説明

基体上のコードを検知する光学センサ

【課題】カメラに対して高速で移動する基体のコードを的確に判定する必要がある。
【解決手段】使用時に自身に対して移動する基体上のコードを検知する光学センサであっ、光軸に沿って基体を観察し、基体の反射特性の値を判定する光学検知器と、判定された反射特性の値の時間的変動を基に検知されたコードを判定するコード解析器と、光軸に沿って基体を照明する第1の照明源と、光軸に対してゼロ以外の角度をなす方向で基体を照明する第2の照明源と、第1の照明源を入れて第2の照明源を消す第1の作動モードと、第1の照明源を消して第2の照明源を入れる第2の作動モードとを有する制御ユニットとを具備する光学センサによって解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用時に、光学センサに対して移動する基体上のコードを検知する該光学センサに関し、使用時に、光軸に沿って基体を観察し基体の反射特性の値を連続的または反復的に判定する光学検知器と、検知されたコードを決定するコード解析器とを備えた光学センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の光学センサは、それ自体周知である。既知のセンサはカメラを使用して基体上のバーコードを検知する。カメラは反復的に基体の静止画像を生成しその画像をコード解析器に送る。コード解析器は画像処理アルゴリズムを実行し、画像からバーコードに対応づけた数字などのコードを判定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既知の光学センサの欠点は、カメラの画像速度が比較的遅いため、カメラに対して高速で移動する基体のコードの判定にこのシステムが適していないことである。さらに既知の光学センサは、その上でコードを検知できる基体と、その範囲内でセンサが作動可能な反射特性の値の幅とが制約される。例えば鏡のような面を持つ高反射の基体上で、既知のセンサではコードを検知することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は上述した問題の少なくとも1つを削減することにある。
【発明の効果】
【0005】
このため、本発明は請求項1に記載の光学センサを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
コード解析器は、判定された反射特性の値の時間的変動を基にして検知されたコードを判定するから、基体が光学センサを高速で通過してもカメラの画像速度は制限要因ではないためコードの判定が可能である。さらに、制御ユニットは、第1の照明源を入れて第2の照明源を切る第1の作動モードと、第1の照明源を切り第2の照明源を入れる第2の作動モードとを有するから、光学センサはコード検出中に照明状態を変更することができ、結果として最適な照明状態を使用してコードを判定できる。さらに、第1の照明源は光軸に沿って基体を照明するから、少なくとも1つの照明状態は正反射と乱反射の大きな違いを生じさせ、第1の照明源で照明すれば正乱いずれかの反射特性の値を判定することができる。さらに、このことは光学センサの簡潔な組込みを可能にし、センサの設置余地があまりない機械などの環境でセンサの使用を可能にする。さらに、第2の照明源は光軸に対してゼロ以外の角度を成す方向で基体を照明するから、第1と第2の照明源とで互いに異なる角度から基体を照明し、結果として照明状態のむらは最適化できる。
【0007】
ここで反射特性は例えば、色相などの色の性質、クロミナンスや明度、グレイトーンなどの光学密度、視感、乱反射率や正反射率などの反射率、またはこれらの反射特性の組合せ、とすることができる。
【0008】
本願で用語「コード」は、第1の値から第2の値への少なくとも1つの変化を含む情報の断片、例えばバーコードや、ドットコード、異なる反射率を持つ基体断面の長さ、黒/白の変化、カラーコードなどを包含する。
【0009】
好ましくは、光軸は基体にほぼ垂直に配する。このことがもたらす利点は光学検知器が基体をほぼ直角に観察することである。これにより、光学センサは自身に対する基体の厚さまたは基体の高さのばらつきに比較的影響を受けない。なぜならこのばらつきは、光学検知器が見るその視野内での基体の横の動きではないからである。このことが減じるリスクは、このばらつきによる不揃いの結果として光学センサがコードを捉え損なうことである。さらに、光学検知器が基体をほぼ垂直に観察し、第1の照明源が基体をほぼ垂直に照明すれば、第1の照明源の光は光学検知器の方に有効に反射されるから、鏡面のような高反射表面の基体上でもコードを検知できることが分かった。
【0010】
好ましくは、第1の照明源は白の光を発するように構成し、第2の照明源は互いに異なる色の光を発するように構成する。このことが与える利点は、限られた数の照明色と限られた数の照明角度とで、任意の色や任意の反射率の、ほぼどんな基体においてもコードを検知できることである。この場合、第2の照明源でコードの色特性を検知でき、第1と第2の照明源を組み合せればコードの反射特性を検知できる。こうして少数の照明状態しか使用する要はないから、互いに異なる照明状態の数も限定されて、センサの速度は大きくなる。同時に、例えば異なる色特性や反射特性を持つほぼ全種類の基体上のコードが検知できるという利点も維持される。
【0011】
好ましくは複数の光源は、赤の光を発する赤の光源と、緑の光を発する緑の光源と、青の光を発する青の光源とを具備するのがよい。これにより、いかなる色も検知可能となる。
【0012】
好ましくは、光学検知器は、複数の光電池ではなく特異なフォトダイオードを備えるのがよい。このことのもたらす利点は、光学検知器が連続的または反復的に高い反復率で基体の反射特性の値を判定できることである。これにより、センサは基体が高速で移動する間もコードを判定することができる。
【0013】
好ましくは、制御ユニットは周期的に第1の作動モードから第2の作動モードへ切り替わるように構成する。したがって制御ユニットは照明源及び/または光源を周期的に入れたり切ったりすることができる。
【0014】
要すれば制御ユニットは、第1と第2の照明源を切って第3の作動モードを持つ。これにより光学検知器は、自身の全照明源を切って照明の背景レベルを判定し、例えば検知された値の較正や訂正をすることができる。好ましくは、制御ユニットは周期的に第1、第2、第3の作動モード下にあるように構成する。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、光学センサにはさらに、光電変換器に隣設されかつ画像形成用光学装置により基体に映し出されるように構成された少なくとも1つの整列用光源が設けられる。これにより、光学センサは基体と容易に整列し、整列用光源の投射を基体に集束させることで基体は光電変換器に映し出される。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、光学センサにはさらに、使用時に光学検知器から見て基体の背後に位置する基準面が設けられる。
【実施例】
【0017】
図1aは、本発明による光学センサ1の第1の実施形態の略図を示している。図1aの例で、センサ1は基体2に隣設されている。光学センサは光軸OAに沿って基体2を観察するように構成される。この例では光軸OAは基体2にほぼ垂直に配されている。
【0018】
この例で基体2は、平面Pに延びるほぼ平坦な本体例えばボール紙、箱用の生地板などを含む。基体は例えばセンサ1に対して移動可能である。この例では基体は平面P内を移動する。この例で基体は平面Pを移動方向MDへ移動する。このため、例えばコンベヤベルトなどの基体移動手段4が設けられる。この例で基体移動手段4は複数の基体2を動かすようにされ、基体は連続的に光軸OAを通過する。この例で平面Pは光軸OAにほぼ垂直に置かれるから、基体2は光軸OAにほぼ垂直な方向に移動する。この例では基体2は、基体2に例えばプリントすることができるバーコードなどのコードを備える。
【0019】
図1aの例で光学センサ1は光学検知器6を備えている。光学検知器6は使用時に光軸OAに沿って基体2を観測する。光学センサ1が基体2のコードを判定できるように、好ましくはコードは光学検知器6と対面する基体2の表面8にあって、その少なくとも一部は基体の移動中に光軸OAと交わる表面の所定の位置にあるようにする。
【0020】
光学検知器6は、基体が光軸を通過する間に、光学検知器6と対面する基体4の表面8と光軸OAが交差する位置で、基体の反射特性の値を連続的または反復的に判定するように構成される。反射特性は例えば、色相などの色の特性、クロミナンスや明度、グレイトーンなどの光学密度、視感、乱反射率や正反射率などの反射率、またはこれらの反射特性の組合せとすることができる。これにより、基体が少なくとも2つの区別できる反射特性の値を備えるように、コードを基体に当てがうことができる。
【0021】
光学検知器は、判定された反射特性の値を表わす信号を出力するように構成される。この例で光学検知器6はフォトダイオードなどの光電変換器10を備えており、光電変換器10がこれに入射する光を電荷、電流及び/または電圧に変換する。この例で光学検知器6はさらに、基体2を光電変換器10に映し出す1つまたは複数のレンズなどの画像形成用光学装置12を備えている。
【0022】
好ましくは光電変換器は特異なフォトダイオードがよく、例えばCCDカメラやCMOSカメラなどの1D(線走査)カメラや2Dカメラなどの複数の光電池を含む光電変換器でないのがよい。特異なフォトダイオードの短い応答時間は、反復測定が要求されるとき、反射特性の値や高速サンプルの素早い連続測定を可能にするから、これが本発明の光学センサでの使用に好適であることが分る。
【0023】
図1aの例では光学検知器はさらに、ほぼ非半透明の板などに設けた開口11を具備する。板は光電変換器10と画像形成用光学装置12との間に置かれてある。この例で開口11は画像形成用光学装置のほぼ焦点面に、それも好ましくは光電変換器10の近傍に置かれる。開口は、光学検知器6の視界を、コードの一部と重なる基体領域などに制限するのに役立つ。さらに開口を使って光学検知器6の光学分解能を強化することもできる。開口は例えばほぼ矩形の形状でもよい。開口は例えば、移動方向MDに平行な方向を、移動方向MDに垂直な方向より小さくしてもよい。好ましくは、移動方向に垂直な開口の大きさは、コードに隣接する基体2の表面の、移動方向に垂直な方向のほぼどの表面も、開口11を通して光電変換器10に映し出されないように選択する。これにより、光学検知器6の視界はコードに限定でき、このことはコードの反射特性の値についての光学センサの感度を強化させる。
【0024】
この例では光学センサ1はさらにコード解析器14を具備する。コード解析器14は光学検知器6が出力した信号を受け取り、判定された反射特性の値の時間的変動を基に検知されたコードを判定するように構成される。コード解析器はさらに、判定されたコードを表示するコード信号を例えば図1aに16で示した外部装置に出力するようにしてもよい。
【0025】
光学センサ1は第1の照明源18例えば発光ダイオード(LED)を具備する。第1の照明源18は基体2を光学検知器6の光軸OAに沿って、この例によれば光学センサ6から遠ざかり基体2へ向う方向で照明する。したがって、光学検知器6から基体2へ伸びる第1の光路と、第1の照明源18から基体2へ伸びる第2の光路とは、少なくとも部分的に一致する。この例で光学センサ1は、第1の照明源18からの光束を光学検知器6の第1の光路へ結合する、部分的に透明な鏡またはプリズムなどの光束結合器20を具備する。
【0026】
光学センサ1は第2の照明源22を具備し、光軸OAに対してゼロ以外の角度αの方向から基体2を照明する。
【0027】
図1aの例で光学センサ1はさらに、以下でさらに説明する、第1と第2の照明源18、22を制御する制御ユニット26も具備する。
【0028】
この例でコードは、第1のコード部分と第2のコード部分を具えた2進コードと見做せる。第1のコード部分は高い論理レベルを表わし、これは反射特性の値が所定の閾値レベルより高い、基体の第1の領域28で形成される。第2のコード部分は低い論理レベルを表わし、反射特性の値が所定の閾値レベルより低い基体の第2の領域30で形成される。光学検知器で判定された反射特性の値は、これが所定の閾値より高ければ「高い」と表示され、これが所定の閾値より低ければ「低い」と表示される。
【0029】
この例でコードは、黒と白のバーなどからなるバーコード32を含む。バーは並んで、つまりバーの縦側が隣り合って置かれている。本願で白いバーは第1の領域28を形成し、黒いバーは第2の領域30を形成する。明瞭にするため、図1aでバーコード32は図式的に図の面に示してあるが、諒解されるように実際にはバーコード32は基体2の表面上8にある。
【0030】
以上ここまで記述した光学センサは、基体のコード判定に次のように使用することができる。
【0031】
光学センサ1に対して基体2を面Pの移動方向MDに移動させる。バーコード32は好ましくは、バーの縦方向が移動方向MDに対してゼロ以外の角度を成すように、例えば移動方向に対して垂直になるように方向づける。これにより黒と白のバーすなわち第1と第2の領域28、30は、コードが光軸OAを通過するとき連続的に光学検知器6に映し出される。
【0032】
図1bは黒と白の部分を含んだコードを例示している。使用時にコードは光軸OAを横切って走査されるから、コードの視点からすれば、光軸がコード全面を例えば図1bの左から右へ時間的に走査する。したがって、図1bは、光学センサが観察したコードの部分を時間の関数として示したものと見做すことができる。
【0033】
制御ユニット26は第1と第2の照明源18、22を制御する。この例では、制御ユニット26は第1の作動モードと第2の作動モードとを持つ。第1の作動モード下で、第1の照明源18を入れて第2の照明源22を消す。第2の作動モード下で、第1の照明源18を消して第2の照明源22を入れる。したがってこの例では、基体2は第1の照明源18か第2の照明源22かのいずれかで照明される。
【0034】
使用時に、制御ユニット26は第1の作動モードから第2の作動モードへと周期的に切り替わる。したがって基体は第1の照明源18と第2の照明源22とにより交互に周期的に照明される。図1bは、時間のどの瞬間に第1と第2の照明源18、22を入れたり消したりするかを図式的に示している。
【0035】
照明周期中に基体は光学検知器6に映し出される。これにより光学検知器6は、第1の照明源18が発する第1の光と第2の照明源22が発する第2の光の、基体2からの反射を連続的に受け取る。光学検知器6は、連続的または反復的に基体2の反射特性の値を判定例えば測定する。これにより、光学検知器6は連続的にコードの第1の領域28と第2の領域30との反射特性の値を判定する。図1bは、光学検知器6が判定した値の例を時間の関数として図式的に示している。判定された値、または値を表示する情報は解析器14に送られる。これにより解析器14には、時間的に変化する反射特性の連続的な値や抽出された流れの値が供給される。
【0036】
解析器は時間的に変化する連続的または抽出された流れの値から、それらの値を所定の閾値と比較することで高低の論理レベルビットの順序を組み立てる。高低の論理レベルの連続ビット数は、反射特性の値がそれぞれ所定の閾値より高かったか低かったかの時間の長さに対応する。図1bは、解析器が判定したビットの論理レベルの順序を例示している。
【0037】
図1bの例で分かるように、図1bのAで示した、第2の照明源22で照明したときの第2の領域30に対応する反射特性の値は、図1bのBで示した、第1の照明源18で照明したときの第2の領域30に対応する反射特性の値と全く同じにしなくてもよい。同様に、図1bのCで示した、第2の照明源22で照明したときの第1の領域28に対応する反射特性の値は、図1bのDで示した、第1の照明源18で照明したときの第1の領域28に対応する反射特性の値と全く同じにしなくてもよい。
【0038】
この例から分かるように、図1bのCで示した、第2の照明源22で照明したときの第1の領域28に対応する反射特性の値は、所定の閾値Tより低い。したがってこの例では、第2の照明源22で照明したとき、反射特性の値を基にしては第1の領域28と第2の領域30とを適正に識別できない。一方、第1の照明源18で照明したときは、反射特性の値を基に第1の領域28と第2の領域30とを適正に識別できるということも見て取れる。解析器14は、第1の照明源がオンのときに光学検知器6が判定した値を用いるか、または第2の照明源がオンのときの値を用いるかを、例えば値の大きさを基にして判定をするように構成することができる。この例で解析器は、第2の照明源がオンのとき検知した値を無視する判断をしている。
【0039】
図1aの例から、第1の照明源18と第2の照明源22とを用いれば、全種類の反射特性を持つコードの検知が可能である。さらに、第1の領域28と第2の領域30とがほぼ同程度の光、色、輝度などを有し、第1の領域が高い反射率(光沢あり)を、第2の領域が低い反射率(光沢なし)を持つ場合にも、コードの検知は可能である。この場合、第1の照明源での照明は、光学検知器6が観察する第1と第2の領域28、30の反射特性の値にわずかの違いしか生じさせない。第2の光源22での照明は、第2の光源が発する光を第1の領域28により光学検知器6から離れる方に反射させ、第2の領域30により光学検知器6の方に(拡散的に)反射させる。したがって、第2の照明源22で照明するとき反射特性の値は、第1の領域で比較的低く、第2の領域で比較的高い。こうしてコードの検知が可能となる。諒解されるように、コードが第1の領域28と第2の領域30とにほぼ同程度の暗色を含み、第1の領域が高い反射率(光沢あり)を、第2の領域が低い反射率(光沢なし)を持つとき、第1の光源18での照明は、第1の光源が発する比較的大量の光を第1の領域により光学検知器6の方に反射させ、比較的少量の光を第2の領域により光学検知器の方に反射させる。こうしてコードの検知が可能となる。
【0040】
本発明の態様によれば、光軸OAは図1aに示すように基体2の表面8にほぼ垂直に配される。このことがもたらす利点は、鏡面や高光沢の表面、金属表面などの高反射表面8を持つ基体を、同様に基体の表面8にほぼ垂直な第1の照明源18で照明すれば、大きな割合の照明光が光学検知器6に反射されて、高い値の反射特性が判定できることである。高反射表面に、これに黒及び/または暗色でプリントやペイントなどを施した反射特性の低い第2のコード部分30を設ければ、第1及び/または第2の照明源18、22からの光の反射は、低い値と判定される反射特性となる。他方、高反射表面8を第2の照明源22で照明すれば、大きな割合の照明光が光学検知器6から離れる方に反射されて、低い値の反射特性が判定できる。高反射表面に、これに白及び/または明色でプリントやペイントなどを施した反射特性の高い第1のコード部分28を設ければ、第1及び/または第2の照明源18、22からの光の反射は、高い値と判定される反射特性となる。こうして本発明の光学センサ1により、鏡面などの高反射表面上のコードを検知することが可能となる。
【0041】
図2aは本発明による光学センサの第2の実施形態の略図である。
【0042】
図2aの例では第2の照明源22は、複数の発光ダイオード(LED)などの複数の光源24.i(i=1,2,...)を具備する。この例で光源24.1、24.2、24.3は互いに異なる色の光を発するように構成される。この例では赤の光源24.1は赤の光を発し、緑の光源24.2は緑の光を発し、青の光源24.3は青の光を発する。言うまでもなく、その他の色もまた可能である。通常、複数の光源24.iのうち少なくとも2つの光源は互いに異なる色の光を発するように構成することができる。この例では、第1の照明源18はほぼ白の光を発する。
【0043】
この例で制御ユニット26はさらに、第2の作動モード下で光源24.iを1つずつ連続的に入れて、その間残りの光源は消すように構成される。したがってこの例では、基体は第2の作動モード下で連続的に赤、緑、青の光で照明できる。これにより、図2aの例で基体は周期的に例えば白、赤、緑、青の光の、連続的に反復する周期で照明される。
【0044】
付加的にこの例で制御ユニット26は、第1と第2の照明源18、22を消勢する第3の作動モードを持つ。したがって第3の作動モード下では基体2は光学センサ1で照明されない。この第3の作動モード下で、光学検知器は選択された照明源とは別のかなりの量の背景照明を判定できる。光学検知器は、第1及び/または第2の作動モード中に判定された値の較正や訂正に使用可能な第3の作動モード下で、「暗い」値の反射特性を判定する。
【0045】
図2aの例では、制御ユニット26は周期的に第1、第2、第3の作動モード下にあるように構成されている。これにより図2aの例では、基体2は周期的に例えば白、赤、緑、青の光の次に暗い周期が続く、連続的に反復する周期で照明される。図2bは、時間のどの瞬間に第1の照明源18と光源24.iとを入れたりまたは消したりするかを図式的に示している。
【0046】
諒解されるように、各周期、この例では照明周期と暗い周期の5つの周期に対するコードのそれぞれ第1や第2の領域28、30の反射特性の検知値を得る一方で、基体の高速移動(例えば10m/sを上回る)を達成するには、照明周期と暗い周期とを短縮する必要がある。一般的使用では、制御ユニットの周期時間は10μsである。この場合、第1の照明源18、赤の光源24.1、緑の光源24.2、青の光源24.3による照明の周期と、暗い周期とは、それぞれ2μsである。言うまでもなく特異なフォトダイオードの速い応答は、フォトダイオードをこの短い周期時間と連係して使用するための最適な光電変換器とする。
【0047】
解析器14は図1bで説明したようにコードの論理レベルを判定できる。
【0048】
図2bの例では、コードは白い第1の領域28と紫の第2の領域30とを含んでいる。図2bから分かるように、この例で白の第1の照明源18で照明し、さらに赤、緑、青の光源24.1、24.2、24.3で照明したとき、白の第1の領域28を光学検知器6に映し出すと、光学検知器6は反射特性の高い値を判定する。さらに図2bからは、この例で白の第1の照明源18で照明し、さらに緑の光源24.2で照明したとき、紫の第2の領域30を光学検知器6に映し出すと、光学検知器6は反射特性の低い値を判定することが分かる。一方、紫の第2の領域を赤または青の光源24.1、24.3で照明すると、光学検知器は高い値の反射特性を判定する。これにより、解析器は第2の領域30が紫であると判断することができる。なぜなら第2の領域は、赤と青の光源24.1、24.3で照明されると高い値の反射特性で示される赤と青の色の成分を含むからである。
【0049】
したがって、コードの論理レベルに加えて解析器はさらに、コードの第1及び/または第2の領域の色成分と、これによるコードの第1及び/または第2の領域の色も同様に判定できる。解析器は、互いに異なる色で照明すれば得られる、反射特性の値の少なくとも1つの比率などを基にして、基体の一部の、例えばコードの領域の色を判定することができる。
【0050】
図3は本発明による光学センサの第3の実施形態の略図を示している。本発明の第2の態様によれば、光学センサ1は、光電変換器10に隣設されかつ画像形成用光学装置12により基体2に映し出されるように構成された少なくとも1つの、この例では2つの整列用光源34を具備する。好ましくは整列用光源34は、基体2を光電変換器10に結像させるとき整列用光源が基体2に集束するように取り付ける。これにより光学センサは容易に整列させることができ、整列用光源の基体への投射を単純に観察するだけで基体は光電変換器に結像する。諒解されるように、整列は投射を視覚的に観察したり、投射を自動的に例えばカメラを使って観察したりして実行できる。言うまでもなく整列用光源は図2aと4とに示した実施形態でも用いることができる。さらに諒解されるように整列用光源は、第1の照明源を具備しない、または第2の照明源を具備しない光学センサにも使用可能である。
【0051】
図4は本発明による光学センサの第4の実施形態の略図を示している。本発明の第3の態様によれば、光学センサ1は、使用時に光学検知器6から見ると基体2の背後に位置する基準面36を備えている。複数の基体例えば箱用の生地板が移動方向MDに光軸OAを通過するとき、複数の基体の2つの隣接する基体間にスペース86があれば、第1の及び/または第2の照明源18、22からの光は2つの基体の間を通過して基準面36に入射する。光学検知器6はスペース38を介して基準面36を観察できる。基準面は、光学検知機が判定した反射特性の値が所定の基準値を取るように、または所定の間隔内にあるように選択される。特別な実施形態では、基準面は第1の照明源18からのほぼ全ての光を光学検知器6の方向に反射する逆反射表面である。したがって基準値は大きな値となる。基準面を用いれば、基体が光学検知器の視界にある第1の状態と、光学検知器6の視界に基体がなくスペース38がある第2の状態とが識別可能となる。このことを用いて、例えば視界に入る次の基体の前縁部などを表示するトリガ信号を発生することができる。これを次に解析器14に用いて、基体2の前縁部とコードの前縁部との間隔が分かれば、コードの観察が予期される時点を判定することができる。これにより、解析器は検知された反射特性を基にコードの始まりを判定するように構成される。諒解されるように解析器はまた、基体それ自体の一部分の検知された反射特性を基に、コードの始まりを判定するようにも構成できる。
【0052】
図2aの例では、第1の照明源は白の照明源である。白の光による基体にほぼ垂直な照明と、基体に対してゼロ以外の角度をなす多色の照明との組合せは、最も一般的なコードを判定する十分な情報と、色の情報とをもたらすことが分かった。さらに、第1の照明源に連続的な多色の照明の代わりに白の照明を用いれば、制御ユニットの周期の照明段階の数が少なくなる。このことは、光学検知器の速度を強化する短い周期時間を選択することを可能にする。
【0053】
上記の明細書において、本発明を本発明の実施形態の具体的な例を参照しながら記述した。一方、添付クレームで述べた本発明の広範な精神と範囲とから逸脱することなく多様な変態と変更とがなされることは明らかである。
【0054】
例えば、第1の照明源は所定の色の光を発してもよく、互いに異なる色の複数の光源を備えてもよい。
【0055】
互いに異なる色の複数の光源はまた、互いに異なる色の光を連続的に発するように構成した単一の光源で構成することもできる。
【0056】
例では第1か第2のいずれかの照明源で基体を照明するが、両方の照明源で同時に基体を照明することも可能である。例では単一の瞬間に1つだけの光源で基体を照明するが、少なくとも2つの光源で同時に基体を照明することも可能である。
【0057】
例では、光学センサは第1と第2の照明源を具備する。一方、要すれば、第1と第2の両方の照明源に対して例えばゼロ以外の角度をなす、第3やそれ以上の照明源も追加することができる。
【0058】
例ではコードは2進コードを持つ。3進やその他の多レベルコード、色のコード、長さのコードなど他の形式のコードの使用も可能である。
【0059】
こうした全ての変形は本発明の範囲内と見做される。一方、その他の変態、変形、代案もまた可能である。明細書と図面とはしたがって制限の意味ではなく説明のためと見做される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1a】本発明による光学センサの第1の実施形態の略図である。
【図1b】図1aの光学センサの時間的機能の略図である。
【図2a】本発明による光学センサの第2の実施形態の略図である。
【図2b】図2aの光学センサの時間的機能の略図である。
【図3】本発明による光学センサの第3の実施形態の略図である。
【図4】本発明による光学センサの第4の実施形態の略図である。
【符号の説明】
【0061】
1 光学センサ
2 基体
4 基体移動手段
6 光学検知器
8 基体表面
10 光電変換器
11 開口
12 画像形成用光学装置
14 コード解析器
16 外部装置
18 第1の照明源
20 光束結合器
22 第2の照明源
26 制御ユニット
28 コードの第1領域
30 コードの第2領域
32 バーコード
P 平面
MD 移動方向
OA 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に自身に対して移動する基体上のコードを検知する光学センサにおいて、
使用時に光軸に沿って基体を観察し、基体の反射特性の値を連続的または反復的に判定する光学検知器と、
判定された反射特性の値の時間的変動を基に検知されたコードを判定するコード解析器と、
光学検知器の光軸に沿って基体を照明する第1の照明源と、
光軸に対してゼロ以外の角度をなす方向で基体を照明する第2の照明源と、
第1の照明源を入れて第2の照明源を消す第1の作動モードと、第1の照明源を消して第2の照明源を入れる第2の作動モードとを有する制御ユニットと、を具備することを特徴とする光学センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の光学センサにおいて、光軸は基体にほぼ垂直に配されることを特徴とする光学センサ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学センサにおいて、第1の照明源からの光束を光学検知器の光路に結合する光束結合器を具備することを特徴とする光学センサ。
【請求項4】
先行請求項のいずれか1項に記載の光学センサにおいて、第1の照明源は白の光を発するように構成されることを特徴とする光学センサ。
【請求項5】
先行請求項のいずれか1項に記載の光学センサにおいて、第1及び/または第2の照明源は複数の光源を含むことを特徴とする光学センサ。
【請求項6】
請求項5に記載の光学センサにおいて、複数の光源のうち少なくとも2つの光源は、互いに異なる色の光を発するように構成されることを特徴とする光学センサ。
【請求項7】
請求項6に記載の光学センサにおいて、複数の光源は、赤の光を発する赤の光源と、緑の光を発する緑の光源と、青の光を発する青の光源とを含むことを特徴とする光学センサ。
【請求項8】
先行請求項のいずれか1項に記載の光学センサにおいて、第1及び/または第2の照明源は発光ダイオードを含むことを特徴とする光学センサ。
【請求項9】
先行請求項のいずれか1項に記載の光学センサにおいて、光学検知器は光電変換器を有することを特徴とする光学センサ。
【請求項10】
請求項9に記載の光学センサにおいて、光電変換器は特異なフォトダイオードであることを特徴とする光学センサ。
【請求項11】
請求項9に記載の光学センサにおいて、光電変換器は複数の光電池を含まないことを特徴とする光学センサ。
【請求項12】
請求項9乃至11のいずれか1項に記載の光学センサにおいて、光学検知器は、基体を光電変換器に映し出す画像形成用光学装置を有することを特徴とする光学センサ。
【請求項13】
請求項12に記載の光学センサにおいて、画像形成用光学装置はレンズを有することを特徴とする光学センサ。
【請求項14】
先行請求項のいずれか1項に記載の光学センサにおいて、制御ユニットは第1の作動モードから第2の作動モードへ周期的に変化するように構成されることを特徴とする光学センサ。
【請求項15】
先行請求項のいずれか1項に記載の光学センサにおいて、制御ユニットは、第1と第2の照明源を消す第3の作動モードを有することを特徴とする光学センサ。
【請求項16】
請求項15に記載の光学センサにおいて、制御ユニットは周期的に第1、第2、第3の作動モード下にあるように構成されることを特徴とする光学センサ。
【請求項17】
請求項6に記載の光学センサにおいて、制御ユニットは第1及び/または第2の作動モード下で、少なくとも2つの互いに異なる色の光源を動作状態とするようになっていることを特徴とする光学センサ。
【請求項18】
請求項12または13に記載の光学センサにおいて、光学センサにはさらに、光電変換器に隣設されかつ画像形成用光学装置により基体に映し出されるようになっている少なくとも1つの整列用光源が設けられることを特徴とする光学センサ。
【請求項19】
先行請求項のいずれか1項に記載の光学センサにおいて、コード解析器は、検知された反射特性を基にコードの始まりを判定するようになっていることを特徴とする光学センサ。
【請求項20】
請求項19に記載の光学センサにおいて、光学センサにはさらに、使用時に光学検知器から見て基体の背後に位置する基準面が設けられることを特徴とする光学センサ。
【請求項21】
使用時に光学センサに対して移動する基体上のコードを検知する方法において、
光学検知器の光軸に沿って基体の反射特性の値を連続的または反復的に判定するステップと、
判定された反射特性の値の時間的変動を基に検知されたコードを判定するステップと、
第1の照明源で基体を光軸に沿って照明するステップと、
第2の照明源で基体を光軸に対してゼロ以外の角度をなす方向で照明するステップと、
第1の作動モードとして第1の照明源を入れて第2の照明源を消すステップと、
第2の作動モードとして第1の照明源を入れて第2の照明源を消すステップとを有することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法において、光軸は基体にほぼ垂直に配されることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、第1の照明源は白の光を発するように装置されることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項21乃至23のいずれか1項に記載の方法において、第1及び/または第2の照明源を使って、赤、緑、青の光などの互いに異なる色の光を発射するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項21乃至24のいずれか1項に記載の方法において、基体を光電変換器に映し出すステップを有することを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項21乃至25のいずれか1項に記載の方法において、第1の作動モードから第2の作動モードへ周期的に切り換えるステップを有することを特徴とする方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−171422(P2008−171422A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−40(P2008−40)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】