカーボン、パーフルオロカーボン、または同様のもの等酸素溶解性が高い材料から形成される。ある実施形態では、細胞破壊ドメインは、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ピロリドン、エステル、アミド、カーボネート、または共有結合で組み込まれた、またはグラフトされたポリプロピレングリコール等の親水性物質を含む非シリコンとシリコンの混合物から形成される。他の実施形態では、前記細胞破壊ドメインは、ポリエチレンコテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、生物学的に安定なポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレンのホモポリマー、コポリマー、及びターポリマー、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルクロライド(PVC)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリウレタン、セルロースポリマー、ポリスルホンまたはそれらの、例えばジブロック、トリブロック、交互、ランダム及びグラフトコポリマーを含む、ブロックコポリマーから形成される。
【0080】
好ましい実施形態では、前記細胞破壊ドメインの厚みは約10またはそれ以下、20、30、40、50、60、70、80または90ミクロンから約1500、2000、2500または3000またはそれ以上である。さらに好ましくは、前記細胞破壊ドメインの厚みは約100,150,200または250ミクロンから約1000、1100、1200、1300、または1400ミクロンである。さらに好ましくは、前記細胞破壊ドメインの厚みは約300,350,400、450、500または550ミクロンから約500、550、600、650、700、750、800、850または900ミクロンである。前記細胞破壊ドメインの使用は任意であり、例えば短期間使用する装置(例えば一日以下から約一週間まで)または組織反応調節物質(tissue response modifier)を輸送する装置等組織が内部に伸びることを好まない埋設可能な装置を用いたときには省略可能である。
【0081】
細胞不浸透性ドメイン
前記細胞不浸透性ドメイン(42)は前記細胞破壊ドメインと比較して前記埋設可能な装置からより遠くない場所に位置し、細胞の付着に抵抗することができ、細胞不浸透性であり、及び/または生物的安定材料で構成される。前記細胞不浸透性ドメインが細胞付着(例えば、マクロファージ等の炎症性の細胞の付着、そのため他のドメイン例えば前記酵素ドメインから十分な距離が保たれている)に抵抗力がある場合、ハイポクロライド及び他の酸化種は生体内で短命な化学種であり、生物分解は起こらない。加えて、このドメインを形成するのに好ましい材料はこれらの酸化種の影響に対して耐性があり、生物学的耐久性があるものである。例えば、発明名称が“MEMBRANE FOR USE WITH IMPLANTABLE DEVICES”である、2001年7月27日に出願された、米国特許第6,702,857号明細書,発明名称が“POROUS MEMBRANES FOR USE WITH IMPLANTABLE DEVICES.”である、2003年8月22日に出願された米国特許出願公開第10/647,065号明細書を参照されたい。
【0082】
細胞不浸透性ドメイン(42)は好ましくは、例えばシリコン、フルオロカーボン、パーフルオロカーボン、または同様のもの等酸素溶解性が高い材料から形成される。ある実施形態では、細胞不浸透性ドメインは、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ピロリドン、エステル、アミド、カーボネート、または共有結合で組み込まれた、またはグラフトされたポリプロピレングリコール等の親水性物質を含む非シリコンとシリコンの混合物から形成される。他の実施形態では、前記細胞不浸透性ドメインは、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールのようなポリエステル、等の親水性ポリマーとのコポリマーまたはコポリマーのブレンド、及び、例えばジブロック、トリブロック、交互、ランダム及びグラフトコポリマーを含む、それら自身のブロックコポリマーから形成される(ブロックコポリマーに関しては、米国特許第4,803,243号明細書及び米国特許第4,686,044号明細書で議論されている)。
【0083】
好ましい実施形態では、前記細胞不浸透性ドメインの厚みは約10または15ミクロンまたはそれ以下から、約125、150、175、または200ミクロンまたはそれ以上である。さらに好ましくは、前記細胞不浸透性ドメインの厚みは約20,25,30または35ミクロンから約65、70、75、80、85、90、95または100ミクロンである。さらに好ましくは、前記細胞不浸透性ドメインの厚みは約40または45ミクロンから約50、55または60ミクロンである。
【0084】
前記膜システムの細胞破壊ドメイン(40)及び細胞不浸透性ドメイン(42)はひとつの単位構造として形成されてもよい。また、前記膜システムの細胞破壊及び細胞不浸透性ドメイン(40)、(42)は機械的、または化学的に互いが結合された2層として形成されてもよい。
【0085】
抵抗ドメイン
前記抵抗ドメイン(44)は細胞破壊ドメインと比較してより前記埋設可能な装置に隣接した位置にある。前記抵抗ドメインは、酸素及び他の分析物(例えば、グルコース)の、下方の酵素ドメインへの流量を制御する。他でより詳細に記述したように、血液中には酸素の量に関してモル過剰のグルコースが存在する;すなわち、細胞外流体中の自由な全ての酸素分子にとって、一般的には100分子以上のグルコース分子が存在する(Updike et al., Diabetes Care 5: 207−21 (1982)を参照されたい)。しかしながら、酸素を共同因子とする固定式酵素ベースセンサーは、グルコース濃度の変化に線形に応答するため、また一方で酸素のテンションの変化に応答しないように、非律速となるような過剰な酸素の供給を受ける。より詳細には、グルコース監視反応は酸素律速であり、グルコース濃度が最小レベルより高い場合には、線形性はみられない。グルコース及び酸素の流れを制御するために前記酵素ドメイン上に位置させる半浸透性膜が無い場合には、グルコース濃度に対する線形応答は約40mg/dLまでのみしか得られない。しかしながら、臨床上の設定値としては、グルコース濃度に対する線形応答は少なくとも約500mg/dLまで望まれる。
【0086】
前記抵抗ドメイン(44)は下方の酵素ドメイン(46)への酸素及びグルコースの流量を制御するための半浸透性膜を含み、好ましくは酸素を非律速な過剰状態にする。結果としてグルコース測定の線形性の上限が、前記抵抗ドメインが無い場合と比較して非常に高い値となる。ひとつの実施形態では、前記抵抗ドメイン(44)はグルコースに対する酸素の浸透性の比として約200:1という値を示す。結果として、一次元の反応物の拡散が、皮下マトリックス内に見出される適当なグルコース及び酸素濃度における過剰な酸素を供給するのに適当である(Rhodes et al., Anal. Chem. , 66: 1520−1529 (1994)を参照されたい)。ある実施形態では、グルコースに対する酸素の比が低くても、酸素の前記酵素膜及び/または電気活性表面への供給/輸送を強化するため酸素溶解性が高いドメイン(例えば、シリコン材料)を用いることによって過剰の酸素を与え、酸素が十分な状況にすることが可能である。シリコン化合物を用いて前記酸素供給を強化することによって、例えばグルコース濃度は制限因子より小さくなりうる。言い換えれば、もし前記酵素及び/または電気活性表面により多くの酸素が供給されるならば、酸素が律速過剰の状態を作ることなしに、より多くのグルコースも供給されうる。
【0087】
前記抵抗ドメイン(44)は、好ましくは例えばシリコン、フルオロカーボン、パーフルオロカーボン、または同様のもの等高い酸素溶解性を有する材料から形成される。ある実施形態では、前記抵抗ドメインは、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ピロリドン、エステル、アミド、カーボネート、または共有結合で組み込まれた、またはグラフトされたポリプロピレングリコール等の親水性物質を含むシリコン化合物から形成される。他の実施形態では、前記抵抗ドメインはポリウレタン、例えばポリウレタン ユリア/ポリウレタンーブロックーポリエチレングリコール ブレンド(polyurethane urea/polyurethane−block− polyethylene glycol blend)からのものである。
【0088】
ある実施形態では、前記抵抗ドメイン(44)は前記細胞不浸透性ドメイン(42)とともにひとつの単位構造として形成されてもよい;すなわち、前記抵抗ドメイン(44)の固有の性質は、細胞不浸透性ドメイン(42)が抵抗ドメイン(44)の一部として組み込まれるように細胞不浸透性ドメイン(42)に関して記述された前記機能性を提供しうる。これらの実施形態において、前記結合された抵抗ドメイン/細胞不浸透性ドメインは細胞破壊ドメイン(40)上に上述のような成型プロセスで結合され、またはスキン層として形成される。他の実施形態では、前記抵抗ドメイン(44)は異なる層として形成され、化学的または機械的に細胞破壊ドメイン(40)(もし可能であれば)または前記細胞不浸透性ドメイン(42)(前記抵抗ドメインが前記細胞不浸透性ドメインと異なる場合)に結合される。
【0089】
好ましい実施例では、前記抵抗ドメインの厚みは約10ミクロンまたはそれ以下から、約200ミクロンまたはそれ以上である。さらに好ましくは、前記抵抗ドメインの厚みは約15,20、25,30または35ミクロンから約65、70、75、80、85、90、95または100ミクロンである。さらに好ましくは、前記抵抗ドメインの厚みは約40または45ミクロンから約50、55または60ミクロンである。
【0090】
酵素ドメイン
固定化酵素ドメイン(46)は前記抵抗ドメイン(44)と比較して電気化学的反応表面から若干近いところに位置する。ある実施形態では、前記固定化酵素ドメイン(46)はグルコースオキシダーゼを含む。他の実施形態においては、前記固定化酵素ドメイン(46)は、例えばガラクトースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アミノ酸オキシダーゼ、アルコールオキシダーゼ、ラクテートオキシダーゼ、またはウリカーゼ等他のオキシダーゼで浸漬されてもよい。例えば、酵素ベースの電気化学グルコースセンサーが良く機能するために、前記センサーの応答は酵素の活性や共因子の濃度に制限されるべきではない。
【0091】
前記酵素ドメイン(44)は、好ましくは例えばシリコン、フルオロカーボン、パーフルオロカーボン、または同様のもの等から形成されるポリマーのように、酸素溶解性が高い材料から形成される。ある実施形態では、前記酵素ドメインは、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ピロリドン、エステル、アミド、カーボネート、または共有結合で組み込まれた、またはグラフトされたポリプロピレングリコール等の親水性物質を含むシリコン化合物から形成される。
【0092】
好ましい実施形態としては、前記酵素ドメイン内部における高い酸素溶解性は、前記酵素ドメイン内部に、酵素のホストとなる高い酸素溶解性を有するポリマーマトリックスを用いることによって達成されうる。フルオロカーボンベースポリマーのひとつの実施形態として、パーフルオロカーボンベースポリマー内部の酸素溶解性は50体積%である。参考のため、水に対する酸素の溶解度は約2体積%である。
【0093】
酸素がより容易にドメイン内部に溶解し、且つ酸素溶解性が高いドメインが酸素利用源(例えば、酵素及び/または対向電極)に対する酸素の効率を最大とするように働くため、前記酵素ドメインに酸素溶解性が高い材料を利用することには利点がある。前記抵抗ドメイン(44)と酵素ドメイン(46)の双方が酸素溶解性の高い材料を含むとき、前記酵素ドメイン(46)と抵抗ドメイン(44)との間の化学結合は最適化されると考えられ、且つ製造が容易化されうる。
【0094】
好ましい実施形態では、酵素ドメインの厚みは約1ミクロンまたはそれ以下から、約40、50、60、70、80、90、または100ミクロンまたはそれ以上である。さらに好ましくは、前記酵素ドメインの厚みは約1、2、3、4、または5ミクロンと約13、14、15、20、25、または30ミクロンの間である。さらに好ましくは、前記酵素ドメインの厚みは約6、7または8ミクロンから約9、10、11または12ミクロンである。
【0095】
妨害ドメイン
前記妨害ドメイン(48)は埋設可能な装置からの距離が固定化酵素ドメインよりも若干近くに配置されている。妨害物質は電気化学的に活性な表面において、直接的にまたは電子輸送剤を通じて、電子的に還元または電子的に酸化される分子または他の化学種であり、偽信号を生成する(例えば、尿酸、アスコルビン酸、またはアセトアミノフェン)。ある実施形態では、前記妨害ドメイン(48)は一つまたはそれ以上の妨害物質が電気化学的反応性表面周囲の電解質層に浸透するのを防ぐ。好ましくは、このタイプの妨害ドメインは、分析物と比較して一つまたはそれ以上の妨害物質に対する透過性が十分低い。
【0096】
ある実施形態では、前記妨害ドメイン(48)はポリマーマトリックスに組み込まれたイオン性化合物を含んで構成されてもよく、それによりイオン性化合物と同じ電荷を有するイオン性妨害物質の妨害ドメインに対する透過性を減少させる。他の実施形態では、前記妨害ドメインは、妨害物質を除去する反応に作用する触媒(例えばペルオキシダーゼ)を含む。米国特許第6,413,396号明細書及び米国特許第6,565,509号明細書は妨害物質を除去するための方法及び材料を開示している;しかしながら、好ましい実施例としてはどのような適当な方法または材料が使われてもよい。
【0097】
他の実施形態では、前記妨害ドメイン(48)は化学種、例えば分子量34kD以上のもの、の拡散を制限するよう設計された薄膜を含む。前記妨害ドメインは分析物及び他の物質(例えば、過酸化水素)が電極で測定されるよう通過させ、一方で、例えば潜在的な妨害物質等、他の物質の通過を妨害する。一つの実施形態では、前記妨害ドメイン(48)はポリウレタンで構成される。他の実施形態では、妨害ドメインは上記のような酸素溶解性が高いポリマーを含む。
【0098】
好ましい実施形態では、妨害ドメインの厚みは約0.1ミクロンまたはそれ以下から、約10ミクロンまたはそれ以上である。さらに好ましくは、前記妨害ドメインの厚みは約0.2、0.3、0.4、または0.5ミクロンと約5、6、7、8、または9ミクロンの間である。さらに好ましくは、前記妨害ドメインの厚みは約0.6、0.7、0.8、0.9または1ミクロンから約2、3または4ミクロンである。
【0099】
電解質ドメイン
電解質ドメイン(50)は、埋設可能な装置からの距離が妨害ドメイン(48)よりも隣接して配置されている。電気化学反応を確実にするために、前記電解質ドメイン30はセンサー界面の電気化学的に反応性の表面で親水性を保持するような半透過性のコーティングを備える。前記電解質ドメイン(50)は、前記妨害ドメインを構成する材料を保護し維持することによって前記妨害ドメイン(48)の安定性を増大する。前記電解質ドメイン(50)はさらに、電極のスタートアップに関する問題及び不適切な電解質によって引き起こされる電極のドリフトに関する問題を改善し、前記装置の操作の安定化を補助する。電解質ドメインに含まれる緩衝処理された電解質溶液はさらに、前記電極の電気化学的活性が原因で生じる、実質的に疎水的な妨害ドメインと電極との間の大きなpH勾配の形成によって起こりうる、pHが介在する損傷から妨害ドメインを保護する。ある実施形態では、例えば妨害ドメインが与えられないときには、前記電解質ドメインは使用されないだろう。
【0100】
一つの実施形態では、前記電解質ドメイン(50)はフレキシブルであり、水に膨潤可能な、実質的に固体のゲル状の膜で、“乾燥膜”の厚みは約2.5ミクロンから、約12.5ミクロンであり、さらに好ましくは、約3、3.5、4、4.5、5または5.5ミクロンから約6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5または12ミクロンである。“乾燥膜”の厚みは、標準的なコーティング技術によって前記膜の表面上にコーティング処方されキャストされ架橋されたフィルムの厚さを参照している。
【0101】
ある実施形態では、前記電解質ドメイン(50)は架橋可能なウレタンポリマーと親水性ポリマーの混合物から形成される。特に好ましいコーティングは、アニオン性のカルボキシレート官能基を有するポリウレタンポリマー及び非イオン性の親水性ポリエステルセグメントで形成され、ポリビニルピロリドンの存在下で架橋され、約50℃といった中程度の温度で硬化される。ある好ましい実施形態では、前記電解質ドメイン(50)は、例えばシリコン、フルオロカーボン、パーフルオロカーボン、または同様のもの等の、酸素溶解性が高い材料から形成される。
【0102】
一つの好ましい実施形態では、前記電解質ドメイン(50)は上記のような酸素溶解性が高い材料から形成される。好ましい実施形態では、電解質ドメインの厚みは約1ミクロンまたはそれ以下から、約40、50、60、70、80、90、または100ミクロンまたはそれ以上である。さらに好ましくは、前記電解質ドメインの厚みは約2、3、4、または5ミクロンから約15、20、25、または30ミクロンである。さらに好ましくは、前記電解質ドメインの厚みは約6、7、または8ミクロンから約9、10、11、または12ミクロンである。
【0103】
前記電解質ドメインの下方には電解質層があり、少なくとも一つの化合物、一般的には塩化物塩を含む溶液を含む自由流体層であり、電流を伝える。ここに記載するようなグルコースセンサーを有する前記膜システムを内部に有する実施形態では、前記電解質層は電極上を流れ、前記電解質ドメインと接している。前記好ましい実施形態の装置はどのような適切な電解質溶液の使用をも想定しており、商業上利用可能な標準的溶液を含む。一般的に前記電解質層は分析されるサンプルと同等の浸透圧を有していてもよいし、またはより低い浸透圧を有していてもよい。好ましい実施形態では、前記電解質層は通常の塩水を含む。
【0104】
様々な実施形態において、好ましい実施形態の精神から逸脱することなしに、これらのドメインはどれを省略、変更、置換されてもよいし、及び/または互いに組み合わされても良い。例えば、明確な細胞不浸透性ドメインは存在しない場合もあるかもしれない。そのような実施形態では、他のドメインは細胞不浸透性ドメインの機能を果たす。他の例では、前記妨害ドメインはある実施形態においては除かれてもよく、妨害物質を除くために、例えば米国特許第6,514,718号明細書に開示されているように、一方の電極がグルコース及び電気的に酸化可能な妨害物質に対して感度が高く他方が妨害物質に対してのみ感度が高い、二電極の差に基づく測定が採用される。そのような実施形態では、前記妨害ドメインは省略されてもよい。好ましい実施形態における前記膜システムとして様々な構成が考えられるが、例示的な構成は制限を意味するものではなく、好ましい実施形態の範囲の中で変更されてもよい。一つの実施形態では、前記酵素ドメインは酸素溶解性が高い材料から形成され、内部に固定されている酵素に対する酸素の効率を最大限にすると考えられる。他の実施形態では供給される流体(例えば、組織液)と前記酵素(酵素ドメインまで、且つ酵素ドメインを含む)との間の全てのドメインが高い酸素透過性を有する材料から形成され、このことは局所的な虚血の間前記酵素及び/または電気活性表面に対する酸素の効率が高い、実質的に連続な経路を動的に保持すると考えられている。さらに他の実施例では、膜システムの全てのドメインが高い酸素溶解性を有する材料によって形成される;このように、前記膜システムは、組織液から埋設可能な装置の表面まで膜システムを横断して実質的に連続的に酸素を輸送する、及び/または酸素の効率を高く保持し、前記埋設可能な装置、例えば電気化学表面上または内部に位置する移植された細胞、における酸素の効率を増大させる。理論に束縛されることは望まないが、埋設可能な装置の界面において酸素効率を高く維持することは、一過性虚血の状態下であっても、または他の低酸素状態下であっても、装置の性能を改善すると考えられる。
【0105】
図5A及び図5Bは、従来技術の膜(図5A)及び前記好ましい実施形態の膜システム(図5B)を通過した酸素濃度プロファイルの概略図である。図5Aは皮下空間内の組織液等の流体源(52)を図示しており、それは膜システム(54a)に流体を供給する。前記膜システム(54a)は従来の膜であり、例えばポリウレタンベースまたは他の酸素溶解性が低い材料等から形成されている。例えば前記酵素ドメイン中の固定化された酵素またはここで記載された電気活性表面16等の酸素利用源(56)は、流体からの酸素を触媒として利用する、または電気化学反応に酸素を利用する。他の実施形態では、前記酸素利用源(56)は細胞移植装置内部の細胞を含み、流体中の酸素を細胞のプロセスに利用する。
【0106】
上部の点線は、通常の状況下における流体源中の酸素濃度(C)及び通常条件下の平衡状態(すなわち、酸素が利用されていない状態)における膜システム内の酸素濃度(C)を表す。しかしながら、前記膜システム(54a)が酸素利用源(56)に接続されると、前記膜システム内の酸素は使用される。従って、線(58a)は、酸素が前記酸素利用源(56)に向かって前記膜システム(54a)を通過する際安定状態において減少する、通常の条件下での酸素濃度を表している。理論に束縛されることは望まないが、前記膜システム(54a)と前記酸素利用源(56)との界面における酸素濃度は通常条件下で、例えば酵素反応、細胞のプロセス、及び電気活性表面等、生体内の酸素利用源にとって十分なものである。
【0107】
残念ながら、“通常の状態”は生体内では、例えば一過性虚血の間に関して図3を参照して上記で詳細に述べたように、いつも起こることではない。“虚血”の間、酸素濃度は通常以下の、ゼロまで低下した。従って、線(60a)は虚血期間の酸素濃度を表し、流体源の酸素濃度(C)は通常濃度の約半分である。流体源酸素濃度(C)と前記膜システムの酸素濃度(C)との間には比例関係がある(Hitchman,M.L. Measurement of Dissolved Oxygen. In Chemical Analysis ; Elving,P.,Winefordner,J., Eds.; John Wiley & Sons:New York,1978;Vol.49,pp.63−70を参照されたい)。従って線(62a)は虚血の間の前記膜システム中の酸素濃度を表しており、その量は通常の約半分である。残念ながら、前記膜(54a)と酸素利用源(56)との界面に結果として生じる酸素濃度はほとんどゼロである。特定の理論に束縛されることは望まないが、前記の従来膜システム(54a)と酸素利用源(56)との界面における酸素濃度は、例えば酵素反応や細胞プロセス、及び電気活性表面等の生体内の酸素利用源に対して、虚血の状況によっては十分な酸素供給を行わない。
【0108】
図5Bを参照すると、皮下空間の組織液のような流体源(52)が膜システムに流体を供給する(54b)。前記膜システム(54b)は好ましい実施形態における前記膜システムであり、流体が通過する酵素ドメイン(46)または膜システム全体がここで述べたような高酸素溶解性材料で形成されている。ここで記述した固定化酵素のような酸素供給源(56)は流体中の酸素を触媒として利用する。他の実施形態では、前記酸素利用源(56)は細胞移植装置内部の細胞を含み、流体中の酸素を細胞プロセスに利用する。他の実施形態では、前記酸素利用源(56)は電気化学反応に酸素を利用する電気活性表面を備える。
【0109】
上部の点線は流体源中の酸素濃度(C)及び通常条件下の平衡状態(すなわち、酸素が利用されていない状態)における膜システム内の酸素濃度(C)を表している。好ましい実施形態における前記膜システム(54b)では、従来の膜システム(54a)と比較して非常に高い酸素濃度が図示されている。この平衡状態における酸素濃度の高さは、好ましい実施形態における膜システムに固有の性質である、従来の膜材料と比較したときのより高い酸素溶解性に起因すると考えられる。線(58b)は、酸素が前記酸素利用源(56)に向かって前記膜システム(54b)を通過する際安定状態において減少する、通常の条件下での酸素濃度を表している。理論に束縛されることは望まないが、前記の従来膜システム(54a)と酸素利用源(56)との界面における酸素濃度は、例えば酵素反応や細胞プロセス、及び電気活性表面等の生体内の酸素利用源に対して、通常の状況下で十分に酸素を供給すると考えられる。
【0110】
上記のように、“通常の状態”は生体内ではいつも起こることではなく、例えば一過性虚血の間のように、“虚血”の間、酸素濃度は通常以下の、ゼロまで低下する。従って、線(60b)は虚血状態のときの酸素濃度を表し、流体源の酸素濃度(C)は通常濃度の約半分である。前記流体源の酸素濃度(C)と前記膜システム内の酸素濃度(C)との間には比例関係があるため、線(62b)で表される前記膜システムの酸素濃度は、通常の状態の約半分である。図5Aに示された従来膜(62a)とは対照的に、好ましい実施形態における膜システムが高い酸素溶解性を有し、図示されたように前記膜(54b)と酸素利用源(56)との界面において与えられる酸素濃度(62b)を十分なものとし、前記膜(54b)内部での酸素の効率を動的に高く保持し、前記膜が虚血の間酸素の欠乏を補うために使用されることが可能である。その結果、好ましい実施形態における前記膜システムの高い酸素溶解性は、一過性虚血の間でも装置を機能させることを可能にする。
【0111】
好ましい実施形態に関連する使用に適した方法及び装置は、発明名称が「MEMBRANE SYSTEMS INCORPORATING BIOACTIVE AGENTS」である、2004年5月10日に出願された、同時係属の米国特許出願公開第10/842,716号明細書;発明名称が「IMPLANTABLE ANALYTE SENSOR」である、2004年5月3日に出願された」、同時係属の米国特許出願公開第10/838,912号明細書;発明名称が「INTEGRATED DELIVERY DEVICE FOR A CONTINUOUS GLUCOSESENSOR」である、2004年2月26日に出願された、米国特許出願公開第10/789,359号明細書;発明名称が「SILICONE COMPOSITION FOR MEMBRANE SYSTEM」である、2003年10月28日に出願された、米国特許出願公開第10/685,636号明細書;発明名称が「SYSTEMS AND METHODS FOR REPLACING SIGNAL ARTIFACTS IN A GLUCOSE SENSOR DATA STREAM」である、2003年8月22日に出願された、米国特許出願公開第10/648,849号明細書;発明名称が「OPTIMIZED SENSOR GEOMETRY FOR AN IMPLANTABLE GLUCOSE SENSOR」である、2003年8月22日に出願された、米国特許出願公開第10/646,333号明細書;発明名称が「POROUS MEMBRANES FOR USE WITH IMPLANTABLE DEVICES」である、2003年8月22日に出願された、米国特許出願公開第10/647,065号明細書;発明名称が「SYSTEM AND METHODS FOR PROCESSING ANALYTE SENSORDATA」である、2003年8月1日に出願された、米国特許出願公開第10/633,367号明細書;発明名称が「MEMBRANE FOR USE WITH IMPLANTABLE DEVICES」である、米国特許第6,702,857号明細書;発明名称が「SENSOR HEAD FOR USE WITH IMPLANTABLE DEVICE」である、2001年7月27日に出願された、米国特許出願公開第09/916,711号明細書;発明名称が「DEVICE AND METHOD FOR DETERMINING ANALYTE LEVELS」である、1999年11月22日に出願された、米国特許出願公開第09/447,227号明細書;発明名称が「TECHNIQUES TO IMPROVE POLYURETHANE MEMBRANES FOR IMPLANTABLE GLUCOSE SENSORS」である、2002年5月22日に出願された、米国特許出願公開第10/153,356号明細書;発明名称が「DEVICE AND METHOD FOR DETERMINING ANALYTE LEVELS」である、2000年1月21日に出願された、米国特許出願公開第09/489,588号明細書;発明名称が「SYSTEMS AND METHODS FOR REMOTE MONITORING AND MODULATION OF MEDICAL DEVICES」である、2000年8月11日に出願された、米国特許出願公開第09/636,369号明細書;及び発明名称が「DEVICE AND METHOD FOR DETERMINING ANALYTE LEVELS,」である、2001年7月27日に出願された、米国特許出願公開第09/916,858号明細書に開示され、同様に登録特許で、発明名称が「DEVICE AND METHOD FOR DETERMINING ANALYTE LEVELS」である、1999年12月14日に登録された、米国特許第6,001,067号明細書;発明名称が「BIOLOGICAL FLUID MEASURING DEVICE」である、1991年2月19日に登録された、米国特許第4,994,167号明細書;及び発明名称が「BIOLOGICAL FLUID MEASURING DEVICE」である、1988年7月12日に出願された、米国特許第4,757,022号明細書;発明名称が「ROLLED ELECTRODE ARRAY AND ITS METHOD FOR MANUFACTURE」である、2003年7月23日に出願された、米国特許出願公開第60/489,615号明細書;発明名称が「INCREASING BIAS FOR OXYGEN PRODUCTION IN AN ELECTRODE ASSEMBLY」である、2003年7月25日に出願された、米国特許出願公開第60/490,010号明細書;発明名称が「ELECTRODE ASSEMBLY WITH INCREASED OXYGEN GENERATION」である、2003年7月25日に出願された、米国特許出願公開第60/490,208号明細書;発明名称が「OXYGEN−GENERATING ELECTRODE FOR USE IN ELECTROCHEMICAL SENSORS」である、2003年7月25日に出願された、米国特許出願公開第60/490,007号明細書;発明名称が「ROLLED ELECTRODE ARRAY AND ITS METHOD FOR MANUFACTURE」である、本願と同日に出願された、米国特許出願公開第_/_、_号明細書;発明名称が「INCREASING BIAS FOR OXYGEN PRODUCTION IN AN ELECTRODE ASSEMBLY」である、本願と同日に出願された、米国特許出願公開第_/_、_号明細書;発明名称が「ELECTRODE ASSEMBLY WITH INCREASED OXYGEN GENERATION」である、本願と同日に出願された、米国特許出願公開第_/_、_号明細書;発明名称が「ELECTRODE SYSTEMS FOR ELECTROCHEMICAL SENSORS」である、本願と同日に出願された、米国特許出願公開第_/_、_号明細書; 前述の特許出願及び特許の内容は参考として全てここに組み込まれている。
【0112】
ここで引用された全ての参考文献の内容は参考として全てここに組み込まれている。参考として組み込まれた出版物及び特許または特許出願が本明細書に含まれる開示内容と相反する限り、本明細書はどのような相反する材料等についても、入れ替え可能で、及び/または本明細書の内容が優先することを意図している。
【0113】
ここで用いられる“含む(comprising)”という用語は、“含む(including)”、“含む(containing)”または“特徴とする(characterized by)”と同じ意味合いのものであり、且つ、包括的または制約がないもので、付加的な、列挙されていない要素または方法の段階を排除するものではない。
【0114】
本明細書及び請求項で使用されている材料の量、反応条件その他を表す全ての数字は、常に「約」という言葉で修飾されているとして理解されるべきである。従って、反対に指示されない限り、本明細書及び付属する請求項で設定された前記数値パラメータは近似値であり、前記本発明で必要とされるべき要求性能に依存して変更されうるものである。少なくとも、請求項の前記範囲と同等の原則の応用を制限しようと試みるものではないが、各数値パラメータは有意な桁数及び通常の数値を丸める方法にかんがみて解釈されるべきものである。
【0115】
上記の記載は本発明のいくつかの方法及び材料を開示したものである。この発明は、方法及び材料において変更可能であり、方法及び装置の構成を変更することも同様に可能である。本開示内容を考察することにより、またはここで開示された発明を実施することにより、そのような変更を行いうることは当業者にとって明白である。結果的に、この発明はここで開示された特定の実施形態に制限されることを意図されていないが、請求項に織り込まれた本発明の範囲や精神に沿った全ての変更及び代案を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】埋設可能なグルコースセンサーの一つの実施形態の分解透視図である。
【図2】一つの実施形態における前記センサー電子機器のブロック図である;しかしながら、センサーの電子機器の構成としては、様々なものが好ましい実施形態として実施可能である。
【図3】一例として36時間の範囲における、グルコースセンサーから得られた生データの流れを示すグラフである。
【図4】図1の装置の膜システムの概略である。
【図5A】既知の技術による膜を用いたときの酸素濃度プロファイルの概略図である。
【図5B】好ましい実施形態による膜を用いたときの酸素濃度プロファイルの概略図である。
【符号の説明】
【0117】
10 グルコースセンサー
14 検出領域
16 電極システム
18 膜システム
20 ポテンショスタット
21 A/Dコンバータ
22 マイクロプロセッサ
23 EEPROM
24 SRAM
25 電池
26 石英結晶
27 RFトランシーバ
28 石英結晶
30 生データの流れ
32 偽信号
36 補助電極
38 酵素
40 細胞破壊ドメイン
42 細胞不浸透性ドメイン
44 抵抗ドメイン
46 酵素ドメイン
48 妨害ドメイン
50 電解質ドメイン
52 流体源
54a 従来の膜システム
54b 好ましい実施形態における前記膜システム
56 酸素利用源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中の分析物の存在または濃度を決定するための電気化学センサーであって、前記センサーは、
酵素を備えた酵素ドメインを具備した膜システムであって、流体中の分析物が前記酵素ドメインを通過する際に前記分析物が前記酵素と反応するところの膜システムと;
導電性材料を含む作用電極であって、前記作用電極は前記酵素と前記分析物との反応生成物を測定するよう構成されるところの前記作用電極と、を備えた電気化学センサーであって、
前記膜システムは高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含む、電気化学センサー。
【請求項2】
前記酵素ドメインが高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含む、請求項1に記載の電気化学センサー。
【請求項3】
前記ポリマー材料がシリコンと、フルオロカーボンと、パーフルオロカーボンとからなるグループから選択される、請求項1に記載の電気化学センサー。
【請求項4】
抵抗ドメインを更に備え、前記抵抗ドメインはその内部を通過する前記分析物の流れを制限するよう構成され、前記作用電極からの距離が前記酵素ドメインよりも遠い位置に配置され、且つ高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含む、請求項1に記載の電気化学センサー。
【請求項5】
前記抵抗ドメインがシリコンと、フルオロカーボンと、パーフルオロカーボンとからなるグループから選択されるポリマー材料を含む、請求項4に記載の電気化学センサー。
【請求項6】
細胞不浸透性ドメインを更に備え、前記細胞不浸透性ドメインは実質的に細胞に対して不浸透性であり、前記作用電極からの距離が前記酵素ドメインよりも遠い位置に配置され、且つ高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含む、請求項1に記載の電気化学センサー。
【請求項7】
前記細胞不浸透性ドメインがシリコンと、フルオロカーボンと、パーフルオロカーボンとからなるグループから選択されるポリマー材料を含む、請求項6に記載の電気化学センサー。
【請求項8】
細胞破壊ドメインを更に備え、前記細胞破壊ドメインは実質的に多孔質構造を具備し、作用電極からの距離が前記酵素ドメインよりも遠い位置に配置され、且つ高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含む、請求項1に記載の電気化学センサー。
【請求項9】
前記細胞不浸透性ドメインがシリコンと、フルオロカーボンと、パーフルオロカーボンとからなるグループから選択されるポリマー材料を含む、請求項8に記載の電気化学センサー。
【請求項10】
妨害ドメインを更に備え、前記妨害ドメインは妨害種を制限または遮断するよう構成され、前期作用電極からの距離が前記酵素ドメインよりも隣接した位置に配置され、且つ高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含む、請求項1に記載の電気化学センサー。
【請求項11】
前記妨害ドメインがシリコンと、フルオロカーボンと、パーフルオロカーボンとからなるグループから選択されるポリマー材料を含む、請求項10に記載の電気化学センサー。
【請求項12】
電解質ドメインを更に備え、前記電解質ドメインは前記作用電極に親水性を与えるように構成され、前記作用電極からの距離が前記酵素ドメインよりも隣接する位置に配置され、且つ高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電気化学センサー。
【請求項13】
前記電解質ドメインがシリコンと、フルオロカーボンと、及びパーフルオロカーボンとからなるグループから選択されるポリマー材料を含む、請求項12に記載の電気化学センサー。
【請求項14】
ホストの組織内部に埋設するために構成された分析物検出装置であって、前記装置は:
酸素利用源と;
以下の機能、
生物学的環境からの装置の保護と;
分析物の拡散抵抗と;
酵素反応を可能にする触媒と;
妨害種の制限と;
からなるグループから選択される少なくとも一つの機能を与えるように構成された膜システムと、を備える前記分析物検出装置であって、
前記膜システムは高い酸素溶解性を有するポリマー材料を含み、且つ酸素利用源に近接している、前記分析物検出装置。
【請求項15】
前記酸素利用源が酵素を含む、請求項14に記載の分析物検出装置。
【請求項16】
前記膜システムが高い酸素溶解性を有する前記ポリマー材料を含むものであって、前記ポリマー材料が前記酵素と前記組織との間に実質的に連続に位置している、請求項15に記載の分析物検出装置。
【請求項17】
前記酸素利用源が電気活性表面を備えた、請求項14に記載の分析物検出装置。
【請求項18】
前記膜システムが高い酸素溶解性を有する前記ポリマー材料を含むものであって、前記ポリマー材料が前記電気活性表面と前記組織との間に実質的に連続に位置している、請求項17に記載の分析物検出装置。
【請求項19】
前記酸素利用源が電池を備えた、請求項14に記載の分析物検出装置。
【請求項20】
前記膜システムが高い酸素溶解性を有する前記ポリマー材料を含むものであって、前記ポリマー材料が前記電池と前記組織との間に実質的に連続に位置している、請求項19に記載の分析物検出装置。
【請求項21】
前記ポリマー材料がシリコンと、フルオロカーボンと、パーフルオロカーボンとからなるグループから選択される、請求項14に記載の電気化学センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2007−511737(P2007−511737A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521208(P2006−521208)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/023454
【国際公開番号】WO2005/011520
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(504016422)デックスコム・インコーポレーテッド (17)
【Fターム(参考)】