基本インパルスのパイルアップを含んだ信号の測定と処理
本発明は、持続時間DとエネルギーEからなるメインインパルスの連鎖を含んだ信号の処理を含む測定方法を提案するものであり、該メインインパルスが時間的に互いに間隔を開けられ、それぞれが、持続時間Diと、エネルギーが加算性の特性を有している変数Eiによって評価される基本インパルスのパイルアップで構成され得るものであり、前記基本インパルスが強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有している測定方法であって、前記信号をディジタル化することからなる過程と、各メインインパルスそれぞれの持続時間DとエネルギーEを測定することで持続時間−エネルギーのペア(D、E)を作成するようにすることからなる過程と、作成されたペア(D、E)から基本インパルスのエネルギーのペア(Di、Ei)を判定することからなる過程と、判定されたペア(Di、Ei)から、各基本インパルスそれぞれのエネルギーEiを演繹することからなる過程を含んでいることを特徴とする測定方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、複数のメインインパルスを含んだ信号を分析することに関するものであり、該メインインパルスはそれぞれが識別しようとしている未知の基本インパルスのパイルアップで構成され得るものである。
【0002】
より特定的には、本発明は、持続時間DとエネルギーEからなるメインインパルスの連鎖を含んだ信号の処理を含む測定方法に関するものであり、該メインインパルスは時間的に互いに間隔を開けられ、それぞれが持続時間Diで、エネルギーが数学用語での加算性の特性を有する変数Eiによって評価される基本インパルスのパイルアップで構成され得るものであり、前記基本インパルスは、強度λ(原語は、intensite 。日本では、「平均」と呼称することが多い、ポワソン分布のパラメータ。以下同様)の均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有している。
【背景技術】
【0003】
一般的に、このような信号は流束、特に光子束を表すことができる。
【0004】
既に、このタイプの測定方法は、とりわけガンマ線スペクトロメトリーの領域で知られている。
【0005】
ガンマ線スペクトロメトリーは、一方では、ガンマ光子の放出源に含まれる放射性核種を特徴づけることを目的としており、他方では、この放出源の活性(該活性は典型的には、壊変毎秒の数値またはベクレルと呼ばれる既知の単位によって定義される)を測定することを目的としていることを確認しておく。
【0006】
このような処理を実施することのできる装置の例が、図1に示されている。
【0007】
電源2を備えた検出器1は、光子信号3を電気信号4に変換する。
【0008】
次に、この電気信号は、前置増幅器5によって処理されるのだが、該前置増幅器によって信号対雑音比を高めることが可能になっている。
【0009】
次に、取得用の電子回路ユニット7の少なくとも一つの入力に適した信号を提示するために増幅器6が用いられる。
【0010】
このような電子回路ユニットは、典型的にはアナログ−ディジタル変換器で構成される。
【0011】
この電子回路ユニットの出力で、そのようにしてディジタル化された信号が処理用ユニット8に供給され、該処理用ユニットにおいて、特定の操作が実施される。
【0012】
例えば、処理用ユニット8は、とりわけ、信号のディジタル・フィルタを実施するのに適した電子回路を含むことができる。
【0013】
最後に、視覚化システム9によって、利用者がガンマ線放出源の構成を分析するのを助けて、前記の取得の流れが完了する。
【0014】
図2は、典型的には、このような視覚化システムで観察できるものを示している。
【0015】
この図2では、それぞれがエネルギーを数量化した値を示しているさまざまなスペクトル線を見ることができる(例えばスペクトル線10)。
【0016】
これらのスペクトル線の集合が、特定のガンマ線を放出する放射性核種を特徴づけている(たとえば、セシウム137は662keVの単エネルギーのスペクトル線を有しており、また、コバルト60は1173MeVと1333MeVの二つの単エネルギーのスペクトル線を有している)。
【0017】
しかし、このようなスペクトロメトリー装置を用いた放射性核種の識別、より一般的にはガンマ線放出源の識別は、いくつかの問題を呈することがある。
【0018】
とりわけ、放射性核種に関連する理想的なスペクトル線のスペクトルを劣化させうる三つのタイプの擾乱が知られているのだが、該タイプとは、
−コンプトン効果と、
−理想的な信号に測定ノイズが加わることと、
−それぞれが光子を表すインパルスの潜在的なパイルアップである。
【0019】
コンプトン効果と測定ノイズ
光子が検出器との相互作用に入ると、電気インパルスが生じ、そして該電気インパルスは先に図1で説明したように増幅される。
【0020】
このような検出器で生成された経時信号11の例は、図3に示されている。
【0021】
この経時信号が、異なった振幅と持続時間の電気インパルスの連続で構成され、各インパルスそれぞれが理想的には唯一の光子と検出器の相互作用に対応していることを観察することができる。
【0022】
このような経時信号11によって検出された光子のエネルギーの測定が可能になるのだが、それは、電気インパルスのスペクトル面(たとえばインパルス12のスペクトル面13)が、対象となるインパルスに関連した光子のエネルギーに比例するからである。
【0023】
したがって、さまざまな電気インパルスの経時信号11から、観察されている光子源のエネルギーのスペクトル線の集合を演繹的に導くことができる。
【0024】
しかし、二つの現象によってこの測定原理は擾乱を受ける。
【0025】
第一には、コンプトン効果(この効果は当業者には既知である)のために、光子エネルギーの一部だけが検出器にかけられることがあるのである。
【0026】
よって、このような効果を受けた光子のスペクトロメトリー分析では、実際に観察されるはずのエネルギーより低いエネルギーのスペクトル線が生じる。
【0027】
第二に、光子のエネルギーの全体がかけられた場合であっても、前記光子と検出器の間における相互作用と、測定電子機器によってもたらされるノイズが本質的にランダムであるという性質のため、創出された電気インパルスのスペクトル面は前記エネルギーに対してほぼ比例に近いというにすぎない。
【0028】
図4、5は、とりわけ、この二つの擾乱現象を示している。
【0029】
図4は、本質的に単エネルギーを備えた光子を放出する光子源に由来する信号のエネルギー分布を示しており、該単一のエネルギーはピーク14に対応している。
【0030】
ここでは、検出器から出た信号が単エネルギー性の単一のスペクトル線による理想的な形状では現れず、ピーク14のエネルギーより小さいエネルギーで、コンプトン効果に起因する、重要な連続した低い部分16も呈していることが確認できる。
【0031】
図5は、図2の場合に該当するような、複数のエネルギーを有する光子を放出するガンマ線光子源の検出に由来する信号のエネルギー分布を示している。
【0032】
ここでもまた、とりわけコンプトン効果と測定ノイズによって誘発された二つの現象に由来する、ノイズの上限の存在が確認できる。
【0033】
このノイズの上限は、エネルギーが横座標上で高まるにつれ、顕著に低下している。
【0034】
この図5からは、分析されたガンマ線源に存在する放射性核種の識別がここでは同様に難しいことが明らかであり、測定されたスペクトルが理想的に得られるはずのスペクトルとはかけ離れた形状を有している。
【0035】
インパルスのパイルアップ
ガンマ線源をスペクトロメトリーで分析するときのもう一つの擾乱の原因は、時間インパルスのパイルアップの問題に関わる。
【0036】
唯一の光子が検出器と相互作用に入ると、生成されるインパルスは短い持続時間ではあるが、ゼロではない。
【0037】
たとえば、高速の検出器の場合、この持続時間はマイクロ秒をちょうど下回る。
【0038】
二つの光子が近接した瞬間に放出されるとき、遅速の検出器によって生成されたそれぞれのインパルスが部分的に、さらには全体的に重なることも起こりうる。
【0039】
この現象は、とりわけ、タイプ2のカウンタタイプの検出器を用いるときに知られている。
【0040】
これらのカウンタでは、別のインパルスが検出中であるのに対し、到着する各インパルスそれぞれが、形成途中のインパルスをさらに延長する効果を有している。
【0041】
この現象の例は、図6に示されている。
【0042】
この図6は、それぞれTn+1およびTn+2という時間に到着し、Un+1とUn+2という持続時間をした二つのインパルス15、15’の重複を含んだ時間信号を表している。
【0043】
インパルス15’はインパルス15が終わっていないにも関わらず現れている。
【0044】
検出器は、ここではインパルスの持続時間に対して比較的遅い反応を示しており、二つのインパルスを互いに区別していないことが分かる。
【0045】
実際、該検出器は二つのインパルス15および15’を融合して、持続時間Un1、2のメインインパルス17しか形成しておらず、このことは、唯一の光子が検出器と相互関係に入ったと錯覚させることになる。
【0046】
本明細書の以下の部分では明確さのために、基本インパルスは唯一の光子に結びつけられたインパルス(たとえば基本インパルス15または15’)を指すこととする。
【0047】
そして、メインインパルスは、基本インパルスのパイルアップを含み得るようなインパルスに対応することとする。
【0048】
したがって、パイルアップ現象の第一の帰結は、分析中のガンマ光子源の全体的な活性を過小算定するおそれがある。
【0049】
ここで注意すべきは、光子源の全体的な活性が強く、または、検出器の反応が遅い分だけ、それだけこの現象が強くなることである。
【0050】
本明細書の以下の部分では、「全体的な活性」および「計数率」という用語の定義が同一であると見なすこととする。
【0051】
このような光子のパイルアップの第二の帰結は、厳密な意味でエネルギーの算定に関わる。
【0052】
実際、このような検出器の場合、単一の光子にパイルアップされた光子エネルギーの和が割り当てられるのだが、これは、定義が同一であることからして、メインインパルス17が基本インパルス15および15’のスペクトル面より大きなスペクトル面を有しているからである。
【0053】
一般的には、パイルアップ現象はスペクトルの一部を間違って高いエネルギーに向けて移動させる。
【0054】
例えば、図7と図8ではこのような移動が確認できるわけだが、該図面はそれぞれ、パイルアップ現象が起こっていない、22keVと55keVという二つのメインのスペクトル線を含んだ正規化スペクトルと、パイルアップ現象が存在する、同一のガンマ線源に由来する正規化スペクトルを示している。
【0055】
分析されたガンマ線源は本来、図7で完全に識別されている二つのエネルギーE1およびE2を備えた光子を放出することに注意すべきである。
【0056】
この場合は計数率の低いスペクトロメトリー分析に対応する(たとえば光子源から離れて配置された小さな検出器)。
【0057】
逆に、計数率が高くなるときパイルアップ現象が現れ、エネルギーE1およびE2の線形結合に対応しているエネルギーを備えた寄生スペクトル線が徐々に出現するのが観察される(たとえば、2E1、E1+E2、2 E2、2E1+2E2など。たとえばスペクトル線18および19)。
【0058】
さらに、これらの寄生スペクトル線の出現は、高エネルギー方向へ信号が散逸することから、エネルギーE1とE2に関連する活性のひずみを引き起こす。
【0059】
これらの寄生スペクトル線が観察されるガンマ線源の放射性核種の識別過程を擾乱し、さらには、いくつかのスペクトル線が光子源によって放出されるエネルギーのどれにも対応せず、実際に放出されたスペクトル線の活性が過小評価されるという、結果を誤らせる危険性があることが容易に理解できる。
【0060】
上記に説明した問題全体を抑制し、特にパイルアップに関連する問題を抑制するために多くの解決策が提案されている。
【0061】
たとえば、とりわけ線形フィルタリングの操作を含んだスペクトロメータで実装されている測定方法(非特許文献1参照)が知られている。
【0062】
提案されているフィルタリングの目的は、基本インパルスのパイルアップで形成されているすべてのメインインパルスがノイズの一部をなすという了解の上で、有効な信号に加わった前記ノイズをできる限り除去することである。
【0063】
ある程度の改善が可能にはなるのだが、この測定方法は特化したもので、その利用範囲を制限するという妥協を必要とする。
【0064】
実際、前記信号に存在するノイズの性質のために、提案されているフィルタリングは長時間の操作であればそれだけ効果的になるのだが、これは必然的に、パイルアップ現象が含まれる危険性を高めることになる。
【0065】
結果的に、この測定方法は分析されるガンマ線源の活性に強く依存することになる。
【0066】
この活性が弱ければ、パイルアップの危険性は下がるので、効果的なフィルタリングを実施することができる。
【0067】
逆に、この活性がある閾値を超えるときには、フィルタリングが実施される前記時間を短くし、処理すべき信号におけるパイルアップの数を抑えるようにしなければならないのだが、これは、ノイズ除去の効果を減じ、したがって、最終的に得られるスペクトルの分解能を下げることになる。
【0068】
結果的に、このような測定方法を利用したスペクトロメータは、ガンマ線源の計数率が上がれば、分解能の劣化にさらされることになる。
【0069】
CAMBERRA/EURISYS、ORTECまたはXIAのような、多くの製造者が、パイルアップの問題を克服することのできるディジタル・スペクトロメータも開発している。
【0070】
しかし、インパルスの処理方法は概念的に従来の測定方法に近いままであり、該測定方法はやはり、上記で提示したフィルタリングのような、FIR(Finite Inpulse Responseの頭字語)タイプの、非反復的線形フィルタリングに基づいている。
【0071】
これはとりわけ、製造者XIAの「Digital Gamma Finder」というスペクトロメータに当てはまる。
【0072】
この点について、詳細は、参考文献(特許文献1、2、3、4、5)を参照のこと。
【0073】
パイルアップの問題を部分的に解決することを可能にするその他の測定方法もある。
【0074】
この測定方法は検出された信号の形状分析に基づくもの(特許文献6)または、所定の閾値に対して累積したエネルギーを比較することに基づくもの(特許文献7,8)である。
【0075】
しかし、これらの測定方法は用いられる検出器のタイプに強く依存しており、結局、計数率が高いときにはあまり安定していない。
【0076】
また、特定の検出器(とりわけテルル化カドミウムをベースとする検出器)によってもたらされるひずみを修正することを可能にする最近のもう一つの測定方法(特許文献9)も知られており、該検出器は、スペクトル面が光子によってもたらされるエネルギーに比例するインパルスは生成しないというものである。光子によってもたらされるエネルギーは二つの変数に基づいて算定される。すなわち、一つはスペクトル面であり、もう一つは、前記光子に関連したインパルスの上昇時間である。
【0077】
しかし、上記に挙げたスペクトロメトリーのあらゆる測定方法と同じように、この測定方法は実験結果にのみ基づいている。
【0078】
さらに、これらの測定方法は一般的に、処理された信号から、検出したパイルアップインパルスを除去することで十分とされている。
【0079】
最終的な信号は、パイルアップのないものではあるが、いくつかの基本インパルスおよび該基本インパルスが表す情報が前記除去に伴って消えてしまう。
【0080】
このように、これらの測定方法の不都合は、メインインパルスが表す情報を分析するために、該メインインパルスに含まれたすべての基本インパルスを識別することができないということである。
【非特許文献1】G.F.Knoll『Radiation Detection and Measurement』Wiley、第二版、1989年
【特許文献1】米国特許第5,873,054号明細書
【特許文献2】米国特許第5,774,522号明細書
【特許文献3】米国特許第5,684,850号明細書
【特許文献4】米国特許第5,337,603号明細書
【特許文献5】米国特許第5,206,174号明細書
【特許文献6】米国特許第5,884,234号明細書
【特許文献7】米国特許第5,067,090号明細書
【特許文献8】米国特許第5,349,193号明細書
【特許文献9】米国特許第5,821,538号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0081】
したがって、本発明の目的はこの不都合を克服することである。
【0082】
この目的を達成するため、本発明は、とりわけガンマ放射能の分野において、実験的アプローチではなく、厳正なアプローチに基づいた効果的な識別方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0083】
よって、本発明は持続時間DとエネルギーEからなるメインインパルスの連鎖を含んだ信号の処理を含む測定方法を提案するものであり、該メインインパルスは時間的に互いに間隔を開けられ、それぞれが、持続時間Diと、エネルギーが加算性の特性を有した変数Eiによって評価される基本パルスのパイルアップで構成され得るものであり、前記基本インパルスが、強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有している測定方法であって、
−前記信号をディジタル化して、該信号を表すデータを得られるようにすることからなる過程と、
これらのデータに基づき、
−各メインインパルスそれぞれの持続時間DおよびエネルギーEを測定して、持続時間−エネルギー(D、E)のペアを作成することからなる過程と、
−作成されたペア(D、E)から基本インパルスのエネルギーのペア(Di、Ei)を判定することからなる過程と、
−判定されたペア(Di、Ei)から各基本インパルスそれぞれのエネルギーEiを演繹的に導くことからなる過程を含んでいることを特徴としている。
【0084】
この測定方法の非制限的ないくつかの好ましい特徴は、以下のとおりである。
【0085】
−持続時間−エネルギー(Di、Ei)のペアを判定する過程が、メインインパルスの持続時間−エネルギー(D、E)のペアの関数を、基本インパルスの持続時間−エネルギー(Di、Ei)のペアの関数に結びつけるパイルアップリジェクションの式を解くことで実施されること。
【0086】
−前記式が、メインインパルスの持続時間−エネルギー(D、E)のペアの離散確率法則を、基本インパルスの持続時間−エネルギー(Di、Ei)のペアの離散確率法則に結びつけること。
【0087】
持続時間−エネルギー(Di、Ei)のペアを判定する過程において、持続時間−エネルギー(D、E)の離散確率法則が、作成された持続時間−エネルギー(D、E)のペアと、前記各ペア(D、E)それぞれに関連づけられた発生数を用いて算定され、前記発生が予め前記測定から決定されていること。
【0088】
−さらに、前記式がポワソン過程の強度λに依存すること。
【0089】
−前記式が以下の形をしていること。
【0090】
【数1】
【0091】
この式において、変数zおよびsは持続時間とエネルギーのZ変換を表し、tは持続時間、B(z、s)は確率密度bt、eのZ変換であり、bt、eは、メインインパルスの持続時間が値tと同じになり、エネルギーが値eと同じになる確率を表し、Kt(s)は確率密度ht、eに依存した関数のZ変換であり、ht、eは、基本インパルスの持続時間が値tと等しくなり、エネルギーが値eと等しくなる確率を表し、そして、αは分析される光子源の活性に依存したパラメータである。
【0092】
−ポワソン過程の強度λが、メインインパルスの分離時間を測定することで判定されること。
【0093】
−パラメータαが、
α=exp(−λTe)、
という式を用いて判定され、該式において、Teがディジタル化過程に関連したサンプリング周期を表すこと。
【0094】
−各基本インパルスそれぞれのエネルギーEiの演繹過程が、エネルギーの離散確率法則を判定する過程を含んでいること。
【0095】
−エネルギーの離散確率法則が、エネルギーに応じた、持続時間−エネルギーペア(Di、Ei)の離散確率法則の周辺確率法則であること。
【0096】
−前記パイルアップリジェクションの式における等式の右辺の分数を、持続時間に従った、冪級数で展開することで、この級数の係数を決定すること。
【0097】
−基本インパルスの持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)に関する前記確率密度ht、eを判定するために、前記冪級数の係数が、前記パイルアップリジェクションの式における等式の左辺項に含まれるαt-Kt(s)という係数と同一であると識別されること。
【0098】
前記冪級数の係数決定と前記係数の識別過程がそれぞれ、少なくとも一回の離散畳込みの計算を含んでいること。
【0099】
−前記係数の識別過程がさらに、肯定性に関わる制約のテストを含んでいること。
【0100】
−メインインパルスが、それぞれ基本流束のパイルアップを含み得るようなメインの流束を表し、各基本流束それぞれが基本インパルスで表されること。
【0101】
−流束が光子束であること。
【0102】
−光子がガンマ光子であること。
【0103】
−各光子束それぞれのエネルギーが対応するインパルスのエネルギーで表され、各エネルギーそれぞれが対応する各インパルスそれぞれの下にあるスペクトル面から判定されることで表されること。
【0104】
本測定方法が、物理現象を表すメインインパルスの連鎖を含んだ前記信号を測定する初期過程を含んでいること。
【0105】
本測定方法が、前記信号に関連する情報を利用者に提供することからなる少なくとも一つの過程を含んでいること。
【0106】
前記情報が基本流束に関するものであること。
【0107】
前記情報が基本流束を表す基本インパルスのエネルギーEiに関するものであること。
【0108】
本発明のもう一つの目的は、持続時間DとエネルギーEからなるメインインパルスの連鎖を含んだ信号を分析する装置を提案することであり、該メインインパルスは時間的に互いに間隔を開けられ、持続時間DiとエネルギーEiからなる基本インパルスのパイルアップで構成され得るものであり、前記基本インパルスが強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有するものであって、前記装置が、単一または組み合わせで上記の好ましい特徴にしたがって測定方法を実施することに適した手段を具備していることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0109】
本発明のその他の特徴、目的および利点は、非制限的例示として示され、添付図面を参照して行われている、以下の本発明の好ましい実施態様の詳細な説明を読むことでより明確になるものであり、該添付図面において、
−図1はガンマスペクトロメトリーのディジタル取得の流れの各要素を概略的に示し、
−図2は、図1のタイプの装置によって観察可能なガンマ線源のスペクトル線のスペクトルを示しており、
−図3は、例示として、ガンマ光子の検出器によって生成された時間信号の例を示しており、
−図4は、例示として、セシウム137の単エネルギー光子源を測定したエネルギー分布を示しており、
−図5は、例示として、複数のエネルギーを備えた光子を放出する活性源のエネルギー分布を示しており、
−図6は、パイルアップ現象が起こったときの、遅速検出器に起因する時間信号を概略的に示しており、
−図7は、いかなるパイルアップ現象も生じていないときの、ガンマ線源の正規化されたスペクトルを示しており、
−図8は、活性の増加によってパイルアップ現象が起こったときの、図7で分析されたガンマ線源の正規化されたスペクトルを示しており、
−図9は、本発明によるシステムによって測定された、二つのメインインパルスを含んだ信号の一部を概略的に示しており、
−図10は、例示として、本発明によるシステムによってディジタル化されたときの、図9の信号を示しており、
−図11は、本発明に係る測定方法のユニット略図を示しており、
−図12は、本発明に係る測定方法によって処理された信号の活動シーケンスのDとEのペアの二次元ヒストグラムの例を示しており、
−図13は、前記処理された信号の基本インパルスのDiとEiのペアの二次元ヒストグラムの例を示しており、
−図14は、適切な電子装置において本発明によるパイルアップリジェクション方法の第一部分を実装することを可能にするアルゴリズムのフローチャートを示しており、
−図15は、適切な電子装置において本発明によるパイルアップリジェクション方法の第二部分を実装することを可能にするアルゴリズムのフローチャートを示しており、
−図16は、本発明に係る測定方法を実施していないときの、セシウム137の観察されたガンマ線エネルギーのスペクトルを示しており、
−図17は、本発明による測定方法を実施しているときの、セシウム137の観察されたガンマ線エネルギーのスペクトルを示している。
【0110】
前提として規定するのは、本明細書の以下の部分では、活動シーケンスとは、少なくとも一つの基本インパルスが常に存在しているとすること、つまり、各時間それぞれにおいて、信号の振幅が、たとえば検出器のホワイトノイズのレベルに対応する閾値を超えている、この信号の連続した部分を指すこととする。
【0111】
結局、一つの活動シーケンスは、一つのメインインパルスに対応する。
【0112】
ただし、この新しい概念によって規定できるのは、以下では非常に有用なのだが、非活動シーケンスを、信号が所定の閾値(閾値は、やはり検出器のノイズレベルとすることができる)以下となっているこの信号の連続した部分である。
【0113】
たとえば、図9は、本発明によるシステムによって測定された信号の部分を概略的に示しているが、前記信号は二つの活動シーケンス20および21を含んでいる。
【0114】
活動シーケンス20は、パイルアップを含んでいないのに対し、シーケンス21は、二つの基本インパルスのパイルアップを含んでいる。
【0115】
また、注意すべきことには、インパルスの持続時間DあるいはDiが、前記インパルスの全体の幅に対応する時間を意味していることである。
【0116】
この点に関し、本明細書の以下の部分では、
−持続時間:一時的な式ではt、または式がZ変換されているときにはz、
−エネルギー:一時的な式ではe、または式がZ変換されているときにはs、
という表記によって、式における持続時間とエネルギーを指すこととする。
【0117】
ここで図10を参照すると、本発明に係るシステムは、測定過程において検出器によって生成された信号の集合をサンプリングし、ディジタル化することで、この信号を表すディジタルデータの流束24、あるいは、より一般的には、関連しているガンマ光子束が得られるようになっている。
【0118】
なお、留意すべきは、前記サンプリングは、この説明においては式の記述ならびにその理解を容易にするために、値が1に固定されるサンプリング周期Teで行われていることである。
【0119】
このディジタルデータの流束は、図1における処理用ユニットによって処理される。
【0120】
利用される回路として典型的なものは、プロセッサ、DSP(英語の表現「Degital Signal Processing」の頭字語)、FPGA(英語の表現「Field Programmable Gate Array」の頭字語)または他のあらゆる同等の回路といった、ディジタルデータに対する操作を行うことに適した回路である。
【0121】
この処理用ユニットでは、測定された信号に含まれるインパルスをパイルアップリジェクションするために、本発明による測定方法が実装される。
【0122】
ここで「パイルアップリジェクション」は、基本インパルスのパイルアップによって生じる問題を部分的または全体的に解決するための、メインインパルスに含まれる情報を処理すること全体を意味している。
【0123】
本発明で提案するパイルアップリジェクションの方法は、
−基本インパルスが強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間を有していることと、
−エネルギーを表す変数が加算性の特性を有している、
という仮説に基づいている。
【0124】
本発明に係る測定方法のユニット略図が、図11に示されている。
【0125】
まず、活動シーケンスを表すディジタルデータを考えることにする。
【0126】
とりわけ、持続時間DならびにエネルギーEが算定され、それぞれが特徴的な活動シーケンスに関連づけられた持続時間−エネルギーのペア(D、E)の集合30が作成される。
【0127】
活動シーケンスのエネルギーEは、このシーケンス下に存在する領域に基づいて評価されることに注意すべきである。
【0128】
この領域はディジタルデータの振幅と得られた時間分解能に基づいて計算されるのだが、後者はとりわけ、図1における取得用ユニットの性能に依存している。
【0129】
領域の算定精度が時間分解能によって、したがって、オーバーサンプリングの係数によって高くなることは明らかである。
【0130】
次に、過程の第一段階(ユニット26および28)は、ポワソン過程の前記強度λを判定することから構成される(このパラメータλはユニット27で必要になる)。
【0131】
このため、活動シーケンスのペア(D、E)(ユニット26)とこれらの活動シーケンスの到着時間から、各活動シーケンスそれぞれの間の分離持続時間が計算される。
【0132】
そして、活動シーケンスを分離する持続時間に基づいて前記強度λが算定される(ユニット28)。
【0133】
この算定が可能なのは、本出願人が、これらの時間がパラメータλの指数確率の法則に従うことを特定しているからである。
【0134】
したがって、このパラメータは、持続時間Dに基づいて算定することのできる分離時間と測定されたメインインパルスの発生時間に基づいて指数法則を特徴づけることで算定することができる。
【0135】
ユニット25は、ペア(D、E)によって発生数を計算し、活動シーケンスに関わる存在についての情報を得られるようにすることからなる。
【0136】
たとえば、とりわけ10ペア(0.4ms、1Mev)、2ペア(0.4ms、1.2Mev)および40ペア(1ms、1Mev)を得ることができる。
【0137】
こうしてペア(D、E)による発生数を含んだデータの表が得られることで、統計分布の算定推定量を得ることができる。
【0138】
このような分布の可能な表示が図12に示されている。
【0139】
この図面において、処理された信号における活動シーケンスのDとEのペアによる二次元ヒストグラムを確認することができる。
【0140】
このようなヒストグラムがここでは例示として示され、この例がまったく限定的でないことは明らかである。
【0141】
この図面では、指標時間14と指標エネルギー28による活動シーケンスに対応するピーク100をはっきり観察することができる。
【0142】
測定によると、この活動シーケンスは検出器から出た信号においておよそ10000回出現している。
【0143】
このように、ある観点からでは、ユニット25は持続時間とエネルギーによる二次元ヒストグラムを表すデータの表を作成することから構成される。
【0144】
次に、もう一つのユニット27はペア(D、E)を基本インパルスの持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)に結びつけることからなる。
【0145】
このように処理することで、検出器から出た信号に含まれる基本インパルスに関わる情報が初めて得られるようになる。
【0146】
より的確には、メインインパルスから基本インパルスへの移行は、メインインパルスのペア(D、E)の離散確率法則を基本インパルスのペア(Di、Ei)の離散確率法則に結びつける式を用いて行われる。
【0147】
パイルアップリジェクションの式として指示されるこのような式は、以下のように示される。
【0148】
【数2】
【0149】
・tは持続時間を表し、変数zおよびsは持続時間tとエネルギーeのZ変換を表す。
【0150】
・B(z、s)は、メインインパルスの持続時間が持続時間tの指数で表される値に等しくなり、エネルギーが指標e(tおよびeは、冪である)で表される値に等しくなる確率密度bt、eのZ変換を表す。
【0151】
B(z、s)の方程式は以下の形をとる。
【0152】
【数3】
【0153】
・Kt(s)は、基本インパルスの持続時間が持続時間の指数tで表される値に等しくなり、エネルギーが指数eで表される値に等しくなる確率密度ht、eに依存する関数である。
【0154】
この関数は以下の形で表される。
【0155】
【数4】
【0156】
最終的に、パラメータαは分析された光子源の活性に結びつけられ、とりわけ、ポワソン過程の前記強度λに依存している。
【0157】
こうして、ユニット26および28でこのパラメータλを決定したことの利点が理解される。
【0158】
前記パラメータαに関し、パラメータλに応じて該パラメータを決定することは、
α=exp(−λTe) (4)
という式(4)のおかげで実施され、該式において、Teは検出器から出た信号をサンプリングする信号周期である。
【0159】
ユニット27が終了すると、信号に含まれる基本インパルスのペア(Di、Ei)に関わるデータの表32が得られる。
【0160】
換言すれば、この段階で、前記基本インパルスの持続時間とエネルギーの新しい二次元ヒストグラムを作成することができるのである。
【0161】
このようなヒストグラムは非限定的な例として図13に示されている。
【0162】
図12と比較すると、インパルスの持続時間が減少していることが確認できる。
【0163】
基本インパルスのパイルアップを含んだメインインパルスは前記基本インパルスのために消失している。
【0164】
ユニット29はペア(Di、Ei)の離散確率法則のエネルギーに従った周辺確率法則の計算を行う。
【0165】
こうして、ペア(Di、Ei)に基づき、選択されたエネルギーEiに関連づけられた持続時間の和を出すことで、各エネルギーEiそれぞれが決定される。
【0166】
たとえば、ユニット27によって以下の表で表されるペア(Di、Ei)32を見つけることが可能になっていると考えられる。
【0167】
【表1】
【0168】
あらゆる持続時間が混在する中で、一つのインパルスが信号における1MevのエネルギーEiを有する確率は0.72である(0.1+0.25+0.2+0.17)。
【0169】
方程式の形で表現すると、本明細書の以下の部分においてGeと表記される、エネルギーeの発生に関する前記判定は、以下のようになる。
【0170】
【数5】
【0171】
該式において、kは持続時間の指数であり、NB_Dは持続時間におけるチャネル数である。
【0172】
本発明で提案される測定方法は、最終的に、信号に含まれる基本インパルスのエネルギーEiのスペクトルに関するデータ31を得るために、適切な装置に上記のさまざまな式を実装することを必要としている。
【0173】
前述のように、このような装置はDSP、FPGA、ASIC(英語の表現「Application Specific Integrated Circuit」の頭字語)、または他のあらゆる同等の電子回路とすることができる。
【0174】
適切な選択は、コスト、サイズ、性能、モジュラー性といった、目標とされる用途に関わる制約に応じてなされることになる。
【0175】
あらゆる場合に、前記実装はとりわけ、これから説明する不可欠な二つの過程を含んでいる。
【0176】
もちろん、以下の説明を読めば、当業者であればその他の可能な変形例があり、ここでなされる提案がまったく限定的ではないことが理解されるものである。
【0177】
式(1)によると、等式の左辺は、係数が括弧に囲まれた項に対応する、冪級数の形、つまり、αt-Kt(s)であることが分かる。
【0178】
この利点の多い特性を考慮すると、本発明で提案される実装の第一過程は、等式の右辺項を冪級数で展開し、この冪級数の係数の集合を決定することからなる。
【0179】
換言すれば、係数yt(s)は以下の式で求められる。
【0180】
【数6】
【0181】
ここに、tは持続時間に対応する、冪数である。
【0182】
第一過程:冪級数の係数を求めること
このような過程は帰納関係に基づくアルゴリズムを実施する。
【0183】
このため、前記の等式(1)の右辺の項は、フィルタIIR(「Infinite Impulse Reponse」の頭字語)のインパルス応答と考えられ、その係数yt(s)はエネルギーに応じて決定される。
【0184】
このようなフィルタのY/X伝達関数のZ変換によって、前記の等式の右辺の項により、
X(z,s)=Y(z,s)(1-(αz+(1-α)zB)(z,s)))、 (7)
または、
X(z,s)=Y(z,s)-αzY(z、s)-(1-α)zB(z,s)Y(z,s)、 (8)
と書くことができる。
【0185】
持続時間zにのみしたがって式(8)のZ逆変換を計算すると、
xt(s)=yt(s)-αyt-1(s)-((1-α)b(s)*y(s))t-1 (9)
または、
yt(s)=αyt-1(s)+((1-α)b(s)*y(s))t-1+xt(s) (10)
が得られる。
【0186】
【数7】
【0187】
ここで、記号*が畳込みの演算子を意味することに注意すべきである。
【0188】
式(10)によると、所与のエネルギーsについて係数yt(s)を反復的に決定することができる。
【0189】
そのため、前記フィルタのインパルス応答が対象であるので、xt(s)は二次元のディラック関数であり、式(11)における係数bt(s)はメインインパルスのヒストグラムに関するデータから分かり、パラメータαは式(4)から分かる。
【0190】
上述した、主として式(10)に基づく装置で実装することができるアルゴリズムのフローチャートが図14に示されている。
【0191】
第一の過程200は、フィルタの入力を表し、二次元のディラック関数のエネルギーに従ったZ変換の値をとるxt(s)におけるいくつかの変数を初期化することから構成される。
【0192】
また、持続時間tは1に初期化されている。
【0193】
過程201では、フィルタの出力yt(s)が初期化される。
【0194】
より的確には、第一の持続時間(t=0)が固定され、変数y0(s)のエネルギーに関するすべての値が1に初期化される。
【0195】
この段階で、方程式(10)に基づいてyt(s)を計算し始めることができる。
【0196】
この目的を達成するために、持続時間tとエネルギーsをネスティングする二つのループが利用される。
【0197】
持続時間に対する第一ループは過程202、203および204を含み、エネルギーに対する第二ループは過程202から206を含む。
【0198】
過程202では、所与のエネルギーsについて式(10)が決定される。
【0199】
たとえば、この過程202における最初の行程で、計算されるのはy1(s=0)であり、その次に、持続時間tのループにおける最初の繰り返しの後、決定されるのはy2(0)である。
【0200】
この第一ループによって、yt(0)の値の集合が計算される。
【0201】
過程203は、持続時間にかかるループを続けるべきかどうか判定することを可能にするテストである。
【0202】
このテストは、持続時間tの変数を事前に設定した最大持続時間でのチャネル数(NB_Dと表記)を比較することから構成される。
【0203】
テスト結果が肯定的であれば、過程204が実行され、持続時間tの変数がインクリメントされる。
【0204】
そうでなければ、アルゴリズムは前記第一のループから脱け、過程205で、第二ループを続けるべきかどうかテストする。
【0205】
したがって、この過程205において、変数sは事前に設定された最大エネルギーでのチャネル数(NB_E)と比較される。
【0206】
テスト結果が肯定的であれば、アルゴリズムは過程206に移行し、該過程において、エネルギーsがインクリメントされ、また、持続時間の変数tが過程200と同じように値1に初期化される。
【0207】
次に、アルゴリズムは再び過程202に戻り、値yt(1)の集合が決定されることになる。
【0208】
たとえば、計算された第一の係数はy1(1)であり、次に、tの最初のインクリメントの後、過程202がy2(1)などを計算する。
【0209】
アルゴリズムは、エネルギーにかかる第二のループを脱けるとき、最後は過程207で終了する。
【0210】
最終的に持続時間とエネルギーのマトリクスが得られるのだが、該マトリクスの要素は、フィルタIIRのインパルス応答の求められた係数yt(s)、または換言すれば、式(6)における前記冪級数の求められた係数である。
【0211】
第二過程:係数の識別
第二過程は、このようにして決定された係数を、パイルアップリジェクションの式(1)における等式の左辺にある、冪級数の係数によって識別することから構成される。
【0212】
(1)および(6)より、以下のように書くことができる。
【0213】
【数8】
【0214】
したがって、αt-Kt(s)=yt(s)である。
【0215】
活性αを(4)で置き換えることにより、
yt(s)=exp(−λt)exp(λKt(s))が得られる。
【0216】
ここで項λKt(s)を含んだ指数関数が、冪級数で展開される。
【0217】
【数9】
【0218】
そして、選択された装置においてこのような式の実装を可能にするために、冪級数の切り捨てを行う。
【0219】
【数10】
【0220】
最終的に、等式(15)の第二項に、エネルギーに従ったZ逆変換を適用することで、以下の式にたどり着く。
【0221】
【数11】
【0222】
該式において、kt、eはエネルギーsに従ったKt(s)のZ逆変換である。
【0223】
ここでは、式(16)で用いられている表記(e)*nがエネルギーeに従ったn番目の畳込みを意味していることに注意すべきである。
【0224】
yt、eが分かると、係数kt、eは式(16)に基づいて決定され、次に、係数ht、eが二重微分を行うことで関係式(3)から演繹され、そして最後に、係数ht、eのエネルギーにしたがって持続時間の和を出すことで、信号に含まれた基本インパルスの各エネルギーEiそれぞれを決定するようになっている。
【0225】
ここでは、選択された装置においてこの第二の識別過程を実装することを可能にする回帰的アルゴリズムが提案される。
【0226】
改めて、当業者であればここで提案されている実施態様には多くの可能な変形例があることが認識できるものである。
【0227】
前記アルゴリズムのメイン過程が例示として図15に示されている。
【0228】
ここで確認するのは、これらの過程が式(16)と(3)に主として基づいて計算できることである。
【0229】
第一の過程210では、等式(16)の右辺項における指数nの和の判定を始めるために、数式yt、eexp(λt)が決定される。
【0230】
したがって、この数式は、等式の左辺の指数関数を使ったときに、式(16)からくるものである。
【0231】
図15における過程210に示された矢印は値を変数に割り当てる操作を意味しており、この場合にはyt、eである。
【0232】
次に、過程211は式(16)に含まれる項kt*n(s)を初期化することから構成される。
【0233】
この項の値は、図15においてgt(e)と表記された変数に保存される。
【0234】
gt(e)は、係数kt、eのエネルギー(kt、e)(e)*nに従ったn番目の畳込みを保存する変数である。
【0235】
エネルギー、持続時間、持続時間における最大チャネル数NB_D、エネルギーにおける最大チャネル数NB_Eといったその他の変数が初期化される。
【0236】
次に、過程212に基づく二つのネスティング・ループが続く。
【0237】
エネルギーに対する第一のループは過程212、213および214を含んでいる。
【0238】
該ループによって、n番目の畳込みまたは、所与の持続時間tに対する係数kt、eの(kt、e)(e)*nを決定することが可能になる。
【0239】
第二ループは過程212から221を含んでいる。
【0240】
該ループは持続時間tを範囲とし、該ループによって、持続時間にしたがって係数kt、eを計算することが可能になっている。
【0241】
これから、これら二つのループのそれぞれを詳述することとする。
【0242】
上記で触れたように、エネルギーに対する第一のループは過程212で開始される。
【0243】
この過程では、エネルギーにしたがって、gt-1(e)を用いてyt(e)の畳込みが計算され、この値がgt(e)に保存される。
【0244】
エネルギーの指数に対するテストが過程213で行われ、エネルギーに対するこの第一のループの予期しない出力を検出するようになっている。
【0245】
進行中のエネルギーがNB_Eを下回っている限り、過程214でこのエネルギーがインクリメントされ、過程212から再始動される。
【0246】
ひとたび、進行中の持続時間tに対するエネルギーにしたがってn番目の畳込み(kt、e)(e)*nが決定されると、「temp」と表記されている、式(16)における等式の右辺にある和の一部を計算し、変数に保存する過程215に移行する。
【0247】
より的確には、変数「temp」は、以下の値をとる。
【0248】
【数12】
【0249】
tは、第二ループにおいて進行中の持続時間であり、MAX_Cは指数関数の冪級数展開の切り捨て指数である。
【0250】
この変数「temp」は次に、エネルギーにしたがい、進行中の持続時間tに対する係数kt、eの集合を計算するために過程216で用いられる。
【0251】
前記係数kt、eの計算は、
kt、e=(yt、e−temp)/λである。
【0252】
したがって、この係数は、式(16)の前記和と、同じ式の和の前記部分の差分を出すことで計算される。
【0253】
これは、以下の式を計算することになる。
【0254】
【数13】
【0255】
いったんエネルギーにしたがい、所与の持続時間tに対する係数kt、eが決定されると、過程217で肯定性の制約テストを行うことで、得られた値が確率密度と一貫していることを保証するようになっている。
【0256】
テストは以下の不等式が確認されるかどうか判定することからなるのだが、つまり、
kt、e−2kt-1、e+kt-2、e>0?
および、t>1?
ということである。
【0257】
ある意味では、一つ前の持続時間t−1においてディジタル二重微分が正かどうか判定される。
【0258】
否定的の場合、アルゴリズムは値0に対応する係数ht、eを固定する過程219に移行する。
【0259】
次に、過程218で、これらの決定された係数kt、eを変数gt(e)に保存する。
【0260】
逆に、テスト217が肯定的であれば、過程219は避けられ、直接過程218に移行する。
【0261】
過程220では、持続時間に対する第二ループのテストによって、係数kt、e(またはgt(e))の持続時間に従った計算が終了しているかどうか判定される。
【0262】
否定的の場合、過程221に移行し、該過程において、持続時間はインクリメントされ、エネルギーの指数は再度値0に初期化される。
【0263】
次に、この新しい持続時間によって過程212の最初から再開する。
【0264】
逆に、計算が終わっていれば、持続時間に対する第二ループから脱ける。
【0265】
実際、エネルギーおよび持続時間に応じた係数kt、eはこのとき決定されている。
【0266】
上記で触れたように、ここで関係式(3)によって係数ht、eが演繹される。
【0267】
この二重の誘導微分の操作が過程222に実装されている。
【0268】
この過程の最後に、処理された信号に含まれる基本インパルスの持続時間/エネルギーのペアの確率密度を表す係数ht、eの集合が得られる。
【0269】
最後の過程223では、基本インパルスのエネルギーが判定され、エネルギーに従った変数mに該エネルギーが保存される。
【0270】
この目的を達成するために、係数ht、eは持続時間にしたがって加算され、各エネルギーそれぞれについても同様である。
【0271】
この過程が、基本インパルスの持続時間/エネルギーのペアにおける離散確率密度のエネルギーに従った前記周辺確率の計算に対応することに注目すべきである。
【0272】
メモリに保存された基本インパルスのエネルギーは最終的に視覚化手段を用いて利用者に与えられることで、該手段が存在する放射性核種を識別し、診断を確立するようになっている(プリンタ、ディスプレイまたは機能が同等のその他のあらゆる装置)。
【0273】
ここで、当業者であれば明らかに一定数の変形例を見つけることができるものである。
【0274】
たとえば、本発明に係る測定方法によって与えられる情報は中間過程に関するものとすることができる(メインインパルスまたは基本インパルスの持続時間−エネルギーのペアのヒストグラムのグラフ表示など)。
【0275】
では、上記で提示したアルゴリズムを用いた、本発明に係る測定方法を実施することで得られた非制限的ないくつかの結果を提示することにする。
【0276】
図16は、セシウム137について観察されるガンマ線源のスペクトル49を示している。
【0277】
スペクトロメータ装置はパイルアップが生じるものである。
【0278】
さらに、この装置は本発明によるパイルアップリジェクション方法をまだ利用していない。
【0279】
このスペクトルが、エネルギーE3での基本スペクトル線50、ならびに、エネルギーE3の二つの光子のパイルアップに対応するエネルギーE4での第二のスペクトル線51を含んでいることを確認することができる。
【0280】
図17は、本発明による測定方法が前記装置で用いられたときの、同一のガンマ線源(セシウム137)のスペクトル52を示している。
【0281】
エネルギーE4のスペクトル線51が消えている。つまり、エネルギーE3に対応するスペクトル線だけがスペクトルに残っており、その結果、該スペクトルがセシウム137のスペクトルに一致することになる。
【0282】
さらに、図17では、ノイズ53の上限が図16で観察されるものに比べて大きく減少していることが分かる。
【0283】
情報としては、この上限はとりわけパイルアップとコンプトン効果の組み合わせに起因するものである。
【0284】
したがって、これらの得られた結果は満足できるものである。
【0285】
これらの結果から、本発明による測定方法の効果、並びに、適切な電子装置において提案されたアルゴリズムを実装することによる産業上の実用性も明らかになった。
【0286】
より一般的には、本発明は、さらに複数の利点を提供するものであり、すなわち、
−放出されたエネルギーおよびそれらの発生をより良く識別すること、
−導入部で触れた除去によるフィルタリング方法とは異なり、信号の有効部分を除去することなく、この測定された信号全体を対象とすること、
−インパルスの形状についていかなる仮説も必要ではないこと、
−光子源の活性が弱かろうと高かろうと、該活性とは独立して方法を強く信頼できること(しかし方法の良好な作動に必要な条件は基本インパルスの恒常的なパイルアップがあってはならないということである)、
−測定される信号に直接本方法を適用する可能性、あるいは該方法を後で実行する可能性、
−非常に接近した利用であり、このことによって本発明に係る測定方法が先行技術の測定方法よりもディジタル的になっていることである。
【0287】
もちろん、本発明は上記に説明し、図面に示された実施態様にまったく限定されるものではない。
【0288】
特に、本発明はその他のスペクトロメトリーの領域(たとえば、アルファ・スペクトロメトリー、中性子スペクトロメトリー、そしてより一般的にはあらゆるタイプの微粒子に対するあらゆるスペクトロメトリー)において、さまざまなタイプの検出器、とりわけ異なったサイズおよび形状の検出器に対して実施することができる。
【0289】
さらに一般的には、本発明は、各信号それぞれが用語の一般的な意味で流束を表し得るものであるとき、メインの信号にパイルアップによって含まれている基本信号の貢献が求められる応用などに用いることができる。
【0290】
非限定的には、光子束、蛍光元素の流束または通信システムの待ち行列における要素の流束などであってよい。
【0291】
たとえば待ち行列の場合、本発明において説明した実施態様に等価なものとして、持続時間Dの変数に接続時間を関連づけ、エネルギーEの変数に通過帯域を関連づけることができる。
【0292】
また、エネルギーEがインパルス下におけるスペクトル面の算定によって評価されることはまったく義務的ではない。
【0293】
本発明で説明された実施態様の場合、スペクトル面による判定が完全に適合していたのだが、それは、単純な関係式がこのスペクトル面をガンマ光子のエネルギーに結びつけるからである。
【0294】
しかし、異なった応用の場合にはこれは必ずしも当てはまらない。
【0295】
ここで、当業者であれば理解できるが、本発明の概念が非常に一般的な意味で、メインインパルスにおける基本インパルスの重みを表示するためのエネルギーの利用に基づいていることなのである。
【0296】
したがって、この重みの算定方法は応用に応じて大きく異なることがあることは明白である。
【0297】
非制限的な例としては、重みは基本インパルスの振幅、特定の持続時間などに対応することもあるだろう。
【0298】
ここで、本発明に係る測定方法を適用するために守られるべき以下の制約だけ確認することとするが、該制約とはすなわち、
−基本インパルスの出現時間が均質なポワソン過程に従っていること、
−メインインパルスが所定の持続時間Dを有していること、
−基本インパルスのエネルギーを表す変数Eiが加算性の特性を有していることである。
【図面の簡単な説明】
【0299】
【図1】ガンマスペクトロメトリーのディジタル取得の流れの概略図
【図2】図1の装置によって観察可能なガンマ線源のスペクトル
【図3】ガンマ光子の検出器によって生成された経時信号の例
【図4】セシウム137の単エネルギー光子源を測定したエネルギー分布
【図5】複数のエネルギーを備えた光子を放出する活性光子源のエネルギー分布
【図6】パイルアップ現象が起こったときの、遅速検出器に起因する時間信号の概略図
【図7】パイルアップ現象がないときの、ガンマ線源の正規化スペクトル
【図8】活性の増加によってパイルアップ現象が起こったときの、図7で分析されたガンマ線源の正規化スペクトル
【図9】本発明によるシステムによって測定された、二つのメインインパルスを含んだ信号の一部の概略図
【図10】本発明によるシステムによってディジタル化されたときの、図9の信号を示す図
【図11】本発明に係る測定方法のブロック略図を示す図
【図12】本発明に係る測定方法によって処理された信号の活動シーケンスのDとEのペアの二次元ヒストグラムの例
【図13】前記処理された信号の基本インパルスのDiとEiのペアの二次元ヒストグラムの例
【図14】適切な電子装置において本発明によるパイルアップリジェクション方法の第一部分を実装することを可能にするアルゴリズムのフローチャート
【図15】適切な電子装置において本発明によるパイルアップリジェクション方法の第二部分を実装することを可能にするアルゴリズムのフローチャート
【図16】本発明に係る測定方法を実施していないときの、セシウム137の観察されたガンマ線エネルギーのスペクトル
【図17】本発明に係る測定方法を実施しているときの、セシウム137の観察されたガンマ線エネルギーのスペクトル
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、複数のメインインパルスを含んだ信号を分析することに関するものであり、該メインインパルスはそれぞれが識別しようとしている未知の基本インパルスのパイルアップで構成され得るものである。
【0002】
より特定的には、本発明は、持続時間DとエネルギーEからなるメインインパルスの連鎖を含んだ信号の処理を含む測定方法に関するものであり、該メインインパルスは時間的に互いに間隔を開けられ、それぞれが持続時間Diで、エネルギーが数学用語での加算性の特性を有する変数Eiによって評価される基本インパルスのパイルアップで構成され得るものであり、前記基本インパルスは、強度λ(原語は、intensite 。日本では、「平均」と呼称することが多い、ポワソン分布のパラメータ。以下同様)の均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有している。
【背景技術】
【0003】
一般的に、このような信号は流束、特に光子束を表すことができる。
【0004】
既に、このタイプの測定方法は、とりわけガンマ線スペクトロメトリーの領域で知られている。
【0005】
ガンマ線スペクトロメトリーは、一方では、ガンマ光子の放出源に含まれる放射性核種を特徴づけることを目的としており、他方では、この放出源の活性(該活性は典型的には、壊変毎秒の数値またはベクレルと呼ばれる既知の単位によって定義される)を測定することを目的としていることを確認しておく。
【0006】
このような処理を実施することのできる装置の例が、図1に示されている。
【0007】
電源2を備えた検出器1は、光子信号3を電気信号4に変換する。
【0008】
次に、この電気信号は、前置増幅器5によって処理されるのだが、該前置増幅器によって信号対雑音比を高めることが可能になっている。
【0009】
次に、取得用の電子回路ユニット7の少なくとも一つの入力に適した信号を提示するために増幅器6が用いられる。
【0010】
このような電子回路ユニットは、典型的にはアナログ−ディジタル変換器で構成される。
【0011】
この電子回路ユニットの出力で、そのようにしてディジタル化された信号が処理用ユニット8に供給され、該処理用ユニットにおいて、特定の操作が実施される。
【0012】
例えば、処理用ユニット8は、とりわけ、信号のディジタル・フィルタを実施するのに適した電子回路を含むことができる。
【0013】
最後に、視覚化システム9によって、利用者がガンマ線放出源の構成を分析するのを助けて、前記の取得の流れが完了する。
【0014】
図2は、典型的には、このような視覚化システムで観察できるものを示している。
【0015】
この図2では、それぞれがエネルギーを数量化した値を示しているさまざまなスペクトル線を見ることができる(例えばスペクトル線10)。
【0016】
これらのスペクトル線の集合が、特定のガンマ線を放出する放射性核種を特徴づけている(たとえば、セシウム137は662keVの単エネルギーのスペクトル線を有しており、また、コバルト60は1173MeVと1333MeVの二つの単エネルギーのスペクトル線を有している)。
【0017】
しかし、このようなスペクトロメトリー装置を用いた放射性核種の識別、より一般的にはガンマ線放出源の識別は、いくつかの問題を呈することがある。
【0018】
とりわけ、放射性核種に関連する理想的なスペクトル線のスペクトルを劣化させうる三つのタイプの擾乱が知られているのだが、該タイプとは、
−コンプトン効果と、
−理想的な信号に測定ノイズが加わることと、
−それぞれが光子を表すインパルスの潜在的なパイルアップである。
【0019】
コンプトン効果と測定ノイズ
光子が検出器との相互作用に入ると、電気インパルスが生じ、そして該電気インパルスは先に図1で説明したように増幅される。
【0020】
このような検出器で生成された経時信号11の例は、図3に示されている。
【0021】
この経時信号が、異なった振幅と持続時間の電気インパルスの連続で構成され、各インパルスそれぞれが理想的には唯一の光子と検出器の相互作用に対応していることを観察することができる。
【0022】
このような経時信号11によって検出された光子のエネルギーの測定が可能になるのだが、それは、電気インパルスのスペクトル面(たとえばインパルス12のスペクトル面13)が、対象となるインパルスに関連した光子のエネルギーに比例するからである。
【0023】
したがって、さまざまな電気インパルスの経時信号11から、観察されている光子源のエネルギーのスペクトル線の集合を演繹的に導くことができる。
【0024】
しかし、二つの現象によってこの測定原理は擾乱を受ける。
【0025】
第一には、コンプトン効果(この効果は当業者には既知である)のために、光子エネルギーの一部だけが検出器にかけられることがあるのである。
【0026】
よって、このような効果を受けた光子のスペクトロメトリー分析では、実際に観察されるはずのエネルギーより低いエネルギーのスペクトル線が生じる。
【0027】
第二に、光子のエネルギーの全体がかけられた場合であっても、前記光子と検出器の間における相互作用と、測定電子機器によってもたらされるノイズが本質的にランダムであるという性質のため、創出された電気インパルスのスペクトル面は前記エネルギーに対してほぼ比例に近いというにすぎない。
【0028】
図4、5は、とりわけ、この二つの擾乱現象を示している。
【0029】
図4は、本質的に単エネルギーを備えた光子を放出する光子源に由来する信号のエネルギー分布を示しており、該単一のエネルギーはピーク14に対応している。
【0030】
ここでは、検出器から出た信号が単エネルギー性の単一のスペクトル線による理想的な形状では現れず、ピーク14のエネルギーより小さいエネルギーで、コンプトン効果に起因する、重要な連続した低い部分16も呈していることが確認できる。
【0031】
図5は、図2の場合に該当するような、複数のエネルギーを有する光子を放出するガンマ線光子源の検出に由来する信号のエネルギー分布を示している。
【0032】
ここでもまた、とりわけコンプトン効果と測定ノイズによって誘発された二つの現象に由来する、ノイズの上限の存在が確認できる。
【0033】
このノイズの上限は、エネルギーが横座標上で高まるにつれ、顕著に低下している。
【0034】
この図5からは、分析されたガンマ線源に存在する放射性核種の識別がここでは同様に難しいことが明らかであり、測定されたスペクトルが理想的に得られるはずのスペクトルとはかけ離れた形状を有している。
【0035】
インパルスのパイルアップ
ガンマ線源をスペクトロメトリーで分析するときのもう一つの擾乱の原因は、時間インパルスのパイルアップの問題に関わる。
【0036】
唯一の光子が検出器と相互作用に入ると、生成されるインパルスは短い持続時間ではあるが、ゼロではない。
【0037】
たとえば、高速の検出器の場合、この持続時間はマイクロ秒をちょうど下回る。
【0038】
二つの光子が近接した瞬間に放出されるとき、遅速の検出器によって生成されたそれぞれのインパルスが部分的に、さらには全体的に重なることも起こりうる。
【0039】
この現象は、とりわけ、タイプ2のカウンタタイプの検出器を用いるときに知られている。
【0040】
これらのカウンタでは、別のインパルスが検出中であるのに対し、到着する各インパルスそれぞれが、形成途中のインパルスをさらに延長する効果を有している。
【0041】
この現象の例は、図6に示されている。
【0042】
この図6は、それぞれTn+1およびTn+2という時間に到着し、Un+1とUn+2という持続時間をした二つのインパルス15、15’の重複を含んだ時間信号を表している。
【0043】
インパルス15’はインパルス15が終わっていないにも関わらず現れている。
【0044】
検出器は、ここではインパルスの持続時間に対して比較的遅い反応を示しており、二つのインパルスを互いに区別していないことが分かる。
【0045】
実際、該検出器は二つのインパルス15および15’を融合して、持続時間Un1、2のメインインパルス17しか形成しておらず、このことは、唯一の光子が検出器と相互関係に入ったと錯覚させることになる。
【0046】
本明細書の以下の部分では明確さのために、基本インパルスは唯一の光子に結びつけられたインパルス(たとえば基本インパルス15または15’)を指すこととする。
【0047】
そして、メインインパルスは、基本インパルスのパイルアップを含み得るようなインパルスに対応することとする。
【0048】
したがって、パイルアップ現象の第一の帰結は、分析中のガンマ光子源の全体的な活性を過小算定するおそれがある。
【0049】
ここで注意すべきは、光子源の全体的な活性が強く、または、検出器の反応が遅い分だけ、それだけこの現象が強くなることである。
【0050】
本明細書の以下の部分では、「全体的な活性」および「計数率」という用語の定義が同一であると見なすこととする。
【0051】
このような光子のパイルアップの第二の帰結は、厳密な意味でエネルギーの算定に関わる。
【0052】
実際、このような検出器の場合、単一の光子にパイルアップされた光子エネルギーの和が割り当てられるのだが、これは、定義が同一であることからして、メインインパルス17が基本インパルス15および15’のスペクトル面より大きなスペクトル面を有しているからである。
【0053】
一般的には、パイルアップ現象はスペクトルの一部を間違って高いエネルギーに向けて移動させる。
【0054】
例えば、図7と図8ではこのような移動が確認できるわけだが、該図面はそれぞれ、パイルアップ現象が起こっていない、22keVと55keVという二つのメインのスペクトル線を含んだ正規化スペクトルと、パイルアップ現象が存在する、同一のガンマ線源に由来する正規化スペクトルを示している。
【0055】
分析されたガンマ線源は本来、図7で完全に識別されている二つのエネルギーE1およびE2を備えた光子を放出することに注意すべきである。
【0056】
この場合は計数率の低いスペクトロメトリー分析に対応する(たとえば光子源から離れて配置された小さな検出器)。
【0057】
逆に、計数率が高くなるときパイルアップ現象が現れ、エネルギーE1およびE2の線形結合に対応しているエネルギーを備えた寄生スペクトル線が徐々に出現するのが観察される(たとえば、2E1、E1+E2、2 E2、2E1+2E2など。たとえばスペクトル線18および19)。
【0058】
さらに、これらの寄生スペクトル線の出現は、高エネルギー方向へ信号が散逸することから、エネルギーE1とE2に関連する活性のひずみを引き起こす。
【0059】
これらの寄生スペクトル線が観察されるガンマ線源の放射性核種の識別過程を擾乱し、さらには、いくつかのスペクトル線が光子源によって放出されるエネルギーのどれにも対応せず、実際に放出されたスペクトル線の活性が過小評価されるという、結果を誤らせる危険性があることが容易に理解できる。
【0060】
上記に説明した問題全体を抑制し、特にパイルアップに関連する問題を抑制するために多くの解決策が提案されている。
【0061】
たとえば、とりわけ線形フィルタリングの操作を含んだスペクトロメータで実装されている測定方法(非特許文献1参照)が知られている。
【0062】
提案されているフィルタリングの目的は、基本インパルスのパイルアップで形成されているすべてのメインインパルスがノイズの一部をなすという了解の上で、有効な信号に加わった前記ノイズをできる限り除去することである。
【0063】
ある程度の改善が可能にはなるのだが、この測定方法は特化したもので、その利用範囲を制限するという妥協を必要とする。
【0064】
実際、前記信号に存在するノイズの性質のために、提案されているフィルタリングは長時間の操作であればそれだけ効果的になるのだが、これは必然的に、パイルアップ現象が含まれる危険性を高めることになる。
【0065】
結果的に、この測定方法は分析されるガンマ線源の活性に強く依存することになる。
【0066】
この活性が弱ければ、パイルアップの危険性は下がるので、効果的なフィルタリングを実施することができる。
【0067】
逆に、この活性がある閾値を超えるときには、フィルタリングが実施される前記時間を短くし、処理すべき信号におけるパイルアップの数を抑えるようにしなければならないのだが、これは、ノイズ除去の効果を減じ、したがって、最終的に得られるスペクトルの分解能を下げることになる。
【0068】
結果的に、このような測定方法を利用したスペクトロメータは、ガンマ線源の計数率が上がれば、分解能の劣化にさらされることになる。
【0069】
CAMBERRA/EURISYS、ORTECまたはXIAのような、多くの製造者が、パイルアップの問題を克服することのできるディジタル・スペクトロメータも開発している。
【0070】
しかし、インパルスの処理方法は概念的に従来の測定方法に近いままであり、該測定方法はやはり、上記で提示したフィルタリングのような、FIR(Finite Inpulse Responseの頭字語)タイプの、非反復的線形フィルタリングに基づいている。
【0071】
これはとりわけ、製造者XIAの「Digital Gamma Finder」というスペクトロメータに当てはまる。
【0072】
この点について、詳細は、参考文献(特許文献1、2、3、4、5)を参照のこと。
【0073】
パイルアップの問題を部分的に解決することを可能にするその他の測定方法もある。
【0074】
この測定方法は検出された信号の形状分析に基づくもの(特許文献6)または、所定の閾値に対して累積したエネルギーを比較することに基づくもの(特許文献7,8)である。
【0075】
しかし、これらの測定方法は用いられる検出器のタイプに強く依存しており、結局、計数率が高いときにはあまり安定していない。
【0076】
また、特定の検出器(とりわけテルル化カドミウムをベースとする検出器)によってもたらされるひずみを修正することを可能にする最近のもう一つの測定方法(特許文献9)も知られており、該検出器は、スペクトル面が光子によってもたらされるエネルギーに比例するインパルスは生成しないというものである。光子によってもたらされるエネルギーは二つの変数に基づいて算定される。すなわち、一つはスペクトル面であり、もう一つは、前記光子に関連したインパルスの上昇時間である。
【0077】
しかし、上記に挙げたスペクトロメトリーのあらゆる測定方法と同じように、この測定方法は実験結果にのみ基づいている。
【0078】
さらに、これらの測定方法は一般的に、処理された信号から、検出したパイルアップインパルスを除去することで十分とされている。
【0079】
最終的な信号は、パイルアップのないものではあるが、いくつかの基本インパルスおよび該基本インパルスが表す情報が前記除去に伴って消えてしまう。
【0080】
このように、これらの測定方法の不都合は、メインインパルスが表す情報を分析するために、該メインインパルスに含まれたすべての基本インパルスを識別することができないということである。
【非特許文献1】G.F.Knoll『Radiation Detection and Measurement』Wiley、第二版、1989年
【特許文献1】米国特許第5,873,054号明細書
【特許文献2】米国特許第5,774,522号明細書
【特許文献3】米国特許第5,684,850号明細書
【特許文献4】米国特許第5,337,603号明細書
【特許文献5】米国特許第5,206,174号明細書
【特許文献6】米国特許第5,884,234号明細書
【特許文献7】米国特許第5,067,090号明細書
【特許文献8】米国特許第5,349,193号明細書
【特許文献9】米国特許第5,821,538号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0081】
したがって、本発明の目的はこの不都合を克服することである。
【0082】
この目的を達成するため、本発明は、とりわけガンマ放射能の分野において、実験的アプローチではなく、厳正なアプローチに基づいた効果的な識別方法を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0083】
よって、本発明は持続時間DとエネルギーEからなるメインインパルスの連鎖を含んだ信号の処理を含む測定方法を提案するものであり、該メインインパルスは時間的に互いに間隔を開けられ、それぞれが、持続時間Diと、エネルギーが加算性の特性を有した変数Eiによって評価される基本パルスのパイルアップで構成され得るものであり、前記基本インパルスが、強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有している測定方法であって、
−前記信号をディジタル化して、該信号を表すデータを得られるようにすることからなる過程と、
これらのデータに基づき、
−各メインインパルスそれぞれの持続時間DおよびエネルギーEを測定して、持続時間−エネルギー(D、E)のペアを作成することからなる過程と、
−作成されたペア(D、E)から基本インパルスのエネルギーのペア(Di、Ei)を判定することからなる過程と、
−判定されたペア(Di、Ei)から各基本インパルスそれぞれのエネルギーEiを演繹的に導くことからなる過程を含んでいることを特徴としている。
【0084】
この測定方法の非制限的ないくつかの好ましい特徴は、以下のとおりである。
【0085】
−持続時間−エネルギー(Di、Ei)のペアを判定する過程が、メインインパルスの持続時間−エネルギー(D、E)のペアの関数を、基本インパルスの持続時間−エネルギー(Di、Ei)のペアの関数に結びつけるパイルアップリジェクションの式を解くことで実施されること。
【0086】
−前記式が、メインインパルスの持続時間−エネルギー(D、E)のペアの離散確率法則を、基本インパルスの持続時間−エネルギー(Di、Ei)のペアの離散確率法則に結びつけること。
【0087】
持続時間−エネルギー(Di、Ei)のペアを判定する過程において、持続時間−エネルギー(D、E)の離散確率法則が、作成された持続時間−エネルギー(D、E)のペアと、前記各ペア(D、E)それぞれに関連づけられた発生数を用いて算定され、前記発生が予め前記測定から決定されていること。
【0088】
−さらに、前記式がポワソン過程の強度λに依存すること。
【0089】
−前記式が以下の形をしていること。
【0090】
【数1】
【0091】
この式において、変数zおよびsは持続時間とエネルギーのZ変換を表し、tは持続時間、B(z、s)は確率密度bt、eのZ変換であり、bt、eは、メインインパルスの持続時間が値tと同じになり、エネルギーが値eと同じになる確率を表し、Kt(s)は確率密度ht、eに依存した関数のZ変換であり、ht、eは、基本インパルスの持続時間が値tと等しくなり、エネルギーが値eと等しくなる確率を表し、そして、αは分析される光子源の活性に依存したパラメータである。
【0092】
−ポワソン過程の強度λが、メインインパルスの分離時間を測定することで判定されること。
【0093】
−パラメータαが、
α=exp(−λTe)、
という式を用いて判定され、該式において、Teがディジタル化過程に関連したサンプリング周期を表すこと。
【0094】
−各基本インパルスそれぞれのエネルギーEiの演繹過程が、エネルギーの離散確率法則を判定する過程を含んでいること。
【0095】
−エネルギーの離散確率法則が、エネルギーに応じた、持続時間−エネルギーペア(Di、Ei)の離散確率法則の周辺確率法則であること。
【0096】
−前記パイルアップリジェクションの式における等式の右辺の分数を、持続時間に従った、冪級数で展開することで、この級数の係数を決定すること。
【0097】
−基本インパルスの持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)に関する前記確率密度ht、eを判定するために、前記冪級数の係数が、前記パイルアップリジェクションの式における等式の左辺項に含まれるαt-Kt(s)という係数と同一であると識別されること。
【0098】
前記冪級数の係数決定と前記係数の識別過程がそれぞれ、少なくとも一回の離散畳込みの計算を含んでいること。
【0099】
−前記係数の識別過程がさらに、肯定性に関わる制約のテストを含んでいること。
【0100】
−メインインパルスが、それぞれ基本流束のパイルアップを含み得るようなメインの流束を表し、各基本流束それぞれが基本インパルスで表されること。
【0101】
−流束が光子束であること。
【0102】
−光子がガンマ光子であること。
【0103】
−各光子束それぞれのエネルギーが対応するインパルスのエネルギーで表され、各エネルギーそれぞれが対応する各インパルスそれぞれの下にあるスペクトル面から判定されることで表されること。
【0104】
本測定方法が、物理現象を表すメインインパルスの連鎖を含んだ前記信号を測定する初期過程を含んでいること。
【0105】
本測定方法が、前記信号に関連する情報を利用者に提供することからなる少なくとも一つの過程を含んでいること。
【0106】
前記情報が基本流束に関するものであること。
【0107】
前記情報が基本流束を表す基本インパルスのエネルギーEiに関するものであること。
【0108】
本発明のもう一つの目的は、持続時間DとエネルギーEからなるメインインパルスの連鎖を含んだ信号を分析する装置を提案することであり、該メインインパルスは時間的に互いに間隔を開けられ、持続時間DiとエネルギーEiからなる基本インパルスのパイルアップで構成され得るものであり、前記基本インパルスが強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有するものであって、前記装置が、単一または組み合わせで上記の好ましい特徴にしたがって測定方法を実施することに適した手段を具備していることを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0109】
本発明のその他の特徴、目的および利点は、非制限的例示として示され、添付図面を参照して行われている、以下の本発明の好ましい実施態様の詳細な説明を読むことでより明確になるものであり、該添付図面において、
−図1はガンマスペクトロメトリーのディジタル取得の流れの各要素を概略的に示し、
−図2は、図1のタイプの装置によって観察可能なガンマ線源のスペクトル線のスペクトルを示しており、
−図3は、例示として、ガンマ光子の検出器によって生成された時間信号の例を示しており、
−図4は、例示として、セシウム137の単エネルギー光子源を測定したエネルギー分布を示しており、
−図5は、例示として、複数のエネルギーを備えた光子を放出する活性源のエネルギー分布を示しており、
−図6は、パイルアップ現象が起こったときの、遅速検出器に起因する時間信号を概略的に示しており、
−図7は、いかなるパイルアップ現象も生じていないときの、ガンマ線源の正規化されたスペクトルを示しており、
−図8は、活性の増加によってパイルアップ現象が起こったときの、図7で分析されたガンマ線源の正規化されたスペクトルを示しており、
−図9は、本発明によるシステムによって測定された、二つのメインインパルスを含んだ信号の一部を概略的に示しており、
−図10は、例示として、本発明によるシステムによってディジタル化されたときの、図9の信号を示しており、
−図11は、本発明に係る測定方法のユニット略図を示しており、
−図12は、本発明に係る測定方法によって処理された信号の活動シーケンスのDとEのペアの二次元ヒストグラムの例を示しており、
−図13は、前記処理された信号の基本インパルスのDiとEiのペアの二次元ヒストグラムの例を示しており、
−図14は、適切な電子装置において本発明によるパイルアップリジェクション方法の第一部分を実装することを可能にするアルゴリズムのフローチャートを示しており、
−図15は、適切な電子装置において本発明によるパイルアップリジェクション方法の第二部分を実装することを可能にするアルゴリズムのフローチャートを示しており、
−図16は、本発明に係る測定方法を実施していないときの、セシウム137の観察されたガンマ線エネルギーのスペクトルを示しており、
−図17は、本発明による測定方法を実施しているときの、セシウム137の観察されたガンマ線エネルギーのスペクトルを示している。
【0110】
前提として規定するのは、本明細書の以下の部分では、活動シーケンスとは、少なくとも一つの基本インパルスが常に存在しているとすること、つまり、各時間それぞれにおいて、信号の振幅が、たとえば検出器のホワイトノイズのレベルに対応する閾値を超えている、この信号の連続した部分を指すこととする。
【0111】
結局、一つの活動シーケンスは、一つのメインインパルスに対応する。
【0112】
ただし、この新しい概念によって規定できるのは、以下では非常に有用なのだが、非活動シーケンスを、信号が所定の閾値(閾値は、やはり検出器のノイズレベルとすることができる)以下となっているこの信号の連続した部分である。
【0113】
たとえば、図9は、本発明によるシステムによって測定された信号の部分を概略的に示しているが、前記信号は二つの活動シーケンス20および21を含んでいる。
【0114】
活動シーケンス20は、パイルアップを含んでいないのに対し、シーケンス21は、二つの基本インパルスのパイルアップを含んでいる。
【0115】
また、注意すべきことには、インパルスの持続時間DあるいはDiが、前記インパルスの全体の幅に対応する時間を意味していることである。
【0116】
この点に関し、本明細書の以下の部分では、
−持続時間:一時的な式ではt、または式がZ変換されているときにはz、
−エネルギー:一時的な式ではe、または式がZ変換されているときにはs、
という表記によって、式における持続時間とエネルギーを指すこととする。
【0117】
ここで図10を参照すると、本発明に係るシステムは、測定過程において検出器によって生成された信号の集合をサンプリングし、ディジタル化することで、この信号を表すディジタルデータの流束24、あるいは、より一般的には、関連しているガンマ光子束が得られるようになっている。
【0118】
なお、留意すべきは、前記サンプリングは、この説明においては式の記述ならびにその理解を容易にするために、値が1に固定されるサンプリング周期Teで行われていることである。
【0119】
このディジタルデータの流束は、図1における処理用ユニットによって処理される。
【0120】
利用される回路として典型的なものは、プロセッサ、DSP(英語の表現「Degital Signal Processing」の頭字語)、FPGA(英語の表現「Field Programmable Gate Array」の頭字語)または他のあらゆる同等の回路といった、ディジタルデータに対する操作を行うことに適した回路である。
【0121】
この処理用ユニットでは、測定された信号に含まれるインパルスをパイルアップリジェクションするために、本発明による測定方法が実装される。
【0122】
ここで「パイルアップリジェクション」は、基本インパルスのパイルアップによって生じる問題を部分的または全体的に解決するための、メインインパルスに含まれる情報を処理すること全体を意味している。
【0123】
本発明で提案するパイルアップリジェクションの方法は、
−基本インパルスが強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間を有していることと、
−エネルギーを表す変数が加算性の特性を有している、
という仮説に基づいている。
【0124】
本発明に係る測定方法のユニット略図が、図11に示されている。
【0125】
まず、活動シーケンスを表すディジタルデータを考えることにする。
【0126】
とりわけ、持続時間DならびにエネルギーEが算定され、それぞれが特徴的な活動シーケンスに関連づけられた持続時間−エネルギーのペア(D、E)の集合30が作成される。
【0127】
活動シーケンスのエネルギーEは、このシーケンス下に存在する領域に基づいて評価されることに注意すべきである。
【0128】
この領域はディジタルデータの振幅と得られた時間分解能に基づいて計算されるのだが、後者はとりわけ、図1における取得用ユニットの性能に依存している。
【0129】
領域の算定精度が時間分解能によって、したがって、オーバーサンプリングの係数によって高くなることは明らかである。
【0130】
次に、過程の第一段階(ユニット26および28)は、ポワソン過程の前記強度λを判定することから構成される(このパラメータλはユニット27で必要になる)。
【0131】
このため、活動シーケンスのペア(D、E)(ユニット26)とこれらの活動シーケンスの到着時間から、各活動シーケンスそれぞれの間の分離持続時間が計算される。
【0132】
そして、活動シーケンスを分離する持続時間に基づいて前記強度λが算定される(ユニット28)。
【0133】
この算定が可能なのは、本出願人が、これらの時間がパラメータλの指数確率の法則に従うことを特定しているからである。
【0134】
したがって、このパラメータは、持続時間Dに基づいて算定することのできる分離時間と測定されたメインインパルスの発生時間に基づいて指数法則を特徴づけることで算定することができる。
【0135】
ユニット25は、ペア(D、E)によって発生数を計算し、活動シーケンスに関わる存在についての情報を得られるようにすることからなる。
【0136】
たとえば、とりわけ10ペア(0.4ms、1Mev)、2ペア(0.4ms、1.2Mev)および40ペア(1ms、1Mev)を得ることができる。
【0137】
こうしてペア(D、E)による発生数を含んだデータの表が得られることで、統計分布の算定推定量を得ることができる。
【0138】
このような分布の可能な表示が図12に示されている。
【0139】
この図面において、処理された信号における活動シーケンスのDとEのペアによる二次元ヒストグラムを確認することができる。
【0140】
このようなヒストグラムがここでは例示として示され、この例がまったく限定的でないことは明らかである。
【0141】
この図面では、指標時間14と指標エネルギー28による活動シーケンスに対応するピーク100をはっきり観察することができる。
【0142】
測定によると、この活動シーケンスは検出器から出た信号においておよそ10000回出現している。
【0143】
このように、ある観点からでは、ユニット25は持続時間とエネルギーによる二次元ヒストグラムを表すデータの表を作成することから構成される。
【0144】
次に、もう一つのユニット27はペア(D、E)を基本インパルスの持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)に結びつけることからなる。
【0145】
このように処理することで、検出器から出た信号に含まれる基本インパルスに関わる情報が初めて得られるようになる。
【0146】
より的確には、メインインパルスから基本インパルスへの移行は、メインインパルスのペア(D、E)の離散確率法則を基本インパルスのペア(Di、Ei)の離散確率法則に結びつける式を用いて行われる。
【0147】
パイルアップリジェクションの式として指示されるこのような式は、以下のように示される。
【0148】
【数2】
【0149】
・tは持続時間を表し、変数zおよびsは持続時間tとエネルギーeのZ変換を表す。
【0150】
・B(z、s)は、メインインパルスの持続時間が持続時間tの指数で表される値に等しくなり、エネルギーが指標e(tおよびeは、冪である)で表される値に等しくなる確率密度bt、eのZ変換を表す。
【0151】
B(z、s)の方程式は以下の形をとる。
【0152】
【数3】
【0153】
・Kt(s)は、基本インパルスの持続時間が持続時間の指数tで表される値に等しくなり、エネルギーが指数eで表される値に等しくなる確率密度ht、eに依存する関数である。
【0154】
この関数は以下の形で表される。
【0155】
【数4】
【0156】
最終的に、パラメータαは分析された光子源の活性に結びつけられ、とりわけ、ポワソン過程の前記強度λに依存している。
【0157】
こうして、ユニット26および28でこのパラメータλを決定したことの利点が理解される。
【0158】
前記パラメータαに関し、パラメータλに応じて該パラメータを決定することは、
α=exp(−λTe) (4)
という式(4)のおかげで実施され、該式において、Teは検出器から出た信号をサンプリングする信号周期である。
【0159】
ユニット27が終了すると、信号に含まれる基本インパルスのペア(Di、Ei)に関わるデータの表32が得られる。
【0160】
換言すれば、この段階で、前記基本インパルスの持続時間とエネルギーの新しい二次元ヒストグラムを作成することができるのである。
【0161】
このようなヒストグラムは非限定的な例として図13に示されている。
【0162】
図12と比較すると、インパルスの持続時間が減少していることが確認できる。
【0163】
基本インパルスのパイルアップを含んだメインインパルスは前記基本インパルスのために消失している。
【0164】
ユニット29はペア(Di、Ei)の離散確率法則のエネルギーに従った周辺確率法則の計算を行う。
【0165】
こうして、ペア(Di、Ei)に基づき、選択されたエネルギーEiに関連づけられた持続時間の和を出すことで、各エネルギーEiそれぞれが決定される。
【0166】
たとえば、ユニット27によって以下の表で表されるペア(Di、Ei)32を見つけることが可能になっていると考えられる。
【0167】
【表1】
【0168】
あらゆる持続時間が混在する中で、一つのインパルスが信号における1MevのエネルギーEiを有する確率は0.72である(0.1+0.25+0.2+0.17)。
【0169】
方程式の形で表現すると、本明細書の以下の部分においてGeと表記される、エネルギーeの発生に関する前記判定は、以下のようになる。
【0170】
【数5】
【0171】
該式において、kは持続時間の指数であり、NB_Dは持続時間におけるチャネル数である。
【0172】
本発明で提案される測定方法は、最終的に、信号に含まれる基本インパルスのエネルギーEiのスペクトルに関するデータ31を得るために、適切な装置に上記のさまざまな式を実装することを必要としている。
【0173】
前述のように、このような装置はDSP、FPGA、ASIC(英語の表現「Application Specific Integrated Circuit」の頭字語)、または他のあらゆる同等の電子回路とすることができる。
【0174】
適切な選択は、コスト、サイズ、性能、モジュラー性といった、目標とされる用途に関わる制約に応じてなされることになる。
【0175】
あらゆる場合に、前記実装はとりわけ、これから説明する不可欠な二つの過程を含んでいる。
【0176】
もちろん、以下の説明を読めば、当業者であればその他の可能な変形例があり、ここでなされる提案がまったく限定的ではないことが理解されるものである。
【0177】
式(1)によると、等式の左辺は、係数が括弧に囲まれた項に対応する、冪級数の形、つまり、αt-Kt(s)であることが分かる。
【0178】
この利点の多い特性を考慮すると、本発明で提案される実装の第一過程は、等式の右辺項を冪級数で展開し、この冪級数の係数の集合を決定することからなる。
【0179】
換言すれば、係数yt(s)は以下の式で求められる。
【0180】
【数6】
【0181】
ここに、tは持続時間に対応する、冪数である。
【0182】
第一過程:冪級数の係数を求めること
このような過程は帰納関係に基づくアルゴリズムを実施する。
【0183】
このため、前記の等式(1)の右辺の項は、フィルタIIR(「Infinite Impulse Reponse」の頭字語)のインパルス応答と考えられ、その係数yt(s)はエネルギーに応じて決定される。
【0184】
このようなフィルタのY/X伝達関数のZ変換によって、前記の等式の右辺の項により、
X(z,s)=Y(z,s)(1-(αz+(1-α)zB)(z,s)))、 (7)
または、
X(z,s)=Y(z,s)-αzY(z、s)-(1-α)zB(z,s)Y(z,s)、 (8)
と書くことができる。
【0185】
持続時間zにのみしたがって式(8)のZ逆変換を計算すると、
xt(s)=yt(s)-αyt-1(s)-((1-α)b(s)*y(s))t-1 (9)
または、
yt(s)=αyt-1(s)+((1-α)b(s)*y(s))t-1+xt(s) (10)
が得られる。
【0186】
【数7】
【0187】
ここで、記号*が畳込みの演算子を意味することに注意すべきである。
【0188】
式(10)によると、所与のエネルギーsについて係数yt(s)を反復的に決定することができる。
【0189】
そのため、前記フィルタのインパルス応答が対象であるので、xt(s)は二次元のディラック関数であり、式(11)における係数bt(s)はメインインパルスのヒストグラムに関するデータから分かり、パラメータαは式(4)から分かる。
【0190】
上述した、主として式(10)に基づく装置で実装することができるアルゴリズムのフローチャートが図14に示されている。
【0191】
第一の過程200は、フィルタの入力を表し、二次元のディラック関数のエネルギーに従ったZ変換の値をとるxt(s)におけるいくつかの変数を初期化することから構成される。
【0192】
また、持続時間tは1に初期化されている。
【0193】
過程201では、フィルタの出力yt(s)が初期化される。
【0194】
より的確には、第一の持続時間(t=0)が固定され、変数y0(s)のエネルギーに関するすべての値が1に初期化される。
【0195】
この段階で、方程式(10)に基づいてyt(s)を計算し始めることができる。
【0196】
この目的を達成するために、持続時間tとエネルギーsをネスティングする二つのループが利用される。
【0197】
持続時間に対する第一ループは過程202、203および204を含み、エネルギーに対する第二ループは過程202から206を含む。
【0198】
過程202では、所与のエネルギーsについて式(10)が決定される。
【0199】
たとえば、この過程202における最初の行程で、計算されるのはy1(s=0)であり、その次に、持続時間tのループにおける最初の繰り返しの後、決定されるのはy2(0)である。
【0200】
この第一ループによって、yt(0)の値の集合が計算される。
【0201】
過程203は、持続時間にかかるループを続けるべきかどうか判定することを可能にするテストである。
【0202】
このテストは、持続時間tの変数を事前に設定した最大持続時間でのチャネル数(NB_Dと表記)を比較することから構成される。
【0203】
テスト結果が肯定的であれば、過程204が実行され、持続時間tの変数がインクリメントされる。
【0204】
そうでなければ、アルゴリズムは前記第一のループから脱け、過程205で、第二ループを続けるべきかどうかテストする。
【0205】
したがって、この過程205において、変数sは事前に設定された最大エネルギーでのチャネル数(NB_E)と比較される。
【0206】
テスト結果が肯定的であれば、アルゴリズムは過程206に移行し、該過程において、エネルギーsがインクリメントされ、また、持続時間の変数tが過程200と同じように値1に初期化される。
【0207】
次に、アルゴリズムは再び過程202に戻り、値yt(1)の集合が決定されることになる。
【0208】
たとえば、計算された第一の係数はy1(1)であり、次に、tの最初のインクリメントの後、過程202がy2(1)などを計算する。
【0209】
アルゴリズムは、エネルギーにかかる第二のループを脱けるとき、最後は過程207で終了する。
【0210】
最終的に持続時間とエネルギーのマトリクスが得られるのだが、該マトリクスの要素は、フィルタIIRのインパルス応答の求められた係数yt(s)、または換言すれば、式(6)における前記冪級数の求められた係数である。
【0211】
第二過程:係数の識別
第二過程は、このようにして決定された係数を、パイルアップリジェクションの式(1)における等式の左辺にある、冪級数の係数によって識別することから構成される。
【0212】
(1)および(6)より、以下のように書くことができる。
【0213】
【数8】
【0214】
したがって、αt-Kt(s)=yt(s)である。
【0215】
活性αを(4)で置き換えることにより、
yt(s)=exp(−λt)exp(λKt(s))が得られる。
【0216】
ここで項λKt(s)を含んだ指数関数が、冪級数で展開される。
【0217】
【数9】
【0218】
そして、選択された装置においてこのような式の実装を可能にするために、冪級数の切り捨てを行う。
【0219】
【数10】
【0220】
最終的に、等式(15)の第二項に、エネルギーに従ったZ逆変換を適用することで、以下の式にたどり着く。
【0221】
【数11】
【0222】
該式において、kt、eはエネルギーsに従ったKt(s)のZ逆変換である。
【0223】
ここでは、式(16)で用いられている表記(e)*nがエネルギーeに従ったn番目の畳込みを意味していることに注意すべきである。
【0224】
yt、eが分かると、係数kt、eは式(16)に基づいて決定され、次に、係数ht、eが二重微分を行うことで関係式(3)から演繹され、そして最後に、係数ht、eのエネルギーにしたがって持続時間の和を出すことで、信号に含まれた基本インパルスの各エネルギーEiそれぞれを決定するようになっている。
【0225】
ここでは、選択された装置においてこの第二の識別過程を実装することを可能にする回帰的アルゴリズムが提案される。
【0226】
改めて、当業者であればここで提案されている実施態様には多くの可能な変形例があることが認識できるものである。
【0227】
前記アルゴリズムのメイン過程が例示として図15に示されている。
【0228】
ここで確認するのは、これらの過程が式(16)と(3)に主として基づいて計算できることである。
【0229】
第一の過程210では、等式(16)の右辺項における指数nの和の判定を始めるために、数式yt、eexp(λt)が決定される。
【0230】
したがって、この数式は、等式の左辺の指数関数を使ったときに、式(16)からくるものである。
【0231】
図15における過程210に示された矢印は値を変数に割り当てる操作を意味しており、この場合にはyt、eである。
【0232】
次に、過程211は式(16)に含まれる項kt*n(s)を初期化することから構成される。
【0233】
この項の値は、図15においてgt(e)と表記された変数に保存される。
【0234】
gt(e)は、係数kt、eのエネルギー(kt、e)(e)*nに従ったn番目の畳込みを保存する変数である。
【0235】
エネルギー、持続時間、持続時間における最大チャネル数NB_D、エネルギーにおける最大チャネル数NB_Eといったその他の変数が初期化される。
【0236】
次に、過程212に基づく二つのネスティング・ループが続く。
【0237】
エネルギーに対する第一のループは過程212、213および214を含んでいる。
【0238】
該ループによって、n番目の畳込みまたは、所与の持続時間tに対する係数kt、eの(kt、e)(e)*nを決定することが可能になる。
【0239】
第二ループは過程212から221を含んでいる。
【0240】
該ループは持続時間tを範囲とし、該ループによって、持続時間にしたがって係数kt、eを計算することが可能になっている。
【0241】
これから、これら二つのループのそれぞれを詳述することとする。
【0242】
上記で触れたように、エネルギーに対する第一のループは過程212で開始される。
【0243】
この過程では、エネルギーにしたがって、gt-1(e)を用いてyt(e)の畳込みが計算され、この値がgt(e)に保存される。
【0244】
エネルギーの指数に対するテストが過程213で行われ、エネルギーに対するこの第一のループの予期しない出力を検出するようになっている。
【0245】
進行中のエネルギーがNB_Eを下回っている限り、過程214でこのエネルギーがインクリメントされ、過程212から再始動される。
【0246】
ひとたび、進行中の持続時間tに対するエネルギーにしたがってn番目の畳込み(kt、e)(e)*nが決定されると、「temp」と表記されている、式(16)における等式の右辺にある和の一部を計算し、変数に保存する過程215に移行する。
【0247】
より的確には、変数「temp」は、以下の値をとる。
【0248】
【数12】
【0249】
tは、第二ループにおいて進行中の持続時間であり、MAX_Cは指数関数の冪級数展開の切り捨て指数である。
【0250】
この変数「temp」は次に、エネルギーにしたがい、進行中の持続時間tに対する係数kt、eの集合を計算するために過程216で用いられる。
【0251】
前記係数kt、eの計算は、
kt、e=(yt、e−temp)/λである。
【0252】
したがって、この係数は、式(16)の前記和と、同じ式の和の前記部分の差分を出すことで計算される。
【0253】
これは、以下の式を計算することになる。
【0254】
【数13】
【0255】
いったんエネルギーにしたがい、所与の持続時間tに対する係数kt、eが決定されると、過程217で肯定性の制約テストを行うことで、得られた値が確率密度と一貫していることを保証するようになっている。
【0256】
テストは以下の不等式が確認されるかどうか判定することからなるのだが、つまり、
kt、e−2kt-1、e+kt-2、e>0?
および、t>1?
ということである。
【0257】
ある意味では、一つ前の持続時間t−1においてディジタル二重微分が正かどうか判定される。
【0258】
否定的の場合、アルゴリズムは値0に対応する係数ht、eを固定する過程219に移行する。
【0259】
次に、過程218で、これらの決定された係数kt、eを変数gt(e)に保存する。
【0260】
逆に、テスト217が肯定的であれば、過程219は避けられ、直接過程218に移行する。
【0261】
過程220では、持続時間に対する第二ループのテストによって、係数kt、e(またはgt(e))の持続時間に従った計算が終了しているかどうか判定される。
【0262】
否定的の場合、過程221に移行し、該過程において、持続時間はインクリメントされ、エネルギーの指数は再度値0に初期化される。
【0263】
次に、この新しい持続時間によって過程212の最初から再開する。
【0264】
逆に、計算が終わっていれば、持続時間に対する第二ループから脱ける。
【0265】
実際、エネルギーおよび持続時間に応じた係数kt、eはこのとき決定されている。
【0266】
上記で触れたように、ここで関係式(3)によって係数ht、eが演繹される。
【0267】
この二重の誘導微分の操作が過程222に実装されている。
【0268】
この過程の最後に、処理された信号に含まれる基本インパルスの持続時間/エネルギーのペアの確率密度を表す係数ht、eの集合が得られる。
【0269】
最後の過程223では、基本インパルスのエネルギーが判定され、エネルギーに従った変数mに該エネルギーが保存される。
【0270】
この目的を達成するために、係数ht、eは持続時間にしたがって加算され、各エネルギーそれぞれについても同様である。
【0271】
この過程が、基本インパルスの持続時間/エネルギーのペアにおける離散確率密度のエネルギーに従った前記周辺確率の計算に対応することに注目すべきである。
【0272】
メモリに保存された基本インパルスのエネルギーは最終的に視覚化手段を用いて利用者に与えられることで、該手段が存在する放射性核種を識別し、診断を確立するようになっている(プリンタ、ディスプレイまたは機能が同等のその他のあらゆる装置)。
【0273】
ここで、当業者であれば明らかに一定数の変形例を見つけることができるものである。
【0274】
たとえば、本発明に係る測定方法によって与えられる情報は中間過程に関するものとすることができる(メインインパルスまたは基本インパルスの持続時間−エネルギーのペアのヒストグラムのグラフ表示など)。
【0275】
では、上記で提示したアルゴリズムを用いた、本発明に係る測定方法を実施することで得られた非制限的ないくつかの結果を提示することにする。
【0276】
図16は、セシウム137について観察されるガンマ線源のスペクトル49を示している。
【0277】
スペクトロメータ装置はパイルアップが生じるものである。
【0278】
さらに、この装置は本発明によるパイルアップリジェクション方法をまだ利用していない。
【0279】
このスペクトルが、エネルギーE3での基本スペクトル線50、ならびに、エネルギーE3の二つの光子のパイルアップに対応するエネルギーE4での第二のスペクトル線51を含んでいることを確認することができる。
【0280】
図17は、本発明による測定方法が前記装置で用いられたときの、同一のガンマ線源(セシウム137)のスペクトル52を示している。
【0281】
エネルギーE4のスペクトル線51が消えている。つまり、エネルギーE3に対応するスペクトル線だけがスペクトルに残っており、その結果、該スペクトルがセシウム137のスペクトルに一致することになる。
【0282】
さらに、図17では、ノイズ53の上限が図16で観察されるものに比べて大きく減少していることが分かる。
【0283】
情報としては、この上限はとりわけパイルアップとコンプトン効果の組み合わせに起因するものである。
【0284】
したがって、これらの得られた結果は満足できるものである。
【0285】
これらの結果から、本発明による測定方法の効果、並びに、適切な電子装置において提案されたアルゴリズムを実装することによる産業上の実用性も明らかになった。
【0286】
より一般的には、本発明は、さらに複数の利点を提供するものであり、すなわち、
−放出されたエネルギーおよびそれらの発生をより良く識別すること、
−導入部で触れた除去によるフィルタリング方法とは異なり、信号の有効部分を除去することなく、この測定された信号全体を対象とすること、
−インパルスの形状についていかなる仮説も必要ではないこと、
−光子源の活性が弱かろうと高かろうと、該活性とは独立して方法を強く信頼できること(しかし方法の良好な作動に必要な条件は基本インパルスの恒常的なパイルアップがあってはならないということである)、
−測定される信号に直接本方法を適用する可能性、あるいは該方法を後で実行する可能性、
−非常に接近した利用であり、このことによって本発明に係る測定方法が先行技術の測定方法よりもディジタル的になっていることである。
【0287】
もちろん、本発明は上記に説明し、図面に示された実施態様にまったく限定されるものではない。
【0288】
特に、本発明はその他のスペクトロメトリーの領域(たとえば、アルファ・スペクトロメトリー、中性子スペクトロメトリー、そしてより一般的にはあらゆるタイプの微粒子に対するあらゆるスペクトロメトリー)において、さまざまなタイプの検出器、とりわけ異なったサイズおよび形状の検出器に対して実施することができる。
【0289】
さらに一般的には、本発明は、各信号それぞれが用語の一般的な意味で流束を表し得るものであるとき、メインの信号にパイルアップによって含まれている基本信号の貢献が求められる応用などに用いることができる。
【0290】
非限定的には、光子束、蛍光元素の流束または通信システムの待ち行列における要素の流束などであってよい。
【0291】
たとえば待ち行列の場合、本発明において説明した実施態様に等価なものとして、持続時間Dの変数に接続時間を関連づけ、エネルギーEの変数に通過帯域を関連づけることができる。
【0292】
また、エネルギーEがインパルス下におけるスペクトル面の算定によって評価されることはまったく義務的ではない。
【0293】
本発明で説明された実施態様の場合、スペクトル面による判定が完全に適合していたのだが、それは、単純な関係式がこのスペクトル面をガンマ光子のエネルギーに結びつけるからである。
【0294】
しかし、異なった応用の場合にはこれは必ずしも当てはまらない。
【0295】
ここで、当業者であれば理解できるが、本発明の概念が非常に一般的な意味で、メインインパルスにおける基本インパルスの重みを表示するためのエネルギーの利用に基づいていることなのである。
【0296】
したがって、この重みの算定方法は応用に応じて大きく異なることがあることは明白である。
【0297】
非制限的な例としては、重みは基本インパルスの振幅、特定の持続時間などに対応することもあるだろう。
【0298】
ここで、本発明に係る測定方法を適用するために守られるべき以下の制約だけ確認することとするが、該制約とはすなわち、
−基本インパルスの出現時間が均質なポワソン過程に従っていること、
−メインインパルスが所定の持続時間Dを有していること、
−基本インパルスのエネルギーを表す変数Eiが加算性の特性を有していることである。
【図面の簡単な説明】
【0299】
【図1】ガンマスペクトロメトリーのディジタル取得の流れの概略図
【図2】図1の装置によって観察可能なガンマ線源のスペクトル
【図3】ガンマ光子の検出器によって生成された経時信号の例
【図4】セシウム137の単エネルギー光子源を測定したエネルギー分布
【図5】複数のエネルギーを備えた光子を放出する活性光子源のエネルギー分布
【図6】パイルアップ現象が起こったときの、遅速検出器に起因する時間信号の概略図
【図7】パイルアップ現象がないときの、ガンマ線源の正規化スペクトル
【図8】活性の増加によってパイルアップ現象が起こったときの、図7で分析されたガンマ線源の正規化スペクトル
【図9】本発明によるシステムによって測定された、二つのメインインパルスを含んだ信号の一部の概略図
【図10】本発明によるシステムによってディジタル化されたときの、図9の信号を示す図
【図11】本発明に係る測定方法のブロック略図を示す図
【図12】本発明に係る測定方法によって処理された信号の活動シーケンスのDとEのペアの二次元ヒストグラムの例
【図13】前記処理された信号の基本インパルスのDiとEiのペアの二次元ヒストグラムの例
【図14】適切な電子装置において本発明によるパイルアップリジェクション方法の第一部分を実装することを可能にするアルゴリズムのフローチャート
【図15】適切な電子装置において本発明によるパイルアップリジェクション方法の第二部分を実装することを可能にするアルゴリズムのフローチャート
【図16】本発明に係る測定方法を実施していないときの、セシウム137の観察されたガンマ線エネルギーのスペクトル
【図17】本発明に係る測定方法を実施しているときの、セシウム137の観察されたガンマ線エネルギーのスペクトル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
持続時間DおよびエネルギーEからなるメインインパルス(17)の連鎖を含んだ信号(11)処理を含んだ測定方法であり、該メインインパルスが時間的に互いに間隔を開け、それぞれが、持続時間Diと、エネルギーが加算性の特性を有している変数Eiによって評価される基本インパルス(15)のパイルアップで構成され得るものであり、前記基本インパルス(15)が強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有している測定方法であって、
−前記信号をディジタル化することで、該信号を表すデータ(24)を得るようにすることからなる過程と、
これらのデータ(24)に基づき、
−各メインインパルス(17)それぞれの持続時間DとエネルギーEを測定することで持続時間−エネルギーのペア(D、E)を作成することからなる過程と、
−作成されたペア(D、E)から基本インパルス(15)のエネルギーのペア(Di、Ei)を判定することからなる過程と、
−判定されたペア(Di、Ei)から、各基本インパルス(15)それぞれのエネルギーEiを演繹的に導くことからなる過程、
を含んでいることを特徴とする、測定方法。
【請求項2】
持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)の判定過程が、メインインパルスの持続時間−エネルギーのペア(D、E)の関数を基本インパルスの持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)の関数に関係づけるパイルアップリジェクションの式を解くことで実施されることを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記式がメインインパルスの持続時間−エネルギーのペア(D、E)に対する離散確率法則を、基本インパルスの持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)に対する離散確率法則に関係づけることを特徴とする、請求項2に記載の測定方法。
【請求項4】
持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)の判定過程において、持続時間−エネルギーのペア(D、E)に対する離散確率法則が、作成された持続時間−エネルギーのペア(D、E)と前記各ペア(D、E)に関連づけられた発生数を用いて算定され、前記発生が前記測定に基づいて事前に判定されていることを特徴とする、請求項3に記載の測定方法。
【請求項5】
さらに前記式がポワソン過程の強度λに依存していることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項6】
前記パイルアップリジェクションの式が以下の形をとり、
【数1】
ここに、変数zおよびsが持続時間およびエネルギーのZ変換を表し、tが持続時間、B(z、s)が確率密度bt、eのZ変換を表し、bt、eが、メインインパルスの持続時間が値tと等しくなり、エネルギーが値eと等しくなる確率を表し、Kt(s)が確率密度ht、eに依存した関数のZ変換であり、ht、eが、基本インパルスの持続時間が値tに等しくなり、エネルギーが値eに等しくなる確率を表し、そして、αが分析される光子源の活性に依存したパラメータを表すことを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項7】
ポワソン過程の強度λがメインインパルス(17)の分離時間を測定することで判定されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項8】
パラメータαが、以下の式:
α=exp(−λTe)
ここに、Teがディジタル化過程に関連したサンプリング周期である、
を用いて判定されることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の測定方法。
【請求項9】
各基本インパルス(15)のエネルギーEiの演繹過程が、これらのエネルギーの離散確率法則の判定過程を含んでいることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項10】
エネルギーの離散確率法則が、エネルギーに応じている、持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)の離散確率法則の周辺確率法則であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項11】
前記パイルアップリジェクションの式における等式の右辺の分数を持続時間に従った、冪級数で展開することで、この級数の係数を判定するようになっていることをさらに特徴とする、請求項6〜10のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項12】
前記冪級数の係数が前記パイルアップリジェクションの式における等式の左辺項に含まれる係数αt-Kt(s)と同一であると識別されることで、基本インパルス(15)の持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)に関する前記確率密度ht、eを判定するようになっていることを特徴とする、請求項11に記載の測定方法。
【請求項13】
冪級数の係数の前記判定および係数の前記識別過程がそれぞれ、少なくとも一つの離散畳込みの計算を含んでいることを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の測定方法。
【請求項14】
係数の前記識別過程がさらに肯定性の制約テスト(217)を含んでいることを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の測定方法。
【請求項15】
メインインパルスがメイン流束を表し、該メイン流束のそれぞれが基本流束のパイルアップを含み得るものであり、各基本流束が基本インパルスで表されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項16】
流束が光子束(3)であることを特徴とする、請求項15に記載の測定方法。
【請求項17】
光子(3)がガンマ光子であることを特徴とする、請求項16に記載の測定方法。
【請求項18】
光子(3)の各流束のエネルギーが、対応するインパルスのエネルギーによって算定されることと、各インパルスそれぞれのエネルギーが、各対応するインパルスそれぞれの下のスペクトル面(13)に応じて算定されることを特徴とする、請求項16または請求項17に記載の測定方法。
【請求項19】
物理現象を表すメインインパルスの連鎖を含んだ前記信号を測定する初期過程を含んでいることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項20】
前記信号に関する情報を利用者に提供することからなる少なくとも一つの過程を含んでいることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項21】
前記情報が基本流束に関するものであることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項22】
前記情報が基本流束を表す基本インパルスのエネルギーEiに関するものであることを特徴とする、請求項21に記載の測定方法。
【請求項23】
持続時間DとエネルギーEからなるメインインパルス(17)の連鎖を含んだ信号(11)の分析装置であり、該メインインパルスが互いに時間的に間隔を開けられ、持続時間DiとエネルギーEiからなる基本インパルス(15)のパイルアップから構成され得るものであり、前記基本インパルス(15)が強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有している分析装置であって、前記装置が、請求項1〜22のいずれか一つに記載の測定方法を実施することに適した手段を具備していることを特徴とする分析装置。
【請求項1】
持続時間DおよびエネルギーEからなるメインインパルス(17)の連鎖を含んだ信号(11)処理を含んだ測定方法であり、該メインインパルスが時間的に互いに間隔を開け、それぞれが、持続時間Diと、エネルギーが加算性の特性を有している変数Eiによって評価される基本インパルス(15)のパイルアップで構成され得るものであり、前記基本インパルス(15)が強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有している測定方法であって、
−前記信号をディジタル化することで、該信号を表すデータ(24)を得るようにすることからなる過程と、
これらのデータ(24)に基づき、
−各メインインパルス(17)それぞれの持続時間DとエネルギーEを測定することで持続時間−エネルギーのペア(D、E)を作成することからなる過程と、
−作成されたペア(D、E)から基本インパルス(15)のエネルギーのペア(Di、Ei)を判定することからなる過程と、
−判定されたペア(Di、Ei)から、各基本インパルス(15)それぞれのエネルギーEiを演繹的に導くことからなる過程、
を含んでいることを特徴とする、測定方法。
【請求項2】
持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)の判定過程が、メインインパルスの持続時間−エネルギーのペア(D、E)の関数を基本インパルスの持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)の関数に関係づけるパイルアップリジェクションの式を解くことで実施されることを特徴とする、請求項1に記載の測定方法。
【請求項3】
前記式がメインインパルスの持続時間−エネルギーのペア(D、E)に対する離散確率法則を、基本インパルスの持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)に対する離散確率法則に関係づけることを特徴とする、請求項2に記載の測定方法。
【請求項4】
持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)の判定過程において、持続時間−エネルギーのペア(D、E)に対する離散確率法則が、作成された持続時間−エネルギーのペア(D、E)と前記各ペア(D、E)に関連づけられた発生数を用いて算定され、前記発生が前記測定に基づいて事前に判定されていることを特徴とする、請求項3に記載の測定方法。
【請求項5】
さらに前記式がポワソン過程の強度λに依存していることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項6】
前記パイルアップリジェクションの式が以下の形をとり、
【数1】
ここに、変数zおよびsが持続時間およびエネルギーのZ変換を表し、tが持続時間、B(z、s)が確率密度bt、eのZ変換を表し、bt、eが、メインインパルスの持続時間が値tと等しくなり、エネルギーが値eと等しくなる確率を表し、Kt(s)が確率密度ht、eに依存した関数のZ変換であり、ht、eが、基本インパルスの持続時間が値tに等しくなり、エネルギーが値eに等しくなる確率を表し、そして、αが分析される光子源の活性に依存したパラメータを表すことを特徴とする、請求項2〜5のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項7】
ポワソン過程の強度λがメインインパルス(17)の分離時間を測定することで判定されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項8】
パラメータαが、以下の式:
α=exp(−λTe)
ここに、Teがディジタル化過程に関連したサンプリング周期である、
を用いて判定されることを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の測定方法。
【請求項9】
各基本インパルス(15)のエネルギーEiの演繹過程が、これらのエネルギーの離散確率法則の判定過程を含んでいることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項10】
エネルギーの離散確率法則が、エネルギーに応じている、持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)の離散確率法則の周辺確率法則であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項11】
前記パイルアップリジェクションの式における等式の右辺の分数を持続時間に従った、冪級数で展開することで、この級数の係数を判定するようになっていることをさらに特徴とする、請求項6〜10のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項12】
前記冪級数の係数が前記パイルアップリジェクションの式における等式の左辺項に含まれる係数αt-Kt(s)と同一であると識別されることで、基本インパルス(15)の持続時間−エネルギーのペア(Di、Ei)に関する前記確率密度ht、eを判定するようになっていることを特徴とする、請求項11に記載の測定方法。
【請求項13】
冪級数の係数の前記判定および係数の前記識別過程がそれぞれ、少なくとも一つの離散畳込みの計算を含んでいることを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の測定方法。
【請求項14】
係数の前記識別過程がさらに肯定性の制約テスト(217)を含んでいることを特徴とする、請求項12または請求項13に記載の測定方法。
【請求項15】
メインインパルスがメイン流束を表し、該メイン流束のそれぞれが基本流束のパイルアップを含み得るものであり、各基本流束が基本インパルスで表されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項16】
流束が光子束(3)であることを特徴とする、請求項15に記載の測定方法。
【請求項17】
光子(3)がガンマ光子であることを特徴とする、請求項16に記載の測定方法。
【請求項18】
光子(3)の各流束のエネルギーが、対応するインパルスのエネルギーによって算定されることと、各インパルスそれぞれのエネルギーが、各対応するインパルスそれぞれの下のスペクトル面(13)に応じて算定されることを特徴とする、請求項16または請求項17に記載の測定方法。
【請求項19】
物理現象を表すメインインパルスの連鎖を含んだ前記信号を測定する初期過程を含んでいることを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項20】
前記信号に関する情報を利用者に提供することからなる少なくとも一つの過程を含んでいることを特徴とする、請求項1〜19のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項21】
前記情報が基本流束に関するものであることを特徴とする、請求項1〜20のいずれか一つに記載の測定方法。
【請求項22】
前記情報が基本流束を表す基本インパルスのエネルギーEiに関するものであることを特徴とする、請求項21に記載の測定方法。
【請求項23】
持続時間DとエネルギーEからなるメインインパルス(17)の連鎖を含んだ信号(11)の分析装置であり、該メインインパルスが互いに時間的に間隔を開けられ、持続時間DiとエネルギーEiからなる基本インパルス(15)のパイルアップから構成され得るものであり、前記基本インパルス(15)が強度λの均質なポワソン過程に従った出現時間Tiを有している分析装置であって、前記装置が、請求項1〜22のいずれか一つに記載の測定方法を実施することに適した手段を具備していることを特徴とする分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公表番号】特表2007−538241(P2007−538241A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517336(P2007−517336)
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001244
【国際公開番号】WO2005/121835
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(500539103)コミッサリア ア レネルジ アトミック (29)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月18日(2005.5.18)
【国際出願番号】PCT/FR2005/001244
【国際公開番号】WO2005/121835
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(500539103)コミッサリア ア レネルジ アトミック (29)
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE
【Fターム(参考)】
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