説明

埋設物の浮上防止構造

【課題】 きわめて簡単な構造で大規模の工事を必要しない低コストの装置であって、既設の地下埋設物にも容易に適用可能であり、さらには地震時等の非常時以外に土砂混入水の地下埋設物への流入を回避可能とした埋設物の浮上防止構造を提供することにある。
【解決手段】 埋設物であるマンホール1のマンホール本体2の側壁2aに地中11側とマンホール本体2の内部200とを連通する貫通孔12,13を形成し、貫通孔12,13内に地中11側と内部200との間の水の流れを許容あるいは遮断する蓋部材14を設置してなる埋設物の浮上防止構造であって、蓋部材14は、貫通孔12,13内に挿入される外筒20と、外筒20内に取付けられて地中11側と内部200との圧力差が一定値を超えたとき破断されて地中11側の水を蓋部材14を通して内部200に流通可能とし、圧力差が一定値以下のときは地中11側と内部200との間の水の流通を遮断する本体21とにより構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール、共同溝等の地下埋設物の地震時等における浮上りを防止する埋設物の浮上防止構造であって、埋設物の壁部に地中側と埋設物内部とを連通する貫通孔を形成し、該貫通孔内に地中側と埋設物内部との間の水の流れを許容あるいは遮断する蓋部材を設置してなる埋設物の浮上防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホール、共同溝等の地下埋設物の地震時等における浮上りを防止する手段の一つとして、特許文献1(特開平8−170349号公報)の技術が提供されている。
かかる技術においては、マンホールの周壁に、地下水をマンホール内に流入させる通水孔を設け、該マンホールの周りの埋め戻し土砂を充填する位置の周囲に、該マンホールと埋め戻し土砂を囲むようにしてジオテキスタイルを埋設し、該ジオテキスタイルとマンホールとの間の埋め戻し土砂を十分に締め固めるようにして、地震時等におけるマンホールの浮上りを防止している。
【0003】
【特許文献1】特開平8−170349号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術にあっては、マンホールの周りの埋め戻し土砂を充填する位置の周囲に、該マンホールと埋め戻し土砂を囲むようにジオテキスタイルを埋設して該埋め戻し土砂を締め固める方法であるため、装置全体が大掛かりで大規模の工事を必要として工事費用が高額となり、また既設のマンホールには適用できない。
【0005】
また、上記従来技術にあっては、マンホールの周壁に穿孔した通水孔に外部(地中)側からのみの流体の通流を許容する板弁からなる逆止弁を設けているため、地震時以外の定常時(静止水圧時)において、地下水に混じって土砂が前記逆止弁を押し開いてマンホール内に侵入して該マンホール底部に堆積し易くなる、等の問題点を有している。
【0006】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、きわめて簡単な構造で大規模の工事を必要しない低コストの装置であって、既設の地下埋設物にも容易に適用可能であり、さらには地震時等の非常時以外に土砂混入水の地下埋設物への流入を回避可能とした埋設物の浮上防止構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来技術の有する課題を解決するために、請求項1の本発明は、マンホール、共同溝等の埋設物の壁部に地中側と埋設物内部とを連通する貫通孔を形成し、該貫通孔内に前記地中側と埋設物内部との間の水の流れを許容あるいは遮断する蓋部材を設置してなる埋設物の浮上防止構造であって、前記蓋部材は、前記貫通孔内に挿入される外筒と、該外筒に取付けられて前記地中側の圧力と埋設物内部の圧力との圧力差が一定値を超えたとき破断されて前記地中側の水を該蓋部材を通して前記埋設物内部に流通可能とし、前記圧力差が一定値以下のときは前記地中側と埋設物内部との間の水の流通を遮断する本体とにより構成されている。
【0008】
上記蓋部材は、具体的には請求項2及び請求項3のように構成するのが好ましい。
すなわち、請求項2において、蓋部材の本体は、外周または内周を前記外筒の内周または外周に固定される筒状部と、該筒状部に連設されて前記圧力差が一定値を超えたとき破断され、かつ前記圧力差が一定値以下のときには非破断となるような厚さに形成された板状部とにより構成されている。
さらに好ましくは請求項3のように、前記本体の板状部には、前記地中側の圧力と埋設物内部の圧力との圧力差によって該板状部に作用する力による応力集中を増大させる切欠き部が形成されている。
【0009】
そして、上記蓋部材における板状部に形成される切欠き部の形状は、具体的には次のように形成するのが好ましい。
(1)請求項4のように、前記本体の切欠き部は、断面がV字状の溝によって構成されている。
(2)請求項5のように、前記本体の切欠き部は、断面が四角形状または台形状のいずれかの形状に形成された溝によって構成されている。
【0010】
また、上記切欠き部を形成する溝は、具体的には次のように配置するのが好ましい。
(1)請求項6のように、前記本体の板状部に切欠き部を形成する溝は、前記蓋部材の中心と同心の環状に配置されている。
(2)請求項7のように、前記本体の板状部に切欠き部を形成する溝は、前記蓋部材の中心から半径方向に延在して配置されている。
【0011】
前記蓋部材の設置部位は、具体的には請求項8のように、前記蓋部材は、前記埋設物の側壁に形成された貫通孔内及び該埋設物の底壁に形成された貫通孔内のいずれか一方または双方に設けられている。
【0012】
さらに、本発明において、好ましくは請求項9のように、前記蓋部材に付属して、地中側からの水流中の土砂を捕獲するフィルターが設けられている。
【発明の効果】
【0013】
マンホール、共同溝等の地下埋設物の地震時等における浮上りを防止する埋設物であって、該埋設物の壁部に地中側と埋設物内部とを連通する貫通孔を形成し、該貫通孔内に地中側と埋設物内部との間の水の流れを許容あるいは遮断する蓋部材を設置してなる浮上防止構造を備えた埋設物においては、地震時には前記蓋部材を迅速に破断して、地中に発生する過剰間隙水圧を前記埋設物の内部に開放して地下水を該埋設物の内部に流し込み、かつ地震時以外の静止水圧(低水圧)時には前記蓋部材をそのままにして地下水及び該地下水に混じって土砂が埋設物の内部に流入しないようにすることが要求される。
【0014】
然るに請求項1ないし8の発明によれば、マンホール、共同溝等の埋設物の側壁に形成された貫通孔内及び該埋設物の底壁に形成された貫通孔内のいずれか一方または双方に、地中側と埋設物内部との間の水の流れを許容あるいは遮断する蓋部材を設け(請求項8)、この蓋部材を、貫通孔内に挿入される外筒に本体を取付け、該本体が地中側の圧力と埋設物内部の圧力との圧力差が一定値を超えたとき破断されて地中側の水を前記蓋部材を通して埋設物内部に流通可能とするとともに前記圧力差が一定値以下のときは地中側と埋設物内部との間の水の流通を遮断するように構成し、具体的には請求項2のように、前記外筒の内周または外周に外周部または内周部が固定される筒状部と該筒状部の内周に連設されて前記圧力差が一定値を超えたとき破断され該圧力差が一定値以下のときには非破断となるような厚さに形成された板状部とにより構成したので、地震時に地中に過剰間隙水圧が発生して、前記蓋部材の外筒内を通して前記本体の板状部に該水圧が作用し、地中側の圧力と埋設物内部の圧力との圧力差による板状部の応力が、該板状部の厚さにより決まる破壊応力を超えると該板状部の破壊が発生して蓋部材が破断し、前記地中側の水が該蓋部材を通して埋設物内部に流入することにより、地震時等における埋設物の浮き上りを防止することができる。
【0015】
一方、地震時以外の定常時(静止水圧時)には、前記本体の板状部に作用する水の圧力つまり地中側の圧力と埋設物内部の圧力との圧力差による板状部の応力が、該板状部の厚さにより決まる破壊応力に達しないため該板状部は破壊せず、従って、前記蓋部材によって地中側の水は埋設物内部への流入が遮断されることになる。
これにより、地震時以外の定常時(静止水圧時)において、地下水及び該地下水に混じって土砂が埋設物の内部に流入して該埋設物の底部に堆積するのを回避できる。
【0016】
特に、請求項3ないし請求項5のように、前記本体の板状部に、断面がV字状の溝(請求項4)あるいは断面が四角形状または台形状のいずれかの形状に形成された溝(請求項5)によって構成され、地中側の圧力と埋設物内部の圧力との圧力差によって該板状部に作用する力による応力集中を増大させる切欠き部を設けると、該切欠き部の応力集中係数を予め設定することにより、本体の破壊応力つまり蓋部材が破断して埋設物内部に地中側の水が導入される蓋部材の破断圧力を容易に調整できる。
【0017】
また、前記本体の板状部に形成する溝からなる切欠き部を板状部の表面に前記溝を蓋部材の中心と同心の環状に配置し(請求項6)、あるいは蓋部材の中心から半径方向に延在して配置する(請求項7)ことにより、前記蓋部材をきわめて簡単かつ少ない加工工数で形成することができる。
【0018】
さらに、請求項9のように、前記蓋部材に付属して、地中側からの水流中の土砂を捕獲するフィルターを設けることにより、地震時及び地震時以外の定常時のいずれの場合においても、地下水に混入した土砂をフィルターで捕獲でき、該土砂が埋設物の内部に流入してその底部に堆積するのを回避できる。
【0019】
従って、本発明によれば、蓋部材を、貫通孔内に挿入される外筒の内周または外周に、外周部または内周部が固定される筒状部と、該筒状部の内周に固定される板状部とにより形成される本体を設けるという、きわめて簡単な構造で大規模の工事を必要しない低コストの装置で以って、地震時には破断して地中側の水を埋設物内部に流入せしめることにより埋設物の浮き上りを防止でき、地震時以外の定常時にはそのままにして地中側の水の埋設物内部への流入を確実に遮断することが可能な蓋部材を備えた埋設物の浮上防止構造を得ることができる。
また、前記埋設物に既設の貫通孔に蓋部材を組み込んで前記のような埋設物の浮上防止が可能となるので、本発明に係る埋設物の浮上防止構造は既設の埋設物にも容易に適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態が適用されるマンホールの縦断面図である。
図1において、1はマンホール、2はマンホール1のコンクリート部分であるマンホール本体であり、このマンホール本体2は、例えば、円筒状のプレキャストコンクリートブロックを積み上げて構成されている。マンホール本体2の底部には底版3が設けられ、該底版3上にはインバートブロック4が設けられている。このインバートブロック4にはインバート4aが形成され、該インバート4aの両端部には下水道管5が接続されて、マンホール本体2の内部200に排水を流通させるようになっている。
【0021】
マンホール本体2は、円筒状の胴部ブロック6を1個または複数個(この例では1個)積み上げ、該胴部ブロック6の上に、片側をテーパ状に傾斜させた筒状の上部ブロック7を積み上げて形成されている。さらに、上部ブロック7の上部にはリング状の開口部ブロック8が載置され、該開口部ブロック8の上端開口部に上蓋9が嵌合配置されている。そして、これら胴部ブロック6、上部ブロック7及び開口部ブロック8により、側壁(周壁)2aが形成されている。
このように構成されたマンホール本体2は、上蓋9の上面が地表面10と同じ高さになるように地中11に埋設されている。
【0022】
胴部ブロック6には、マンホール本体2の内部200と地中11とを連通する複数の貫通孔12が穿設されている。また、底版3及びインバートブロック4には、これを貫通して、マンホール本体2の内部200と地中11とを連通する複数の貫通孔13が穿設されている。これらの貫通孔12,13は、地盤の状況に応じて任意の場所に任意の数が設けられるようになっている。
胴部ブロック6の貫通孔12内や、底版3及びインバートブロック4の貫通孔13内には、本発明の対象である蓋部材14が取付けられている。
蓋部材14は、この例のように胴部ブロック6並びに底板3及びインバートブロック4の双方に設けられても、胴部ブロック6並びに底板3及びインバートブロック4のいずれか一方に設けられてもよい。
【0023】
また、図2は本発明の実施形態における蓋部材の縦断面図、図3(A)は前記蓋部材の本体の第1例を示す縦断面図、(B)は本体の第2例を示す縦断面図である。
図2において、蓋部材14は、貫通孔12,13内に取付けられており、外筒20と本体21とによって構成されている。外筒20は円筒状に形成され、貫通孔12(あるいは貫通孔13)内にシールリング27(あついはモルタル等)を介して、外周面を流体密にして挿入配置されている。
蓋部材14の本体21は、外周にねじ部23aが形成されて前記外筒20の内周にねじ込み固定される円筒部23と、該円筒部23の内周に連設された板状部22とにより構成されており、該板状部22はマンホール本体2の内部200側に位置するように取付けられている。なお、21aは蓋部材14の中心軸線である。
【0024】
板状部22のマンホール本体2の内部200側に臨む面には、図3(A)で示すように、断面がV字状の溝からなる切欠き部24が、蓋部材の中心軸線21aと同心の環状に配置されている。
板状部22の切欠き部24は、地中11側の圧力とマンホール本体2の内部200の圧力との圧力差が一定値を超えたとき、該切欠き部24を起点として該板状部22が破断されて地中11側の水が板状部22の破断部を通してマンホール本体2の内部200に流通可能とするとともに、当該圧力差が一定値以下のときは破断することなく地中11側とマンホール本体2の内部200と間の水の流通を遮断するような形状及び大きさに形成されている。
図3(B)は本体21の他の例を示している。この例において、切欠き部24は、断面が四角形状に形成した四角形状の溝24aにて構成されている。溝24aは台形状に形成されてもよく、この場合は、板状部22の表面側が幅広に形成されているのが好ましい。
【0025】
図4は本発明の実施形態における本体21の切欠き部24の配置構造を示す正面模式図である。図4において、(A)は環状の切欠き部24内に2本の切欠き部24を放射状に形成したもの、(B)は環状の切欠き部24内に4本の切欠き部24を放射状に形成したもの、(C)は環状の切欠き部24内に8本の切欠き部24を放射状に形成したもの、(D)は環状の切欠き部24のみを形成したものを示している。なお、本体21として、切欠き部24を形成せずに、板状部22の厚さを薄く形成したものを用いてもよい。
図3及び図4のように、切欠き部24は機械加工によって簡単に成形可能であるので、蓋部材14をきわめて簡単かつ少ない加工工数で形成することができる。
【0026】
また、本体21の反対位置の外筒20の地中11側部位の内周には、地中11側からの水流中の土砂を捕獲するフィルター25が取付けられている。
このように構成することにより、地震時及び地震時以外の定常時のいずれの場合においても、地中11の地下水に混入した土砂をフィルター25で捕獲でき、土砂がマンホール本体2の内部200に流入してその底部に堆積するのを回避することができる。
【0027】
本発明の実施形態では、マンホール本体2の側壁2aに形成された貫通孔12内及びマンホール本体2の底壁部3,4に形成された貫通孔13いずれか一方または双方に、地中11側とマンホール本体2の内部200との間の水の流れを許容あるいは遮断する蓋部材14を設け、この蓋部材14を、貫通孔12,13内に挿入される外筒20内に取付けられた本体21が地中側の圧力とマンホール本体2の内部200の圧力との圧力差が一定値を超えたとき破断されて地中11側の水を該蓋部材14を通してマンホール本体2の内部200に流通可能とするとともに、圧力差が一定値以下のときは地中11側とマンホール本体2の内部200との間の水の流通を遮断するように構成し、具体的には、圧力差が一定値を超えたとき本体21の板状部22が破断され該圧力差が一定値以下のときには板状部22が非破断となるような厚さに板状部22を構成したので、地震時に地中11に過剰間隙水圧が発生して、蓋部材14の外筒20内を通して本体21の板状部22に水圧が作用し、地中11側の圧力とマンホール本体2の内部200の圧力との圧力差による板状部22の応力が、板状部22の厚さにより決まる破壊応力を超えると板状部22の破壊が発生して蓋部材14が破断し、地中11側の水が蓋部材14を通してマンホール本体2の内部200に流入することにより、地震時等におけるマンホール1の浮き上りを防止することができる。
【0028】
一方、地震時以外の定常(静止水圧)時には、本体21の板状部22に作用する水の圧力つまり地中11側の圧力とマンホール本体2の内部200の圧力との圧力差による板状部22の応力が、板状部22の厚さにより決まる破壊応力に達しないため、板状部22は破壊せず、蓋部材14によって地中11側の水はマンホール本体2の内部200への流入が遮断されることになる。
これにより、地震時以外の定常(静止水圧)時において、地下水及び該地下水に混じって土砂がマンホール本体2の内部200に流入してマンホール本体2の底部に堆積するのを回避できる。
【0029】
また、本体21の板状部22に、断面がV字状の溝あるいは断面が四角形状または台形状のいずれかの形状に形成された溝に構成されて、地中11側の圧力とマンホール本体2の内部200の圧力との圧力差によって板状部22に作用する力による応力集中を増大させる切欠き部24を設けたので、切欠き部24の応力集中係数を予め設定することにより、本体21の破壊応力つまり蓋部材14が破断してマンホール本体2の内部200に地中11側の水が導入される蓋部材14の破断圧力を容易に調整できる。
【0030】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
例えば、蓋部材14の本体21は、その内周部を外筒20の外周に固定することにより取付けられてもよい。また、外筒20及び本体21からなる蓋部材14は、その全体が交換可能に構成されていてもよい。さらに、フィルター25は、蓋部材14に付属して、マンホール1側に設けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態が適用されるマンホールを示す縦断面図である。
【図2】本発明の実施形態における蓋部材を示す縦断面図である。
【図3】(A)は上記実施形態における本体の第1例を示す縦断面図、(B)は上記実施形態における本体の第2例を示す縦断面図である。
【図4】(A)〜(D)は本発明の実施形態における本体の切欠き部の配置構造を示す正面模式図である。
【符号の説明】
【0032】
1 マンホール
2 マンホール本体
2a 側壁(周壁)
3 底版
4 インバートブロック
4a インバート
5 下水道管
6 胴部ブロック
7 上部ブロック
8 開口部ブロック
9 上蓋
10 地表面
11 地中
12,13 貫通孔
14 蓋部材
20 外筒
21 本体
22 板状部
23 円筒部
24 切欠き部
200 内部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホール、共同溝等の埋設物の壁部に地中側と埋設物内部とを連通する貫通孔を形成し、該貫通孔内に前記地中側と埋設物内部との間の水の流れを許容あるいは遮断する蓋部材を設置してなる埋設物の浮上防止構造であって、前記蓋部材は、前記貫通孔内に挿入される外筒と、該外筒に取付けられて前記地中側の圧力と埋設物内部の圧力との圧力差が一定値を超えたとき破断されて前記地中側の水を該蓋部材を通して前記埋設物内部に流通可能とし、前記圧力差が一定値以下のときは前記地中側と埋設物内部との間の水の流通を遮断する本体とにより構成されていることを特徴とする埋設物の浮上防止構造。
【請求項2】
前記蓋部材の本体は、外周または内周を前記外筒の内周または外周に固定される筒状部と、該筒状部に連設されて前記圧力差が一定値を超えたとき破断され、かつ前記圧力差が一定値以下のときには非破断となるような厚さに形成された板状部とにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の埋設物の浮上防止構造。
【請求項3】
前記本体の板状部には、前記地中側の圧力と埋設物内部の圧力との圧力差によって該板状部に作用する力による応力集中を増大させる切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の埋設物の浮上防止構造。
【請求項4】
前記本体の切欠き部は、断面がV字状の溝によって構成されていることを特徴とする請求項3に記載の埋設物の浮上防止構造。
【請求項5】
前記本体の切欠き部は、断面が四角形状または台形状のいずれかの形状に形成された溝によって構成されていることを特徴とする請求項3に記載の埋設物の浮上防止構造。
【請求項6】
前記本体の板状部に切欠き部を形成する溝は、前記蓋部材の中心と同心の環状に配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の埋設物の浮上防止構造。
【請求項7】
前記本体の板状部に切欠き部を形成する溝は、前記蓋部材の中心から半径方向に延在して配置されていることを特徴とする請求項4または5に記載の埋設物の浮上防止構造。
【請求項8】
前記蓋部材は、前記埋設物の側壁に形成された貫通孔内及び該埋設物の底壁に形成された貫通孔内のいずれか一方または双方に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の埋設物の浮上防止構造。
【請求項9】
前記蓋部材に付属して、地中側からの水流中の土砂を捕獲するフィルターが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の埋設物の浮上防止構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−348507(P2006−348507A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−173433(P2005−173433)
【出願日】平成17年6月14日(2005.6.14)
【出願人】(000220675)東京都下水道サービス株式会社 (98)
【出願人】(000230973)日本工営株式会社 (39)
【出願人】(000229667)日本ヒューム株式会社 (70)
【Fターム(参考)】