説明

基地局及び発呼受付方法

【課題】発呼受付にかかる処理負荷を低減し処理時間を短縮する。
【解決手段】一実施形態による発呼受付方法は、第1のレイヤを介してユーザ端末から受け付けた発呼受付に応じて論理リソースを払い出す第2のレイヤが、払い出し可能な論理リソースを第1のレイヤに通知する段階と、第1のレイヤが、ユーザ端末からの発呼受付に応じて、第2のレイヤから払い出された払い出し可能な論理リソースを払い出す段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体通信ネットワークに関し、特に基地局及びその発呼受付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信ネットワークでは、基地局は、ユーザ端末が発した呼設定要求を受け付け、それに対して論理リソース番号を払い出し、払い出した論理リソース番号をユーザ端末に通知する。
【0003】
図1は、従来の発呼受付方法10を示すフロー図である。図1において、ユーザ端末(UE)が発した発呼受付(呼設定)要求信号は、発呼受付信号として基地局(eNodeB)の下位のプラットフォーム(PF)レイヤにより受け付けられ、そのまま上位のアプリケーション(AP)レイヤに送られる。アプリケーション(AP)レイヤは、発呼受付要求ごとに払い出す論理リソースを管理している。プラットフォーム(PF)レイヤから発呼受付信号を受信すると、アプリケーション(AP)レイヤはそれに対して払い出す論理リソース番号を決定して、発呼受付応答信号としてプラットフォーム(PF)レイヤを介してユーザ端末(UE)に通知する。
【0004】
ここで、プラットフォームレイヤとは、受信信号を解析して各機能部に振り分け、基地局全体の制御し、ユーザ端末の監視制御を行うレイヤである。一方、アプリケーションレイヤは、呼処理を行い、それに係わる論理リソースを管理するレイヤである。
【0005】
図1に示すとおり、ユーザ端末(UE)から短期間に多数の発呼受付信号(11)を受信した場合、PFレイヤはその多数の発呼受付信号(11)をAPレイヤに送り、APレイヤはその多数の発呼受付信号(11)に対して論理リソース番号の払い出し処理を行い(12)、PFレイヤを介してユーザ端末(UE)に発呼受付応答(13)を返す。
【0006】
APレイヤが輻輳状態であると判断した場合(14)、APレイヤは、その後、ユーザ端末(UE)からPFレイヤを介して受信する発呼受付信号を破棄する(15、16)ことにより輻輳制御を行う。PFレイヤは、輻輳状態であるかないかに係わらず、ユーザ端末(UE)からの呼設定要求はすべて受け付け、APレイヤに送る。
【0007】
図2は、従来の基地局20を示すブロック図である。基地局20は、図1のアプリケーション(AP)レイヤに対応するアプリケーション(AP)機能部21と、プラットフォーム(PF)レイヤに対応するプラットフォーム(PF)機能部22とを有する。
【0008】
AP機能部21は、PF機能部22から受けた呼を処理する呼処理制御部211と、呼処理制御部211に論理リソース番号を通知する論理リソース処理部212と、論理リソース番号を管理して状態更新を行う論理リソース管理部213とを有する。
【0009】
また、PF機能部22は、ユーザ端末(UE)から受信した信号を解析する信号解析部221と、信号解析部221から出力された呼処理信号を受け付ける呼設定受付部222とを有する。PF機能部22はさらに、基地局20の構成要素全体を制御する装置制御部223と、信号解析部221から出力された保守監視信号に基づき監視制御する監視制御部224とを有する。
【0010】
なお、移動体通信ネットワークにおける輻輳の判断について、交換機の呼処理プロセッサが輻輳か否かを判断する技術が知られている。
【特許文献1】特開平1−318343
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の通り、従来の基地局においては、PFレイヤはユーザ端末から受信した呼設定要求信号をすべてAPレイヤに送り、APレイヤが論理リソースを管理して発呼受付(呼設定)要求ごとに論理リソースを払い出している。APレイヤで輻輳が発生していても、PFレイヤはユーザ端末から呼設定要求信号を受け付けると、それをAPレイヤに送ってしまっていた。これにより基地局の信号処理能力が費やされ、基地局全体としてのサービス品質の低下をきたしていた。特に、短時間に多数の発呼受付をした場合に、基地局内におけるPFレイヤとAPレイヤの間の信号の送受信に大きな処理能力が費やされ、これが他の機能にも影響を与えることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施形態による発呼受付方法は、第1のレイヤを介してユーザ端末から受け付けた発呼受付に応じて論理リソースを払い出す第2のレイヤが、払い出し可能な論理リソースを前記第1のレイヤに払い出す段階と、前記第1のレイヤが、ユーザ端末からの発呼受付に応じて、前記第2のレイヤから払い出された払い出し可能な論理リソースが残っているか判断し、残っていればその論理リソースを払い出す段階とを含む。
【0013】
上記方法において、前記第1のレイヤが、前記第2のレイヤから払い出された払い出し可能論理リソースが残っているか判断し、残っていなければ、前記ユーザ端末に輻輳状態を通知する段階をさらに含んでもよい。
【0014】
また、他の実施形態による基地局は、ユーザ端末からの呼設定要求を受け付ける第1の機能部と、前記第1の機能部からの発呼受付に応じて論理リソースを払い出す第2の機能部とを有し、前記第2の機能部は、払い出し可能な論理リソースを前記第1の機能部に払い出す払い出し可能論理リソース処理部を有し、前記第1の機能部は、前記払い出し可能論理リソース処理部から払い出された論理リソースを管理する払い出し可能論理リソース管理部と、前記ユーザ端末からの発呼受付に応じて、前記払い出し可能な論理リソースが残っているか判断し、残っていればその論理リソースを払い出す論理リソース処理部とを有する。
【発明の効果】
【0015】
発呼受付にかかる処理負荷を低減するとともに、処理時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。図面を通して同一または対応する構成要素には同じ参照記号を付した。
【0017】
本実施形態は、LTE(Long Term Evolution)の無線基地局装置(以下、eNodeB)における呼設定シーケンスにおいて、短時間に多数の発呼受付要求が発生した場合でも、基地局(eNodeB)が輻輳すなわち過負荷状態に陥らないように論理リソースの払い出しをする発呼受付方法である。本実施形態は、eNodeBの無線基地局装置による発呼受付方法であるが、他の実施形態では、第3世代、第4世代、その他の無線基地局装置であってもよい。
【0018】
図3は、一実施形態による発呼受付方法300を示すフロー図である。このフロー図は、ユーザ端末(UE)と、基地局(eNodeB)のプラットフォーム(PF)レイヤと、同じ基地局(eNodeB)のアプリケーション(AP)レイヤの動作を示している。本実施形態では、様々なステップを一定の順序で生起するものとして説明するが、他の実施形態ではこれらのステップが本実施形態とは異なる順序で生起してもよい。また、これらのステップの一部が省略されてもよいし、他のステップが追加されてもよい。
【0019】
本実施形態の発呼受付方法300において、APレイヤは、装置の運用開始時に、払い出し可能な論理リソース数(m)と論理リソース番号とを、PFレイヤに通知する(ステップS301)。
【0020】
APレイヤは、例えば、図4Aに示す論理リソース払い出し管理テーブル40をデータベースとして用いて、論理リソース番号とその論理リソースの状態とを対応付けて管理している。図4Aに示した管理テーブル40は、論理リソース番号1〜mがPFレイヤに「払い出し許可」したものであり、論理リソース番号m+1〜nが「未払い出し」であることを示している。ここで、m≦nである。このように、APレイヤは管理している論理リソースの一部または全部をPFレイヤに払い出し許可することができる。
【0021】
図3に戻り、PFレイヤは、APレイヤから通知されたこれらのリソース情報により、PFレイヤの論理リソース払い出し管理テーブルを更新する(ステップS303)。
【0022】
PFレイヤは、例えば、図4Bに示す論理リソース払い出し管理テーブル45をデータベースとして用いて、論理リソース番号とその論理リソースの状態とを対応付けて管理している。図4Bに示した管理テーブル45は、論理リソース1〜kがユーザ端末(UE)に「払い出し済み」であり、論理リソースk+1〜mが「未払い出し(空き)」であることを示している。ここで、k≦mである。
【0023】
再び図3に戻り、PFレイヤは、ユーザ端末(UE)から発呼受付要求を受信すると(ステップS305)、PFレイヤの論理リソース払い出し管理テーブル45を調べ、払い出し可能な(すなわち払い出しを許可する)論理リソースの有無を判断する(ステップS307)。
【0024】
ステップS307において、払い出し可能な論理リソースが残っていなければ(No)、輻輳により論理リソースを払い出すことができない旨を発呼受付応答としてユーザ端末(UE)に返す(ステップS309)。すなわち、基地局(eNodeB)が一時的に過負荷状態であり、PFレイヤで管理している払い出し可能な論理リソースがなくなった場合は、PFレイヤに対してAPレイヤから新たな論理リソース数と論理リソース番号が払い出されるまで、PFレイヤはユーザ端末(UE)からの新たな発呼受付要求に応じない。その後、APレイヤにおける輻輳状態が解消され、PFレイヤに対してAPレイヤから新たに払い出し可能な論理リソース数と論理リソース番号が通知(ステップS327)されることで、PFレイヤはユーザ端末(UE)からの新たな発呼受付要求を受け付けることができるようになる。
【0025】
ステップS307において、払い出し可能な論理リソースが残っていると判断した場合(Yes)、払い出す論理リソース番号(C−RNTI)を決定し(ステップS311)、払い出す論理リソース番号(C−RNTI=x)を発呼受付応答としてユーザ端末(UE)に返す(ステップS313)。PFレイヤは、論理リソース払い出し管理テーブル45(図4B参照)で管理している払い出し可能論理リソース数とリソース番号を更新する(ステップS315)。
【0026】
PFレイヤにより払い出された論理リソース番号(C−RNTI=x)は、ユーザ端末(UE)が呼設定要求を送信すると(ステップS317)、PFレイヤを介して、APレイヤに通知される(ステップS319)。
【0027】
APレイヤは、この呼設定要求によりPFレイヤが論理リソースを払い出したことを認識し、新たに払い出し可能な論理リソースがあるか判断する(ステップS321)。
【0028】
ステップS321で払い出し可能な論理リソースがなく、輻輳状態であると判断すると(No)、APレイヤはユーザ端末(UE)から次の呼設定開始要求を受信するまで、論理リソースの払い出しに関しては何もしない。
【0029】
ステップS321で払い出し可能な論理リソースがあると判断すると(Yes)、APレイヤは、払い出し可能な論理リソース数を算出し(ステップS325)、新たに払い出し可能な論理リソース数と論理リソース番号をPFレイヤに通知する(ステップS327)。これにより、PFレイヤの払い出し可能論理リソースを動的に更新することができる。
【0030】
PFレイヤは、新たに払い出し可能な論理リソース数と論理リソース番号の通知を受けると、論理リソース払い出し管理テーブル45(図4B参照)を更新する(ステップS329)。
【0031】
このように、APレイヤは、輻輳状態を起こさずに一定時間内に同時に処理できる呼数分の論理リソース数と論理リソース番号を予めPFレイヤに通知し、PFレイヤが発呼受付時に、その論理リソース数の呼数分だけ発呼受付処理を実施し、APレイヤには発呼受付要求を送らないことで、輻輳制御を行う。呼設定毎に払い出す論理リソースの管理の一部をPFレイヤが管理することで、APレイヤにおける輻輳や基地局装置(eNodeB)全体の信号処理量の上昇による処理遅延やサービスへの影響を発生させることなく、安定した運用を可能とする。
【0032】
なお、上記実施形態では、ユーザ端末(UE)からの呼設定開始要求(ステップS317、319)に応じて、APレイヤがさらにPFレイヤに払い出し可能な論理リソースがあるか判断した(ステップS321)。他の実施形態では、PFレイヤが払い出し可能論理リソースが無いと判断したとき(ステップS307でNo)、PFレイヤがその旨APレイヤに通知し、APレイヤがその時点でPFレイヤに払い出し可能な論理リソースがあるか判断してもよい。
【0033】
また、呼開放シーケンスの発生に応じて、APレイヤは開放された論理リソースの論理リソース払い出し管理テーブルの状態(図4A参照)を「払い出し許可」から「未払い出し」に更新し、再びAPレイヤが管理する論理リソースとして管理することができる。一方、PFレイヤは、開放された論理リソースをそのまま「払い出し済み」として管理し、再びAPレイヤから払い出し可能論理リソースとして通知された時に、「空き」に更新する。これにより、PFレイヤは、開放された論理リソースをユーザ端末(UE)に再び払い出すことができる。
【0034】
図5は、図3に示した発呼受付方法の変形例を示すフロー図である。図5に示した発呼受付方法500は、S301からS329までは図3に示した発呼受付方法300と同じであるが、払い出し可能論理リソースがあるか判断(ステップS321)するタイミングが異なる。具体的には、発呼受付方法300では、ユーザ端末(UE)からの呼設定開始要求の受信に応じて払い出し可能論理リソースがあるか判断(ステップS321)していた。発呼受付方法500では、APレイヤは、払い出し可能論理リソース数と論理リソース番号をPFレイヤに通知すると(ステップS301)、周期タイマーをスタートさせ(ステップS501)、その周期タイマーのタイムアウト通知の受信(ステップS503)に応じて払い出し可能論理リソースがあるか判断する(ステップS321)。
【0035】
これにより、APレイヤは、ユーザ端末(UE)からの呼設定開始要求の受信にかかわらず、一定周期で払い出し可能論理リソースがあるか判断することができる。
【0036】
図6は、図3に示した発呼受付方法の変形例を示すフロー図である。図6に示した発呼受付方法600は、S301からS329までは図3に示した発呼受付方法300と同じである。しかし、発呼受付方法600では、APレイヤは、ユーザ端末(UE)から呼設定開始要求を受信すると(ステップS317、S319)、その呼設定開始要求に伴うリソース番号(C−RNTI=x)を取得し、APレイヤの論理リソース払い出し管理テーブル40(図4A参照)のその論理リソース番号の状態を「使用中」に変更する(ステップS601)。つまり、図3、図5にそれぞれ示した発呼受付方法300、500では、APレイヤは論理リソースを払い出したか否かしか管理していなかったが、図6に示す発呼受付方法600では、APレイヤも論理リソースが使用中か否かを管理する。そして、呼開放シーケンスが発生して論理リソースが開放されると(ステップS603)、APレイヤは払い出し可能な論理リソースの有無を判断する(ステップS321)。
【0037】
このように、APレイヤは、PFレイヤとは別に、論理リソースが使用中か否かを管理することにより、呼開放シーケンスが発生したときに、使用中であった論理リソースが払い出し可能になったことを認識し、払い出し可能論理リソースの有無を判断することができる。これにより、発呼受付方法がよりいっそう動的かつ効率的になる。
【0038】
図7は、一実施形態による基地局70を示すブロック図である。図7に示した基地局(eNodeB)70は、図3、図5、図6を参照して説明した発呼受付方法を実施できる基地局であり、図3、図5、図6に示したアプリケーション(AP)レイヤに対応するアプリケーション(AP)機能部71と、プラットフォーム(PF)レイヤに対応するプラットフォーム(PF)機能部72とを有する。
【0039】
AP機能部71は、PF機能部72から受信した発呼受付要求、呼設定開始要求を処理するとともに、PF機能部72に発呼受付応答を送信する呼処理制御部211と、呼処理制御部211との間で論理リソース番号を通知する論理リソース処理部212と、論理リソースを管理して状態更新を行う論理リソース管理部213とを有する。
【0040】
AP機能部71はさらに、払い出し可能論理リソース処理部711を有する。この払い出し可能論理リソース処理部711は、論理リソース管理部213が管理しているAPレイヤの論理リソース払い出し管理テーブル40(図4A参照、図7には示さず)を参照し、PF機能部72に払い出し可能論理リソース数とリソース番号を通知することができる。
【0041】
PF機能部72は、信号解析部221と、呼設定受付部222と、装置制御部223と、監視制御部224とを有する。信号解析部221は、ユーザ端末(UE)から受信した信号を解析して、その信号が関連する構成要素に送る。具体的には、ユーザ端末から受信した信号が呼処理信号である場合、その呼処理信号を処理する呼設定受付部222に送る。また、信号が装置制御信号である場合、その装置制御信号を処理して基地局(eNodeB)70全体を制御する装置制御部223に送る。また、信号が保守監視信号である場合、その保守監視信号に基づき監視制御する監視制御部224に送る。
【0042】
PF機能部72はさらに、AP機能部71の払い出し可能論理リソース処理部711から通知された払い出し可能論理リソース数とリソース番号を、PFレイヤの論理リソース払い出し管理テーブル45(図4B参照、図7には示さず)を用いて管理する払い出し可能論理リソース管理部721を有する。
【0043】
PF機能部72はさらに、呼設定受付時に、払い出し可能論理リソース管理部721が管理する払い出し可能論理リソース番号を参照して、払い出し可能論理リソースがあるか否か判断し、あれば払い出す論理リソース番号を決定して呼設定受付部222に通知する論理リソース処理部722を有する。
【0044】
以上説明したように、従来は発呼受付要求を受信するたびに上位層であるAPレイヤにおいて輻輳状態を判断し、輻輳状態であれば発呼受付要求を破棄していたため、下位層であるPFレイヤでは、輻輳状態であるにもかかわらず呼設定シーケンス処理をし続けていた。このため、基地局の処理能力が無駄に使用され、基地局装置全体のサービスを低下させていた。
【0045】
本実施形態では、下位層であるPFレイヤにおいて論理リソースの払い出しを制御して、受け付ける発呼数をAPレイヤで同時処理が可能な呼数に制限できるため、輻輳状態を発生させることなく、また、基地局の処理能力を無駄にして処理遅延などを発生させることがなく、基地局装置全体としてのサービスを低下させることなく、安定した運用が可能となる。
【0046】
同時に、従来はAPレイヤにおいて発呼受付ごとに論理リソース番号の払い出しを行っていた為、呼設定シーケンスにおいて、ユーザ端末(UE)への論理リソース番号の通知に時間がかかっていた。しかし、本実施形態では、ユーザ端末(UE)に対してPFレイヤが論理リソースを払い出すことで、呼設定シーケンスにかかる時間を短縮でき、合わせて無線リソースの有効利用できるとの効果も期待できる。
【0047】
なお、上記の通り、本発明における輻輳制御方式は、LTE(Long Term Evolution)に準拠した無線基地局装置のみではなく、W−CDMAやCDMA2000に準拠した無線基地局や、第4世代の無線基地局等における一時的な過負荷による輻輳制御にも適用が可能である。
【0048】
また、図3、図5、図6にそれぞれ示した発呼受付方法を、無線基地局装置に設けたマイクロプロセッサ、コントローラ、コンピュータ等により実行できることは当業者には明らかである。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【0050】
なお、上記の実施形態について、以下の付記を記す。
(付記1)
受信信号を解析して振り分ける第1のレイヤを介してユーザ端末から受け付けた発呼受付に応じて、呼処理を行う第2のレイヤが、払い出し可能な論理リソースを前記第1のレイヤに通知する段階と、
前記第1のレイヤが、ユーザ端末からの発呼受付に応じて、前記第2のレイヤから通知された払い出し可能な論理リソースを払い出す段階とを含む発呼受付方法。
(付記2)
前記第1のレイヤが、前記第2のレイヤから通知された払い出し可能論理リソースが残っているか判断し、残っていなければ、前記ユーザ端末に輻輳状態を通知する段階をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記3)
前記第1のレイヤが、ユーザ端末からの発呼受付に応じて、前記第2のレイヤから通知された払い出し可能な論理リソースを払い出したとき、前記第2のレイヤから通知された払い出し可能な論理リソースを管理する第1のデータベースを更新する段階をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記4)
前記第2のレイヤが、すでに払い出した論理リソース以外に払い出し可能な論理リソースがあるか判断する段階と、
払い出し可能な論理リソースがあれば、それを前記第1のレイヤに通知する段階とを含む、付記1に記載の方法。
(付記5)
前記第2のレイヤが、払い出し可能な論理リソースを前記第1のレイヤに通知してから、ユーザ端末からの呼設定開始要求の受信に応じて、すでに払い出した論理リソース以外に払い出し可能な論理リソースがあるか判断する、付記4に記載の方法。
(付記6)
前記第2のレイヤが、払い出し可能な論理リソースを前記第1のレイヤに払い出して所定時間が経過してから、すでに通知した論理リソース以外に払い出し可能な論理リソースがあるか判断する、付記4に記載の方法。
(付記7)
前記第2のレイヤが、前記ユーザ端末からの呼設定開始要求に応じて、前記第1のレイヤに通知した払い出し可能な論理リソースを管理する第2のデータベースを更新する段階をさらに含む、付記1に記載の方法。
(付記8)
前記第2のレイヤが、払い出し可能な論理リソースを前記第1のレイヤに通知してから呼開放シーケンスが発生し、払い出し可能な論理リソースがあるか判断する、付記4に記載の方法。
(付記9)
ユーザ端末からの受信信号を解析して振り分ける第1の機能処理部と、前記第1の機能処理部からの発呼受付に応じて論理リソースを払い出す、呼処理を行う第2の機能処理部とを有し、
前記第2の機能処理部は、払い出し可能な論理リソースを前記第1の機能処理部に通知する払い出し可能論理リソース処理部を有し、
前記第1の機能処理部は、前記払い出し可能論理リソース処理部から通知された論理リソースを管理する払い出し可能論理リソース管理部と、前記ユーザ端末からの発呼受付に応じて、前記払い出し可能な論理リソースが残っているか判断し、残っていればその論理リソースを払い出す論理リソース処理部とを有する基地局。
(付記10)
前記論理リソース処理部は、前記払い出し可能論理リソース管理部が管理する、前記払い出し可能論理リソース処理部から通知された払い出し可能論理リソースが残っているか判断し、残っていなければ、前記ユーザ端末に輻輳状態を通知する、付記9に記載の基地局。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来の発呼受付方法を示すフロー図である。
【図2】従来の基地局を示すブロック図である。
【図3】一実施形態による発呼受付方法を示すフロー図である。
【図4A】APレイヤの論理リソース払い出し管理テーブルを示す図である。
【図4B】PFレイヤの論理リソース払い出し管理テーブルを示す図である。
【図5】図3に示した発呼受付方法の変形例を示すフロー図である。
【図6】図3に示した発呼受付方法の他の変形例を示すフロー図である。
【図7】一実施形態による基地局を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0052】
70 基地局
71 AP機能部
72 PF機能部
211 呼処理制御部
212 論理リソース処理部
213 論理リソース管理部
221 信号解析部
222 呼設定受付部
223 装置制御部
224 監視制御部
711 払い出し可能論理リソース処理部
721 払い出し可能論理リソース管理部
722 論理リソース処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信信号を解析して振り分ける第1のレイヤを介してユーザ端末から受け付けた発呼受付に応じて、呼処理を行う第2のレイヤが、払い出し可能な論理リソースを前記第1のレイヤに通知する段階と、
前記第1のレイヤが、ユーザ端末からの発呼受付に応じて、前記第2のレイヤから通知された払い出し可能な論理リソースを払い出す段階とを含む発呼受付方法。
【請求項2】
前記第1のレイヤが、前記第2のレイヤから通知された払い出し可能論理リソースが残っているか判断し、残っていなければ、前記ユーザ端末に輻輳状態を通知する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2のレイヤが、すでに払い出した論理リソース以外に払い出し可能な論理リソースがあるか判断する段階と、
払い出し可能な論理リソースがあれば、それを前記第1のレイヤに通知する段階とを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ユーザ端末からの受信信号を解析して振り分ける第1の機能処理部と、前記第1の機能処理部からの発呼受付に応じて論理リソースを払い出す、呼処理を行う第2の機能処理部とを有し、
前記第2の機能処理部は、払い出し可能な論理リソースを前記第1の機能処理部に通知する払い出し可能論理リソース処理部を有し、
前記第1の機能処理部は、前記払い出し可能論理リソース処理部から通知された論理リソースを管理する払い出し可能論理リソース管理部と、前記ユーザ端末からの発呼受付に応じて、前記払い出し可能な論理リソースを払い出す論理リソース処理部とを有する基地局。
【請求項5】
前記論理リソース処理部は、前記払い出し可能論理リソース管理部が管理する、前記払い出し可能論理リソース処理部から通知された払い出し可能論理リソースが残っているか判断し、残っていなければ、前記ユーザ端末に輻輳状態を通知する、請求項4に記載の基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−81076(P2010−81076A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244617(P2008−244617)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】