説明

埋込式照明器具

【課題】器具本体に枠体を簡単に取り付けでき、取り付け後に枠体がずれ下がるなどの不具合が生じず、枠体を長期にわたり確実に固定することが可能な埋込式照明器具を提供する。
【解決手段】 取付面1に形成された開口部2に臨むように配置される器具本体3に取り付けられて開口部との隙間を覆う枠体7を有するとともに、器具本体3のランプケース5に対して枠体7を着脱可能に取り付けるラッチ手段10を備え、このラッチ手段10は、ランプケース5の内周面に受け具11が設けられる一方、枠体7には受け具11に係止される係止片12と、この係止片12を揺動自在に支持すると共に枠体7に対して支軸13を中心に回動自在に設けられたレバー14とを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋込式照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、埋込式照明器具は、例えば、天井の取付面に形成された開口部に天井裏側から室内側に臨むように配置される器具本体を備え、この器具本体には、ランプを収納するとともに、ランプからの光を反射する反射面が形成されたランプケースが設けられている。
【0003】
そして、器具本体を取付面に位置決めするとともに、開口部との隙間等がそのまま露出して見栄えが悪くなるのを防止するために、器具本体と開口部との隙間を覆う枠体がランプケースに取り付けられている。
【0004】
この場合、器具本体のランプケースに枠体を取り付ける構成として、従来、枠体の周囲の複数箇所に上向きくの字状に屈曲されたキックばねを設ける一方、ランプケース側にはキックばねを係止する左右一対の爪部をキックばねの個数分だけ設けたものがある。そして、ランプケースに枠体を取り付ける際には、キックばねを撓ませて先端の間隔を狭くした状態で左右一対の爪部の間に挿入し、その状態でキックばねから手を離すと、キックばねのばね力(開き力)で先端の間隔が広がることで、キックばねが爪部に係止され、これによって枠体がランプケースに固定される。
【0005】
また、他の従来技術として、枠体の周縁部の複数箇所に弓状に形成した板ばねを放射状に張り出すように設け、枠体を取付面に取り付ける際には、全ての板ばねを手で撓ませて器具本体のランプケースと取付面の開口部との隙間に挿入した後、枠体を開口部に向けて押し込むことで、板ばねがそのばね力で元の状態に展開されて開口部の周縁に当接して係合し、これによって、枠体を取付面に固定するようにした構成のものも提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−40773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前者の上向きくの字状のキックばねを利用してランプケースに枠体を取り付ける構成の場合、ばね力を強くし過ぎると、キックばねの先端を指でつまんで撓ませて爪部の間に挿入することが困難になる。したがって、指の力でキックばねの先端をつまんで撓ませることが可能な程度までばね力を調整する必要があるが、そのようにすると、逆にキックばねのばね力(開き力)が弱くなるので、取付面に振動等が加わることによって枠体がずれ下がるなど、枠体本来の機能が損なわれてしまう。
【0007】
また、後者の特許文献1に記載の従来技術の場合、枠体の周縁部の複数箇所に設けられた全ての板ばねを同時に手で撓ませて器具本体のランプケースと取付面の開口部との隙間に挿入する必要があるため、枠体を取り付ける際に板ばねを撓ませるだけの余分な力が必要になるとともに、枠体の取り付けに手間がかかるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、器具本体と開口部との隙間を覆う枠体を取り付ける際に複数のばねを同時に撓ませるなどの余分な労力が不要で、枠体を簡単に取り付けることができ、しかも、取り付け後に枠体がずれ下がるなどの不具合が生じず、枠体を長期にわたり確実に固定することが可能な埋込式照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、取付面に形成された開口部に臨むように配置される器具本体と、この器具本体に取り付けられて前記開口部との隙間を覆う枠体とを含み、前記器具本体はランプを収納するランプケースを有する埋込式照明器具において、次の構成を採用している。
【0010】
すなわち、本発明にあっては、前記ランプケースに対して前記枠体を着脱可能に取り付けるラッチ手段を備え、このラッチ手段は、前記ランプケースの内周面に受け具が設けられる一方、前記枠体には前記受け具に係止される係止片と、この係止片を揺動自在に支持すると共に前記枠体に対して支軸を中心に回動自在に設けられたレバーとを備えて構成されていることを特徴としている。
【0011】
この場合、特に請求項2記載のように、前記レバーには、前記係止片を前記受け具に係止した状態において、前記枠体の外面と面一となるように前記取付面側への回動量を規制するストッパ部が形成されている構成となっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ランプケースの内周面に設けられた受け具と、枠体に設けられた係止片とレバーとを有してなる複数のラッチ手段を備え、これらの各ラッチ手段を構成する受け具に係止片を係止した後、レバーを回動させるだけで、枠体がランプケースに確実に固定される。このため、従来のように、枠体を取り付ける際に複数のばねを同時に撓ませるなどの余分な労力が不要で、枠体を簡単に取り付けることができ、しかも、取り付け後に枠体がずれ下がって見栄えが悪くなるなどの不具合が生じることがなく、枠体を長期にわたり確実に固定することができる。また、レバーを逆方向に回動して受け具から係止片を離脱させるだけで、ランプケースから枠体を取り外すことができるので、器具本体の保守、点検等を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。図1は本発明の実施の形態における埋込式照明器具の分解斜視図、図2は同埋込式照明器具において、器具本体に枠体をラッチ手段を用いて取り付ける箇所の構成を取り付け動作順に示す断面図である。
【0014】
この実施の形態の埋込式照明器具は、例えば、天井の取付面1に形成された開口部2に天井裏側から室内側に臨むように配置される器具本体3を備える。この器具本体3は、ランプ4を収納するとともに、内面にランプ4からの光を反射する反射面が形成されたランプケース5を有し、このランプケース5の上部には電気配線が接続される端子台6が固定されている。そして、端子台6は、例えば天井内の図示ない横桟等にネジ止め固定される。また、この埋込式照明器具は、天井の取付面1の開口部2との隙間を覆う略リング状の枠体7を備えている。
【0015】
さらに、この実施の形態における埋込式照明器具の特徴として、ランプケース5に対して枠体7を着脱可能に取り付ける複数のラッチ手段10を備えている。
【0016】
各ラッチ手段10は、いわゆるパチン錠と称される鍵機構に類するものであって、その具体的構成としては、ランプケース5の下部の内周面の周方向に沿う複数箇所(本例では点対称となる対向位置の2箇所)にJ字形の受け具11が固定される一方、枠体7には各々の受け具11に係止される下向き略コの字形の係止片12と、この係止片12の基端部12bを揺動自在に支持すると共に枠体7に対して支軸13を中心に回動自在に設けられたレバー14とを備えている。また、受け具11に対する係止片12の着脱を容易にするための付勢ばね15が設けられ、この付勢ばね15の一端側が支軸13に巻回され、他端側が枠体7に掛止されている。さらに、レバー14には、係止片12を受け具11に係止した際に、枠体7の外面と面一となるように取付面1側への回動量を規制するストッパ部14aが形成されている。
【0017】
枠体7を器具本体3のランプケース5に取り付ける際には、枠体7を少し持ち上げて(図2(a)参照)、係止片12の先端部12aをランプケース5の受け具11に係止する(図2(b)参照)。そして、係止片12の先端部12aを受け具11に係止した状態で付勢ばね15のばねの力に抗してレバー14を支軸13を中心に回動させると、これに伴って係止片12のレバー14取付側の基端部12bが力点となり、その力点が開口部2の外方に向けて移動するため、枠体7全体が持ち上がり、最終的にレバー14に設けたストッパ部14aが天井の取付面1に当接した状態で枠体7がランプケース5に確実に固定される(図2(c)参照)。このとき、枠体7の下面およびラッチ手段10のレバー7の下面は面一となるので、ラッチ手段10を設けても見栄えを損なうことがない。
【0018】
また、レバー14を逆方向に回動すれば、係止片12のレバー14の取付側の基端部(力点)12bが開口部2の内方に向けて移動するため、枠体7全体が垂れ下がるので(図2(b)参照)、受け具11から係止片12を離脱させることで、ランプケース5から枠体7を取り外すことができる。
【0019】
このように、この実施の形態の埋込式照明器具は、ランプケース5の内周面に設けられた受け具11と、枠体7に設けられた係止片12とレバー14とを有する複数のラッチ手段10を備え、受け具11に係止片12を係止した後、レバー14を回動させるだけで、枠体7がランプケース5に確実に固定される。このため、従来のように、枠体7を取り付ける際に複数のばねを同時に撓ませるなどの余分な労力が不要で、枠体7を簡単に取り付けることができ、しかも、取り付け後に枠体7がランプケース5からずれ下がるなどの不具合が生じることはなく、枠体7を長期にわたり確実に固定することができる。また、レバー14を逆方向に回動して受け具11から係止片12を離脱させるだけで、ランプケース5から枠体7を取り外すことができるので、器具本体3の保守、点検等を容易に行うことができる。
【0020】
なお、上記の実施の形態では、天井の取付面1に埋込式照明器具を装備した場合について説明したが、これに限らず、例えば部屋の垂直取付面に埋込式照明器具を装備にする場合にも本発明を適用することができるのは勿論であり、取付面とは、天井面、壁面等の主として室内側の面をいう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態における埋込式照明器具の分解斜視図である。
【図2】同埋込式照明器具において、器具本体に枠体をラッチ手段を用いて取り付ける箇所の構成を取り付け動作順に示す断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 取付面
2 開口部
3 器具本体
4 ランプ
5 ランプケース
7 枠体
10 ラッチ手段
11 受け具
12 係止片
13 支軸
14 レバー
14a ストッパ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面に形成された開口部に臨むように配置される器具本体と、この器具本体に取り付けられて前記開口部との隙間を覆う枠体とを含み、前記器具本体はランプを収納するランプケースを有する埋込式照明器具であって、
前記ランプケースに対して前記枠体を着脱可能に取り付けるラッチ手段を備え、このラッチ手段は、前記ランプケースの内周面に受け具が設けられる一方、前記枠体には前記受け具に係止される係止片と、この係止片を揺動自在に支持すると共に前記枠体に対して支軸を中心に回動自在に設けられたレバーとを備えて構成されていることを特徴とする埋込式照明器具。
【請求項2】
前記レバーには、前記係止片を前記受け具に係止した状態において、前記枠体の外面と面一となるように前記取付面側への回動量を規制するストッパ部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の埋込式照明器具。

【図1】
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【図2】
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